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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) E01C
管理番号 1165603
判定請求番号 判定2007-600041  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2007-11-30 
種別 判定 
判定請求日 2007-05-17 
確定日 2007-09-27 
事件の表示 上記当事者間の特許第2623490号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「オーバーレイ工法」は、特許第2623490号発明の技術的範囲に属する。 
理由 第1 請求の趣旨
本件判定請求人である株式会社ハネックス・ロードは、判定請求書のイ号図面及びイ号説明書に示す「オーバーレイ工法」(以下「イ号工法」という)が、特許第2623490号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属するとの判定を求めるものである。

第2 本件特許発明
本件特許第2623490号の発明(以下、「本件特許発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、これを構成要件に分説すると次のとおりである。
A マンホール枠を含む舗装のオーバーレイ工法において、
B (a)マンホール枠蓋表面が剥離材で被覆されると共に舗装表面に剥離材表面も含めてオーバーレイが施工される工程、
C (b)マンホール枠周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断されると共に切断舗装版及びマンホール枠が撤去される工程、
D (c)マンホール基壁上にマンホール枠の据え付け基礎が構築されると共に据え付け基礎上にマンホール枠がその上面をオーバーレイ表面の高さに合わせて設置される工程、及び
E (d)マンホール枠周囲の空洞部に舗装材がオーバーレイ表面の高さまで打設される工程からなる
F オーバーレイ工法。

第3 イ号工法
請求人が提出した判定請求書中の「イ号工法の技術的構成」、判定請求書に添付して提出したイ号図面及びイ号説明書(別添参照)によれば、イ号工法は、次のとおり特定される。
【イ号工法】
A-イ マンホール枠1を含む舗装のオーバーレイ工法において、
B-イ (a-イ)マンホール枠蓋2表面が被覆材3で被覆され、舗装表面に前記被覆材3を含めてタックコート5aが散布された後にオーバーレイ5が施工される工程、
C-イ (b-イ)マンホール枠1周囲の舗装がオーバーレイ上から円環状であって切断面が円弧状に切断され(この際、切断深さは、(1)マンホール基壁に達する場合と、(2)マンホール基壁に達しない場合がある)、切断舗装版7及びマンホール枠1が機械的に及び手作業により撤去される工程、
D-イ (c-イ)マンホール基壁6上にマンホール枠の据え付けのための3本のアンカーボルト11を直立状に設け(この際(1)アンカーボルト11を挿通するための通孔8を形成した円環材9を設ける場合と、(2)このような円環材9を設けない場合とがある)、各アンカーボルトに螺合した支持具12によってマンホール枠1がその上面をオーバーレイ表面の高さに合わせて設置される工程、及び
E-イ (d-イ)マンホール枠周囲の空洞部の内側を閉塞材6aにより閉塞した状態でマンホール枠周囲の空洞部に舗装材10が充填され、前記舗装材の上に表層材13がオーバーレイ表面の高さまで打設され、前記前記閉塞材6aが除去される工程からなる
F-イ オーバーレイ工法。

第4 当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、判定請求書において、概略次の理由によりイ号工法は、本件特許発明の技術的範囲に属する旨主張している。
(1)イ号工法の構成A-イ及び構成F-イは、本件特許発明の構成要件A及びFを充足している。
(2)イ号工法の構成B-イは、マンホール蓋の表面を被覆材により被覆するものであって、本件特許発明の構成要件Bを充足することは明らかである。
(3)本件特許発明の構成要件Cは、舗装を「筒状に切断」するものであって「円筒状」に限定されておらず、「切断面が円弧状」のものが含まれるとともに、切断の深さは限定されていない。また、切断舗装版及びマンホール枠の切断手段及び撤去手段は限定されていない。
したがって、構成要件Cは、イ号工法の構成C-イにおける「マンホール枠1周囲の舗装がオーバーレイ上から円環状であって切断面が円弧状に切断される」、「切断舗装版7及びマンホール枠1が機械的に及び手作業により撤去される」を含むものであり、イ号工法の構成C-イは本件特許発明の構成要件Cを充足する。
(4)イ号工法の構成D-イにおいて、3本のアンカーボルト及び支持具は、マンホール基壁上に設けられるもので、マンホール枠の据え付けのためのものであり、それによりマンホール枠がその上面をオーバーレイ表面の高さに合わせて設置されるものであるから、「マンホール枠の据え付け基礎」を構成するものである。また、円環材9は、据え付けにどのように寄与するかは不明であるが、アンカーボルトを補強するものであるとすると、アンカーボルト、円環材及び支持具が全体としてマンホール枠の据え付けの基礎を構成するものであり、イ号工法の構成D-イは、本件特許発明の構成要件Dを充足する。
(5)イ号工法の構成E-イは、閉塞材6aの助けを借りるものであるとしても、マンホール枠周囲に「空洞部」が存在しその空洞部に舗装材10を充填するものである。また、舗装材10と表層材13の2層の全体により舗装材を構成し、これをオーバーレイ表面の高さまで打設するものであるから、本件特許発明の構成要件Eを充足する。
(6)したがって、イ号工法は本件特許発明の技術的範囲に属する。

2.被請求人の主張
被請求人は、判定答弁書において、被請求人の実施を予定している工法は、マンホール蓋表面を被覆する工程を有しておらず、請求人が判定請求を行っている「イ号工法」は被請求人の実施を予定しているものではなく、本件判定請求は判定対象の特定という前提条件を欠くものであって、不適法な請求として却下すべきである旨、主張している。

第5 対比・判断
被請求人は、イ号工法は被請求人が実施を予定しているものではない旨主張しているところ、請求人も、被請求人がイ号工法を実施ないし実施を予定していることについて実証していないが、判定制度の趣旨に鑑み、判定請求人が判定を請求する「マンホール枠蓋2表面が被覆材3で被覆され、舗装表面に前記被覆材3を含めてタックコート5aが散布された後にオーバーレイ5が施工される工程」を有するイ号工法が実施された場合を仮定して、以下判断する。

本件特許発明とイ号工法とを対比する。
(1)イ号工法の構成A-イ、B-イ及びF-イは、本件特許発明の構成要件A、B及びFを充足している。

(2)イ号工法の構成C-イと、本件特許発明の構成要件Cを対比する。
本件特許発明の構成要件Cは、「マンホール枠周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断される」工程と「切断舗装版及びマンホール枠が撤去される」工程からなる。
本件特許明細書には、構成要件Cの「筒状に切断」について次のように記載されている。
「次に、工程(b)?(d)において、マンホール枠周囲の舗装を四角形に切断する旧来の舗装工法、或は特公昭61-25844号公報や特公昭61-33938号公報に開示されるように、マンホール枠周囲の舗装を円形状に切断する改良された舗装工法等に従って、マンホール枠周囲の舗装の筒状切断、切断舗装版及びマンホール枠の撤去、マンホール基壁上へのマンホール枠の据え付け基礎の構築、据え付け基礎上へのマンホール枠の設置及びマンホール枠周囲の空洞部への舗装材の打設が順次行われる。」(段落【0006】)
「マンホール枠周囲の舗装の切断等に際して、切断手段に特別の制限はない。円筒状切断の場合に、例えば特公昭61-52283号公報に開示されるような円筒状ビットを備えた路面円形切断機を好適に利用でき、またオーバーレイ上から切断中心を特定するために、金属探知機等の公知の探知手段を使用して内部のマンホール枠蓋の位置を確認してもよい。」(段落【0007】)
これらの記載によれば、「筒状」とは、マンホール枠周囲の舗装の切断形状を指すと認められるが、この形状は、マンホール枠を囲むものであれば角形でも円形でもよいものであり、円筒形に限られないことは明らかである。
さらに、本件特許明細書に例示された特公昭61-25844号公報には、円盤状切断機を傾斜させることによりマンホール枠周囲の舗装を円錐状に切断する工法が開示されており(特許請求の範囲第2項、2頁3欄17?21行参照)、「筒状」には、垂直に切断することだけでなく、円錐状や円弧状に切断することも含まれていることは明らかである。
また、本件特許明細書には、構成要件Cの「切断舗装版及びマンホール枠の撤去」について次のように記載されている。
「マンホール枠周囲の切断舗装版は、ブレーカーを使用する破砕により撤去されてもよいが、作業性の向上や騒音振動の防止等の観点から特公昭61-33938号公報に開示されるようにマンホール枠に付着したままで撤去されることが好ましい。切断舗装版及びマンホール枠を一体的に撤去するために、例えば実開昭59-156942号公報や実開昭59-193679号公報に開示されるように、マンホール枠とマンホール基壁との間にマンホール枠内部から放射状に拡縮するくさび体やアームを挿入するようにしたマンホール枠引き上げ機やマンホール枠剥離機等を必要に応じて利用できる。」(段落【0007】)
この記載によれば、切断舗装版の撤去は、破砕して撤去しても、マンホール枠と一体に撤去してもよいものであり、撤去手段を問わないことは明らかである。
さらに、マンホール枠周囲の切断舗装版を切断後破砕して撤去してもよいものであるから、据え付け基礎が構築される限り、切断の深さを問わないことも明らかである。
そして、イ号工法の構成C-イは、「マンホール枠1周囲の舗装がオーバーレイ上から円環状であって切断面が円弧状に切断される」と共に「切断舗装版7及びマンホール枠1が撤去される」ものであるから、本件特許発明の構成要件Cを充足している。

(3)イ号工法の構成D-イと、本件特許発明の構成要件Dを対比する。
本件特許発明の構成要件Dに関して、本件特許明細書には次のように記載されている。
「工程(c)において、マンホール枠は先に施工されたオーバーレイの表面の高さに合わせて設置されることになり、これは、高さ調節済みのマンホール枠の上面の高さに合わせてオーバーレイが施工される従来の技術と逆の手順となる。」(段落【0006】)、
「さらに、図1(c)に示すように、マンホール基壁6上に厚い粗調整材と薄い微調整材との組み合わせからなるマンホール枠1の据え付け基礎9が所要高さに構築されると共に据え付け基礎9上にマンホール枠1がその上面をオーバーレイ5表面の高さに合わせて設置され、」(段落【0009】)。
これらの記載によれば、構成要件Dにおける「マンホール枠の据え付け基礎」は、マンホール基壁上に設けられ、マンホール枠を据え付ける際の支持部を形成し、マンホール枠の上面をオーバーレイ表面の高さに合わせるものであり、このような機能を有するものであれば、どのような構造でもよいことは明らかである。
そして、イ号工法の構成D-イの「マンホール枠の据え付けのための3本のアンカーボルト11」は、マンホール基壁上にマンホール枠の据え付けるために直立状に取り付けられるものであり、「各アンカーボルトに螺合した支持具12」は、マンホール枠の高さを調整して支持するものであるから、該3本のアンカーボルトと支持具は「マンホール枠の据え付け用の基礎」に相当する。
また、「円環材9」を有する場合において、この円環材の作用は明確ではないが、アンカーボルトを挿通するものであるから、アンカーボルトを支持し荷重による変形等を防止する作用を有しているとすると、3本のアンカーボルト、支持具及び円環材は全体として「マンホール枠の据え付け用の基礎」に相当するということができる。
「円環材9」が「マンホール枠の据え付け用の基礎」を構成するものでないとしても、上述したとおりイ号工法においては「マンホール枠の据え付け用の基礎」を構築する工程を含むことにかわりはない。
そうすると、イ号工法の構成D-イは、マンホール基壁上にマンホール枠の据え付け基礎が構築されると共に据え付け基礎上にマンホール枠がその上面をオーバーレイ表面の高さに合わせて設置される工程を有しているから本件特許発明の構成要件Dを充足している。

なお、本件特許発明の構成要件Dに関して、本件特許明細書には「工程(c)において、マンホール枠は先に施工されたオーバーレイの表面の高さに合わせて設置されることになり、・・・。これに使用されるマンホール枠としては、・・・好ましくは直ちに使用可能に予め前処理された別のものが使用される。」(段落【0006】)と記載されているところ、イ号工法の構成D-イにおいても、かかる使用態様を排除していないものと認められる。

(4)イ号工法の構成E-イと、本件特許発明の構成要件Eを対比する。
イ号工法の構成E-イは、「マンホール枠周囲の空洞部に舗装材が充填され、前記舗装材の上に表層材がオーバーレイ表面の高さまで打設される」工程を有している。ここで、舗装材も表層材も舗装用材料であって、本件特許発明の「舗装材」に相当するから、イ号工法の構成E-イは本件特許発明の構成要件Eを充足している。

(5)したがって、イ号工法は本件特許発明の構成要件をすべて充足しているから、本件特許発明の技術的範囲に属する。

第6 むすび
以上のとおり、イ号工法は、本件特許発明の技術的範囲に属する。
 
別掲
 
判定日 2007-09-14 
出願番号 特願平3-359361
審決分類 P 1 2・ 1- YA (E01C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 伊波 猛
小山 清二
登録日 1997-04-11 
登録番号 特許第2623490号(P2623490)
発明の名称 オーバーレイ工法  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 賢三  
代理人 中野 収二  
代理人 高垣 泰志  
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