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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1166297
審判番号 不服2001-14857  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-23 
確定日 2007-10-18 
事件の表示 平成11年特許願第248078号「携帯用機器」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 5月 9日出願公開、特開2000-126464〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
・特許出願:平成11年9月1日(特許法第41条に基づく優先権主張を伴う特許出願であって、平成11年9月1日[優先日:平成10年9月1日、出願番号特願平10-264033号、優先日:平成11年5月7日、特願平11-127273号、優先日:平成11年5月19日、特願平11-139157号])
・拒絶理由の通知:平成13年2月7日
・意見書ならびに手続補正書の提出:平成13年4月2日
・拒絶理由の通知:平成13年5月2日
・意見書ならびに手続補正書の提出:平成13年6月13日
・平成13年6月13日付の手続補正の補正却下・拒絶査定:平成13年7月18日
・審判請求・手続補正書の提出:平成13年8月23日
・手続補正書の提出:平成13年8月27日
・平成13年8月23日付の手続補正及び平成13年8月27日付の手続補正の補正却下・拒絶理由の通知:平成18年2月20日
・意見書・手続補正書の提出:平成18年4月18日

2.平成18年4月18日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年4月18日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
平成18年4月18日付の手続補正は、平成13年4月2日付の手続補正により補正された請求項1に記載された発明を特定するための事項の減縮に相当するものであるから、平成15年改正前特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合している。

そして、平成18年4月18日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1において特定される下記のとおりのものである。

「人の肌上の水分や油分或いは紫外線などを測定器で測定し、この測定結果に応じたキャラクタを制御部の命令によりプログラムを実行させることで表示部上に表示させ、これにより肌状態を告知する携帯用機器であって、
前記キャラクタは、前記プログラムによって前記測定器での測定結果ごとにそれに応じて順次育成され、前記表示部上において姿を変えていくように表示されることを特徴とする携帯用機器。」(以下、「本願補正発明」という。)

そこで、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例について
1)引用例1について
当審の拒絶の理由に引用された特開平9-206282号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、被検体表面に付着している油分量及び水分量を測定する油水分測定装置に関し、特に、皮膚表面に付着している皮脂(油分量)及び水分量を測定するのに適したものである。」

・記載事項2
「【0002】【従来の技術】皮膚の皮脂量や水分量を測定するこの種の油水分測定装置は、化粧品販売店などの店頭で、顧客の皮膚の性質に応じて最も適切な化粧品を選択する際の参考データを得るために用いられている(特開平2-26738号,特開平3-26230号公報参照)。図3はこのような従来の油水分測定装置を示す斜視図,図4はそのブロック図であって、卓上型の装置本体50の上面には、先端に油分採取チップ51が装着可能な油分測定プローブ52と、先端に水分センサ53を配した水分量測定プローブ54と、先端に温度センサ55を配した皮膚温度測定プローブ56とを夫々収納するホルダー57,58,59が形成されると共に、前記油分測定プローブ52を収納するホルダー57の底部には、油分採取チップ51に光を照射してその反射光強度を検出する油分測定光学系61が配され、前記水分量測定プローブ54,皮膚温度測定プローブ56は信号線62,63を介して装置本体50に連結されている。」

・記載事項3
「【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種の油水分測定装置は油分,水分などの測定対象ごとに測定プローブ52,54が必要となるので、装置本体を卓上型にせざるを得ず、大型になってしまうという問題があった。したがって、店頭に常設して用いる場合はよいが、例えば訪問販売員が販売促進用のツールとして用いる場合や、複数の小売店を担当する化粧品メーカの美容部員が持ち歩く場合には、大型すぎて持ち運びすることができず取扱いが不便であった。また、油分を測定する場合に、油分採取チップを皮膚に押し当てる時間が一定せず、測定誤差が大きいという問題があった。そこで本発明は、第一に、女性の美容部員でもバッグに入れて簡単に持ち運びすることができる程度に極めて小型でコンパクトに形成することができると同時に、第二に、油分を測定する際に、誰が測定してもその誤差を少なくできるようにすることを技術的課題としている。」

・記載事項4
「【0006】【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本発明は、被検体表面に付着している油分量及び水分量を測定する油水分測定装置であって、被検体表面の水分量を検出する水分センサが先端に配設された測定用プローブと、前記水分センサの出力信号に基づいて水分量を算出する水分量測定手段とを備えると共に、前記水分センサを覆うように前記測定用プロープの先端に着脱自在に装着される油分採取キャップと、油分採取キャップの油分採取面に光を照射してその反射光を検出する油分検出光学系を内部に配した油分測定孔と、前記油分検出光学系の出力信号に基づいて油分量を算出する油分量測定手段と、前記水分量測定手段及び油分量測定手段で算出された水分量及び油分量を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。」

・記載事項5
「【0007】これによれば、水分量を測定するときは、測定用プローブを被検体表面に押し当てれば良く、また、油分量を測定するときは、油分採取キャップを測定用プローブ先端に装着して油分を採取した後、その油分採取キャップを測定用プローブから外して油分測定孔に挿し込めばよいので、一つの測定用プローブで水分測定用のものと油分測定用のものが兼用され、したがって複数のプローブを設ける必要もなく、装置を小型化することができる。」

・記載事項6
「【0013】また、装置本体2の内部には、前記水分センサ3の出力信号に基づいて水分量を算出する水分量測定手段8と、前記油分検出光学系6の出力信号に基づいて油分量を算出する油分量測定手段9が配設され、その正面には、前記水分量測定手段8及び油分量測定手段9で算出された水分量及び油分量を表示する表示部10とが配設されている。なお、水分センサ3としては、例えば測定面に触れる被検体の静電容量の大きさに基づいて水分量を検出する静電容量可変型のセンサが用いられ、前記水分量測定手段8には静電容量と大きさと水分量の関係を記憶した静電容量-水分量変換テーブルが記憶されている。」

・記載事項7
「【0020】そして、水分量を測定しようとするときは、水分量測定スイッチ17を押し、装置本体2を手で持って測定用プローブ4の先端に取り付けられた水分センサ3を被検体表面に押し当てると、スイッチングスリーブ11が測定用プローブ4内に押し込まれてスイッチ12から水分量測定手段8を起動させるスイッチ信号が出力される。水分量測定手段8では、水分センサ3から出力された検出信号に基づいて被検体の静電容量を測定し、これに基づいて静電容量-水分量変換テーブルを参照し、水分量を例えば1?15までの段階的な数値に置き換えて表示部10に表示する。」

・記載事項8
「【0022】次いで、油分採取キャップ5を測定用プローブ4から外して、油分測定孔7に挿し込む。このとき、油分測定用光学系6は、既に油分量測定スイッチ18を押した時点で点灯されているので、即、その反射光強度が検出される。一方、油分測定手段9は、一定レベル以上の反射光が入力されたときに自動的に計測を開始するようになされており、油分採取キャップ5を油分測定孔7に挿し込めば、一定レベルの反射光が検出されるので油分量の計測が開始される。そして、油分採取キャップ5の油分採取面5aの反射光強度が検出されると、これに基づいて反射光強度-油分量変換テーブルを参照し、油分量を例えば1?15までの段階的な数値に置き換えて表示部10に表示する。」

・記載事項9
「【0023】【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、一つの測定用プローブで水分測定用のものと油分測定用のものを兼用しているので、測定用プローブは一つで足り、複数の測定用プローブを用いる必要がなく、したがって装置全体を小型化することができ、さらに、測定用プローブが一つで済むので装置本体に取り付けたオールインワンタイプとすることができ、より小型化を図ることできるという大変優れた効果を有する。」

以上の記載事項1?9および図1?図3を勘案すると、引用例1には、下記の発明が記載されている。

「肌の水分や油分を油水分測定装置で測定し、この測定結果を表示部10上に表示させ、これにより皮膚表面に附着している油脂を表示する簡単に持ち運びできる程度に極めて小型の装置」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)

2)引用例2について
当審の拒絶の理由に引用された特表平10-500598号公報(公開日:平成10年1月20日)(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「センサ装置10は、例えばピーク呼息流量(PEF)および強制的吐出し量(FEV1)といった呼吸機能、血液中のグルコースのレベル、血圧、心拍数、体重、流体摂取および放出速度やカロリー摂取等の患者の選択された生理学的特性の値を測定するために用いられる。」(公報第16頁第18行?第21行)

・記載事項2
「インテリジェンス(知能)および通信機能は、患者が用いるモニタモジュール12内に設けられている。このセンサはモニタモジュール12に内蔵させることもできるが、ディジタルセンサ出力12へディジタルセンサ出力を転送するために用いられるケーブルまたは例えばIRビーム等の他の手段を用いて分離することもできる。モニタモジュール12は、ディジタルセンサ出力に符号化された測定値の収集および解析のインテリジェンス機能、何時測定が行われたかを示すタイムスタンプにしたがって複数の測定値を記憶する記憶機能、患者に解析済みの測定値を視覚的に伝える表示機能、および測定値およびタイムスタンプを電話システムを介して転送する通信機能を達成する。他の実施例においては、インテリジェンスおよび通信機能を別のモジュールに分離することができる。」(公報第16頁第25行?第17頁第5行)

・記載事項3
「図4A-4Cは、ピークフローゾーンによって呼吸機能の測定の結果を表すマイクロコントローラ40によって制御される特別な利用者インタフェースである。」 (公報第20頁第7行?第9行)

・記載事項4
「そして、マイクロコントローラ40が、測定された値を含むゾーンに対応する表示領域の列の最も右の表示領域を表示状態にする。したがって、利用者は、測定された値が赤、黄色、または緑ゾーンあるかを直ちに知らされ、数値について精通または理解をする必要はない。
この表示装置のほかの特性を図4A-4Dに示す。例えば、各列の最も右側の表示領域の左にある表示領域は、以前に測定された値を含むゾーンを表示する。
したがって、患者は、その成績が時間と共に向上しているかまたは低下しているかを判断することができる。さらに、現在の測定値のゾーンが切り替わった時にアニメーションキャラクター(ウェルビーWelbyキャラクター)の腕が動かされて、ゾーンの変更を患者に強調する。数字表示も表示状態にすることができる。マイクロコントローラ40は、表示装置50のいろいろな表示領域を表示状態とするためのユーザ入力に応答するアプリケーションプログラムを含んでいる。
モニターの対人インタフェースは、子供および大人による利用を容易にするように設計されている。これはいくつかの重要な面を有している:」(公報第21頁第9行?第23行)

・記載事項5
「図4Dに示すように、医者が患者のために一般的に作成する文面で表された整合ケアプログラムにおいては、ウェルビーキャラクターのいろいろな形状が用いられている。ウェルビーキャラクターの所定の形状を、患者の気道状態があるゾーンの内にある症例に対して処方した療法の説明に隣接するラベルとして用いる。」(公報第22頁第23行?第27行)

以上の記載事項1?記載事項5及び図1?図10によれば、引用例2には次の技術事項が記載されていると認められる。

「ウェルビーキャラクターは、特定時点における気道測定装置での測定結果であるデータに応じて、表示装置上において表示される携帯用電子式気道測定装置」(以下、「引用例2に記載された技術事項」という。)

(3)対比
引用例1に記載された発明と本願補正発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「肌の水分や油分」は、本願補正発明の「人の肌上の水分や油分或いは紫外線など」に相当している。以下同様に、「油水分測定装置」は「測定器」に、「表示部10」は「表示部」に、「皮膚表面に附着している油脂」は「肌状態」に、「簡単に持ち運びできる程度に極めて小型の装置」は「携帯用機器」にそれぞれ相当している。

そして、引用例1に記載された発明について、以下の1)?2)のことがいえる。

1)実質的具備事項1
引用例1の記載事項7の「【0020】そして、水分量を測定しようとするときは、水分量測定スイッチ17を押し、装置本体2を手で持って測定用プローブ4の先端に取り付けられた水分センサ3を被検体表面に押し当てると、スイッチングスリーブ11が測定用プローブ4内に押し込まれてスイッチ12から水分量測定手段8を起動させるスイッチ信号が出力される。水分量測定手段8では、水分センサ3から出力された検出信号に基づいて被検体の静電容量を測定し、これに基づいて静電容量-水分量変換テーブルを参照し、水分量を例えば1?15までの段階的な数値に置き換えて表示部10に表示する。」なる記載および図2、図3に基づけば、油水分測定装置は、スイッチ17、スイッチ12からスイッチ信号が出力されて、被検体の静電容量を測定した結果に基づいて、静電容量-水分量変換テーブルを参照して、水分量を段階的な数値に置き換えて表示部10に表示するように制御されているのであるから、油水分測定装置は、実質的に制御部を有し、その制御部の命令によりプログラムを実行させていることは明らかである。
そして、引用例1に記載された発明の「油水分測定装置」は「測定器」に、「表示部10」は「表示部」にそれぞれ相当していることは上記したとおりである。
そうすると、引用例1に記載された発明は、「制御部の命令によりプログラムを実行させることで測定結果を表示部上に表示させる」構成を実質的に具備しているということができる。

2)実質的具備事項2
表示部への表示は、携帯用測定機器の使用者に対して表示内容を知らせるためのものであるから、表示部における「表示」を「告知」と言い換えできることは、説示するまでもなく明らかなことである。

以上の実質的具備事項1?2を勘案すれば、本願補正発明と引用例1に記載された発明は、

「人の肌上の水分や油分或いは紫外線などを測定器で測定し、この測定結果を制御部の命令によりプログラムを実行させることで表示部上に表示させ、これにより肌状態を告知する携帯用機器」の点で一致し、以下の点で相違していると認められる。

<相違点>
携帯用機器の表示部上において表示されるデータは、本願補正発明においては、日々の測定結果であるデータを積算した値に基づいて順次育成されてキャラクタとして表示されるのに対して、引用例1に記載された発明においては、単に特定時点における測定結果に基づいてデータとして表示される点。

(4)判断
上記相違点について、検討する。
引用例2の記載事項3の「図4A-4Cは、ピークフローゾーンによって呼吸機能の測定結果を表すマイクロコントローラ40によって制御される特別な利用者インタフェースである。」、同記載事項5の「図4Dに示すように、医者が患者のために一般的に作成する文面で表された整合ケアプログラムにおいては、ウェルビーキャラクターのいろいろな形状が用いられている。ウェルビーキャラクターの所定の形状を、患者の気道状態があるゾーンの内にある症例に対して処方した療法の説明に隣接するラベルとして用いる。」なる記載、図1および図4のFIG4A.FIG4B.FIG4C.FIG4D-1.及びFIG4D-2.に基づけば、センサ装置に内蔵されているモニタモジュールの表示装置において、ウェルビーキャラクターは、テストの結果得られた患者の気道状態のゾーンの症例毎に応じて、マイクロコントローラの命令によってプログラムが実行されて、ウェルビーキャラクターがいろいろな形状に変化して、処方した療法の説明に隣接するラベルとして用いるものであり、特定時点での患者の気道の測定結果である症例に応じて変化する種々の形状のキャラクタを気道測定装置であるセンサ装置の表示装置上に画像として表示して、患者に気道の状態をわかりやすく示しているのであるから、ウェルビーキャラクターは、特定時点における気道測定装置の測定結果であるデータごとに形成されて、表示装置上に表示されていることは明らかである。
そして、引用例2に記載された技術事項の「ウェルビーキャラクター」「気道測定装置」「表示装置」「携帯用電子式軌道測定装置」は、その機能から見て、本願補正発明の「キャラクタ」「測定器」「表示部」「携帯用機器」に相当していることは明らかである。
そうすると、引用例2に記載された技術事項は、「キャラクタは、特定時点における測定器での測定結果であるデータごとに表示部に表示される携帯用機器」と実質的に言い換えることができる。(以下、「引用例2に記載された発明」という。)
一方、実用新案登録第3042974号、実用新案登録第3048489号および実用新案登録第3049140号等に示されるように、携帯用ゲーム機器において、日々のデータを積算し、その積算した値をペット等のキャラクタの育成に反映・利用し、育成されたペット等のキャラクタの容姿や形状を表示部に表示することは、タマゴッチ等でよく知られている周知な技術にすぎない(以下、「周知技術」という。)
そして、引用例1に記載された発明および引用例2に記載された発明は、携帯用機器において特定時点での測定を行う者の健康状態を測定し、その測定結果を表示部において表示して報知する点で共通する技術であるから、これらの間で技術利用することに格別の困難性を見いだせない。
また、引用例1に記載された発明および引用例2に記載された発明と上記周知技術は、日々のデータを携帯用機器の表示部において携帯用機器を携帯する者に表示することができる点で関連するのであるから、これらの間で技術利用することに格別の困難性を見いだせない。
そうすると、引用例1に記載された発明の測定器の表示部に表示する測定結果である特定時点のデータに代えて、引用例2の測定器での測定結果である特定時点のデータごとにそれに応じて形成されて、表示部上において表示されるキャラクタを適用する際に、上記周知技術を参酌して、日々の測定器での測定結果であるデータを積算した値に基づいてキャラクタを順次育成されて表示部に表示するようにすること、すなわち本願補正発明の上記相違点に係る構成となすことは当業者が容易になし得る程度のことということができる。

(5)むすび
上記のとおりであるので、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、本願補正発明によって奏する効果も、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および周知技術に基づいて、普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあるとは認められないから、特許法第29条第2項の規定により出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)補正却下の判断
以上のとおり、本願補正発明は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるので、平成18年4月18日付の手続補正は、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成18年4月18日付の手続補正は上記のとおり却下され、かつ平成13年7月18日付、平成13年8月23日付および平成13年8月27日付の手続補正が却下されているので、平成13年4月2日付の手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1において特定される以下のとおりのものである。

「人の肌上の水分や油分或いは紫外線などを測定器で測定し、この測定結果に応じたキャラクタを制御部の命令によりプログラムを実行させることで表示部上に表示させる携帯用機器であって、
前記表示部に表示される前記キャラクタを測定結果の変化に応じたキャラクタとすることを特徴とする携帯用機器。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例について
引用例1、引用例2およびそれらの記載事項は、上記2.(2)引用例についてに記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記2.(4)判断で検討した本願補正発明の「表示部上に表示させ、これにより肌状態を告知する携帯用機器」を「表示部上に表示させる携帯用機器」とするとともに、本願補正発明の「キャラクタは、前記プログラムによって前記測定器での測定結果ごとにそれに応じて順次育成され、前記表示部上において姿を変えていくように表示される」を「表示部に表示される前記キャラクタを測定結果の変化に応じたキャラクタとする」とするものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)判断?(5)むすびに記載したとおり、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるので、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-23 
結審通知日 2007-08-24 
審決日 2007-09-05 
出願番号 特願平11-248078
審決分類 P 1 8・ 56- WZ (A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 渡部 葉子
榎本 吉孝
発明の名称 携帯用機器  

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