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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1166331
審判番号 不服2005-6632  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-14 
確定日 2007-10-18 
事件の表示 平成 7年特許願第195766号「外観検査装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 1月21日出願公開、特開平 9- 21621〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成7年7月10日の出願であって、平成17年3月10日付け(発送:同年3月15日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月13日付けで明細書又は図面についての手続補正がなされたものである。

【2】平成17年5月13日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年5月13日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.新規事項の有無
本件補正により、特許請求の範囲は、次のように補正された。
「【請求項1】 検査対象物の外観を撮像する撮像手段を有し、該撮像手段により得られた撮像信号に基づいて外観検査を行う外観検査装置において、
光を透過しない材料から成る円環状の検査対象物の円環部の内周面の全周から出射された光を前記撮像手段の視野内に同時に収束させる偏光手段を設け、
前記偏光手段は、光を屈折透過し、略円錐形状のプリズムを備え、該略円錐形状の底面が前記撮像手段と対向するように配されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】 前記円環状の検査対象物の円環部の内周面のうち、前記撮像装置の光軸に対して傾斜して配された内周面を検査対象領域とすることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。」

1-1.「光を透過しない材料から成る円環状の検査対象物」について、
補正後の特許請求の範囲の請求項1を特定するために必要な事項である「光を透過しない材料から成る円環状の検査対象物」についての直接的な記載は当初明細書中には見あたらない。もっとも、これに関連する当初明細書の記載である、
・「【0018】・・・帯状物体11に向けて照射された光の反射光は、プリズム8を介してラインセンサカメラ7に入射されるように、照明器12の姿勢が保たれている。」、
・「【0021】・・・帯状物体11のL部からの反射光線は、・・・L部以外の点やR部からの反射光も、・・・」、から、帯状物体11の表面が光反射性を有することは読みとれ、このことから、円環状の検査対象物もその表面が光反射性を有するとすることは自然である。
しかしながら、物体は、光透過性の材料から成るものであっても、高い屈折率を有すれば、空気との境界面で光を反射すること、すなわち、その表面が光反射性を有することはよく知られている光学常識である。
このことを考慮すると、検査対象物がその表面で光反射性を有することが、直ちに検査対象物が光を透過しない材料から成ることを意味することにはならないと言える。
そうしてみると、結局、当初明細書中には円環状の検査対象物が光を透過しない材料から成ることを窺わせる記載は見あたらないことになる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1において「円状、又は円環状の検査対象物」を「光を透過しない材料から成る円環状の検査対象物」とする補正は、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。
1-2.「円環部の内周面の全周」について、
当初明細書中には、補正後の特許請求の範囲の請求項1を特定するために必要な事項である円環部の「内周面」についての直接的記載は見あたらない。
一方、当初明細書中には検査対象物である円環状物体として、「【0042】・・・外周から中心に向かって高さが減少するような斜面を有」する円環状物体(図9、以下、「前者の円環状物体」という。)と、そのような形状的特徴を有さない、平坦部と、二つの同心円筒面とを有する円環形状の物体(図7、以下「後者の円環状物体」という。)が、記載されており、また、前者の円環状物体については、「【符号の説明】・・・52・・・内面に傾斜面をもつ円環状物体」と記載されている。
ここで、前者の円環状物体中の「斜面」、後者の円環状物体中の「平坦部」、「径の小さい方の円筒面」の内、径の小さい方の円筒面が円環部の「内周面」に含まれると解することはできる。
しかしながら、前記の記載内容を検討しても、前者の円環状物体における「斜面」、後者の円環状物体における「平坦部」が、円環部の「内周面」中に含まれるのか否か、当初明細書の記載内容からは直ちに特定することができない。
そうすると、請求項1において「円環部の全周」を「円環部の内周面の全周」とする補正は、当初明細書の記載内容からは明確に把握することのできない「円環部の内周面」という構成を新たに持ち込む補正であると言える。
したがって、前記補正は願書に最初に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとは言えない。
前記1-1、1-2に記載した理由により、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
以上に検討したとおり、本件補正は却下されるべきものであるが、念のために独立特許要件(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)についても検討しておく。

2.補正後の本願発明
請求項1に係る発明は、平成17年5月13日付けの手続補正書中の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 検査対象物の外観を撮像する撮像手段を有し、該撮像手段により得られた撮像信号に基づいて外観検査を行う外観検査装置において、
光を透過しない材料から成る円環状の検査対象物の円環部の内周面の全周から出射された光を前記撮像手段の視野内に同時に収束させる光偏向手段を設け、
前記光偏向手段は、光を屈折透過し、略円錐形状のプリズムを備え、該略円錐形状の底面が前記撮像手段と対向するように配されていることを特徴とする外観検査装置。」(以下、「本願補正発明」という。)
なお、「偏光手段」について、
・当初明細書中には「偏光手段」は見あたらないこと、
・当初明細書中には「【請求項1】・・・前記検査対象物の互いに離間した検査領域から出射された光を前記撮像手段の視野内に収束させる光偏向手段・・・」、「【0049】・・・前記検査対象物の互いに離間した検査領域から出射された光を前記撮像手段の視野内に収束させる光偏向手段を設けた・・・」と記載されていること、
から見て、「偏光手段」は「光偏向手段」の誤記と認め請求項1に係る発明を上記のとおり認定することとした。

3.刊行物1に記載された発明
当審において新たに発見された刊行物である、特開平2-194309号公報(以下、「刊行物1」という。)は、「物体の壁の内側の検査装置」(発明の名称)に関するもので、図面とともに以下の記載がある。
a.「(産業上の利用分野)
本発明は、中空の物体、例えば砂糖漬かんのような金属容器の内側の検査に関する。」(1頁右下欄下から4行?下から2行)
前記記載a.から、
・金属容器の壁の内側を検査する装置、が読みとれる。
b.「(発明の構成)
可能な最良の検査が、検査(例えばビデオカメラを用いて)が行われるのと同じ方向からの照射により保証される。従って、本発明に係る物体の壁の内側の検査装置は、中空の物体(例えば円筒状の直立した壁と底を備えた金属容器)を選択された位置に配置するための設置手段と、上記の物体の内面を少なくともほぼ一様に照射できるように上記の設置手段に関して相対的に配置された光源と、上記の内面を検査できるように上記の設置手段に関して相対的に配置された検査手段(例えばビデオカメラ)とを備え、・・・」(2頁左上欄11行?右上欄2行)
前記記載b.において、ビデオカメラを用いて検査を行うことは、言い換えれば、ビデオカメラにより得られた撮像信号に基いて検査を行うことであるから、
・金属容器の内側を撮像するビデオカメラを有し、該ビデオカメラにより得られた撮像信号に基いて金属容器の壁の内側を検査する装置、が読みとれる。
c.「第1図は、ビデオカメラlと光源2を示す。光源2は、光学的案内体3により、この複数の光学的案内体3による端クラウン4を介して、光を発する。これらの案内体4からくる光は、円錐状ミラー6を介して容器7内に放射される。照射されたゾーンからくる光8は、ビデオカメラlによりほぼ同じ方向から観測出来る。描かれた光線5、8は、図示の例として1つの照射ゾーンと検査ゾーンとを示す。
第2図は、ビデオ像9を示す。ビデオカメラlは、直立する内壁11と同様に、かんの底10を直接に「見る」。ビデオカメラ1は、さらに、円錐状のミラー6を介して内壁11を検査する。」(2頁右下欄2行?14行)
d.「第1図から第3図までに示された実施例は、ただ1個のビデオカメラlで全内面を検知出来る・・・」(3頁左上欄下から2行?右上欄1行)
第1図から第3図までに示された光学系において金属容器の「全内面を検知出来る」ことは、その検査光学系からして、明らかに全内面を同時に検知出来ることを意味すると解されること、また、「全内面を検知出来る」ということは、当然に直立する内壁11を検知できることを含むこと、を考慮すると、
前記記載b.?d.から、
・円筒状の金属容器の直立する内壁11からの光をビデオカメラ1で同時に検知できるようにする円錐状ミラー6、が読みとれる。
e.図1から、
・円錐状ミラー6は光を反射し、円錐形状の反射面を備え、該円錐形状の底面がビデオカメラと対向するように配された光学系、が読みとれる。
以上の記載を勘案すると、刊行物1には次の発明が記載されているものと認められる。
(刊行物1に記載された発明)
「金属容器の壁の内側を撮像するビデオカメラ1を有し、該ビデオカメラ1により得られた撮像信号に基いて金属容器の壁の内側を検査する装置において、
円筒状の金属容器の直立する内壁11からの光をビデオカメラ1で同時に検知できるようにする円錐状ミラー6を設け、
前記円錐状ミラー6は、光を反射し、円錐形状の反射面を備え、該円錐形状の底面がビデオカメラと対向するように配された金属容器の壁の内側を検査する装置」(以下「刊行物1に記載された発明」という。)

4.対比
そこで、本願補正発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。
4-1.先ず、刊行物1に記載された発明における、「金属容器の壁の内側」、「ビデオカメラ1」、「金属容器の壁の内側を検査する装置」、「直立する内壁11からの光」、「ビデオカメラ1で同時に検知できるようにする」、「円錐状ミラー6」、は、それぞれ、本願補正発明における「検査対象物の外観」、「撮像手段」、「外観検査を行う外観検査装置」、「内周面の全周から出射された光」、「撮像手段の視野内に同時に収束させる」、「光偏向手段」、に相当する。
4-2.刊行物1に記載された発明における「前記円錐状ミラー6は、光を反射し、円錐形状の反射面を備える」ことと、本願補正発明における「光偏向手段は、光を屈折透過し、略円錐形状のプリズムを備え」ることとは、共に、光偏向手段は光を偏向し、略円錐形状の光偏向体を備える点で共通する。
4-3.刊行物1に記載された発明における「円筒状」も、本願補正発明における「円環状」も共に「中空円形状」であると言えるから、刊行物1に記載された発明における「円筒状の金属容器の直立する内壁11」と、本願補正発明における「光を透過しない材料から成る円環状の検査対象物」とは、共に、光を透過しない材料から成る中空円形状の検査対象物であるという点で共通する。
したがって、両者は、
(一致点)
「検査対象物の外観を撮像する撮像手段を有し、該撮像手段により得られた撮像信号に基づいて外観検査を行う外観検査装置において、光を透過しない材料から成る中空円形状の検査対象物の中空円形状の内周面の全周から出射された光を前記撮像手段の視野内に同時に収束させる光偏向手段を設け、前記光偏向手段は、光を偏向し、略円錐形状の光偏向体を備え、該略円錐形状の底面が前記撮像手段と対向するように配されている外観検査装置。」
で一致し、以下の点で相違している。
(相違点)
相違点1:「光偏向体」について、
本願補正発明では、光偏向体は「光を屈折透過し、略円錐形状のプリズムを備え」るものであるのに対し、刊行物1に記載された発明では、「光を反射し、円錐形状の反射面を備え」るものである点。
相違点2:検査対象物の形状について、
本願補正発明では、検査対象物は「円環状」であるのに対し、刊行物1に記載された発明では「円筒状」である点。

5.当審の判断
相違点1について、
外観検査装置において、検査対象物からの光を円錐形状のプリズムを用いて偏向し、カメラへと向かわせる光学系は周知である(例えば、特開昭62-12845号公報:特に第15図、第16図、及び対応する説明箇所に記載されたプリズム25、26を参照のこと、特開昭60-98340号公報:特に、第1図ないし第3図及び対応する説明の箇所に記載された円錐環状プリズム6を参照のこと)から、刊行物1に記載された発明において、円錐状ミラーに代えて周知の円錐形状のプリズムを採用して本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
相違点2について、
刊行物1に記載された発明において、円筒部分の軸方向長さを一定範囲内に制限する技術的理由は特には見あたらない。そして、刊行物1に記載された発明において、検査対象物である金属容器の軸方向長さを短くしてその形状を円筒形状から円環形状に変えても、同様に撮影手段上に検査対象物の像が得られ外観検査を行えることは、その光学系からして当業者が容易に想到し得ることと言え、検査対象物のそのような形状変更を阻害する要因は特には見いだし得ない。
そして、本願補正発明の効果も、刊行物1に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6.むすび
以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、また、そうでないとしても、本件補正は特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【3】本願発明
平成17年5月13日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年8月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 検査対象物の外観を撮像する撮像手段を有し、該撮像手段により得られた撮像信号に基づいて外観検査を行う外観検査装置において、
円状、又は円環状の検査対象物の円環部の全周から出射された光を前記撮像手段の視野内に同時に収束させる光偏向手段を設けたことを特徴とする外観検査装置。」(以下、「本願発明」という。)。
なお、「偏光手段」については、【2】2.で述べたことと同様の理由により、「光偏向手段」の誤記と認めた上で上記のとおり認定することとした。

【4】刊行物2に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-12845号公報(以下、「刊行物2」という。)は、「壜のねじ口部欠陥検査装置」(発明の名称)に関するもので、図面とともに以下の記載がある。
a.「〔発明の目的〕
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、その目的とする処は、壜のねじ口部を同心円状の平面的な光学像として結像させてその映像を処理することにより、壜を一回転させることなく瞬時にねじ口部の全周の欠陥を検査することができるとともにねじ口部に生じた小さな欠陥をも見逃がすことなく検出できる簡易な構造の壜のねじ口部欠陥検出装置を提供することにある。」(2頁右上欄16行?左下欄4行)
b.「次に、第2図を参照して被検査物の円筒部分を同心円状の像に写し出す原理について説明する。
第2図は、壜2の上方に逆截頭円錐状内周面を有した反射鏡5を設置した場合に、壜2の壜口部分が同心円状に写し出されている状態を反射鏡5の断面図とともに示したものである。第2図の断面図において、断面方向の光のみを考えると、壜2の円筒部分外面から出た光?1は斜め上方に進行し、反射鏡5で反射して真上に進行する。壜2の壜口の軸心と反射鏡5の軸心とは一致させてあるので、壜2の円筒部分外面全周から出た光は上記光?1と同様に反射鏡5で反射し真上の方向に進行する。したがって、反射鏡5の上方から観察した像は同心円状の像S1(第2図において、内側の区域)となる。一方、壜2の円筒部分内面から出た光?2も斜め上方に進行し、反射鏡5で反射して真上に進行し、反射鏡5の上方から観察した像は同心円状の像S2(第2図において、外側の区域)となる。このように、反射鏡5の上方から観察した像は、壜の円筒部分の内外面が同心円状に広げられた像となる。しかして、壜の円筒部分の内外周に欠陥dがあれば、欠陥部分の像f1・f2が上方で観察できることになる。なお、第2図において右側ハッチ部分が壜の円筒部分外面から直接出た光による欠陥の像f1であり、左側ハッチ部分が壜の円筒部分のガラスを透過した光による欠陥の像f2である。」(3頁左上欄12行?右上欄下から3行)
c.「そして第5図に示す反射鏡5に写し出されたねじ口部3の同心円状の像と欠陥30の像30aとは、CCDカメラ6によってとらえられ、このCCDカメラ6内に組み込まれたマトリツクス状に配列された光電変換素子によってねじ口部3のそれぞれの明るさに対応する画素信号が得られる。
上記画素信号は、演算処理装置7によって演算処理されて、ねじ口部3の欠陥の有無が判定される。」(3頁右下欄11行?末行)
前記記載c.から、
・壜のねじ口部3の像をとらえるCCDカメラ6を有し、該CCDカメラ6により得られた画素信号に基いてねじ口部3の欠陥の有無を判定する壜のねじ口部欠陥検査装置、が読みとれる。
また、前記記載b.c.から、
・壜2の円筒部分内外面全周から出た光をCCDカメラ6にとらえさせる反射鏡5を設けた壜のねじ口部欠陥検査装置、が読みとれる。
以上の記載事項を勘案すると、刊行物2には、次の発明が記載されているものと認められる。
(刊行物2に記載された発明)
壜のねじ口部3の像をとらえるCCDカメラ6を有し、該CCDカメラ6により得られた画素信号に基いてねじ口部3の欠陥の有無を判定する壜のねじ口部欠陥検査装置において、
壜2の円筒部分内外面全周から出た光をCCDカメラ6にとらえさせる反射鏡5を設けた壜のねじ口部欠陥検査装置(以下、「刊行物2に記載された発明」という。)。

【5】対比
刊行物2に記載された発明の、「壜のねじ口部3」、「像をとらえる」、「CCDカメラ6」、「画素信号」、「ねじ口部3の欠陥の有無を判定する」、「壜のねじ口部欠陥検査装置」、「内外面全周」、「CCDカメラ6にとらえさせる」、「反射鏡5」、は、それぞれ、本願発明における、「検査対象物の外観」、「撮像する」、「撮像手段」、「撮像信号」、「外観検査を行う」、「外観検査装置」、「全周」、「撮像手段の視野内に同時に収束させる」、「光偏向手段」、に相当する。
そして、刊行物2に記載された発明における「壜2の円筒部分内外面全周」も、本願発明における「円状、又は円環状の検査対象物の円環部の全周」も、共に検査対象物の全周である点で共通するから、本願発明と刊行物2に記載された発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
検査対象物の外観を撮像する撮像手段を有し、該撮像手段により得られた撮像信号に基づいて外観検査を行う外観検査装置において、
検査対象物の全周から出射された光を前記撮像手段の視野内に同時に収束させる光偏向手段を設けた外観検査装置。
(相違点)
相違点3:検査対象物の形状について、
本願発明では、検査対象物は「円状、又は円環状」であるのに対し、刊行物2に記載された発明では、検査対象物は「円筒」形状である点。

【6】当審の判断
相違点3.について、
刊行物2に記載された発明において、壜の円筒部分の軸方向長さを一定範囲内に制限する技術的理由は特には見あたらない。そして、刊行物2に記載された発明において、検査対象物である壜の円筒部分の軸方向長さを短くしてその形状を円筒形状から円環形状に変えても、同様に撮影手段上に検査対象物の像が得られ外観検査を行えることは、その光学系からして当業者が容易に想到し得ることと言え、検査対象物のそのような形状変更を阻害する要因は特には見いだし得ない。
そして、本願発明の効果も、刊行物2に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものである。

【7】むすび
してみると、本願の請求項1に係る発明は、刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-09 
結審通知日 2007-08-20 
審決日 2007-08-31 
出願番号 特願平7-195766
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01B)
P 1 8・ 575- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 卓弥谷口 智利  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 居島 一仁
中村 直行
発明の名称 外観検査装置  
代理人 別役 重尚  
代理人 二宮 浩康  
代理人 池田 浩  
代理人 村松 聡  
代理人 後藤 夏紀  

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