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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1166658
審判番号 不服2006-26026  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-16 
確定日 2007-10-22 
事件の表示 特願2000-103474「遊技システム及び情報表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月16日出願公開、特開2001-286609〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年4月5日の出願であって、平成18年7月25日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年8月23日付けで手続補正がなされ、同年11月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年11月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成18年11月16日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年11月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】数字や絵などの図柄が変動する変動表示ゲームを開始し、前記図柄が所定の数だけ揃うことにより大当り状態となる遊技機、及び個々の前記遊技機の管理情報を入手して遊技状態を管理する管理装置からなる遊技システムにおいて、
前記遊技機は、
通信ネットワークを経由してネットワークサーバが配信した、大当りの場合に表示する第1情報又はハズレの場合に表示する第2情報を一旦記憶するRAMと、
表示部に変動表示ゲームや必要な種々の情報を表示するための画像データを記憶すると共に、前記RAMに一旦記憶した第1情報及び第2情報をRAM部に記憶するフレームメモリと、
前記変動表示ゲームにおいて、ハズレ、リーチ又は普通図柄や特別図柄での大当りの発生をコントロールし、リーチの後、大当りの場合には第1情報を、及び、ハズレの場合には第2情報を前記フレームメモリのRAM部から読み出して前記表示部に表示する中央制御部とを具備し、
前記中央制御部は、前記管理装置から前記フレームメモリのRAM部に記憶させた前記第1情報及び前記第2情報を、リーチ状態の後、大当り及びハズレに応じて表示するように指示された場合、前記図柄をリーチ状態の後にハズレ状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記第2情報を前記表示部に表示して、次の変動表示ゲームを開始する一方、前記図柄をリーチ状態の後に大当り状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記第1情報を前記表示部に表示して、大当りゲームを開始すること、
を特徴とする遊技システム。

【請求項2】数字や絵などの図柄が変動する変動表示ゲームを開始し、前記図柄が所定の数だけ揃うことにより大当り状態となる遊技機、及び個々の前記遊技機の管理情報を入手して遊技状態を管理する管理装置からなる遊技システムの情報表示方法において、
前記遊技機は、
通信ネットワークを経由してネットワークサーバが配信した、大当りの場合に表示する第1情報又はハズレの場合に表示する第2情報をRAMに一旦記憶する第1ステップと、
表示部に変動表示ゲームや必要な種々の情報を表示するための画像データを記憶すると共に、前記RAMに一旦記憶した第1情報及び第2情報をフレームメモリのRAM部に記憶する第2ステップと、
前記変動表示ゲームにおいて、ハズレ、リーチ又は普通図柄や特別図柄での大当りの発生をコントロールし、リーチの後、大当りの場合には第1情報を、及び、ハズレの場合には第2情報を前記フレームメモリのRAM部から読み出して前記表示部に表示する第3ステップとを含み、
前記第3ステップは、前記管理装置から前記フレームメモリのRAM部に記憶させた前記第1情報及び前記第2情報を、リーチ状態の後、大当り及びハズレに応じて表示するように指示された場合、前記図柄をリーチ状態の後にハズレ状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記第2情報を前記表示部に表示して、次の変動表示ゲームを開始する一方、前記図柄をリーチ状態の後に大当り状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記第1情報を前記表示部に表示して、大当りゲームを開始すること、
を特徴とする情報表示方法。」
と補正された。

上記補正は、請求項1及び2に記載した発明を特定するために必要な事項である「大当り及びハズレに応じて表示するように指示された場合」について、補正前は「大当り又はハズレ」であったもの「大当り及びハズレ」と限定するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-57144号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、
【0010】広告画像の画像データは、例えばROM等の記憶媒体に格納しておいて、これを逐次読み出して使用してもよいし、例えば遊技店のホールコンピュータから各弾球遊技機に送出したり、遊技店外の設備(ホストやサーバ等)から有線、無線の電話回線等を介してホールコンピュータに送信しこれを各弾球遊技機に供給してもよい。なお、ROM等の記憶媒体を使用する場合には、請求項4記載のようにこれを更新可能にすることにより、例えば新製品の発売に合わせたり、季節や流行に応じた広告画像を表示することができる。記憶媒体としては、この他にCD-ROM、光磁気ディスク(MOディスク)等の一般的な種々なものを利用することが可能である。
【0011】ところで、弾球遊技機には、予め設定されている判定実行条件が成立すると当たり外れを判定する判定手段、この判定を表示する判定表示手段、この判定が当たりであったことに起因して遊技者に有利な特別遊技を実行する特別遊技実行手段を備えるものがある。判定表示手段としては、液晶表示盤、CRT、ドットマトリクス等を有する表示装置が使用されることが多く、前述のように、これらは広告画像表示手段としても使用できる。
【0028】図6に示すように、判定処理においては、主制御装置100は、始動入賞装置16からの始動信号の有無を判定し(ステップ201、以下ステップをSと略記する)、始動信号があれば(S201:YES)例えば乱数カウンタのカウント値が当たり値と一致するか否かによって当たり外れを判定する(S202)。続くS203では、主制御装置100は、S202における判定結果に応じて3桁の数字を決めて、これを表示制御回路114に指示する。具体的には、判定が当たりなら当たりを表示するための3桁の数字(例えば777のように3桁が揃う数字)を決めてこれを表示制御回路114に指示し、外れなら外れを表示するための3桁の数字(例えば259のように3桁が揃わない数字)を決めてこれを指示するのである。
【0029】表示制御回路114は、主制御装置100から上述のような数字を指示されると、液晶表示盤42に3桁の数字を変動表示させてから、主制御装置100から指示された数字を1桁ずつ順に静止表示して、当たりまたは外れを表示する。・・・
【0030】主制御装置100は、当たりの表示を指示した場合には(S204:YES)、液晶表示盤42の表示完了(3桁の静止表示の完了)を待って、特別遊技を実行してから(S205)、この処理を終了する。・・・
【0031】また、始動入賞装置16からの始動信号が無かったとき(S201:NO)あるいは外れの表示を指示した場合には(S204:NO)、そのまま判定処理を終了する。・・・
【0032】ヒット信号がなかったとき(S301:NO)またはS302の処理に続いて、主制御装置100は、RAM106にヒットセンサ78の位置が記憶されているか否かを判断し(S303)、もしこの記憶があれば(S303:YES)、その記憶のうちで最も古いものを読み出し、そのヒットセンサ78の位置に対応付けられている広告画像データを広告ROM108から読み出して、表示制御回路114に転送し、表示を指示する(S304)。・・・
【0034】広告画像データを受け取った表示制御回路114は、次のようにして液晶表示盤42に広告画像を表示させる。なお、1件の広告は約10秒で終了するように設定されており、1件の広告画像の表示はその設定時間を経過すれば終了とされる。
【0035】・・・もし特別遊技中なら(S402:YES)、表示制御回路114は、図12に示されるように広告画像を液晶表示盤42の画面全体に表示し、その右上隅にラウンド数(図では16Rと表示されている)を表示する第4態様で、液晶表示盤42に広告画像を表示させる(S404)。
【0037】一方、リーチであれば(S405:YES)、表示制御回路114は、図11に示されるように液晶表示盤42の右上隅に広告画像を表示し、液晶表示盤42の中央部に当否表示用の図柄(図では左および右図柄の7が静止して、中図柄は変動中のリーチ状態)を表示する第3態様で、液晶表示盤42に広告画像を表示させる(S407)。続いて、表示制御回路114は、図柄表示が確定するまでは(S408:NO)第3態様を継続させ(S407)、図柄表示が確定したなら(S408:YES)、当否結果を判定する(S409)。
【0038】ここで当たりであれば(S409:YES)、第4態様で、液晶表示盤42に広告画像を表示させ(S404)、外れなら(S409:NO)、第2態様で、液晶表示盤42に広告画像を表示させる(S410)。これらS403、S404、S406またはS410の処理の後、表示制御回路114は、前述の設定時間の経過を待って広告画像の表示を終了させて、本処理を終了する。
【0048】図18に示す例は、電話回線などの公共通信回線に接続された広告管理装置を遊技場に設置し、この広告管理装置が広告データを例えば定期的に受信して遊技上内の各弾球遊技機に配信する構成である。この例では、広告管理装置は、受信した広告データを一旦記憶し、回線接続を終了してから各弾球遊技機に広告データを配信して記憶させる。各弾球遊技機は、その広告データを使用して広告画像を表示する。このような広告管理装置は、例えばパーソナルコンピュータを利用して実現できるし、ホールコンピュータを兼用してもよい。また、広告データの受信には、インターネットを利用することもできる。この広告データの配信は、広告主が直接行ってもよいし、例えば遊技機製造業者などを介して行ってもよい。
【0050】また、広告表示をするかしないかの決定を大当たりの発生に基づいて行ってもよい。この場合、広告表示の有無を大当たり図柄に関連させることが考えられる。具体的には、確率変動図柄やラッキーナンバー図柄などの特別図柄で大当たりが発生したときに限って広告表示を行ったり、あるいはこれらを除く普通図柄で大当たりが発生したときに限って広告表示を行ったりすることが考えられる。
【図面の簡単な説明】【図18】 広告内容の更新システムの説明図である。
との記載が認められる。

また、摘記した上記の記載や図面から見て、以下のことが認定できる。
a.「広告画像の画像データ」、「広告画像データ」及び「広告データ」は、同義であると認められる。

b.摘記した段落0028、0037、0038及び図8からみて、3桁の数字をリーチ状態の後に3桁が揃わない数字又は3桁が揃う数字で静止表示し、その後に、当たりであれば第4態様で、外れなら第2態様で、液晶表示盤42に広告画像を表示するものと認められる。

c.図18の記載から、弾球遊技機及び広告管理装置からなる広告内容の更新システムが記載されていると認められる。

摘記した上記の記載及び図面によれば、引用文献1には、
「3桁の数字を変動表示させ、3桁が揃う数字を静止表示して当たりであったことに起因して、遊技者に有利な特別遊技を実行する弾球遊技機、及び各弾球遊技機に広告画像データを配信する広告管理装置からなる広告内容の更新システムにおいて、
前記弾球遊技機は、
インターネットを利用してサーバから送信された広告画像データを記憶する記憶媒体と、
液晶表示盤42に前記3桁の数字を変動表示させ数字を1桁ずつ順に静止表示して当たりまたは外れを表示すると共に、前記記憶媒体に格納した前記広告画像データを受け取って広告画像を表示する表示制御回路114と、
前記3桁の数字を変動表示させ数字を1桁ずつ順に静止表示して当たりまたは外れを表示するに際して、乱数カウンタのカウント値が当たり値と一致するか否かによって当たり外れを判定して3桁の数字を決め、リーチ状態の後に、当たりであれば第4態様で、外れなら第2態様で、前記液晶表示盤42に前記広告画像を表示する主制御装置100及び表示制御回路114とを具備し、
前記主制御装置100及び表示制御回路114は、前記広告管理装置から前記広告画像データの配信を受け、前記3桁の数字をリーチ状態の後に3桁が揃わない数字で静止表示し、前記第2態様で前記液晶表示盤42に前記広告画像を表示する一方、前記3桁の数字をリーチ状態の後に3桁が揃う数字で静止表示し、その後に、前記第4態様で前記液晶表示盤42に広告画像を表示して、特別遊技を実行する
広告内容の更新システム。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-299593号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、
【請求項1】 遊技の進行に応じて表示手段に遊技画像が表示される遊技機において、
遊技が行われているか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により遊技が行われていないと判断された場合には前記表示手段に前記遊技進行に関与しない外部画像を供給し、遊技が行われていると判断された場合には前記表示手段に前記遊技進行に関与する遊技画像を供給して、前記表示手段の表示画像の切り換えを行う表示切換手段と、
を有することを特徴とする遊技機。
【0021】・・・尚、本発明において、「外部画像」とは、パチンコ遊技やゲーム遊技等の遊技進行に関与しない画像を総称する概念として用いるものである。
【0049】また、以上で用いられる外部画像の供給元は、例えば遊技場内に設置されたホストコンピュータからの通信によるものでも、外部画像の供給を行う専用の装置を別途設けてもよい。また、この外部画像はTV画像に限らずあらかじめビデオ等に録画されたビデオ画像であってもよい。さらに、この外部画像は、例えばパチンコ機1の使用方法の説明や営業に関する情報であってもよい。ここで、営業に関する情報とは、例えばパチンコ機1が設置される遊技場独自の営業情報であり、各パチンコ台の出玉情報や新台の入れ替え情報等である。また、ここでいう営業に関する情報とは、遊技場と提携した広告主が提供する広告情報の意味をも含むものである。
【0058】尚、上記では画像選択スイッチ5をパチンコ機1側に設け、遊技者が外部画像を表示するか否かを選択できるようにしたが、例えばこの選択手段をパチンコ機1を統括管理するホストコンピュータ側に設けてもよい。これにより、遊技場の経営者が外部画像を表示させるか否かを統括管理することもできる。
との記載が認められる。

摘記した上記の記載及び図面によれば、引用文献2には、遊技機において、遊技進行に関与する遊技画像を表示するとともに、遊技進行に関与しない様々な情報を含み得る「外部画像」を表示する技術及び「外部画像」を表示するか否かを選択する手段を、パチンコ機を統括管理するホストコンピュータ側に設ける技術が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「3桁の数字を変動表示させ」は、本願補正発明の「数字や絵などの図柄が変動する変動表示ゲームを開始し」に相当し、以下同様に、
「3桁が揃う数字を静止表示して当たりであったことに起因して」は「図柄が所定の数だけ揃うことにより」に、
「遊技者に有利な特別遊技を実行する」は「大当り状態となる」に、
「弾球遊技機」は「遊技機」に、
「各弾球遊技機」は「個々の前記遊技機」に、
「広告管理装置」は「管理装置」に、
「インターネットを利用して」は「通信ネットワークを経由して」に、
「サーバから送信された」は「ネットワークサーバが配信した」に、
「記憶する」は「一旦記憶する」に、
「記憶媒体」は「RAM」に、
「液晶表示盤42」は「表示部」に、
「3桁の数字を変動表示させ数字を1桁ずつ順に静止表示して当たりまたは外れを表示する」は「変動表示ゲームを表示する」に、
「記憶媒体に格納した」は「RAMに一旦記憶した」に、
「3桁の数字を変動表示させ数字を1桁ずつ順に静止表示して当たりまたは外れを表示するに際して」は「変動表示ゲームにおいて」に、
「リーチ状態の後に」は「リーチの後」に、
「当たりであれば」は「大当りの場合には」に、
「外れなら」は「ハズレの場合には」に、
「主制御装置100及び表示制御回路114」は「中央制御部」に、
「3桁の数字」は「図柄」に、
「3桁が揃わない数字で静止表示し」は「ハズレ状態で停止させ」に、
「3桁が揃う数字で静止表示し」は「大当り状態で停止させ」に、
「特別遊技を実行する」は「大当りゲームを開始する」に、それぞれ相当する。

また、引用文献1全体の記載等からみて、以下のことが言える。
a.広告管理装置は、「ホールコンピュータを兼用してもよい」と摘記した段落0048に記載されており、弾球遊技機の分野における技術常識に照らして「ホールコンピュータ」を兼用した広告管理装置が、個々の弾球遊技機の管理情報を入手して遊技状態を管理する機能を有していることは明らかである。

b.引用発明の「広告内容の更新システム」は、弾球遊技機及び広告管理装置からなり、該広告管理装置は、サーバから送信された広告画像データを記憶し各弾球遊技機に配信するだけでなく、「ホールコンピュータ」を兼用し、各弾球遊技機においては、特別遊技を実行するか否かを決定する、3桁の数字の変動表示も行われているので、実質的に本願補正発明の「遊技システム」に相当している。

c.引用発明の「広告画像データ」と本願補正発明の「大当りの場合に表示する第1情報」及び「ハズレの場合に表示する第2情報」は、いずれも「表示情報」である点で共通している。

d.引用文献1には、「画像データを記憶するフレームメモリ」は記載されていないが、引用発明の表示制御回路114は、液晶表示盤42に3桁の数字を変動表示させ、広告画像を表示するものであるから、引用発明の表示制御回路114が、「画像データをRAM部に記憶するフレームメモリ」を備えていることは明らかである。

e.引用発明の「乱数カウンタのカウント値が当たり値と一致するか否かによって当たり外れを判定し、3桁の数字を決めて指示」する構成と、本願補正発明の「ハズレ、リーチ又は普通図柄や特別図柄での大当りの発生をコントロール」する構成は、「ハズレ、リーチ又は特別図柄での大当りの発生をコントロール」する点で共通している。

f.引用発明においては、3桁が揃わない数字で静止表示した後、始動信号があれば、次の3桁の数字の変動表示が開始されることは明らかであり、本願補正発明も、発明の詳細な説明の記載から見て、変動表示ゲームがハズレだった場合に必ず次の変動表示ゲームを開始するものではないから、「次の変動表示ゲームを開始する」点について、引用発明と本願補正発明で実質的な相違はない。

以上を総合すると、両者は、
「数字や絵などの図柄が変動する変動表示ゲームを開始し、前記図柄が所定の数だけ揃うことにより大当り状態となる遊技機、及び個々の前記遊技機の管理情報を入手して遊技状態を管理する管理装置からなる遊技システムにおいて、
前記遊技機は、
通信ネットワークを経由してネットワークサーバが配信した、表示情報を一旦記憶するRAMと、
表示部に変動表示ゲームを表示するための画像データを記憶すると共に、前記RAMに一旦記憶した前記表示情報をRAM部に記憶するフレームメモリと、
前記変動表示ゲームにおいて、ハズレ、リーチ又は特別図柄での大当りの発生をコントロールし、リーチの後、前記表示情報を前記フレームメモリのRAM部から読み出して前記表示部に表示する中央制御部とを具備し、
前記中央制御部は、前記図柄をリーチ状態の後にハズレ状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記表示情報を前記表示部に表示して、次の変動表示ゲームを開始する一方、前記図柄をリーチ状態の後に大当り状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記表示情報を前記表示部に表示して、大当りゲームを開始すること、
を特徴とする遊技システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明においては、「大当りの場合に表示する第1情報又はハズレの場合に表示する第2情報」が配信されるのに対し、引用発明では、「広告画像データ」が送信される点。

[相違点2]
本願補正発明においては、「必要な種々の情報」も表示するのに対し、引用発明では、「必要な種々の情報」の表示を行っていない点。

[相違点3]
本願補正発明においては、「第1情報及び第2情報」を記憶するのに対し、引用発明では、「広告画像データ」を記憶する点。

[相違点4]
本願補正発明においては、中央制御部が、変動表示ゲームの「ハズレ、リーチ又は普通図柄や特別図柄での大当りの発生をコントロール」しているのに対し、引用発明では、主制御装置100が普通図柄での大当りの発生をどのようにコントロールしているのか不明である点。

[相違点5]
本願補正発明においては、「リーチの後、大当りの場合には第1情報を、及び、ハズレの場合には第2情報を」表示するのに対し、引用発明では、「リーチの後、当たりであれば第4態様で、外れなら第2態様で、広告画像を」表示しており、表示態様は異なるものの、表示している広告画像の内容は同じである点。

[相違点6]
本願補正発明においては、「中央制御部」が「管理装置から」「第1情報及び第2情報を、リーチ状態の後、大当り及びハズレに応じて表示するように指示」されているのに対し、引用発明では、「主制御装置100及び表示制御回路114」が「広告管理装置」から、広告表示についての指示を受けていない点。

(4)判断
[相違点1、3、5について]
引用発明においては、サーバから「広告画像データ」が送信され、表示制御回路114が「広告画像データ」を記憶して「リーチの後、当たりであれば第4態様で、外れなら第2態様で、広告画像を」表示しており、本願補正発明のように、「リーチの後、大当りの場合には第1情報を、及び、ハズレの場合には第2情報を」表示するための構成を備えていない。
しかし、リーチの後、大当りの場合には大当たり用のメッセージや画像を表示し、ハズレの場合には外れ用のメッセージや画像を表示することは、例えば、特開平8-71225号公報(特に、図6及び段落0062?0065)、特開平7-194794号公報(特に、図14?17及び段落0130?0135)及び特開平8-336643号公報(特に、図7、8及び段落0042、0043)に記載されるように、弾球遊技機において、従来周知の技術であるから、引用発明に該従来周知の技術を適用し、予め当たり用及びリーチ外れ用の画像データを配信、記憶しておいて、リーチの後、当たりであれば第4態様の広告画像として当たり用の画像データを、外れなら第2態様の広告画像としてリーチ外れ用の画像データを表示するようにすることは、当業者が容易に想到し得る。

[相違点2について]
引用発明においては、「必要な種々の情報」の表示は行っていないが、摘記した段落0035の記載によれば、特別遊技中に表示される第4態様では画面右上隅にラウンド数を表示しており、1種類の必要な情報は表示している。
また、引用文献2には、遊技機において、遊技進行に関与する遊技画像を表示するとともに、遊技進行に関与しない様々な情報を含み得る「外部画像」を表示する技術が記載されているので(特に、請求項1、段落0021及び0049を参照)、引用発明に引用文献2記載の技術を適用して、「必要な種々の情報」の表示も行うようにすることは、当業者が容易に想到し得る。

[相違点4について]
引用発明においては、主制御装置100(中央制御部)が普通図柄での大当りの発生をどのようにコントロールしているのか不明であるが、中央制御部が乱数カウンタのカウント値に応じて、ハズレ、リーチ又は特別図柄での大当りの発生のみならず、普通図柄の当否をコントロールする点も、例えば、特開平11-319238号公報(特に、段落0024?0027)、特開平8-173607号公報(特に、段落0094、0116?0124)に記載されるように、弾球遊技機において従来周知の技術であるから、引用発明に該従来周知の技術を適用して、主制御装置100が、ハズレ、リーチ又は普通図柄や特別図柄での大当りの発生をコントロールするように構成することは、当業者が容易に想到し得る。

[相違点6について]
引用発明においては、「主制御装置100及び表示制御回路114」が「広告管理装置」から、広告表示についての指示を受けていないが、引用文献2には、外部画像を表示するか否かを選択する手段を、パチンコ機を統括管理するホストコンピュータ側に設ける技術が記載されているので(特に、段落0058を参照)、引用発明に引用文献2記載の技術を適用して、「主制御装置100及び表示制御回路114」が「広告管理装置」から、広告表示についての指示を受けるようにすることは、当業者が容易に想到し得る。

よって、上記相違点に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものというべきである。
さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術及び従来周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成18年11月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成18年8月23日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「数字や絵などの図柄が変動する変動表示ゲームを開始し、前記図柄が所定の数だけ揃うことにより大当り状態となる遊技機、及び個々の前記遊技機の管理情報を入手して遊技状態を管理する管理装置からなる遊技システムにおいて、
前記遊技機は、
通信ネットワークを経由してネットワークサーバが配信した、大当りの場合に表示する第1情報又はハズレの場合に表示する第2情報を一旦記憶するRAMと、
表示部に変動表示ゲームや必要な種々の情報を表示するための画像データを記憶すると共に、前記RAMに一旦記憶した第1情報及び第2情報をRAM部に記憶するフレームメモリと、
前記変動表示ゲームにおいて、ハズレ、リーチ又は普通図柄や特別図柄での大当りの発生をコントロールし、リーチの後、大当りの場合には第1情報を、及び、ハズレの場合には第2情報を前記フレームメモリのRAM部から読み出して前記表示部に表示する中央制御部とを具備し、
前記中央制御部は、前記管理装置から前記フレームメモリのRAM部に記憶させた前記第1情報及び前記第2情報を、リーチ状態の後、大当り又はハズレに応じて表示するように指示された場合、前記図柄をリーチ状態の後にハズレ状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記第2情報を前記表示部に表示して、次の変動表示ゲームを開始する一方、前記図柄をリーチ状態の後に大当り状態で停止させ、その後に、前記RAMが記憶する前記第1情報を前記表示部に表示して、大当りゲームを開始すること、
を特徴とする遊技システム。」

(1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、2及びそれらの記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。
なお、原査定の拒絶の理由においては、特開平9-299593号公報を引用文献1、特開平11-57144号公報を引用文献2としているが、上記2.の補正却下の決定においては、対比及び判断の便宜上、特開平11-57144号公報を引用文献1、特開平9-299593号公報を引用文献2とした。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2.(1)」で検討した本願補正発明の「大当り及びハズレに応じて表示するように指示された場合」について、「大当り及びハズレ」を「大当り又はハズレ」として、その範囲を拡張した構成としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定した構成としたものに相当する本願補正発明が、上記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載の技術及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献2記載の技術及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、請求項2に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-13 
結審通知日 2007-08-14 
審決日 2007-09-11 
出願番号 特願2000-103474(P2000-103474)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 林 晴男
太田 恒明
発明の名称 遊技システム及び情報表示方法  
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