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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1166684
審判番号 不服2003-13696  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-17 
確定日 2007-10-25 
事件の表示 平成10年特許願第196037号「電子部品の吸着部位教示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年1月28日出願公開、特開2000-31693号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年7月10日の出願であって、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成15年1月30日付け及び平成19年7月17日付けの各手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項によって特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 電子部品を吸着する吸着ノズルをX軸方向およびY軸方向に移動させるノズル移動手段と、
吸着位置にセットされた電子部品を撮像する撮像手段と、
前記電子部品の形状に基づいて作成した前記吸着ノズルの先端の外形寸法並び前記吸着ノズルの孔の位置、寸法及び個数等の前記吸着ノズルの形状データに基づいて、吸着ノズル先端の輪郭線およびノズル孔の輪郭線を有したグラフィック画像を作成する画像作成手段と、
撮像した前記電子部品の部品画像と作成した前記吸着ノズルの先端のグラフィック画像とを、重ねて画面表示する画面表示手段と、
前記画面表示手段の画面上で、前記部品画像および前記グラフィック画像を相対的に移動させて相互に位置合わせ操作可能に構成された画像制御手段と、
前記画像制御手段で位置合わせした位置を、前記吸着ノズルによる前記電子部品の吸着部位として前記ノズル移動手段に教示する吸着部位教示手段とを備えたことを特徴とする電子部品の吸着部位教示装置。」(以下「本願発明」という。)

2.引用例とその記載事項
これに対して、当審が平成19年5月11日付けの拒絶理由通知で引用した特開平9-181487号公報(以下「第1引用例」という。)及び特開平10-27998号公報(以下「第2引用例」という。)には、それぞれ、次の事項が記載されている。

(1)第1引用例(特開平9-181487号公報)の記載事項
第1引用例には、「電子部品搭載装置および方法」に関して、図1?11とともに次のa?dの事項が記載されている。
a 「【従来の技術】従来より、このような電子部品搭載装置では、電子部品供給装置(以下フィーダーという)から供給される電子部品が吸着ノズルにより吸着され、・・・その後必要に応じて吸着ノズルによる部品の姿勢を補正することにより部品の位置決めを行なった後、XYロボットを介して所定の回路基板上に部品の搭載が行なわれている。
【0003】供給される電子部品は、通常リール状に巻かれた紙もしくはプラスチックテープの穴に個々に収納され、リールがフィーダーに取り付けられる。電子部品の種類および大きさは様々であり、・・・電子部品搭載装置には、これらの種類の電子部品に対応する個数のフィーダーが取り付けられている。」(第2頁第2欄第16?34行)
b 「【発明が解決しようとする課題】・・・
【0005】さらに、このリール及びフィーダーには、その部品供給位置に個々のバラツキがあり、電子部品搭載装置の吸着ノズルが正しく電子部品の中心位置を吸着するようその中心座標を補正しなければならない。・・・従って、電子部品の吸着位置は、その電子部品が取り付けられているフィーダー毎に修正を行なう必要が生じ、多くの調整時間が必要になって搭載効率が悪くなる、という問題があった。」(第2頁第2欄第36行?第3頁第3欄第24行)
c 「【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施形態に従って本発明を詳細に説明する。
【0012】図1は電子部品搭載装置全体の斜視図を示したものである。図1において、10は、電子部品を収納したリールで・・・電子部品を一定間隔で収納しテープがリール状に巻かれている。11は1のリールより、一つずつ電子部品を供給していくフィーダーである。12は電子部品が搭載される回路基板、13はフィーダー11より電子部品を吸引し、回路基板12へ部品を搭載する吸着ヘッド部、14は吸着ヘッド部13をXY方向に移動するXYロボット、15は吸着ヘッド部13により吸着された電子部品の画像を撮影し、電子部品の吸着状態を認識するCCDカメラである。
【0013】図2に吸着ヘッド部13の詳細図を示す。図2において、保持部材20にはブラケット21が取り付けられ、このブラケット21には、フィーダーより供給される電子部品22を真空吸引する吸着ノズル23が固定される。また、このブラッケト21には、吸着ノズル23および吸着された電子部品22を回転させるためのモーター24が取り付けられる。このブラケット21は、モーター25によりボールネジ26とナット27の噛み合いを介してガイド28に沿って上下動させるように構成されている。
【0014】・・・また、吸着ヘッド部13には、電子部品22を吸着する際の位置や、回路基板12上に搭載した電子部品22の位置を確認するための撮像カメラ32が固定されている。」(第3頁第4欄第14?43行)
d 「【0023】・・・正しいフィーダーの装着が識別された後、電子部品搭載装置は吸着ヘッド部を移動することにより撮像カメラ32を介してフィーダーの部品供給位置上部へ順次撮像していく(ステップS6)。このカメラ32による撮像状態が図7に図示されており、モニター60にテープ35並びに電子部品22が表示されている。このモニター60には、テープ幅に適した、矩形のカーソル線61からなる視標が同時に表示され、このカーソル枠の視標と部品位置が一致していない場合には、操作者の操作により吸着ヘッド部を微少移動する、もしくはカーソル枠の表示位置を移動させることによって、本来あるべき電子部品22の吸着位置からのズレ量、つまり補正量を取り込む(ステップS7)。
【0024】この作業を、全フィーダーについて実施した後、電子部品搭載装置は再度吸着ヘッド部を移動することにより・・・フィーダー部品供給位置上部へ順次移動していく。・・・(ステップS9)。
【0025】この過程によりフィーダーから供給される各電子部品は・・・正しい位置で正しく吸着できるようになる。そのあと、吸着された電子部品・・・の位置が検出され、その後必要に応じて吸着ノズルによる部品の姿勢を補正することにより部品の位置決めを行なった後、XYロボット14を介して所定の回路基板12上に部品が順次搭載される(ステップS10)。」(第4頁第6欄第20行?第5頁第7欄第3行)

(2)第2引用例(特開平10-27998号公報)の記載事項
第2引用例には、「部品装着装置及び間欠駆動装置」に関して、図1?7とともに次のe?iの事項が記載されている。
e 「【従来の技術】プリント基板上に多種多数の電子部品を連続的かつ自動的に装着する電子部品装着装置・・・は、一般に、電子部品を所定の電子部品供給位置に供給する電子部品供給部と、この電子部品が装着されるプリント基板を所定のプリント基板供給位置に供給する搬送し位置決めするプリント基板搬送部と、上記電子部品供給位置に供給された電子部品を吸着保持し、上記プリント基板供給位置に供給されたプリント基板上に装着する装着機構部とからなる。
【0003】上記電子部品供給部は、例えば、複数個の電子部品を長手方向に沿って所定間隔で収納するテ-プを保持し、このテ-プを所定ピッチで間欠送り駆動することで、上記電子部品を所定の電子部品供給位置に順次供給する。
【0004】・・・一方、上記プリント基板搬送部は、プリント基板を搬送する搬送機構と、この搬送機構から上記プリント基板を受取り、そのプリント基板をXY方向に位置決めする・・・XYテ-ブルは、受け取ったプリント基板を所定のプリント基板供給位置に供給するようになっている。
【0005】次に、上記装着機構部は、例えば、ロ-タリインデックステ-ブルと、このロ-タリインデックステ-ブルに周方向所定間隔で取着され、・・・上記所定の電子部品供給位置とプリント基板供給位置との間を移動する部品装着ヘッドとを具備する。
【0006】そして、この装着機構は、上記装着ヘッドで上記電子部品供給位置に供給された電子部品を吸着保持し、・・・この電子部品を上記プリント基板の所定の位置に装着するようになっている。」(第2頁第2欄第14?47行)
f 「【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の電子部品装着装置には、以下に説明する解決すべき課題がある。・・・
・・・
【0013】・・・間欠駆動機構は、機械的に一定のピッチで上記テ-プの送り駆動を行うものであるため、上記電子部品は常にこの部品供給部の一定の位置に停止(供給)される。
【0014】このため、使用を開始する際には、段取りとして、テ-プに収納された部品が正確な位置に停止するように、この部品供給部自体の位置を調整しなければならない。
・・・
【0017】また、テ-プの幅が異なったりテ-プ内で部品のずれが生じている場合があるが、上記テ-プは機械的に一定の位置を走行するものであるために、部品が所定の位置からずれた状態で供給されることとなる。この場合、電子部品の吸着ずれや吸着ミスが発生していた。
【0018】また、電子部品の吸着ずれを補正するためには、上記撮像部により上記電子部品のずれを撮像認識したあと、この撮像信号に基づいて上記電子部品を回転させそのずれ量を補正する必要性があった。
・・・
【0020】この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、より高精度かつ高密度に電子部品の装着を行える装置を提供することを目的とするものである。」(第3頁第3欄第4行?第3頁第4欄第29行)
g 「【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施の形態を示す電子部品装着装置の概略構成図である。この電子部品装着装置は、図にAで示す電子部品供給位置に任意の種類の電子部品を供給する電子部品供給部1と、図にBで示す電子部品装着位置(プリント基板供給位置)にプリント基板2を供給するプリント基板供給部3と、上記電子部品供給位置Aに供給された電子部品を上記電子部品装着位置Bに移送し上記プリント基板2に装着する電子部品装着機構部4とからなる。
【0030】上記電子部品供給部1は、フィ-ダステ-ジ6(請求項2の位置決め装置)を具備する。このフィ-ダステ-ジ6は、ガイドレ-ル6a上に複数個のテ-プフィ-ダ装置5(テ-プフィ-ダ機構)をY方向スライド自在に保持し、かつボ-ルねじ機構6bによって任意のテ-プフィ-ダ装置5を上記電子部品供給位置Aに選択的に停止させるようになっている。
【0031】一つ一つのテ-プフィ-ダ装置5は、複数個の電子部品を保持するテ-プを巻回収納し、このテ-プを繰り出すことで上記電子部品を順次供給するもので、具体的には図2に示すような構成を有する。
【0032】図2中8は、X方向に長尺なるベ-ス(基体)である。このベ-ス8の上面は部品を収容するテ-プ9の走行面となっている。また、このベ-ス8の先端部は、このテ-プフィ-ダ装置5が上記フィ-ダテ-ブル6によって位置決めされた場合に、電子部品供給位置Aに対応するようになっている。
・・・
【0046】したがって、この電子部品供給部1は、上記フィ-ダテ-ブル6をY方向に移動させると共に、このフィ-ダ装置5のステッピングモ-タ26を作動させ上記テ-プ9をX方向に送り駆動することで、上記電子部品をXY方向に駆動し上記電子部品供給位置Aに供給するようになっている。」(第4頁第6欄第10行?第5頁第8欄第24行)
h 「【0047】次に、上記電子部品装着機構部4について説明する。この電子部品装着機構部4は、図1に示すように、ロ-タリインデックステ-ブル30・・・は、・・・インデックスシャフト31と、このインデックスシャフト31に固定されたテ-ブル本体32とからなる。
【0048】上記テ-ブル本体32には、周方向に例えば45度間隔で8個の電子部品吸着ヘッド33が取着されている。・・・
【0049】上記電子部品装着ヘッド33は、図3に示すように、ヘッド本体34と、このヘッド本体34に上下スライド自在かつ垂直軸線まわりに回転自在に保持された吸着ノズル35とを有する。
【0050】この吸着ノズル35は、筒体36と、透明部材で成形されこの筒体36の上端開口を気密に閉塞する上端閉塞体37と、同じく透明部材で成形され上記筒体36の・・・下面側にノズル部38が一体的に形成されてなる下端閉塞体39とからなる。したがって、この吸着ノズル38は、上下方向に透光自在に構成されている。」(第5頁第8欄第25?48行)
i 「【0053】一方、この電子部品供給位置Aの上方には、第1の撮像カメラ41(第1の撮像手段)が設けられている。上記撮像カメラ41は、上記吸着ノズル35の上端閉塞体37および下端閉塞体39を通して上記電子部品供給位置Aに供給された電子部品40(部品)を撮像することができるようになっていて、その撮像画像は、図に42で示すモニタ-に写し出されるようになっている。
【0054】また、このモニタ-42には、図に43で示す第1の制御部が接続されている。この第1の制御部43は、上記電子部品供給位置Aに供給された電子部品40と上記ノズル部38とのずれ(x1 、y1 )を算出する。
【0055】そして、この第1の制御部43は、このずれ量に基づいて上記フィ-ダテ-ブルをY方向にy1 移動させ、上記フィ-ダ装置にテ-プをX方向にx1 送り駆動させることで、上記電子部品40の中心を上記吸着ノズル35のノズル部38に一致させるようになっている。」(第6頁第9欄第12?30行)

3.発明の対比
(1)第1引用例の記載事項(上記a?d)と本願発明の発明特定事項とを対比すると、それぞれの事項の対応関係は次のようになる。
第1引用例(記載事項a、c、d)でいう、「吸着ノズル23」を備えた吸着ヘッド部13を「XY方向に移動するXYロボット14」は、本願発明の「電子部品を吸着する吸着ノズルをX軸方向およびY軸方向に移動させるノズル移動手段」に相当し、同様に、「電子部品22を吸着する際の位置や、回路基板12上に搭載した電子部品22の位置を確認するための撮像カメラ32」(記載事項c)は「吸着位置にセットされた電子部品を撮像する撮像手段」に相当する。
そして、第1引用例(記載事項d)において、「テープ幅に適した、矩形のカーソル線61からなる・・・カーソル枠」は、直接的には「本来あるべき電子部品22の吸着位置」を示すものとして説明されているが、電子部品22の吸着のために、当該「吸着位置」に吸着ノズル23が位置することを考慮すれば、上記の「カーソル枠」は、吸着ノズル23の位置を概括的に示す、吸着ノズル23の位置情報に係るグラフィック画像であるとも解することができ、この点において、本願発明の「グラフィック画像」と共通する。
また、同じく記載事項dの「部品供給位置上部」で撮像された「電子部品22の画像」を、上記の「カーソル枠」と共に表示する「モニター60」は、本願発明の「撮像した電子部品の部品画像」と「作成したグラフィック画像」とを、「重ねて画面表示する画面表示手段」に相当するものといえる。
更に、同記載事項dの「カーソル枠の表示位置を移動させることによって、本来あるべき電子部品22の吸着位置からのズレ量、つまり補正量を取り込む・・・この過程によりフィーダーから供給される各電子部品は・・・正しい位置で正しく吸着できるようになる。」という記載は、本願発明の「画面表示手段の画面上で、部品画像およびグラフィック画像を相対的に移動させて相互に位置合わせ操作可能に構成された画像制御手段」、及び、「画像制御手段で位置合わせした位置を、吸着ノズルによる電子部品の吸着部位としてノズル移動手段に教示する吸着部位教示手段」に相当するものを、実質上、開示しているといえる。

(2)以上の対比から、本願発明と第1引用例記載の発明との一致点及び相違点を次のとおりに認定できる。
【一致点】「電子部品を吸着する吸着ノズルをX軸方向およびY軸方向に移動させるノズル移動手段と、
吸着位置にセットされた電子部品を撮像する撮像手段と、
前記吸着ノズルの位置情報に係るグラフィック画像を作成する画像作成手段と、
撮像した前記電子部品の部品画像と作成した前記吸着ノズルに係るグラフィック画像とを、重ねて画面表示する画面表示手段と、
前記画面表示手段の画面上で、前記部品画像および前記グラフィック画像を相対的に移動させて相互に位置合わせ操作可能に構成された画像制御手段と、
前記画像制御手段で位置合わせした位置を、前記吸着ノズルによる前記電子部品の吸着部位として前記ノズル移動手段に教示する吸着部位教示手段とを備えた電子部品の吸着部位教示装置。」である点。
【相違点】 吸着ノズルの位置情報に係るグラフィック画像が、本願発明では、「電子部品の形状に基づいて作成した吸着ノズルの先端の外形寸法並び吸着ノズルの孔の位置、寸法及び個数等の吸着ノズルの形状データに基づいて」作成された「吸着ノズル先端の輪郭線およびノズル孔の輪郭線を有した」ものであるのに対し、第1引用例記載の発明では、吸着ノズルの位置情報を概括的に示す「カーソル枠」である点。

4.当審の判断
上記相違点について検討すると、上記第2引用例には、電子部品装着装置の使用開始の際の「部品供給部自体の位置を調整」するのを容易にし、「電子部品の吸着ずれや吸着ミス」の発生を防止するために、モニター42に「電子部品供給位置Aに供給された電子部品40」の撮像画像と共に、吸着ノズル35の「ノズル部38」を写し出させて、制御部43により「供給された電子部品40と上記ノズル部38とのずれ(x1 、y1 )を算出」し、「上記電子部品40の中心を上記吸着ノズル35のノズル部38に一致させる」旨が記載されている(記載事項f、i及び図3参照)。
もっとも、上記記載の「電子部品装着装置」は、装着機構部(吸着ノズル)を「ロータリインデックステーブルに周方向所定間隔で取着する」形式のものであって、本願発明あるいは第1引用例記載の発明のように「吸着ノズルをX軸方向およびY軸方向に移動させるノズル移動手段」を備えるというものではないけれども、電子部品を装着するための基本的な構成や、「部品供給部自体の位置を調整」するのを容易にし、「電子部品の吸着ずれや吸着ミス」の発生を防止するという課題には、第1引用例記載の発明との間に共通性が認められる。
そうすると、上記第2引用例の、モニター42に吸着ノズル35の「ノズル部38」を写し出させる旨の記載は、上記相違点に係る「ノズル孔の輪郭線」を表示することを示唆したものと解しうる。
しかも、上記当審の拒絶理由通知で例示した周知例1(特開平5-145287号公報の段落【0038】参照)、周知例2(特開平5-121896号公報の段落【0062】参照)にも示されているように、当該技術分野においては各種の形状データに基づいたグラフィック画像の作成が慣用的に行われている。また、電子部品を吸着する吸着ノズルは、通常吸着すべき電子部品の形状に基づいて作成されるものであって、当該電子部品の吸着において直接影響を与えるのは、吸着ノズルの先端形状や吸着ノズルの孔自体であることから、吸着ノズルの位置情報に係るグラフィック画像を作成するに当たって必要とされる吸着ノズルの形状データが、吸着ノズルの先端の外形寸法や吸着ノズルの孔の位置、寸法及び個数等であることは自明な事項といえる。
そうすると、吸着ノズルの位置情報に係るグラフィック画像に関して、電子部品の吸着部位を、より精度良く且つ簡単に教示することをめざし、第1引用例記載の発明における「カーソル枠」に代えて、上記第2引用例に示唆される「ノズル孔の輪郭線」等を表示するために、本願発明と同様の「電子部品の形状に基づいて作成した吸着ノズルの先端の外形寸法並び吸着ノズルの孔の位置、寸法及び個数等の吸着ノズルの形状データに基づいて」作成された「吸着ノズル先端の輪郭線およびノズル孔の輪郭線を有した」グラフィック画像を採用することは、当業者であれば容易に想到することができた事項である。

また、本願発明により得られる効果も、第1引用例記載の発明、第2引用例記載の事項及び周知例1,2に記載の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。

5.むすび
したがって、本願発明は、第1引用例記載の発明、第2引用例記載の事項及び周知例1,2に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の請求項2ないし10に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-30 
結審通知日 2007-08-31 
審決日 2007-09-11 
出願番号 特願平10-196037
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真今村 亘  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 平上 悦司
山内 康明
発明の名称 電子部品の吸着部位教示装置  
代理人 相澤 清隆  
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