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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B01D 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B01D |
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管理番号 | 1166697 |
審判番号 | 不服2004-9497 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-06 |
確定日 | 2007-10-25 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 78520号「排ガス中の窒素酸化物の除去方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月14日出願公開、特開平 9-267028〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成8年4月1日の出願であって、平成16年3月29日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月7日付で手続補正がなされ、また平成19年2月23日付で手続補正がなされ、さらに同年8月6日付で手続補正がなされたものである。 2.平成19年8月6日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年8月6日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)当審での拒絶理由の通知が最後の拒絶理由通知か否かについて 当審において平成19年6月4日付でなされた拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)が特許法第17条の2第1項第3号でいう「最後に受けた拒絶理由通知」(以下「最後の拒絶理由通知」という。)に相当するかについて、以下に検討する。 上記当審拒絶理由通知において、当該拒絶理由通知が最後の拒絶理由である理由を明記しており、また、当審拒絶理由通知における拒絶の理由は、その内容からみて、平成18年12月20日付の拒絶理由通知に対応する平成19年2月23日付の手続補正によって、通知することが必要になった拒絶の理由であると認められる。 したがって、上記当審拒絶理由は、特許法第17条の2第1項第3号でいう「最後に受けた拒絶理由通知」に相当する。 (2)補正の内容 平成19年8月6日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は、 「温度が200?600℃の範囲で変化する、排ガス中の窒素酸化物を還元剤の存在下で接触還元して除去する方法において、触媒層を2分割し、排ガスの上流側にWO3が8?25wt%で残部がTiO2であるTiO2-WO3系触媒で構成された中高温度域で高い脱硝性能を有する触媒層を、その下流にV2O5が0.05?0.5wt%、WO3が8?25wt%で残部がTiO2であるTiO2-V2O5-WO3系触媒で構成された低中温度域で高い脱硝性能を有する触媒層を配列し、かつ前記触媒層の各上流側に還元剤の注入口を設け、 排ガスが発生し、該排ガス温度が、該排ガス中の窒素酸化物が上記触媒との接触還元反応開始温度到達時に、前記2つの還元剤の注入口より各々前記還元剤を注入し、該排ガス中の該窒素酸化物含有量に対して要求される脱硝率に応じて前記還元剤量を注入し、該排ガス温度が上昇し、前記TiO2-V2O5-WO3系触媒上で、前記還元剤の自己分解温度到達時に、前記TiO2-V2O5-WO3系触媒上流の前記還元剤注入口からの前記還元剤の注入を停止することで、排ガス中の窒素酸化物の除去と、前記還元剤の酸化による窒素酸化物の発生を防止することと、前記還元剤の未反応濃度を低減することを特徴とする排ガス処理方法。」から 「200℃?600℃で温度が変動する排ガス中の窒素酸化物をNH3の存在下で接触還元して除去する方法において、触媒層を2分割し、排ガスの上流側にTiO2?WO3系触媒で構成された350℃から600℃の中高温度域で高い脱硝性能を有する触媒層を、その下流側にTiO2?V2O5?WO3系触媒で構成された200℃から450℃の低中温度域で高い脱硝性能を有する触媒層を配列し、かつ、それぞれの前記触媒層の上流側にNH3注入口を設け、該上流側の触媒層と下流側の触媒層へ注入するNH3の量を排ガス温度及び要求される脱硝率に応じてそれぞれ制御するようにし、 排ガス温度が200℃に到達した時点で、前記上流側及び前記下流側の両方のNH3注入口からNH3を注入し、 排ガス温度が400℃に到達した時点で前記下流側のNH3注入口からのNH3注入を停止し、前記上流側のNH3注入口からのみNH3を注入することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物の除去方法」へと補正された。 (3)審判請求人の主張について 審判請求人は、平成19年8月6日付の意見書において、本件補正に関して、以下のとおりの点を主張している。 「以上詳述したように、・・・を見出してなし得た発明であり、これを明確にするために、この度、特許請求の範囲を、当初明細書の記載事項及び図面を基に記載事項を減縮して、特許法17条の2第3項に規定する要件を充足させた。」 (4)補正の適否 上記当審拒絶理由通知が最後の拒絶理由であるので、本件補正が平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定を満たしているかどうか以下に検討する。 「WO3が8?25wt%で残部がTiO2であるTiO2-WO3系触媒で構成された中高温度域で高い脱硝性能を有する触媒層」及び「V2O5が0.05?0.5wt%、WO3が8?25wt%で残部がTiO2であるTiO2-V2O5-WO3系触媒で構成された低中温度域で高い脱硝性能を有する触媒層」を「TiO2?WO3系触媒で構成された350℃から600℃の中高温度域で高い脱硝性能を有する触媒層」及び「TiO2?V2O5?WO3系触媒で構成された200℃から450℃の低中温度域で高い脱硝性能を有する触媒層」とする補正事項(以下「本件補正事項」という。)は、補正前の請求項1に記載された「中高温度域で高い脱硝性能を有する触媒層」及び「低中温度域で高い脱硝性能を有する触媒層」にそれぞれ中高温度域と低中温度域の具体的温度を限定するものの「WO3が8?25wt%で残部がTiO2である」及び「V2O5が0.05?0.5wt%、WO3が8?25wt%で残部がTiO2である」削除して拡張するものであり、補正前の請求項1に記載された発明特定事項を限定的に減縮するものとは認められない。 そうすると、「特許請求の範囲を、当初明細書の記載事項及び図面を基に記載事項を減縮し」たという審判請求人の主張は採用することができない。 したがって、本件補正事項は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮( 第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。) を目的とするものとは認められない。 また、本件補正事項は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除、同第3号に掲げられた誤記の訂正、同第4号に掲げられた明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれかを目的とするものとは認められない。 したがって、本件補正事項を含む本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に違反してなされたものである。 (5)まとめ 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 4.本願発明 平成19年8月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成19年2月23日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「温度が200?600℃の範囲で変化する、排ガス中の窒素酸化物を還元剤の存在下で接触還元して除去する方法において、触媒層を2分割し、排ガスの上流側にWO3が8?25wt%で残部がTiO2であるTiO2-WO3系触媒で構成された中高温度域で高い脱硝性能を有する触媒層を、その下流にV2O5が0.05?0.5wt%、WO3が8?25wt%で残部がTiO2であるTiO2-V2O5-WO3系触媒で構成された低中温度域で高い脱硝性能を有する触媒層を配列し、かつ前記触媒層の各上流側に還元剤の注入口を設け、 排ガスが発生し、該排ガス温度が、該排ガス中の窒素酸化物が上記触媒との接触還元反応開始温度到達時に、前記2つの還元剤の注入口より各々前記還元剤を注入し、該排ガス中の該窒素酸化物含有量に対して要求される脱硝率に応じて前記還元剤量を注入し、該排ガス温度が上昇し、前記TiO2-V2O5-WO3系触媒上で、前記還元剤の自己分解温度到達時に、前記TiO2-V2O5-WO3系触媒上流の前記還元剤注入口からの前記還元剤の注入を停止することで、排ガス中の窒素酸化物の除去と、前記還元剤の酸化による窒素酸化物の発生を防止することと、前記還元剤の未反応濃度を低減することを特徴とする排ガス処理方法。」 5.当審の拒絶の理由の概要 当審拒絶理由通知の記載内容からみて、その拒絶の理由の概要は以下のとおりである。 平成19年2月23日付けでした手続補正は、下記(a)の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 (a)上記手続補正により、請求項1及び2に「接触還元反応開始温度」及び「自己分解温度」なる特定事項が付加され、発明の詳細な説明においても特定事項の付加に対応する補正がなされたが、これら2つの「温度」は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載がなく、しかも、これらから自明であるとすることもできない。また、請求項2においてこれらの温度がそれぞれ「200℃」及び「400℃」に相当することについても同様である。 6.当審の判断 平成19年8月6日付の手続補正は、前述のとおり却下され、同日付けの意見書は、平成19年8月6日付の手続補正により補正された請求項1に係る発明のみに基づいて主張しているので、上記当審拒絶理由通知に係る拒絶の理由に対しては、実質的に反論しているとは認められない。 また、上記当審拒絶理由通知に係る拒絶の理由は妥当なものと認められる。 7.結び したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-08-27 |
結審通知日 | 2007-08-28 |
審決日 | 2007-09-10 |
出願番号 | 特願平8-78520 |
審決分類 |
P
1
8・
55-
WZ
(B01D)
P 1 8・ 572- WZ (B01D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平塚 政宏、後藤 政博 |
特許庁審判長 |
松本 貢 |
特許庁審判官 |
中村 敬子 宮澤 尚之 |
発明の名称 | 排ガス中の窒素酸化物の除去方法 |
代理人 | 田中 重光 |
代理人 | 石川 新 |