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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F04D
管理番号 1166736
審判番号 不服2005-9864  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-26 
確定日 2007-10-25 
事件の表示 平成 9年特許願第325789号「プルアウト形立軸ポンプ」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月15日出願公開、特開平11-159491〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本件出願は、平成9年11月27日に出願されたものであって、平成16年8月23日付けで最初の拒絶理由が通知され、同年10月28日に意見書及び手続補正が提出され、同年12月20日付けで最初の拒絶理由が再度通知され、平成17年3月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年4月21日付けで拒絶査定がなされ、平成17年5月26日に同拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1?6に係る発明は、平成16年10月28日付けの手続補正書及び平成17年3月7日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、単に「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
吸水槽内に設置され、吸込ベルマウス、吸込ケーシング及び吐出ケーシングを有するプルアウト形立軸ポンプにおいて、
前記吸込ベルマウス、吸込ケーシング及び吐出ケ-シングを吸水槽の底面に固定して設置すると共に、
羽根車、ケーシングライナ、案内羽根ケ-シング、吐出ディフューザ及びポンプ軸を備えるポンプ水力部を、前記吐出ケーシング内に、ポンプ軸方向上部に引き出し自在に格納する構造としたことを特徴とするプルアウト形立軸ポンプ。」

2.引用文献
(1)原査定の拒絶理由に引用された特開昭61-283798号公報(以下、単に「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「第9図にプルアウト形立軸ポンプの概略図を示す。第9図において、吸込ベル1,外部ケーシング2,揚水管3,吐出しエルボ4,支持短管5,ポンプベース6が順次組み付けられて外筒部品が構成される。そして、この外筒部品のポンプベース6がポンプ吸込水槽7の上方に配設されたベースライナ8に配置固定されて、外筒部品がポンプ吸込水槽7に吊り下げられる。また、外筒部品の内側にラッパ管,内部ケーシン(審決注:「内部ケーシング」の誤記と思われる),インペラ等の回転部品9およびシャフト10,湾曲板11等の内筒部品が組み付け配置される。さらに、外筒部品の上部にモータ台12,モータ13が組み付けられて立軸ポンプが構成される。」(第2頁上左欄1?13行)
(イ)「ところで、上記したプルアウト形立軸ポンプの従来の据付方法は以下のとおりである。まず、吸込ベル1,外部ケーシング2,揚水管3を第10図のごとく地上で組み付けて第1の組付体を構成し、この第1の組付体をクレーン14でポンプ吸込水槽7に吊り降ろし、第11図のごとく揚水管3の上端部を分解組立工具15によりベースライナ8上に仮置きする。さらに、吐出しエルボ4,支持短管5,ポンプベース6を地上で組み付けて第2の組付体を構成し、この第2の組付体をクレーン14で吊り上げて、第1の組付体上に配置し、第12図のごとく第1の組付体の上端フランジと第2の組付体の下端フランジを接続して外筒部品全体を組み付ける。この第1と第2の組付体が組み付けられた外筒部品全体をクレーン14で吊り、分解組付工具15を取り外してベースライナ8から第1の組付体を分離する。そして、そのまま外筒部品全体をポンプ吸込水槽7にさらに吊り降し、第13図のごとくポンプベース6をベースライナ8に配置固定して、外筒部品を据え付ける。かかる外筒部品の据え付け後に内筒部品を組み付け、続いて外筒部品の上部にモータ台12,モータ13を組み付けてプルアウト形立軸ポンプの据付が完了する。」(第2頁上左欄14行?同頁上右欄16行)
(ウ)「このようにして外筒部品を据え付けた後に、従来と同様な方法により、内筒部品およびモータ台12,モータ13を組み付けて、プルアウト形立軸ポンプの据付を完了する。」(第3頁下左欄9?12行)

(エ)上記の記載事項(ア)?(ウ)及び図面の記載を総合すると、引用文献1には、次のような発明が記載されているものと認められる。
「ポンプ吸込水槽7内に設置され、吸込ベル1、外部ケーシング2、揚水管3及び吐出しエルボ4を有するプルアウト形立軸ポンプにおいて、
前記吸込ベル1、外部ケーシング2、揚水管3及び吐出しエルボ4等からなる外筒部品をポンプ吸込水槽7の上方に配設されたベースライナ8に固定して設置すると共に、
ラッパ管、内部ケーシング、インペラ等の回転部品9及びシャフト10、湾曲板11等を備える内筒部品を、前記外部ケーシング2、揚水管3及び吐出しエルボ4内に、シャフト10方向上部に引き出し自在に格納する構造としたプルアウト形立軸ポンプ。」(以下、単に「引用文献1に記載された発明」という。)

(2)原査定の拒絶理由に引用された実願平1-25232号(実開平2-116000号)のマイクロフィルム(以下、単に「引用文献2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「本実施例に係る立軸形ポンプは図に示すように、吸込口6の羽根車5入口近傍に‥‥‥‥単数或いは複数の小穴8が設けられており、さらに吸込口6下部に傘形に張り出した吸込案内口9が装着されている。‥‥‥吸込案内口9はリブ10によつてピットに固定されており、吸込口6とは切離されていて据付時には本立軸形ポンプは上部から下ろされて吸込案内口9の上部に乗るような構造になっている。なお、1は主軸、3は吐出曲管、4は案内羽根である。」(明細書第4頁11行?同第5頁5行)
(イ)「吸込口6と吸込案内口9との隙間Cができるだけ小さくなるように、吸込口6と吸込案内口9を接続している。」(同第6頁1?3行)

(3)原査定の拒絶理由に引用された特公昭45-30741号公報(以下、単に「引用文献3」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「1は水槽底壁で、ポンプヘツド2を固定する。このポンプヘツドは円筒部3と逆截頭円錐状の受部4とからなり、円筒部3には吸入口5が形成され、円錐状受部4には吐出口6が設けられ、その上方に複数個の回り止溝7が設けられる。‥‥‥
10はモーターヘツドで、前記截頭円錐状受部4に嵌入する形状をなし、下端近くに前記回り止溝7に嵌まり込む回り止爪11をもツ。同回り止爪11は下端を尖らせ、溝7への嵌入を容易にする。モーターヘツド10内には水中モータ12が螺着され、その下端にインペラ13が取り付けられ、ヘツド先端から突出している。モータ12の上端には吊下げ索14が取り付けられる。」(第1頁第1欄35行?同頁第2欄11行)
(イ)「水中底壁に固定されたポンプヘツド2にモーターヘツド10を嵌入する。これは吊下げ索14を緩めて行う。回り止爪11が回り止溝7に嵌まりモーターヘツドの設定は完了する。‥‥‥
水中モータ12を回転すると、インペラ13が回転し、吸入口5から水をポンプ室渦巻部9に吸引し、吐出口6から揚水管8を経て外部に放出する。」(第1頁第2欄15?24行)
(ウ)「モーターヘツド10を降下させる際、モーターヘツドの中心とポンプヘツド2の中心とが多少ずれても、喇叭状の中に円錐状の先端が入る恰好なので、両者の嵌合は外れることがなく、簡単な構造で確実に所定位置に設定できる。」(第1頁第2欄28?33行)

3.当審の判断
(1)本願発明と引用文献1に記載された発明との対比
本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比するに、引用文献1に記載された発明における「ポンプ吸込水槽7」、「吸込ベル1」、「外部ケーシング2」、「揚水管3及び吐出しエルボ4」、「インペラ」及び「シャフト10」は、それらの形状、構造及び機能からみて、本願発明の「吸水槽」、「吸込ベルマウス」、「吸込ケーシング」、「吐出ケーシング」、「羽根車」及び「ポンプ軸」にそれぞれ相当する。さらに、引用文献1に記載された発明における「内筒部品」は、ラッパ管、内部ケーシング、インペラ等の回転部品9及びシャフト10、湾曲板11等から構成され、「(吸込ベル1、外部ケーシング2、揚水管3、吐出しエルボ4、短管5及びポンプベース6から構成される)外筒部品」にシャフト10方向上部に引き出し自在に格納されるものであり、その構造及び機能からみて、本願発明の「ポンプ水力部」に相当する。
したがって、本願発明と引用文献1に記載された発明は、
「吸水槽内に設置され、吸込ベルマウス、吸込ケーシング及び吐出ケーシングを有するプルアウト形立軸ポンプにおいて、
前記吸込ベルマウス、吸込ケーシング及び吐出ケーシングを吸水槽に固定して設置すると共に、
羽根車、ポンプ軸等を備えるポンプ水力部を、前記吐出ケーシング内に、ポンプ軸方向上部に引き出し自在に格納する構造としたプルアウト形立軸ポンプ。」
である点で一致し、次の〈相違点1〉及び〈相違点2〉の2点において相違する。
〈相違点1〉
ポンプ水力部は、本願発明においては、羽根車やポンプ軸の他に、ケーシングライナ、案内羽根ケ-シング、吐出ディフューザを備えているのに対し、引用文献1に記載された発明では、インペラやシャフト10の他に、ラッパ管や内部ケーシングを備えているがその詳細は明確にされていない点。
〈相違点2〉
本願発明においては、吸込ベルマウス、吸込ケーシング及び吐出ケーシングを吸水槽の底面に固定して設置しているのに対し、引用文献1に記載された発明では、吸込ベル1や外部ケーシング2、揚水管3及び吐出しエルボ4をポンプ吸込水槽7の上方に配設されたベースライナ8に固定して設置している点。

(2)相違点についての検討
〈相違点1〉について
プルアウト形立軸ポンプにおいて、羽根車やガイドベーン等のように保守、点検や修理等を必要とする部材を内筒ケーシング等に一体的に組み付けて、吐出ケーシングや外部ケーシングに取出し可能にあるいは引き出し可能に格納し装着するように構成することは、本願出願前に周知の技術事項である(必要ならば、例えば、I.J.KARASSIK外3名編、池口稔久外2名訳「ポンプハンドブック」株式会社地人書館(昭和56年8月10日)〈94頁(右欄4?10行の記載)及び95頁(図2.174)〉、及び、日本規格協会編「JISハンドブック ポンプ」財団法人日本規格協会(1986年4月12日)〈JIS B 0131における「(番号140)プルアウト形」に関する説明(20頁)及び付図20?付図21(76頁)〉等参照のこと。)。
したがって、前記〈相違点1〉に係る本願発明のように、羽根車やポンプ軸とともにケーシングライナ、案内羽根ケーシング、吐出ディフューザ等によりポンプ水力部を形成し、このポンプ水力部を吸込ベルマウス、吸込ケーシング及び吐出ケ-シングから構成される外部ケーシングに取出し可能にあるいは引き出し可能に格納し装着しうるように構成することは、前述した周知の技術事項を考慮すれば、当業者が格別な創意工夫を要することなく容易に想到しうる程度のものである。

〈相違点2〉について
引用文献2及び引用文献3に記載されたポンプは、上記2.の(2)、(3)からみて、プルアウト形立軸ポンプではないものの、引用文献2には、水槽底部に固定してある吸込案内口の上部に立軸ポンプの吸込口を載置することによって、水槽底部に立軸ポンプを据え付けた状態で稼動しうるようにした立軸ポンプが記載され、また、引用文献3には、ポンプヘッドとモーターヘッドにより構成され、水槽底壁に固定されたポンプヘッドにモーターヘッドを上方から嵌入させて水槽底部に固定された状態で稼動しうるようにした水中ポンプが記載されている。してみると、立軸ポンプにおいて、そのケーシング等の一部の部材を吸水槽の底壁に固定し、回転部材を含む他の部材を底壁に固定した部材に嵌合させあるいは接合させて、立軸ポンプを水槽の底壁に固定した状態で稼動しうるように構成することは、引用文献2や引用文献3にも記載されているように、本願出願前に周知の技術事項である(さらに、必要ならば、例えば、実願平3-3723号(実開平4-95693号)のマイクロフィルム〈明細書の第3頁27行?第4頁3行(段落番号〔0005〕)、第4頁24?29行(段落番号〔0008〕)、第5頁12?19行(段落番号〔0009〕)等の記載〉等も参照のこと。)。
したがって、プルアウト形立軸ポンプにおいて、吸込ベルマウス、吸込ケーシングや吐出ケーシング等から構成される固定部の固定手段として、引用文献1に記載された発明のような固定部(外筒部品)を吸水槽の上方に配設されたベースライナに固定して設置する手段に代えて、前述した立軸ポンプに関する周知の技術事項を採用して、固定部の吸込ベルマウスを吸水槽の底面に固定して設置するように構成することは、当業者が格別困難なく容易に想到しうる程度のものである。
よって、前記〈相違点2〉に係る本願発明のような構成とすることは、引用文献1に記載された発明や前述した周知の技術事項に基づいて、当業者が格別困難なく容易に想到し発明をすることができる程度のものである。

以上のように、本願発明のような構成とすることは、引用文献1に記載された発明や前述した周知の技術事項に基づいて、当業者が格別な困難性を伴うことなく容易に想到し発明をすることができたものであり、しかも、本願発明は、全体構成でみても、引用文献1に記載された発明や前述した周知の技術事項から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものでもない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び前述した周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-27 
結審通知日 2007-08-28 
審決日 2007-09-10 
出願番号 特願平9-325789
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F04D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 和寛  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 西本 浩司
飯塚 直樹
発明の名称 プルアウト形立軸ポンプ  
代理人 ポレール特許業務法人  
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