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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C08L 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 C08L |
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管理番号 | 1166770 |
審判番号 | 不服2006-1883 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-02-03 |
確定日 | 2007-11-15 |
事件の表示 | 特願2002- 47827「成形用樹脂組成物および電気・電子器具」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月 5日出願公開、特開2003-246913、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成14年2月25日の出願であって、平成17年10月19日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年11月15日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年12月26日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成18年2月3日に拒絶査定不服の審判請求がなされ、審判請求の日から30日以内である同年2月16日に手続補正書及び審判請求書の手続補正書(方式)が提出され、同年3月29日付けで前置報告がなされ、これに基づいて平成19年8月20日付けで審尋がなされ、同年9月4日に回答書が提出されたものである。 第2.平成18年2月16日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年2月16日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成18年2月16日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、特許請求の範囲について、補正前の 「【請求項1】 主剤として100重量部のグリシジルエステル型エポキシ樹脂と、 酸無水物硬化剤として80重量部のヘキサヒドロ無水フタル酸と、 有機金属化合物硬化促進剤として4重量部の有機金属錯体と、 無機充填剤として平均粒度15μm、比表面積2.5m2/gのシリカ粉末に対し、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート又はテトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネートであるチタネート系カップリング剤により表面改質処理を施した330重量部の不定形溶融石英と、 を含有することを特徴とする成形用樹脂組成物。 【請求項2】 請求項1記載の成形用樹脂組成物において、 前記不定形溶融石英に対し、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート又はテトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネートを溶媒で希釈した溶液をスプレーしながらヘンシェル型ミキサーで撹拌反応させた後に乾燥させて、カップリング処理により表面改質処理を施して無機充填剤とすることを特徴とする成形用樹脂組成物。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の成形用樹脂組成物を用いて樹脂成形された固体絶縁部を備えることを特徴とする電気・電子器具。 【請求項4】 請求項3記載の電気・電子器具において、端子、導体、コイルもしくは電圧非直線抵抗体素子の何れかまたはこれらの組み合わせであるインサートを金型内に配置し、 請求項1または請求項2に記載の成形用樹脂組成物を充填して固体絶縁物を形成してなることを特徴とする電気・電子器具。 【請求項5】 請求項4記載の電気・電子器具において、端子、コイルおよび鉄心からなるインサートを金型内に配置し、 請求項1または請求項2に記載の成形用樹脂組成物を充填して固体絶縁物を形成してなる変成器であることを特徴とする電気・電子器具。 【請求項6】 請求項4記載の電気・電子器具において、端子および電圧非直線抵抗体素子からなるインサートを金型内に配置し、 請求項1または請求項2に記載の成形用樹脂組成物を充填して固体絶縁物を形成してなる避雷器であることを特徴とする電気・電子器具。」を、 「【請求項1】 主剤として100重量部のグリシジルエステル型エポキシ樹脂と、 酸無水物硬化剤として80重量部のヘキサヒドロ無水フタル酸と、 有機金属化合物硬化促進剤として4重量部の有機金属錯体と、 平均粒度15μm、比表面積2.5m2/gのシリカ粉末をフィラーとし、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート又はテトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネートを表面改質材としたときに、フィラーに対して次式の 【数1】 で表される量の表面改質材を溶媒で希釈した溶液をスプレーしながらヘンシェル型ミキサーで撹拌反応させた後に乾燥させて、カップリング処理により表面改質処理を施してなる、無機充填剤として330重量部の不定形溶融石英と、を混合し、混合時の初期粘度が少なくとも400(mPa・s)に抑制される流動性を有するとともに、樹脂硬化後の成形体がIEC60587傾斜平板法耐トラッキング性試験におけるエロージョン深さが平均1.5mmに抑制される耐エロージョン性を有することを特徴とする成形用樹脂組成物。 【請求項2】 請求項1に記載の成形用樹脂組成物を用いて樹脂成形された固体絶縁部を備えることを特徴とする電気・電子器具。 【請求項3】 請求項2記載の電気・電子器具において、端子、導体、コイルもしくは電圧非直線抵抗体素子の何れかまたはこれらの組み合わせであるインサートを金型内に配置し、 請求項1に記載の成形用樹脂組成物を充填して固体絶縁物を形成してなることを特徴とする電気・電子器具。 【請求項4】 請求項3記載の電気・電子器具において、端子、コイルおよび鉄心からなるインサートを金型内に配置し、 請求項1に記載の成形用樹脂組成物を充填して固体絶縁物を形成してなる変成器であることを特徴とする電気・電子器具。 【請求項5】 請求項3記載の電気・電子器具において、端子および電圧非直線抵抗体素子からなるインサートを金型内に配置し、 請求項1に記載の成形用樹脂組成物を充填して固体絶縁物を形成してなる避雷器であることを特徴とする電気・電子器具。」と補正するものである。 この補正は、補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項2に次の補正事項1及び2を加えて新たな請求項1としたものと認められる。 ア.補正事項1 補正前の請求項2で引用する請求項1における「シリカ粉末」を「シリカ粉末をフィラーとし」とし、「イソプロピルトリイソステアロイルチタネート又はテトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネートであるチタネート系カップリング剤」を「イソプロピルトリイソステアロイルチタネート又はテトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネートを表面改質材としたときに、」とし、さらに、「フィラーに対して次式の 【数1】 で表される量」との表面改質材の量に関する限定を付加する補正。 イ.補正事項2 補正前の請求項2に「混合時の初期粘度が少なくとも400(mPa・s)に抑制される流動性を有するとともに、樹脂硬化後の成形体がIEC60587傾斜平板法耐トラッキング性試験におけるエロージョン深さが平均1.5mmに抑制される耐エロージョン性を有する」との成形用樹脂組成物の性質に関する限定を付加する補正。 2.補正の目的について 補正事項1及び2の補正の目的に関し以下検討する。 ア.補正事項1について 補正前の請求項2には、チタネート系カップリング剤(表面改質材)の量に関する事項は記載されておらず、チタネート系カップリング剤(表面改質材)の量に関する事項は発明を特定するために必要な事項とされていない。 したがって、表面改質材の量に関する事項を追加する補正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものではあるが、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえず、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の限定的減縮に該当しないものである。 また、補正事項1は、請求項の削除でもなく、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 イ.補正事項2について 補正前の請求項2には、成形用樹脂組成物の性質に関する事項は記載されておらず、成形用樹脂組成物の性質に関する事項は発明を特定するために必要な事項とされていない。 したがって、成形用樹脂組成物の性質に関する事項を追加する補正事項2は、特許請求の範囲を減縮するものではあるが、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえず、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の限定的減縮に該当しないものである。 また、補正事項2は、請求項の削除でもなく、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 3.まとめ 以上のとおりであるから、補正事項1及び補正事項2を含む本件手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反しており、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.審判請求についての判断 上記のとおり、平成18年2月16日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成17年11月15日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2007-11-05 |
出願番号 | 特願2002-47827(P2002-47827) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
WY
(C08L)
P 1 8・ 121- WY (C08L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松岡 徹、武貞 亜弓 |
特許庁審判長 |
一色 由美子 |
特許庁審判官 |
野村 康秀 山本 昌広 |
発明の名称 | 成形用樹脂組成物および電気・電子器具 |
代理人 | 森田 雄一 |