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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G |
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管理番号 | 1166917 |
審判番号 | 不服2004-20916 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-07 |
確定日 | 2007-11-01 |
事件の表示 | 平成11年特許願第298720号「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月27日出願公開、特開2001-117298〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年10月20日に出願された特願平11-298720号であって、平成16年8月24日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成16年10月7日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、同日付及び平成16年11月8日付で手続補正がなされた。 2.平成16年10月7日付及び平成16年11月8日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年10月7日付及び平成16年11月8日付の手続補正(以下、前者を「本件補正1」といい、後者を「本件補正2」という。)を却下する。 [理由1]目的制限要件違反 (1)補正後の本願発明 本件補正1、2は、平成16年6月28日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された 「コロナ放電器、帯電ケース及び電圧制御部材を有し、感光体を帯電させる帯電手段と、 前記帯電手段により帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、 前記感光体に形成された静電潜像をトナーの付着によって現像する現像手段と、 前記感光体周面に接する前記記録材に、現像されたトナー像を転写させるための転写手段を備え、 前記帯電手段の前工程としての前記感光体の帯電履歴を消去する除電工程を省略して、 複数のプロセス速度への切り替えを行う画象形成装置において、 第一のプロセス速度V1による作像時の前記帯電手段の駆動電流値M1と、第一のプロセス速度V1よりも大なる第二のプロセス速度V2による作像時の前記帯電手段の駆動電流値M2の関係式が M2≧(0.9+0.1×V2/V1)×M1 を満たすように、設定、若しくは制御することを特徴とする画像形成装置。」を、 「コロナ放電器、帯電ケース及び電圧制御部材を有し、感光体を帯電させる帯電手段と、 前記帯電手段により帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、 前記感光体に形成された静電潜像をトナーの付着によって現像する現像手段と、 前記感光体周面に接する前記記録材に、現像されたトナー像を転写させるための転写手段を備え、前記帯電手段の前工程としての前記感光体の帯電履歴を消去する除電工程を省略して、複数のプロセス速度への切り替えを行う前記画像形成装置の制御方法において、 第一のプロセス速度V1による作像時の記録材の先端部に黒べたが、その後半にハーフトーンが印字されるようにしたときに感光体ドラムの一回転目(ただし、本件補正2においては、「1回転目」である。)と2回転目のハーフトーンの濃度差が確認できかつ、明確でない状態であると共に、前記記録材に全面ハーフトーンが印字されたときに感光体ドラムの一回転目(ただし、本件補正2においては、「1回転目」である。)と2回転目のハーフトーンの濃度差が確認でき、かつ明確でない状態である前記帯電手段の駆動電流値M1と、第一のプロセス速度V1よりも大なる第二のプロセス速度V2による作像時の前記帯電手段の駆動電流値M2の関係式が M2≧(0.9+0.1×V2/V1)×M1 を満たすように、設定、若しくは制御することを特徴とする画像形成装置の制御方法。」と補正するものである。 本件補正1、2は、発明の対象を、補正前の「画像形成装置」から、補正後の「画像形成装置の制御方法」と変更する補正を含むものである。 しかし、このような補正が、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明、の何れにも該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正1は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 本件補正2は、本件補正1が却下されたことにより、本件補正1前である平成16年6月28日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1を基準に判断することとなるが、本件補正1が却下されたのと同様の理由で、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 [理由2]独立特許要件違反(記載不備) 本件補正1、2が、仮に限定的減縮に該当するとした場合について検討する。 本件補正1、2で追加された「記録材の先端部に黒べたが、その後半にハーフトーンが印字されるようにしたときに感光体ドラムの1回転目と2回転目のハーフトーンの濃度差が確認できかつ、明確でない状態であると共に、前記記録材に全面ハーフトーンが印字されたときに感光体ドラムの1回転目と2回転目のハーフトーンの濃度差が確認でき、かつ明確でない状態である」の技術的意義がまったく不明確である。 この点を含む、請求項1の内容に関し、請求人に、平成19年7月19日に下記の審尋をファクシミリにより行った。その後8月3日に、8月6日の週に回答する旨、電話連絡があり、8月7日に再度電話で、8月24日前後になる旨の連絡があり、8月24日に再度電話で、未だ回答が準備できない旨、連絡があった。 結局、本件補正1、2により補正された特許請求の範囲の記載が明確であるとはいえず、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものではない。 ------------------------------- 【審尋の内容】 1.請求項1の「第一のプロセス速度V1による作像時の記録材の先端部に黒べたが、その後半にハーフトーンが印字されるようにしたときに感光体ドラムの1回転目と2回転目のハーフトーンの濃度差が確認できかつ、明確でない状態である」に関し、 (1)「黒べた」は、何のための構成か。どう評価されているのか。 (2)「速度V1による」は、どこに係るのか。1回転目と2回転目のプロセス速度は。(3)現像の終わった状態で回転するということか。感光体ドラムを目視で確認するということか。 (4)感光体ドラム周囲の転写器、コロナ放電器等は、何も機能させずに感光体ドラムを2回転させるのか。 (5)「濃度差が確認でき」と「明確でない状態」の意味、相違、技術的意義は何か。 2.請求項1の「前記記録材に全面ハーフトーンが印字されたときに感光体ドラムの1回転目と2回転目のハーフトーンの濃度差が確認でき、かつ明確でない状態である前記帯電手段の駆動電流値M1」に関し、 (1)1回転目と2回転目のプロセス速度は。 (2)現像の終わった状態で回転するということか。感光体ドラムを目視で確認するということか。 (3)感光体ドラム周囲の転写器、コロナ放電器等は、何も機能させずに感光体ドラムを2回転させるのか。 (4)「濃度差が確認でき」と「明確でない状態」の意味、相違、技術的意義は何か。 (5)ハーフトーンの濃度差は、露光条件、現像条件によっても大きく異なると思われるが、なぜそれらの限定なしに、帯電手段の駆動電流値M1が定まるのか。駆動電流値M1が任意でよいとすると、M2も任意の範囲を取り得、発明として技術的意義を有さないと思われる。 3.なぜ「プロセス速度V1」と「プロセス速度V2」を設定する(変更する)必要があるのか。 なお、8月3日頃までに、ご回答をお願いします。 ------------------------------- また、本願請求項1に記載されたV1、M1は、本願明細書の例えば段落【0031】に記載された「基本条件」以外の値を取りうるものであり、例えば、M1は、「基本条件」よりはるかに低い値を取りうるものである。このような場合は、M1に0.9を乗じた値が、「帯電制御部材23の制御で感光ドラム1が帯電できうる最低限の値」とはならない。よって、例えば、基本条件でない、任意の、M1、V1、V2を、「M2≧(0.9+0.1×V2/V1)×M1」に代入して得られた、M2の範囲全体が適切な値であるといえない。さらに、帯電条件は、帯電方式、電極の形状にも影響され、形成された画像の質は、転写条件とも相互に関係すると考えられるところ、発明の詳細な説明には、それらの諸条件の関係が明確に記載されていない。 また、段落【0030】に記載された実施結果を参照しても、「M2≧(0.9+0.1×V2/V1)×M1」を満たす範囲の内外での効果の差異が明らかでない。 したがって、任意の駆動電流値において、M2≧(0.9+0.1×V2/V1)×M1とすべきことの技術的意義が不明である。 結局、本件補正1、2により補正された発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえず、特許法第36条第4項の規定に適合するものではない。 したがって、本件補正1、2は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成16年10月7日付及び平成16年11月8日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年6月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものである(上記「2.(1)補正後の本願発明」参照)。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用され本願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-256977号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の点が記載されている。 ア.【0001】【産業上の利用分野】 本発明は、電子写真プロセス或は静電記録プロセスなどにて像担持体上に形成された可視画像を、移動可能な転写材担持体上に担持された転写材に複数回転写し、カラー画像を得るカラー画像形成装置に関するものである。 イ.【0003】 本例の電子写真カラー画像形成装置にて、像担持体としての感光ドラム4は、ローラー或はコロナ帯電器などとされる一次帯電器14により一様に帯電される。次いで、レーザー、LED等の発光素子13からなる露光装置からの1色目の画像信号に基づいた露光16により像担持体上に形成された1色目の静電潜像を、例えばイエロー(Y)現像剤を内包した現像器2aにより可視化する。 【0004】 一方、図11(A)をも参照すると理解されるように、両端に配置された円筒部材及び該両円筒部材を連結する連結部材にて構成されるドラムフレーム(筐体)3aの外周面に、誘電体の可撓性シートとされる転写材担持体3bを張設することによって構成されるドラム状の転写体3は、供給された転写材1の先端を転写材保持手段としてのグリッパー3c等で保持し、続いて回転することにより該転写材1を転写体表面に巻き付ける。この時、転写材1は、接地した吸着ローラ15と転写体表面を形成する可撓性シート3b間に挟まれ、同時に吸着用帯電器7により可撓性シート3b裏面に付与された電荷と、吸着ローラ15から転写材1表面に付与された電荷とによる静電吸着力によって転写体3表面に保持される。続いて、転写材1は、転写体3の回転により感光ドラム4と対向する位置にある画像転写領域まで搬送され、感光ドラム4上に形成された前記可視画像を転写帯電器8によって転写される。 【0005】 この後、感光ドラム4は、その上に残留する残留現像剤をクリーナー5により除去され、再び、一次帯電器14にて一様に帯電され、露光装置によって該感光ドラム4上に2色目の画像信号に基づいた静電潜像を形成する。この静電潜像は、2色目の画像信号に対応する例えばマゼンタ(M)現像剤を内包する現像器2bにより現像され、可視画像となる。 【0006】 この2色目の可視画像は、先に1色目の可視画像を転写された転写体3上の転写材1に、再び転写帯電器8によって転写される。上記の行程を、3色目としてシアン(C)、4色目としてブラック(BK)等の現像剤を用いて実施し、感光ドラム4上に3色目、4色目の可視画像を形成し、2色目の可視画像と同様な方法にて転写体3上の転写材1に重ね転写する。 ウ.【0015】 従って、本発明の目的は、除電帯電器を必要とせず、又、転写メモリーや濃度ムラを防止することができ、しかも、よりコストの低減を図ることのできる画像形成装置を提供することである。 ・・・ 【0022】 このように、従来においては、可撓性シート3b上の残留電荷を除去するために別途除電帯電器が必要であったが、本発明によれば、転写材を可撓性シート3bへ吸着させる際、直流に交流を重畳したバイアスを印加することで、可撓性シート3bの残留電荷を除去することができる。 したがって、上記記載事項及び各図面から、引用例1には、 「感光ドラム4を帯電させる一次帯電器14と、 次いで、レーザー、LED等の発光素子13からなる露光装置からの露光16により感光ドラム4上に静電潜像を形成する露光装置と、 感光ドラム4上に形成した静電潜像を現像剤を内包した現像器2により可視化する現像器2と、 転写体3の回転により感光ドラム4と対向する位置にある画像転写領域まで搬送された転写材1に、感光ドラム4上に形成された前記可視画像を転写帯電器8によって転写させる転写体3を備えたカラー画像形成装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 また、原査定の拒絶の理由に引用され本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭55-77748号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の点が記載されている。 エ.本発明は被帯電部材を均一に帯電するための方法に関し、更に詳しくは異なる二つの速度で移動する像保持部材を内包する画像形成装置において、被帯電部材を像保持部材の速度に関連付けて帯電し、該被帯電部材を均一に帯電する技術に関するものである。なお像保持部材とは感光ドラムや・・・がある。(公報第2頁左上欄3?10行) オ.ここで時間T0において感光体1の周速度を3倍に切換えると、該感光体1は実際にはある立上り時間の経過を要して設定した3倍の速度に達する。一方、速度が3倍となるため均一な値に帯電するにはコロナ放電器4の感光体1へ向って流れる電流も3倍にする必要がある。(公報第3頁右上欄10?末行) また、原査定の拒絶の理由に引用され本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-152226号公報(以下、「周知例1」という。)には、以下の点が記載されている。 カ.【0027】 ・・・主帯電器14はシールドケース22を備え、該シールドケース22は、放電ワイヤ21を囲み、感光体ドラム13側に開口している。主帯電器14の放電部材21に、コロナ放電に必要な電流を供給するための電源25が接続されている。シールドケース22は接地されている。 また、原査定の拒絶の理由に引用され本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-230668号公報(以下、「周知例2」という。)には、以下の点が記載されている。 キ.【0011】 ・・・11はコロナ帯電器で、該コロナ帯電器11は鋸歯状放電部12を形成した板状電極13で構成され、金属枠体で構成されたシールドケース14内に設けられている放電部12より感光体101面に電荷付与の帯電作用を行う。 また、原査定の拒絶の理由に引用され本願の出願前に頒布された刊行物である特開平5-94103号公報(以下、「周知例3」という。)には、以下の点が記載されている。 ク.【0002】【従来の技術】 図4は電子写真記録装置の概略構成を模式的に示す図である。図中、1は感光ドラムである。この感光ドラム1の周辺には、感光ドラム1の周面に沿って帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5およびクリーニング装置6が、また記録紙Pの搬送路上に定着装置7がそれぞれ設けられており、これらの各装置によって周知の電子写真プロセスによる画像の記録を行うものとなっている。 また、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-13406号公報(以下、「周知例4」という。)には、以下の点が記載されている。 ケ.【0016】 一方転写紙Pを分離した感光体ドラム32は、クリーニング装置39において圧接するブレード239Aにより残留トナーを除去、清掃したのち再び帯電器31により電荷の付与を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。 コ.【0024】 前記の帯電器31は図3に示すような帯電用の電極ワイヤWの前方の感光体ドラム32の周面に沿った位置にグリッドGを備えるスコロトロン帯電器であって、異なる感光体線速度に対し感光体帯電電位と電極ワイヤWに供給されるトータル電流は図4に示すような関係にある。 サ.【図3】には、「CPU帯電制御部」、帯電ケース、グリッドG等を備えるスコロトロン帯電器が示されている。 シ.【表1】(段落【0021】)、【表2】(段落【0029】)には、本願発明のプロセス速度(感光体線速度)と駆動電流値(帯電トータル電流)との関係式を満たす、感光体線速度と帯電トータル電流との関係が示されている。 (3)対比 引用発明の「感光ドラム4を帯電させる一次帯電器14」は、本願発明の「感光体を帯電させる帯電手段」に相当する。 また、引用発明の「露光装置」も、「一次帯電器14により帯電された感光ドラム4を露光」していることは、明らかであるので、引用発明の「次いで、レーザー、LED等の発光素子13からなる露光装置からの露光16により感光ドラム4上に静電潜像を形成する露光装置」は、本願発明の「帯電手段により帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段」に相当する。 また、引用発明の「現像剤」が、本願発明の「トナー」に相当することは、明らかであるので、引用発明の「感光ドラム4上に形成した静電潜像を現像剤を内包した現像器2により可視化する現像器2」は、本願発明の「感光体に形成された静電潜像をトナーの付着によって現像する現像手段」に相当する。 また、引用発明の「転写材1」は、本願発明の「記録材」に相当し、「感光ドラム4と対向する位置にある画像転写領域まで搬送された転写材1に」転写するので、転写材1が感光ドラム4に接していることは明らかであるので、引用発明の「感光ドラム4上に形成した静電潜像を現像剤を内包した現像器2により可視化する現像器2」は、本願発明の「感光体周面に接する記録材に、現像されたトナー像を転写させるための転写手段」に相当する。 そして、引用発明の「カラー画像形成装置」は、本願発明の「画像形成装置」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「感光体を帯電させる帯電手段と、 前記帯電手段により帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、 前記感光体に形成された静電潜像をトナーの付着によって現像する現像手段と、 前記感光体周面に接する前記記録材に、現像されたトナー像を転写させるための転写手段を備え、 た画像形成装置。」である点で一致し、以下の各点で相違する。 相違点1; 本願発明は、コロナ放電器、帯電ケース及び電圧制御部材を有しているのに対し、引用発明は、そのような限定がない点。 相違点2; 本願発明は、帯電手段の前工程としての前記感光体の帯電履歴を消去する除電工程を省略しているのに対し、引用発明は、その点の明示的限定がない点。 相違点3; 本願発明は、複数のプロセス速度への切り替えを行う画象形成装置において、第一のプロセス速度V1による作像時の前記帯電手段の駆動電流値M1と、第一のプロセス速度V1よりも大なる第二のプロセス速度V2による作像時の前記帯電手段の駆動電流値M2の関係式が M2≧(0.9+0.1×V2/V1)×M1 を満たすように、設定、若しくは制御するのに対し、引用発明は、そのような限定がない点。 (4)当審の判断 以下、各相違点について検討する。 相違点1について 帯電手段が、コロナ放電器、帯電ケースを有している点は、上記周知例1、2、4にあるように従来周知の技術事項である。また、電圧制御部材を有することも、感光体を帯電させる場合に電圧を制御することは、普通に行われていることであり、何ら格別な限定ではない。なお、上記周知例4の記載事項サ.の【図3】の「CPU帯電制御部」からも、電圧制御部材を有することが普通に行われていることであると推察される。 結局、上記相違点1に係る本願発明の構成を限定することは、当業者にとって容易である。 相違点2について 引用例1にも、感光体の帯電履歴を消去するものではないが、コストの低減を図る等のために、上記記載事項ウ.に除電帯電器を不要とした点が記載されている。 また、上記周知例3の記載事項ク.、周知例4の記載事項ケ.には、除電帯電器を有している旨の記載がない画像形成装置が記載されている。 結局、上記相違点2に係る本願発明の構成を限定することは、当業者にとって容易である。 相違点3について 引用例2には、本願発明の条件式を満足する感光体1の周速度(本願発明の「プロセス速度」に相当する。)と、感光体1へ向って流れる電流(本願発明の「駆動電流値」に相当する。)とが記載されている。そして、上記補正却下の[理由2]でも述べたように、条件式に格別有意な臨界的意義があるとも言えない。 なお、上記周知例4の記載事項シ.にも、本願発明の条件式を満足する数値が記載されている。 結局、上記相違点3に係る本願発明の構成を限定することは、当業者にとって容易である。 そして、本願発明の効果も、引用発明、引用例2に記載された発明及び従来周知の技術事項から予測される範囲のもので格別のものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用例1、2に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-09-03 |
結審通知日 | 2007-09-04 |
審決日 | 2007-09-19 |
出願番号 | 特願平11-298720 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G03G)
P 1 8・ 57- Z (G03G) P 1 8・ 121- Z (G03G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金田 理香 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
森口 良子 森内 正明 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 神田 正義 |
代理人 | 藤本 英介 |
代理人 | 宮尾 明茂 |