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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1166942
審判番号 不服2005-5441  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-31 
確定日 2007-11-01 
事件の表示 平成 8年特許願第 86971号「半導体チップのピックアップ方法とピックアップ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月31日出願公開、特開平 9-283983〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年4月10日の出願であって、平成17年2月21日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年3月31日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、同年4月26日付けで手続補正がされたものである。

2.平成17年4月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
【補正却下の決定の結論】
平成17年4月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

【決定の理由】
[1]本件補正の内容
本件補正のうち、特許請求の範囲に係る補正の内容の一つは、請求項2の「前記ピックアップステージに移載する途中のウェハーを画像認識してウェハーの各位置ごとの半導体チップの良否判定して良否判定と位置を同時に認識する撮像判定処理手段」を、「前記ピックアップステージに移載するために通過する途中のウェハーの全体を画像認識してウェハーの各位置ごとの半導体チップの良否判定して良否判定と位置を同時に認識する撮像判定処理手段」と補正するものである。

[2]本件補正の適否
上記補正は、補正前の請求項2に係る発明について、撮像判定処理手段により画像認識するウェハーが、「ピックアップステージに移載するために通過する途中」のものであると限定し、更に、撮像判定処理手段により画像認識するウェハーの領域を、「ウェハーの全体」と限定するものであり、この発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項2に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

〈独立特許要件について〉
[2-1]本願補正発明
本件補正後の発明は、補正後の明細書の特許請求の範囲の請求項1?2に記載されたものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願補正発明2」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項2】半導体チップをウェハーからピックアップして後段の製造ラインへ供給する半導体チップのピックアップ装置において、前記ピックアップステージに移載するために通過する途中のウェハーの全体を画像認識してウェハーの各位置ごとの半導体チップの良否判定して良否判定と位置を同時に認識する撮像判定処理手段と、ピックアップステージに到着したウェハーから前記良否判定と位置に基づいて良品と判定された半導体チップを、ピックアップステージでの良否判定無しにピックアップして後段の製造ラインへ供給するピックアップ手段とを設けた半導体チップのピックアップ装置。」

[2-2]引用例及び引用例の主な記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭60-178639号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「このペレット選別装置は、検知テーブル1上にウエハ2を各ペレット3に分割、整列させ、これらペレット3をラインセンサ4を用いて良品ペレット5、不良ペレット6のいずれかに検知、分類させ、次いでペレット3をピックアップテーブル7に移載するようにし、移載されたペレット3のうち良品ペレット5のみをコレット8で選別、吸着させるものである。選別、吸着された良品ペレット5は位置決め装置9の位置決め台10へ移載させ、さらに位置決め台10上で整列させた良品ペレット5をXY方向に駆動可能なマウントユニット11により搬送ラインA上に搬送される基板12のマウント位置13にマウントさせるようにしている。」(第3頁左上欄第5?18行、なお、「ペレット3にうち」は、「ペレット3のうち」の誤記と認める。)
(イ)「検知テーブル1の上方位置には、粘着シート18の上面に整列されたペレット3を検知カメラ21およびストロボ22の閃光により検知可能とするラインセンサ4が配置される。ラインセンサ4は、長さLの線23で検知対象を捕捉するものであり、本実施例では一本の線23を1024?2048ビットの情報量で検知対象を捕捉し、検知された線情報をラインセンサ4と接続されるメモリ部24で記憶可能としている。ラインセンサ4の検知範囲は、検知テーブル1のXY方向の移動により、粘着シート18に被着されたペレット3の全体に及び、コントローラ25により、検知テーブル1の移動速度、XY方向の移動順路、さらには一定周期で閃光するストロボ22の閃光周期を制御し、移動により得られる整列されたペレット3に関する線情報をラインセンサ4により順次検知し、さらにこれら線情報をメモリ部24で順次記憶するようにしている。記憶された線情報はメモリ部24で合成されて面情報とされ、この結果、粘着シート18上に整列するペレット3の全体が、メモリ部24で検知可能となる。」(第3頁左下欄第1行?右下欄第1行)
(ウ)「メモリ部24には、予め検知テーブル1上に分割、整列されたペレット3と同じ型の良品ペレット5に関する基準情報が入力されている。良品ペレット5に関する基準情報には、第4図に示すようにペレット5の縦Eおよび横Fの外形寸法、整列されたペレット5間の間隔W、隣接するペレット5間の中心間距離Gなど様々なものがあり、メモリ部24でこれら良品ペレット5に関する基準情報と検知テーブル1上に整列されたペレット3に関する面情報を比較し、比較の結果、粘着シート18に被着されたペレット3のうち不良ペレット6の位置を認定し検出するようにしている。不良ペレット6の位置の認定方法には、様々なものがあり、例えばカセットリング19に支持された粘着シート18の上面の任意位置を座標中心とし、該座標中心からXY方向への移動距離に基づき、不良ペレット6の位置を認定し、さらに記憶を行うようにしておけばよい。不良ペレット6には、第5図に示すように半導体検査装置による検査の結果、不良マーク20に表示されたペレット26、破壊、分離の際割れの生じたペレット27、あるいは欠けの生じたペレット28、さらには円形のウエハ2の端部に相当し、規格から外れたペレット29などがあり、粘着シート18上におけるこれらの位置をメモリ部24で検出することにより、結果として良品ペレット5の位置の検出を行うものである。」(第3頁右下欄第14行?第4頁左上欄第20行)
(エ)「ラインセンサ4による検知が終了し、不良ペレット6の位置の認定が行われたら、粘着シート18の上面に分割、整列されたペレット3をカセットリング19に支持させたままの状態でピックアップテーブル7に移載させる。ピックアップテーブル7は、検知テーブル1と同様に架台30に対してXY方向に移動自在であり、カセットリング19は、検知テーブル1での支持状態に相応させてピックアップテーブル7の上部に位置し、ボンディングアーム31の先端に取付けられたコレット8により、粘着シート18上面のペレット3を吸着、摘出可能としている。コレット8は、ピックアップ点32でペレット3を吸着して矢示H方向に回動し、次いで位置決め装置9の位置決め台10上で吸着を解除し、該位置にペレット3を移載するようにしている。ピックアップテーブル7は、コレット8のピックアップ点32に順次ペレット3が位置されるようにXY方向に移動され、ピックアップテーブル7のXY方向の移動は、メモリ部24の指令に基づいて行われるようにしている。すなわち、メモリ部24でその整列位置が検出された不良ペレット6が、コレット8のピックアップ点32に位置されないようにピックアップテーブル7の移動がメモリ部24の指令により制御され、この結果良品ペレット5のみがコレット8により選別、吸着され、位置決め台10に移載可能となる。さらに位置決め台10に移載、整列された良品ペレット5は、マウントユニット11により基板12のマウント位置13にマウントされ、これによりペレットボンディングが行われるようにしている。」(第4頁右上欄第1行?左下欄第12行)
(オ)図1には、検知テーブル1と、ピックアップテーブル7とが、間隔を空けて設置されていることが示されている。

[2-3]当審の判断
(1)引用例に記載された発明
引用例の摘示(ア)には、「このペレット選別装置は、検知テーブル1上にウエハ2を各ペレット3に分割、整列させ、これらペレット3をラインセンサ4を用いて良品ペレット5、不良ペレット6のいずれかに検知、分類させ、次いでペレット3をピックアップテーブル7に移載するようにし、移載されたペレット3にうち良品ペレット5のみをコレット8で選別、吸着させるものである。選別、吸着された良品ペレット5は位置決め装置9の位置決め台10へ移載させ、さらに位置決め台10上で整列させた良品ペレット5をXY方向に駆動可能なマウントユニット11により搬送ラインA上に搬送される基板12のマウント位置13にマウントさせるようにしている。」と記載されている。
そして、上記ラインセンサに関し、摘示(イ)には、「検知テーブル1の上方位置には、粘着シート18の上面に整列されたペレット3を・・・検知可能とするラインセンサ4が配置される。・・・ラインセンサ4の検知範囲は・・・粘着シート18に被着されたペレット3の全体に及び・・・」と記載されているから、このラインセンサは、整列されたペレットの全体を検知しているといえ、また、摘示(ウ)には、「・・・粘着シート18に被着されたペレット3のうち不良ペレット6の位置を認定し検出するようにしている。・・・粘着シート18上におけるこれらの位置をメモリ部24で検出することにより、結果として良品ペレット5の位置の検出を行うものである。」との記載があるから、このラインセンサは、整列されたペレットの不良ペレット及び良品ペレットの位置を検出しているといえ、言い換えれば、整列されたペレットの各位置ごとの不良ペレット及び良品ペレットを検出しているといえる。よって、引用例には、「整列されたペレットの全体を検知して整列されたペレットの各位置ごとの不良ペレット及び良品ペレットを検出するラインセンサ」が記載されているといえる。
さらに、上記コレットに関し、摘示(エ)の「ラインセンサ4による検知が終了し、不良ペレット6の位置の認定が行われたら粘着シート18の上面に分割、整列されたペレット3をカセットリング19に支持させたままの状態でピックアップテーブル7に移載させる。・・・良品ペレット5のみがコレット8により選別、吸着され、位置決め台10に移載可能となる。」という記載によれば、このコレットは、ピックアップテーブルに移載された整列されたペレットから良品ペレットを位置決め台に移載するのであり、一方、ラインセンサによる検知は、整列されたペレットをピックアップテーブルに移載する前に行うのであるから、引用例には、「ピックアップテーブルに移載された整列されたペレットから良品ペレットを、ピックアップステージでのラインセンサによる検知を行うことなしに吸着して位置決め台に移載するコレット」が記載されているといえる。
以上の記載及び認定事項を、本願補正発明2の記載ぶりに則り整理すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
『ペレットを整列されたペレットから吸着して位置決め台に移載するペレットを移載する装置において、ピックアップテーブルに移載する前の整列されたペレットの全体を検知して整列されたペレットの各位置ごとの不良ペレット及び良品ペレットを検出するラインセンサと、ピックアップテーブルに移載された整列されたペレットから良品ペレットを、ピックアップステージでのラインセンサによる検知を行うことなしに吸着して位置決め台に移載するコレットと、を設けたペレットを移載する装置。』

(2)本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明2と引用発明とを対比する。
引用発明の『ペレット』、『整列されたペレット』、『吸着』、『ペレットを移載する装置』、『ピックアップテーブル』及び『検知』は、それぞれ本願補正発明2の「半導体チップ」、「ウェハー」、「ピックアップ」、「ピックアップ装置」、「ピックアップステージ」及び「画像認識」に相当する。また、引用発明の『位置決め台に移載する』ことは、本願補正発明2の「後段の製造ラインへ供給する」ことの一態様であり、さらに、引用発明の『ラインセンサ』及び『コレット』は、本願補正発明2の「撮像判定処理手段」及び「ピックアップ手段」の一種である。そして、引用発明の『各位置ごとの不良ペレット及び良品ペレットを検出』することは、本願補正発明2の「各位置ごとの半導体チップの良否判定」することに相当し、各位置ごとの半導体チップの良否判定を行うのであれば、「良否判定と位置を同時に認識する」ことになるのは自明である。さらに、引用発明の『良品ペレット』は、本願補正発明2の「良否判定と位置に基づいて良品と判定された半導体チップ」に相当し、引用発明の『ラインセンサによる検知を行うことなしに』は、本願補正発明2の「良否判定無しに」に相当する。
してみると、本願補正発明2と引用発明とは、「半導体チップをウェハーからピックアップして後段の製造ラインへ供給する半導体チップのピックアップ装置において、前記ピックアップステージに移載する前のウェハーの全体を画像認識してウェハーの各位置ごとの半導体チップの良否判定して良否判定と位置を同時に認識する撮像判定処理手段と、ピックアップステージに到着したウェハーから前記良否判定と位置に基づいて良品と判定された半導体チップを、ピックアップステージでの良否判定無しにピックアップして後段の製造ラインへ供給するピックアップ手段とを設けた半導体チップのピックアップ装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点:撮像判定処理手段について、本願補正発明2では、該撮像判定処理手段が、ピックアップステージに移載するために通過する途中のウェハーを画像認識するものであるのに対して、引用発明は、該撮像判定処理手段が、ピックアップステージに移載するために通過する途中のウェハーを画像認識するものではない点

(3)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
被処理物の移動を利用して効率的に良否判定を行うために、通過する途中の被処理物を認識するラインセンサを設け、ラインセンサにより被処理物を画像認識して良否判定することは、技術分野を問わず、本願出願前に周知の事項である(例えば、特開昭62-100093号公報(特に、第4図、第4頁左上欄第3行?右上欄第9行)、特開昭63-148151号公報(特に、第1図、第2頁左下欄第4?14行、第2頁右下欄第16行?第3頁左上欄第11行)、特開平7-260445号公報(特に、図1、【0010】?【0020】)、参照)。
一方、引用発明は、摘示(オ)によれば、ウェハーをピックアップテーブルに移載する際に、検知テーブルとピックアップテーブルとの間を、ウェハーが移動するものであるといえるし、さらに、ラインセンサによりウェハーを画像認識して良否判定をしているのであるから、引用発明において、ウェハーの移動を利用して効率的に良否判定を行うために、ラインセンサ、すなわち撮像判定処理手段を、ピックアップステージに移載するために通過する途中のウェハーを画像認識するものとすることは、当業者が容易に想到することができたことである。
よって、相違点は容易になし得たことである。

(4)小括
したがって、本願補正発明2は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

[2-4]むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明についての審決
[1]本願発明
平成17年4月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、同年1月31日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?2に記載されたものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明2」という。)は次のとおりである。
「【請求項2】半導体チップをウェハーからピックアップして後段の製造ラインへ供給する半導体チップのピックアップ装置において、前記ピックアップステージに移載する途中のウェハーを画像認識してウェハーの各位置ごとの半導体チップの良否判定して良否判定と位置を同時に認識する撮像判定処理手段と、ピックアップステージに到着したウェハーから前記良否判定と位置に基づいて良品と判定された半導体チップを、ピックアップステージでの良否判定無しにピックアップして後段の製造ラインへ供給するピックアップ手段とを設けた半導体チップのピックアップ装置。」

[2]原査定の理由の概要
原審の拒絶査定の理由の概要は、本願発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記1?2の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開昭58-125837号公報
2.特開昭60-178639号公報

[3]引用例及び引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭60-178639号公報(引用例)及びその主な記載事項は、上記2.[2-2]に記載したとおりである。

[4]当審の判断
上記2.[2-1]の本願補正発明2は、本願発明2の撮像判定処理手段により画像認識するウェハーが、「ピックアップステージに移載するために通過する途中」のものであると限定し、更に、撮像判定処理手段により画像認識するウェハーの領域を、「ウェハーの全体」と限定することにより、発明を特定するために必要な事項をより狭い範囲に限定したものである。
このように発明を特定するために必要な事項をより狭い範囲に限定した本願補正発明2が、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明2も、上記2.[2-3]に記載したものと同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[5]むすび
以上のとおり、本願発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-30 
結審通知日 2007-09-04 
審決日 2007-09-19 
出願番号 特願平8-86971
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真  
特許庁審判長 長者 義久
特許庁審判官 井上 猛
坂本 薫昭
発明の名称 半導体チップのピックアップ方法とピックアップ装置  
代理人 森本 義弘  
代理人 板垣 孝夫  
代理人 笹原 敏司  
代理人 原田 洋平  

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