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審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1167026
審判番号 不服2004-2490  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-09 
確定日 2007-10-29 
事件の表示 特願2000-217915「インターネット用商品サービスシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月31日出願公開、特開2002- 32657〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年7月18日の出願であって、平成16年1月8日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月3日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年3月3日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年3月3日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
平成16年3月3日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は、
「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信するための商品データベースと、前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報がパソコンに表出し掲示できるデータベースと、前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを検索する消費者のパソコンとからなり、配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するために見ることができるようにし、前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のインターネット上の掲示料は前記各保険会社から徴収するようにしたことを特徴とするインターネット用商品サービスシステム。」
と補正された。

(2)補正の目的について
補正前の記載と補正後の記載からみて、本件補正は以下の補正事項を含むと認められる。
(ア)「web加工して」の記載を追加する補正事項。(以下「補正事項(ア)」という。)
(イ)「総合評価表」を「総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報」に変更する補正事項。(以下「補正事項(イ)」という。)
補正事項(ア)は、補正前の請求項1の「前記商品に関するサービスの情報を収集、整理し」に「web加工して」との限定を付加するものであるので、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
補正事項(イ)は、データベースの情報について補正前の請求項1の「総合評価表」を「総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報」に限定するものであるので、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項(ア)及び(イ)を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3-1)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、特許法第29条第1項柱書の規定に関する拒絶の理由についての以下のとおり主張している。
『1.本願出願人は、拒絶査定に対する審判請求の日から30日経過前の、平成16年3月3日付けで手続補正書を提出し、本願の特許請求の範囲を補正致しました。
この補正により本願発明は、
「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信するための商品データベースと、前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報がパソコンに表出し掲示できるデータベースと、前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを検索する消費者のパソコンとからなり、配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するために見ることができるようにし、前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のインターネット上の掲示料は前記各保険会社から徴収するようにしたことを特徴とするインターネット用商品サービスシステム。」
となった。
即ち、本願発明は、
(1)保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信するための商品データベースと、
(2)前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報がパソコンに表出し掲示できるデータベースと、
(3)前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを検索する消費者のパソコンとからなり、
(4)配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するために見ることができるようにし、
(5)前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のインターネット上の掲示料は前記各保険会社から徴収するようにした
(6)ことを特徴とするインターネット用商品サービスシステム。
の構成となった。
2.審査官は、拒絶理由通知書中の理由Aにおいて、
「補正後の請求の範囲の記載についても”・・・配信するデータベース”、”・・・できるデータベース”、”・・・できるようにし”等、達成すべき機能をそのまま特定するだけの構成要素や、”徴収するようにした”というコンピュータの動作ではないビジネス自体に関する事項を特定するものであって、コンピュータの具体的な情報処理が全く記載されておらず、依然として、実質的にビジネス自体を記載しているにすぎない。」指摘されておられる。
しかしながら、本願発明では、上記1.(1)の構成要件に記載したように、「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報」を「収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し」のように、コンピュータにより情報処理し、その情報処理した情報を消費者にインターネットにより配信しているのである。
また、上記(2)の構成要件に記載したように、
「前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報」がコンピュータである「パソコン」に「表出し掲示し」する情報処理が明示してある。
更に、上記1.(3)に記載したように、
「前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報」を「検索する消費者のコンピュータであるパソコン」とからなりと記載し、情報をコンピュータであるパソコンにより「検索」の処理がされている。
そして、上記1.(4)の構成要件に記載したように、
「配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベース」を「前記消費者は、コンピュータであるパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するためにコンピュータであるパソコンで見ることができるように」してある。
そして、また上記1.(5)の構成要件に記載したように、
「前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報」の「インターネット上の掲示料はコンピュータであるパソコン」を介在させて「前記各保険会社からパソコンを利用して徴収する」のである。
【むすび】
以上の理由により、本願特許出願人は、手続補正書を提出し明細書を補正致しましたので、特許法第29条第1項柱書に該当する発明ではないものと考えております。』

(3-2)判断
本願補正発明が特許法第29条第1項柱書の規定を満たしているかどうか、補正後の請求項1の記載を、便宜上以下のとおりの(a)?(f)に分けて検討する。
(a)「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信するための商品データベースと、」
(b)「前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報がパソコンに表出し掲示できるデータベースと、」
(c)「前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを検索する消費者のパソコンとからなり、」
(d)「配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するために見ることができるようにし、」
(e)「前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のインターネット上の掲示料は前記各保険会社から徴収するようにした」
(f)「ことを特徴とするインターネット用商品サービスシステム。」

上記(a)の記載について検討すると、上記(a)の記載は、本願補正発明のシステムで利用される商品データベースの利用目的を「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信する」ことに限定することに留まる。
そして、上記(a)の記載は、コンピュータの処理に関する記載とは認められないため、審判請求人の上記1.(1)の構成要件についての主張を採用することができない。

上記(b)の記載について検討すると、上記(b)の記載は、本願補正発明のシステムで利用されるデータベースの利用目的を「前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報がパソコンに表出し掲示できる」ことに特定するに留まる。
そして、上記(b)の記載は、コンピュータの処理に関する記載とは認められないため、審判請求人の上記1.(2)の構成要件についての主張を採用することができない。

上記(c)の記載について検討すると、上記(c)の記載は、本願補正発明のシステムで利用される消費者のパソコンの利用目的を「前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを検索する」ことに特定するに留まる。
そして、上記(c)の記載は、コンピュータの処理に関する記載とは認められないため、審判請求人の上記1.(3)の構成要件についての主張を採用することができない。

上記(d)の記載について検討すると、上記(d)の記載では、動作の主体が記載されておらず、単に、人為的に取り決められたビジネスの手法の一部が記載されているにすぎないため、上記(d)の記載は、コンピュータの処理の記載とは、認められない。
そして、上記(d)の記載は、コンピュータの処理に関する記載とは認められないため、審判請求人の上記1.(4)の構成要件についての主張を採用することができない。

上記(e)の記載について検討すると、上記(e)の記載では、動作の主体が記載されておらず、単に、人為的に取り決められたビジネスの手法の一部が記載されているにすぎないため、上記(e)の記載は、コンピュータの処理の記載とは、認められない。
そして、上記(e)の記載は、コンピュータの処理に関する記載とは認められないため、審判請求人の上記1.(5)の構成要件についての主張を採用することができない。

上記(f)の記載を検討すると、上記(f)の記載は、本願補正発明のシステムを「インターネット用商品サービスシステム」に特定するに留まる。

以上の事項からみて、請求項1の記載には、本願補正発明のシステムに利用される商品データベース、データベース、パソコンを特定しているものの、請求項1の記載は、それらの商品データベース、データベース、パソコンを単に道具として用いた、人為的に取り決められたビジネスの手法を提示しているにすぎないので、本願補正発明は、実質的に人為的取り決めそのものであり、特許法第2条でいう「発明」すなわち「自然法則法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとは認められない。

なお、上述したとおり、請求項1の記載では、上記(d)及び(e)に記載された処理の主体が不明であり、コンピュータが実行していることが明示されていないことは明らかであるが、仮に、請求項1の記載において、上記(d)及び(e)に記載された動作の処理を代理店に設けられたコンピュータが実行するとして、以下に検討する。
このような場合には、請求項1に係る発明がコンピュータ・ソフトウエア関連発明であることは明らかであり、このようなコンピュータ・ソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明は、そもそも一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって、所定の技術的課題を解決できるような特有の構成が具体的に提示されている必要があるというべきである。
そこで、請求項1の記載を便宜上前述のとおりの(a)?(f)に分けて、ソフトウエアにより実現される機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるかが具体的に提示されているか否か検討する。
上記(a)の記載について検討すると、上記(a)の記載は、本願補正発明のシステムが備えるハードウエア資源である商品データベースの利用目的を「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信する」ことに限定することに留まる。

上記(b)の記載について検討すると、上記(b)の記載は、本願補正発明のシステムに備えられるハードウエア資源であるデータベースの利用目的を「配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入する」ことに特定するに留まる。

上記(c)の記載について検討すると、上記(c)の記載は、本願補正発明のシステムで利用される消費者のパソコンの利用目的を「前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを検索する」ことに特定するに留まる。

上記(d)の記載について検討すると、上記(d)には、本願補正発明のシステムが備えるハードウエア資源として、「データベース」及び「パソコン」が記載されているものの、「データベース」に関する記載は、情報の記憶場所を特定するに留まり、「パソコン」に関する記載はID番号及び認証番号の入力場所を特定するに留まり、上記(d)の記載では、配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを見ることができるようにどのような情報をどのように情報処理するのか具体的に記載されていないので、上記(d)の記載は、本願補正発明のシステムの機能を「配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するために見ることができるようにする」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるかが具体的に提示されているとは認められない。

上記(e)の記載について検討すると、上記(e)には、本願補正発明のシステムが備えるハードウエア資源として何も記載されておらず、上記(e)の記載では、どのような情報をどのように情報処理して掲示料を保険会社から徴収するのか具体的に記載されていないので、上記(e)の記載は、本願補正発明のシステムの機能を「前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のインターネット上の掲示料は前記各保険会社から徴収する」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるかが具体的に提示されているとは認められない。

上記(f)の記載を検討すると、上記(f)の記載は、本願補正発明のシステムを「インターネット用商品サービスシステム」に特定するに留まる。

また、全体としても、本願補正発明のシステムに備えられているハードウエア資源は記載されているものの、どのような情報をどのように情報処理しているのか具体的に記載されていないため、本願補正発明のシステムの機能を特定するに留まり、その機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるのかが具体的に提示されているとは認められない。

以上の検討によれば、本願補正発明のシステムの機能が、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって、どのようにして実現されるのか、という点に関しては、何ら具体的に記載されておらず、かつ、その情報処理が、請求項1の記載から当業者にとって自明であるとは認められるものではない。
したがって、本件補正発明は、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によってその技術的課題を解決できるような特有の構成を具体的に提示するものではないから、特許法第2条でいう「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとは認められず、特許法第29条第1項柱書の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、請求項1に記載された動作の主体を人間と解しても、コンピュータと解しても、本件補正発明は、特許法第2条でいう「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとは認められない。

(3-3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

4.原査定の拒絶の理由Aの概要について
拒絶理由通知及び拒絶査定の記載からみて、原査定の拒絶の理由Aの概要は以下のとおりである。
『A.この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。


・請求項1
・備考
請求項1に係る発明は、末尾こそ「システム」となっているが、実質的にビジネス自体を記載したものであり、コンピュータ等のハードウェア資源を具体的に利用するソフトウェアによる情報処理を記載したものではないから、人為的な取決めを記載したものにすぎず、自然法則を利用した技術的思想の創作である発明には該当しない。』

5.本願発明について
平成16年3月3日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年12月15日付の手続補正書により補正された平成15年11月25日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1の記載を便宜上以下のとおりの(g)?(l)に分けて検討する。
(g)「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理し各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信する商品データベースと、」
(h)「前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表をパソコンに表出し掲示できるデータベースと、」
(i)「前記商品データベース、前記保険情報比較表及び総合評価表のデータベースを検索する消費者のパソコンとからなり、」
(j)「配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するために見ることができるようにし、」
(k)「前記保険情報比較表及び総合評価表の情報のインターネット上の掲示料は前記各保険会社から徴収するようにした」
(l)「ことを特徴とするインターネット用商品サービスシステム。」

上記(g)の記載について検討すると、上記(g)の記載は、本願発明のシステムで利用される商品データベースの利用目的を「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理し各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信する」ことに限定することに留まる。

上記(h)の記載について検討すると、上記(h)の記載は、本願発明のシステムで利用されるデータベースの利用目的を「前記商品データベースに基づいて、各保険会社の財務体質、運用力、社員の質の評価を○×により評価するとともに各保険会社の商品についても商品名毎に保障内容、配当金額、保険料等について○×により評価した保険情報比較表及び前記各保険会社等の財務体質、運用力、社員の質、商品の保障内容、配当金額、保険料等から前記各保険会社の総合評価表をパソコンに表出し掲示できる」ことに特定するに留まる。

上記(i)の記載について検討すると、上記(i)の記載は、本願発明のシステムで利用される消費者のパソコンの利用目的を「前記商品データベース、前記保険情報比較表及び総合評価表のデータベースを検索する」ことに特定するに留まる。

上記(j)の記載について検討すると、上記(j)の記載では、動作の主体が記載されておらず、単に、人為的に取り決められたビジネスの手法の一部が記載されているにすぎないため、コンピュータの処理の記載とは、認められない。

上記(k)の記載について検討すると、上記(k)の記載では、動作の主体が記載されておらず、単に、人為的に取り決められたビジネスの手法の一部が記載されているにすぎないため、コンピュータの処理の記載とは、認められない。

上記(l)の記載について検討すると、上記(l)の記載では、本願発明のシステムを「インターネット用商品サービスシステム」に特定するに留まる。

以上の事項からみて、請求項1の記載には、本願発明のシステムに利用される商品データベース、データベース、消費者のパソコンを特定しているものの、請求項1の記載は、それらの商品データベース、データベース、パソコンを単に道具として用いた、人為的に取り決められたビジネスの手法を提示しているにすぎないので、本願発明は、実質的に人為的取り決めそのものであり、特許法第2条でいう「発明」すなわち「自然法則法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとは認められない。

なお、上述したとおり、請求項1の記載では、上記(j)及び(k)に記載された処理の主体が不明であり、その処理をコンピュータが実行していることが明示されていないことは明らかであるが、仮に、上記(j)及び(k)に記載された動作の処理を代理店に設けられたコンピュータが実行するとして、以下で検討する。
このような場合に、請求項1に係る発明がコンピュータ・ソフトウエア関連発明であることは明らかであり、このようなコンピュータ・ソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明は、そもそも一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって、所定の技術的課題を解決できるような特有の構成が具体的に提示されている必要があるというべきである。
そこで、請求項1の記載を便宜上前述のとおりの(g)?(l)に分けて、ソフトウエアにより実現される機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるかが具体的に提示されているか否か検討する。

上記(g)の記載について検討すると、上記(g)の記載は、本願発明のシステムが備えるハードウエア資源である商品データベースの利用目的を「保険会社がインターネットを利用して配信している保険、金融等の商品に関するサービスの情報をインターネット顧客代理店、パートーナー代理店等が前記商品に関するサービスの情報を収集、整理しweb加工して各項目毎に分類し消費者にインターネットにより配信する」ことに限定することに留まる。

上記(h)の記載について検討すると、上記(h)の記載は、本願発明のシステムに備えられるハードウエア資源であるデータベースの利用目的を「配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入する」ことに特定するに留まる。

上記(i)の記載について検討すると、上記(i)の記載は、本願発明のシステムで利用される消費者のパソコンの利用目的を「前記商品データベース、保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを検索する」ことに特定するに留まる。

上記(j)の記載について検討すると、上記(j)には、ハードウエア資源として、データベース及び消費者のパソコンが記載されているものの、データベースに関する記載は、情報の記憶場所を特定するに留まり、パソコンに関する記載はID番号及び認証番号の入力場所を特定するに留まり、上記(j)の記載では、配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを見ることができるようにどのような情報をどのように情報処理するのか具体的に記載されていないので、上記(j)の記載は、本願発明のシステムの機能を「配信されているインターネットを通して前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のデータベースを前記消費者はパソコンからID番号及び認証番号を入力して商品を比較して購入するために見ることができるようにする」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるかが具体的に提示されているとは認められない。

上記(k)の記載について検討すると、上記(k)には、ハードウエア資源として何も記載されておらず、上記(k)の記載では、どのような情報をどのように情報処理して掲示料を保険会社から徴収するのか具体的に記載されていないので、上記(k)の記載は、本願発明のシステムの機能を「前記保険情報比較表及び総合評価表の保険のサービス内容を比較し加工し掲示された情報のインターネット上の掲示料は前記各保険会社から徴収する」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるかが具体的に提示されているとは認められない。

上記(l)の記載について検討すると、上記(l)の記載は、本願発明のシステムを「インターネット用商品サービスシステム」に特定するに留まる。
また、全体としても、本願発明のシステムに備えられているハードウエア資源は記載されているものの、どのような情報をどのように情報処理しているのか具体的に記載されていないため、本願発明のシステムの機能を特定するに留まり、その機能がハードウエア資源を用いてどのように実現されるのかが具体的に提示されているとは認められない。

以上の検討によれば、本願発明のインターネット用商品サービスシステムの機能が、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって、どのようにして実現されるのか、という点に関しては、何ら具体的に記載されておらず、かつ、その情報処理が、請求項1の記載から当業者にとって自明であるとは認められるものではない。
したがって、本件発明は、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によってその技術的課題を解決できるような特有の構成を具体的に提示するものではないから、特許法第2条でいう「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとは認められない。

よって、請求項1に記載された動作の主体を人間と解しても、コンピュータと解しても、本件発明は、特許法第2条でいう「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとは認められない。

6.結び
以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第2条でいう「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとは認められないため、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-31 
結審通知日 2007-09-03 
審決日 2007-09-14 
出願番号 特願2000-217915(P2000-217915)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 1- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 達也  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 久保田 昌晴
岩間 直純
発明の名称 インターネット用商品サービスシステム  
代理人 中川 邦雄  
代理人 中川 邦雄  
代理人 中川 邦雄  

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