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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1167250
審判番号 不服2002-25234  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-27 
確定日 2007-11-09 
事件の表示 平成11年特許願第278591号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月21日出願公開、特開2000- 79245〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成3年4月9日に出願された特許出願(特願平3-161968号)の一部が特許法第44条第1項の規定により平成11年9月30日に新たな出願とされたものであって、平成14年11月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、当審から平成17年4月26日付けで拒絶理由が通知され、平成17年7月11日付けで明細書に係る手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1乃至5に係る発明は、平成17年7月11日付けの手続補正によって補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された「パチンコ機」にあると認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
「前枠(1)に備える機構板(2)に対して遊技板(8)を着脱自由にしたパチンコ機において、
前記機構板(2)にはその背面に賞球装置等の制御を行う本体制御回路(24)と取付基板(13)の装着部(15)を介して外部中継端子基板(14)とを備え、他方前記遊技板(8)の背面には入賞装置等の制御を行う遊技制御回路(19)を備え、その一方前記外部中継端子基板(14)には本体制御回路コネクター端子(28)と、遊技制御回路コネクター端子(34)とを備えて、前記本体制御回路コネクター端子(28)には各種信号用のコードを一纏めにしたコード(26)を介して各種の信号を出力する前記本体制御回路(24)を、そして、前記遊技制御回路コネクター端子(34)にはコード(35)とこのコード(35)の端部に設けられる接続コネクター端子(36)を介して前記遊技板の背面に設ける接続コネクター端子(21)に着脱自由に接続し、且つ該接続コネクター端子(21)、コード(20)の束を介して各種の信号を出力する前記遊技制御回路(19)を、それぞれ着脱自由に接続してなることを特徴としたパチンコ機。」

3.引用例及び引用発明
(1)当審拒絶理由通知
当審は、平成17年4月26日付の拒絶理由で、本願の請求項1乃至6に係る発明は、下記の第1引用例乃至第7引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨通知した。
第1引用例.特開昭62-299283号公報
第2引用例.実願平1-75966号(実開平3-15593号)
のマイクロフィルム
第3引用例.特開平2-203883号公報
第4引用例.特開昭63-283670号公報
第5引用例.実願昭62-78404号(実開昭63-186478号)
のマイクロフィルム
第6引用例.特開昭64-5580号公報
第7引用例.実願昭61-106366号(実開昭63-13188号)
のマイクロフィルム

(2)第1引用例に記載の事項及び引用発明
i.第1引用例〔特開昭62-299283号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「さらに、裏機構盤1には、上記賞品球排出装置20やオーバフロー検出器92からの検出信号による打球発射停止、各種表示装置の駆動などパチンコ遊技機全体の電気的な制御を行なうための制御装置200及び遊技盤前面の各種変動入賞装置や可変表示型補助遊技装置等に内蔵された検出器からの信号に基づいてそれらの遊技動作を制御する遊技内容制御装置210が設けられている。パチンコ遊技機の分野では、遊技内容の単調化による遊技客離れを防止するため、遊技内容や意匠的な構成の異なる新しい遊技盤と交換することが行なわれるが、その場合にも遊技盤を除くパチンコ遊技機本体や裏機構盤はほとんど同一である。しかるに、そのような不変部分についてもその寿命に達する以前に遊技盤と一緒に交換してしまうことは非常に不経済である。上記実施例では、遊技盤の交換に際して遊技盤とその遊技内容制御装置210のみ交換すれば良いような構成にされている。つまり、遊技内容制御装置210は着脱可能な遊技盤の裏面に固定されており、賞品球排出装置20や入賞球処理装置40及びそれらの制御装置200は、予備球貯留タンク2や各種誘導樋10?17とともに遊技機本体と一体の裏機構盤1に固定されている。従って、遊技盤を交換する場合にも、本体及び裏機構盤の大部分はそのまま残し、継続して使用することができるようになり非常に経済的である。」(第3頁左下欄第16行?第4頁左上欄第2行)、
「次に、上記賞品球排出装置20を制御して所定数の賞品球の排出や打球発射装置103等の制御を行う制御装置200の一実施例について、第9図を用いて説明する。この実施例では、賞品球排出装置20等の制御をCPU(マイクロコンピュータ)200′を用いて行なうようになっている。CPU200′には、前記実施例における賞球数設定器81,82や記憶排出スイッチ83、球抜きスイッチ84、セーフセンサ91、オーバフロー検出器92、球不足検出器93が入力される。賞球数設定器81,82を設けることにより、賞品球数の異なる機種(パチンコ機)を制御できる。また、CPU200′には、賞品球排出装置20の流下経路30の途中に設けられた一対の排出球検出器(以下排出センサと称する)25からの排出球検出信号が、入力されるようになっている。さらに、CPU200′には、図示しないパチンコ店の集中管理装置からの打止め指令信号が入力される。」(第9頁左上欄第7行?右上欄第6行)、
「CPU200′の主たる処理は、オーバーフロー処理,タンク処理,球抜き処理,入賞球検出処理,賞品球排出処理である。」(第9頁左下欄第15?17行)、
「タンク処理は、貯留タンク2が空になって玉不足検出器93がオフされたことを検知すると、例えば、球の補給要求を集中管理室に送ると共に完了ランプ112を点灯させ、これと同時にもしくはその後賞品球排出装置20内の排出センサ25の信号に基づいて玉無し状態を検知すると、打球発射装置103を停止させる。」(第9頁右下欄第12?18行)、
「第12図(B)に示す賞球数設定処理手順は、遊技盤上の各種入賞装置等による遊技動作を制御する遊技内容制御装置210からCPU200′に対して、賞球数を示す信号を入力して賞球数を制御するようにした場合のフローの一例を示す。つまり、このフローは、遊技盤および遊技内容制御装置210の交換によって、一回に排出すべき賞品球の数が変更されることがあり、その場合には遊技内容制御装置210内のROM等に賞球数に関する情報を入れておくことがあるので、その情報を利用することにより、賞球数設定器81,82を省略できるようにしたものである。」(第11頁左上欄第18行?右上欄第9行)。
ii.前記摘示の記載及び図面第1、2、9図によれば、第1引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「裏機構盤1に対して遊技盤を着脱可能にしたパチンコ機において、前記裏機構盤1にはその背面に賞品球排出装置20等のパチンコ遊技機全体の電気的な制御を行なう制御装置200を備え、他方前記遊技盤の背面には変動入賞装置等の遊技動作を制御する遊技内容制御装置210を備え、前記遊技内容制御装置210と前記制御装置200とを接続する一方、前記制御装置200と集中管理装置とを接続してなるパチンコ遊技機。」

(3)第2引用例〔実願平1-75966号(実開平3-15593号)のマイクロフィルム〕に記載の事項
「ところで、近年のパチンコ機においては、その遊技内容が複雑化するにつれて、あるいは各種の不正遊技に対応して、いろいろな情報を管理コンピュータとパチンコ機との間で交換する必要が生じたり、あるいは、遊技盤を除くパチンコ機本体に恒久的に使用される電気的機器を制御するための制御回路等を設ける必要が生じてきたが、これに対応するために、それぞれの情報を入出力する端子や制御回路をパチンコ機に分散して設けていた。ところが、分散して設けた場合には、遊技盤を交換した際に、それぞれ必要な配線を接続する作業に手間取るため、上記した端子や制御回路を一ケ所に集めて設ける傾向にある。そして、一ケ所に集める場所として機構板の上部一側に設けられるターミナル基板ボックスが使用される場合が多いが、このようにターミナル基板ボックスに端子、あるいは制御回路を集約化させることは、必然的にターミナル基板ボックスの大型化を促進することになる。」(明細書第2頁第14行?第3頁第12行)、
「また、前記遊技盤10の裏面に取着される入賞球集合カバー板の裏面には、前記組合せ表示装置13及び変動入賞装置14の遊技動作を制御する制御基板を収納する制御基板ケース42が取付けられている。この制御基板ケース42内に設けられる制御基板も電源を供給してもらうために前記ターミナル基板51と接続されている。ところで、機構板21の上部であって、前記賞球タンク23の側方には、この実施例の要部であるターミナル基板ボックス50が取着されている。このターミナル基板ボックス50は、前記したように前面枠2及び機構板21等に設けられる電気的機器を相互に関連付けたり、あるいはそれら電気的機器と外部(例えば、管理コンピュータ)とを接続するための端子が設けられるターミナル基板51が収納されている。ターミナル基板51の具体的な回路構成は、第6図に示すブロック図の通りである。簡単に説明すると、ターミナル基板51には、前記金枠防犯スイッチ6及び金枠防犯ランプ20の動作を制御する防犯制御回路、前記獲得スイッチ31a,31bの作動に関連して獲得ランプ17a,17bの動作を制御するランプ制御回路、該ランプ制御回路の動作信号を受けて外部に獲得情報を導出する情報制御回路、及び前記ランプ制御回路や獲得ランプ17a,17b等に電源を供給する電源回路を含む制御回路52が設けられている。また、ターミナル基板51には、前記制御基板ケース42に収納される制御基板に電源を供給する接続端子53a、外部電源に接続するための接続端子53b、前記玉切れスイッチ26a,26bの玉切れ情報を導出するために管理コンピュータと接続するための接続端子53c、管理コンピュータの指令に基づいて前記発射モータ35を強制的に停止させるために管理コンピュータと接続するための接続端子53d、前記情報制御回路によって制御された獲得玉に関する情報を管理コンピュータに導出するために管理コンピュータと接続するための接続端子53e,7個用の獲得ランプ17bに接続するための接続端子53f、前記玉切れスイッチ26a?26cを接続するための接続端子53g、前記入出力中継基板41からの配線を接続する接続端子53h、前記玉切れランプ16を接続するための接続端子53i、及び13個用の獲得ランプ17aを接続するための接続端子53jがそれぞれ設けられている。」(明細書第13頁第11行?第15頁第16行)。

(4)第3引用例〔特開平2-203883号公報〕に記載の事項
「裏機構盤200の上部には、ターミナル基板210が取り付けられ、該ターミナル基板210にはアラームスイッチ出力端子211、補球要求スイッチ出力端子212および球抜き指令入力端子213が設置されている。」(第5頁左下欄第11?15行)、
「また、裏機構盤200には、上記賞品球排出装置220やオーバーフロー検出器255からの検出信号により打球発射の停止、各種表示装置の駆動などパチンコ遊技機全体の電気的な制御を行なうための裏メカ制御装置300が前記賞品球排出装置220と一体的に設置され、遊技盤100前面の特定入賞口108,109や変動入賞装置50の特別入賞口54等に内蔵された検出器からの検出信号に基づいてそれらの遊技動作を制御する遊技内容(役物)制御装置600が設置されている。」(第6頁左上欄第16行?右上欄第6行)、
「第10図には、上記のように構成されたパチンコ遊技機に設置された役物制御装置600の制御回路図の一例を示す。同図において、符号600Aを付して示すものは制御装置としてのコンピュータシステムを構成する演算制御手段としての中央処理装置(CPU)である。」(第8頁右上欄第15行?左下欄第1行)、
「また、遊技中(通常遊技、特別遊技共)、変動入賞装置50の一般入賞口55中に入賞した遊技球はセーフセンサ1(129)に検出されその検出信号が中央処理装置600Aに入力されてカウントされた後、そのカウント数がRAM602中に記憶される。その記憶があるときにはROM601中の固定データとしての賞球数設定手段により多い排出数(例えば、13個)にセットされる。それがラッチ回路651にラッチされ、賞球数出力手段としての賞球数出力器663により裏メカ制御装置300に出力されて、賞品球排出装置220による通常数の排出が行われる。」(第11頁右上欄第6?17行)、
「第13図には、上記のように構成されたパチンコ遊技機に設置された裏メカ制御装置300の制御回路図の一例を示す。同図において符号300Aを付して示すものは、制御装置300を構成するマイクロコンピュータである。」(第12頁左上欄第1?6行)、
「そして、マイクロコンピュータ300Aの入力側には、入力処理部310とインバータ311を介して役物制御装置600の賞球数出力器663が接続されている。また、入力処理部310を介して排出センサ1,2(225,225)、球抜きセンサ266、球不足検出器(SW)250およびオーバーフロー検出器(SW)255が接続されている。一方、マイクロコンピュータ300Aの出力側には、・・・アラームスイッチ211Aおよび補給要求スイッチ212Aが接続されている。また、中央管理装置(図外)からの球抜き指令213Aが入力処理部324を介して入力されるようになっている。」(第12頁左上欄第17行?左下欄第1行)。
また、図面の第6図には、遊技盤100を保持する保持枠113に対して、その裏面に裏機構盤200が接合されていることが図示されている。

(5)第4引用例〔特開昭63-283670号公報〕に記載の事項
「パチンコ機の裏面の一隅に端子板ボックスを設け、該端子板ボックス内にはパチンコ機に配設した電気的部材とパチンコ機の外部に設けた外部処理装置とを接続するための端子板を収設し、該端子板には入出力のための接続端子を設け、上記電気的部材と外部処理装置とを電気的に連絡する配線を上記接続端子を介して接続すると共に、上記端子板には電気信号の不可逆性処理手段を設けて、所定の方向以外に流れる電気信号を遮断するようにしたことを特徴とするパチンコ機の配線処理装置。」(第1頁左下欄第5?15行)、
「パチンコ機1の裏面には第1図に示すように、球貯留部2、打球発射装置3、賞球装置4、球寄部5、スピーカ6などが設けてあり、またパチンコ機の前面には入賞装置や表示装置などが設けてある。そして、上記各装置にはスイッチやランプなどの電気的部材を有している。また、パチンコ機1の裏面には制御装置7を設けてセンター役物などを制御する。尚、上記制御装置7は電気的部材の一例である。本発明に係る配線処理装置8は、パチンコ機1に配設した電気的部材とパチンコ店の中央管理室に設置したホストコンピュータなどの外部処理装置とを電気的に連絡する配線を接続するためのものである。配線処理装置8は、端子板ボックス9内に接続端子10を有する端子板11を収設してなり、該配線処理装置8をパチンコ機1の裏面の一隅に設ける。尚、配線処理装置8を裏板12の支持側上部に設ければ、前面枠などを開閉する際に必要なケーブルの遊びの点で有利である。端子板ボックス9は第2図ないし第4図に示すように底部13を有して前面開放の箱状であって、底部13には支持部14が突設してある。また、側板部15には切込部16が設けてある。上記のような端子板ボックス9に収設する端子板11は、図示の実施例によれば、3枚の端子板11A、11B、11Cからなる。第1の端子板11Aは、打球の発射に関連する電気的部材を接続するもので、この第1の端子板11Aには、所定の方向以外に流れる電気信号を遮断する不可逆性処理手段17として制御リレー18を設ける。第1の端子板11Aに設けた接続端子10…を例えば第6図図に示すようにプリント配線すると共に、第11図または第12図に示すように結線する。尚、第12図は第11図の打球発射装置に関する模式的配線図に対応する回路図である。制御リレー18の制御コイル19の両端を接続端子10aに接続し、この接続端子10aを介してパチンコ店の管理室に設けたホストコンピュータなどの外部処理装置(図示せず)に連絡する。」(第2頁右上欄第8行?右下欄第8行)、
「第2の端子板11Bには大当り信号に関する電気的部材を接続する。この第2の端子板11Bには、電気的部材としての制御装置7と外部処理装置とを接続するための接続端子10dを有し、この接続端子10dからはケーブル30により制御装置7に設けた不可逆性処理手段17にコネクタ31を介して接続する。」(第3頁右上欄第16行?左下欄第2行)。

(6)第5引用例〔実願昭62-78404号(実開昭63-186478号)のマイクロフィルム〕に記載の事項
「(1)機枠と、賞品球を溜めておく上部球受タンク等が配置され、前記機枠に開閉自在に設けられた機構板と、遊技球の発射や賞品球の排出等を行うための各種の電気機器や装置とを備えるパチンコ遊技機において、複数の電気部品と、該電気部品及び前記電気機器や装置への接続を中継する接続手段と、前記電気部品と前記接続手段への配線に用いるプリント基板とを一体的に組み立て、且つ前記機構板に着脱自在に取り付けた端子ユニットを設けたことを特徴とするパチンコ遊技機。
(2)前記複数の電気部品は、表示灯とヒューズとを含むものであることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載のパチンコ遊技機。・・・
(5)前記接続手段は、電源の供給を受けるためのものと、該電源を分配するためのものと、遊技内容の制御や遊技球の管理に関する信号を中継するためのものとを含むものであることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項乃至第4項の何れかに記載のパチンコ遊技機。」(第1頁第5行?第2頁第14行)、
「以下に本考案の1実施例を第1図乃至第4図を参照して説明する。第3図は本考案の1実施例であるパチンコ遊技機の部分概略斜視図である。第3図において11はパチンコ遊技機の機枠、12は上部球受タンク13や賞球排出装置14が配置されている開閉自在な機構板、15は該機構板12に取り付けられた端子ユニットである。尚、パチンコ遊技機にはその他に各種の入賞口が配置された遊技盤や遊技内容を制御する制御装置等が設けられているが、良く知られているので、その詳細な説明は省略する。第1図は本考案の1実施例であるパチンコ遊技機の端子ユニットの斜視図、第2図はその裏面図である。第1図、第2図において、1はユニット本体、2はプリント基板、Fはヒューズ、Tは差込式のカプラー、L1は賞品球の排出を検出する図示しない検知スイッチからの信号により点灯するランプ、L2は上部球受タンクに遊技球がなくなったときに点灯するランプである。尚、3は端子ユニット15を機構板12に取り付けるための取付穴である。」(第6頁第18行?第7頁第18行)、
「第4図は本考案の1実施例であるパチンコ遊技機の端子ユニットの回路図である。第4図において、Taは外部からの電源を受けるカプラー、TbはカプラーTaからの電源をヒューズFを介して遊技内容を制御する図示しない制御装置へ電源を供給するカプラー、Tc1・Tc2は遊技球を発射する図示しない発射モータ、賞品球を排出する図示しない排出モータ及び図示しないタッチスイッチに電源を供給するカプラー、Tc3は賞品球の払出を検知する図示しない検知スイッチへの接続を中継するカプラー、Tc4は発射モータを駆動する図示しないメインスイッチへの接続を中継するカプラー、Td1・Td2は金枠が開状態となったときに警報を発する図示しない金枠防犯制御装置へ電源を供給するカプラー、Td3は発射モータが作動していることを表示する図示しない表示灯への接続を中継するカプラー、Te1・Te2とTfとは上部球受タンク13が空になったときに外部の装置、たとえばパチンコ遊技機管理用のコンピュータに送る球切情報を中継するカプラー、Te3・Te4は上部球受タンク13が空になったときにランプL2を点灯するために、上部球受タンク13が空になったことを検知する図示しない検知スイッチへの接続を中継するカプラーである。」(第8頁第19行?第10頁第3行)、
「端子ユニットは、電源の分配だけでなく、端子ユニット外に配置された各種の電気機器や装置へ制御信号を送るための中継用端子としても用いることができるので、前記機器や装置を交換するときにも半田付けが不要となり、交換作業を容易かつ確実・迅速に行うことができる。」(第10頁第12?17行)。

(7)第6引用例〔特開昭64-5580号公報〕に記載の事項
「発射装置と、入賞装置と、賞球排出装置と、表示装置と、打止め装置と、防犯装置とを有するパチンコ機において、前記発射装置、入賞装置、賞球排出装置、表示装置、打止め装置及び防犯装置にそれぞれ制御回路を設け、前記制御回路を複数の制御基板に分けて設け、前記各制御回路間を中継線及びコネクタを介して電気的に連絡したことを特徴とするパチンコ機。」(第1頁左下欄第5?12行)、
「パチンコ遊技機1の裏面の中央付近には入賞装置の制御回路を有する電役基板23が設けられ、電役基板23の側部には賞球排出装置の制御回路を有するケース基板24が賞球ケース22に設けられ、ケース基板24の上方には打止め装置と表示装置の制御回路に連絡する端子板25が設けられ、ケース基板24の下方には防犯装置の制御回路を有する防犯基板26が設けられ、防犯基板26の側部には発射装置の制御回路を有するモータ基板27が設けられ、これらの制御回路間が中継線及びコネクタを介して電気的に連絡されている。」(第3頁左上欄第15行?右上欄第6行)、
「そして、電役基板23にはケース基板24が図示しないコネクタを介して中継線28により電気的に連絡され、ケース基板24には賞品球切れ検出スイッチSW8,球切れスイッチSW9,端子板25,球切りモーターM1及び防犯基板26が図示しないコネクタを介して中継線29によりそれぞれ電気的に連絡され、」(第3頁左下欄第3?9行)、
「ケース基板24にはセーフ球発生信号により遊技者に一定数のパチンコ球を賞品球として供給するための賞球排出装置の制御回路が設けられている。」(第3頁右下欄第2?5行)、
「第3図は本発明の第1実施例の電気回路図を示し、23は電役基板、24はケース基板、25Aは第1端子板、25Bは第2端子板、26は防犯基板、27はモーター基板である。第1端子板25Aには賞品球切れ検出スイッチSW8と賞球ケース連動スイッチSW10とが設けられ、第1端子板25AのコネクタA1にはヒューズ35を有するAC24V電源への差込みプラグ36が中継線となる2本のコードCDにより接続され、第1端子板25AのコネクタA2と電役基板23のコネクタB1とが2本のコードCDにより接続され、第1端子板25AのコネクタA3とコネクタA1及びA2が2本のコードCDによりそれぞれ接続され、第1端子板25AのコネクタA4がコネクタC1を介して外部のAC8V電源に3本のコードCDにより接続されている。37はヒューズである。」(第4頁左上欄第10行?右上欄第6行)、
「第1端子板25AのコネクタA9と防犯基板26のコネクタD1とが7本のコードCDにより接続され、このコードCDの2本にはコネクタE1を介して2本のコードCDにより球切りモーターM1が接続されている。」(第4頁右上欄第17行?左下欄第1行)、
「電役基板23のコネクタB3とケース基板24のコネクタF1とが6本のコードCDにより接続され」(第4頁左下欄第10?12行)、
「遊技盤5に設けた特定の入賞装置に遊技球が入賞すると、電役基板23のコネクタB4から第2端子板25BのコネクタG1を介して第2端子板25BのコネクタG2より表示信号が出力され、GOフリッカー表示灯L6を点灯して遊技中の特定の入賞状態を表示し、第2端子板25BのコネクタG3より外部へ大当り信号を出力する。」(第5頁右下欄第19行?第6頁左上欄第5行)、
「本発明のパチンコ機によれば、・・・各制御基板が裏面に取付けられる各部品や装置の邪魔とならず、各制御基板を各装置の最適な位置に配置することができ、無駄なスペースを取らず、制御素子が故障しても制御基板全体を修理する必要がなく、制御基板の交換や修理も容易に行なうことができ、電気的干渉による誤動作や故障を防止することができる。」(同第9頁右上欄第7?20行)。

(8)第7引用例〔実願昭61-106366号(実開昭63-13188号)のマイクロフィルム〕に記載の事項
「機構板の開口部内に位置するように中継端子板を遊技盤に配置し、かつ遊技盤の背面を覆う球寄せ板に、前記中継端子板が露出するように窓部を設けたことを特徴とするパチンコ機。」(第1頁第5?8行)、
「第1図に示すように、本考案に係るパチンコ機は、遊技盤50の背面に機構板10を組付けた場合でも、中継端子板51が球寄せ板20に設けられた窓部22、及び機構板10に設けられた開口部11より露出するようになつており、機構板10を取外すことなく中継端子板51に接続されている配線60のチエツク作業、及び中継端子板51に接続されている配線60の着脱作業等が行なえるようになつている。また、球寄せ板20の内側の遊技盤50に取付けられている各種部品のチエツク作業、及び取換え作業を行なう際に球寄せ板20を取外す場合には、中継端子板51が遊技盤50に取付けられているため、遊技盤50に取付けられている各種電気部品の配線60を取外す必要がなく、球寄せ板上に取付けられている電子回路基板収納箱21の配線60のみを取外せば球寄せ板20を取外すことができるようになつている。」(第5頁第9行?第6頁第8行)。

4.対比判断
(1)本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における、「遊技盤」、「賞品球排出装置20」、「パチンコ遊技機全体の電気的な制御を行なう制御装置200」、「変動入賞装置」、「遊技動作を制御する遊技内容制御装置210」、「パチンコ遊技機」は、それぞれ、本願発明における、「遊技板(8)」、「賞球装置」、「本体制御回路(24)」、「入賞装置」、「遊技制御回路(19)」、「パチンコ機」に相当する。
また、引用発明における「裏機構盤1」は、本願発明における「機構板(2)」に相当するとともに、これがパチンコ機の前枠に備えられるものであることは技術常識である。
そうすると、本願発明と引用発明は、以下の点でそれぞれ一致並びに相違するものと認められる。
一致点.
「前枠(1)に備える機構板(2)に対して遊技板(8)を着脱自由にしたパチンコ機において、前記機構板(2)にはその背面に賞球装置等の制御を行う本体制御回路(24)を備え、他方前記遊技板(8)の背面には入賞装置等の制御を行う遊技制御回路(19)を備えてなるパチンコ機。」
相違点.本願発明は、機構板の背面に取付基板(13)の装着部(15)を介して外部中継端子基板(14)を備え、前記外部中継端子基板(14)には本体制御回路コネクター端子(28)と、遊技制御回路コネクター端子(34)とを備えて、前記本体制御回路コネクター端子(28)には各種信号用のコードを一纏めにしたコード(26)を介して各種の信号を出力する前記本体制御回路(24)を、そして、前記遊技制御回路コネクター端子(34)にはコード(35)とこのコード(35)の端部に設けられる接続コネクター端子(36)を介して前記遊技板の背面に設ける接続コネクター端子(21)に着脱自由に接続し、且つ該接続コネクター端子(21)、コード(20)の束を介して各種の信号を出力する前記遊技制御回路(19)を、それぞれ着脱自由に接続してなる、構成であるのに対して、引用発明は、該構成が明らかでない点。

(2)相違点の検討
まず、パチンコ機の機構板の背面に外部中継端子基板を備える構成は、周知技術(例えば、第2引用例に記載の「ターミナル基板51」、第3引用例に記載の「ターミナル基板210」、第4引用例に記載の「端子板11」、第5引用例に記載の「端子ユニット」、第6引用例に記載の「第1端子板25A、第2端子板25B」を参照。以下、「周知技術A」という。)であるから、引用発明に示されるパチンコ機において、機構板の背面に外部中継端子基板を備えることは当然想定されるものである。
そして、各種制御回路と管理コンピュータとの間で情報を入出力するために、前記外部中継端子基板に「本体制御回路コネクター端子(28)」あるいは「遊技制御回路コネクター端子(34)」を備えることは、各種パチンコ機の構成に応じて、当業者が適宜に実施している形態(例えば、第3引用例に記載の「アラームスイッチ出力端子211、補球要求スイッチ出力端子212」が、本願発明の「本体制御回路コネクター端子(28)」に相当し、また、第4引用例に記載の「接続端子10d」、第5引用例に記載の「中継用端子」、第6引用例に記載の「コネクタG1」が、いずれも本願発明の「遊技制御回路コネクター端子(34)」に相当する。)に過ぎない。
ところで、接続の切り離しと再接続における作業の効率性や接続間違いの防止等を課題に、制御回路から導出されるコードを中継基板に備える単一のコネクタに一体に接続する構成は、周知技術(例えば、第7引用例に記載の電子回路基板から導出される配線(60)を中継端子板(51)に備えるコネクタに一体に接続する技術を参照。その他に、特開昭61-257669号公報に記載の電子制御回路基盤(14)から導出される配線コード(16)をターミナル(17)に備える上方端子(17a)に一体に接続する技術、実願昭63-2488号(実開平1-107391号)のマイクロフィルムに記載の電気制御基板Cから導出されるケーブル34を中継基板17に備えるコネクタに一体に接続する技術を参照。以下、「周知技術B」という。)である。
なお、本願発明については、段落【0024】及び図3に記載の実施例によれば、本体制御回路からの電源並びに信号用のコード26を一纏めにして配線してから、外部中継端子基板(14)の分電端子(33a)並びに本体制御回路コネクター端子(28)に分離して接続しており、「コード26を一纏めにして配線」することから直ちに「単一のコネクタ」が導かれるものではないから、該構成を特定する請求項1の記載は必ずしも明確ではない。
また、パチンコ機の機構板に外部中継端子基板を備える際に、機構板の取付基板(13)の装着部(15)を介して外部中継端子基板(14)を備えるようにすること、遊技板の背面に接続コネクター端子を設けること、及び、配線コードを一纏めあるいは束にして配線することは、いずれも一般的な端子基板の装着方式及び配線方式に基づいて、当業者が適宜になし得る単なる設計的事項にすぎない。
そうすると、引用発明に示されるパチンコ機において、その機構板に外部中継端子基板を備える前記周知技術Aを採用し、該外部中継端子基板と遊技制御回路及び本体制御回路とを接続するときの接続構成について、制御回路から導出されるコードを中継基板に備える単一のコネクタに一体に接続する前記周知技術Bを採用するとともに、端子基板の装着方式及び配線方式に適宜設計変更を加えて、前記相違点にかかる本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。
そして、本願発明に係る作用効果は、引用発明に前記周知技術を適用したものにおいて、当業者が容易に予測できるものである。

(3)まとめ
したがって、本願発明は、第1引用例に記載の発明(引用発明)及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、請求項2乃至5に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-24 
結審通知日 2007-09-04 
審決日 2007-09-18 
出願番号 特願平11-278591
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 辻野 安人
渡部 葉子
発明の名称 パチンコ機  
代理人 中山 伸治  

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