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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08F
管理番号 1167259
審判番号 不服2006-2847  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-16 
確定日 2007-11-09 
事件の表示 平成11年特許願第284029号「環状オレフィン系共重合体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月17日出願公開、特開2001-106730〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年10月5日の特許出願であって、平成17年7月29日付けで拒絶理由が通知され、平成17年10月6日に意見書および手続補正書が提出され、平成18年1月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年2月16日に拒絶査定に対する審判請求書が提出され、平成18年5月1日に審判請求書の手続補正書(方式)が提出されたものである。

2.本件発明について
本件請求項1?3に係る発明は、平成17年10月6日に提出された手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであるが、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】 炭素数が2以上のα-オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンとを、(i)可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒または(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される触媒である重合触媒と炭化水素系溶媒の存在下に、重合反応器中で共重合させ、該重合反応液から、未反応モノマー、触媒および溶媒を分離して環状オレフィン系共重合体を製造する方法であって、前記分離した溶媒中のジエン系化合物が除去処理された溶媒を、重合反応器に戻して再使用することを特徴とする環状オレフィン系共重合体の製造方法;
【化1】

(式中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1であり、R1?R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15?R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)、
【化2】

(式中、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R1?R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1?3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)。」

3.原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶理由の概要は、請求項1?3に係る発明は、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用文献1?6に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する物が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
(引用文献一覧)
1.特開平03-255102号公報
2.特開昭61-221206号公報
3.特開平03-031304号公報
4.特開昭61-133204号公報
5.特開昭58-103508号公報
6.特公昭49-038243号公報

4.当審の判断
(1)引用文献の記載
原査定の拒絶理由に引用された刊行物である引用文献1( 特開平03-255102号公報)には、次の事項が記載されている。
(1-1)「 1.(a)エチレンと、
(b)下記式[ I ]または[II]


(式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、
R1?R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
R15?R18は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい)。


[式中、lは0または1以上の整数であり、mおよびnは、0、1または2であり、R1?R15はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素、基またはアルコキシ基であり、R5(またはR6)とR9(またはR7)とは、炭素数1?3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また何の基も介さずに直接結合していてもよい。]
で表わされる不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィン、
とを、可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒の存在下に、炭化水素系溶媒中または上記環状オレフィンからなる液相中で、共重合させて環状オレフィン系ランダム共重合体を生成させるに際して、
重合槽内に供給する有機アルミニウム化合物濃度(C0Al)と、重合槽内での有機アルミニウム化合物濃度(C1Al)との比(C0Al/C1Al)を11以下とし、かつ重合槽内に供給するバナジウム化合物濃度(C0v)と、重合槽内でのバナジウム化合物濃度(C1v)との比(C0v/C1v)を3以下とすることを特徴とする環状オレフィン系ランダム共重合体の製造方法。」(特許請求の範囲)
(1-2)「このようにして得られる共重合体溶液は、常法に従って処理され、環状オレフィン系ランダム共重合体が得られる。」(13頁右上欄7?9行)

原査定の拒絶理由に引用された刊行物である引用文献3( 特開平03-31304号公報)には、次の事項が記載されている。
(3-1)「(1)ヘキサン類を主成分とする重合溶媒の精製方法であって、主に水溶性不純物を水洗除去する水洗工程、次いで、軽質油分を分離除去する蒸留工程、次いで、主に有極性不純物を吸着除去する吸着工程、次いでオレフィン系不純物を水添する水添工程を経て精製する重合溶媒の精製方法。」(特許請求の範囲第1項)
(3-2)「上記の重合溶媒中には、ヘキサン以外に、通常は次のような不純物が含まれる。すなわち、極性物質である使用済みのチーグラー・ナッタ系触媒、オレフィンである未反応モノマー 例えば、エチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなど、あるいは、それらの変成モノマーなど、そのほかにも軽質油分である低重合度オリゴマーなどが含まれていることがある。
混入されている変成モノマーとしては、例えばエタン、ブタン、2-ブテン、4-メチル-2-ペンテンなどが挙げられる。
変成モノマーとともに含まれる低重合度のオリゴマーとしては、例えばオクタン、デカン、ドデカン、オクテン、デセン、ドデセンなどが挙げられる。そのほかにも、成分未詳の、沸点70?200℃の化合物が含まれていることが多い。」(2頁左下欄11行?右下欄6行)
(3-3)「また、ヘキサン系溶媒は通常チーグラー・ナッタ系触媒の製造と重合反応器への触媒搬送にも用いられるが、オレフィンを不純物として含有する再生溶媒は、重合反応器に触媒を導入する前に触媒の劣化を生じさせ、重合反応の効率を著しく低下させるという問題点もあった。」(2頁右上欄3?8行)

原査定の拒絶理由に引用された刊行物である引用文献4( 特開昭61-133204号公報)には、次の事項が記載されている。
(4-1)「2.特許請求の範囲
チーグラー型重合に使用した溶媒を、必要に応じて水洗、蒸留等の処理後、遷移金属系水素化触媒を用いて水素化処理することを特徴とする重合溶媒の再生方法。」(特許請求の範囲)
(4-2)「(従来の技術)
従来、チーグラー型触媒を用いるオレフィンの重合においては、触媒と溶媒の存在下にオレフィンを重合後、生成物を分離することにより回収した溶媒を、再びそのまま、又は蒸留して重合に供している。しかし、原因は明らかでないが、一度ないし数度使用後に回収された溶媒を用いると、新しい溶媒を用いた場合に較べて触媒活性が低下したり、生成ポリマーの物性に目標とのずれが生じることが多い。これは、触媒と原料オレフィンとの副反応による重合副生成物、触媒分解生成物、使用した溶媒そのものを含め、その他各種原料の分解物など微量の不純物が溶媒中に含まれているためと考えられる。 」(1頁左下欄下から4行?右下欄10行)
(4-3)「一方、最近では重合触媒の活性が著しく高くなり、溶媒の触媒濃度を大幅に低下させたプロセスが一般化している。この場合重合反応は、オレフィンなど、原料中の不純物の影響を受け易くなり、触媒の原単位が悪化したり、生成ポリマー物性が大きく変動するため、プロセスの運転に大きな弊害になり、その解決が必要になっていた。
(問題点の解決手段)
発明者等は、上記のような従来の溶媒再生技術の欠点を克服するため種々検討を重ねた結果、・・・によって効率良く再生し得ることを見出して本発明を完成した。」(2頁左上欄1?14行)
(4-4)「本発明の方法で水素化処理される重合溶媒としては、通常オレフィン類の重合の際に生成ポリマーまたは触媒を溶解または分散させるために用いられる炭化水素類、・・・本発明で行なわれるオレフィン重合反応は、上記炭化水素類の存在下に周期律表4?6族遷移金属の化合物と同表1?3族金属の有機金属化合物、さらには必要に応じて電子供与体化合物よりなる組合せ触媒を用いて行う、いわゆるチーグラー型重合反応である。
上記の遷移金属化合物としては、チタン、バナジウム、ジルコニウム化合物が用いられ・・・
上記の有機金属化合物としては、トリアルキルアルミニウム、・・・などの有機アルミニウム化合物・・・などがあげられ、これらは混合物であってもよい。
・・・
また、上記重合反応で用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、l-ヘキセン、l-オクテン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン等のαオレフィンがあり、本発明の溶媒再生方法は、これらの共重合反応、あるいは更にこれらとブタジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類との共重合反応にも適用することができる。」(2頁左下欄13行?3頁右上欄4行)

原査定の拒絶理由に引用された刊行物である引用文献5( 特開昭58-103508号公報)には、次の事項が記載されている。
(5-1)「(1)吸着性シリカまたは吸着性のシリカを含む混合物もしくは複合酸化物で処理した炭化水素類を重合溶媒として繰返し用い、遷移金属化合物と有機金属化合物を含む触媒を用いてオレフィンを重合する方法。」(特許請求の範囲第1項)
(5-2)「一度使用された溶媒を用いると新しい溶媒を用いた場合に比べて触媒活性や生成ポリマーの立体規則性などが低下することが多い。これは触媒分解剤として使用される例えばアルコール、キレート化剤などや、触媒分解生成物、重合副生物、その溶媒そのものを含めその他各種原料の分解物など微量の不純物が含まれているためと思われる。」(1頁右下欄2?9行)
(5-3)「上記の遷移金属化合物としてはチタン化合物、バナジウム化合物が用いられ・・・
本発明の方法で触媒の一成分として用いられる有機金属化合物としてはトリアルキルアルミニウム・・・これらは混合物であってもよい。
・・・
本発明の方法が適用されるオレフィン類としてはエチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-l、ヘキセン-1、オクテン-1、4-メチル-ペンテン-1などであり、さらにこれらとジエン類との共重合にも本発明は適用される。」(2頁右上欄9行?右下欄5行)

原査定の拒絶理由に引用された刊行物である引用文献6( 特公昭49-038243号公報)には、次の事項が記載されている。
(6-1)「1 オレフイン重合体の製造において循環使用される不活性炭化水素溶剤に対し、まず(A)担体上に第VIII属金属あるいはその化合物を担持した触媒による水素添加処理を施し、次いで(B)酸性陽イオン交換樹脂処理を施すオレフイン重合用炭化水素溶剤の精製法において、該酸性陽イオン交換樹脂処理以前に塩基性陰イオン交換樹脂処理することを特徴とするオレフイン重合用炭化水素溶剤の精製法。」(特許請求の範囲)
(6-2)「この発明の精製法によるときは、オレフイン重合に使用された炭化水素溶剤中に含まれる不純物、及びこの溶剤の精製処理工程自体中に副生する各種の不純物、すなわち高沸点不飽和炭化水素、水、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボニル化合物及びアミンなどをすべて除去して重合に再使用できる程度にまで完全に精製することができるのである。」(第5欄9?16行)
(6-3)「ところが、重合工程においては単量体オレフインより高沸点の不飽和炭化水素が副生する場合があり、触媒除去のために水、アルコール、ケトン、カルボニル化合物を重合体溶液もしくはスラリーに添加する場合もあり、さらに循環工程において酸素、炭酸ガスなどの好ましくない物質が混入する可能性も存在する。このような化合物や物質が循環使用される炭化水素溶剤中に混入すると、重合触媒の活性低下、副反応の促進及び高不飽和性の重合体の生成などの製造工程および製品物質に対する悪影響をひき起こす。」(第1欄27?37行)
(6-4)「さらに、重合触媒として著名なチーグラー触媒はハロゲン化合物を生成し、腐食の問題をひき起す」(第4欄最下行?第5欄1行)

(2)引用文献1に記載された発明
引用文献1には、「 1.(a)エチレンと、(b)下記式[ I ]または[II]


(式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、R1?R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15?R18は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい)。


[式中、lは0または1以上の整数であり、mおよびnは、0、1または2であり、R1?R15はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素、基またはアルコキシ基であり、R5(またはR6)とR9(またはR7)とは、炭素数1?3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また何の基も介さずに直接結合していてもよい。]で表わされる不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィン、とを、可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒の存在下に、炭化水素系溶媒中または上記環状オレフィンからなる液相中で、共重合させて環状オレフィン系ランダム共重合体を生成させるに際して、重合槽内に供給する有機アルミニウム化合物濃度(C0Al)と、重合槽内での有機アルミニウム化合物濃度(C1Al)との比(C0Al/C1Al)を11以下とし、かつ重合槽内に供給するバナジウム化合物濃度(C0v)と、重合槽内でのバナジウム化合物濃度(C1v)との比(C0v/C1v)を3以下とすることを特徴とする環状オレフィン系ランダム共重合体の製造方法。」が記載されている(摘示記載1-1)し、「このようにして得られる共重合体溶液は、常法に従って処理され、環状オレフィン系ランダム共重合体が得られる。」(摘示記載1-2)とも記載されている。
そうであるから、引用文献1には、「(a)エチレンと、(b)式[ I ]または[II](式及び記号の説明文省略)で表わされる環状オレフィン、とを、可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒の存在下に、炭化水素系溶媒中で共重合させて環状オレフィン系ランダム共重合体溶液を生成させ、当該共重合体溶液を常法にしたがって処理し、環状オレフィンランダム共重合体を製造する方法。」(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比・判断
引用発明と本願発明とを対比すると、環状オレフィンランダム共重合体を製造する方法において、前者の「(a)エチレン」が後者の「炭素数が2以上のα-オレフィン」に、前者の「(b)式[ I ]または[II](式及び記号の説明文省略)で表わされる環状オレフィン」が後者の「下記一般式(I)または(II)(式及び記号の説明文省略)で表される環状オレフィン」に、前者の「可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒」が後者の「(i)可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒または(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される触媒である重合触媒」に、前者の「炭化水素系溶媒中で、共重合させて」が後者の「炭化水素系溶媒の存在下に、重合反応器中で共重合させ、」にそれぞれ相当する。
してみれば、両者は「炭素数が2以上のα-オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンとを、(i)可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒または(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される触媒である重合触媒と炭化水素系溶媒の存在下に、重合反応器中で共重合させ、環状オレフィン系共重合体を製造する方法。」である点で共通し、本願発明が「重合反応液から、未反応モノマー、触媒および溶媒を分離し、分離した溶媒中のジエン系化合物が除去処理された溶媒を、重合反応器に戻して再使用する」と規定しているのに対し、引用発明では重合反応液の処理について常法で行うとされるのみで、特にそのような規定はない点で相違する。

以下、相違点について検討する。
まず、当該技術分野において重合反応液から、未反応モノマー、触媒および溶媒を分離し、目的とする反応生成物を得ることは文献を示すまでもなく周知の技術である。
次に、引用文献3?6には、チーグラー型触媒を用いて炭化水素溶媒中でオレフィンの重合を行い、重合後に回収する溶媒を再利用する際に、溶媒中に含まれる不純物(不飽和炭化水素化合物を含む)を水素添加又は吸着性シリカ等による吸着処理によって除去し、触媒の活性の向上又はポリマーの品質の向上を図る方法が記載されている(摘示記載(3-1)?(3-3)、(4-1)?(4-4)、(5-1)?(5-3)、(6-1)?(6-4))。
引用発明の触媒もチーグラー型触媒であり、炭化水素溶媒中で行うチーグラー型触媒を用いたオレフィン重合に関する点で引用発明は引用文献3?6に記載された方法と共通するから、引用発明において、引用文献3?6に記載の溶媒再生法を採用し、水素添加又は吸着性シリカ等による吸着処理を行って溶媒を再生し再利用することで、触媒活性の向上やポリマー生成物の品質向上を図ることは当業者が容易になし得る事項である。
そして、引用文献3?6には溶媒中に含まれるジエン化合物が除去されることについては記載されていないが、引用文献3?6に記載された再生手段は、本願発明の手段(本願明細書段落【0085】には、「本発明におけるジエン系化合物の除去処理は、水素添加反応法、精密蒸留法、吸着処理法の中から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。」と記載されている)と同一であるし、引用文献3,4,6には不純物として含まれる不飽和炭化水素化合物がこのような再生手段により除去される旨記載されていることに鑑みれば(特に摘示記載(3-2)、(4-3)、(6-2)参照)、引用文献3?6に記載の再生手段を用いることにより溶媒中に含まれるジエン化合物の少なくとも一部も除去されるものと認められる。
そうであるから、引用発明の常法として、周知技術及び引用文献3?6に記載の再生手段を適用することは当業者が適宜行う事であり、それによって得られる効果も格別とはいえない。

なお、請求人は審判請求書中において、本願発明の溶剤再生によって透明性、色相及び光線透過率が改善された環状オレフィン系共重合体が得られることについて、引用文献1?6には記載も示唆もない旨主張しているが、引用文献4には溶媒再生により、生成ポリマーの物性が向上することが記載されている(摘示記載(4-2)(4-3))し、引用文献6には、溶媒再生により、高不飽和性重合体の生成を抑制できることも記載されており(摘示記載(6-3))、当該技術分野において高不飽和性重合体は色相を悪化させる原因となることは周知である(例えば特表平9-511261号公報の6頁15?7頁12行参照)ことからすると、引用発明において引用文献3?6の手段により再生された溶媒を用いることにより、生成ポリマーの物性、特に色相が良好となることは当業者が予測しうる範囲内の事項にすぎない。

上記のとおりであるから、本願発明は引用文献1、3?6に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-20 
結審通知日 2007-08-28 
審決日 2007-09-14 
出願番号 特願平11-284029
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C08F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小出 直也  
特許庁審判長 一色 由美子
特許庁審判官 渡辺 陽子
福井 美穂
発明の名称 環状オレフィン系共重合体の製造方法  
代理人 中嶋 重光  
代理人 山口 和  

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