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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1167997
審判番号 不服2005-5442  
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-31 
確定日 2007-11-15 
事件の表示 平成11年特許願第54846号「部品装着方法及び部品装着装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年9月14日出願公開、特開2000-252699〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年3月3日の出願であって、平成17年1月31日付けで手続補正がされたが、同年2月21日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年3月31日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同年4月27日付けで手続補正がされたものである。

第2 平成17年4月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年4月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.手続補正の内容
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するための事項である「装着する部品の高さに応じて複数のグループに分け」を「一つの前記基板に装着する部品の高さに応じて複数のグループに分け」と補正することを含むものであって、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

2.本願補正発明1
本願補正発明1は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「部品を保持した部品保持部を、基板取付台に載置された基板に対して接近離間の方向に駆動して、前記部品を前記基板に実装するに際し、
一つの前記基板に装着する部品の高さに応じて複数のグループに分け、
実装する前記グループの部品の高さに応じて前記基板取付台を部品保持部に近接離間方向に移動させた後に同一グループの部品を連続して前記基板に実装し、
実装するグループが切り換わる毎に、次に実装するグループの部品の高さに応じて実装するグループが切り換わる前後で部品保持部の装着ストロークの変動が少なくなる方向に前記基板取付台を移動させて同一グループの部品を連続して前記基板に実装する
部品装着方法。」

3.引用例及び引用例の主な記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-206699号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
a「電子部品を吸着するノズルを備え、かつ駆動部に駆動されてロータリーヘッドの円周方向に沿ってインデックス回転する複数個の移載ヘッドと、この移載ヘッドの上下動ストロークの調整手段とを備えてなる電子部品実装装置において、
このロータリーヘッドの下方に設けられ、かつ基板をクランプするクランパと、この基板をXY方向に移動させるXYテーブルと、このXYテーブルに上下動自在に設けられたZテーブルと、このZテーブルに上下動自在に設けられた支持テーブルと、この支持テーブルに設けられ、かつ前記基板を下方からバックアップするバックアップピンと、この支持テーブルを前記Zテーブルに対して上下動させて、前記基板の厚さに応じてバックアップピンの高さを調整する支持テーブル駆動手段と、前記XYテーブルに設けられ、かつ前記Zテーブルを前記XYテーブルに対して上下動させて、前記電子部品の厚さに応じて前記Zテーブルの高さを調整するZテーブル駆動手段とを有することを特徴とする電子部品実装装置。」(特許請求の範囲の請求項1)
b「次に、電子部品を基板に実装するにあたり、電子部品の厚さに応じて、移載ヘッドの上下動ストロークを調整すると共に、Zテーブル駆動手段を駆動して、Zテーブル、支持テーブル駆動手段、支持テーブル及びバックアップピンを一体的に上下動させることにより、このバックアップピンに支持された基板の高さを調整する。このようにすれば、電子部品を基板に着地させるための上下動ストロークは、移載ヘッドの上下動ストロークと、基板の上下動ストロークとにより分担されるので、移載ヘッドの上下動ストロークを小さくできる。したがって、移載ヘッドの上下動に要する時間を短縮でき、それだけ実装速度を上げることができる。」(【0009】)
c「21は電子部品実装装置のロータリーヘッドであり、移載ヘッド22を備えている。移載ヘッド22のノズル23には、電子部品Pが吸着されており、このノズル23が上下動して、電子部品Pを基板1に実装するようになっている。」(【0020】)
d「そして、図3(a)に示すように、厚さd1の大きい電子部品P1を移載ヘッド22のノズル23で吸着する場合は、Zテーブル駆動用モータMZ1を駆動して基板1を基準面S.L.から小距離h1上昇させた位置に待機させておく。この場合、移載ヘッド22のストロークはS1である。また同図(b)に示すように、厚さd2の小さい電子部品P2の場合、基板1を大距離h2上昇させた位置に待機させておく。このように電子部品Pの厚さに応じて基板1の高さを調節すれば、移載ヘッド22の上下動ストロークS1、S2を小さくでき、それだけ高速度で電子部品Pを基板1に実装できる。」(【0022】)
e 図3(a)、(b)は、それぞれ、厚さd1の大きい電子部品P1、厚さd2の小さい電子部品P2を基板に実装する場合の動作説明図である。

4.当審の判断
(1)引用発明
引用例1には、「電子部品を吸着するノズルを備え、かつ駆動部に駆動されてロータリーヘッドの円周方向に沿ってインデックス回転する複数個の移載ヘッドと、この移載ヘッドの上下動ストロークの調整手段とを備えてなる電子部品実装装置」(摘示a)に関し記載されるところ、上記電子部品実装装置は、「基板をXY方向に移動させるXYテーブルと、このXYテーブルに上下動自在に設けられたZテーブルと、このZテーブルに上下動自在に設けられた支持テーブルと、この支持テーブルに設けられ、かつ前記基板を下方からバックアップするバックアップピン」(摘示a)を有し、「前記XYテーブルに設けられ、かつ前記Zテーブルを前記XYテーブルに対して上下動させて、前記電子部品の厚さに応じて前記Zテーブルの高さを調整するZテーブル駆動手段」(摘示a)を有するものであることが記載されていると認められる。
また、引用例1には、上記電子部品実装装置を用いて電子部品を実装することに関して、「電子部品を基板に実装するにあたり、電子部品の厚さに応じて、移載ヘッドの上下動ストロークを調整すると共に、Zテーブル駆動手段を駆動して、Zテーブル、・・・支持テーブル及びバックアップピンを一体的に上下動させることにより、このバックアップピンに支持された基板の高さを調整する。」(摘示b)及び「移載ヘッド22のノズル23には、電子部品Pが吸着されており、このノズル23が上下動して、電子部品Pを基板1に実装する」(摘示c)ことが記載されていると認められる。
ここで、摘示aによれば、上記基板は、支持テーブルに設けられたバックアップピンにより下方からバックアップされていることから、上記基板は支持テーブルに載置されているといえる。
また、「電子部品の厚さに応じて、・・・支持テーブル・・・を一体的に上下動させることにより、このバックアップピンに支持された基板の高さを調整する」(摘示b)のは、摘示bによれば、電子部品を基板に着地させるための移載ヘッドの上下動ストロークを小さくするためと認められるから、実装する電子部品の厚さに応じて支持テーブルを上下動させた後に、電子部品を基板に実装することは明らかである。
また、摘示aによれば、上記電子部品実装装置は、電子部品を吸着するノズルを備えた複数個の移載ヘッドがロータリーヘッドの円周方向に沿ってインデックス回転して、複数種類の電子部品を次々と実装するものであることは明らかである。一方、上記電子部品実装装置を用いて電子部品を実装する際には、上記のとおり、電子部品の厚さに応じて、支持テーブルを上下動させるのであるから、上記電子部品実装装置を用いて複数種類の電子部品を次々と実装する際に、実装する電子部品が切り換わる毎に、次に実装する電子部品の厚さに応じて、支持テーブルを上下動させて電子部品を基板に実装するものといえる。
以上の記載及び認定事項を本願補正発明1の記載ぶりに即して整理すると、引用例1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「電子部品を吸着したノズルを、支持テーブルに載置された基板に対して上下動して、前記電子部品を前記基板に実装するに際し、
実装する前記電子部品の厚さに応じて前記支持テーブルを上下動させた後に電子部品を前記基板に実装し、
実装する電子部品が切り換わる毎に、次に実装する電子部品の厚さに応じて前記支持テーブルを上下動させて電子部品を前記基板に実装する
電子部品実装方法。」(以下、「引用発明」という。)

(2)本願補正発明1と引用発明との対比
引用発明における「電子部品」、「ノズル」、「支持テーブル」、「電子部品の厚さ」、「前記支持テーブルを上下動させて」、「電子部品実装方法」は、それぞれ、本願補正発明1における「部品」、「部品保持部」、「基板取付台」、「部品の高さ」、「前記基板取付台を移動させて」、「部品装着方法」に相当する。
また、引用発明における「基板に対して上下動して」及び「支持テーブルを上下動させた後に」の「上下」とは、それぞれ、「基板に対して接近離間の方向」及び「部品保持部に近接離間方向」であることは明らかであるから、それぞれ、本願補正発明1における「基板に対して接近離間の方向に駆動して」及び「基板取付台を部品保持部に近接離間方向に移動させた後に」に相当するといえる。
また、本願補正発明1における「実装するグループが切り換わる毎に」の「グループ」が、「部品のグループ」を意味することは明らかであるから、本願補正発明1と引用発明とは、
「部品を保持した部品保持部を、基板取付台に載置された基板に対して接近離間の方向に駆動して、前記部品を前記基板に実装するに際し、
実装する前記部品の高さに応じて前記基板取付台を部品保持部に近接離間方向に移動させた後に部品を前記基板に実装し、
実装する部品が切り換わる毎に、次に実装する部品の高さに応じて前記基板取付台を移動させて部品を前記基板に実装する
部品装着方法。」
の点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。
相違点イ
本願補正発明1では、「一つの前記基板に装着する部品の高さに応じて複数のグループに分け」、実装する「グループの」部品の高さに応じて基板取付台を移動させた後に「同一グループの」部品を「連続して」基板に実装し、実装する「グループ」が切り換わる毎に、次に実装する「グループの」部品の高さに応じて基板取付台を移動させて部品を基板に実装するのに対して、引用発明では、このように実装していない点。
相違点ロ
本願補正発明1では、実装するグループが切り換わる毎に、実装するグループが切り換わる前後で「部品保持部の装着ストロークの変動が少なくなる方向に」基板取付台を移動させるのに対して、引用発明では、基板取付台を移動させる方向に関する規定がなされていない点。

(3)相違点についての判断
(3-1)相違点イについて
引用発明は、実装する電子部品の厚さに応じて、支持テーブルを上下動して電子部品を基板に実装するものであるところ、一般に、被処理品の種類に応じて、装置の設定を変更して処理を行う場合に、被処理品を形状等に応じて複数のグループに分け、同一のグループの被処理品については連続して処理を行い、グループが切り換わる毎に、装置の設定を変更して処理を行うことは周知技術と認められ、特に、部品装着技術に関する分野においても普通に行われていることである(必要であれば、特開平4-171999号公報の第9頁右上欄?左下欄等参照。)。また、一つの基板に部品を実装し終えた後に、次の基板に部品を実装することは通常のことである。
そうすると、引用発明において、まず一つの基板に部品を実装する際に上記グループ化に関する周知技術を適用して、一つの基板に実装する部品を部品の高さに応じて複数のグループに分け、実装するグループの部品の高さに応じて基板取付台を移動させた後に同一グループの部品を連続して基板に実装し、実装するグループが切り換わる毎に、次に実装するグループの部品の高さに応じて基板取付台を移動させて同一グループの部品を連続して基板に実装することは、当業者が容易に想到することである。

(3-2)相違点ロについて
本願補正発明1における「実装するグループが切り換わる前後で部品保持部の装着ストロークの変動が少なくなる方向に」基板取付台を移動させる、とは、本願明細書の【0021】?【0023】の記載によれば、高さの高いグループの部品から、高さの低いグループの部品に切り換える場合には、基板を部品保持部に近づける方向に基板取付台を移動させることを意味するものと認められ、それにより、装着ストロークは、上記切り換えの前後でほぼ同様であまり変動しない、すなわち、装着ストロークの変動が少なくなると認められる。
一方、引用発明においては、摘示d、eによれば、厚さの大きい電子部品から、厚さの小さい電子部品に切り換える場合には、基板を載置した支持テーブルの基準面からの上昇距離を、小距離h1から大距離h2に大きくしているから、支持テーブルの移動方向は、上記の本願補正発明1の場合と同じ方向であると認められる。
以上によれば、本願補正発明1も引用発明もいずれも、部品保持部の装着ストロークの変動が少なくなる方向に基板取付台を移動させるものである点で一致するといえる。
よって、上記相違点ロは実質的な相違点ではない。

(4)小括
したがって、本願補正発明1は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明
平成17年4月27日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の発明は、平成17年1月31日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである。
「部品を保持した部品保持部を、基板取付台に載置された基板に対して接近離間の方向に駆動して、前記部品を前記基板に実装するに際し、
装着する部品の高さに応じて複数のグループに分け、
実装する前記グループの部品の高さに応じて前記基板取付台を部品保持部に近接離間方向に移動させた後に同一グループの部品を連続して実装し、
実装するグループが切り換わる毎に、次に実装するグループの部品の高さに応じて実装するグループが切り換わる前後で部品保持部の装着ストロークの変動が少なくなる方向に前記基板取付台を移動させて同一グループの部品を連続して前記基板に実装する
部品装着方法。」(以下、「本願発明1」という。)

第4 原査定の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
この出願の請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1?7に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開平5-206699号公報
2.特開平1-128500号公報
3.特開昭54-76608号公報
4.特開昭62-107822号公報
5.特開平9-262725号公報
6.特開平1-262700号公報
7.特開昭62-292396号公報

第5 引用例及び引用例の主な記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-206699号公報(前出の引用例1と同じ。)の記載事項は、上記「第2 3.」に記載したとおりである。

第6 当審の判断
1.引用発明
引用例1には、上記「第2 4.(1)」に記載したとおり、以下の引用発明が記載されていると認められる。
「電子部品を吸着したノズルを、支持テーブルに載置された基板に対して上下動して、前記電子部品を前記基板に実装するに際し、
実装する前記電子部品の厚さに応じて前記支持テーブルを上下動させた後に電子部品を前記基板に実装し、
実装する電子部品が切り換わる毎に、次に実装する電子部品の厚さに応じて前記支持テーブルを上下動させて電子部品を前記基板に実装する
電子部品実装方法。」

2.本願発明1と引用発明との対比、判断
本願発明1は、上記「第2」で検討した本願補正発明1の「一つの前記基板に装着する部品の高さに応じて複数のグループに分け」から、装着位置に関する「一つの前記基板に」という限定を省き、また、本願補正発明1の「同一グループの部品を連続して前記基板に実装する」から、同様に「前記基板に」という限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明1の発明を特定するための事項を全て含み、さらに他の発明を特定するための事項を付加したものに相当する本願補正発明1が、上記「第2」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-05 
結審通知日 2007-09-11 
審決日 2007-09-27 
出願番号 特願平11-54846
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 坂本 薫昭
井上 猛
発明の名称 部品装着方法及び部品装着装置  
代理人 原田 洋平  
代理人 笹原 敏司  
代理人 板垣 孝夫  
代理人 森本 義弘  

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