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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M |
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管理番号 | 1168199 |
審判番号 | 不服2004-21488 |
総通号数 | 97 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-15 |
確定日 | 2007-11-22 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第310935号「輸液ポンプ用スタンド」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 5月25日出願公開、特開平11-137680号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成9年11月12日の出願であって、平成16年9月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成16年10月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、平成16年11月5日受付で手続補正がなされたものである。 第2 平成16年11月5日受付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年11月5日受付の手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、次のとおり補正するものである。 「キャスターを備えた基台部と、前記基台部の中央から垂直方向に取り付けられた支持部と、第1の保持固定手段を有した輸液ポンプを前記支持部に固定される載置台と、を有する輸液ポンプ用スタンドであって、最大4台まで水平に載置可能にするために前記第1の保持固定手段に嵌合するように少なくとも2つ以上が前記載置台に設けられる第2の保持固定手段と、前記嵌合後に、前記第1の保持固定手段と前記第2の保持固定手段とを互いに係合させるように前記載置台で回転操作または往復操作可能に設けられる係合手段と、を備えることを特徴とする輸液ポンプ用スタンド。」 2 補正の目的の適否 本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記第1の保持固定手段に嵌合するように少なくとも2つ以上が前記載置台に設けられる第2の保持固定手段」に、「最大4台まで水平に載置可能にするために」との限定を付加するものを含むものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反しないか)について以下に検討する。 (1)引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平3-114469号公報(以下、「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア「本発明は、輸液ポンプ等をスタンド等の柱状体に固定するための留め具に関する。」(1頁左欄15行?16行) イ「前記留め具本体2は、輸液ポンプ6を保持すると共に前記送りネジ3と相俟ってスタンドの柱状体7に固定されるものである。この留め具本体2には輸液ポンプ6を載置する台8があり、この台8には輸液ポンプ6を固定するための固定具9が取り付けられ、この固定具9によりワンタッチで台8に輸液ポンプ6を固定することが出来るようになっている。」(2頁左下欄2行?9行) ウ「また、留め具本体2にはフレーム10があり、このフレーム10は、送りネジ3、ハーフナット4及び着脱部5を保持すると共に送りネジ3と相俟って柱状体7に固定されるものである。このフレームl0には柱状体7に当接するV字面11が形成され、該V字面11に対向する位置には前述の送りネジ3が軸方向にスライド可能にフレームl0の側壁12、12に支持されている。」(2頁左下欄10行?17行) エ 図2には、下部に第1の保持固定手段を有した輸液ポンプ6と、該第1の保持固定手段に嵌合する第2の保持固定手段が設けられた台、及び、第1の保持固定手段と第2の保持固定手段の嵌合後に、両者を係合する固定具9が図示され、図5には、キャスターを備えた基台部と、基台部の中央から垂直方向に取り付けられた柱状体と、輸液ポンプを柱状体に固定する台8とを有する輸液ポンプ用スタンドが図示されている。 上記アないしエの記載事項及び図示内容からみて、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。 「キャスターを備えた基台部と、基台部の中央から垂直方向に取り付けられた柱状体7と、第1の保持固定手段を有した輸液ポンプ6を柱状体7に固定する台8と、を有する輸液ポンプ用スタンドであって、前記第1の保持固定手段に嵌合するように台に設けられる第2の保持固定手段と、前記嵌合後に、第1の保持固定手段と第2の保持固定手段を係合する固定具9とを備えた輸液ポンプ用スタンド。」 (2)対比 本願補正発明と引用発明とを比較する。 引用発明の「柱状体7」は、その構造または機能からみて、本願補正発明の「支持部」に相当し、以下同様に、「台」は「載置台」に相当する。 そして、引用発明の「固定具9」は、ワンタッチで台8(載置台)に輸液ポンプ6を固定するものであって(前記「第2 3(1)イ」参照)、回転操作可能に設けられているといえるから(図1、2参照)、本願補正発明の「載置台で回転操作可能に設けられる係合手段」に相当する。 そうすると、両者は、本願補正発明の文言を用いて表現すると、 「キャスターを備えた基台部と、前記基台部の中央から垂直方向に取り付けられた支持部と、第1の保持固定手段を有した輸液ポンプを前記支持部に固定される載置台と、を有する輸液ポンプ用スタンドであって、前記第1の保持固定手段に嵌合するように前記載置台に設けられる第2の保持固定手段と、前記嵌合後に、前記第1の保持固定手段と前記第2の保持固定手段とを互いに係合させるように前記載置台で回転操作可能に設けられる係合手段と、を備えた輸液ポンプ用スタンド。」である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> 第2の保持固定手段に関し、本願補正発明は、最大4台まで水平に載置可能にするために少なくとも2つ以上が載置台に設けられているのに対し、引用発明は、そのような構成でない点。 (3)相違点の判断 上記相違点について以下に検討する。 輸液ポンプを輸液ポンプ用スタンドに複数台設置することは、本願明細書にも記載されているように必要に応じて適宜なし得ることであり(更に必要であれば、特表平3-503734号公報参照)、そして、輸液ポンプを載置台に固定しているものにおいては、輸液ポンプを輸液ポンプ用スタンドに複数台設置する場合、載置台に輸液ポンプを複数台載置することは当業者ならば容易に思いつくことであり、その際、載置台に第2の保持固定手段を複数設けることも当然になし得る設計的事項である。 してみれば、第2の保持固定手段を、最大4台まで水平に載置可能にするために少なくとも2つ以上載置台に設け、本願補正発明の上記相違点に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明による効果も、引用発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (4)むすび したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という)は、拒絶査定時の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「キャスターを備えた基台部と、前記基台部の中央から垂直方向に取り付けられた支持部と、第1の保持固定手段を有した輸液ポンプを載置するために前記支持部に固定される載置台と、を備える輸液ポンプ用スタンドであって、前記第1の保持固定手段に嵌合するように少なくとも2つ以上が、前記載置台に設けられる第2の保持固定手段と、前記嵌合後に、前記第1の保持固定手段と前記第2の保持固定手段とを係合させるように前記載置台で回動操作または往復操作可能に設けられる係合手段と、を備えることを特徴とする輸液ポンプ用スタンド。」 第4 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。 第5 対比・判断 本願発明は、前記「第2 1」の本願補正発明から、「前記第1の保持固定手段に嵌合するように少なくとも2つ以上が前記載置台に設けられる第2の保持固定手段」の限定事項である「最大4台まで水平に載置可能にするために」との構成、及び「互いに」を省いたものであり、また、「載置するために」を付加し、更に、「有する」を「備える」に、「回転操作」を「回動操作」に変更したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項(構成要件)を実質的にすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3」に記載したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-09-20 |
結審通知日 | 2007-09-25 |
審決日 | 2007-10-09 |
出願番号 | 特願平9-310935 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 門前 浩一 |
特許庁審判長 |
阿部 寛 |
特許庁審判官 |
増沢 誠一 中田 誠二郎 |
発明の名称 | 輸液ポンプ用スタンド |