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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1168645
審判番号 不服2005-8080  
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-02 
確定日 2007-11-26 
事件の表示 特願2002-162985「ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月15日出願公開、特開2004- 8322〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、平成14年6月4日の出願であって、平成17年3月30日付で拒絶査定がなされ、これに対して、平成17年5月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成17年5月23日付で手続補正がなされたものである。


2.平成17年5月23日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成17年5月23日付の手続補正を却下する。

(1)補正の内容

平成17年5月23日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲についての、
「【請求項1】
ゲーム進行を制御する制御手段と、
プレイヤーが視認可能なゲームフィールド内にプレイヤーが移動体を導入するための移動体導入手段と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域のそれぞれについて、該領域を通過する移動体を検出する複数の移動体検出器と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体であって上記仮想平面に到達する前の移動体の移動方向を変更するための移動方向変更部材と、
上記複数の移動体検出器の中から、1又は2以上の移動体検出器を所定の選択条件に従って選択する検出器選択手段と、
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出結果に応じて、上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態を変更する制御状態変更手段とを有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1のゲーム装置において、
上記仮想平面を通過した後の移動体であって、該ゲームフィールド内の移動体回収部に入り込んだものを検出する検出手段を有し、
上記制御手段は、該検出手段の検出結果に応じてゲーム進行を制御することを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2のゲーム装置において、
上記移動体導入手段によりゲームフィールド内に導入される移動体の導入方向を変化させるための導入方向変化部材を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3のゲーム装置において、
上記ゲームフィールドを、上記移動体が2次元方向への移動のみ可能となるように構成し、
上記複数の領域を、上記2次元方向であって上記移動体移動経路を横切る方向に直線状に配置したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項4のゲーム装置において、
上記複数の移動体検出器を、上記2次元方向と交差する方向に光路が形成されるように配置される透過型光学センサでそれぞれ構成し、互いに隣り合う2つの透過型光学センサの光路の向きが互いに逆になるように配置したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項4又は5のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域が上記横切る方向に沿って順次移動するように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4又は5のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域が該特定領域に隣接しない別の領域に順次切り替わるように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域の隣接領域数が変更されるように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域が互いに離間して複数存在するように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9のゲーム装置において、
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出領域の位置を、プレイヤーに報知する位置報知手段を設けたことを特徴とするゲーム装置。
【請求項11】
請求項10のゲーム装置において、
上記位置報知手段は、上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出領域の位置をプレイヤーに報知するための画像を、該検出領域の周辺に表示する画像表示手段であることを特徴とするゲーム装置。
【請求項12】
プレイヤーが視認可能なゲームフィールド内にプレイヤーが移動体を導入するための移動体導入手段と、該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域のそれぞれについて、該領域を通過する移動体を検出する複数の移動体検出器と、該ゲームフィールド内に導入された移動体であって上記仮想平面に到達する前の移動体の移動方向を変更するための移動方向変更部材と、上記仮想平面を通過した後の移動体であって、該ゲームフィールド内の移動体回収部に入り込んだものを検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に応じてゲーム進行を制御する制御手段と、上記複数の移動体検出器の中から1又は2以上の移動体検出器を所定の選択条件に従って選択する検出器選択手段と、上記複数の移動体検出器と上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態との対応関係を記憶した記憶手段とを有するゲーム装置のコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
上記制御手段、及び
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出結果に基づき、上記記憶手段を参照して該移動体を検出した移動体検出器に対応する制御状態を特定し、上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態を、特定した制御状態に変更する制御状態変更手段として、上記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。」
の記載を、
「【請求項1】
ゲーム進行を制御する制御手段と、
移動体が2次元方向への移動のみ可能となるように構成されたプレイヤーが視認可能なゲームフィールド内に、プレイヤーが移動体を導入するための移動体導入手段と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域のそれぞれについて、該領域を通過する移動体を検出する複数の移動体検出器と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体であって上記仮想平面に到達する前の移動体の移動方向を変更するための移動方向変更部材と、
上記複数の移動体検出器の中から、1又は2以上の移動体検出器を所定の選択条件に従って選択する検出器選択手段と、
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出結果に応じて、上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態を変更する制御状態変更手段とを有し、
上記複数の領域を、上記2次元方向であって上記移動経路を横切る方向に直線状に配置し、
上記複数の移動体検出器を、上記2次元方向と交差する方向に光路が形成されるように配置される透過型光学センサでそれぞれ構成し、互いに隣り合う2つの透過型光学センサの光路の向きが互いに逆になるように配置したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1のゲーム装置において、
上記移動体導入手段によりゲームフィールド内に導入される移動体の導入方向を変化させるための導入方向変化部材を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域が上記横切る方向に沿って順次移動するように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1又は2のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域が該特定領域に隣接しない別の領域に順次切り替わるように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域の隣接領域数が変更されるように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5のゲーム装置において、
上記所定の選択条件は、上記移動体が通過すると上記制御状態変更手段により制御状態が変更されることになる上記複数の領域のうちの特定領域が互いに離間して複数存在するように、上記移動体検出器を選択する条件を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6のゲーム装置において、
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出領域の位置を、プレイヤーに報知する位置報知手段を設けたことを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項7のゲーム装置において、
上記位置報知手段は、上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出領域の位置をプレイヤーに報知するための画像を、該検出領域の周辺に表示する画像表示手段であることを特徴とするゲーム装置。」
と補正するものを含むものである。

(2)本件補正についての検討

本件補正により、本件補正前の請求項1及び請求項4を削除し、本件補正前の請求項5を独立形式請求項とし、それに伴い、本件補正前の請求項1及び請求項4に記載された事項を本件補正前の請求項5に繰り入れ、かつ、本件補正前の請求項4に記載の「請求項1、2又は3のゲーム装置において」という択一的に請求項を引用するもののうち、「2又3」の選択肢を削除し、請求項1を引用する選択肢に限定し、本件補正後の請求項1の記載としている。

したがって、本件補正の請求項1についての補正は、請求項の削除及び本件補正前の請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものであるので、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号及び同法第17条の2第4項第2号を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。


(3)本件補正後の本願発明

本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものである。
「ゲーム進行を制御する制御手段と、
移動体が2次元方向への移動のみ可能となるように構成されたプレイヤーが視認可能なゲームフィールド内に、プレイヤーが移動体を導入するための移動体導入手段と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域のそれぞれについて、該領域を通過する移動体を検出する複数の移動体検出器と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体であって上記仮想平面に到達する前の移動体の移動方向を変更するための移動方向変更部材と、
上記複数の移動体検出器の中から、1又は2以上の移動体検出器を所定の選択条件に従って選択する検出器選択手段と、
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出結果に応じて、上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態を変更する制御状態変更手段とを有し、
上記複数の領域を、上記2次元方向であって上記移動経路を横切る方向に直線状に配置し、
上記複数の移動体検出器を、上記2次元方向と交差する方向に光路が形成されるように配置される透過型光学センサでそれぞれ構成し、互いに隣り合う2つの透過型光学センサの光路の向きが互いに逆になるように配置したことを特徴とするゲーム装置。」


(4)引用例

これに対して、原査定の拒絶理由に引用された、本願特許出願前に頒布された刊行物である、特開2001-224835号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面の図示とともに次の事項が記載されている。

a.「【請求項1】 検出対象領域を通過する遊技媒体を光センサにて検出する遊技媒体通過検出装置において、
前記光センサの発受光素子を、検出対象領域において、遊技媒体の通過方向の一方の側面側から他方の側面側へ光軸が斜めに透過するよう配置したことを特徴とする遊技媒体通過検出装置。
【請求項2】 複数並列に配置された検出対象領域の何れかを通過する遊技媒体を複数の光センサにて検出する遊技媒体通過検出装置において、
前記複数の光センサの発受光素子を、隣合う複数の検出対象領域において、遊技媒体の通過方向の一方の側面側から他方の側面側へ光軸が斜めに透過するよう配置したことを特徴とする遊技媒体通過検出装置。
【請求項3】 遊技媒体は円盤状体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技媒体通過検出装置。
【請求項4】 検出対象領域に対して複数の光軸が透過することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技媒体通過検出装置。
【請求項5】 複数の光軸は等間隔であることを特徴とする請求項4に記載の遊技媒体通過検出装置。
【請求項6】 遊技媒体の通過位置を検出するゲーム機において、前記ゲーム機は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の遊技媒体通過検出装置と、前記遊技媒体が移動する遊技盤面と、前記遊技盤面に遊技媒体を送り出す送出手段とを有することを特徴とするゲーム機。
【請求項7】 検出対象領域毎に対応して標的を出す標的出現手段を有することを特徴とする請求項6に記載のゲーム機。」

b.「【0012】
【発明の実施の形態】実施の形態1.実施の形態1は、遊技媒体としてメダルを使う射撃ゲーム機において、通過するメダルを光センサで検出する遊技媒体通過検出装置であり、これを図1乃至図4に基づいて説明する。図1は射撃ゲーム機の側面図、図2は遊技者側から見た射撃ゲーム機の正面図、図3は検出対象領域を正面側から見た部分拡大正面図、図4は検出対象領域を側面側から見た部分拡大側面図である。
【0013】図1乃至図3において、この射撃ゲーム機1は、ゲーム内容を映し出すモニタ2と、モニタ2の映像を遊技者に反射させて虚像を見せるハーフミラー3と、ハーフミラー3に映し出される標的に向けてメダルを発射するメダル発射装置4と、ハーフミラー3の背後に配置された検出対象領域群5と、この検出対象領域群5に対して配置された光センサ群6とを備えた構成である。図1において、メダル発射装置4から発射されたメダル7は降り傾斜の遊技盤面8を転がりながら流下して、検出対象領域群5を通過若しくは外れて通過し、何れの場合も、回収樋を経てメダル回収器9に回収される。
【0014】図3及び図4において、検出対象領域群5は、メダル7が流下する遊技盤面8の特定領域に、複数の検出対象領域51、52、53・・・が並列に配置された領域であり、図示の検出対象領域51、52、53・・・はメダル7の通過方向に対して横断する方向に、互いに隣合うように連続的に設定されている。尚、この形態1に示す検出対象領域51、52、53・・・は、図面上では四角形の枠形に表されているが、物体としての四角枠が存在しているのではなく、各検出対象領域を51、52、53・・・仮想的に示しているに過ぎない。勿論、四角枠は光透過部材にて実際に設けてもよいが、そうすると、メダル7が枠部材に衝突して転倒する等の不都合が生じ、ゲーム運営上好ましくない。
【0015】上記のように設定された検出対象領域51、52、53・・・で構成された検出対象領域群5の上下側には、光センサを構成する発光素子11と受光素子12とが対向するよう多数配設されている。図示の例では下側に発光素子11の列、上側に受光素子12の列が、それぞれ検出対象領域群5と平行するよう横並びに設けられている。尚、図4において、下側の発光素子11の列は遊技盤面8の下方に配置されているため、この発光素子11の列からの光軸が透過するよう当該遊技盤面8の部分は光透過部材81で形成されている。
【0016】図3において、上下に対向して配置された各発受光素子11、12は、相応する各検出対象領域51、52、53・・・において、メダル7の通過方向の一方の側面側から他方の側面側へ光軸が斜めに透過するよう配置してある。この場合、一組の発受光素子11、12で一つの検出対象領域の検出を担当するには、当該検出対象領域の幅方向に亘って光軸が斜めとなるように発受光素子11、12を傾けて配置するとよい。上記四角枠の場合では、その対角線上に一本の光軸が横切るように配置する。この四角枠の高さはメダル7の直径より小さくする必要がある。しかし、メダル7は必ずしも、真っ直ぐ立ったまま転がるとは限らない。左右にふらつきながら、或いは、倒れ込むように転がる場合もある。このような場合には、一つの検出対象領域に一つの光軸が斜めに透過するよう配設するだけでは、斜めの光軸を遮断しない姿勢でメダル7が通過する虞がある。
【0017】この不都合を解消するため、この実施の形態1では、各検出対象領域51、52、53・・・に複数の光軸が斜めに透過するように発受光素子11、12を配置した(図3)。複数の光軸を各検出対象領域51、52、53・・・毎に斜めに透過させるには、その光軸は隣合う検出対象領域の一部領域をも斜めに透過することになる。この場合、通過するメダル7は複数の光軸を遮断することになるが、何れの検出対象領域を通過したかを特定するに当たっては、次のような方法を用いる。
【0018】本形態では、全ての素子11、12を同時に発光・受光させる方式では、受光素子が隣合う素子への光まで受光してしまうので、発光・受光素子一対ずつ、順々にデータを読み込む方法を採っており、図3の左端から右端に向かってスキャンするようにしている。更に、本形態では、連続する5組の発光・受光素子(5つの検出対象領域)を1ブロックとし、1ブロック毎にスキャンを繰り返し、メダルの通過を検出している。こうすることにより、検出対象領域群が長い場合でも、メダルを確実かつ素早く検出することができる。
【0019】そして、メダルが通過した際に、複数の光軸が遮断された場合には、遮断された光軸のうち、最も左側の光軸に対応する検出対象領域をメダルが通過したと判断し、1本の光軸だけが遮断された場合は、それに対応する検出対象領域をメダルが通過したと判断する。本形態では、図3に示すように、検出対象領域を決定する光軸が、検出対象領域の右下の角を通って斜めに横切るように、一対の素子11、12を配置しているため、光軸の傾斜を逆にし、光軸が検出対象領域の左下の角を通るようにした場合は、遮断された光軸のうち、最も右側の光軸を基準に検出対象領域を判断すれば良い。
【0020】上記のように、複数の光軸を各検出対象領域51、52、53・・・に斜めに透過させる際には、光軸が平行となるように配置し、更に、好ましくは、この平行間隔を均等に設定するのが、通過した検出対象領域を特定するに当たり、都合がよい。
【0021】実施の形態2.次に、ゲーム機の実施の形態を図1に基づいて説明する。本ゲーム機では、標的に向けて遊技媒体としてのメダル7を送り出すための送出手段としてメダル発射装置4を用いている。ごのメダル発射装置4は、ばねによって下方に付勢された抑圧部材に逆らって、レバーによってメダル7を押出すことにより、遊技盤面8上をメダルが立った状態で勢い良く転がるように構成されている。このメダル送出手段のその他の実施の形態としては、メダル7を発射させるための手段としてモータの回転により揺動してメダルを弾き飛ばすレバーを用いたり、従来のメダルゲームで使用されている長尺状の樋を用いても良い。
【0022】又、遊技盤面8の先に標的を出現させる手段として、モニタ2とハーフミラー3を用いている。これらは、遊技者に、モニタ2の標的を含む画像が見え、且つ、遊技盤面8上を転がるメダル7が標的と重なるまで見えるような位置関係で配置されている。
【0023】図5において、遊技者から見える画像は、図3における検出対象領域51、52、53…に応じて、標的が出現するように生成される。即ち、図5に示す標的21、22、23は、隣合う2つの検出対象領域に対応するような幅をもって生成されているが、これに限定されず、検出対象領域と一対一に対応する幅の標的や、2以上の検出対象領域に対応する幅の標的24を生成するようにしても良い。
【0024】更に、各標的21、22、23の頭上には、メダル7の払い出し枚数、ジャックポットのメダル払い出し枚数の増加数、ボーナスゲーム用標的24の下降数及びはずれを表示すると共に数量を表示する抽選ボックス25が生成される。
【0025】標的出現手段としては、上述したように標的21乃至24を映し出しても良いが、実体物の虚像をハーフミラー3を介して遊技者に見せるようにしても良い。又、モニタ2等の画像表示手段の画像や実体物を遊技者が直接見えるようにしても良い。尚、この場合は、画像表示手段や実体物の前に、遊技媒体を回収する溝などの回収手段を設け、遊技媒体が遊技盤面8上に残らないようにする。
【0026】次に、図1及び図5に基づいてゲーム内容を説明する。遊技者は、メダル発射装置4内にメダルを投入し、遊技盤面8の先に映し出される標的21、22,23を狙ってメダルを発射させる。標的21等は、抽選ボックス25と対になって上下に移動しており、標的21等が着地している間に、その標的21等に対応する検出対象領域にメダル7を通過させれば、標的21等に命中したことなる。標的21等にメダル7が命中したと判断すると、抽選の判定を行ない、標的21等が画面から消えて標的21等の頭上に表示された抽選ボックス25が落下して、抽選結果が表示される。この抽選結果は、先ず、抽選ボックス25の下方窓25bで、回転している数字が停止して数量が表示され、次に、その数量が、メダルの払い出し枚数、ジャックポットのメダル払い出し枚数の増加数若しくはボーナスゲーム用標的24の下降数の何れかに該当するか、又はその数量が無関係となり何も特典が無いはずれとするかを、それぞれ「MEDAL」、「JACKPOT」、「BOSS」、「ハズレ」と抽選ボックス25の上方窓25aに表示することによって表す。
【0027】例えば、図5の抽選ボックス25Gの上方窓25aに「MEDAL」、下方窓25bに「2」と表示された場合には、2枚のメダルが遊技者に払い出される。又、上方窓25aに「BOSS」、下方窓25bに「1」と表示された場合には、中央に浮かんでいるボーナスゲーム用標的24が1段階下降する。このボーナスゲーム用標的24も、標的21等と同様、着地している状態でないと、メダルが命中しないようにしている。又、上方窓25aに「JACKPOT」、下方窓25bに「10」と表示された場合には、モニタ2の上部に表示されるジャックポット表示26の払い出し枚数が増加する。又、上方窓25aに「ハズレ」と表示された場合には、下方窓25bに「0」以外の数字が表示されてもはずれで、メダルの払い出し等の特典は一切無い。
【0028】着地したボーナスゲーム用標的24にメダルを命中させると、標的21等が一定時間着地しつづけるボーナスゲームになるか、ジャックポット表示26に表示されている枚数のメダルが払い出されるジャックポットとなる。尚、本発明では、上記のゲーム内容に限定されることは無く、その他、様々な演出を採用することができる。」

引用例1の上記記載事項及び図面の記載によれば、引用例1には、
「ゲーム内容を映し出すモニタ2と、モニタ2の映像を遊技者に反射させて虚像を見せるハーフミラー3と、ハーフミラー3に映し出される標的に向けてメダルを発射するメダル発射装置4と、ハーフミラー3の背後に配置された検出対象領域群5と、この検出対象領域群5に対して配置された光センサ群6と、遊技盤面8とを備え、
前記検出器領域群5は、メダル7が流下する遊技盤面8の特定領域に、複数の検出対象領域51、52、53・・・が並列に配置された領域であり、検出対象領域51、52、53・・・はメダル7の通過方向に対して横断する方向に、互いに隣合うように連続的に設定されており、
検出対象領域51、52、53・・・で構成された検出対象領域群5の上下側には、光センサ群6の光センサを構成する発光素子11と受光素子12とが対向するよう多数配設され、かつ、各検出対象領域51、52、53・・・に複数の光軸が斜めに透過するように発受光素子11、12を配置したものであり、
前記遊技盤面8の先に標的を出現させる標的出現手段として、前記モニタ2と前記ハーフミラー3を用い、遊技者に、モニタ2の標的を含む画像が見え、遊技者から見える画像は、前記検出対象領域51、52、53…に応じて、標的が出現するように生成されるものであり、
前記射撃ゲーム機のゲーム内容は、遊技者は、メダル発射装置4内にメダルを投入し、遊技盤面8の先に映し出される標的21、22,23を狙ってメダルを発射させ、標的21等が着地している間に、その標的21等に対応する検出対象領域にメダル7を通過させれば、標的21等に命中したことなり、標的21等にメダル7が命中したと判断すると、抽選の判定を行ない、標的21等が画面から消えて標的21等の頭上に表示された抽選ボックス25が落下して、抽選結果が表示され、この抽選結果は、先ず、抽選ボックス25の下方窓25bで、回転している数字が停止して数量が表示され、次に、その数量が、メダルの払い出し枚数、ジャックポットのメダル払い出し枚数の増加数若しくはボーナスゲーム用標的24の下降数の何れかに該当するか、又はその数量が無関係となり何も特典が無いはずれとするかを、それぞれ「MEDAL」、「JACKPOT」、「BOSS」、「ハズレ」と抽選ボックス25の上方窓25aに表示することによって表すものである、
遊技媒体であるメダル7を使う射撃ゲーム機」
の発明(以下、「引用例1発明」という。)の記載が認められる。

また、原査定の拒絶理由に引用された、本願特許出願前に頒布された刊行物である、特開平11-192375号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面の図示とともに次の事項が記載されている。

c.「【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に図示された本出願発明の一実施形態について説明する。
【0015】本実施形態の景品取得ゲーム機は、クレーンゲーム機1であって、その筐体2は、平面形状が正方形で、その角部が1/4円弧状に丸くなった略直方体に形成されている。
【0016】また、筐体2は、基台3と、該基台3の外壁板3aの左右巾中央に鉛直に立設された支柱4と、該支柱4の右方に位置して基台外壁面3aに沿って鉛直に立設さた支柱5と、これら支柱4,5間に張設された透明板6と、前記支柱4,5に支持された天板7と、基台3の頂壁面3bの中心と天板7の中心とに立設されたケーブル筒8と、該ケーブル筒8および支柱4とに鉛直に張設された透明仕切板9とよりなっており、筐体2のプレー空間10内にて、基台頂壁面3b上に、大きな縫包みのような各種大型景品11が、多数積重ねられた状態で載置されている。
【0017】さらに、基台3の頂壁面3bの各隅部には、ユニット化された景品取出し装置20がそれぞれ配設され、該景品取出し装置20の開閉扉関連体30に開口32が開閉自在に設けられており、プレイヤーが該開口32を開けば、景品取出し装置20の景品取出し収納関連体21の景品取出し収納部22内に収納された景品11を取出すことができるようになっている。
・・・(略)・・・
【0020】また天井走行型クレーン18の走行基部18aに伸縮パイプ18bが上下に伸縮自在に垂下して設けられ、該伸縮パイプ18bの下端に掴持装置19が取付けられており、前記天井走行型クレーン18の走行基部18aは、ホームポジション(左,手前端)から右方および奥方向へ所要の位置に移動し、その後、伸縮パイプ18bが下方へ伸長してから、掴持装置19の掴持爪19aが閉じて、景品11の掴持が終了した後、伸縮パイプ18bが短縮するとともに天井走行型クレーン18の走行基部18aが再びホームポジションに戻り、掴持装置19の掴持爪19aが開いて、ホームポジション下方に位置した景品取出し装置20の景品取出し収納部22内に景品11が落下するようになっている。
【0021】しかして、前記景品取出し装置20は、筐体2内の景品11を受入れてこれを収納する景品取出し収納関連体21と、該景品取出し収納関連体21の景品取出し収納部22内の景品11を外部へ取出すことができる開閉扉関連体30とよりなり、該景品取出し収納関連体21と開閉扉関連体30とが相互に一体に結合されて1ユニット構造に構成されている。
【0022】まず、景品取出し収納関連体21は、図7ないし図8および図10に図示されるように、手前板が欠除された略直方体で奥側下部が拡げられ、底板23aの左手前側が切欠かれるとともに左側板23bの手前側が欠除されたダクト23と、該ダクト23の手前側上部に取付けられるフラップブラケット24と、該フラップブラケット24に上端縁が前後に揺動自在に枢支されたフラップ25と、前記ダクト23の上端縁とフラップブラケット24の上端縁とに取付けられるセンサーブラケット26と、該センサーブラケット26に取付けられる直径が約40cmの景品投入円筒27とよりなり、これらはいずれも板金製であって、相互にボルトナット等で一体に結合されている。
【0023】またフラップ25の上下長さは、図5に図示されるように、フラップブラケット24との枢支部25cからダクト23の後板23c迄の距離と略同一の長さに設定され、図11に図示されるように、フラップ25の左右両側部25aは奥側へ直角に折曲され、さらにその奥部で左右外方へ直角に折返され、左右両側部25aの巾は、フラップ25が奥側へ直角に揺動された際に、図5に図示されるように、折返し片25bがセンサーブラケット26の下面に当接することができる長さに設定されており、フラップ25が奥側へ直角に揺動された場合には、フラップ25でもって、景品取出し収納部22の上部が密閉されるようになっている。
【0024】さらにセンサーブラケット26の前後板26a,26bに4対の光センサ28が、左右方向へ亘り等間隔に配設され、該光センサ28の発光部28aと受光部28bとは、隣接光センサ28間で逆になるように配置されている。」

本願特許出願前に頒布された刊行物である、特開2001-733号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面の図示とともに次の事項が記載されている。

d.「【0027】
【発明の実施の形態】-第1の実施形態-
以下、図1?図5を参照して、本発明によるゲームシステムをメダルゲーム機に適用した第1の実施形態について説明する。
・・・(略)・・・
【0029】図1及び図2に示すように、盤面1には、メダルの落下経路に偶然性を付与する多数のピン11が盤面1のほぼ全面にわたり設けられている。・・・(略)・・・」

本願特許出願前に頒布された刊行物である、実願平4-73146号(実開平6-36685号)のCD-ROM(以下、「周知例2」という。)には、図面の図示とともに次の事項が記載されている。

e.「【0007】
【実施例】
以下、本考案の実施例を、図面を参照して説明する。
図1は本考案の一実施例の要部を示す立面図、図2は図1の縦断面図、図3は本実施例の正面斜視図である。
図1に示すように、本実施例のゲーム盤本体2には、所定のエリア内に釘状体のピン4を対角をなす格子状に所定の間隔及び配列で取付けたピンゲート群6が構成されている。詳しくは、図2に示すように、アクリルなどプラスチック製の表面板8に、例えば上下左右に30mm間隔で、二等辺三角形をなすような位置関係に、これに打ち込むピン4の寸法に対応して所定径のピン孔10を複数穿設しておく。木製の台板12の所定の位置にスペーサ14を固定し、その上に表面板8を取り付ける。その後、表面板8を貫通するピン孔10を介して台板12に釘状体のピン4を打ち込み或いは圧入などにより挿入して固定する。さらに、これらの前面に、適当な間隔を空けてガラス製のカバー16を配置する。本実施例では、釘状体ピンにスプリングピンを用いたが、弾性を有するプラスチック製のものがさらに好ましい。なお、スペーサ14は、投入するコイン18が表面板8と台板12との間をすり抜けるのに十分な間隔を保持できるものであればよい。
【0008】
・・・(略)・・・
ゲーム盤本体の上部には、所定の開口部を有してコインを受け入れるコイン投入口26が設けられ、投入したコイン18は、首振りコイン投入装置28を介してピンゲート群6中に投入され、ピンゲート群6中を落下してきたコイン18は、丸1から丸9まで(前記丸1は、実際の表記では丸数字1である、以下同様)のいずれかのコースに入るようになっている。コイン18がこれらのコースに入っているときにコイン落としボタン(図示せず)を押すと、これらのコインは内部のコインホッパー(図示せず)に回収され、また、コース内のコインが所定の並び状態にあるときには、所定の操作により所定のクレジット枚数のコインが払い出されるようになっている。
【0009】
このように構成したコイン並べゲーム機を用いてゲームをするには、まずプレーヤーは規定サイズのコイン18を一枚づつコイン投入口26から投入する。コイン18はモーター(図示せず)によって常に左右に往復揺動する首振りコイン投入装置28から投入されるが、コイン18をコイン投入口26から投入するタイミングにより、投入される位置が微妙に変化してコイン18がピンゲート群6中に投入され、その後、コイン18はゲーム盤本体2の表面板8と台板12との間を、ピンゲート群6を形成する釘状体ピン4に衝突と反発を繰り返しながらジグザグに落下していき、コース丸1から丸9までのうちのいづれかのコインスペース22に入るときに、コース毎に設けた通過センサ24の前面を通過するようにして、通過したコインの枚数を計数する。」

本願特許出願前に頒布された刊行物である、特開平10-154928号公報(以下、「周知例3」という。)には、図面の図示とともに次の事項が記載されている。

f.「【0004】
【発明が解決しようとする課題】図11は従来の多光軸光電センサの光路上にある障害物の検出状態を説明するための図である。投光部である発光ダイオードL1?L4と受光部であるフォトトランジスタPT1?PT4の間に障害物99があると、光束が絞られている理想的な光路では障害物99により、例えば、発光ダイオードL2の光は対応するフォトトランジスタPT2に到達できない(図11(a)参照)。しかし、実際の光路では光束に広がりがあるために、発光ダイオードL2の光は対応するフォトトランジスタPT2に到達しなくても、隣接する発光ダイオードL1、L3の光がフォトトランジスタPT2に到達して、フォトトランジスタPT2がその光を検知してオン状態になり障害物99が検出できない(図11(b)参照)という問題が生ずる。
【0005】本発明は、多光軸光電センサにおいて隣接する光路からの影響を除去し、検出精度を向上した多光軸光電センサを提供することを目的とする。」

g.「【0008】・・・(略)・・・また、第N番目の光軸における光の進行方向と、第N+1番目の光軸における光の進行方向とが交互に反対方向になるように、前記複数の発光素子のうち第N番目の発光素子と前記複数の受光素子のうち第N+1番目の受光素子が一方の側に配置され、前記複数の発光素子のうち第N+1番目の発光素子と前記複数の受光素子のうち第N番目の受光素子が他方の側に配置されてなることを特徴とするものである。」

h.「【0012】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例の多光軸光電センサの構成を説明するためのブロック図である。図2は本発明の第1の実施例の多光軸光電センサの第1投受光部1の処理フローチャートである。図3は本発明の第1の実施例の多光軸光電センサの第2投受光部2の処理フローチャートである。図4は本発明の第1の実施例の多光軸光電センサの第1投受光部1のマイコンの各入出力ポートのタイミングチャートである。図5は本発明の第1の実施例の多光軸光電センサの第2投受光部2のマイコンの各入出力ポートのタイミングチャートである。以下、図に従って説明する。
【0013】1は第2投受光部2のフォトトランジスタに投光し、また、第2投受光部2の発光ダイオードからの光を受光する第1投受光部で、対応するフォトトランジスタPT1、PT3に光(赤外線)を照射する発光ダイオードL1、L3、発光ダイオードL2、L4からの照射光を受光するフォトトランジスタPT2、PT4、発光ダイオードL1、L3を駆動するトランジスタTr1、Tr5、フォトトランジスタPT2、PT4からの信号を受信するトランジスタTr3、Tr7、発光ダイオードL1、L3を所定の周波数(1kz)のパルス波で発光させるためのパルス変調回路12、第2投受光部2の発光ダイオードL2、L4の発光周波数(10kz)と一致した周波数の信号のみを通過させるフィルタ回路13、パルス信号を整流して直流に変換する整流回路14、トランジスタTr3、Tr7からの受光信号を制御するトランジスタTr9、Tr10及び各トランジスタTr1、Tr5、Tr3、Tr7、Tr9、Tr10に制御信号を出力する入出力ポートA?Hを備えたマイクロコンピュータ(マイコン)11で構成される。
【0014】2は第1投受光部1と同一構成の第2投受光部で、対応するフォトトランジスタPT2、PT4に光を照射する発光ダイオードL2、L4、発光ダイオードL1、L3からの照射光を受光するフォトトランジスタPT1、PT3、発光ダイオードL2、L4を駆動するトランジスタTr4、Tr8、フォトトランジスタPT1、PT3からの信号を受信するトランジスタTr2、Tr6、発光ダイオードL2、L4を所定の周波数(10kz)のパルス波で発光させるためのパルス変調回路22、第1投受光部1の発光ダイオードL1、L3の発光周波数(1kz)と一致した周波数の信号のみを通過させるフィルタ回路23、パルス信号を整流して直流に変換する整流回路24、トランジスタTr2、Tr6からの受光信号を制御するトランジスタTr11、Tr12及び各トランジスタTr4、Tr8、Tr2、Tr6、Tr11、Tr12に制御信号を出力する入出力ポートI?Pを備えたマイクロコンピュータ(マイコン)21で構成される。尚、第1投受光部1と第2投受光部2はパルス変調回路12、22の発振周波数及びフィルタ回路14、24の通過周波数が異なる。」

i.「【0037】4は第1投受光部3のフォトトランジスタPT2、PT4に投光し、また、第1投受光部3の発光ダイオードL1、L3からの光を受光する第2投受光部で、発光ダイオードL1、L3からの照射光を受光するフォトトランジスタPT1、PT3、フォトトランジスタPT1、PT3の発光(駆動)周波数(f31、f33)と一致した周波数f31、f33の信号のみを通過させるフィルタ回路41、43、受信信号を増幅する増幅器51、53、受信したパルス信号を直流電圧に変換する整流回路61、63、整流回路61、63の出力を基準電圧と比較する比較回路71、73、対応するフォトトランジスタPT2、PT4に光を照射する発光ダイオードL2、L4、発光ダイオードL2、L4を周波数f32、f34で駆動するパルス変調回路32、34、比較回路71、73の出力に基いて発光ダイオードL2、L4をオン又はオフするスイッチングトランジスタTr82、Tr84で構成されている。
【0038】尚、パルス変調回路31?34の発振周波数(f31?f34)は全て異なり、フィルタ回路41?44は対応する発光ダイオードL1?L4の発光(発振)周波数(f31?f34)の信号のみを通過させるように設定されている。先ず、全ての光路上に障害物がない場合の動作について述べる。第1投受光部3のパルス変調回路31、33から周波数f31、f33の信号を出力し、発光ダイオードL1、L3を同時に発光させる。
【0039】第2投受光部4では、発光ダイオードL1、L3からの光をフォトトランジスタPT1、PT3で受光し、受光信号はフィルタ回路41、43に入力される(但し、通過周波数はf31、f33で異なる)。フィルタ回路41、43を通過した信号は増幅器51、53で増幅され、整流回路61、63で直流電圧に変換されて比較回路71、73に入力される。比較回路71、73では基準電圧と比較され、入力信号が基準電圧より高ければH(高)レベルを、低ければL(低)レベルをスイッチングトランジスタTr82、Tr84のベース(制御電極)に出力する。この場合は障害物がないのでH(高レベル)が出力される。
【0040】第2投受光部4のスイッチングトランジスタTr82、Tr84はオン状態となり、パルス変調回路32、34の周波数f32、f34で発光ダイオードL2、L4を発光させる。第1投受光部3では、発光ダイオードL2、L4からの光をフォトトランジスタPT2、PT4で受光し、受光信号はフィルタ回路42、44に入力される(但し、通過周波数はf42、f44で異なる)。フィルタ回路42、44を通過した信号は増幅器52、54で増幅され、整流回路62、64で直流電圧に変換されて比較回路72、74に入力される。比較回路72、74では基準電圧と比較され、入力信号が基準電圧より高ければH(高レベル)を、低ければL(低レベル)を出力する。この場合も障害物がないのでH(高レベル)が出力される。比較回路72、74の出力は論理積に接続されているので、全光路に障害物がないと、出力端子にはH(高レベル)が出力される。
・・・(略)・・・
【0046】以上のように本実施例では、1対の発光ダイオードとフォトトランジスタの発光、受光の周波数が規定されているので、同時発光させても反射光、隣接光の影響が除去でき検出精度を向上した多光軸光電センサができる。また、出力端子は第1投受光部3側からのみ取り出されるので、信号線の処理が簡単になる。尚、発光ダイオードL1、L3を同時に発光した時、発光ダイオードL3からの入射光がフォトトランジスタPT1に入射する可能性はあるが、発光ダイオードL3は発光ダイオードL1よりもフォトトランジスタPT1までの距離が遠く、光量は小さく、受光範囲外である。しかも、発光ダイオードL1、L3の発光周波数を異ならせているのでフォトトランジスタPT1がたとえ強い光量を受けたとしても後段の増幅器51以降には検知信号は流れない。」


(5)対比

本願補正発明と引用例1発明とを対比する。

引用例1発明の「射撃ゲーム機」におけるゲーム内容は、引用例1の上記記載事項b.の段落【0026】に、「遊技盤面8の先に映し出される標的21、22,23を狙ってメダルを発射させる。標的21等は、抽選ボックス25と対になって上下に移動しており、・・・」と記載されているように、ゲーム進行中に、標的21等や抽選ボックス25が移動する等の処理を含むものであり、前記標的21等や抽選ボックス25が移動する処理は、前記処理を実現するゲーム実行プログラムをコンピュータ等の制御手段により実行して行わせることは当業者にとって自明であるので、引用例1発明は、本願補正発明1と同様に、「ゲーム進行を制御する制御手段」に対応する構成を備えているといえる。

引用例1発明の「遊技媒体であるメダル7」が、本願補正発明の「移動体」に相当する。

引用例1発明の「遊技盤面8」が、本願補正発明の「ゲームフィールド」に相当する。

引用例1発明の「遊技媒体であるメダル7」が「遊技盤面8」上を移動する際に、「遊技盤面8」上の面方向に移動することは、図1等の記載からみて自明であるので、引用例1発明は、本願補正発明と同様に、「移動体が2次元方向への移動のみ可能となるように構成されたプレイヤーが視認可能なゲームフィールド」に対応する構成を備えているといえる。

引用例1発明の「メダルを発射するメダル発射装置4」から発射された「メダル7」は、上述したように「遊技盤面8」上を面方向に移動するものなので、引用例1発明の「メダルを発射するメダル発射装置4」が、本願補正発明の「移動体が2次元方向への移動のみ可能となるように構成されたプレイヤーが視認可能なゲームフィールド内に、プレイヤーが移動体を導入するための移動体導入手段」に相当する。

引用例1発明の「検出対象領域51、52、53・・・で構成された検出対象領域群5」が、本願補正発明の「該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域」に相当する。

引用例1発明の「光センサ群6の光センサを構成する発光素子11と受光素子12」は、「検出対象領域51、52、53・・・で構成された検出対象領域群5」の各検出領域に対応する光センサで、前記各検出領域をメダル7が通過したかどうかを検出するものなので、引用例1発明の「光センサ群6の光センサを構成する発光素子11と受光素子12」が、本願補正発明の「該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域のそれぞれについて、該領域を通過する移動体を検出する複数の移動体検出器」に相当する。

引用例1発明の「射撃ゲーム機」のゲーム内容は、標的21等が着地している間に、その標的21等に対応する検出対象領域をメダル7が通過したか否かを検出するものなので、引用例1発明は、本願補正発明と同様に、「上記複数の移動体検出器の中から、1又は2以上の移動体検出器を所定の選択条件に従って選択する検出器選択手段」に対応する構成を備えているといえる。

引用例1発明の「射撃ゲーム機」のゲーム内容は、標的21等が着地している間に、その標的21等に対応する検出対象領域にメダルを通過させると、標的21等に命中したと判断し、標的21等が画面から消えて標的21等の頭上に表示される抽選ボックス25が落下して、抽選結果が表示され、先ず、抽選ボックス25の下方窓25bで、回転している数字が停止して数量が表示され、次に、その数量が、メダルの払い出し枚数、ジャックポットのメダル払い出し枚数の増加数若しくはボーナスゲーム用標的24の下降数の何れかに該当するか、又はその数量が無関係となり何も特典が無いはずれとするかを、それぞれ「MEDAL」、「JACKPOT」、「BOSS」、「ハズレ」と抽選ボックス25の上方窓25aに表示するものであり、前記標的に命中したと判断された場合、抽選ボックスで表示される抽選結果のうち、少なくとも「JACKPOT」、「BOSS」というゲーム状態は、ゲーム進行の制御状態を変更するものに該当するといえるので、引用例1発明は、本願補正発明と同様に、「上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出結果に応じて、上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態を変更する制御状態変更手段」に対応する構成を備えているといえる。

引用例1発明の「前記検出器領域群5は、メダル7が流下する遊技盤面8の特定領域に、複数の検出対象領域51、52、53・・・が並列に配置された領域であり、検出対象領域51、52、53・・・はメダル7の通過方向に対して横断する方向に、互いに隣合うように連続的に設定されており、」が、本願補正発明の「上記複数の領域を、上記2次元方向であって上記移動経路を横切る方向に直線状に配置し、」に相当する。

引用例1発明の「射撃ゲーム機」が、本願発明の「ゲーム機」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用例1発明の両者は、
「ゲーム進行を制御する制御手段と、
移動体が2次元方向への移動のみ可能となるように構成されたプレイヤーが視認可能なゲームフィールド内に、プレイヤーが移動体を導入するための移動体導入手段と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域のそれぞれについて、該領域を通過する移動体を検出する複数の移動体検出器と、
上記複数の移動体検出器の中から、1又は2以上の移動体検出器を所定の選択条件に従って選択する検出器選択手段と、
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出結果に応じて、上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態を変更する制御状態変更手段とを有し、
上記複数の領域を、上記2次元方向であって上記移動経路を横切る方向に直線状に配置したゲーム装置。」
の点で一致し、次の各点で相違する。

相違点1:ゲーム装置が、本願補正発明では、該ゲームフィールド内に導入された移動体であって上記仮想平面に到達する前の移動体の移動方向を変更するための移動方向変更部材とを有しているのに対して、引用例1発明は、前記構成を有していない点。

相違点2:ゲーム装置が、本願補正発明では、上記複数の移動体検出器を、上記2次元方向と交差する方向に光路が形成されるように配置される透過型光学センサでそれぞれ構成し、互いに隣り合う2つの透過型光学センサの光路の向きが互いに逆になるように配置したものであるのに対して、引用例1発明では、前記構成を有していない点。


(6)判断
相違点1について
メダル等の遊技媒体が遊技盤面上を移動するゲーム装置において、前記メダル等の遊技媒体の移動方向を変更するピン等の移動方向変更部材を前記遊技盤面上に設ける技術は、例えば、周知例1や周知例2に示されるように従来周知の技術である。
したがって、引用例1発明において、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を限定することは何ら格別ではない。

相違点2について
引用例2には、発光部と受光部からなる1対の光センサが1次元方向に複数備えられるものにおいて、隣接する光センサ間で、当該光センサの受光部と発光部が逆になるように配置されたものが記載されている。
そして、周知例3には、多光軸センサにおいて、隣接する光路からの影響を除去し、検出精度を向上した多光軸センサを提供する目的で、複数の発光素子と前記複数の発光素子からの光をそれぞれ対応して対向配置された複数の受光素子により受光する多光軸光電センサにおいて、第N番目の光軸における光の進行方向と、第N+1番目の光軸における光の進行方向とが交互に反対方向になるように、前記複数の発光素子のうち第N番目の発光素子と前記複数の受光素子のうち第N+1番目の受光素子が一方の側に配置され、前記複数の発光素子のうち第N+1番目の発光素子と前記複数の受光素子のうち第N番目の受光素子が他方の側に配置される技術が記載されている。
このように、受光素子と発光素子からなる1対の光センサを1次元方向に複数配列したものにおいて、隣接する1対の光センサ間で発光素子から受光素子へ至る光路の向きが交互に逆になるように受光素子と発光素子とを配置する技術は従来周知の技術といえる。
そうすると、引用例1発明に、前記従来周知の技術を適用して、引用例1発明において、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を限定することは何ら格別ではない。

そして、本願補正発明の効果は、引用例1発明及び従来周知の技術から当業者が予測できる範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1発明及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。


(7)むすび

以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するから、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。


3.本願発明

平成17年5月23日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成17年3月8日付の手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、特に、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された次のとおりのものである。
「ゲーム進行を制御する制御手段と、
プレイヤーが視認可能なゲームフィールド内にプレイヤーが移動体を導入するための移動体導入手段と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体の移動経路と交差する仮想平面上の互いに隣接する複数の領域のそれぞれについて、該領域を通過する移動体を検出する複数の移動体検出器と、
該ゲームフィールド内に導入された移動体であって上記仮想平面に到達する前の移動体の移動方向を変更するための移動方向変更部材と、
上記複数の移動体検出器の中から、1又は2以上の移動体検出器を所定の選択条件に従って選択する検出器選択手段と、
上記検出器選択手段により選択された移動体検出器の検出結果に応じて、上記制御手段におけるゲーム進行の制御状態を変更する制御状態変更手段とを有することを特徴とするゲーム装置。」


4.引用例

原査定の拒絶理由に引用された引用例1、引用例2及び周知例並びにその記載事項は、前記2.(4)に記載したとおりである。


5.対比・判断

本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記2.(2)で述べた限定事項を省いたものである。

そして、上記2.(2)で述べた限定事項は、上記2.(5)で述べた相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を含むものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を含む一部の発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、前記2.(6)に記載したとおり、引用例1発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明は、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を含む限定事項が省かれているから、本願発明は、引用例1発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


6.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例1発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-03 
結審通知日 2007-10-05 
審決日 2007-10-16 
出願番号 特願2002-162985(P2002-162985)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 森内 正明
植野 孝郎
発明の名称 ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラム  
代理人 黒田 壽  

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