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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01K |
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管理番号 | 1168646 |
審判番号 | 不服2005-9300 |
総通号数 | 97 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-05-18 |
確定日 | 2007-11-26 |
事件の表示 | 特願2001-232385「ルアーの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年2月12日出願公開,特開2003-38065〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯および本願発明 本願は,平成13年7月31日の出願であって,当審にて平成19年7月3日付けで拒絶理由が通知され,同年9月10日付けで手続補正がなされたものである。そして,本願の請求項1?3に係る発明は,同日付けの手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は次のとおりのものである。 「魚類に似せた形状の基体と、該基体の表面に設けられた魚類の色調及び模様を模した加飾層とを備え、該加飾層が、上記基体の表面に形成された魚類のきらめきを表現するための下地層と、インクジェット方式の印刷により該下地層の表面に形成された印刷層とを有するルアーの製造方法であって、 パール塗装法、ホログラムスタンプ法、めっき法又はホットスタンプ法により上記基体の表面に上記下地層を形成し、 次いで、上記下地層の表面に、インクジェット方式の印刷により上記印刷層を形成することにより、上記基体の表面に上記加飾層を設けることを特徴とするルアーの製造方法。」 2 引用例および記載事項 これに対して,当審の拒絶理由に引用した登録実用新案第3054450号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 ・「【請求項1】小魚類や水生小動物などの釣り用餌の形状を模したルアー本体と、このルアー本体に設けられた道糸係止具及び釣り針係止具とからなるルアーであって、該ルアー本体の表面の一部分又は全面にパールメッキが施されていることを特徴とするルアー。」 ・「【0002】 【従来の技術】 一般に、ブラックバス、スズキ等の釣りは擬似餌、所謂ルアーを使ったルアーフィッシングにより行われることが多い。 ルアーとしては古くは木を魚の形に成形したものが用いられていた。また50年程前からは、プラスチック製のルアーが創出され、更にプラスチック製で透明のルアーにアルミニウム蒸着やニッケルメッキが施されてなるルアーが創出され、現在も多く使用されている。しかしながら、このようなアルミニウム蒸着やニッケルメッキを施しただけのルアーは臨場感に乏しいため、魚の興味を引きつけることができず、大きな釣果をあげることができなかった。 そこで最近では、プラスチック製のルアーにホログラムがホットスタンプで貼りつけられてなるものが存在する。」 ・「【0011】上述したような方法でパールメッキをルアー本体(2)の表面に施すことにより、容易に表面の光沢が本物の魚の光沢に類似する臨場感に優れたルアーを製造することができる。また、腹部や背中などに継ぎ目ができたり、鰓や鱗などの凹凸を有する部分が汚くなることはないので、外観上美しく仕上げることができ、魚の興味を引きつけて大きな釣果をあげることができる。」 ・「【0012】上記パールメッキはプラスチック製などのルアー本体(2)の表面に直接施してもよく、或いは、図6に示すように、表面にアルミニウムメッキやニッケルメッキなどの金属メッキ層(7)を設けた後に、その上にパールメッキ層(6)を設けてもよい。金属メッキ層(7)を設けることにより、ルアー本体(2)の表面に金属光沢が付与されるので、魚の興味をより引きつけることとなり、より大きな釣果をあげることができる。尚、パールメッキはルアー本体(2)表面の全面に施しても、或いは腹部のみなど一部分に施してもよい。」 ・「【0013】表面にパールメッキが施されたルアー本体(2)には図1示の如く目玉が取り付けられる。更に、表面に模様が描かれてもよい。その後、図1乃至図3に示す如く道糸係止具(3)及び釣り針係止具(4)を取り付けることにより、本考案に係るルアー(1)が得られる。」 ・「【0016】実施例1及び実施例2で得られたルアーは共に、水中での表面の光沢が本物の魚の光沢に似ており、また、腹部や背中などに継ぎ目はなく、鰓や鱗などの凹凸を有する部分も美しく仕上がっていた。即ち、ルアー本体にパールメッキを施すことにより、容易に、表面が美しく臨場感に優れたルアーを得ることができるといえる。」 上記記載事項からみて,引用例1には,以下の発明が記載されていると認められる。 「小魚類や水生小動物などの釣り用餌の形状を模したルアー本体の表面の一部分又は全面にパールメッキが施され,更に、表面に模様が描かれるルアーの製造方法。」(以下,「引用発明」という。) また,同様に引用した特開2000-318393号公報(以下,引用例2という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 ・「【0020】以上、本発明の構成は、可能な限り互いに組み合わせることが可能である。ここで、本発明におけるスポーツ用品とは、主に屋外で使用され、特に、自然環境下において繰り返し使用されるものであり、水や泥等が付着し得るゴルフクラブ、ゴルフシャフト等のゴルフ用品、スキー板、ストック等のスキー用具、テニス用具などといった通常のスポーツ用品に加え、釣竿、釣用リール等の釣り用具、自転車、テント、ボート、オール等といったアウトドア用品等も含まれるものである。」 ・「【0021】また、本発明における装飾とは、模様、文字、図柄、色彩、又は、これらを組み合わせたものをいう。」 ・「第一装飾層2は、本体の表面上の少なくとも一部に、従来から用いられている手法、例えば、パット印刷、スクリーン印刷、熱転写、インクジェット、ダブルアルマイト、マスク塗装等により容易に形成される。」(公報4頁左欄35?39行) 3 対比・判断 本願発明と引用発明を対比すると,両者は,次の点で相違する。 (相違点1)下地層を,前者では,「パール塗装法、ホログラムスタンプ法、めっき法又はホットスタンプ法により形成する」のに対し,後者では,「パールメッキにより形成する」点。 (相違点2)印刷層を,前者では,「インクジェット方式の印刷により形成する」のに対し,後者では,模様を描く手法は不明である点。 先ず,相違点1について検討する。 引用発明の「パールメッキにより形成する」は,本願発明の「めっき法により形成する」の一種であり,引用例1の段落【0002】の「プラスチック製のルアーにホログラムがホットスタンプで貼りつけられてなるものが存在する。」との記載からみて,「ホログラムをホットスタンプにより形成する」ことも,本願出願前周知の事項である。 してみると,相違点1は当業者ならば容易に想到し得る程度のことであるといえる。 次に,相違点2について検討する。 引用例2には,上記引用例2の記載事項から明らかなように,釣り用具において「模様をインクジェット方式の印刷により形成する」ことが記載されているといえ,該記載に基づけば,引用発明の「模様を描く手法」として,インクジェット方式を採用することは当業者ならば容易に想到し得る程度のことであるといえる。 そして,本願明細書に記載された本願発明によってもたらされる効果は,引用例1および2記載の事項から当業者であれば予測することができる程度のものである。 4 むすび 以上のことから,本願発明は,引用例1,2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから,他の請求項について検討するまでもなく,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-09-27 |
結審通知日 | 2007-10-02 |
審決日 | 2007-10-15 |
出願番号 | 特願2001-232385(P2001-232385) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A01K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 郡山 順 |
特許庁審判長 |
岡田 孝博 |
特許庁審判官 |
砂川 充 西田 秀彦 |
発明の名称 | ルアーの製造方法 |
代理人 | 小島 清路 |