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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1168716
審判番号 不服2004-17155  
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-19 
確定日 2007-11-29 
事件の表示 平成 8年特許願第 95771号「部品供給方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月31日出願公開、特開平 9-283986〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成8年4月18日の出願であって、平成16年7月15日付けで拒絶査定がされたところ、同年8月19日にこの査定に対する審判請求がされるとともに、同年9月21日付けで手続補正がされたものである。

II.平成16年9月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年9月21日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成16年9月21日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、明細書の特許請求の範囲について、本件補正前の請求項1(以下、「旧請求項1」という。)に、「前記部品供給テーブルは、1列に並べて昇順に順位付けされ、」という事項を付加する(以下、「補正事項a」という。)とともに、旧請求項1の「前記部品吸着位置から離れた部品交換位置から順に空いている部品交換位置に決定して」を、「前記部品供給テーブルに付与された順位に基づき決定される部品交換位置に」とする(以下、「補正事項b」という。)ことにより、請求項1を
「ベース上で直線上に3個以上配列された各部品供給テーブルが独立して前記直線上に動作可能であり、前記各部品供給テーブルは、前記ベース上の1箇所に設けられた部品吸着位置にて部品供給を行い、部品交換位置において部品補給する部品供給装置であって、
前記部品交換位置は、全部品供給テーブル数に基づいて決定した個数分を前記部品吸着位置の両側における前記直線上に配置し、
前記部品供給テーブルは、1列に並べて昇順に順位付けされ、
前記部品吸着位置にて部品供給中の部品供給テーブルに対して、部品切れ時に移動すべき部品交換方向を設定し、前記設定した部品交換方向における部品交換位置の中で、前記部品供給テーブルに付与された順位に基づき決定される部品交換位置に、前記部品切れした部品供給テーブルを移動させることを特徴とする部品供給装置。」
と補正する内容を含む(下線は補正箇所を示す。)。

2.補正の目的
補正事項aは、旧請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「部品供給テーブル」について、その整列状態及び順位付けされていることを限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、補正事項bは、拒絶査定に付記した、旧請求項1の「前記部品吸着位置から離れた部品交換位置から順に空いている部品交換位置に決定」の記載について、発明の詳細な説明との対応が不明りょうである旨の指摘に対してなされたものと認められるから、特許法第17条の2第4項第4項の規定する不明りょうな記載の釈明を意図したものと認められる。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、本件補正前の請求項1?6に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された次の刊行物(以下「引用刊行物」という。)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用刊行物:特開昭63-249397号公報

(2)引用刊行物の記載事項
(ア)「数種類の部品を搭載した供給テーブルが、ベース上を左右に往復運動し、且つ所定の位置に停止し、上記部品を装着機構に連続して供給する部品供給部と、上記部品を吸着して他側のXYテーブル上の基板に装着する装着機構を備えた部品装着機において、上記供給テーブルを複数個に分割し、各分割テーブルが、各分割テーブル毎の電磁クラッチ等の着脱機構と一本のボールねじおよび1個のサーボモータからなる駆動機構により、同一直線上を個別に移動すると共に、装着機構に対向する分割テーブルが、制御装置の指令により所定位置に位置決めされる手段を設けてなることを特徴とする部品供給装置。」(特許請求の範囲の請求項1)
(イ)「〔実施例〕
以下本発明の一実施例の部品供給装置を第1図乃至第4図にもとずき説明する。・・・
本体ベース11は部品供給テーブルが走行する所定長さを有し、上面両側にレール状のリニアガイド12が突設され、中央部にはボールねじ13と、回転形サーボモータ14からなる駆動機構を装設する溝15が、本体ベースの長手方向ほぼ全長にわたって形成されている。
本体ベース11上を走行する部品供給テーブルは、電子部品を約100種類程度供給するテーブルでは全体で数mを必要とする。これを複数個に分割した分割テーブル16(16a,16b,16c,16d,16e)を形成し、各分割テーブル16は、下面の両側に設けられた走行部材17が上記リニアガイド12に係合されて、個別にこのリニアガイド12上を走行する。」(第2頁右下欄第13行?第3頁左上欄第12行)
(ウ)「上記複数個の分割テーブル16の内、移載機構であるロータリーヘッド3に対向している分割テーブル、すなわち第1図においては、分割テーブル16bのみが、高精度に繰返し位置決め走行し、他の分割テーブル16a,16c,16d,16eは本体ベースの両側に移動し停止される。」(第3頁右上欄第8?13行)
(エ)「本実施例の制御装置を、第5図のブロック図に基づき説明する。複数個の分割テーブル16a、……、16eに対し、・・・1組のサーボ機構を設け、その上位にシステムコントローラ24が備えてある。上記サーボ機構と分割テーブルとの間には、駆動回路25と位置検出回路26を切換える切換器27が設けられている。すなわち、切換器27は、各テーブルの電磁クラッチ19a,……,19eと、リニアスケールヘッド21a,……,21eを切換接続する。」(第3頁左下欄第2?12行)
(オ)「次に各分割テーブルの動作を第4図にて、説明する。第4図は、システムコントローラ24に指令された部品を搭載している分割テーブル16bが、第1図に示すロータリーヘッドの3aの真下に来るべく、切換器27にて、電磁クラッチ19bを作動させ、且つ、リニアスケールヘッド21bを位置検出回路26を接続させて、サーボコントローラ23の位置偏差量が零になるまで、ドライバ22にて直流モータ14を駆動する状態を示している。他方、他の分散テーブル16a,16c,16d,16eは本体ベースの両端部に寄せられ、駆動回路25と位置検出回路26は、切換器27内で、接続されてはいない。次いで、システムコントローラ24により、隣の分割テーブル16cを位置決めするよう指令されると、まず分割テーブル16bは端へ移動退避する。そして、その後切換器27は、電磁クラッチ19bを切り、19cを作動させ、リニアスケールヘッド21cを接続する。接続後、指令された電子部品が、ロータリーヘッド3の真下3aの位置に来るよう位置決めする。切換駆動、位置決め動作は、この様に行われ、複数の分割テーブルを1組のサーボ機構で位置決めすることが出来る。」(第3頁左下欄第13行?同頁右下欄第15行)
(カ)「複数個の分割テーブルのうち、電子部品がなくなった分割テーブルは本体ベースの両側に停止しており、この状態のときに、電子部品を補充することが出来る。この補充時間中にも中央部に位置する分割テーブルからは電子部品がロータリーヘッドを介しプリント基板に電子部品が装着されており、装置全体として稼動中に電子部品を部品供給テーブル(分割テーブル)に補充している。」(第4頁左下欄第4行?同頁左下欄第11行)

(3)刊行物発明の認定
引用刊行物の摘示(ア)には、「数種類の部品を搭載した供給テーブルが、ベース上を左右に往復運動し、且つ所定の位置に停止し、上記部品を装着機構に連続して供給する部品供給部と、上記部品を吸着して他側のXYテーブル上の基板に装着する装着機構を備えた部品装着機において、上記供給テーブルを複数個に分割し、各分割テーブルが、・・・同一直線上を個別に移動すると共に、装着機構に対向する分割テーブルが、制御装置の指令により所定位置に位置決めされる手段を設けてなることを特徴とする部品供給装置」が記載されている。
そして、上記の部品供給装置の実施例として、摘示(イ)には、「本体ベース11は部品供給テーブルが走行する所定長さを有し、・・・ 本体ベース11上を走行する部品供給テーブルは、・・・これを複数個に分割した分割テーブル16(16a,16b,16c,16d,16e)を形成し、各分割テーブル16は、下面の両側に設けられた走行部材17が上記リニアガイド12に係合されて、個別にこのリニアガイド12上を走行する。」と記載され、摘示(ウ)には、「上記複数個の分割テーブル16の内、移載機構であるロータリーヘッド3に対向している分割テーブル、すなわち第1図においては、分割テーブル16bのみが、高精度に繰返し位置決め走行し、他の分割テーブル16a,16c,16d,16eは本体ベースの両側に移動し停止される。」と記載されているから、この部品供給装置は、本体ベース上で同一直線上に配列され、同一直線上を個別に移動可能な5個の分割テーブルを有し、この分割テーブルのうち、移載機構であるロータリーヘッド3に対向している分割テーブルのみがロータリーヘッドに部品供給を行い、他の4個の分割テーブルは本体ベースの両側に移動し停止するものといえる。
また、摘示(エ)には、「本実施例の制御装置を、第5図のブロック図に基づき説明する。複数個の分割テーブ16a、……、16eに対し、・・・1組のサーボ機構を設け、その上位にシステムコントローラ24が備えてある。上記サーボ機構と分割テーブルとの間には、駆動回路25と位置検出回路26を切換える切換器27が設けられている。すなわち、切換器27は、各テーブルの電磁クラッチ19a,……,19eと、リニアスケールヘッド21a,……,21eを切換接続する。」と記載されているから、この部品供給装置は、システムコントローラによって各分割テーブルの動作が独立に制御されているといえる。
そして、摘示(オ)には、「各分割テーブルの動作を第4図にて、説明する。第4図は、システムコントローラ24に指令された部品を搭載している分割テーブル16bが、第1図に示すロータリーヘッドの3aの真下に来る・・・状態を示している。他方、他の分散テーブル(「分散テーブル」は「分割テーブル」の誤記と認める。)16a,16c,16d,16eは本体ベースの両端部に寄せられ、駆動回路25と位置検出回路26は、切換器27内で、接続されてはいない。次いで、システムコントローラ24により、隣の分割テーブル16cを位置決めするよう指令されると、まず分割テーブル16bは端へ移動退避する。そして、その後切換器27は、電磁クラッチ19bを切り、19cを作動させ、リニアスケールヘッド21cを接続する。接続後、指令された電子部品が、ロータリーヘッド3の真下3aの位置に来るよう位置決めする。切換駆動、位置決め動作は、この様に行われ、複数の分割テーブルを1組のサーボ機構で位置決めすることが出来る。」と記載されているから、この部品装着装置において、ロータリーヘッドの真下の装着位置にある分割テーブルに対しては、電子部品がなくなると、本体ヘッド上を直線的に移動して端へ退避する指令が、システムコントローラからされるといえ、そのような移動退避の指令には、移動すべき方向(どちら側の端部か)、及び該方向における移動すべき距離を決定する情報が含まれることが明らかであるから、部品装着中の分割テーブルに対して、システムコントローラにより、部品切れ時に移動すべき方向が設定され、その方向における移動すべき距離、すなわち、その方向における退避位置の中でどの退避位置とするかが決定されるといえる。
さらに、摘示(カ)には、「複数個の分割テーブルのうち、電子部品がなくなった分割テーブルは本体ベースの両側に停止しており、この状態のときに、電子部品を補充することが出来る。この補充時間中にも中央部に位置する分割テーブルからは電子部品がロータリーヘッドを介しプリント基板に電子部品が装着されており、装置全体として稼動中に電子部品を部品供給テーブル(分割テーブル)に補充している。」と記載されているから、システムコントローラの指令により、本体ヘッドの両側に移動退避された分割テーブルは、その退避位置において、電子部品を補充されているといえる。
以上によると、引用刊行物には、
「本体ベース上で直線上に5個配列された各分割テーブルが独立して前記直線上に動作可能であり、前記各分割テーブルは、前記本体ベース上のロータリーヘッドに対向した部品装着位置のみにて部品供給を行い、退避位置において部品補充する部品供給装置であって、
前記退避位置は、前記部品装着位置の両側における前記直線上に配置し、
前記分割テーブルは、1列に並べられ、
前記部品装着位置にて部品供給中の分割テーブルに対して、システムコントローラにより、部品切れ時に移動すべき方向を設定し、前記設定した方向における退避位置の中で、決定される退避位置に、前記部品切れした分割テーブルを移動させ、その位置で部品を補充する部品供給装置」
の発明が記載されているといえる(以下、この発明を「刊行物発明」という。)。

(4)対比
本願補正発明(前者)と、刊行物発明(後者)とを対比すると、後者の「本体ベース」、「5個」、「分割テーブル」、及び「ロータリーヘッドに対向した部品装着位置のみ」は、それぞれ前者の「ベース」、「3個以上」、「部品供給テーブル」、及び「一箇所に設けられた部品吸着位置」に相当し、後者の「退避位置」はその位置で部品を補充するから、前者の「部品補給する部品交換位置」に相当し、後者の「退避方向」は、前者の「部品交換方向」に相当する。
したがって、両者は、「ベース上で直線上に3個以上配列された各部品供給テーブルが独立して前記直線上に動作可能であり、前記各部品供給テーブルは、前記ベース上の1箇所に設けられた部品吸着位置にて部品供給を行い、部品交換位置において部品補給する部品供給装置であって、
前記部品交換位置は、前記部品吸着位置の両側における前記直線上に配置し、
前記部品供給テーブルは、1列に並べられ、
前記部品吸着位置にて部品供給中の部品供給テーブルに対して、部品切れ時に移動すべき部品交換方向を設定し、前記設定した部品交換方向における部品交換位置の中で決定される部品交換位置に、前記部品切れした部品供給テーブルを移動させる部品供給装置」の点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:前者は、部品交換位置を、「全部品供給テーブル数に基づいて決定した個数分」配置するのに対して、後者は、部品交換位置の個数が不明である点
相違点2:前者は、部品供給テーブルが昇順に順位付けされているのに対して、後者は、昇順に順位付けされているかどうか不明である点
相違点3:前者は、部品供給中の部品供給テーブルに対して、部品切れ時に移動させる部品交換位置が、「前記部品供給テーブルに付与された順位に基づき決定される」のに対して、後者は、システムコントローラにより決定される点

(5)判断
(i)相違点1について
複数の作業テーブルが存在して、作業する位置が一つの場合に、現に作業している作業テーブル以外の作業テーブルは、他の位置で退避していなくてはならないことは、自明な事項であり、作業テーブルが多ければ多いほど、退避位置も多く確保しなければならないから、作業テーブルの数に応じて退避位置の必要数が決定されることも、自明の事項である。
これに対して、刊行物発明における部品供給テーブルも、一つの部品供給テーブルが部品供給中、他の部品供給テーブルは部品交換位置に退避していなければならないから、退避位置の数、すなわち部品交換位置の数を、全テーブル数に応じて必要とされる数に基づいて決定することは、上記自明の事項に基づいて当業者が適宜なし得る設計的事項と認められる。

(ii)相違点2について
複数の被制御物を独立して個々に制御しようとすれば、個々の被制御物を制御装置が個別に認識する必要があることは、自明な事項であるところ、刊行物発明においても、摘示(エ)、(オ)に記載されるように、各部品供給テーブルの動作は、システムコントローラによって独立して個々に制御されているから、各部品供給テーブルには、システムコントローラが個別に認識し得る識別情報が付与されており、その識別情報に基づいてシステムコントローラが各部品供給テーブルの動作の制御を行っているといえる。
そして、一列に並べた物に対する個々の識別情報を、「1,2,3・・・」又は「a,b,c・・・」のように昇順に順位付けして付することは、ごく普通に行われることであるから、刊行物発明において、一列に並んだ部品供給テーブルに対する識別情報を、昇順に順位付けしたものとすることは、当業者が容易になし得る設計的事項であるにすぎない。

(iii)相違点3について
上記(ii)に示すとおり、刊行物発明の各部品供給テーブルには個々に識別情報が付与されており、その識別情報に基づいて各部品供給テーブルに対する動作制御が行われているというべきであるから、部品供給中の部品供給テーブルに対して、部品切れ時に移動させる部品交換位置を決定する制御も、前記部品供給テーブルに付与された識別情報に基づいて行われているといえる。
そして、一列に並んだ部品供給テーブルに対して、昇順に順位付けした識別情報を付することが単なる設計的事項であることも、上記(ii)に示すとおりであるから、刊行物発明における上記の識別情報として順位を用いることも、当業者が容易になし得る設計的事項といえる。

(6)まとめ
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定を満たさないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において、読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明について
1.本願発明
平成16年9月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の発明は、同年6月28日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「ベース上で直線上に3個以上配列された各部品供給テーブルが独立して前記直線上に動作可能であり、前記各部品供給テーブルは、前記ベース上の1箇所に設けられた部品吸着位置にて部品供給を行い、部品交換位置において部品補給する部品供給装置であって、
前記部品交換位置は、全部品供給テーブル数に基づいて決定した個数分を前記部品吸着位置の両側における前記直線上に配置し、
前記部品吸着位置にて部品供給中の部品供給テーブルに対して、部品切れ時に移動すべき部品交換方向を設定し、前記設定した部品交換方向における部品交換位置の中で、前記部品吸着位置から離れた部品交換位置から順に空いている部品交換位置に決定して、前記部品切れした部品供給テーブルを移動させることを特徴とする部品供給装置。」

2.引用刊行物の記載事項、及び刊行物発明
原査定の拒絶の理由(前記「II.3.(1)」参照)に引用した刊行物の記載事項は、前記「II.3.(2)」に示すとおりであり、刊行物発明の認定は、前記「II.3.(3)」に示すとおりである。

3.対比
本願発明は、前記「II.3.」においてその独立特許要件を検討した本願補正発明から、「前記部品供給テーブルは、1列に並べて昇順に順位付けされ、」という限定を省くとともに、本願補正発明の「前記部品供給テーブルに付与された順位に基づき決定される部品交換位置」の特定事項を、「前記部品吸着位置から離れた部品交換位置から順に空いている部品交換位置に決定して」の特定事項と置き換えたものである。
そうすると、本願発明と刊行物発明とを対比すると、両者は前記「II.3.(4)」に示す相違点1、及び以下の相違点4の点で相違し、他に相違するところはない。

相違点4:前者は、部品供給中の部品供給テーブルに対して、部品切れ時に移動させる部品交換位置を、「部品吸着位置から離れた部品交換位置から順に空いている部品交換位置に決定」するのに対して、後者は、どのように決定しているか不明である点

4.判断
相違点1については、前記「II.3.(5)(i)」に示すとおりであり、本願発明に進歩性をもたらすものではない。
相違点4については、刊行物発明のように、稼働中の作業テーブル以外の作業テーブルは、一直線上の退避位置に退避しておく作業装置において、無駄な退避スペースをできるだけ少なくして装置をコンパクト化しようとすることは、自明の課題であって、退避スペースの有効利用のためには、作業位置から離れた退避位置から順に詰めて退避させることが好ましいことは、当業者が容易に想到し得る事項である。
したがって、刊行物発明において、部品供給中の部品吸着テーブルに対して、部品切れ時に移動させる退避位置である部品交換位置を、部品吸着位置から離れた位置から順に詰めて決定し、相違点4に係る本願発明の特定事項を導出することは、当業者が容易になし得たことといえる。
なお、原査定の備考において、上記相違点4に係る本願発明の特定事項は、発明の詳細な説明に記載された事項との対応が不明りょうである旨の指摘がされているが、上記特定事項は、本願図面の図5の記載に対応する事項であって、それ自体明りょうと認められるから、上記特定事項に関して、進歩性の判断を行うことに、何ら違法性はない。

IV.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-26 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2007-10-15 
出願番号 特願平8-95771
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真  
特許庁審判長 吉水 純子
特許庁審判官 坂本 薫昭
長者 義久
発明の名称 部品供給方法及びその装置  
代理人 板垣 孝夫  
代理人 森本 義弘  
代理人 原田 洋平  
代理人 笹原 敏司  

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