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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S
管理番号 1168738
審判番号 不服2005-12885  
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-07 
確定日 2007-11-29 
事件の表示 特願2000-317815「物体位置検出方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月26日出願公開、特開2002-122669〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年10月18日の出願であって、平成17年6月2日付け(発送日:同年6月7日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月7日に拒絶査定に対する審判が請求されたものである。
本願の請求項1ないし4に係る発明は、出願当初の明細書及び図面の記載から見てその特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりである。(以下、「本願発明」という。)
「車両の走行方向に送信波を所定の検知角度で走査しながら車両前方に存在する物体までの距離を計測する物体位置検出方法であって、
前記検知角度内に存在する物体までの距離と方位および物体の横幅を計測する手順と、
計測中の物体までの距離および方位から物体の横位置の動きベクトルを計測する手順と、
計測中の物体の横幅を記憶する手順と、
計測中の物体の一部が検知角度外に出たかどうかを判断する手順と、
計測中の物体の一部が検知角度外に出た場合には、記憶しておいたその物体の横幅と、検知角度内で計測した物体の横位置の動きベクトルに基づいて、検知角度外の部分の位置を補間計算する手順とを有することを特徴とする物体位置検出方法。」

2.引用例記載の発明・事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平11-231053号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。(下線は当審が付した。)
(a)「図1は、この実施例の車載レーダ装置によって形成される検知エリアDの構成と、この検知エリアDと管理エリアMとの関係を説明するための概念図である。検知エリアDは、この車載レーダ装置が搭載される車両の前方に放射状に拡がる扇型の領域として形成される。この扇型の検知領域Dは、互いにほぼ同一形状の細い扇型の5個のサブエリアDa ,Db ,Dc ,Dd 及びDe から構成されている。5個のサブエリアDa?Deのそれぞれに対して、図6に示した送受信チャンネルA?Eのそれぞれから、対応のサブエリアの幅と同程度の又は多少広い幅の、若しくは多少狭い幅のFM信号のビームが放射され、対応のサブエリア内で発生した反射波の受信が行われる。
一方、管理領域Mは、上記5個のサブエリアDa ?De から成る検知エリアD内で検知された先行車両などの反射体の動きを管理するための領域である。この管理領域Mは、この検知エリアDと、この検知エリアDの両端に形成された車両の横幅程度の幅を有する周辺サブエリアMa ,Me とから構成される。 ここで、CPU51において、3個の連続するサブエリアDb ,Dc 及びDdについて検出された反射波のレベルのみが所定の閾値以上であり、これらの反射波から検出された自車両からの距離Rがほぼ一致する場合を想定する。ただし、各サブエリアについて検出された反射体の距離がほぼ一致するとは、各距離の差が典型的な車両の長さ程度に設定さた所定の閾値以下である状態を言うものとする。この場合、CPU51は、サブエリアDb ,Dc 及びDd にわたる単一の反射体が存在するものと判定し、その反射体について中心の位置Pと横幅Wとを検出し、その動きを内蔵のメモリ内で管理する。
この反射体の中心の位置Pは、自車両からの距離Rと、サブエリアの中心の位置Qとの組合せ(R,Q)で表わされる。図示の例では、サブエリアの中心の位置Qと、横幅Wは、
Q=Dcc ・・・(1)
W=R sin(θb +θc +θd ) ・・・(2)
である。ただし、Dcc はサブエリアDc の中心の位置(正確には中心の方位角)であり、θb,θc,θd はそれぞれサブエリアDb ,Dc 及びDd の開き角である。」(段落【0019】?【0022】)
(b)「図2は、中心の位置Pと横幅Wとによって管理される反射体の位置が時間と共に変化する様子を例示しており、図中の下向きに時間軸tが設定されている。この図では、反射体が自車両からの距離Rが一定のまま右側に移動してゆく様子が例示されている。すなわち、時刻がt1 からt2 、t3 へと増加するにつれて、中心の位置PがサブエリアDcの中心の位置Dccから隣接サブエリアの中心の位置Ddc,Decへと変化してゆき、時刻t4 ではPが検知エリアDからその外側に出てしまい、時刻t5 では反射体の全体が検知エリアDから出てしまう。
図2の例では、時刻t3 とt4 の場合で例示するように、反射体の一部が検知エリアの外部に出ても、残りの一部が検出エリアD内に存在する限り、その中心位置Pと横幅Wによる反射体の管理が継続される。また、時刻t5 の場合で例示するように、反射体の全部が検知エリアの外部に出た後も、予め設定した一定時間にわたって、横幅Wと同一の幅を持つ周辺サブエリアMe内にこの反射体が存在するものと見做されて管理される。この結果、時刻t6 の場合で例示するように、反射体の一部が再び、検知領域D内に出現した時には、横幅Wが既知の反射体として検出され、以後の移動状況が管理される。」(段落【0025】?【0026】)
(c)「図3は、図2に例示した反射体の移動状況が時間を逆転させて生じた場合を例示している。すなわち、まず、最初の時刻t1 において、反射体の一部がサブエリアDe 内のみで検知され、このサブエリアの中心の位置Decに等しい中心の位置Pと、このサブエリアDe の幅に等しい幅Wとが検知され、管理される。続いて、時刻t2 において、この管理中の反射体が一旦検知エリアの外部に出ても、予め設定した一定期間にわたって周辺サブエリア内にこの反射体が存在するものと見做されて管理される。この反射体が、上記一定時間が経過する前の時刻t3において一定時間内に検知エリアに戻ってくると、既に検知済みの幅を有する反射体と判定され、その横方向の中心の位置のみが更新される。
次いで、時刻t4 において、反射体の横方向の中心位置が検知エリアDの中央部分に移動し、横幅WがサブエリアDe の幅からサブエリアDe とDd の幅の和に等しい値に増大すると、中心の位置と共に、横幅Wが新たな値に更新される。その後、時刻t5 において、反射体の横方向の中心位置がさらに検知エリアDの中央部分に移動し、横幅Wが3個の連続するサブエリアDe とDd とDcのそれぞれの幅の和に等しい値に増大すると、横方向の中心の位置と共に、横幅が増加した新たな値に更新される。引き続き、時刻t6 において、反射体の横方向の中心位置がさらにサブエリアの中央部分に移動しても横幅Wは増加せず、横方向の中心の位置のみが新たな値に更新される。このように、既に検知された反射体の横幅については、管理中の値よりも増加した場合に限って新たな値への更新が行われる。」(段落【0028】?【0029】)
・上記記載(a)において、「その反射体について中心の位置Pと横幅Wと
を検出し、その動きを内蔵のメモリ内で管理する」ためには、その前提として検出された中心の位置Pと横幅Wとがメモリに記憶されるようになっていることがコンピュータを用いた計測技術では明らかである。
したがって、上記記載(a)及び図1から、
(1)「車両の走行方向にビームを、複数のサブエリア(Da、Db、・・De)からなる検知エリアD内に放射しながら車両前方に存在する先行車両までの距離と方位を計測する先行車両位置検出方法であって、検知エリアDの外側に周辺サブエリア(Ma、Mb)を設け、検知エリアDと周辺サブエリアとから構成される領域を先行車両の動きを管理するための管理領域Mとし、前記検知エリアD内に存在する先行車両までの距離Rと当該サブエリア(Da、Db、・・De)の中心の方位角Qとから計測中の先行車両の中心位置P(R、Q)を計測し、距離Rと所定の閾値以上の反射波レベルがあるサブエリア(Da、Db、・・De)の開き角θとから計測中の先行車両の横幅Wを計測し、先行車両の中心位置Pと横幅Wとをメモリに記憶するようにした位置検出方法」が読み取れる。
・上記記載(b)及び図2において、検知エリア内に存在した先行車両が時間の経過と共にその一部が検知エリア外に出た場合であっても、残りの一部が検知エリアD内に存在する限り当該先行車両の管理は行われるのであるから、引用例のものにおいても、その前提として先行車両の一部が検知エリア外に出たかどうかが判断されるようになっていることは明らかである。
したがって、上記記載(b)及び図2から、
(2)「計測中の先行車両の一部が検知エリア外に出たかどうかを判断し、その一部が検知エリアD外に出た場合であっても、残りの一部が検知エリアD内に存在する限り、管理エリアMにおいて、横幅Wと、中心位置Pとにより先行車両の管理を行うようにした先行車両位置検出方法」が読み取れる。
・上記記載(c)及び図3から、「先行車両が検知エリアDの外から検知エリア内に入ってきた場合、先行車両の横方向の中心位置Pが更新されるとともに、横幅Wについては計測された値がメモリで管理中の値よりも増加した場合に限って更新されること」が読み取れるところ、図3は、図2に示された先行車両の移動状況が時間を逆転させて生じた場合、すなわち、先行車両が検知エリア内に入ってくる場合を示しているものである。
したがって、この点を踏まえると、先行車両が検知エリア外に出て行く場合は、計測された横幅Wがメモリに記憶しておいた値よりも増加することがないから、図2及び記載(b)より、
(3)「計測中の先行車両の一部が検知エリア外に出た場合に、横方向の中心位置Pについては検知エリア内で計測された値で管理し、横幅Wについては、メモリに記憶しておいた値で管理する」ことが読み取れる。
以上(1)?(3)の記載を勘案すると、引用例には次の発明が記載されていると認められる。
(引用例に記載された発明)
「車両の走行方向にビームを複数のサブエリア(Da、Db、・・De)からなる検知エリアD内に放射しながら車両前方に存在する先行車両までの距離を計測する先行車両位置検出方法であって、
検知エリアDの外側に周辺サブエリア(Ma、Mb)を設け、検知エリアDと周辺サブエリアとから構成される領域を先行車両の動きを管理するための管理領域Mとし、
前記検知エリアD内に存在する先行車両までの距離Rと当該サブエリア(Da、Db、・・De)の中心の方位角Qとから計測中の先行車両の横方向の中心位置P(R、Q)を計測し、
距離Rと所定の閾値以上の反射波レベルがあるサブエリア(Da、Db、・・De)の開き角θとから計測中の先行車両の横幅Wを計測し、
計測中の先行車両の横幅Wを記憶し、
計測中の先行車両の一部が検知エリアD外に出たかどうかを判断し、
その一部が検知エリアD外に出た場合に、管理エリアMにおいて、記憶しておいた先行車両の横幅Wと、検知エリア内で計測された横方向の中心位置Pとにより先行車両の管理を行うようにした先行車両位置検出方法。」(以下、「引用例記載の発明」という。)

3.対比
本願発明と引用例記載の発明とを対比する。
引用例記載の発明における、
「ビーム」、「検知エリア」、「(ビームを)複数のサブエリア(Da、Db、・・De)に放射(し)」、「先行車両」は、
本願発明における、
「送信波」、「検知角度」、「送信波を走査(し)」、「物体」、にそれぞれ相当する。
また、引用例記載の発明における「先行車両の横方向の中心位置P」も、本願発明における「物体までの距離及び方位から計測された物体の横位置の動きベクトル」も、共に、「先行車両(物体)の位置情報」を表す点で共通している。
また、引用例記載の発明における「先行車両の検知エリア外の部分を管理エリア内において管理する」ことも、本願発明における「物体の検知角度外の部分の位置を補間計算する」ことも、共に、「先行車両(物体)の検知角度(検知エリア)外の部分を把握する」ようにした点で共通している。
してみると、両者は
(一致点)
「車両の走行方向に送信波を所定の検知角度で走査しながら車両前方に存在する物体までの距離を計測する物体位置検出方法であって、
前記検知角度内に存在する物体までの距離と方位および物体の横幅を計測する手順と、
計測中の物体の位置情報を計測する手順と、
計測中の物体の横幅を記憶する手順と、
計測中の物体の一部が検知角度外に出たかどうかを判断する手順と、
計測中の物体の一部が検知角度外に出た場合には、記憶しておいたその物体の横幅と、検知角度内で計測した物体の横方向の位置情報に基づいて、物体の検知角度外の部分を把握するようにした物体位置検出方法。」で一致し、以下の点で相違している。
(相違点)
相違点1:物体(先行車両)の位置情報に関して、
本願発明では、物体までの距離及び方位から求めた物体の横位置の動きベクトルを計測し、これを用いるとしているのに対し、引用例記載の発明では、先行車両(物体)の横方向の中心位置Pを計測し、これを用いている点。
相違点2:物体(先行車両)の検知角度(検知エリア)外の部分を把握する手法に関して、
本願発明では、検知角度(検知エリア)外の部分の位置を補間計算により求めているのに対し、引用例記載の発明ではその点についての記載がない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について、
この種の車載レーダによる物体位置検出方法において、前方の物体までの距離と方位とから物体の横方向の動きベクトルを計測し、この横方向の動きベクトルを用いて先方の物体の位置を求めることは周知な技術である(例えば、特開平6-293236号公報:特に、図12?図15及びこれらに関する発明の詳細な説明の箇所に示された、動きベクトルd(t2 )を参照のこと、または、特開平7-65294号公報:特に、図34及びこれに関する発明の詳細な説明の箇所に示された、動きベクトルd(t2 )を参照のこと)。
したがって、引用例記載の発明において、先行車両(物体)の位置情報として、計測された先行車両(物体)の横方向の中心位置Pに代えて、本願発明のように、物体までの距離及び方位から求めた物体の横位置の動きベクトルを用いるようにすることは当業者ならば容易に想到し得たことである。
(2)相違点2について、
本願発明では検知角度外の部分の位置を補間計算により求めるとしているが、このように、ある既知の数値データを基にして、そのデータの範囲の外側で予想される数値を求めることは、一般に、外挿法または補外法として周知な事項である。
したがって、引用例記載の発明において、検知角度外の部分の位置を本願発明のように補間計算により求めようとすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の作用効果は、引用例記載の発明及び周知な技術から当業者が予測可能なものであって、格別なものではない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知な技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-26 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2007-10-15 
出願番号 特願2000-317815(P2000-317815)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌松下 公一  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 上原 徹
中村 直行
発明の名称 物体位置検出方法  
代理人 三好 秀和  
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