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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1168753
審判番号 不服2005-17652  
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-15 
確定日 2007-11-29 
事件の表示 特願2002-371846「データ電送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月22日出願公開、特開2004-207832〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年12月24日の出願であって、平成17年8月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月17日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年10月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年10月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.特許請求の範囲の記載
特許請求の範囲の請求項1の記載は、平成17年5月9日付けの手続補正によって補正された
「手動又は自動で選択された画像データを入力するインターフェースと、
前記画像データを電送するために圧縮する制御手段と、
前記制御手段で圧縮したデータを表示用キーが押されたときに電送する電送部を有するデータ電送装置。」(この記載を以下、「補正前請求項1」という。)
から、本件補正により、
「手動又は自動で選択された画像データを入力するインターフェースと、
入力された前記画像データが電送する画像か否かを選択する選択キーと、 前記画像データを電送するために圧縮する制御手段と、
前記制御手段で圧縮したデータを表示用キーが押されたときに、前記データを一時的に保存するためのデータ一時保管に保存された前記データを電送する電送部を有するデータ電送装置。」(この記載を以下、「補正後請求項1」という。下線部が補正箇所である。)
と補正された。

2-2.補正の目的
本件補正は、補正前請求項1に下線部の記載を追加するものであり、補正後請求項1の「入力された前記画像データが電送する画像か否かを選択する選択キー」は、補正前請求項1の発明を特定するために必要な事項である「手動又は自動で選択された画像データを入力するインターフェース」、「前記画像データを電送するために圧縮する制御手段」、又は「前記制御手段で圧縮したデータを表示用キーが押されたときに電送する電送部」のいずれも限定するものではない。
また、上記「選択キー」を追加する補正が、誤記の訂正、又は拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明でないことは明らかである。
したがって、本件補正の目的は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号のいずれの目的にも該当しない。

2-3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に適合しないので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下する。

3.本願発明について
3-1.本願発明
平成17年10月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年5月9日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記2-1.で示したとおりのものである。

3-2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-330439号公報(平成14年11月15日出願公開、以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がなされている。

(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央演算処理装置が送出した画像情報を入力する入力部と、
少なくとも前記画像情報に基づいて、画面上の各ピクセルのレベル情報を生成するレベル情報生成部と、
画面の全領域の各ピクセルのレベル情報を記憶する記憶部と、
前記画像情報に関連する前記ピクセルについて、前記記憶部に記憶されたレベル情報と、前記レベル情報生成部が出力するレベル情報とを比較して、比較情報を出力する比較部と、
前記比較情報に基づいて、前記記憶部に記憶されたレベル情報と前記画像情報に基づくレベル情報とが異なるピクセルを含む領域を抽出する領域抽出部と、
前記抽出された画面の領域の各ピクセルのレベル情報の情報量を圧縮する圧縮部と、
前記画面の領域の位置情報と前記圧縮されたレベル情報とを送信する通信部と、
を有することを特徴とする画像情報の伝送装置。
……
【請求項4】 更に、前記更新領域レベル情報生成部が、少なくとも一定時間に1回以上、画面の全領域の各ピクセルのレベル情報を出力し、
前記圧縮部が、前記画面の全領域のレベル情報の情報量を圧縮し、
前記通信部が、前記圧縮された画面の全領域のレベル情報を前記圧縮された画面の領域のレベル情報又は前記圧縮された差分情報から識別する識別情報と、前記圧縮された画面の全領域のレベル情報とを送信する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された画像情報の伝送装置。」

(2)「【0039】……図1において、第1の端末装置101は、CPU111、ビデオグラフィックスコントロール部113、無線通信部114、入出力部115を有する。第1の端末装置101に、外部のディスプレイ116を接続することも出来る。 図1において、コンピュータにとって不可欠であるが、本発明と直接関係しないROM、RAM等の記載は省略している。CPU111、ビデオグラフィックスコントロール部113、及び入出力部115はPCIバス112で相互に接続されている。
【0040】ビデオグラフィックスコントロール部113は、CPU121、入出力部122、第1のVRAM124、書き込み/読み出しアドレスレジスタ125、読み出しアドレスレジスタ126、クロック発生器127、第2のVRAM128、パラレル/シリアル変換部129、130を有する。CPU121、入出力部122、第1のVRAM124、書き込み/読み出しアドレスレジスタ125、第2のVRAM128等は、内部バス123で相互に接続されている。CPU121は、画像情報デコーダ151、更新領域抽出部152、データ圧縮部153を有する。画像情報デコーダ151等は、ソフトウエア上の実行プログラムである。
【0041】CPU111は、ソフトウエア言語(例えばDirectX)で記載した画像の変更指令をPCIバス112を通じて、ビデオグラフィックスコントロール部113に伝送する。ビデオグラフィックスコントロール部113の入出力部122は、入力したソフトウエア言語で記載した画像の変更指令を内部バス123を介してCPU121に伝送する。入出力部122は、請求項に記載の入力部に含まれる。
【0042】CPU121は、ソフトウエア言語(当該コンピュータのOSのApplication Programming Interface上に配置されたプログラム)で記載した画像の変更指令(画像情報)を、画像情報デコーダ151を利用してハードウエアレベルでの各ピクセルのレベル情報(例えば第1のVRAMのどのアドレス(ピクセル)の画像データをいくつに変更するという情報)に変換する。……
【0043】第1のVRAM124は、任意のアドレスにランダムアクセスし、書き込み又は読み出し出来るポートと(書き込み/読み出しアドレスレジスタ125によりアドレスが指定される。)、高速で一定の順番で各アドレスのデータを読み出し出来るポート(読み出しアドレスレジスタ126によりアドレスが指定される。)とを有する画像表示用のデュアルポートRAMである。第1のVRAM124には、画面全体の各ピクセルのレベル情報(RGB各サブピクセルのレベル情報)及びアトリビュートデータ等が記憶されている。第1のVRAM124は、請求項に記載の記憶部に含まれる。」

(3)「【0050】CPU121は、一定の時間毎にフレームデータの転送モードを起動する。フレームデータの転送モードにおいては、第1のVRAM124に記録されている全画面の各ピクセルのレベル情報が第2のVRAM128に転送される(フレームデータ145)。フレームデータ145は、全画面の各ピクセル(アドレス)毎のピクセルデータ(レベル情報)をハードウエアレベルで具体的に示すデータである。フレームデータ145を、差分データ144と区別するために、イントラフレームデータとも呼ぶ。CPU121のデータ圧縮部153は、フレームデータ145の情報量を圧縮する。CPU121のデータ圧縮部153は、圧縮データと、フレームデータの伝送であることを示す識別情報とをマルチプレクスしてマルチプレクスデータ146を生成する。マルチプレクスデータ146は、パラレル/シリアル変換部130によってシリアルデータに変換され、無線通信部114から送信される。」

したがって、引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「画像情報を入力する入力部と、
前記画像情報に基づいて、画面上の各ピクセルのレベル情報を生成するレベル情報生成部とを有し、
少なくとも一定時間に1回以上、画面の全領域の各ピクセルのレベル情報を出力し、
前記画面の全領域のレベル情報の情報量を圧縮し、
無線通信部により前記圧縮された画面の全領域のレベル情報とを送信する、
ことを特徴とする画像情報の伝送装置。」

3-3.対比
引用発明は、無線通信部により送信する画像情報の伝送装置であるから、データ電送装置ということができ、
その「画像情報」は、それに基づいて、画面上の各ピクセルのレベル情報が決まるものであるから画像データといえ、
その「入力部」はインターフェースといえ、
引用発明は、画面の全領域の各ピクセルのレベル情報を出力し、その情報量を圧縮し、無線通信部により前記圧縮された画面の全領域のレベル情報とを送信するのであるから、画像を電送するために圧縮する制御手段の機能を有するといえ、
その「無線通信部」は、圧縮したデータを電送する電送部ということができるので、本願発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致する。

「画像データを入力するインターフェースと、
前記画像データを電送するために圧縮する制御手段と、
前記制御手段で圧縮したデータを電送する電送部
を有するデータ電送装置。」

また次の点で相違する。

相違点1
本願発明では「手動又は自動で選択された画像データを入力するインターフェース」であるのに対して、引用発明では「手動又は自動で選択された」との特定がない点。

相違点2
本願発明の電送部は、「表示用キーが押されたときに」圧縮したデータを電送するものであるのに対して、引用発明では「少なくとも一定時間に1回以上」としている点。

3-4.相違点に対する判断
相違点1について
画像データを選択することは、普通に行われる処理であるし、「手動又は自動で選択された画像データを入力するインターフェース」との記載から明らかなように、画像データを手動又は自動で選択する機能はインターフェースにあるわけではないから、本願発明のデータ電送装置が有している機能ともいえない。
したがって、本願発明が入力する画像データについて「手動又は自動で選択された」としている点に格別の点はない。

相違点2について
選択した画像の送信を指示することは周知のことである。(例えば、拒絶査定の備考において示した特開2002-218420号公報)
また、本願の請求項1の記載には、「表示用キー」との記載以外に表示に関する事項は記載されていないから、「表示用キー」は電送を指示するキー以上のものとは認められないし、本願の明細書には、
「 【0015】
本実施例で示した表示用のキーを押すことで、初めてデータが転送される為、……」
と記載されているが、「表示用のキー」についてそれ以上の具体的な記載はなく、一方、
「 【0013】
……次にその画像を送る場合に、その命令をコンピュータに送る機能を持たせたキー、例えばコントロールキーを押す。このキーを押す事で初めて表示されている画像が電送される。」、及び
「 【0021】
図4(a)は現在の環境設定状態を示している。本実施例では画像を電送する為の電送キーをコントロールキーと設定している。また、図4(c)はスタンバイモードの状態を表す。図4(b)ではプルダウンメニューによりコントロールキー以外のキーを選択出来る事を示しており、候補の中のキーを選択して電送キーに割り当てる事が出来る。本実施例では選択後に直ちに新設定が実施出来るソフトウエア設定とした。」
等と記載されており、「表示用キー」を電送を指示するキーとすることは、単なる設計事項といえる。
したがって、本願発明の電送部が、「表示用キーが押されたときに」圧縮したデータを電送することに格別の点はない。

3-5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-01 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2007-10-16 
出願番号 特願2002-371846(P2002-371846)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 啓明日下 善之  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 加藤 恵一
脇岡 剛
発明の名称 データ電送装置  
代理人 松下 義治  

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