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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1169256
審判番号 不服2006-14580  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-06 
確定日 2007-12-13 
事件の表示 特願2000- 47694「研磨装置の研磨面洗浄方法及び洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月31日出願公開、特開2001-237208〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成12年2月24日の特許出願であって、同18年1月10日付で拒絶の理由が通知され、同18年3月20日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同18年6月1日付で拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し、同18年7月6日に本件審判の請求がされ、同18年8月4日に明細書を補正対象書類とする手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は特許請求の範囲を含む明細書について補正をするものであって、補正前後の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。なお、下線は当審で付した。

(1) 補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】 研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨する研磨装置の研磨面洗浄方法であって、
前記研磨対象物の研磨工程の終了後にドレッサーで前記研磨面をドレッシングすると共に、洗浄液と気体の混合流体を混合噴射ノズルを通して該研磨面に噴射することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項2】 請求項1に記載の研磨装置の研磨面洗浄方法において、
前記混合噴射ノズルを通して洗浄液と気体の混合流体の噴射は、前記ドレッシング終了後所定の時間が経過してから終了することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の研磨装置の研磨面洗浄方法において、
前記混合噴射ノズルを通して洗浄液と気体の混合流体の噴射は、前記研磨対象物の研磨工程の終了後、前記ドレッシング開始所定時間前から開始することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の研磨装置の研磨面洗浄方法において、
前記研磨テーブルの研磨面への研磨対象物の押し付けは、トップリングで保持する研磨対象物の押し付けであり、前記研磨工程の終了は該トップリングの上昇であることを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項5】 研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨する研磨装置の研磨面洗浄装置であって、
洗浄液と気体を混合して混合流体とし該混合流体を噴射する構成の混合噴射ノズルと、
前記混合噴射ノズルに気体供給源から気体を供給する気体供給経路と、該気体供給経路に設けた気体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブと、
前記混合噴射ノズルに洗浄液供給源から洗浄液を供給する洗浄液供給経路と、該洗浄液供給経路に設けた前記混合噴射ノズルに供給される液体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブとを備え、
前記混合噴射ノズルは、内部に前記洗浄液と前記気体が混合する混合空間部を有するノズル本体を備え、該ノズル本体に前記混合空間部に前記洗浄液を供給する液体供給口、前記気体を供給する気体供給口、及び前記混合空間部で混合された混合流体を噴射する混合流体噴射口を設けた構造であることを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄装置。
【請求項6】 研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨する研磨装置の研磨面洗浄装置であって、
洗浄液と気体を混合して混合流体とし該混合流体を噴射する構成の混合噴射ノズルと、
前記混合噴射ノズルに気体供給源から気体を供給する気体供給経路と、該気体供給経路に設けた気体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブと、
前記混合噴射ノズルに洗浄液供給源から洗浄液を供給する洗浄液供給経路と、該洗浄液供給経路に設けた前記混合噴射ノズルに供給される液体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブとを備え、
前記混合噴射ノズルは、後端の径が大きく先端径が小さい円錐状のノズル本体の内部に液体供給管を配置した構造であり、該ノズル本体の後端に前記気体を供給する気体供給口を設けると共に先端に該気体を排出する気体排出口、前記液体供給管の後端に前記洗浄液を供給する液体供給口を設けると共に先端に該洗浄液体を排出する液体排出口を設けた構造であることを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄装置。
【請求項7】 請求項5又は6に記載の研磨面洗浄装置において、
前記混合体噴射ノズルを前記研磨面に砥液を供給する砥液供給ノズル又は薬液を供給する薬液供給ノズルを取付ける取付部材に取付けたことを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄装置。」

(2) 補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】 研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨する研磨装置の研磨面洗浄方法であって、
前記研磨対象物の研磨工程の終了後にドレッサーで前記研磨面をドレッシングすると共に、洗浄液と気体の混合流体を混合噴射ノズルを通して該研磨面に噴射することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項2】 請求項1に記載の研磨装置の研磨面洗浄方法において、
前記混合噴射ノズルを通して洗浄液と気体の混合流体の噴射は、前記ドレッシング終了後所定の時間が経過してから終了することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の研磨装置の研磨面洗浄方法において、
前記混合噴射ノズルを通して洗浄液と気体の混合流体の噴射は、前記研磨対象物の研磨工程の終了後、前記ドレッシング開始所定時間前から開始することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の研磨装置の研磨面洗浄方法において、
前記研磨テーブルの研磨面への研磨対象物の押し付けは、トップリングで保持する研磨対象物の押し付けであり、前記研磨工程の終了は該トップリングの上昇であることを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄方法。
【請求項5】 研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨し、研磨終了後ドレッサーにて前記研磨テーブルの研磨面をドレッシングする研磨装置の研磨面洗浄装置であって、
洗浄液と気体を混合して混合流体とし該混合流体を噴射する構成の混合噴射ノズルと、
前記混合噴射ノズルに気体供給源から気体を供給する気体供給経路と、該気体供給経路に設けた気体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブと、
前記混合噴射ノズルに洗浄液供給源から洗浄液を供給する洗浄液供給経路と、該洗浄液供給経路に設けた前記混合噴射ノズルに供給される液体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブとを備え、
前記混合噴射ノズルは、内部に前記洗浄液と前記気体が混合する混合空間部を有するノズル本体を備え、該ノズル本体に前記混合空間部に前記洗浄液を供給する液体供給口、前記気体を供給する気体供給口、及び前記混合空間部で混合された混合流体を噴射する混合流体噴射口を設けた構造であり、
前記研磨対象物の研磨終了後に前記ドレッサーで前記研磨面をドレッシングする際、混合噴射ノズルから洗浄液と気体の混合流体を前記研磨面に噴射することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄装置。
【請求項6】 研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨し、研磨終了後ドレッサーにて前記研磨テーブルの研磨面をドレッシングする研磨装置の研磨面洗浄装置であって、
洗浄液と気体を混合して混合流体とし該混合流体を噴射する構成の混合噴射ノズルと、
前記混合噴射ノズルに気体供給源から気体を供給する気体供給経路と、該気体供給経路に設けた気体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブと、
前記混合噴射ノズルに洗浄液供給源から洗浄液を供給する洗浄液供給経路と、該洗浄液供給経路に設けた前記混合噴射ノズルに供給される液体の圧力を調整するレギュレータ及びバルブとを備え、
前記混合噴射ノズルは、後端の径が大きく先端径が小さい円錐状のノズル本体の内部に液体供給管を配置した構造であり、該ノズル本体の後端に前記気体を供給する気体供給口を設けると共に先端に該気体を排出する気体排出口、前記液体供給管の後端に前記洗浄液を供給する液体供給口を設けると共に先端に該洗浄液体を排出する液体排出口を設けた構造であり、
前記研磨対象物の研磨終了後に前記ドレッサーで前記研磨面をドレッシングする際、混合噴射ノズルから洗浄液と気体の混合流体を前記研磨面に噴射することを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄装置。
【請求項7】 請求項5又は6に記載の研磨面洗浄装置において、
前記混合体噴射ノズルを前記研磨面に砥液を供給する砥液供給ノズル又は薬液を供給する薬液供給ノズルを取付ける取付部材に取付けたことを特徴とする研磨装置の研磨面洗浄装置。」

2 補正の適否
請求項5、6における補正は、研磨装置の研磨面洗浄装置が研磨終了後ドレッサーにて研磨テーブルの研磨面をドレッシングするものであり、研磨対象物の研磨終了後に前記ドレッサーで前記研磨面をドレッシングする際、混合噴射ノズルから洗浄液と気体の混合流体を前記研磨面に噴射するものであるという限定事項を付加するものであるので、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。

(1) 補正発明
補正発明は、本件補正により補正がされた明細書及び図面の記載からみて、上記1の(2)の補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

(2) 周知事項及び引用例記載事項
ア 周知事項
これに対して、この出願の明細書に、「【従来の技術】従来、この種の研磨装置においては、研磨クロスの研磨面に残る半導体ウエハ等の研磨対象物の研磨残さが次に行う研磨において、研磨対象物に傷を付けてしまうという問題がある。そのため研磨クロスの研磨面を再生手段であるドレッサーでドレッシングする時に、純水等の洗浄液又は窒素ガスを研磨面に吹き付けることにより、研磨面に残る研磨対象物の研磨残さを系外に排出している。」(段落【0002】)と記載され、また、特開平9-131659号公報(2欄40-46行、5欄49行-6欄22行参照)、特開平9-254019号公報(2欄28-40行参照)、特開平10-244458号公報(3欄4-11行、4欄26-31行参照)等に記載されているように、次の「研磨装置の研磨面洗浄方法」は、従来周知である。

「研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨する研磨装置の研磨面洗浄方法であって、
前記研磨対象物の研磨工程の終了後にドレッサーで前記研磨面をドレッシングすると共に、洗浄液を該研磨面に噴射する研磨装置の研磨面洗浄方法。」(以下「従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法」という。)

イ 引用例記載事項
また、原査定の拒絶の理由に引用されたこの出願前に頒布された刊行物である特開平10-244459号公報(以下「引用例」という。)には、以下のとおり記載されている。

(ア) 2欄9-16行
「【発明の実施の形態】以下添付図面に従って、本発明に係る半導体ウェーハ用研磨パッドのドレッシング装置の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明の実施の形態の半導体ウェーハ用研磨パッドのドレッシング装置10の構造図である。このドレッシング装置10は、純水等の洗浄液をノズル14から研磨装置の定盤52上の研磨パッド50に噴射することによって研磨パッド50をドレッシングするものである。」

(イ) 2欄39-46行
「【0011】ノズル14から噴射された洗浄液は、霧粒状になって研磨パッド50に衝突し、研磨パッド50に蓄積した研磨屑を叩き出し、洗い流す。そして、前記の如くノズル14から洗浄液を噴射させながら、モータ56によって研磨パッド50を回転させるとともに、エアシリンダ30によってノズル14を移動させる。これにより、研磨パッド50を全面にわたってドレッシングすることができる。」

(ウ) 4欄15-19行
「【0017】また、以上の実施の形態においては、洗浄液を噴霧する方法として、ノズルに洗浄液のみを供給する方法を用いているが、圧縮した気体(例えば空気)を洗浄液と共にノズルに供給して、この気体を洗浄液に当てて洗浄液を霧状にする方法を用いてもよい。」

上記摘記事項より、引用例には、次の事項が記載されていると認める。
「ノズル14を通した洗浄液と気体の混合流体を研磨パッド50に噴射する研磨装置の研磨パッドドレッシング方法。」(以下「引用例記載の技術的事項」という。)

(3) 対比
補正発明と従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法とを対比すると、補正発明の「洗浄液と気体の混合流体」と従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法の「洗浄液」とは、「流体」であることに限り一致しているので、両者は、「研磨テーブルの研磨面に研磨対象物を押し付け、研磨面と研磨対象物の相対運動により該研磨対象物を研磨する研磨装置の研磨面洗浄方法であって、前記研磨対象物の研磨工程の終了後にドレッサーで前記研磨面をドレッシングすると共に、流体を該研磨面に噴射する研磨装置の研磨面洗浄方法」で一致している。
そして、補正発明では、流体が混合噴射ノズルを通した洗浄液と気体の混合流体であるのに対し、従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法では、流体が洗浄液である点で、両者は相違している。

(4) 相違点の検討
そこで、上記相違している点について、以下検討する。
上記引用例には、上記(2)のイのとおりの技術的事項が記載されており、引用例記載の技術的事項の「ノズル」は、補正発明の「混合噴射ノズル」に相当し、以下同様に、「研磨パッド」は「研磨面」に、「研磨パッドドレッシング方法」は「研磨面洗浄方法」にそれぞれ相当していることが明らかであるので、結局、引用例には、「混合噴射ノズルを通した洗浄液と気体の混合流体を研磨面に噴射する研磨装置の研磨面洗浄方法」の技術的事項が記載されていることになる。
そして、引用例記載の技術的事項と従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法とは、流体を研磨面に噴射する研磨装置の研磨面洗浄方法の点で技術分野が共通しているので、従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法において、その流体として引用例記載の技術的事項の混合噴射ノズルを通した洗浄液と気体の混合流体の採用を試みることに格別の困難性は見当たらない。
また、補正発明が奏する作用効果は、従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法及び引用例記載の技術的事項から当業者が予測できる程度のものであって格別のものではない。
したがって、補正発明は、従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法及び引用例記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおりであるので、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、改正前特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、この出願の請求項1乃至7に係る発明は、願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1の(1)の補正前の特許請求の範囲の請求項1に示したとおりであり、請求項1については、本件補正により補正がされていないので、本願発明は、上記補正発明と同じものである。

2 引用例記載事項
これに対して、周知事項及び原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記第2の2の(2)に示したとおりである。

3 対比・判断
上記1で述べたとおり、本願発明は、補正発明と同じものであるから、上記第2の2の(4)で検討したとおり、本願発明についても、同じ理由により、従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法及び引用例記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるので、本願発明は、従来周知の研磨装置の研磨面洗浄方法及び引用例記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、この出願の請求項2乃至7に係る発明について判断するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-11 
結審通知日 2007-10-16 
審決日 2007-10-29 
出願番号 特願2000-47694(P2000-47694)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野田 達志  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 鈴木 孝幸
福島 和幸
発明の名称 研磨装置の研磨面洗浄方法及び洗浄装置  
代理人 高木 裕  
代理人 熊谷 隆  

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