ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F |
---|---|
管理番号 | 1169261 |
審判番号 | 不服2007-1340 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-01-15 |
確定日 | 2007-12-10 |
事件の表示 | 特願2004- 45138「広告宣伝媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月22日出願公開、特開2004-206141〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 ・本願発明 本願は、平成9年3月28日に出願した特願平9-92897号の一部を平成16年2月20日に新たな特許出願としたものであって、平成18年11月10日付けで拒絶査定がなされたため、これを不服として平成19年1月15日付けで本件審判請求がされたものである。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年10月30日付け手続き補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】商品を充填包装したプラスチックフィルム製軟包装袋の外面に、該商品を表示する商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等の商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部を形成すると共に、該印刷画像表示部以外の領域に、該プラスチックフィルム製軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部を形成したことを特徴とする広告宣伝媒体において、 軟包装袋は表側の外面と裏側の外面とを含み、 商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる前記印刷画像表示部と、該軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号、絵柄等からなる前記印刷画像表示部とが各々前記軟包装袋の表側の外面と裏側の外面に設けられ、商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる前記印刷画像表示部と、該軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号、絵柄等からなる前記印刷画像表示部は、各々軟包装袋の表側の外面と裏側の外面の全域に形成されていることを特徴とする広告宣伝媒体。」 2 引用刊行物記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、平成7年5月9日に頒布された登録実用新案第3010745号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)段落【0006】「所定量の販売用精米が充填密閉される米袋であって、必須要項が表示されている一方側の面の必須要項表示領域を除いた余剰領域と、他方側の面の全領域を適宜活用して、米以外の商品広告が表示されていることを特徴とし、大きい宣伝効果が期待できる好ましい条件を米以外の商品に対して活用し、米以外の商品に対して大きい宣伝効果を挙げる目的を達成した。」 (2)段落【0008】「図1は一方側の面から見た正面図、図2は他方側の面から見た正面図である。なお、図5および図6で説明した従来例と同一もしくは相当部分には、同一符号を付して説明する。図1および図2において、米袋は、樹脂シートを素材として構成され、一方側の面(たとえば裏面)1と、他方側の面(たとえば表面)2を備えた袋体3によってなり、一方側の面1の略下半部に、品名、区分、原料玄米、販売価格、精米年月日、正味重量、製造販売業者、精米工場などの必須要項4を印刷によって表示している必須要項表示領域5が設けられ、他方側の面2には、その全領域6を適宜活用して製造販売業者名7や登録商標8などが印刷により表示された構造になっている。」 (3)段落【0009】「一方側の面1における必須要項表示領域5を除いた略上半部に相当する余剰領域9と、他方側の面2における製造販売業者名7や登録商標8が表示されている部分を除いた領域を活用して、文字、図形、絵画あるいは写真などによって、米以外の商品広告10がたとえば印刷もしくは貼着などの手段により表示されている。勿論、他方側の面2における製造販売業者名7や登録商標8などの表示を省略し、他方側の面2の全領域6を活用して、前記米以外の商品広告10を表示してもよい。」 この記載事項によると、引用例1には、 「精米を充填密閉した樹脂シートを素材として構成された袋体3の一方側の面1に、品名、区分、原料玄米、販売価格、精米年月日、正味重量、製造販売業者、精米工場などの必須要項4を印刷によって表示している必須要項表示領域5が設けられるとともに、該必須要項表示領域5を除いた余剰領域9及び他方側の面2の全領域6に、文字、図形、絵画あるいは写真などによって、米以外の商品広告10が印刷などの手段により表示された米袋において、 米袋は一方側の面1と、他方側の面2を備えた袋体3によってなり、 前記必須要項表示領域5と、前記米以外の商品広告10とが、各々前記袋体の一方側の面1の略下半部と、一方側の面1における前記必須要項表示領域5を除いた略上半部に相当する余剰領域9及び他方側の面2に設けられ、前記米以外の商品広告10は、前記袋体の他方側の面2の全領域6を活用して表示されている米以外の商品に対して大きい宣伝効果を挙げる米袋。」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。 3 対比 本願発明と引用例1発明を対比する。 1)引用例1発明の袋体3の一方側の面1、他方側の面2のうちどちらの面を表側、裏側とするかは随意決めることであるから、一方側の面1を表側の外面、他方側の面2を裏側の外面ということができる。 2)引用例1発明の「米以外の商品に対して大きい宣伝効果を挙げる米袋」は、店頭等において陳列、即ち、顧客の目にふれるところに置かれるものであるから、これを広告媒体と称することができる。 3)本願明細書の段落【0010】に「プラスチックフィルム製軟包装袋を構成する基材フィルムとしては...樹脂のフィルムないしシートを使用することができ」とあるように、本願発明の「プラスチックフィルム」には、「樹脂シート」が含まれ、引用例1発明の「袋体3」は、精米を充填するものであるから、引用例1発明の「樹脂シートを素材として構成された袋体3」は、本願発明の「プラスチックフィルム製軟包装袋」に相当する。 4)本願発明の「印刷画像表示部が外面の全域に形成されている」は、印刷画像表示部に、文字、図形、記号、絵柄等のない「地」の部分が含まれるのか否かが明示されておらず、その意味するところが明確でなく、本願明細書の発明の詳細な説明にも表示部が「外面の全域に形成」という用語は存在しないので、 イ.本願明細書の段落【0009】の「表側Pの外面に...商品1を表示する事項、例えば、商品1の商標名a、商品1を表す絵柄b、商品1の品名、中身、製造者、および販売者等を表す欄c、その他、商品1の使用法、保存法等の所定の表示事項(図示してない)等の商品1を表す文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部3を形成し、更に、その印刷画像表示部3以外の領域、例えば、プラスチックフィルム製軟包装袋2の裏側Qの外面に...他の商品4の商標名x、その他の商品4を表す絵柄y、その他の商品4の性能、製造者等を表示する欄z等の他の商品4を表す文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部5を形成して」の記載、 ロ.本願図面の図1、図2で、商品の商標名a、商品を表す絵柄b、商品の品名、中身、製造者、および販売者等を表す欄cが相互間や周囲に少量の余白を有して表示されたものを、「文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部3」とし、他の商品の商標名x、他の商品を表す絵柄y、他の商品の性能、製造者等を表示する欄zが相互間や周囲に少量の余白を有して表示されたものを、「他の商品を表す文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部5」としていること、 ハ.平成18年10月30日付意見書における「他の商品にかかる印刷画像表示部が形成された軟包装袋の裏側の外面には、商品表示にかかる印刷画像表示部が形成されることなく、他の商品にかかる印刷画像表示部が当該面の全域に形成される。このため、商品が充填包装された軟包装袋を販売する時点で、購入者が軟包装袋内の商品以外の他の商品にかかる印刷画像表示部を容易に視認することができ」(第1頁最下行?第2頁4行)の記載 を参酌すると、文字、図形、記号、絵柄等は、外面全域に隙間なく設けられるものではなく、その間や周囲は外面の地が目視されるものと解されるから、全域に形成されているのは外面そのものであって、本願発明の「印刷画像表示部が外面の全域に形成されている」は、印刷画像表示に使用する(但し、少量の余白は許容される)領域が外面の全域であることを意味していると解釈せざるを得ない。 一方、引用例1発明は「全領域6を活用して表示されている」のだから、本願発明同様「印刷画像表示部が外面の全域に形成されている」ということができる。 5)引用例1発明の「精米」、「充填密閉した」、「必須要項表示領域5を除いた余剰領域9」は、それぞれ、その機能からみて、 本願発明の「商品」、「充填包装した」、「該印刷画像表示部以外の領域」に相当する。 6)引用例1発明の「品名、区分、原料玄米、販売価格、精米年月日、正味重量、製造販売業者、精米工場などの必須要項4を印刷によって表示している必須要項表示領域5」と、本願発明の「商品を表示する商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等の商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部」は、「商品表示にかかる印刷画像表示部」である点で共通する。 7)引用例1発明の「文字、図形、絵画あるいは写真などによって印刷などの手段により表示された米以外の商品広告10」と、本願発明の「軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部」は、「軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部」である点で共通ずる。 よって、両者は「商品を充填包装したプラスチックフィルム製軟包装袋の外面に、該商品表示にかかる印刷画像表示部を形成すると共に、該印刷画像表示部以外の領域に、該プラスチックフィルム製軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部を形成した広告宣伝媒体において、 軟包装袋は表側の外面と裏側の外面とを含み、 商品表示にかかる前記印刷画像表示部が前記軟包装袋の表側の外面に設けられ、該軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する前記画像表示部が裏側の外面に設けられ、軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する前記画像表示部は、軟包装袋の裏側の外面の全域に形成されている広告宣伝媒体。」で一致し、 商品表示にかかる印刷画像表示部が、本願発明では、商品を表示する商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等の商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなるのに対し、引用例1発明では、品名、区分、原料玄米、販売価格、精米年月日、正味重量、製造販売業者、精米工場などの必須要項4からなる点(相違点1)、 軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部が、本願発明では、文字、図形、記号、絵柄等からなるのに対し、引用例1発明では、文字、図形、絵画あるいは写真などによってなる点(相違点2)、 商品表示にかかる印刷画像表示部が、本願発明では、軟包装袋の表側の外面の全域に形成されているのに対し、引用例1発明では、軟包装袋の表側の外面の略下半部に形成されている点(相違点3)で相違する。 4 当審の判断 上記相違点1について検討する。 商品表示にかかる印刷画像表示部に何を表示するかは充填包装した商品に応じて当業者が適宜選定する設計事項にすぎないから、本願発明のように商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等の商品表示とすることも単なる設計事項にすぎない。 上記相違点2について検討する。 軟包装袋内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部に何を表示するかは、該商品に応じて当業者が適宜決定することであるから、本願発明のように文字、図形、記号、絵柄等とすることは単なる設計事項にすぎない。 上記相違点3について検討する。 原査定の拒絶の理由に引用された実頭平2-57957号(実開平4-16121号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、「この広告欄5は包装商品との関連性は全く無く、該商品との混同を生じるような表示であってはならない。...表面3に表示した方が広告効果は大きく、よりベターであるが、必ずしも上記表面3限らず、側面6に表示してもよい。ところで、包装商品の商標4と同一紙面上にて、別の商品の広告、宣伝を表示するには、上記商標4とは全く異なる色彩及び書体、更に大きさを考慮して定めなければならない。」(明細書第4頁2?11行)の記載があり、商品表示にかかる印刷画像表示部と、包装用袋及び包装用箱内に充填包装された商品以外の他の商品を広告宣伝する前記印刷画像表示部とを、商品の混同を生じないように、別の面に設けることが示唆されている。 してみれば、この示唆に基づいて、引用例1発明における商品表示にかかる印刷画像表示部を形成した外面に、前記商品と、商品以外の他の商品の混同をきたさないように、他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部を形成しないようにすることは、当業者が容易になし得る程度のことであり、 商品表示にかかる印刷画像表示部を形成した外面に、他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部を形成しなければ、引用例1発明における商品表示にかかる印刷画像表示部が形成されているのは表側の外面の略下半部であるから、他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部が形成されていた略上半部は余白となるが、その余白部分をそのまま残さずに、略下半部に形成されていた商品表示にかかる印刷画像表示部を拡張して商品表示にかかる印刷画像表示部として利用するか否かは、余白部分と印刷画像表示部をどの程度の割合にするかに関する事項であり、該割合をどの程度にするかは視認性等を考慮して適宜選択すべき単なる設計事項にすぎない。 そして、相違点1乃至3に係る構成の採用により格別な効果も生じない。 5 むすび したがって、本願発明は、引用例1発明及び引用例2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 |
審理終結日 | 2007-10-18 |
結審通知日 | 2007-10-19 |
審決日 | 2007-10-30 |
出願番号 | 特願2004-45138(P2004-45138) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 櫻井 茂樹 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
尾崎 俊彦 藤井 靖子 |
発明の名称 | 広告宣伝媒体 |
代理人 | 岡田 淳平 |
代理人 | 吉武 賢次 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |