• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1169275
審判番号 不服2004-19190  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-16 
確定日 2007-12-05 
事件の表示 特願2000-235099「パチンコゲーム機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月 6日出願公開、特開2001- 58048〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成5年12月14日に出願した特願平5-313674号の一部を平成12年8月3日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年9月16日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「予め定められた複数種類の図柄を順次変更表示する複数かつ相互間の間隔をあけて配置された表示部と、
パチンコゲーム機内部の制御によって、前記複数かつ相互間の間隔をあけて配置された表示部のうち、あらかじめ定めた個数の表示部であって特別の入賞状態の判断対象となる表示部を任意に選択する選択手段と、
遊技媒体の入賞が可能な複数の入賞部と、
前記複数かつ相互間の間隔をあけて配置された入賞部のうち、特定の入賞部に前記遊技媒体を受け付けると、前記複数かつ相互間の間隔をあけて配置された表示部の各々に対して、前記図柄の停止状態の表示から図柄が動的に変化している動的状態の表示に移行させ、さらに、あらかじめ定めた時間経過後に前記動的状態の表示から前記図柄の停止状態の表示に移行させる制御を行なう制御手段と、
前記複数かつ相互間の間隔をあけて配置された表示部に表示された動的状態の表示が停止状態の表示になったときに、前記選択手段により選択された表示部についての図柄の組み合わせがあらかじめ定めた組合せであるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段で前記図柄の組合わせがあらかじめ定めた組合せであると判断されたときに、あらかじめ定めた特別の入賞状態とする変動入賞部とを有し、
前記選択手段は、前記選択を行なう時期を、前記制御手段において前記複数かつ相互間の間隔をあけて配置された表示部の各々に対して、前記図柄の停止状態の表示から動的状態の表示に移行させたときとすることを特徴とするパチンコゲーム機。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平3-261493号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、
▽記載事項1:「表示態様が変化可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、
前記複数の可変表示部のうち有効となる可変表示部を特定する有効表示部特定手段と、
該有効表示部特定手段によって特定された可変表示部が予め定めた表示結果となったことに基づいて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、を備えた可変表示装置付遊技機。」(特許請求の範囲)、
▽記載事項2:「従来、表示態様が変化可能な可変表示部を複数有する可変表示装置を備えた遊技機として、例えば、可変表示装置付弾球遊技機がある。そして、このような弾球遊技機においては、例えば、特開昭54-92834号に示されるように1組の決められた可変表示器の可変表示結果だけに基づいて遊技者に所定の遊技価値が付与されるものであった。」(第1頁右欄下段第2行?9行)、
▽記載事項3:「可変表示部の表示結果が遊技者に所定の遊技価値を付与する態様となったときでも、その可変表示部が有効な可変表示部として特定されない場合には、遊技者に所定の遊技価値を付与することはない。つまり、可変表示部自体が可変表示されることと、有効とされる可変表示部が特定されることとが組み合わさるので、遊技者に所定の遊技価値を付与する可能性が可変表示部の可変表示動作以外の要素によっても決定され、遊技の興趣をより盛り上げることができる。また、可変表示装置に設けられる複数の可変表示部のうち有効となる可変表示部自体が特定されるので、有効な可変表示部を遊技者は、即座に見分けることができる。」(第2頁左欄上段第15行?同頁右欄上段第7行)、
▽記載事項4:「遊技領域12のほぼ中央には、複数の可変表示部としての7セグメントLED38?43を有する可変表示装置30が設けられている。可変表示装置30は、・・・上記複数(実施例では、6つ)の7セグメントLED38?43が2つのグループに分けられ、7セグメントLED38?43の可変表示毎にいずれかのグループが特定されることになる。
ところで、7セグメントLED38?43は、複数種類の識別情報、例えば、「0」?「9」までの数字を順次可変表示し、7セグメントLED38?43がそれぞれ単独に可変表示して停止したときであって、前記したように特定されたグループに属する7セグメントLEDの識別情報の組合せが同一の特定識別情報だけの組合せである場合に、有効と判別されて特定遊技状態(以下、大当り状態という)となって遊技者に所定の遊技価値が付与されるようになっている。所定の遊技価値として、この実施例の場合には、可変表示装置30の下方に配置される可変入賞球装置13を所定の態様で開成制御して短時間に多量の入賞玉を獲得するチャンスを遊技者に付与するようになっている。また、この実施例では、「奇数」が特定識別情報とされ、他の数字(偶数)は、通常識別情報と設定されている。」(第2頁左欄下段第16行?同頁右欄下段第20行)、
▽記載事項5:「遊技領域12には、・・・入賞開口14を有する可変入賞球装置13が設けられている。入賞開口14は、・・・開放自在な玉受部材15によって覆われている。そして、可変入賞球装置13の玉受部材15は、前記可変表示装置30の7セグメントLED38?43のうち特定されたグループの7セグメントLEDで表示される識別情報の組み合せがすべて同一の特定識別情報の組合せとなったときに、大当り状態となり、所定期間(例えば、30秒経過するまで、あるいは10個の入賞玉が発生するまで)開放するように設定され、その開放している間遊技領域12を落下する打玉を受止めるようになっている。」(第3頁左欄上段第1行?15行)、
▽記載事項6:「遊技領域12の可変入賞球装置13の下方には、前記7セグメントLED38?43の可変表示を許容する始動入賞口20a?20cが設けられている。また、始動入賞口20a?20cには、始動入賞玉検出スイッチ21a?21cが一体的に設けられ、始動入賞口20a?20cに入賞した打玉を検出して・・・遊技制御基板27に形成される制御回路に検出信号を送るようになっている。
更に、遊技領域12には、前記可変表示装置30の左右側方に入賞口22a、22bが設けられ、前記可変入賞球装置13の左右側方にランプ付入賞口23a、23bが設けられている。」(第3頁右欄上段第10行?同頁左欄下段第2行)、
▽記載事項7:「遊技盤10に設けられる上記した可変表示装置30、可変入賞球装置13、・・・等は、パチンコ遊技機1の裏面に設けられる遊技制御基板27によって制御される。この遊技制御基板27には、・・・上記した部品を電気的に制御するマイクロコンピュータ60を含む制御回路が構成されている。」(第3頁左欄下段第14行?同頁右欄下段第1行)、
▽記載事項8:「可変表示装置30は、前記遊技盤10の表面に取り付けられるほぼ円状の取付基板31を有し、その取付基板31の上部前方に入賞受枠32が突設されている。入賞受枠32の上方には、開口が開設され、入賞受枠32に誘導された打玉が入賞する入賞口34となっている。・・・。また、取付基板31の外周のやや内側寄りに沿って後方に突出する凹部形成枠35が形成され、その凹部形成枠35の後面に円盤状の透明板36が嵌込まれている。この透明板36は、無色透明であってもよいし、あるいは着色透明であってもよい。この実施例の場合には、着色透明板で構成されている。また、透明板36の後方には、プリント基板37が配置され、そのプリント基板37の前面側に複数の可変表示部として6つの7セグメントLED38?43が実装されている。7セグメントLED38?43は、第1図に示すように正六角形状に配置され、倒立正三角形を構成する7セグメントLED38?40(以下、7セグメントLED38を7セグメントLED-Aといい、同様に7セグメントLED39を7セグメントLED-Bといい、7セグメントLED40を7セグメントLED-Cという)は、1つのグループを構成し、正立正三角形を構成する7セグメントLED41?43(以下、7セグメントLED41を7セグメントLED-Dといい、同様に7セグメントLED42を7セグメントLED-Eといい、7セグメントLED43を7セグメントLED-Fという)は、他の1つのグループを構成する。」(第3頁右欄下段第9行?第4頁右欄上段第1行)、
▽記載事項9:「上記した2つのグループは、打玉が前記始動入賞口20a?20cに入賞して7セグメントLED-A?Fを可変表示する毎にいずれか一方のグループが特定され、その特定されたグループの7セグメントLED-A?C又はD?Fの可変表示停止後の表示態様が前記したように同一の特定識別情報の組合せ(具体的には、奇数のゾロ目)となったときに、大当り状態と判定されるものである。」(第4頁右欄上段第2行?9行)、
▽記載事項10:「上記したグループを特定するための機構として、この実施例においては、有効表示特定部材44が設けられている。有効表示特定部材44は、第1図に示すように、複数の7セグメントLEDのうち1つのグループに属する7セグメントLED-A?C又はD?Fの個々の7セグメントLEDが囲まれるような大きさの開口部が形成されたリング状の有効表示特定部45が複数個(3つ)放射状に形成されたもので、前記透明体36の前方に位置するようになっている。したがって、有効表示特定部45によって囲まれた7セグメントLEDと囲まれない7セグメントLEDとでは、遊技者にとって容易に区別できるものであり、この実施例の場合有効表示特定部45に囲まれた7セグメントLEDが特定されたものとされ、組合せの際に有効な可変表示部であると認定される。」(第4頁右欄上段第9行?同頁左欄下段第6行)、
▽記載事項11:「有効表示特定部材44の中心には、回転軸46の先端が固着され、回転軸46の後端には、第2A図に示すように、回転体50が固着されている。・・・。回転軸46の後端に固着される回転体50は、・・・、特定部材駆動モータ48が駆動されることにより回転するものである。しかして、回転体50は、外周に係合凹部51が形成されると共に、その前方には、外周に複数(3つ)の切欠部53が等角度状に形成された遮光板52が一体的に形成されている。また、回転体50の係合凹部51が位置する上方には、停止用ソレノイド54が配置され、該停止用ソレノイド54の下端に係合凹部51と係合する停止部材55が固着されている。係合凹部51と停止部材55との係合は、停止用ソレノイド54が非励磁状態のときに行われ、停止用ソレノイド54が励磁されると、停止部材55が上昇して係合凹部51との係合を解除する。また、前記遮光板52の外周には、投受光方式のモータ停止位置検出スイッチ56が配置され、回転体50の停止位置が切欠部53を検出するような位置であるときにONとなり、切欠部53以外の位置でOFFとなる。」(第4頁左欄下段第8行?同頁右欄下段第11行)、
▽記載事項12:「打玉がいずれかの始動入賞口20a?20cに入賞して始動入賞玉検出スイッチ21a?21cをONさせると、すべての7セグメントLED-A?Fが可変表示を開始すると共に、有効表示特定部材44が回転を開始する。有効表示特定部材44の回転は、まず、停止用ソレノイド54が励磁(ON)されて停止部材55と係合凹部51との係合が解除されてから特定部材駆動モータ48に電流が供給されて行われることになる。そして、可変表示開始後、所定時間(例えば、4秒)が経過すると、まず、7セグメントLED-Aの可変表示が停止する。以下、微小時間づつ遅れて7セグメントLED-Dの可変表示が停止し、7セグメントLED-Bの可変表示が停止し、7セグメントLED-Eの可変表示が停止し、有効表示特定部材44の回転が停止する。有効表示特定部材44の回転の停止は、停止用ソレノイド54の励磁状態が解除(OFF)されることにより停止部材55と係合凹部51とを係合させ、その後、特定部材駆動モータ48の駆動を停止することにより行われる。有効表示特定部材44の回転が停止されたときには、有効表示特定部材44の停止位置がどの位置で停止したか否かの判定がモータ停止位置検出スイッチ56によって行われる。すなわち、モータ停止位置検出スイッチ56の位置に切欠部53が位置する場合には、ON信号が導出され、そのON信号に基づいて有効表示特定部材44が7セグメントLED-A?Cのグループを特定した位置と判定され、モータ停止位置検出スイッチ56の位置に切欠部53以外の遮光板52が位置する場合には、OFF信号が導出され、そのOFF信号に基づいて有効表示特定部材44が7セグメントLED-D?Fのグループを特定した位置と判定される。そして、その判定信号に応じて未だ可変表示している7セグメントLED-C又はFのいずれかが先にその可変表示を停止する。この場合、特定されていないグループに属する7セグメントLEDが先に停止するように制御されるため、仮にモータ停止位置検出スイッチ56がONのときには、7セグメントLED-Fが先に停止し、その後、7セグメントLED-Cが停止する。また、モータ停止位置検出スイッチ56がOFFのときには、7セグメントLED-Cが先に停止し、その後、7セグメントLED-Fが停止する。また、特定されたグループに属する7セグメントLEDのうち、すでに可変表示を停止している7セグメントLEDの表示結果が同一の特定識別情報(同一の奇数の数字)であるとき(一般にリーチ状態という)には、特定されたグループに属し、最後に可変表示を停止する7セグメントLED-C又はFの可変表示速度及び可変表示時間が他の7セグメントLEDの可変表示速度及び可変表示時間と異なるように設定される。具体的には、可変表示速度を遅くし、且つ可変表示時間を長くして遊技者の大当り状態となる期待感を盛り上げるようにしている。」(第4頁右欄下段第13行?第5頁左欄下段第9行)、
▽記載事項13:「大当り状態に有効なグループが特定された場合には、特定されたグループに属する7セグメントLEDと特定されないグループに属する7セグメントLEDとのLEDによる発光色又は輝度を異ならせるようにしてもよい。例えば、特定されたグループの7セグメントLEDの発光色を遊技者に良く視認できる赤色としたり高輝度としたり、特定されないグループの7セグメントLEDの発光色を緑色としたり低輝度とすればよい。」(第5頁左欄下段第10行?18行)、
▽記載事項14:「有効として特定された7セグメントLEDに表示される表示結果がすべて同一の特定識別情報であると判定された場合には、大当り状態と判定されて遊技者に所定の遊技価値を付与すべく可変入賞球装置13が所定の態様で駆動される。」(第5頁左欄下段第19行?同頁右欄下段第4行)、
▽記載事項15:「このパチンコ遊技機1における遊技は、前記遊技制御基板27内に形成される遊技制御回路によって制御される。この遊技制御回路は、第3図のブロック図に示すように、制御中枢としてのマイクロコンピュータ60を含む。マイクロコンピュータ60は、例えば、数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU61と、MPU61の動作プログラムデータを格納するROM62と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM63とを含む。更に、マイクロコンピュータ60は、入力信号を受けてMPU61に入力データを与える入力回路64と、MPU61からの出力データを受けて外部に出力する出力回路65とを含んでいる。そしてMPU61はROM62内に格納されたプログラムデータに従って、且つ以下に述べる各制御信号の入力に応答して、可変表示装置30や可変入賞球装置13等に対して制御信号を与える。」(第6頁左欄上段第2行?同頁右欄上段第1行)、
▽記載事項16:「マイクロコンピュータ60には、入力信号として、検出回路66?68を介して始動入賞玉検出スィッチ21a?21c、特定入賞玉検出スイッチ18、入賞玉検出スイッチ19、及びモータ停止位置検出スイッチ56からの検出信号が与えられる。」(第6頁右欄上段第2行?7行)、
▽記載事項17:「マイクロコンピュータ60は、以下の回路及び装置に制御信号を与える。まず、制御回路69を介して7セグメントLED-A?Fに表示信号を与え、駆動回路70、71を介して特定部材駆動モータ48、停止用ソレノイド54、及び玉受部材駆動ソレノイド16に駆動信号を与える。」(第6頁右欄上段第8行?14行)、
▽記載事項18:「上記した制御回路によって可変表示装置30及び可変入賞球装置13等が制御されるものであるが、特に可変表示装置30の表示態様によって第4図のフロー図に示すような動作が行われる。すなわち、可変表示装置30において、有効表示特定部材44の停止位置を検出するモータ停止位置検出スイッチ56がONであるか否かが判別され(ステップS1)、ONである場合には、大当り状態を判別する際に有効な可変表示部として扱われる7セグメントLEDが倒立正三角形状に位置する7セグメントLED-A?Cであるため、その7セグメントLED-A?Cの表示結果が奇数のゾロ目であるか否かが判別され(ステップS2)、逆にモータ停止位置検出スイッチ56がONでない場合には、大当り状態を判別する際に有効な可変表示部として扱われる7セグメントLEDが正立正三角形状に位置する7セグメントLED-D?Fであるため、その7セグメントLED-D?Fの表示結果が奇数のゾロ目であるか否かが判別される(ステップS3)。そして、ステップS2又はステップS3において、「YES」と判定された場合には、遊技者に所定の遊技価値を付与すべく可変入賞球装置13が所定の態様で駆動される大当り処理が実行される(ステップS4)。また、ステップS2又はステップS3において、「NO」と判定された場合には、可変表示装置30の動作は終了し、次の可変表示に対して上記の動作を繰り返す。」(第6頁右欄上段第19行?同頁右欄下段第6行)、
▽記載事項19:「この実施例によれば、可変表示装置30に設けられる複数の可変表示部としての複数の7セグメントLED-A?Fのうち有効となる7セグメントLED自体が有効表示特定部材44によって明確に特定されるので、有効な7セグメントLEDを遊技者は、即座に見分けることができる。また、有効となる7セグメントLEDが可変表示毎に常に変更されていると共に所定の停止条件が成立したときにその変更が停止されるので、仮に7セグメントLEDの組合せ表示結果が大当り状態となったときでも、その7セグメントLEDの組合せが有効な7セグメントLEDの組合せとして特定されない場合には、遊技者に大当り状態を提供することはない。つまり、可変表示部としての7セグメントLED-A?Fの可変表示による特定識別情報の表示可能性と、有効表示特定部材44による有効な可変表示部の特定の可能性とが組み合わさって遊技者に所定の遊技価値を付与するものであるため、7セグメントLED-A?F以外の要因によっても遊技者に所定の遊技価値を付与することになり、より遊技の興趣を盛り上げることができるものである。」(第6頁右欄下段第8行?第7頁左欄上段第9行)、
▽記載事項20:「実施例の変形例あるいは他の実施例として以下のようなものが考えられる。
(1) 有効な可変表示部を特定する機構として、上記実施例では、有効表示特定部材44の有効表示特定部45で可変表示部を囲むものを示したが、・・・。また、このような作用を電気的に行ってもよい。
例えば、・・・、特定された可変表示部だけを点灯表示・・・する等の制御が考えられる。
(2)・・・。
(3) 有効となる可変表示部の変更は、上記実施例のように可変表示部の可変表示毎にランダムに行うばかりでなく、所定の順序で可変表示毎に変更するようにしてもよいし、あるいは、ある条件が成立したときに変更できるようにしてもよい。例えば、・・・、遊技者による所定の操作が行われたこと、・・・、等に基づいて変更を行ってもよい。」(第8頁右欄下段第8行?第9頁左欄上段第16行)、
▽記載事項21:「この発明に係る可変表示装置付遊技機は、複数の可変表示部のうち有効となる可変表示部が特定されるように構成されるので、可変表示部自体が可変表示されることと、有効とされる可変表示部が特定されることとが組み合わさることになり、これにより遊技者に所定の遊技価値を付与する可能性が可変表示部の可変表示動作以外の要因によっても決定され、遊技の興趣を盛り上げることができる。また、可変表示装置に設けられる複数の可変表示部のうち有効となる可変表示部自体が特定されるので、有効な可変表示部を遊技者は、即座に見分けることができる。」(第9頁右欄上段第15行?同頁左欄下段第7行)、

との記載が認められ、

また、上記摘記事項および第1・7図より、複数の可変表示部としての7セグメントLED38?43を有する可変表示装置30は、上記複数(実施例では、6つ)の7セグメントLED38?43が2つのグループに分けられ、7セグメントLED38?43の可変表示毎にいずれかのグループが特定されることになること(記載事項4)、複数の可変表示部として6つの7セグメントLED38?43は、第1図に示すように正六角形状に配置され、倒立正三角形を構成する7セグメントLED38?40(以下、7セグメントLED38を7セグメントLED-Aといい、同様に7セグメントLED39を7セグメントLED-Bといい、7セグメントLED40を7セグメントLED-Cという)は、1つのグループを構成し、正立正三角形を構成する7セグメントLED41?43(以下、7セグメントLED41を7セグメントLED-Dといい、同様に7セグメントLED42を7セグメントLED-Eといい、7セグメントLED43を7セグメントLED-Fという)は、他の1つのグループを構成すること(記載事項8)、グループを特定するための機構としての有効表示特定部材44は、複数の7セグメントLEDのうち1つのグループに属する7セグメントLED-A?C又はD?Fの個々の7セグメントLEDが囲まれるような大きさの開口部が形成されたリング状の有効表示特定部45が3つ放射状に形成されたもので、有効表示特定部45に囲まれた7セグメントLEDが特定されたものとされ、組合せの際に有効な可変表示部であると認定されること(記載事項10)、始動入賞玉検出スイッチ21a?21cをONさせると、有効表示特定部材44が回転を開始し、7セグメントLED-Eの可変表示が停止し、有効表示特定部材44の回転が停止する。回転の停止は、特定部材駆動モータ48の駆動を停止することにより行われ、有効表示特定部材44の回転が停止されたときには、有効表示特定部材44の停止位置がどの位置で停止したか否かの判定がモータ停止位置検出スイッチ56によって行われ、そのON信号に基づいて有効表示特定部材44が7セグメントLED-A?Cのグループを特定した位置と判定され、そのOFF信号に基づいて有効表示特定部材44が7セグメントLED-D?Fのグループを特定した位置と判定されること(記載事項12)、このパチンコ遊技機1における遊技は、遊技制御基板27内に形成される遊技制御回路によって制御され、各制御信号の入力に応答して、可変表示装置30や可変入賞球装置13等に対して制御信号を与えること(記載事項15)、マイクロコンピュータ60は、駆動回路70、71を介して特定部材駆動モータ48、停止用ソレノイド54に駆動信号を与えること(記載事項17)、可変表示装置30に設けられる複数の可変表示部としての複数の7セグメントLED-A?Fのうち有効となる7セグメントLED自体が有効表示特定部材44によって明確に特定されること(記載事項19)等から、有効表示特定部材44は、「パチンコ遊技機1内部の制御によって、6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43のうち、2つのグループに分けられた7セグメントLED38?40、41?43であって大当り状態の有効として特定される7セグメントLED38?40、41?43をいずれかのグループに特定する」ものと認められ、
また、上記摘記事項および第3・7図より、遊技領域12の可変入賞球装置13の下方には、始動入賞口20a?20cが設けられ、更に、遊技領域12には、可変表示装置30の左右側方に入賞口22a、22bが設けられ、可変入賞球装置13の左右側方にランプ付入賞口23a、23bが設けられていること(記載事項6)、可変表示装置30は、取付基板31を有し、その取付基板31の上部前方に入賞受枠32が突設され、その上方には、開口が開設され、入賞受枠32に誘導された打玉が入賞する入賞口34となっていること(記載事項8)等から、パチンコ遊技機1は、「打玉の入賞が可能な複数かつ相互間の間隔をあけて配置された入賞口」を有するものと認められ、
また、上記摘記事項および第1・3図より、遊技領域12には、7セグメントLED38?43の可変表示を許容する始動入賞口20a?20cが設けられ、始動入賞玉検出スイッチ21a?21cが一体的に設けられ、始動入賞口20a?20cに入賞した打玉を検出して遊技制御基板27に形成される制御回路に検出信号を送るようになっていること(記載事項6)、複数の可変表示部として6つの7セグメントLED38?43は、第1図に示すように正六角形状に配置され、倒立正三角形を構成する7セグメントLED38?40(以下、7セグメントLED38を7セグメントLED-Aといい、同様に7セグメントLED39を7セグメントLED-Bといい、7セグメントLED40を7セグメントLED-Cという)は、1つのグループを構成し、正立正三角形を構成する7セグメントLED41?43(以下、7セグメントLED41を7セグメントLED-Dといい、同様に7セグメントLED42を7セグメントLED-Eといい、7セグメントLED43を7セグメントLED-Fという)は、他の1つのグループを構成すること(記載事項8)、打玉がいずれかの始動入賞口20a?20cに入賞して始動入賞玉検出スイッチ21a?21cをONさせると、すべての7セグメントLED-A?Fが可変表示を開始し、可変表示開始後、所定時間(例えば、4秒)が経過すると、まず、7セグメントLED-Aの可変表示が停止する。以下、微小時間づつ遅れて7セグメントLED-Dの可変表示が停止し、7セグメントLED-Bの可変表示が停止し、7セグメントLED-Eの可変表示が停止する。そして、7セグメントLED-C又はFのいずれかが先にその可変表示を停止する。この場合、、すでに可変表示を停止している7セグメントLEDの表示結果がリーチ状態には、最後に可変表示を停止する7セグメントLED-C又はFの可変表示速度及び可変表示時間が他の7セグメントLEDの可変表示速度及び可変表示時間と異なるように設定されること(記載事項12)、パチンコ遊技機1における遊技は、遊技制御基板27内に形成される遊技制御回路によって制御される。この遊技制御回路は、制御中枢としてのマイクロコンピュータ60を含む。マイクロコンピュータ60は、例えば、数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU61と、MPU61の動作プログラムデータを格納するROM62と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM63とを含む。更に、マイクロコンピュータ60は、入力信号を受けてMPU61に入力データを与える入力回路64と、MPU61からの出力データを受けて外部に出力する出力回路65とを含んでいる。そしてMPU61はROM62内に格納されたプログラムデータに従って、且つ各制御信号の入力に応答して、可変表示装置30等に対して制御信号を与えること(記載事項15)、マイクロコンピュータ60は、制御回路69を介して7セグメントLED-A?Fに表示信号を与え与えること(記載事項17)、制御回路によって可変表示装置30等が制御されるものであること(記載事項18)等から、パチンコ遊技機1のマイクロコンピュータ60は、「複数かつ相互間の間隔をあけて配置された入賞口のうち、始動入賞口20a?20cに前記打玉が入賞すると、前記6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43の各々に対して、前記識別情報の可変表示を開始し、さらに、所定時間が経過すると前記可変表示から前記識別情報の可変表示が停止する制御を行なう制御手段」を有するものと認められ、
また、上記摘記事項および第3・4図より、複数の可変表示部としての7セグメントLED38?43を有する可変表示装置30は、6つの7セグメントLED38?43が2つのグループに分けられ、7セグメントLED38?43の可変表示毎にいずれかのグループが特定され、7セグメントLED38?43は、複数種類の識別情報、例えば、「0」?「9」までの数字を順次可変表示し、7セグメントLED38?43がそれぞれ単独に可変表示して停止したときであって、前記したように特定されたグループに属する7セグメントLEDの識別情報の組合せが同一の特定識別情報だけの組合せである場合に、有効と判別されて特定遊技状態(以下、大当り状態という)となって遊技者に所定の遊技価値が付与されるようになっており、所定の遊技価値として、可変表示装置30の下方に配置される可変入賞球装置13を所定の態様で開成制御すること(記載事項4)、可変入賞球装置13の玉受部材15は、可変表示装置30の7セグメントLED38?43のうち特定されたグループの7セグメントLEDで表示される識別情報の組み合せがすべて同一の特定識別情報の組合せとなったときに、大当り状態となり、所定期間開放すること(記載事項5)、複数の可変表示部として6つの7セグメントLED38?43は、第1図に示すように正六角形状に配置され、倒立正三角形を構成する7セグメントLED38?40(以下、7セグメントLED38を7セグメントLED-Aといい、同様に7セグメントLED39を7セグメントLED-Bといい、7セグメントLED40を7セグメントLED-Cという)は、1つのグループを構成し、正立正三角形を構成する7セグメントLED41?43(以下、7セグメントLED41を7セグメントLED-Dといい、同様に7セグメントLED42を7セグメントLED-Eといい、7セグメントLED43を7セグメントLED-Fという)は、他の1つのグループを構成すること(記載事項8)、2つのグループは、7セグメントLED-A?Fを可変表示する毎にいずれか一方のグループが特定され、その特定されたグループの7セグメントLED-A?C又はD?Fの可変表示停止後の表示態様が同一の特定識別情報の組合せ(具体的には、奇数のゾロ目)となったときに、大当り状態と判定されるものであること(記載事項9)、有効として特定された7セグメントLEDに表示される表示結果がすべて同一の特定識別情報であると判定された場合には、大当り状態と判定されて遊技者に所定の遊技価値を付与すべく可変入賞球装置13が所定の態様で駆動されること(記載事項14)、パチンコ遊技機1における遊技は、遊技制御基板27内に形成される遊技制御回路によって制御され、この遊技制御回路は、制御中枢としてのマイクロコンピュータ60を含み、マイクロコンピュータ60は、例えば、数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU61と、MPU61の動作プログラムデータを格納するROM62と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM63とを含む。更に、マイクロコンピュータ60は、入力信号を受けてMPU61に入力データを与える入力回路64と、MPU61からの出力データを受けて外部に出力する出力回路65とを含んでいる。そしてMPU61はROM62内に格納されたプログラムデータに従って、各制御信号の入力に応答して、可変表示装置30や可変入賞球装置13等に対して制御信号を与えること(記載事項15)、マイクロコンピュータ60は、制御回路69を介して7セグメントLED-A?Fに表示信号を与え、駆動回路70、71を介して玉受部材駆動ソレノイド16に駆動信号を与えること(記載事項17)、可変表示装置30において、有効表示特定部材44の停止位置を検出するモータ停止位置検出スイッチ56がONであるか否かが判別され、ONである場合には、大当り状態を判別する際に有効な可変表示部として扱われる7セグメントLED-A?Cであるため、その7セグメントLED-A?Cの表示結果が奇数のゾロ目であるか否かが判別され、逆にモータ停止位置検出スイッチ56がONでない場合には、大当り状態を判別する際に有効な可変表示部として扱われる7セグメントLED-D?Fであるため、その7セグメントLED-D?Fの表示結果が奇数のゾロ目であるか否かが判別され、「YES」と判定された場合には、遊技者に所定の遊技価値を付与すべく可変入賞球装置13が所定の態様で駆動される大当り処理が実行され、「NO」と判定された場合には、可変表示装置30の動作は終了し、次の可変表示に対して上記の動作を繰り返すこと(記載事項18)等から、パチンコ遊技機1のマイクロコンピュータ60は、「6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43に可変表示して停止したとき、前記有効表示特定部材44によりいずれかのグループに特定された7セグメントLED38?40、41?43についての識別情報の組合せが同一の特定識別情報の組合せであるか否かを判別する判別手段」を有するものと認められ、
また、上記摘記事項および第1・2A・2B図等より、複数の可変表示部として6つの7セグメントLED38?43は、第1図に示すように正六角形状に配置され、倒立正三角形を構成する7セグメントLED38?40(以下、7セグメントLED38を7セグメントLED-Aといい、同様に7セグメントLED39を7セグメントLED-Bといい、7セグメントLED40を7セグメントLED-Cという)は、1つのグループを構成し、正立正三角形を構成する7セグメントLED41?43(以下、7セグメントLED41を7セグメントLED-Dといい、同様に7セグメントLED42を7セグメントLED-Eといい、7セグメントLED43を7セグメントLED-Fという)は、他の1つのグループを構成すること(記載事項8)、記載事項12:「打玉がいずれかの始動入賞口20a?20cに入賞して始動入賞玉検出スイッチ21a?21cをONさせると、すべての7セグメントLED-A?Fが可変表示を開始すると共に、有効表示特定部材44が回転を開始する。有効表示特定部材44の回転は、まず、停止用ソレノイド54が励磁(ON)されて停止部材55と係合凹部51との係合が解除されてから特定部材駆動モータ48に電流が供給されて行われることになる。そして、可変表示開始後、所定時間(例えば、4秒)が経過すると、まず、7セグメントLED-Aの可変表示が停止する。以下、微小時間づつ遅れて7セグメントLED-Dの可変表示が停止し、7セグメントLED-Bの可変表示が停止し、7セグメントLED-Eの可変表示が停止し、有効表示特定部材44の回転が停止する。有効表示特定部材44の回転の停止は、停止用ソレノイド54の励磁状態が解除(OFF)されることにより停止部材55と係合凹部51とを係合させ、その後、特定部材駆動モータ48の駆動を停止することにより行われる。有効表示特定部材44の回転が停止されたときには、有効表示特定部材44の停止位置がどの位置で停止したか否かの判定がモータ停止位置検出スイッチ56によって行われる。すなわち、モータ停止位置検出スイッチ56の位置に切欠部53が位置する場合には、ON信号が導出され、そのON信号に基づいて有効表示特定部材44が7セグメントLED-A?Cのグループを特定した位置と判定され、モータ停止位置検出スイッチ56の位置に切欠部53以外の遮光板52が位置する場合には、OFF信号が導出され、そのOFF信号に基づいて有効表示特定部材44が7セグメントLED-D?Fのグループを特定した位置と判定されること(記載事項12)、パチンコ遊技機1における遊技は、遊技制御回路によって制御され、制御中枢としてのマイクロコンピュータ60を含み、例えば、数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU61と、MPU61の動作プログラムデータを格納するROM62と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM63とを含む。更に、マイクロコンピュータ60は、入力信号を受けてMPU61に入力データを与える入力回路64と、MPU61からの出力データを受けて外部に出力する出力回路65とを含んでいる。そしてMPU61はROM62内に格納されたプログラムデータに従って、且つ各制御信号の入力に応答して、可変表示装置30等に対して制御信号を与えること(記載事項15)、マイクロコンピュータ60には、入力信号として、モータ停止位置検出スイッチ56からの検出信号が与えられること(記載事項16)、マイクロコンピュータ60は、駆動回路70、71を介して特定部材駆動モータ48、停止用ソレノイド54に駆動信号を与えること(記載事項17)等から、有効表示特定部材44は、「いずれかのグループに特定する時期を、制御手段において6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43の各々に対して、4番目に停止する7セグメントLED-Eの可変表示が停止したときとする」ものと認められる。
これらの記載から、引用例1には、

「「0」?「9」までの複数種類の識別情報を順次可変表示する6つかつ正六角形状に配置された可変表示部としての7セグメントLED38?43と、
パチンコ遊技機1内部の制御によって、前記6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43のうち、2つのグループに分けられた7セグメントLED38?40、41?43であって大当り状態の有効として特定される7セグメントLED38?40、41?43をいずれかのグループに特定する有効表示特定部材44と、
打玉の入賞が可能な複数の入賞口と、
前記複数かつ相互間の間隔をあけて配置された入賞口のうち、始動入賞口20a?20cに前記打玉が入賞すると、前記6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43の各々に対して、前記識別情報の可変表示を開始し、さらに、所定時間が経過すると前記可変表示から前記識別情報の可変表示が停止する制御を行なう制御手段と、
前記6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43が可変表示して停止したとき、前記有効表示特定部材44によりいずれかのグループに特定された7セグメントLED38?40、41?43についての識別情報の組合せが同一の特定識別情報の組合せであるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で前記識別情報の組合せが同一の特定識別情報の組合せであると判別されたときに、玉受部材15を所定期間開放するように設定された大当り状態とする可変入賞球装置13とを有し、
前記有効表示特定部材44は、前記いずれかのグループに特定する時期を、前記制御手段において前記6つかつ正六角形状に配置された7セグメントLED38?43の各々に対して、4番目に停止する7セグメントLED-Eの可変表示が停止したときとするパチンコ遊技機1。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

3.対比
そこで、本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「「0」?「9」までの複数種類の識別情報」、「順次可変表示する」、「6つ配置された可変表示部としての7セグメントLED38?43」、「パチンコ遊技機1」、「2つのグループに分けられた7セグメントLED38?40、41?43」、「大当り状態」、「有効として特定される7セグメントLED38?40、41?43」、「いずれかのグループに特定する」、「有効表示特定部材44」、「打玉」、「複数の入賞口」、「始動入賞口20a?20c」、「打玉が入賞すると」、「可変表示を開始し」、「所定時間が経過すると」、「可変表示が停止する」、「6つの7セグメントLED38?43が可変表示して停止したとき」、「いずれかのグループに特定された」、「同一の特定識別情報の組合せであるか否かを判別する」、「判別手段」、「玉受部材15を所定期間開放するように設定された大当り状態」および「可変入賞球装置13」は、本願発明における「予め定められた複数種類の図柄」、「順次変更表示する」、「複数配置された表示部」、「パチンコゲーム機」、「あらかじめ定めた個数の表示部」、「特別の入賞状態」、「判断対象となる表示部」、「任意に選択する」、「選択手段」、「遊技媒体」、「複数の入賞部」、「特定の入賞部」、「遊技媒体を受け付けると」、「停止状態の表示から図柄が動的に変化している動的状態の表示に移行させ」、「あらかじめ定めた時間経過後に」、「停止状態の表示に移行させる」、「複数の表示部に表示された動的状態の表示が停止状態の表示になったときに」、「選択された」、「あらかじめ定めた組合せであるか否かを判断する」、「判断手段」、「あらかじめ定めた特別の入賞状態」および「変動入賞部」にそれぞれ相当すると認められる。
また、引用例1発明の「正六角形状に配置された可変表示部としての7セグメントLED38?43」と、本願発明の「相互間の間隔をあけて配置された表示部」は、「特定の状態で配置された表示部」で共通し、
また、引用例1発明の「7セグメントLED38?43の各々に対して、4番目に停止する7セグメントLED-Eの可変表示が停止したとき」と、本願発明の「表示部の各々に対して、図柄の停止状態の表示から動的状態の表示に移行させたとき」は、「表示部の各々に対して、特定条件となったとき」で共通する。
したがって、両者は、

「予め定められた複数種類の図柄を順次変更表示する複数かつ特定の状態で配置された表示部と、
パチンコゲーム機内部の制御によって、前記複数かつ特定の状態で配置された表示部のうち、あらかじめ定めた個数の表示部であって特別の入賞状態の判断対象となる表示部を任意に選択する選択手段と、
遊技媒体の入賞が可能な複数の入賞部と、
前記複数かつ相互間の間隔をあけて配置された入賞部のうち、特定の入賞部に前記遊技媒体を受け付けると、前記複数かつ特定の状態で配置された表示部の各々に対して、前記図柄の停止状態の表示から図柄が動的に変化している動的状態の表示に移行させ、さらに、あらかじめ定めた時間経過後に前記動的状態の表示から前記図柄の停止状態の表示に移行させる制御を行なう制御手段と、
前記複数かつ特定の状態で配置された表示部に表示された動的状態の表示が停止状態の表示になったときに、前記選択手段により選択された表示部についての図柄の組み合わせがあらかじめ定めた組合せであるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段で前記図柄の組合わせがあらかじめ定めた組合せであると判断されたときに、あらかじめ定めた特別の入賞状態とする変動入賞部とを有し、
前記選択手段は、前記選択を行なう時期を、前記制御手段において前記複数かつ特定の状態で配置された表示部の各々に対して、特定条件となったときとするパチンコゲーム機」

である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:複数の表示部の配置の状態が、本願発明では、「相互間の間隔をあけて配置」しているのに対し、引用例1発明では、「正六角形状に配置」しており、六角形状の相互間の位置関係が、6つの7セグメントLEDを連続して配置しているのか間隔をあけて配置しているのか明らかでなく、また第1図より、間隔をあけているとしたらどの程度なのかも明らかでない点。

相違点2:選択手段が選択を行なう時期の特定条件において、本願発明では、「図柄の停止状態の表示から動的状態の表示に移行させたとき」としているのに対し、引用例1発明では、「4番目に停止する7セグメントLED-Eの可変表示が停止したとき」としており、本願発明のような選択の時期となっていない点。

4.判断
上記相違点について検討する。

相違点1について、本願の出願当初の明細書の段落【0040】の記載事項は、引用例1の第1図の構成を包含するものと想定され、本願発明の「相互間の間隔をあけて配置」することがどの程度の間隔なのか限定事由が不明であるが、一般的に、遊技機分野において、複数の絵柄表示機を相互間の間隔をあけて配設することは従来広く知られており(一例として、特開平4-73079公報参照。)、引用例1発明の6つの7セグメントLEDの六角形状の配置に、前記周知技術を採用して、前記相違点1に係る構成とすることは、格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、引用例1発明は、7セグメントLED38?43のうち、順に7セグメントLED38、7セグメントLED41、7セグメントLED39、7セグメントLED42の可変表示が停止する。そこで、4番目の7セグメントLED42すなわち7セグメントLED-Eの可変表示が停止したとき、有効表示特定部材44が停止して、2つのグループすなわち7セグメントLED38?40または7セグメントLED41?43の選択が行われ、大当たり状態に関連する有効となるグループが確定するものであり、一方、本願発明は、特定の入賞部に遊技媒体を受け付けると、各々の表示部の図柄が動的に変化する。そこで、入賞があってから一定時間の間に(本願明細書、段落【0021】等参照)、例えば3個の表示部を選択して、特別の入賞状態に関連する表示部を確定するものである。つまり、遊技者からみると、引用例1発明は、全ての7セグメントLEDが停止する期間の中間段階で、大当たり期待度のある3つの7セグメントLEDが分かり、本願発明は、全ての表示部が停止する期間の初期段階で大当たり期待度のある表示部を決定している。してみると、選択手段による大当たり期待度のある表示部の確定時期を、全ての表示部が停止する期間の、初期段階とするか、中間段階とするか、それとも最終段階とするかは、大当たり期待度のある表示部が先に分かるか、後に分かるかの違いであり、前記引用例1発明のものに代えて、前記相違点2に係る構成とすることに、格別の発明力を要したとはいえず、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願発明が上記構成を採ることによりもたらされる効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測できる範囲内のものであって格別のものとは認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-26 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2007-10-15 
出願番号 特願2000-235099(P2000-235099)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一宮 誠澤田 真治  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 土屋 保光
林 晴男
発明の名称 パチンコゲーム機  
代理人 柏原 健次  
復代理人 鈴木 秀昭  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ