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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1169422 |
審判番号 | 不服2004-6275 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-03-29 |
確定日 | 2007-12-10 |
事件の表示 | 特願2000- 99025「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月 9日出願公開、特開2001-276320〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年3月31日の出願であって、平成15年10月20日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年12月19日に意見書及び手続補正書が提出され、平成16年2月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年4月13日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年4月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年4月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「複数種類の絵柄よりなる絵柄列を複数列備え、遊技媒体を投入し、主遊技の開始操作により前記複数列の絵柄列をリール絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により内部入賞の当否を確定し、各絵柄列に対応した停止動作に対して、前記各絵柄列を前記内部抽選に基づいた所定の前記絵柄組み合わせをリール絵柄表示窓上に表示させるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから前記主遊技の遊技結果として入賞を定め、所定数の遊技媒体を払い戻す遊技台であって、 副遊技を実行する情報出力装置を備え、 前記副遊技が前記停止操作に応じて進行すると共に、全ての前記停止操作の終了後に前記情報出力装置から出力された情報に対する遊技者の応答入力により前記副遊技の遊技結果を判定し、前記副遊技の遊技結果に応じて遊技者に利益が与えられることを特徴とする遊技台。」 と補正された。 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「副遊技の遊技結果」について「全ての停止操作の終了後に情報出力装置から出力された情報に対する遊技者の応答入力により判定」する点の限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-328351号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、 【請求項1】 3行3列以上の正方マトリクス状に配列された複数のシンボル表示窓ごとに個別にシンボル列の移動表示を行い、これらの移動表示が停止したときにシンボル表示窓に表示されたシンボルの組み合わせにより入賞の有無が判定され、入賞が得られたときには遊技者にゲーム上の特典が付与されるスロットマシンにおいて、・・・ 【0036】次に、上記スロットマシンの作用について図7ないし図11に示すフローチャートにしたがって説明する。通常のスロットマシンゲームの開始に先立ち、まずベットスコアの入力操作が必要である。ベットスコアの入力操作は、コイン投入口8から実際にコインを投入してもよいが、・・・ベットボタンを操作してクレジットの中からベットスコアを入力してもよい。 【0038】ベットスコアの入力後、スタートボタンを操作することによってシンボル列の移動表示が開始され、各々のシンボル表示窓5の中でシンボルが上から下に移動するように表示される。・・・ 【0039】ストップボタンのいずれかを押すことによってシンボル列の移動表示が停止する。一方のストップボタンを押すと、全てのシンボル表示窓5についてシンボル列の移動表示が一斉に停止し、他方のストップボタンを押したときには所定の順番でシンボル表示窓ごとにシンボル列の移動表示が停止する。・・・ 【0040】全てのシンボル列の移動表示が停止すると、シンボル表示窓5ごとに停止表示されているシンボルの種類を表すシンボルコードがワーキングRAM18の所定エリアに書き込まれる。シンボルデータメモリ26の各メモリエリア内に格納されたシンボルの配列順序は、そのグラフィックデータの先頭アドレスともに予め分かっており、その対照データはプログラムROM16に書き込まれているから、シンボル列の移動表示が停止した時点でCPU15が指定したシンボルデータメモリの先頭アドレスに基づいてシンボルの種類が特定でき、これに応じたシンボルコードを得ることができる。 【0041】なお、シンボル列の移動表示中であっても、各々のシンボル表示窓に現在どのシンボルが表示され、また次に表示されるシンボルが何であるかも識別することが可能であるから、ストップボタンが操作された時点から極端にタイミングがずれない範囲内であれば、CPU15がソフト的に決めたシンボルが現れるようにシンボル列の停止制御を行うことが可能である。このような停止制御を行うことによって入賞の発生確率を調節することも可能となるから、例えば消化されたゲーム結果を監視しながらペイアウト率を調節することもできる。 【0042】シンボル列の停止後、続いて入賞判定が行われる。入賞判定にあたっては、シンボル表示窓ごとにワーキングRAM18の所定エリアに保存されているシンボルコードと、ベットスコアに応じて有効化されている入賞ラインと、入賞パターン/配当テーブル20に格納されたシンボルの組み合わせパターンとがCPU15によって対照される。入賞判定の結果、いずれの入賞役も得られなかったときには、ホールドゲームの開始入力の待機状態となる。 【0044】最初のスロットマシンゲームで何らの入賞が得られると、図8に示す次ゲームの選択処理に移行する。次ゲームの選択処理では、まず得られた入賞に応じた配当スコアが枠線6b内にメッセージ表示され、テイクスコアボタンを操作したときにはその時点で配当スコアがクレジットに取り込まれて終了となる。テイクスコアボタンを操作する前であれば、ダブルアップゲームあるいはホールドゲームのいずれかを選択することができる。 【0045】ダブルアップゲームが選択されると、図11に示すダブルアップゲーム処理が行われる。ダブルアップゲームは、直前に得られた配当スコアの全てをそのままベットスコアとして倍増を狙うゲームである。ダブルアップゲームが開始されると、CRT24の表示面3には図6(a)に示すダブルアップ画面が表示され、遊技者はこのトランプカードの絵柄の数字が「1?6」の範囲であるか「8?13」の範囲であるかを予想し、「1?6」であれば「小選択ボタン」を、「8?13」であれば「大選択ボタン」を押圧する。 【0046】この操作入力が行われると、CPU15は図6(b)に示すようにトランプカードの絵柄を表示し、絵柄の数字と遊技者の大/小選択入力とを比較して遊技者の選択入力の適否により勝敗判定を行う。ダブルアップゲームに勝つと、ベットスコアの2倍がその時点での配当スコアとなる。ダブルアップゲームは、テイクスコアボタンの操作により配当スコアをクレジットに加算しない限りは、その時点での配当スコアをそのままベットスコアとし、負けになるまで何回でも繰り返し行うことができる。トランプカードの絵柄が「7」であったときには引き分けになる。 【0058】以上、添付図面にしたがって本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明を実施する上では、ダブルアップゲーム,フィーバーゲームの態様は上記のものに限られず、また適宜に取捨してよい。また、CRT24によりゲーム画面の表示を行う代わりに、液晶表示パネルを利用することも可能である。さらに、シンボル表示窓5の各々の奥にリールを配置した機械リール式のスロットマシンにも本発明は適用可能であり、小型のCRTあるいは液晶表示パネルを組み合わせればダブルアップゲーム機能も付加することができる。 との記載が認められる。 摘記した上記の記載及び図1?11の記載によれば、引用文献には、 「シンボル列の移動表示を行うシンボル表示窓を3行3列以上配列し、コインを投入し、スタートボタンを操作することによってシンボル列のシンボル表示窓での移動表示が開始され、CPU15が停止するシンボルをソフト的に決め、ストップボタンが操作された時点から極端にタイミングがずれない範囲内であれば、CPU15がソフト的に決めたシンボルがシンボル表示窓に現れるようにシンボル列の停止制御を行い、移動表示が停止したときにシンボル表示窓に表示されたシンボルの組み合わせにより入賞の有無が判定され、入賞が得られたときには遊技者にゲーム上の特典が付与されるスロットマシンであって、 ダブルアップゲームを表示する小型のCRTあるいは液晶表示パネルを組み合わせ、 ダブルアップゲームが、全てのシンボル列の停止後にダブルアップ画面が表示され、遊技者の選択入力の適否により勝敗判定を行い、ダブルアップゲームに勝つとベットスコアの2倍がその時点での配当スコアとなるスロットマシン。」 の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「シンボル列」は、本願補正発明の「複数種類の絵柄よりなる絵柄列」に相当し、以下同様に、 「3行3列以上配列し」は「複数列備え」に、 「コイン」は「遊技媒体」に、 「スタートボタンを操作することによって」は「主遊技の開始操作により」に、 「シンボル列のシンボル表示窓での移動表示が開始され」は「複数列の絵柄列をリール絵柄表示窓上で移動を開始させる」に、 「シンボル表示窓」は「リール絵柄表示窓」に、 「CPU15が停止するシンボルをソフト的に決め」は「抽選により内部入賞の当否を確定し」に、 「ストップボタンが操作された時点から極端にタイミングがずれない範囲内であれば」は「各絵柄列に対応した停止動作に対して」に、 「CPU15がソフト的に決めたシンボル」は「内部抽選に基づいた所定の絵柄組み合わせ」に、 「シンボルがシンボル表示窓に現れる」は「絵柄組み合わせをリール絵柄表示窓上に表示させる」に、 「シンボル列の停止制御を行い」は「制御して停止させ」に、 「移動表示が停止したときにシンボル表示窓に表示されたシンボルの組み合わせにより」は「停止した前記リール絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから」に、 「入賞の有無が判定され」は「主遊技の遊技結果として入賞を定め」に、 「入賞が得られたときには遊技者にゲーム上の特典が付与される」は「所定数の遊技媒体を払い戻す」に、 「スロットマシン」は「遊技台」に、 「ダブルアップゲームを表示する」は「副遊技を実行する」に、 「小型のCRTあるいは液晶表示パネルを組み合わせ」は「情報出力装置を備え」に、 「ダブルアップゲーム」は「副遊技」に、 「全てのシンボル列の停止後に」は「全ての前記停止操作の終了後に」に、 「ダブルアップ画面」は「情報出力装置から出力された情報」に、 「遊技者の選択入力の適否により勝敗判定を行い」は「出力された情報に対する遊技者の応答入力により前記副遊技の遊技結果を判定し」に、 「ダブルアップゲームに勝つとベットスコアの2倍がその時点での配当スコアとなる」は「副遊技の遊技結果に応じて遊技者に利益が与えられる」に、 それぞれ相当する。 以上を総合すると、両者は、 「複数種類の絵柄よりなる絵柄列を複数列備え、遊技媒体を投入し、主遊技の開始操作により前記複数列の絵柄列をリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、抽選により内部入賞の当否を確定し、各絵柄列に対応した停止動作に対して、前記各絵柄列を前記内部抽選に基づいた所定の前記絵柄組み合わせをリール絵柄表示窓上に表示させるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから前記主遊技の遊技結果として入賞を定め、所定数の遊技媒体を払い戻す遊技台であって、 副遊技を実行する情報出力装置を備え、 前記副遊技が、全ての前記停止操作の終了後に前記情報出力装置から出力された情報に対する遊技者の応答入力により前記副遊技の遊技結果を判定し、前記副遊技の遊技結果に応じて遊技者に利益が与えられる遊技台。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]「複数列の絵柄列をリール絵柄表示窓上で移動を開始させる」ことと、「抽選により内部入賞の当否を確定」することが、本願補正発明では同時に行われているのに対し、引用発明では同時に行われているかどうか明らかでない点。 [相違点2]本願補正発明の副遊技は、主遊技の停止操作に応じて進行するのに対し、引用発明の「ダブルアップゲーム」は、全てのシンボル列の停止後、すなわち、全ての停止操作が行われた後に、ダブルアップ画面が表示され進行する点。 (4)判断 [相違点1について] 停止するシンボルをソフト的に決める(抽選により内部入賞の当否を確定する)タイミングをどの時点にするかについては、遊技台の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が、コイン(遊技媒体)投入から最初のシンボル列(リール)が停止制御されるまでの間で適宜決定し得る設計的事項であり、複数列の絵柄列をリール絵柄表示窓上で移動を開始させると同時という時点を選択することも、当業者が適宜なし得る事項である。 [相違点2について] 副遊技を行うスロットマシンにおいて、主遊技の停止操作に応じて進行する副遊技を行うことは、例えば、特開平6-178844号公報(特に、段落0022及び0025)、特開平11-206960号公報(特に、図4、図9、段落00049及び段落0053?0055)に記載されているように、従来周知の技術であり、また、本発明における「停止操作に応じて進行する」は、その補正の根拠として示された、図5及び明細書の段落0113、0115等の記載から見て、入賞判定S217後に実際に副遊技が行われるまでの、単なる副遊技開始を演出する表示の進行も含む広い概念のものであるから、引用発明において、シンボル列の移動表示を停止させるストップボタンの操作に応じて、シンボル列の移動表示が全部停止する前に、例えば、段落0018に記載されるように、一本の入賞ラインにチェリーシンボルが1個又は2個揃ってライン入賞役が得られた場合に、ダブルアップゲームが開始される旨を表示するとともに、全てのシンボル列の移動表示が停止し入賞判定した後にダブルアップゲームの選択入力を受け付けて、本願補正発明のような構成とすることは、当業者にとって格別創意工夫を要することではない。 よって、上記相違点1、2に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものというべきである。 さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び従来周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成16年4月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は(以下、「本願発明」という。)、平成15年12月19日付の手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「複数種類の絵柄よりなる絵柄列を複数列備え、遊技媒体を投入し、主遊技の開始操作により前記複数列の絵柄列をリール絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により内部入賞の当否を確定し、各絵柄列に対応した停止動作に対して、前記各絵柄列を前記内部抽選に基づいた所定の前記絵柄組み合わせをリール絵柄表示窓上に表示させるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから前記主遊技の遊技結果として入賞を定め、所定数の遊技媒体を払い戻す遊技台であって、 副遊技を実行する情報出力装置を備え、 前記副遊技が前記停止操作に応じて進行すると共に、前記副遊技の遊技結果に応じて遊技者に利益が与えられることを特徴とする遊技台。」 (1)引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願の請求項1に係る発明は、上記「2.(1)」で検討した本願補正発明から「副遊技の遊技結果」の限定事項である「全ての停止操作の終了後に情報出力装置から出力された情報に対する遊技者の応答入力により副遊技の遊技結果を判定」する点の構成を省いたものである。 そうすると、本願の請求項1に係る発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び従来周知の構成に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-09-25 |
結審通知日 | 2007-09-28 |
審決日 | 2007-10-29 |
出願番号 | 特願2000-99025(P2000-99025) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 澤田 真治 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
渡部 葉子 小田倉 直人 |
発明の名称 | 遊技台 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 高柳 司郎 |