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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47C
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47C
管理番号 1169439
審判番号 不服2004-16458  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-06 
確定日 2007-12-12 
事件の表示 平成11年特許願第233537号「車両用シート」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月27日出願公開、特開2001- 54448号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年8月20日の出願であって、平成16年7月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年8月27日付けで手続補正がなされたが、該手続補正は当審において平成19年1月29日付けで補正却下の決定がなされるとともに、同日付で拒絶理由が通知され、同年4月4日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年6月7日付けで当審において最後の拒絶理由が通知され、同年8月8日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。

2.平成19年8月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年8月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
平成19年8月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1の記載が補正前には、
「袋状に非伸縮性生地で縫製した表皮と、この表皮に被覆される発泡体製のパッドを有し、前記表皮は、パッドの着座面からパッドの側面上部に渉って被覆するメイン部と、このメイン部に接ぎ合わせるサイド部とからなり、前記パッドの着座面及び側面のコーナー部に渉って対応するメイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして接ぎ合わせて、パッドの着座面のコーナー部からこれに連続する側面のコーナー部に渉る部分を被覆する箇所に寄せ縫い部を設けて、パッドの着座面に前記メイン部を加圧接着してなる車両用シート。」
であったものが、補正後には
「袋状に非伸縮性生地で縫製した表皮と、この表皮に被覆される発泡体製のパッドを有し、前記表皮は、パッドの着座面からパッドの側面上部に渉って被覆するメイン部と、このメイン部にパッドの側面上部で接ぎ合わせるサイド部とからなり、パッドの着座面のコーナー部からこれに連続する側面のコーナー部に渉る部分を被覆する前記メイン部に寄せ縫い部を設けて、パッドの着座面にのみに前記メイン部を加圧接着してなる車両用シート。」
と補正された。

そこで本件補正について検討する。
本件補正により補正前の請求項1に記載されていた「前記パッドの着座面及び側面のコーナー部に渉って対応するメイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして接ぎ合わせて、」が、補正後の請求項1では削除されたが、このような補正前の請求項1に記載されていた発明特定事項を削除する補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明、誤記の訂正の何れの事項を目的とするものにも該当しない。

したがって、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

3.本願発明
本件補正は上記2.のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成19年4月4日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「袋状に非伸縮性生地で縫製した表皮と、この表皮に被覆される発泡体製のパッドを有し、前記表皮は、パッドの着座面からパッドの側面上部に渉って被覆するメイン部と、このメイン部に接ぎ合わせるサイド部とからなり、前記パッドの着座面及び側面のコーナー部に渉って対応するメイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして接ぎ合わせて、パッドの着座面のコーナー部からこれに連続する側面のコーナー部に渉る部分を被覆する箇所に寄せ縫い部を設けて、パッドの着座面に前記メイン部を加圧接着してなる車両用シート。」

4.拒絶理由
平成19年6月7日付けの当審における最後の拒絶理由は次のとおりのものである。
「平成19年4月4日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

補正後の請求項1に記載された「前記パッドの着座面及び側面のコーナー部に渉って対応するメイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして接ぎ合わせて、パッドの着座面のコーナー部からこれに連続する側面のコーナー部に渉る部分を被覆する箇所に寄せ縫い部を設け」ることについて、請求人は平成19年4月4日付けの意見書において、出願時の明細書の段落【0014】、図2、段落【0019】の記載等を総合すると新規事項の追加とはならない旨主張しているが、請求人が指摘する明細書の段落【0014】には「この寄せ縫い部(A)は、身頃部(10)の前部側左右と、これに連続するまち部(12)の左右に渉って図2に示すようにコーナー部(11)が収縮するように設けてある。」と記載されているだけで、メイン部とサイド部の接ぎ合わせ部でメイン部のコーナー部を寄せ縫いすることは記載されておらず、該記載から自明な事項であるとも認められない。また、請求人が指摘する図2にも、サイド部と接ぎ合わされるメイン部の下端縁13よりも上方で寄せ縫いのヒダが生じることが図示されているだけで、ヒダが下端縁13まで延びていないことからみても下端縁13で寄せ縫いされることが図2に図示されているとはいえず、図2の図示内容から自明な事項であるとも認められない。また、請求人が指摘する明細書の段落【0019】には「以上のメイン部(1)のコーナー部(11)に有する寄せ縫い部(A)は、前記パッド(2)に接着する際に加圧されて伸長するため、接着後のメイン部(1)のコーナー部(11)には皺、たるみが発生しないし、また、このメイン部(1)のコーナー部(11)に被覆されるパッド(3)の角部(イ)(ロ)は表皮における立体状のメイン部(1)による張力を受けることがないため、パッド(3)は発泡時の弾性を保持できる。」と記載されているだけで、メイン部とサイド部の接ぎ合わせ部でメイン部のコーナー部を寄せ縫いすることは記載されておらず、該記載から自明な事項であるとも認められない。そして、これらの記載ないし図示内容を総合してみても、メイン部とサイド部の接ぎ合わせ部でメイン部のコーナー部を寄せ縫いすることが自明な事項であるとは認めることができない。
さらに、願書に最初に添付した明細書の段落【0013】には「メイン部(1)は、複数の非伸縮性生地を接ぎ合わせて額縁と一体の身頃部(10)と、まち部(12)とを形成し、この身頃部(10)とまち部(12)とのコーナー部(11)は、寄せ縫いによる寄せ縫い部(A)によって縫製されている。」と、寄せ縫い部はメイン部の身頃部とまち部とのコーナー部に設けられることが記載されており、図1にも、メイン部とサイド部を縫い合わせる前の状態で、メイン部のコーナー部の身頃部とまち部との境界付近に寄せ縫い部が形成されていることが図示されているのであるから、このことからみてもメイン部とサイド部の接ぎ合わせ部でメイン部のコーナー部を寄せ縫いすることが願書に最初に添付した明細書又は図面の記載から自明な事項であるとは認められない。
したがって、上記補正は、新規事項を追加するものであるといわざるを得ない。」

5.当審の判断
平成19年4月4日付け手続補正により補正された請求項1の「前記パッドの着座面及び側面のコーナー部に渉って対応するメイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして接ぎ合わせて、パッドの着座面のコーナー部からこれに連続する側面のコーナー部に渉る部分を被覆する箇所に寄せ縫い部を設け」という記載は、メイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして継ぎ合わせることを含むものであるが、上記当審における最後の拒絶理由で指摘したように、平成19年4月4日付けの意見書において請求人が指摘する願書に最初に添付した明細書の段落【0014】、【0019】及び図2には、メイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして継ぎ合わせることは何等記載ないし図示されておらず、請求人が指摘する箇所の記載事項や図示事項から自明な事項でもない。また、請求人が指摘する箇所以外の願書に最初に添付した明細書又は図面にも、メイン部のコーナー部をサイド部に寄せ縫いして継ぎ合わせることは何等記載ないし図示されておらず、これらの記載事項や図示事項から自明な事項でもない。

6.むすび
以上のとおり、平成19年4月4日付け手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-03 
結審通知日 2007-10-09 
審決日 2007-10-23 
出願番号 特願平11-233537
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (A47C)
P 1 8・ 561- WZ (A47C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小谷 一郎  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 豊永 茂弘
川本 真裕
発明の名称 車両用シート  
代理人 山田 和明  
代理人 窪谷 剛至  

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