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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1169454
審判番号 不服2004-24534  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-01 
確定日 2007-12-13 
事件の表示 特願2000-225159「発光素子アレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月 8日出願公開、特開2002- 43622〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年7月26日に出願された特許出願であって、原審において、平成16年10月27日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年12月24日に手続補正がなされ、その後、当審において、平成19年7月12日付で審尋がなされ、同年9月13日に回答書が提出されたものである。

2.平成16年12月24日の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年12月24日の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、補正前の請求項1を、次のように補正することを含むものである。
「【請求項1】
第1導電型半導体層を有する基板に、前記基板の端部から第1間隔で形成された第2導電型半導体領域からなる第1発光部と、
前記基板の長手方向において、前記第1発光部と第2間隔で形成された第2の発光部と、
前記第2発光部の、前記基板の長手方向の一方側の前記第1導電型半導体層領域に形成された光量調整部とを備え、
前記光量調整部の端部と前記第2発光部の端部相互間の距離は、前記第1間隔と略等しいことを特徴とする発光素子アレイ。」

上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

(2)先願発明
本願の出願の日前の他の特許出願であって、本願の出願の日後に出願公開された特願平11-172609号(特開2001-7384号公報参照)の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
a.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発光素子アレイに関し、特に発光素子アレイの光量調整に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発光素子アレイは複数の発光素子を直線状に配置したものであり、発光素子として発光ダイオード(以下、LEDと記述する)を用いた発光素子アレイをLEDアレイと称する。」

b.「【0004】
【発明が解決しようとする課題】光プリンタにおいては高精細化が強く望まれていることから、それに伴いLEDアレイの高密度化を図ることが必要となる。しかし、高密度化を図るためにLEDアレイ内の発光部の間隔を狭くすると、LEDアレイの端部に位置する発光部とチップ端部との間隔が狭くなって、アレイの端部に位置する発光部から放射される有効な光量(チップ表面から略垂直方向に放出される光の量)が少なくなる。これは、発光部から少し傾いて放射された光のうちチップ表面に達する前にチップ端面に達する光が有効な光とならないからである。
【0005】図22は、従来例におけるLEDアレイの問題点を説明するための図であり、電極や配線等は省いている。図22に示すように、チップ端部(ダイシング位置)がAからBに変更されると、チップ端の発光部21から光が放射される領域がAとBとの距離の差に対応する領域の分だけ小さくなり、図の斜線で示した分だけチップ端の発光部21から放射される光強度が小さくなってしまう。
【0006】また、光プリンタにおいては高速化が重要な課題であり、高速化のためには光源であるLEDアレイの光量増加を図ることも必要となる。
【0007】このような点に鑑み本発明は、発光素子アレイのチップ内の光量ばらつきを低減することを目的とする。また、発光素子アレイの光量を増加させることも目的とする。」

c.「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る発光素子アレイは、第1導電型半導体層に所定の深さの複数の第2導電型半導体領域が複数の発光部として形成されている発光素子アレイであって、前記発光部のうちの第1発光部と該第1発光部に隣接する第2発光部との間に、該第1発光部および該第2発光部のいずれにも接触しない光量調整部を有する。このとき、前記光量調整部をすべての前記発光部の間に形成することができる。」

d.「【0012】上記本発明の発光素子アレイは、前記発光部が複数のブロックに分割された多層配線構造を有し、ブロック相互間の光量調整部が素子分離領域を兼ねることができる。
【0013】このとき、前記ブロック間の光量調整部として、少なくとも前記第1導電型半導体層を貫通する光量調整溝を備えることができる。また、発光部間の前記光量調整部と前記ブロック間の光量調整部とで、当該発光素子アレイが備える各発光部の列と平行する方向の幅を同じにすることができる。さらに、発光部間の前記光量調整部または前記ブロック間の光量調整部を、当該発光素子アレイが備える各発光部の列のうち最もチップの一端に近い発光部の列方向のいずれの側にも形成せず、該チップの一端から奇数番目の発光部のうち最もチップの一端に近い発光部を除くものには該チップの一端側に形成し、該チップの一端から偶数番目の発光部には該チップの一端と反対側に形成することができ、該発光部間の光量調整部が光量調整溝を備え、該ブロック間の光量調整部が素子分離溝を備えている。」

e.「【0021】そして、隣接する発光部21相互間には、それぞれの発光部21と接触することのないように光量調整溝31が形成されている。第1導電型半導体層12上のうち発光部21および光量調整溝31が形成されていない領域には、拡散マスク22が形成されている。
【0022】光量調整溝31が形成してあると、その隣に位置する発光部21からの有効光量が少なくなる。これは、発光部21から少し傾いて放射された光がチップの表面に達する前に光量調整溝31に当たるからである。」

f.「【0049】( 第3の実施の形態 )図9は、第3の実施の形態における多層配線型LEDアレイの構造を示す図であり、図9(a)は断面図を示し、図9(b)は上面図を示している。図9に示した多層配線型LEDアレイは、高抵抗基板13上に形成された第1導電型半導体層12が素子分離領域によって複数のブロックに電気的に分離され、各ブロックごとに、第1導電型半導体層12上の所定の領域に第1導電型半導体層12の途中の深さまで到達する第2導電型半導体領域によってpn接合を構成する複数の発光部21の列が形成され、各発光部21上にはp側電極26が形成され、各ブロックごとに1個のn側電極パッド機能を持つn側コンタクト電極29(以下、n側電極パッド29と記述する)が形成され、ブロック内の発光部21と同数の共通配線62がチップの長手方向に延設され、各共通配線62ごとにp側電極パッド28が形成され、各発光部21がp側電極26およびp側電極配線61を介して対応する共通配線62にコンタクト部65で接続されている。・・・。
【0050】そして、隣接する発光部21相互間には、それぞれの発光部21と接触することのないように光量調整溝31が形成されている。また、素子分離領域は、高抵抗基板13に到達するように素子分離溝32によって形成されている。第1導電型半導体層12上のうち発光部21、光量調整溝31および素子分離溝32が形成されていない領域には、拡散マスク22が形成されている。」

g.「【0057】図11(b)および図12(a)に示すように、隣接する各発光部21の間に、各発光部21と接触しないようにそれぞれ光量調整溝31および素子分離溝32を形成する。光量調整溝31および素子分離溝32は例えばりん酸過水をエッチャントとして第1導電型半導体層12を選択的にエッチングして形成することができる。
【0058】ここで、光量調整溝31の長さ(発光部21の列に直交する方向の寸法)および幅は任意に設定することができるが、光量ばらつきを抑制するという効果を得るためには、少なくとも発光部21と同程度の長さとなり、素子分離溝32の幅が光量調整溝31の幅と等しくなるように形成することが望ましい。また、外部に出力される光量は光量調整溝31の長さおよび幅によって決められるので、光量調整溝31の深さ方向に対する制約はない。・・・。」

h.「【0096】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に係る発明は、発光素子アレイの隣接する2個の発光部の間にいずれの発光部にも接触しない光量調整部が形成されていることによって、発光素子アレイの発光部の光量を調整することができるという効果を有する。
【0097】請求項2に係る発明は、光量調整部がすべての発光部の間に設けられていることによって、発光素子アレイのすべての発光部について均一に光量を調整することができるという効果を有する。
【0098】請求項3に係る発明は、光量調整部として、少なくとも第1導電型半導体層の途中まで到達する光量調整溝が用いられていることによって、チップ端における光量低下の影響をチップ内において低減することができ、チップ端の発光部とチップ内の各発光部との間の光量ばらつきを抑制することができるという効果を有する。
・・・(中略)・・・
【0107】請求項12に係る発明は、発光部間の光量調整部とブロック間の光量調整部とで、各発光部の列と平行する方向の幅が同じであることによって、発光部間の光量調整部とブロック間の光量調整部とが均一に光量を調整することができ、請求項9に係る発明と比較して、さらに光量ばらつきを抑制することができるという効果を有する。」

上記a?hからは以下の事項が読み取れる。
(i)高抵抗基板13上に形成された第1導電型半導体層12が素子分離領域によって複数のブロックに電気的に分離され、各ブロックごとに、第1導電型半導体層12上の所定の領域に第1導電型半導体層12の途中の深さまで到達する第2導電型半導体領域によってpn接合を構成する複数の発光部21の列が形成され、隣接する発光部21相互間には、それぞれの発光部21と接触することのないように光量調整溝31が形成されている。また、素子分離領域は、高抵抗基板13に到達するように素子分離溝32によって形成されている(上記fの段落【0049】,【0050】)。

(ii)上記bの段落【0004】,【0005】にあるように、チップ端の発光部21の光量は、その一部がチップ端から逃げてしまい、上記光量調整溝31を設けないとすると発光素子アレイの他の発光部とは光量差を生じてしまい、発光素子アレイの光量はばらつくことになる。
したがって、光量調整溝31の機能は、上記eの段落【0022】の記載からみて、これに隣接する発光部21の光量の一部を、同溝31から逃がすことにより発光部21の光量を調整する点にあるところ、その目的は、「発光素子アレイのすべての発光部について均一に光量を調整すること」(上記hの段落【0097】)である。

(iii)上記fの段落【0057】,【0058】及び上記hの段落【0107】によれば、光量調整溝31、素子分離溝32などの光量調整部は、発光部の間にいずれの発光部にも接触しないように形成され、その幅(各発光部の列と平行する方向の幅)を同じにすることにより各発光部同士の光量を均一に調整することが可能であること、また、チップ端から逃げる光量は、チップ端の発光部とチップ端との間の距離により決定されること(上記bの段落【0004】,【0005】)、に照らせば、各発光部同士の光量を均一に調整するためには、発光部から光量調整溝31または素子分離溝32までの距離と、発光部からチップ端までの距離とを等しくすればよいことが理解できる。
そして、上記(ii)によれば、「発光素子アレイのすべての発光部について均一に光量を調整する」のであるから、発光部から光量調整溝31または素子分離溝32などの光量調整部までの距離と、発光部からチップ端までの距離とは、等しく設計されていると推認することができる。

したがって、上記a?h(上記(i)?(iii)を含む)によれば、先願明細書等には、
「発光素子アレイであって、高抵抗基板上に形成された第1導電型半導体層上の所定の領域に第1導電型半導体層の途中の深さまで到達する第2導電型半導体領域によってpn接合を構成する複数の発光部の列が形成され、隣接する発光部相互間には、それぞれの発光部と接触することのないように光量調整部が形成されており、発光部から光量調整部までの距離と発光部からチップ端までの距離とが等しい発光素子アレイ。」
なる発明が記載されているものと認められる(以下、「先願発明」という。)。

(3)対比・判断
上記先願発明と本願補正発明とを対比する。

ア.先願発明の「高抵抗基板上に形成された第1導電型半導体層」は本願補正発明の「第1導電型半導体層を有する基板」に相当し、以下同様に「第2導電型半導体領域」は「第2導電型半導体領域」に、「複数の発光部」は「第1、第2の発光部」に、「光量調整部」は「光量調整部」に相当する。

イ.また、先願発明の「発光部から光量調整部までの距離と発光部からチップ端までの距離とが等しい」は、上記「発光部から光量調整部」までの距離が本願補正発明の「前記光量調整部の端部と前記第2発光部の端部相互間の距離」に相当し、同じく「発光部からチップ端までの距離」は、「前記第1間隔」に相当するから、結局、先願発明は、本願補正発明の「前記光量調整部の端部と前記第2発光部の端部相互間の距離は、前記第1間隔と略等しい」との事項を有する。

そうすると、先願発明は、本願補正発明の発明特定事項をすべて充足するから、本願補正発明は先願発明と同一である。

したがって、本願補正発明は、先願明細書等に記載された発明であり、しかも、この出願の発明者がその出願日前の特許出願に係る上記先願発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、当審の審尋(平成19年7月12日付)に対し、請求人が同年9月13日に提出した回答書の内容を検討したが、上記結論を翻すに足る心証を形成し得なかった。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年12月24日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成16年7月16日の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、次のものである。

「【請求項1】 第1導電型半導体層を有する基板に、第2導電型半導体領域からなる前記基板の端部に位置する第1発光部と他に位置する第2の発光部を形成し、
前記第2発光部からの光量を、前記第1発光部からの光量とほぼ同一にするように調整する光量調整手段を設けたことを特徴とする発光素子アレイ。」(以下、「本願発明」という。)

(2)刊行物記載の発明
原審における拒絶理由に引用した刊行物1:特開平11-220180号公報には、以下の事項が記載されている。
(a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヘッド基板から突出させて複数個のLED発光部がアレイ状に形成されたLEDアレイヘッドにおいて、各LED発光部間に光吸収材が埋め込まれていることを特徴とするLEDアレイヘッド。」

(b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LEDアレイプリンタ用の光源に用いられるLEDアレイヘッドに関する。」

(c)「【0013】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1に基づいて説明する。本実施の形態のLEDアレイヘッドにおいては、ヘッド基板としてGaAs基板1が用いられている。このようなGaAs基板1の表面には半導体層を成膜し、適宜パターンにエッチングすることにより複数個のLED発光部2が突出構造としてアレイ状に形成されている(紙面、左右方向がアレイ方向である)(図1(a)参照)。このようなLED発光部2を有するGaAs基板1の表面全面に酸化アルミニウムが分散されて可視光に対して遮光性を示すエポキシ系樹脂を光吸収材3として塗布し、平坦化させる(図1(b)参照)。このような光吸収材3に対して反応性イオンエッチングでエッチバックすることで、LED発光部2の上面2aと同一平面をなすように除去する(図1(c)参照)。これにより、各LED発光部2間が光吸収材3により埋め込まれた構造となる。この後、各LED発光部2の上面2aに対する個別電極の形成、GaAs基板1裏面に対する共通電極の形成等の工程を経て、LEDアレイヘッドが完成する。
【0014】このような構成によれば、或るLED発光部2が発光した場合、その上面2aから感光体面側に向けて放射される。この際、そのLED発光部2の側面2bから放射される側面光P1も存在するが、このような側面光P1はLED発光部2間に埋め込まれた光吸収材3中に入り込んで吸収・減衰される。よって、このような側面光P1が基板面に垂直な方向に放射されて感光体面側に向かうことが防止され、側面光P1による悪影響が抑制される。このような機能を果たす光吸収材3でLED発光部2間を埋め込む工程にはフォトグラフィー法を用いる必要がなく塗布工程で済むため、フォトマスクのアライメントが不要となり、製造が簡単な構造で目的を達成できる。」

上記摘記事項によれば、刊行物1には以下の発明が記載されているものと認められる。
「ヘッド基板から突出させて複数個のLED発光部がアレイ状に形成されたLEDアレイヘッドにおいて、各LED発光部間に光吸収材が埋め込まれており、上記光吸収剤によりLED発光部の側面から放射される側面光が吸収・減衰されるLEDアレイヘッド。」(以下、「刊行物1発明」という。)

同じく刊行物2:特開平1-187838号公報には、以下の事項が記載されている。
(d)「[産業上の利用分野]
本発明は、半導体装置に係り、特に、半導体基板内に、・・・光の遮断又は減衰を目的とした分離領域を有する半導体装置に関する。」(1頁左下欄18行?同頁右下欄2行)

(e)「[課題を解決するための手段]
本発明によれば、前記目的には、半導体基板内に形成される半導体素子相互間に、光を遮断し、反射させあるいは吸収せしめる領域を、半導体基板内の光路に設けることにより達成される。
[作用]
光を遮断し、反射させあるいは吸収せしめる領域は、1つのPN接合が順方向にバイアスされて発光現象を起こしたとき、その光が他のPN接合に到達することを防止する。このため、他のPN接合は、自接合以外のPN接合の発する光に影響されることなく動作可能となる。」(2頁左上欄20行?右上欄11行)

(f)「第8図に示す実施例の半導体装置は、P型基板6、該基板6上のN型半導体層7、N型半導体層7を電気的に分離する分離用P型拡散層8、N型半導体層7内に形成された半導体素子を構成するPN接合3,4、分離用P型拡散層8内に設けられた溝5内に埋め込まれた光遮断を行う酸化アルミ層9により構成される。このような半導体装置において、酸化アルミ層9が光遮断領域を形成しており、N型半導体層7内を横方向に通る光を遮断している。」(3頁右上欄2?11行)」

上記(d)?(f)によれば、刊行物2には、
「N型半導体層内に形成された半導体素子を構成するPN接合が順方向にバイアスされて発光現象を起こしたとき、その光が他のPN接合に到達することを防止する光遮断領域を上記半導体素子相互間に形成した半導体装置。」の発明(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)対比・判断
本願発明と上記刊行物1発明とを対比する。
(ア)刊行物1発明の「ヘッド基板」は発光部の「基板」である点で、本願発明の「第1導電型半導体層を有する基板」と一致する。
また、刊行物1発明の「LEDアレイヘッド」は本願発明の「発光素子アレイ」に相当する。

(イ)刊行物1発明の「複数個のLED発光部」は、ヘッド基板から突出させてアレイ状に形成された複数の発光部であるから、これら複数の発光部には基板の端部に位置する発光部もあればそれ以外の場所に位置する発光部もあることは自明であり、それゆえ、「基板の端部に位置する第1発光部と他に位置する第2の発光部」を備える点で刊行物1発明は、本願発明と一致する。

(ウ)刊行物1発明の「光吸収剤」は、LED発光部の側面から放射される側面光を吸収・減衰せしめる手段であって、上記基板の端部に位置する発光部及びそれ以外の場所に位置する発光部を問わずすべての発光部に関し、発光部の側面から放射される側面光を吸収・減衰するものと解されること、及び、この種プリンタ用LEDアレイヘッドのLED発光部においては、特段の断りがない限り個々のLED発光部自体の発光強度は大凡一律であると解するのが技術常識であること、に照らせば、刊行物1発明の「光吸収剤」により各発光部は、側面光による影響が排除されて結果的にその光量はほぼ同一になるといえる。
したがって、刊行物1発明の「光吸収剤」は、本願発明の「光量調整手段」に相当し、刊行物1発明は、本願発明の「前記第2発光部からの光量を、前記第1発光部からの光量とほぼ同一にするように調整する光量調整手段」を有する。

上記(ア)?(ウ)によれば、両者は、
「基板に、前記基板の端部に位置する第1発光部と他に位置する第2の発光部を形成し、
前記第2発光部からの光量を、前記第1発光部からの光量とほぼ同一にするように調整する光量調整手段を設けたことを特徴とする発光素子アレイ。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明の発光部は、「第1導電型半導体層を有する基板に、第2導電型半導体領域からなる・・・発光部」を形成したものであるのに対し、刊行物1発明では、「ヘッド基板から突出させて複数個のLED発光部」を形成したものであって、発光部の構造が異なる点。

(4)判断
第1導電型半導体層を有する基板に、第2導電型半導体領域からなる発光部を形成する点は本願出願以前から周知の技術事項にすぎない。
例えば、上記刊行物2(特に、摘記事項(f))、及び特開昭59-22372号公報(2頁左上欄12行?左下欄10行、第1,2図)等を参照のこと。

そこで、上記周知技術を刊行物1発明に適用することが容易であるかについて検討するに、刊行物1発明は、発光部の構造が上記周知技術のものとは異なるので、刊行物1発明の光量調整手段と上記周知技術との組合せが可能であるか疑念の余地がなしとはしない。
しかしながら、上記刊行物2発明は、本願発明と同様な「第1導電型半導体層を有する基板に、第2導電型半導体領域からなる発光部」を有する半導体装置において、半導体素子相互間に刊行物1発明の光量調整手段と同じ素子側面からの発光光を遮断する「光遮断領域」を有するものであり、これに照らせば刊行物1発明の光量調整手段と上記周知技術との組合せに格別の困難性は存しないから、上記相違点は、刊行物1,2の発明及び周知技術から当業者が容易に想到し得たことといえる。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、上記刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-11 
結審通知日 2007-10-16 
審決日 2007-10-30 
出願番号 特願2000-225159(P2000-225159)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 16- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 道祖土 新吾  
特許庁審判長 向後 晋一
特許庁審判官 里村 利光
吉田 禎治
発明の名称 発光素子アレイ  
代理人 山形 洋一  
代理人 前田 実  
代理人 前田 実  
代理人 山形 洋一  

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