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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1169487 |
審判番号 | 不服2005-11393 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-06-16 |
確定日 | 2007-12-10 |
事件の表示 | 特願2004- 45153「広告宣伝媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月10日出願公開、特開2004-163984〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 ・本願発明 本願は、平成9年3月28日に出願した特願平9-92897号の一部を平成16年2月20日に新たな特許出願としたものであって、平成17年5月12日付けで拒絶査定がなされたため、これを不服として同年6月16日付けで本件審判請求がされたものである。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年4月18日付け手続き補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】商品を充填包装した紙製容器の外面に、該商品を表示する商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等の商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部を形成すると共に、該印刷画像表示部以外の領域に、該紙製容器内に充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部を形成した広告宣伝媒体であって、 商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる前記印刷画像表示部と、該紙製容器内に充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号、絵柄等からなる前記印刷画像表示部とが前記紙製容器の前記外面のそれぞれ異なる面に設けられ、商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる前記印刷画像表示部と、該紙製容器内に充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号絵柄等からなる前記印刷画像表示部は、各々対応する面の全域に形成されていることを特徴とする広告宣伝媒体。」 2 引用刊行物記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された「特開平8-119256号公報」(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)段落【0002】「【従来の技術】厚紙等シート状の素材によって形成される包装用箱は包装内容物を保護するため、また運搬、管理等の便宜のため利用されるが、商品の包装用箱の場合には店頭等において陳列される際、その内容物たる商品名を表示し、或いは内容物の効能,用途、更には商標を表示する等表示媒体として使われ、また広告媒体としても機能し使用されている。」 (2)段落【0003】「商品を包装し店頭において陳列される包装用箱の場合、箱に表示される商品名や商品内容の表示は主に文字、図形によってなされる」 上記(1)に「広告媒体としても機能し」と記載され、さらに、商品の包装用箱は店頭等において陳列、即ち、顧客の目にふれるところに置かれるものであるから、これを広告媒体と称することができる。 これらの記載事項によると、引用例1には、従来の広告媒体として 「商品を包装した厚紙等シート状の素材によって形成される包装用箱に、内容物たる商品名、内容物の効能,用途、商標を主に文字、図形によって表示する広告媒体」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された「実願平2-57957号(実開平4-16121号)のマイクロフィルム」(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 (あ)実用新案登録請求の範囲「商品を包装する袋及び箱において、これら容器の表面又は側面に、上記商品とは直接的に関係しない別の商品等に関する広告用の広告欄を設けたことを特徴とする商品包装用袋及び包装用箱。」 (い)明細書第1頁14?16行「商品を収納するために使用される...包装用箱は、これらの表面や裏面には商標並びに製造業者や販売業者等の名称が表示されている。」 (う)明細書第4頁2?11行「この広告欄5は包装商品との関連性は全く無く、該商品との混同を生じるような表示であってはならない。...表面3に表示した方が広告効果は大きく、よりベターであるが、必ずしも上記表面3限らず、側面6に表示してもよい。ところで、包装商品の商標4と同一紙面上にて、別の商品の広告、宣伝を表示するには、上記商標4とは全く異なる色彩及び書体、更に大きさを考慮して定めなければならない。」 (え)明細書第6頁3?4行「包装用箱...に広告を直接印刷する」 3 対比 本願発明と引用例1発明を対比する。 1.引用例1発明の「商品を包装した厚紙等シート状の素材によって形成される包装用箱」は、本願発明の「商品を充填包装した紙製容器」に相当する。 2.引用例1発明は「内容物たる商品名、内容物の効能、用途、商標を主に文字、図形によって表示する」ものであって、それらが表示された領域は、本願発明の「該商品を表示する商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等の商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部」と、「紙製容器内に充填包装された商品にかかる表示部」で共通する。 3.引用例1発明において、表示するのは容器の外面であることは自明であり、引用例1発明における「広告媒体」と本願発明の「広告宣伝媒体」は同義である。 よって、両者は、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 〈一致点〉 「商品を充填包装した紙製容器の外面に、紙製容器内に充填包装された商品にかかる表示部を形成する広告宣伝媒体」 〈相違点1〉 紙製容器内に充填包装された商品にかかる表示部が、本願発明では、商品を表示する商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等の商品表示にかかる文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部であるのに対し、引用例1発明では、主に文字、図形によって表示する商品名、内容物の効能、用途、商標の表示部である点 〈相違点2〉 紙製容器内に充填包装された商品にかかる表示部以外の領域に、本願発明では、該紙製容器内に充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部を形成したのに対し、引用例1発明では、紙製容器内に充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する印刷画像表示部を形成したことは記載されていない点 〈相違点3〉 本願発明では、紙製容器内に充填包装された商品にかかる表示部と、該充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する表示部とが前記紙製容器の外面のそれぞれ異なる面に設けられ、前記紙製容器内に充填包装された商品の表示部と、前記充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する表示部は、各々対応する面の全域に形成されているのに対し、引用例1発明には、この点の記載がない点 4 当審の判断 上記相違点1について検討する。 紙製容器内に充填包装された商品の表示において、表示内容として何を選定し、どのような表示部を形成するかは、充填包装された商品や、視認性等に応じて当業者が適宜選択する設計事項にすぎず、包装容器の外面に表示部を形成する手段として印刷は最も一般的なもの(引用例2の前記摘示の記載(え))であるから、本願発明のように商品名、商標名、製造者、販売者、商品説明事項等を表示し、文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部とすることは単なる設計事項にすぎない。 上記相違点2について検討する。 充填包装された商品にかかる表示部以外の領域に、該商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する表示部を形成することは、従来から周知(上記引用例2[前記摘示の記載(あ)]、登録実用新案第3010745号公報[「米袋であって、必須要項が表示されている一方側の面の必須要項表示領域を除いた余剰領域と、他方側の面の全領域を適宜活用して、米以外の商品広告が表示されている」(【請求項1】)]、登録実用新案第3028796号公報[「銘柄・品名・産地・品種・産年・正味重量・製造業者・販売業者等の必要表示(以下「穀類表示」という。)を表面及び/又は裏面にして、穀類表示以外のスペースを広告用媒体として活用し...化粧品・医薬品・洗髪剤・食品・調味料等の各種商品の広告...等の、中に収容する内容物とは無関係の表示を、穀類用袋の表面及び/又は裏面に施した穀類用袋。」(【請求項1】)])であるから、引用例1発明においても紙製容器内に充填包装された商品にかかる表示部以外の領域を利用して、他の商品を広告宣伝しようとすることは容易に思い付くことであって、他の商品を広告宣伝する表示部を形成するに際し、文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部とした点は、表示部をどのように形成するかは所望により当業者が適宜なし得る事項にすぎず、包装容器の外面に表示部を形成する手段として印刷は最も一般的なものであるから、本願発明のように文字、図形、記号、絵柄等からなる印刷画像表示部とすることは単なる設計事項にすぎない。 上記相違点3について検討する。 上記引用例2 には、表面3に充填包装した商品にかかる表示、側面6に他の商品にかかる表示をすること(前記摘示の記載(う))が記載されているから、引用例1発明において、相違点2にかかる構成を採用するに際し、紙製容器に充填包装した商品の表示部と、該充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する表示部とを前記紙製容器の外面のそれぞれ異なる面に設けることは当業者にとって想到容易である。 又、本願発明における「表示部は、各々対応する面の全域に形成されている」は、表示部に、文字、図形、記号、絵柄等のない地の部分が含まれるのか否かが明らかではなく、その意味するところは必ずしも明確ではないが、いずれにしても、表示部を面のどれぐらいの領域に形成するかは、視認性や広告宣伝効果等を考慮して当業者が適宜決めうる事項であり、面を有効利用しようとすることも当たり前の事であるから、紙製容器に充填包装した商品の表示部と、該充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する表示部とを前記紙製容器の外面のそれぞれ異なる面に設けるにあたり、商品表示にかかる表示部と、該紙製容器内に充填包装された商品と全く無関係の他の商品を広告宣伝する表示部を、各々対応する面の全域に形成した点は単なる設計事項にすぎない。 そして、相違点1乃至3に係る構成の採用により格別な効果も生じない。 5 むすび したがって、本願発明は、引用例1発明、引用例2及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-10-12 |
結審通知日 | 2007-10-16 |
審決日 | 2007-10-30 |
出願番号 | 特願2004-45153(P2004-45153) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木村 史郎、櫻井 茂樹 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
尾崎 俊彦 藤井 靖子 |
発明の名称 | 広告宣伝媒体 |
代理人 | 岡田 淳平 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |
代理人 | 吉武 賢次 |