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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01S
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S
管理番号 1169588
審判番号 不服2005-13480  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-14 
確定日 2007-12-20 
事件の表示 特願2001- 36972「レーダ装置およびレーダ装置による距離測定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月28日出願公開、特開2002-243845〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年2月14日の出願であって、平成17年6月9日付け(発送日:同年6月14日)で拒絶査定がされ、これに対し、同年7月14日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年8月11日付け手続補正により明細書又は図面についての補正がなされたものである。
2.平成17年8月11日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年8月11日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項2を補正前の
「アンテナと、導波管と、マイクロ波発振回路を有するレーダユニットの前記マイクロ波発振回路から導波管を介して発信されたマイクロ波を測定対象物に向けて照射し、この測定対象物からの反射マイクロ波を前記アンテナにより受信し、受信した反射マイクロ波と前記測定対象物に向けて照射されるマイクロ波とから得られるビート波から、前記アンテナと測定対象物との間の距離を測定するレーダ装置による距離測定方法において、前記マイクロ波発振回路から発信されたマイクロ波を導波管の途中で直線偏波から照射用円偏波に変換し、受信した反射円偏波を導波管の途中で直線偏波に変換すると共に、前記照射用円偏波の旋回方向と逆方向に旋回する反射円偏波から変換された直線偏波のみを選択することを特徴とするレーダ装置による距離測定方法。」
から、補正後の
「アンテナと、導波管と、マイクロ波発振回路を有するレーダユニットの前記マイクロ波発振回路から導波管を介して発信されたマイクロ波を測定対象物に向けて照射し、この測定対象物からの反射マイクロ波を前記アンテナにより受信し、受信した反射マイクロ波と前記測定対象物に向けて照射されるマイクロ波とから得られるビート波から、前記アンテナと測定対象物との間の距離を測定するレーダ装置による距離測定方法において、前記マイクロ波発振回路から発信され、送信用ロッドを介して前記導波管に送信されたマイクロ波を、この導波管内に設けた偏波変換器により直線偏波から照射用円偏波に変換し、受信した反射円偏波を前記偏波変換器により直線偏波に変換し、前記照射用円偏波の旋回方向と逆方向に旋回する反射円偏波から変換された直線偏波のみを前記偏波変換器の反アンテナ側の前記送信用ロッドと90°位相が相違する位置に設けた受信用ロッドで受信すると共に、前記レーダユニット側に送信することを特徴とするレーダ装置による距離測定方法。」に補正する補正事項を含むものである。
ここで、平成17年8月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項2には「マイクロ波発振回路」に関して、「マイクロ波発信回路」と記載されているが、出願当初から明細書全般に亘り一貫して「マイクロ波発振回路」と記載されているから、「マイクロ波発振回路」の誤記と認め上記のとおり認定した。
してみると、この補正は、請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「マイクロ波の送受信」について「直線偏波を送信する送信用ロッド及び送信用ロッドと90°位相が相違する位置に設けた直線偏波を受信する受信用ロッド」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用例記載の発明・事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭58-26282号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(a)「本発明は例えば取鍋の鍋内のレベル等をマイクロ波にて計測するものに適用して好適なマイクロ波測距装置に係り、特に妨害受信波の影響をなくして距離測定の精度を高めるマイクロ波測距装置に関する。」(1頁左下欄12?16行)
(b)「以下、本発明の一実施例について第2図を参照して説明する。同図において11はマイクロ波を送出するマイクロ波送信部であって、ここから送出されたマイクロ波は送信用円偏波アンテナ12より送信される。13は被測定反射面(以下、ターゲットと指称する)を示し、送信用円偏波アンテナ12より送信されたマイクロ波はここで反射される。14はターゲット13で反射されたマイクロ波を受信する前記送信用円偏波アンテナ12とは逆旋性を有する受信用円偏波アンテナである。15はマイクロ波受信部、16はマイクロ波の送受信時間等からターゲット13間の距離を求める信号処理回路である。なお、LOUTは距離信号である。
次に、以下のように構成せる装置の動作を述べる。マイクロ波送信部11よりマイクロ波を発生させ、これを送信用円偏波アンテナ12でターゲット13に向けて送信する。」(2頁左上欄6?右上欄3行、第2図)
(c)「ここで、受信用円偏波アンテナ14は送信用とは逆旋性であるので、受信用円偏波アンテナ14を通過するのはEnにおいてEno(奇数)成分のみである。従って、第2図のΓ1は明らかにm=1となってEno成分となるので、Ene成分は除去され受信信号としては誤差成分の軽減がなされたことになる。」(2頁右下欄2?8行)
(d)「そこで、このように受信用円偏波アンテナ14で受信したマイクロ波受信信号はマイクロ波受信部15により増幅検波された後、後続の信号処理回路16に入力される。この信号処理回路16はマイクロ波の送信に対するマイクロ受信波の受信遅延時間を検出して距離Lを求め距離信号LOUTを出力する。」(2頁右下欄17行?3頁左上欄3行)
(e)「なお、上記実施例では変調波位相比較方式について述べたが、パルス方式、FMCW方式、パルスドプラー方式の何れにも適用できることは言うまでもない。」(3頁左上欄16?19行)
ここで、引用例に記載のものもアンテナを用いてマイクロ波を送受信するものであるから、当然にアンテナの後方に導波管を備えるものである。
したがって、この点を踏まえると、上記記載(a)?(d)及び第2図より、
(イ)「送信用アンテナ12、受信用アンテナ14と、導波管と、マイクロ波送信部11とを備え、マイクロ波送信部11から導波管を介し送信用アンテナ12から送信されたマイクロ波を被測定反射面13に向けて送信し、被測定反射面13で反射されたマイクロ波を受信用アンテナ14により受信し、マイクロ波の送信に対するマイクロ受信波の受信遅延時間を検出して信号処理回路16により被測定反射面13までの距離Lを求めるマイクロ波測距装置による距離測定方法において、送信用アンテナ12から円偏波を送信し、受信用アンテナ14は送信円偏波とは逆旋の円偏波のみを受信し、その受信信号をマイクロ波受信部15に出力するようにしたマイクロ波測距装置による距離測定方法。」が読み取れる。
・上記記載(e)より、引用例に記載のものはFMCW方式にも適用できることが読み取れるところ、FMCW方式とは「Frequency Modulated Continuous Wave(連続波周波数変調方式)」の略語として慣用されているものであって、その技術内容は「アンテナから周波数が連続的に変化するマイクロ波を測定対象物に送信し、測定対象物で反射しアンテナに受信されたマイクロ波の周波数f0と、受信時点での送信マイクロ波の周波数f1との周波数差(Δf=|f1-f0|:ビート周波数という)が、マイクロ波の伝搬距離に比例することを利用するもので、ビート周波数Δfを測定して測定対象物までの距離を計測する」というものであり、距離測定手法についての周知慣用技術である。
したがって、この点を踏まえると、上記記載(e)から、
(ロ)「受信した測定対象物からの反射マイクロ波と測定対象物に向けて送信したマイクロ波とから得られるビート周波数から、測定対象物までの距離を測定する方法。」が読み取れる。
以上、(イ)、(ロ)を勘案すると、引用例には、
「送信用アンテナ12、受信用アンテナ14と、導波管と、マイクロ波送信部11とを備え、マイクロ波送信部11から導波管を介し送信用アンテナ12から送信されたマイクロ波を被測定反射面13に向けて送信し、被測定反射面13で反射されたマイクロ波を受信用アンテナ14により受信し、受信した反射マイクロ波と被測定反射面13に向けて送信したマイクロ波から得られるビート周波数から信号処理回路16により被測定反射面13までの距離Lを求めるマイクロ波測距装置による距離測定方法において、マイクロ波送信部11で発信され送信用アンテナ12から被測定反射面13に円偏波を送信し、受信用アンテナ14は送信円偏波とは逆旋の円偏波のみを受信し、マイクロ波受信部15に送信するようにしたマイクロ波測距装置による距離測定方法。」についての発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)対比
本願補正発明と引用例記載の発明とを対比する。
引用例記載の発明における「マイクロ波送信部11」、「被測定反射面13」、「送信」、「送信円偏波とは逆旋の円偏波」、「マイクロ波測距装置」は、
本願補正発明の「マイクロ波発振回路」、「測定対象物」、「照射」、「照射用円偏波の旋回方向と逆方向に旋回する反射円偏波」、「レーダ装置」にそれぞれ相当する。
また、引用例記載の発明における「マイクロ波送信部11」、「マイクロ波受信部15」、「信号処理回路16」を合わせた全体は、その役割、機能からみて、本願補正発明における「レーダユニット」に相当する。
してみると、両者は
(一致点)
「アンテナと、導波管と、マイクロ波発振回路を有するレーダユニットの前記マイクロ波発振回路から導波管を介して発信されたマイクロ波を測定対象物に向けて照射し、この測定対象物からの反射マイクロ波を前記アンテナにより受信し、受信した反射マイクロ波と前記測定対象物に向けて照射されるマイクロ波とから得られるビート波から、前記アンテナと測定対象物との間の距離を測定するレーダ装置による距離測定方法において、前記マイクロ波発振回路から発信された照射用円偏波を測定対象物に照射し、前記照射用円偏波の旋回方向と逆方向に旋回する反射円偏波のみをアンテナで受信すると共に、前記レーダユニット側に送信することを特徴とするレーダ装置による距離測定方法。」で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
相違点1:マイクロ波の送受信アンテナについて
本願補正発明では、アンテナは送受信共用のものとしているのに対し、引用例記載の発明では送信用アンテナ12、受信用アンテナ14と別体のものとしている点。
相違点2:円偏波を照射し、照射円偏波とはその旋回方向が逆の円偏波のみを受信するための具体的な方法について
本願補正発明では、導波管内に、直線偏波を円偏波に変換し、円偏波を直線偏波に変換する偏波変換器を設けるとともに、直線偏波を送信する送信ロッドと、これとその位相が90°相違する位置に設けられ直線偏波を受信する受信用ロッドとを前記偏波変換器の反アンテナ側に配置したものを使用して送受信を行うようにしているのに対し、引用例記載の発明では、その点についての記載がない点。

(4)当審の判断
上記相違点について検討する。
イ.相違点1について
一般に、測定対象物までの距離を測定するレーダ装置はマイクロ波の送受信を必須とするところ、そのためのアンテナを送信用、受信用の別体とすることも、送受信共用のアンテナとすることもいずれも周知・慣用技術であって、距離を測定するための機能としては同等であり、互いに置換可能な技術である(例えば特開平9-243738号公報:特に図23に示されたアンテナを別体にしたものと図25に示されたアンテナを共用にしたものに留意のこと、または、特開平6-34754号公報:特に、図1(a)に示されたアンテナを共用にしたものと図1(b)に示されたアンテナを別体にしたものに留意のこと)。
したがって、引用例記載の発明において、マイクロ波を送受信するためのアンテナとして共用のものを用いても良いことは当業者ならば明らかである。
ロ.相違点2について
円偏波を照射し、照射円偏波とはその旋回方向が逆の円偏波を受信するための共用アンテナであって、その導波管内に、直線偏波を円偏波に変換し、円偏波を直線偏波に変換する偏波変換器を設けるとともに、直線偏波を送信する送信ロッドと、これとその位相が90°相違する位置に設けられ直線偏波を受信する受信用ロッドとを前記偏波変換器の反アンテナ側に配置したものは、一般にアンテナ技術において周知である(例えば、特開平5-175933号公報:特に図2(b)、(c)に示された、円形導波管内に設けられたλ/4移相板13及びその後方に設けられた直交した2本のプローブを参照のこと、または、特開平7-226618号公報:特に従来例として示された図6に記載の、導波管内に設けられた板状誘電体8及びその後方に設けられた互いに直交する2個のプローブ9a、9bを参照のこと。ここで、前記した周知例において、λ/4移相板13や板状誘電体8が本願補正発明の直線偏波を円偏波に変換し、円偏波を直線偏波に変換する偏波変換器に相当し、直交した2本(2個)のプローブのうち、一方が本願補正発明の直線偏波を送信する送信ロッドに、これと直交する他方が本願補正発明の直線偏波を受信する受信ロッドに相当するものであることは、その作用原理から当業者ならば明らかである。)。
したがって、上記イ.相違点1について、で検討したように、送受信アンテナを別体のものとすることも共用のものとすることも互いに置換可能な技術であることを踏まえると、引用例記載の発明において、円偏波を照射し、照射円偏波とはその旋回方向が逆の円偏波のみを受信するための具体的方法として、アンテナ技術において周知な、「導波管内に、直線偏波を円偏波に変換し、円偏波を直線偏波に変換する偏波変換器を設けるとともに、直線偏波を送信する送信ロッドと、これとその位相が90°相違する位置に設けられ直線偏波を受信する受信用ロッドとを前記偏波変換器の反アンテナ側に配置した共用アンテナ」をそのまま使用しようとすることは当業者ならば容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例記載の発明及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。
したがって、本願補正発明は、引用例記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであるから、同法159条で準用する同法53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成17年8月11日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし2に係る発明は、平成16年9月7日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項2に係る発明は次のとおりである。
「アンテナと、導波管と、マイクロ波発振回路を有するレーダユニットの前記マイクロ波発振回路から導波管を介して発信されたマイクロ波を測定対象物に向けて照射し、この測定対象物からの反射マイクロ波を前記アンテナにより受信し、受信した反射マイクロ波と前記測定対象物に向けて照射されるマイクロ波とから得られるビート波から、前記アンテナと測定対象物との間の距離を測定するレーダ装置による距離測定方法において、前記マイクロ波発振回路から発信されたマイクロ波を導波管の途中で直線偏波から照射用円偏波に変換し、受信した反射円偏波を導波管の途中で直線偏波に変換すると共に、前記照射用円偏波の旋回方向と逆方向に旋回する反射円偏波から変換された直線偏波のみを選択することを特徴とするレーダ装置による距離測定方法。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例記載の発明・事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例記載の発明・事項は、前記2.(2)引用例記載の発明・事項に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.(1)補正の内容、で検討した本願補正発明から「マイクロ波の送受信」についての限定事項である「直線偏波を送信する送信用ロッド及び送信用ロッドと90°位相が相違する位置に設けた直線偏波を受信する受信用ロッド」との発明特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)当審の判断、に記載したとおり、引用例記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-19 
結審通知日 2007-10-23 
審決日 2007-11-06 
出願番号 特願2001-36972(P2001-36972)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01S)
P 1 8・ 121- Z (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌中村 説志  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 上原 徹
中村 直行
発明の名称 レーダ装置およびレーダ装置による距離測定方法  
代理人 梶 良之  
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