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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L |
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管理番号 | 1169966 |
審判番号 | 不服2004-25075 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-12-08 |
確定日 | 2007-12-27 |
事件の表示 | 平成11年特許願第209903号「光源装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月 9日出願公開、特開2001- 36149〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年7月23日の出願であって、原審において、平成16年5月12日付けで拒絶理由が通知され、同年7月16日に手続補正がなされ、同年10月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成17年1月5日に手続補正がなされ、当審において、平成19年4月23日付け補正の却下の決定により上記平成17年1月5日付け手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶理由が通知され、同年6月26日に手続補正がなされ、同年7月31日付けで拒絶理由が通知され、同年10月4日に手続補正がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成19年10月4日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】表面が平らで裏面に凸部を有する透光性筐体と、 透光性筐体の凸部に対向する位置に設置された発光素子と、 組立時において発光素子と透光性筐体間に封入される液体と、 を備え、前記凸部は発光素子側に凸となっている光源装置であって、封入される液体は透光性筐体よりも屈折率の小さい液体であり、透光性筐体の封入液体と接する部分に反射防止膜を設けたことを特徴とする光源装置。」 3.引用例 当審における平成19年7月31日付け拒絶理由通知において引用された、本願の出願前に頒布された特開昭62-106488号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (ア) 「1.発明の名称 発光ダイオードを用いた表示装置 2.特許請求の範囲 塑性を有する金属製基板の表面に電気絶縁性の薄層を介して導電性の薄層を設けると共に、上記導電性薄層をポンチで押圧して陥凹部を形成し、かつ、上記陥凹部の底部に発光ダイオードを固定したことを特徴とする、発生ダイオードを用いた表示装置。」(第1頁左下欄第2行?第10行) (イ) 「〔発明が解決しようとする問題点〕 以上のような構成よりなる従来のLED表示装置(第6図)は、次のような不具合が有る。 (i)LEDチップ2bで発生した熱の放散が良くない。このためLEDチップ2bに対する供給電力が制約されて光度が制限される。」(第2頁左上欄第5行?第10行) (ウ) 「LEDチップ6から、矢印A,A’の如く出射した光は、凹部の側面10bで矢印B,B’の如く反射し、レンズ9によって矢印C,C’の如く前方に向けて集光される。」(第2頁左下欄第14行?第17行) (エ)第1図及び第5図より、レンズ9が、表面が平らで裏面に凸部を有していることが明らかである。さらに、前記第1図及び第5図より、前記凸部に対向する位置にLEDチップ6が設置されており、前記凸部は前記LEDチップ6側に凸となっている点が見て取れる。 上記各記載事項から、引用例には、 「塑性を有する金属製基板の表面に電気絶縁性の薄層を介して導電性の薄層を設けると共に、上記導電性薄層をポンチで押圧して陥凹部を形成し、かつ、上記陥凹部の底部に発光ダイオードを固定した、発光ダイオードを用いた表示装置において、表面が平らで裏面に凸部を有するレンズと、レンズの凸部に対向する位置に設置されたLEDチップとを備え、前記凸部は前記LEDチップ側に凸となっており、LEDチップから矢印A,A’の如く出射した光は、凹部の側面で矢印B,B’の如く反射し、レンズによって矢印C,C’の如く前方に向けて集光される、発光ダイオードを用いた表示装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 4.対比 本願発明と引用発明とを以下に対比する。 (ア)引用発明の「凸部」及び「LEDチップ」は、本願発明の「凸部」及び「発光素子」にそれぞれ相当する。 (イ)引用発明の「発光ダイオードを用いた表示装置」が光源装置を含んでいることは明らかである。 (ウ)引用発明の「レンズ」と本願発明の「透光性筐体」とは、透光性部材である点で一致する。 してみれば、本願発明と引用発明とは、「表面が平らで裏面に凸部を有する透光性部材と、透光性部材の凸部に対向する位置に設置された発光素子とを備え、前記凸部は発光素子側に凸となっている光源装置。」である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本願発明は、透光性部材が透光性筐体であって、組立時において発光素子と透光性筐体間に封入される液体を備えており、封入される液体は透光性筐体よりも屈折率の小さい液体であるのに対し、引用発明ではそうなっていない点。 [相違点2] 本願発明は、透光性筐体の封入液体と接する部分に反射防止膜を設けたのに対し、引用発明ではそうなっていない点。 5.判断 [相違点1]について (ア)引用発明は、発光素子の熱の放散を良好にすることを課題としている(上記3.の記載事項(イ)参照。)。また、発光素子を放熱するために、透光性部材が透光性筐体であって、かつ、発光素子と透光性筐体間に封入される液体を備えた構成を採用することは、本願出願前に周知である(例.特開昭61-286878号公報(第1頁右下欄第15行?第2頁左上欄第17行、第2頁右下欄第2行?第11行、第2頁右下欄第20行?第3頁左上欄第11行参照。)、特開平11-163410号公報(請求項2、【0012】?【0013】参照。))。 してみれば、引用発明において、発光素子の熱の放散をより良好とするために、上記周知技術を採用することは当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)そして、封入される液体の屈折率が透光性筐体の屈折率よりも小さい点は、引用発明のレンズが、LEDチップから矢印A,A’の如く出射した光は、凹部の側面で矢印B,B’の如く反射し、レンズによって矢印C,C’の如く前方に向けて集光される作用を有している以上、上記周知技術を採用するに当たり、集光作用を有するために、当業者にとって当然に採用すべきことにすぎない。 (ウ)また、光源装置の技術分野において、液体を組立時において封入する点についても、本願出願前に周知である(例.上記特開平11-163410号公報(【0012】には、「液体4中で本体と透明蓋とを機械的に嵌合する」と記載されており、この嵌合は明らかに「組立」といえるから、液体を組立時に封入している点が記載されている。)、特開昭56-142657号公報(第2頁右上欄第8行?第19行には、開口を上にした外殻ケース1に絶縁液6を注入し、外部取り出し端子2,2’を絶縁液6中に浸し、エポキシ樹脂等の絶縁材7を用いて外殻ケース1の開口を封じ、樹脂を硬化させ、完成される旨記載されており、この工程は「組立」といえるから、液体を組立時において封入している点が記載されている。))。 (エ)よって、上記[相違点1]に係る事項は、当業者が容易に想到し得たことである。 [相違点2]について (オ)光源装置の技術分野において、発光素子からの光を外部に導く光透過性部材の発光素子側の表面で生じる反射を防止するために反射防止膜を設けることは本願出願前に周知である(例.特開昭60-130176号公報(第2頁左下欄第5行?右下欄第18行、第1図、第2図参照。)、特開平10-305620号公報(請求項24、【0100】、図19参照。))。 (カ)そして、引用発明において、LEDチップからの出射光をレンズによって前方に向けて集光する際にレンズ(透光性部材)のLEDチップ側の表面で生じる反射を防止するために、上記(オ)の周知技術を、上記(ア)?(ウ)で述べた周知技術の採用と同時に採用することは、当業者が容易になし得たことである。 また、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例に記載された事項及び上記各周知技術から当業者が予測できる範囲内のものである。 したがって、本願発明は、引用発明、引用例に記載された事項及び上記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明、引用例に記載された事項及び上記各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-10-24 |
結審通知日 | 2007-10-30 |
審決日 | 2007-11-12 |
出願番号 | 特願平11-209903 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉野 三寛 |
特許庁審判長 |
小牧 修 |
特許庁審判官 |
山村 浩 吉田 禎治 |
発明の名称 | 光源装置 |
代理人 | 倉田 政彦 |