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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1169975
審判番号 不服2005-4607  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-17 
確定日 2007-12-27 
事件の表示 平成10年特許願第77861号「半導体用パッケージ」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月8日出願公開、特開平11-274338〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成10年3月25日の出願であって、平成16年7月8日付けで拒絶理由が通知されたところ、その指定期間内の平成16年8月31日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成17年2月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年3月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、法定期間内の平成17年4月12日付けで手続補正がなされたものである。

【2】補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年4月12日付けの手続補正を却下する。
[理由]
本件補正は、明細書の、【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【請求項2】並びに、当該請求項に関連する段落【0010】,【0011】において、「a=500」又は「a=540」とし、かつ絶縁電圧の単位を「kV」とする補正事項を含むものである。
一方、補正前の明細書においては、前記補正事項に関する記載は、「a=5.0」又は「a=5.4」であり、かつ絶縁電圧の単位は(出願当初の明細書又は図面の記載から)2500?6000V(ボルト)である。
そして、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面には記載されておらず、またそれらの記載から自明な事項であるとも認められない。
したがって、審判請求人が平成17年4月12日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
よって、前記手続補正は、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【3】この出願の発明
平成17年4月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、この出願の請求項1?6に係る発明は、平成16年8月31日付けの手続補正書により補正された明細書(出願当初からの図面を含め以下、「本願明細書等」という)の、特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、
「【請求項1】 半導体素子を気密に封止し、かつ端子間を絶縁するためのパッケージにおいて、該パッケージの外気と接する沿面の沿面長(L)が式L>aV^(2)p^(b)g^(-1)(式中、a=5.0、b=0.6、Vは絶縁電圧、pは汚損量(mg/cm^(2))、gはギャップ長である)を満たし、かつ、前記沿面長(L)が、式L≦aV^(2)p^(b)g^(-1)(式中、a=5.4、b=0.64、V、p、gは上述と同様の意味を表す)を満たすことを特徴とする半導体用パッケージ。」である。

【4】原審の拒絶理由
一方、原審における拒絶理由の概要は、
「 この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 1-6
・備考
出願人は、本件出願の出願当初明細書の発明の詳細な説明中の実施例において、請求項1に記載された発明中の「L>aV^(2)p^(b)g^(-1)(式中、a=5.0、b=0.6、Vは絶縁電圧、pは汚損量(mg/cm^(2))、gはギャップ長である)を満たす」の「L」「V」「p」「g」について具体的な数値を一つも挙げて計算を行っていない。
同様に請求項2に記載された発明中の「式L=aV^(2)p^(b)g^(-1)(式中、a=5.4、b=0.64、Vは絶縁電圧、pは汚損量(mg/cm^(2))、gはギャップ長である)を満たす」の「L」「V」「p」「g」について具体的な数値を一つも挙げて計算を行っていない。
これらの値について、例えば絶縁電圧が2500V?6000V、ギャップ長10mm、20mm、30mmの場合、「L」の値がどのようなものとなるのかを出願当初明細書の記載を用いた上で意見書で具体的に説明されたい。 」というものである。

【5】当審の判断
審判請求人は、本願発明に記載されている式に、本願明細書等の実施例に記載されている各数値、すなわち上記【4】段落の拒絶理由の「備考」欄で提示されている数値、を用いた計算過程及び計算結果を具体的に示しておらず、本願明細書の発明の詳細な説明は、本願発明を当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載されているとは認められない。また、本願発明の内容は明確なものであるとも認められない。
ちなみに、沿面長(L)が式L>aV^(2)p^(b)g^(-1)(式中、a=5.0、b=0.6、Vは絶縁電圧、pは汚損量(mg/cm^(2))、gはギャップ長である)を満たすLについて、本願明細書等の実施例に記載されている数値で試算すると、L>5.0×(2500)^(2)×(0.01)^(0.6)×30^(-1 )= 5×6250000×0.063×(1/30)=65625mm、すなわち約65.6メートル超となり、ギャップ長が30mmでこのように長い沿面長を持つ半導体パッケージは実施不可能であると言わざるを得ない。

【6】むすび
以上のとおりであるから、本願は、明細書及び図面の記載が不備であり、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶されるべきものであると認められる。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-25 
結審通知日 2007-10-30 
審決日 2007-11-12 
出願番号 特願平10-77861
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H01L)
P 1 8・ 536- Z (H01L)
P 1 8・ 537- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 拓也  
特許庁審判長 真々田 忠博
特許庁審判官 前田 仁志
川真田 秀男
発明の名称 半導体用パッケージ  
代理人 山本 浩  

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