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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1170056
審判番号 不服2004-6740  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-05 
確定日 2007-12-25 
事件の表示 平成11年特許願第335370号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月 5日出願公開、特開2001-149531〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は平成11年11月26日の出願であって、平成16年2月27日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年4月5日付けで本件審判請求がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成19年8月6日付けで新たな拒絶の理由を通知したところ、請求人は同年10月2日付けで意見書及び手続補正書を提出した。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成19年10月2日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「周囲に複数の図柄を表示した複数の回転リールを有するリールユニットと、
メダル投入を条件として前記リールユニットの駆動を開始させるためのスタートスイッチと、
前記リールユニットの駆動を停止させるためのストップスイッチと、
前記スタートスイッチ及び前記ストップスイッチの操作により、前記回転リールの回転及び停止を制御するための制御装置とを備えるようにしたスロットマシンにおいて、
遊技として、通常遊技と、特定の入賞確定或いは抽選結果に基づいて開始する特別遊技とを少なくとも設け、
前記制御装置は、入賞か否かの抽選を行う入賞抽選手段を備え、
前記入賞抽選手段による抽選結果が前記入賞である場合に入賞フラグが成立し、前記入賞フラグ成立中に、前記回転リールの停止図柄が所定の入賞図柄と一致したことを条件に入賞が確定するように設定され、
前記特別遊技として、前記小役入賞の図柄についての蹴飛ばし設定や、引き込み設定が行われないようにすることにより、前記小役入賞の図柄についての停止制御を中止したチャレンジタイム遊技を少なくとも設け、
前記制御装置は、前記入賞抽選手段のチャレンジタイム遊技に移行するか否かの抽選結果に基づいて、前記特定の図柄についての停止制御を中止可能とするためのチャレンジタイム遊技制御手段を備え、
前記チャレンジタイム遊技制御手段は、前記チャレンジタイム遊技の開始に伴って、予め設定した所定のチャレンジタイム遊技残り時間をカウントダウンし、前記チャレンジタイム遊技残り時間が、予め設定した所定の残り時間に達したときにチャレンジタイム遊技を終了させるように設定されていると共に、
前記チャレンジタイム遊技残り時間は、前記チャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられるように設定され、
前記チャレンジタイム遊技残り時間としてカウントダウンされる時間は、
前記チャレンジタイム遊技に移行した後、各遊技毎の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた後から、全ての前記回転リールが停止するまでの時間を対象とし、
全ての前記回転リールが停止した時から、次の遊技の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた時までの時間を対象としないことを特徴とするスロットマシン。」

第2 当審の判断
1.引用刊行物の記載事項
当審における拒絶の理由に引用した特開平11-221314号公報(以下「引用例」という。)には、以下のア?サの記載が図示とともにある。
ア.「遊戯者によるゲーム開始操作で複数種のシンボルを変動させて表示し、遊戯者による停止操作で前記変動表示を停止させて所定の位置にいずれかのシンボルを停止させるシンボル可変表示遊戯機において、
抽選処理を実施しかつ抽選処理による抽選結果に応じて前記変動表示の停止動作を制御する制御装置を備えており、前記制御装置は、予め決められた条件が成立したとき、ゲーム開始または準備操作時間の一部または全部が含まれない所定の設定時間の間、前記抽選結果に応じた停止制御を中止するように構成されて成るシンボル可変表示遊戯機。」(【請求項1】)
イ.「代表的なシンボル可変表示遊戯機として、パチンコホールなどの遊戯場に設置されるスロットマシンが一般に知られている。従来の典型的なスロットマシンは、外周面に複数種のシンボルが表された3個のリールを持つものであり、遊戯媒体としてのメダルがメダル投入口へ投入されると、メダル投入枚数に応じた本数の停止ラインが有効化され、始動レバーが操作されると、3個のリールが一斉に始動する。リール毎に停止釦スイッチが設けられており、いずれかの停止釦スイッチが押操作されると、対応するリールが個別に停止する。・・・全てのリールが停止したとき、有効化された停止ライン(以下「有効ライン」という。)上に、特定のシンボルの組み合わせが成立すると、そのゲームは入賞となり、入賞の種類に応じて予め決められた枚数のメダルがそのゲームの配当として払い出される。」(段落【0002】?【0003】)
ウ.「近年のスロットマシンでは、始動レバーの操作で全リールが一斉に始動すると、機械が内蔵する制御装置が抽選処理を行い、遊戯者による停止操作があったとき、抽選結果に応じて、有効ライン上に、所定のシンボルを引き込んでリールを強制停止させる、いわゆる引込制御が行われている。この引込制御は、抽選が当たっていれば、有効ライン上に、入賞に関わるシンボルが停止するタイミングでリールの回転を強制的に停止させ、一方、抽選が外れていれば、入賞に関わるシンボルが有効ライン上に停止しないタイミングでリールの回転を強制的に停止させる、というものである。」(段落【0004】)
エ.「この発明は、上記問題に着目してなされたもので、ゲーム開始または準備操作時間の全部または一部が引込解除の設定時間に含まれないよう構成することにより、どの遊戯者に対しても、平等かつ正味の引込解除設定時間を保証し、遊戯者に不満、いらいら、不公平感などを感じさせず、ゲーム意欲を大幅に高めることができるシンボル可変表示遊戯機を提供することを目的とする。」(段落【0014】)
オ.「リールブロック4は、金属フレーム7に3個のリール8a,8b,8cが一体に組み付けられて成る。各リール8a,8b,8cの外周面には、特別入賞を成立させる特別入賞シンボルと、その他の入賞を成立させる入賞シンボルと、入賞に関わらない複数種のシンボルと、後記する引込制御を解除する条件を構成する特定のシンボル(以下「引込解除シンボル」という。)とが表されている。このリールブロック4には、各リール8a,8b,8cを個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9cが組み付けてあり、各リール8a,8b,8cと共にシンボル可変表示装置10を構成している。」(段落【0030】)
カ.「このスロットマシンでは、メダル投入口16へのメダルの投入またはベット釦スイッチ33,34,35の操作で停止ラインを有効化させた後、始動レバー6の操作で全リール8a,8b,8cを一斉に始動させると、機械内部で抽選処理が行われ、有効ライン上に、特別入賞シンボルまたは入賞シンボルの組合せが成立するような引込制御を行うか否かが決定される。その後、停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、抽選当たりであれば、前記抽選処理の結果に基づく所定のシンボルが、有効ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。」(段落【0038】)
キ.「この実施例では、いずれかの有効ライン上に、いずれかのリールの前記した引込解除シンボルが停止したとき、所定の引込解除設定時間の間、引込制御が解除された引込解除ゲームが実行できるよう構成されているが、この引込制御の解除条件は、この実施例のものに限らず、例えば、毎日の予め決められた時刻になったこと、前記抽選処理に引込制御の解除に関わる当たりを設けてこの抽選が当たったこと、「ボーナスゲーム」が終了したことなどを引込制御の解除条件とすることもできる。」(段落【0041】)
ク.「この実施例では、いずれかの有効ライン上に、いずれかのリールの引込解除シンボルが1個でも停止したとき、引込制御を解除するようにしているが、いずれかの有効ライン上に、各リールの引込解除シンボルが整列して停止したことを引込制御の解除条件としてもよい。」(段落【0042】)
ケ.「ゲームの開始または準備操作に要した時間(以下「ゲーム開始または準備操作時間」という。)の一部または全部が引込解除設定時間に含まれないようにするために、引込制御の解除条件が成立したときに前記タイマ45による引込解除設定時間の計時を開始させ、所定のゲーム開始または準備操作時間の間は、前記計時動作を中断するようにしている。」(段落【0044】)
コ.「引込解除ゲームへ移行した後も、内部抽選処理を実施し、かつ抽選当たりがあったときは、その抽選結果に応じた停止制御を行うような制御の流れに変更することもできる。」(段落【0078】)
サ.「この発明は上記の如く、予め決められた条件が成立したとき、ゲーム開始または準備操作時間の一部または全部が含まれない所定の設定時間の間、抽選結果に応じた停止制御を中止するよう構成したから、どの遊戯者に対しても、平等かつ正味の引込解除設定時間を保証でき、遊戯者に不満、いらいら、不公平感などを感じさせず、遊戯者のゲーム意欲を高めることができると共に、ゲームの興趣を向上させることができる。」(段落【0094】)

2.引用例記載の発明の認定
記載アの「予め決められた条件」としては、記載キの「前記抽選処理に引込制御の解除に関わる当たりを設けてこの抽選が当たったこと」があげられている。
したがって、引用例には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「メダル投入口へのメダルの投入で停止ラインを有効化させた後、始動レバーの操作で全リールを一斉に始動させ、遊戯者による停止釦スイッチの操作で各リールを停止させて所定の位置にいずれかのシンボルを停止させるスロットマシンであって、
抽選処理を実施しかつ抽選処理による抽選結果に応じて前記変動表示の停止動作を制御する制御装置を備えており、
前記抽選処理において、前記停止動作の制御の解除に関わる当たりが当選した場合には、前記制御装置は、ゲーム開始または準備操作時間の全部が含まれない所定の設定時間の間、前記抽選結果に応じた停止制御を中止するように構成されて成るスロットマシン。」(以下「引用発明」という。)

3.本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
引用発明の「全リール」及び「シンボル」は本願発明の「複数の回転リール」及び「図柄」にそれぞれ相当し、引用発明において、各リールの周囲に複数の図柄(シンボル)を表示していることは自明である。引用発明の「全リール」を「リールユニット」と称する部材に含ませることは、単なる認識又は表現の問題であって、「リールユニット」の有無は相違点にはならない。
引用発明の「始動レバー」及び「停止釦スイッチ」は、本願発明の「スタートスイッチ」及び「ストップスイッチ」にそれぞれ相当し、「メダル投入を条件として前記リールユニットの駆動を開始させるためのスタートスイッチ」、「前記リールユニットの駆動を停止させるためのストップスイッチ」及び「前記スタートスイッチ及び前記ストップスイッチの操作により、前記回転リールの回転及び停止を制御するための制御装置」を備えることは、本願発明と引用発明の一致点である。また、引用発明の「制御装置」は「抽選処理を実施しかつ抽選処理による抽選結果に応じて前記変動表示の停止動作を制御する」のであるから、本願発明の「入賞か否かの抽選を行う入賞抽選手段」を備えると認めることができ、引用発明は「各リールを停止させて所定の位置にいずれかのシンボルを停止させるスロットマシン」である以上、「前記入賞抽選手段による抽選結果が前記入賞である場合に入賞フラグが成立し、前記入賞フラグ成立中に、前記回転リールの停止図柄が所定の入賞図柄と一致したことを条件に入賞が確定するように設定され」ていることは明らかである。
引用発明では「前記抽選処理において、前記停止動作の制御の解除に関わる当たりが当選した場合」に「抽選結果に応じた停止制御を中止する」のであり、停止制御を中止した遊技と本願発明の「チャレンジタイム遊技」は、「特定の入賞確定或いは抽選結果に基づいて開始する」点及び「入賞の図柄についての蹴飛ばし設定や、引き込み設定が行われないようにすることにより、入賞の図柄についての停止制御を中止した遊技」の限度で一致し、この遊技を引用発明についても「チャレンジタイム遊技」ということにする。当然、引用発明にも「チャレンジタイム遊技」以外の「通常遊技」が設けられており、「前記制御装置は、前記入賞抽選手段のチャレンジタイム遊技に移行するか否かの抽選結果に基づいて、前記特定の図柄についての停止制御を中止可能とするためのチャレンジタイム遊技制御手段を備え」ることも、本願発明と引用発明の一致点である。
したがって、本願発明と引用発明は、
「周囲に複数の図柄を表示した複数の回転リールを有するリールユニットと、
メダル投入を条件として前記リールユニットの駆動を開始させるためのスタートスイッチと、
前記リールユニットの駆動を停止させるためのストップスイッチと、
前記スタートスイッチ及び前記ストップスイッチの操作により、前記回転リールの回転及び停止を制御するための制御装置とを備えるようにしたスロットマシンにおいて、
遊技として、通常遊技と、特定の入賞確定或いは抽選結果に基づいて開始する特別遊技とを少なくとも設け、
前記制御装置は、入賞か否かの抽選を行う入賞抽選手段を備え、
前記入賞抽選手段による抽選結果が前記入賞である場合に入賞フラグが成立し、前記入賞フラグ成立中に、前記回転リールの停止図柄が所定の入賞図柄と一致したことを条件に入賞が確定するように設定され、
前記特別遊技として、入賞の図柄についての蹴飛ばし設定や、引き込み設定が行われないようにすることにより、入賞の図柄についての停止制御を中止したチャレンジタイム遊技を少なくとも設けたスロットマシン。」である点で一致し、次の各点で相違する。
〈相違点1〉本願発明の「チャレンジタイム遊技」が「小役入賞の図柄についての蹴飛ばし設定や、引き込み設定が行われないようにすることにより、前記小役入賞の図柄についての停止制御を中止した」遊技であるのに対し、引用発明では「図柄についての停止制御を中止」する(蹴飛ばし設定や、引き込み設定が行われない)対象図柄が小役入賞図柄に限定されているとまではいえない点。
〈相違点2〉本願発明が「前記チャレンジタイム遊技制御手段は、前記チャレンジタイム遊技の開始に伴って、予め設定した所定のチャレンジタイム遊技残り時間をカウントダウンし、前記チャレンジタイム遊技残り時間が、予め設定した所定の残り時間に達したときにチャレンジタイム遊技を終了させるように設定されていると共に、
前記チャレンジタイム遊技残り時間は、前記チャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられるように設定され、
前記チャレンジタイム遊技残り時間としてカウントダウンされる時間は、
前記チャレンジタイム遊技に移行した後、各遊技毎の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた後から、全ての前記回転リールが停止するまでの時間を対象とし、
全ての前記回転リールが停止した時から、次の遊技の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた時までの時間を対象としない」との限定を有するのに対し、引用発明では「ゲーム開始または準備操作時間の全部が含まれない所定の設定時間の間」をチャレンジタイム遊技とするものの、それ以外の限定は格別存在しない点。

4.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
当審における拒絶の理由に引用した特開平9-313670号公報(以下「引用例2」という。)に、「熟練者によりボーナスゲームが頻発することがないように、引込解除時においても、有効ライン上にボーナスゲームにかかるシンボルが停止するタイミングで停止操作が行われたときのみ、このシンボルが有効ライン上からはずれるような引込制御が行われている。」(段落【0033】)と記載があるように、引込解除時(本願発明の「チャレンジタイム遊技」時)であっても、ボーナスゲームにかかるシンボルを引込解除対象外とすることは周知である。
したがって、相違点1に係る本願発明の構成を採用することは設計事項というべきである。

(2)相違点2について
まず、「前記チャレンジタイム遊技制御手段は、前記チャレンジタイム遊技の開始に伴って、予め設定した所定のチャレンジタイム遊技残り時間をカウントダウンし、前記チャレンジタイム遊技残り時間が、予め設定した所定の残り時間に達したときにチャレンジタイム遊技を終了させるように設定されている」点について検討するに、引用発明では「ゲーム開始または準備操作時間の全部が含まれない所定の設定時間の間、前記抽選結果に応じた停止制御を中止する」のであるから、チャレンジタイム遊技が進行するにつれ、所定の設定時間(本願発明の「予め設定した所定のチャレンジタイム遊技残り時間」に相当)からチャレンジタイム遊技残り時間をカウントダウンすることは、せいぜい設計事項の範囲内である。また、チャレンジタイム遊技終了タイミングを「予め設定した所定の残り時間に達したとき」とすることについては、引用発明においても残り時間が僅少又は0になった時点でチャレンジタイム遊技終了となることは自明であり、本願明細書の「予め設定した所定のチャレンジタイム遊技の終了時間は、チャレンジタイム遊技残り時間が0秒となる時を意味するものである。さらに、このチャレンジタイム遊技の終了時間を、チャレンジタイム遊技残り時間が0秒に達した時とせずに、チャレンジタイム遊技残り時間が、1回の遊技の最短時間である4.1秒に達した時として、チャレンジタイム遊技残り時間が4.1秒よりも少なくなった時点で終了するように設定しても良いものである。」(段落【0081】)との記載によれば、「予め設定した所定の残り時間」は0であってもなくてもよいのだから、実質的に引用発明にも備わった構成である。
引用例2には、「有効化された停止ライン上に、特定のシンボルが停止したことを条件として、所定の時間内において、前記引込制御機能が解除されたゲームを実行させる・・・スロットマシンの停止制御方法。」(【請求項3】)、「通常の引込制御ゲームまたは引込解除ゲームにより、有効ライン上に特定のシンボルが停止すると、上記ステップ17が「YES」となってステップ18へと移行し、CPU21は、前記引込解除フラグFを「1」にセットした後、引込解除ゲームが実行できる残り時間T1に所定の時間Mを加算した値を引込解除時間Tとして設定し、タイマ28を始動させる(ステップ19?20)。」(段落【0056】)及び「既に引込解除ゲームが行われている場合には、引込解除の残り時間は、現在の残り時間からさらにM時間分だけ延長されることになる。」(段落【0057】)との各記載がある。
引用例2記載の「引込解除ゲーム」は本願発明及び引用発明の「チャレンジタイム遊技」と異なるものではなく、引用例2には引込解除ゲーム(チャレンジタイム遊技)を時間管理し、引込解除ゲーム中に特定のシンボルが停止すると、引込解除ゲームが実行できる時間を加算する技術が記載されている。
本願発明の「前記チャレンジタイム遊技残り時間は、前記チャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられるように設定され」について検討するに、チャレンジタイム遊技中の入賞確定が遊技者の利益(メダル払い出し等)となることが予定されているから、入賞確定に応じてメダル払い出し等がされなければならないことは認められるものの、すべての入賞確定に対してメダル払い出し等がされることまでは限定されていない。また、「入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる」とは、すべての入賞確定に対して追加時間が加えられることまでは意味せず、所定の追加時間が加えられるような入賞確定が1つでもあれば、「入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる」に該当する。そして、引用例2記載のように、「有効ライン上に特定のシンボルが停止する」ことも入賞確定の1つと評価できる(引用例2においては、入賞とは認識されていないが、遊技者の利益に通ずる以上、入賞と評価するかどうかは単なる認識の問題である。)から、引用発明に引用例2記載の技術を適用して、「前記チャレンジタイム遊技残り時間は、前記チャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられるように設定され」との本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。百歩譲って、本願発明がメダル払い出し等の直接的な利益に直結する入賞確定に対して追加時間を加える趣旨であるとしても、メダル払い出し等と所定の追加時間を加えることは相反する技術ではないから、遊技者の利益を優先して、メダル払い出し等の直接的な利益に直結する入賞確定(そのような入賞確定は当然引用発明のチャレンジタイム遊技にも存する。)に対して追加時間を加えることに困難性があると認めることはできない。
次の検討事項は、どの時点で所定の追加時間を加える(以下「加算処理」という。)のかである。本願発明の「各遊技毎の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた後から、全ての前記回転リールが停止するまでの時間を対象とし、全ての前記回転リールが停止した時から、次の遊技の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた時までの時間を対象としない」との構成によれば、本願発明では今回の入賞確定後直ちに加算処理を行うのではなく、次回遊技時のスタートスイッチ操作の後に加算処理を行っている。これに対し、引用例2の【図5】によれば、引用例2記載の技術においては、加算処理(ST19)は特定シンボル出現(ST17でYESとなる場合)後、当該遊技がエンドとなるまでに行われており、加算処理時点が異なる。しかし、本願発明の加算処理時点を採用したことによる優位性を認めることはできないから、次回遊技時のスタートスイッチ操作の後に加算処理を行うことは設計事項というべきである。
そして、「各遊技毎の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与え」るまでに要する時間は、通常無視できる程度の微々たる時間にすぎないから、この時間を「カウントダウンされる時間」の対象に含めても含めなくても大勢に影響はなく、カウントダウン対象とすることもしないことも設計事項というべきである。
この点請求人は、「入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び追加時間加算の実行を、チャレンジタイムのカウントダウン時間に含めてしまうとしたならば、「入賞確定に応じた追加時間加算」が、加算される時間によっては喜ばしくない事態も生じることが考えられる。そこで、本願発明は、「入賞確定に応じた追加時間加算」が、チャレンジタイムのカウントダウン時間の短縮につながらないようにしたものである。」(平成19年10月2日付け意見書2頁36?41行)と主張するが、追加時間加算に要する時間が、無視できないほどのチャレンジタイムのカウントダウン時間短縮につながるとは信じられないばかりか、仮にそうであるとすると、引用発明は「ゲーム開始または準備操作時間の全部が含まれない所定の設定時間の間、前記抽選結果に応じた停止制御を中止する」のであって、追加時間加算に要する時間は「ゲーム開始または準備操作時間」に準じて扱うべき時間と評価すべきであるから、カウントダウンの対象外とすることは、引用発明を出発点とした場合、当業者が当然心がけることであり、なお一層設計事項といわなければならない。
また、「各遊技毎の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた後から、全ての前記回転リールが停止するまでの時間」は、「ゲーム開始または準備操作時間」には該当せず、遊技そのものに要する時間であるから、これをカウントダウンの対象とし、それ以外の「全ての前記回転リールが停止した時から、次の遊技の前記スタートスイッチ操作の後に行われるチャレンジタイム遊技中の入賞確定に応じて所定の追加時間が加えられる否かの判断及び、追加時間が与えられる場合には追加時間を与えた時までの時間」をカウントダウンの対象としないことは、引用発明に引用例2記載の技術を適用する上での設計事項である。
以上のとおりであるから、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することは設計事項であるか又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明及び引用例2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-19 
結審通知日 2007-10-24 
審決日 2007-11-07 
出願番号 特願平11-335370
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 尚  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 太田 恒明
小林 俊久
発明の名称 スロットマシン  
代理人 黒田 博道  
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