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審決分類 |
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1170079 |
審判番号 | 不服2002-18091 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-09-19 |
確定日 | 2008-01-04 |
事件の表示 | 平成11年特許願第265436号「資料作成方法、資料作成装置、及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月 6日出願公開、特開2001- 92828〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成11年9月20日の出願であって、平成14年7月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年9月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月18日付で手続補正がなされたものである。 2.平成14年10月18日付の手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年10月18日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を以下のように補正するものである。 「【請求項1】 主体となる主データと、この主データの客体となる従データとを含むデータベースを有し、 表示画面上で主データ検索情報を作成し、 この主データ検索情報に基づき前記データベースから主データを検索して、索出した主データを、前記作成された主データ検索情報が表示されている表示画面の一側に表示し、 前記表示画面の一側に表示した主データを参照して、該主データの表示されている表示画面上で従データ検索情報を作成し、 この従データ検索情報に基づき前記データベースから前記主データに関連付けたい従データを検索して、索出した従データを前記作成された従データ検索情報が表示されている表示画面の他側に表示し、 前記表示画面の一側に表示した主データをドラッグ&ドロップにより前記表示画面の中央に移動して表示させ、前記表示画面の他側に表示した従データをドラッグ&ドロップにより前記表示画面の中央に移動して詳細表示させ、前記表示画面の中央で主データと従データの詳細とを合成表示させるようにしたことを特徴とする資料作成方法。 【請求項2】 前記表示画面の中央に表示された資料を任意の出力形態で外部に取り出すようにした請求項1に記載の資料作成方法。 【請求項3】 主体となる主データと、この主データの客体となる従データと含むデータベースを記憶する記憶手段と、 表示画面上で主データ検索情報を作成する手段と、 表示画面上で主データを参照して従データ検索情報を作成する手段と、 前記検索情報に基づき前記記憶手段に記憶されたデータベースから主データと従データとを読み出す読出し手段と、 前記読出し手段により読み出された主データを表示画面の一側に表示し、前記従データを表示画面の他側に表示し、中央に前記一側に表示した主データと前記他側に表示した従データとからなる合成資料を表示する表示手段と、 前記表示画面の一側及び他側にそれぞれ表示された主データ及び従データの移動を指示する入力手段と、 前記入力手段で移動を指示された場合に表示画面の両側に表示された主データをドロップ&ドロップにより表示画面の中央に移動し、及び従データをドロップ&ドロップにより表示画面の中央に移動して詳細表示させ、中央の表示画面上で合成して資料を作成する合成手段と、 を備える資料作成装置。 【請求項4】 前記表示画面の中央に表示された資料を任意の出力形態で外部に取り出す取出し手段を有する請求項3に記載の資料作成装置。 【請求項5】 コンピュータを動作させるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体において、前記プログラムは、 主データ検索情報及び主データを参照して従データ検索情報を作成して表示させる第1の手段と、 前記検索情報に基づき主データ及び従データを検索させ、表示画面の一側に前記索出した主データを表示し、前記索出した従データを他側に表示させる第2の手段と、 データの移動が指示された場合に、前記表示画面の両側に表示された主データを表示画面の中央に移動し、及び従データを表示画面の中央に移動して詳細表示させ、中央の表示画面上で合成して資料を作成して表示させる第3の手段と を有することを特徴とする記憶媒体。」 (2)当審の判断 (2-1)本件補正の前の特許請求の範囲は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「出願当初の明細書等」という。)に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 主体となる主データと、この主データの客体となる従データとを含むデータベースを有し、 検索情報に基づき前記データベースから主データ及び従データを検索して、索出した主データを表示画面の一側に、索出した従データを表示画面の他側にそれぞれ表示させ、 前記表示画面の中央に、少なくとも前記索出した従データを移動して詳細表示させるようにしたことを特徴とする資料作成方法。 【請求項2】 主体となる主データと、この主データの客体となる従データとを含むデータベースを有し、 主データ検索情報に基づき前記データベースから主データを検索して、索出した主データを表示画面の一側に表示し、 前記表示画面の一側に表示した主データを参照して従データ検索情報を作成し、この従データ検索情報に基づき前記データベースから前記主データに関連付けたい従データを検索して、索出した従データを表示画面の他側に表示し、 前記表示画面の一側に表示した主データを前記表示画面の中央に移動し、前記表示画面の他側に表示した従データを前記表示画面の中央に移動して詳細表示させ、前記表示画面の中央で主データと従データの詳細とを合成表示させるようにしたことを特徴とする資料作成方法。 【請求項3】 前記表示画面の中央に表示された資料を任意の出力形態で外部に取り出すようにした請求項1または2に記載の資料作成方法。 【請求項4】 主体となる主データと、この主データの客体となる従データと含むデータベースを記憶する記憶手段と、 検索情報に基づき前記記憶手段に記憶されたデータベースから主データと従データとを読み出す読出し手段と、 前記読出し手段により読み出された主データを表示画面の一側に表示し、前記従データを表示画面の他側に表示し、中央に前記一側に表示した主データと前記他側に表示した従データとからなる合成資料を表示する表示手段と、 前記表示画面の一側及び他側にそれぞれ表示された主データ及び従データの移動を指示する入力手段と、 前記入力手段で移動を指示された場合に表示画面の両側に表示された主データを表示画面の中央に移動し、及び従データを表示画面の中央に移動して詳細表示させ、中央の表示画面上で合成して資料を作成する合成手段と、 を備える資料作成装置。 【請求項5】 前記表示画面の中央に表示された資料を任意の出力形態で外部に取り出す取出し手段を有する請求項4に記載の資料作成装置。 【請求項6】 コンピュータを動作させるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体において、前記プログラムは、 検索情報に基づき主データ及び従データを検索させ、表示画面の一側に前記索出した主データを表示し、前記索出した従データを他側に表示させる第1の手段と、 データの移動が指示された場合に、前記表示画面の両側に表示された主データを表示画面の中央に移動し、及び従データを表示画面の中央に移動して詳細表示させ、中央の表示画面上で合成して資料を作成して表示させる第2の手段とを有することを特徴とする記憶媒体。」 (2-2)検討 本件補正は前記のとおりのものであって、その補正の前後の内容を対比してみると、 (A)本件補正は、補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項2ないし6を補正後の請求項1ないし5とし、各請求項をさらに補正するものである。 ここで、補正後の請求項1、3、5についてみると、本件請求項1に係る補正は、本件補正前の対応する請求項2に係る発明に、新たに、発明を特定するために必要な事項である「表示画面上で主データ検索情報を作成」することを追加する補正を含むものであり、また、本件請求項3に係る補正は、本件補正前の対応する請求項4に係る発明に、新たに、発明を特定するために必要な事項である「表示画面上で主データ検索情報を作成する手段」と「表示画面上で主データを参照して従データ検索情報を作成する手段」を追加する補正を含むものであり、さらに、本件請求項5に係る補正は、本件補正前の対応する請求項6に係る発明に、新たに、発明を特定するために必要な事項である「主データ検索情報及び主データを参照して従データ検索情報を作成して表示させる第1の手段」を追加する補正を含むものであるから、本件補正は、補正前の発明を特定するために必要な事項を限定したものとはなっておらず、該補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 (B)また、上記補正が、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもなく、誤記の訂正を目的とするものでもない。 (2-3)むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成14年10月18日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る各発明は、出願当初の明細書等の記載からみて、上記各請求項にそれぞれ記載されるとおりのものと認めることができるところ、これら発明のうち、請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記2.(2-1)の請求項4に記載されたとおりのものである。 (1)引用例 原査定の拒絶理由に引用された特開平10-162093号公報(以下「引用例1」という。)には、次のことが記載されている。 (a)【発明の属する技術分野】本発明は商品情報割付装置に関し、特に、商品カタログの各ページに商品の写真や説明文などを割り付ける処理を行うための装置に関する。 【従来の技術】印刷の分野では、コンピュータの普及が急速に進み、製版までの工程はディスプレイ画面を見ながらコンピュータを利用した商品情報割付装置を操作する作業によって行うのが一般的になっている。たとえば、商品カタログやチラシなどを印刷する場合、掲載すべき商品に関する写真・図形などの画像情報や、説明文などの文字情報をコンピュータ内にデジタルデータとして取り込み、これらの商品情報をページ上の所望の位置に適宜割り付ける作業が行われることになる。オペレータは、ディスプレイ画面上にカタログやチラシのページを表示させながら、コンピュータに対して所定の割付指示を与える作業を行えばよいので、非常に効率的な作業が可能になる。このような割付作業が完了したら、コンピュータから割付結果を示すデータを出力すれば、自動的に製版フィルムを作成することができ、また、必要に応じて自動的に刷版を直接作成することができるため、短時間で印刷工程へ進むことができる。(第2頁右欄10ないし30行) (b)図1は、本発明の一実施形態に係る商品情報割付装置の基本構成を示すブロック図である。この装置の主たる構成要素は、ディスプレイ手段10、処理手段20、記憶手段30、指示入力手段40である。これらの各手段は、実際には、汎用のコンピュータおよびその周辺機器に、専用のアプリケーションソフトウエアを搭載することにより実現される。すなわち、ディスプレイ手段10は、コンピュータ用の一般的なディスプレイ装置により実現でき、処理手段20は、汎用のコンピュータ本体に専用のソフトウエアを搭載することにより実現でき、記憶手段30は、メモリ・磁気記録装置・光磁気記録装置・光記録装置などの一般的なコンピュータ用情報記録装置により実現でき、指示入力手段40は、キーボード・マウス・タブレットなどの一般的なコンピュータ用入力機器により実現できる。 ディスプレイ手段10の表示画面上には、少なくとも、選択ウインドウ11と編集ウインドウ12とを表示させることができる。ここで、選択ウインドウ11は、後述するように、割付対象となる商品情報を選択する作業に利用されるウインドウであり、編集ウインドウ12は、割り付けが行われるページを示し、実際の割付位置を指定する作業に利用されるウインドウである。実際には、ディスプレイ手段10は、この他にも種々のウインドウを表示する機能(たとえば、処理手段20に対する種々のコマンドを入力するためのウインドウなど)を備えているが、ここでは細かな説明は省略する。また、本実施形態では、ディスプレイ画面の左側に選択ウインドウ11を、右側に編集ウインドウ12を、それぞれ表示した例を示すが、両ウインドウの表示位置および大きさは任意であり、部分的に両ウインドウを重ねて表示させてもかまわない。 処理手段20は、この商品情報割付装置における本質的な処理を実行する中枢部分であり、ここでは、個々の処理機能に着目し、この処理手段20を8個の機能ブロックとしてとらえた説明を行うことにする。すなわち、この処理手段20は、商品情報管理手段21、組版情報管理手段22、商品情報抽出手段23、選択ウインドウ表示手段24、商品情報選択手段25、割付枠定義手段26、組版情報選択手段27、割付処理手段28の各機能ブロックに分けて把握することができる。これら各手段の具体的機能についての説明は後述する。 記憶手段30は、ここでは、商品情報記憶手段31、組版情報記憶手段32、割付結果記憶手段33の3つの記憶手段に分けてとらえることにする。もちろん、実際のハードウエア構成では、必ずしもこのような3つの記憶装置に分ける必要はなく、3種類の情報を記憶するために何らかの方法で3つの記憶領域が確保できていればよい。商品情報記憶手段31は、商品に関する文字あるいは画像からなる商品情報を、個々の商品ごとに関連づけて記憶する機能を有する。要するに、この商品情報記憶手段31内には、商品情報のデータベースが格納されることになる。(第3頁右欄27行ないし第4頁左欄29行、図1) (c)図2は、この商品情報管理手段21によって商品情報記憶手段31内に登録された1商品についての一群の商品情報の一例を示す概念図である。ここに示す一群の商品情報は、いずれも、商品コード「ABC12345」,商品名「婦人用スーツ」なる商品に関連した商品情報である。ここに示す商品情報群のうち、商品情報L1?L5は、この商品に関する文字からなる商品情報であり、商品情報P1?P3は、この商品に関する画像からなる商品情報である。具体的には、商品情報L1はこの商品の標題を示す文字列から構成され、商品情報L2はこの商品の規格を示す文字列から構成され、商品情報L3はこの商品の説明文を示す文字列から構成され、商品情報L4はこの商品の第1のキャッチコピーを示す文字列から構成され、商品情報L5はこの商品の第2のキャッチコピーを示す文字列から構成されている。また、商品情報P1?P3は、ぞれぞれこの商品の第1?第3の写真を示す画像から構成されている。商品情報管理手段21によって、このような1つの商品に関する複数の商品情報がデータベースとして登録されると、これら複数の商品情報は、同一の商品についての商品情報である旨が相互に関連づけられた形で商品情報記憶手段31内に格納されることになる。(第4頁右欄18行ないし39行) (d)商品情報抽出手段23は、商品情報記憶手段31内にデータベースとして記憶されている複数の商品情報の中から、オペレータの指示に基づいて特定の商品に関する複数の商品情報を抽出する機能を有する。すなわち、オペレータが、ある1つの商品を指定する入力を行うと、商品情報抽出手段23によって、この指定された商品に関するすべての商品情報が、商品情報記憶手段31から抽出されることになる。たとえば、オペレータが、商品コード「ABC12345」を指定したとすれば、商品情報抽出手段23によって、図2に示す合計8個の商品情報L1?L5,P1?P3が抽出される。 特定の商品を指定する入力操作としては、たとえば、キーボードから商品コードを入力するような方法を採ることもできるが、ここに示す実施形態では、より操作性のよい入力環境を提供している。すなわち、この実施形態の装置では、ディスプレイ手段10の表示画面上に図5に示すような商品一覧をリスト表示させ、このリスト内の商品コードもしくは商品名の欄をマウスでクリックすることにより、特定の商品を指定できるようにしている。図5に示すような商品一覧は、選択ウインドウ11内に表示させることもできるし、別個の独立したウインドウ内に表示させることもできる。 一方、商品情報抽出手段23によって抽出された複数の商品情報は、選択ウインドウ表示手段24によって、選択ウインドウ11内に表示される。たとえば、図5に示すような商品一覧のリスト表示が行われた状態において、オペレータがリストの1行目に表示されている商品コード「ABC12345」の欄(もしくは、その右の「婦人用スーツ」の欄)をクリックすると、上述したように、商品情報抽出手段23によって、図2に示す合計8個の商品情報L1?L5,P1?P3が抽出されることになる。選択ウインドウ表示手段24は、この8個の商品情報を、選択ウインドウ11内に、たとえば、図6に示すような形態で表示する機能を有する。(第5頁右欄9行ないし43行) (e)この図6に示す表示形態の第1の特徴は、抽出された商品情報をそのまま表示するのではなく、必要に応じて、抽出された商品情報の情報量を間引く処理を行い、間引き後の情報を用いて表示を行っている点である。たとえば、図6に示されている画像からなる商品情報P1?P3は、商品情報記憶手段31内のデータベースから抽出した画像データをそのまま表示したものではなく、画素の間引き処理を実行した縮小画像(いわゆるサムネイル)になっている。また、図6に示されている文字からなる商品情報Lは、デッドスペースを少なくするために、もとの商品情報L1?L5を詰めて配置したものになっており、必要な場合には、文字列の一部を省略して表示するようにしてもよい。そもそも、この選択ウインドウ11は、割付対象となる素材(すなわち、個々の商品情報)を選択するためのものであるので、オペレータに素材となる商品情報の概略を伝達できれば、それで用が足りる。したがって、この実施形態では、必要に応じて情報量を間引く処理を行った上で、選択ウインドウ11への表示を行うようにしている。特に、もともと情報量の多い画像の商品情報については、できるだけ間引き処理を行い、いわゆるサムネイルの形式で選択ウインドウ11内に表示するのが好ましい。 この図6に示す表示形態の第2の特徴は、文字からなる商品情報については、個々の商品情報に対応したボタン領域B1?B5を表示させるようにした点である。図2に示すように、この商品については、合計5組の「文字からなる商品情報」L1?L5が用意されているが、上述したように、選択ウインドウ11内では、スペースを効率的に利用するために、これら5組の商品情報を構成する文字列を詰めて表示している。その代わりに、この5組の商品情報にそれぞれ対応したボタン領域B1?B5を表示するようにし、後述する商品情報の選択作業の便宜を図っている。(第5頁右欄44行ないし第6頁左欄26行) (f)さて、図6に示すように、特定の商品についての複数の商品情報が、選択ウインドウ11内に表示されたら、この複数の商品情報の中から特定の商品情報を選択する作業が実行される。すなわち、商品情報選択手段25は、オペレータからの指示に基づき、選択ウインドウ11内に表示されている複数の商品情報の中から、特定の商品情報を選択する機能を果たす。特定の商品情報を選択する作業は、この実施形態では、選択ウインドウ11内の1点をマウスでクリックすることにより直感的に行うことができる。すなわち、オペレータが選択ウインドウ11内の画像領域(画像からなる商品情報P1?P3が表示されている領域)の1点を指示した場合には、商品情報選択手段25は、その指示点を含む画像からなる商品情報が選択されたものと判断する。たとえば、図6において、画像からなる商品情報P1内の1点が指示された場合には、オペレータにより、商品情報P1が選択されたものと認識することになる。また、オペレータが選択ウインドウ11内のボタン領域B1?B5内の1点を指示した場合には、その指示点を含むボタン領域に対応する「文字からなる商品情報」が選択されたものと判断する。たとえば、図6において、ボタン領域B1内の1点が指示された場合には、オペレータにより、商品情報L1が選択されたものと認識することになる。一般に、画像からなる商品情報は、ひとまとまりの商品情報としての区切りが容易に認識できるので、選択ウインドウ11内に表示されている画像自身をクリックする選択方法が適しているが、文字からなる商品情報は、ひとまとまりの商品情報としての区切りの認識が困難であるので、上述したように対応したボタン領域をクリックする選択方法が適している。(第6頁左欄27行ないし右欄6行) (g)ここでは、たとえば、図4に示すようなレイアウトを行うための作業を例にとって、この割付処理手段28の機能を説明しよう。オペレータは、まず、上段の「婦人用スーツ」についての割付作業から始めたとしよう。この場合、ディスプレイ手段10の表示画面上に、図5に示すような商品一覧のリストを表示させ、商品コード「ABC12345」の欄をマウスでクリックして、この特定の商品を指定する入力を行う。すると、既に述べたように、商品情報抽出手段23によって、図2に示すような複数の商品情報が抽出され、選択ウインドウ表示手段24によって、図6に示すような選択ウインドウ11が表示される。オペレータは、選択ウインドウ11内に羅列された素材としての個々の商品情報を見て、画像からなる商品情報P3をページの左上に割り付けようと考えたとする。この場合、マウスで商品情報P3の画像内の1点をクリックすれば、商品情報選択手段25によって、商品情報P3が選択されることになる。更に、この商品情報P3に対する組版情報としては、図3に示す組版情報K3(割付枠Wに合わせて拡大もしくは縮小する割付態様)を選択する指示を与えれば、組版情報選択手段27によって、この組版情報K3が選択されることになる。最後に、図7に示すように、編集ウインドウ12内の左上位置に、所定の大きさをもった割付枠Wをマウスによって指定する作業を行えば、割付枠定義手段26によって、この割付枠Wが定義されることになる。 このような入力操作により、「商品情報P3を、組版情報K3に従った割付態様で、割付枠W内に割り付ける」という情報が割付処理手段28に与えられることになる。割付処理手段28は、この情報に基づいて必要な割付処理を実行し、その結果を、編集ウインドウ12に表示するとともに、割付結果を示す内容を割付結果記憶手段33へと格納する。この時点で、ディスプレイ手段10の表示画面は、図8のようになり、オペレータは、編集ウインドウ12上において、割付枠W内に商品情報P3が割り付けられた状態を確認することができる。以後、同様に、選択ウインドウ11内から所望の商品情報を選択し、組版情報を選択するとともに、編集ウインドウ12内で割付枠Wを指定するという作業を繰り返してゆけば、最終的に、図4に示すようなレイアウトを得ることが可能になる。このような割付作業を行えば、非常に自由度が高くバラエティに富んだレイアウトを構成することが可能であり、しかも作業負担は比較的軽くてすむ。(第6頁右欄32行ないし第7頁左欄25行) 以上の記載からすると、引用例1には、 商品カタログやチラシ等の各ページに商品の写真や説明文などを割り付ける処理を行う商品情報割付装置であって(引用例1の上記記載(a)参照)、商品に関する文字や画像からなる複数の商品情報をデータベースとして記憶する商品情報記憶手段31と、選択ウインドウ11、編集ウインドウ12を表示画面上に持つディスプレイ手段10を備え(引用例1の上記記載(b)参照)、商品を特定する商品コードを入力することにより、当該商品コードに基づき前記商品情報記憶手段31に記憶された商品情報のデータベースから商品情報を読み出し、当該読み出された商品情報を前記ディスプレイ手段10の選択ウインドウ11に表示し(引用例1の上記記載(d)参照)、当該選択ウインドウ11に表示された商品情報を選択し、割付処理が実行されると前記選択された商品情報が前記ディスプレイ手段10の編集ウインドウに表示され、以後同様に選択ウインドウ11で所望の商品情報を選択し、割付処理を実行することにより複数の商品情報を編集ウインドウ12で表示合成してカタログ等に掲載するレイアウトを作成するものであり(引用例1の上記記載(f)、(g)参照)、また、前記商品情報記憶手段31から読み出された商品情報を前記ディスプレイ手段10の選択ウインドウ11に表示する際には、前記商品情報の一部を省略する等して商品情報の概略を表示し、商品情報が選択され割付処理が実行されると前記ディスプレイ手段10の編集ウインドウに前記選択された商品情報が省略されない状態で表示される(引用例1の前記記載(e)、(f)参照)商品情報割付装置が記載されていると認められる。 すなわち、上記引用例1には、 「複数の商品情報をデータベースとして記憶する商品情報記憶手段31と、選択ウインドウ11、編集ウインドウ12を表示画面上に持つディスプレイ手段10を備え、商品を特定する商品コードを入力することにより、当該商品コードに基づき前記商品情報記憶手段31に記憶された商品情報のデータベースから商品情報を読み出し、当該読み出された商品情報の概略を前記ディスプレイ手段10の選択ウインドウ11に表示し、当該選択ウインドウ11に表示された商品情報を選択し、割付処理が実行されると前記選択された商品情報の詳細が前記ディスプレイ手段10の編集ウインドウに表示され、以後同様に選択ウインドウ11で所望の商品情報を選択し、割付処理を実行することにより複数の商品情報を編集ウインドウ12で詳細表示合成してカタログ等に掲載するレイアウトを作成する商品情報割付装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (2)対比 本願発明と引用発明とを対比すると次のことが認められる。 (イ)引用発明は、上記のとおり、商品カタログやチラシ等の各ページに商品の写真や説明文などを割り付ける処理を行う商品情報割付装置に関するものであるから、本願発明と同様に、資料作成装置を対象とするものといえる。 (ロ)また、引用発明は、上記のとおり、複数の商品情報をデータベースとして記憶する商品情報記憶手段(本願発明でいう記憶手段)と、選択ウインドウ、編集ウインドウを表示画面上に持つディスプレイ手段(本願発明でいう表示手段)を備え、商品を特定する商品コードを入力することにより、当該商品コードに基づき前記商品情報記憶手段に記憶された商品情報のデータベースから商品情報を読み出し(本願発明でいう読み出し手段)、当該読み出された商品情報の概略を前記ディスプレイ手段の選択ウインドウに表示し、選択ウインドウに表示された商品情報を選択し、割付処理が実行されると前記選択された商品情報の詳細が前記編集ウインドウに移動、表示され、以後同様に選択ウインドウで所望の商品情報を選択し、割付処理を実行することにより複数の商品情報を編集ウインドウ12に移動し、表示合成してカタログ等に掲載するレイアウトを作成する手段(本願発明でいう合成手段)を備える装置である。 そうすると、本願発明と引用発明とは、いずれも、複数のデータを含むデータベースを記憶する記憶手段と、検索情報に基づき前記記憶手段に記憶されたデータベースから複数のデータを読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段により読み出された複数のデータを表示画面の特定領域に表示し、前記表示画面の特定領域外の所定領域に前記特定領域に表示した複数のデータからなる合成資料を表示する表示手段を備え、さらに、前記表示画面の特定領域に表示された複数のデータの移動を指示する入力手段と、前記入力手段で移動を指示された場合に表示画面の特定領域に表示された複数のデータを表示画面の前記所定領域に移動して詳細表示させ、前記表示画面の所定領域で合成して資料を作成する合成手段を備える資料作成装置といえる。 (ハ)もっとも、本願発明では、上記複数のデータは、主体となる主データと、この主データの客体となる従データであるのに対し、引用発明では複数の商品に関する文字、画像等から成る商品情報である。 また、本願発明では、上記読み出し手段により読み出された複数のデータを表示する表示画面の特定領域が、表示画面の一側及び他側であり、主データと従データをそれぞれ表示し、また、上記複数のデータからなる合成資料を表示する所定領域が、表示画面の中央であるのに対し、引用発明では、上記表示画面の各領域が、選択ウインドウ、編集ウインドウである。 以上の対比結果によれば、本願発明と引用発明とは、 「複数のデータを含むデータベースを記憶する記憶手段と、 検索情報に基づき前記記憶手段に記憶されたデータベースから複数のデータを読み出す読み出し手段と、 前記読み出し手段により読み出された複数のデータを表示画面の特定領域に表示し、前記表示画面の特定領域外の所定領域に前記特定領域に表示した複数のデータからなる合成資料を表示する表示手段と、 前記表示画面の特定領域に表示された複数のデータの移動を指示する入力手段と、 前記入力手段で移動を指示された場合に表示画面の特定領域に表示された複数のデータを表示画面の前記所定領域に移動して詳細表示させ、前記表示画面の所定領域上で合成して資料を作成する合成手段と、 を備える資料作成装置。」である点で一致し、次の点で相違しているものと認められる。 相違点1 本願発明では、上記複数のデータが、主体となる主データと、この主データの客体となる従データであるのに対し、引用発明では複数の商品情報である点。 相違点2 本願発明では、上記読み出された複数のデータを表示する表示画面の特定領域が、表示画面の一側及び他側であり、主データと従データをそれぞれに表示し、また、上記複数のデータからなる合成資料を表示する所定領域が、表示画面の中央であるのに対し、引用発明では、上記表示画面の各領域が、選択ウインドウ、編集ウインドウである点。 (3)判断 そこで、本願発明と引用発明との上記相違点について検討する。 相違点1について 資料を作成するために、合成する複数のデータを主従のデータ(例えば、顧客と商品のデータ)とすることは、原査定の拒絶理由に引用された特開平11-96150号公報、特開平8-315024号公報等に開示されるように周知の事項であることからすると、引用発明において、記憶手段に記憶する複数のデータとして主体となる主データとこの主データの客体となる従データを採用し、各データを合成して資料を作成することは、当業者が格別の困難性なくなし得ることであると認められる。 相違点2について 原査定の拒絶理由に引用された特開平11-88419号公報(以下「引用例2」という。)には、ディスプレイの表示画面を一側、他側、中央の領域に分けそれぞれにデータを表示することが開示されており、また、引用発明において、読み出された複数のデータや当該データを合成した資料をそれぞれ表示画面上でどのように配置するかは、当業者が装置を設計する上でその使用態様等を考慮して適宜決定すべき事項であると認められることからすると、引用発明において、複数のデータを主従のデータとした際、上記引用例2に開示された技術事項を採用して、主従のデータをそれぞれ表示画面の一側及び他側に表示し、各データを合成して作成した資料を中央に表示させるようにすることは、当業者が容易に想到し得た程度の事項と認められるから、相違点2において本願発明が格別のものであるとすることはできない。 以上判断したとおり、本願発明の上記相違点1、2に係る構成は、いずれも当業者が容易に想到し得たといえるものであり、また、本願発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 (4)むすび 以上のとおり、本願の請求項4に係る発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に開示された事項並びに周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項に係る各発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-10-31 |
結審通知日 | 2007-11-06 |
審決日 | 2007-11-19 |
出願番号 | 特願平11-265436 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 574- Z (G06F) P 1 8・ 573- Z (G06F) P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高瀬 勤、平井 誠 |
特許庁審判長 |
藤内 光武 |
特許庁審判官 |
久保田 健 坂庭 剛史 |
発明の名称 | 資料作成方法、資料作成装置、及び記憶媒体 |
代理人 | 阿仁屋 節雄 |
代理人 | 清野 仁 |
代理人 | 油井 透 |