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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200415295 | 審決 | 特許 |
不服200412235 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1170086 |
審判番号 | 不服2004-5052 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-03-11 |
確定日 | 2008-01-04 |
事件の表示 | 平成11年特許願第145926号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月 5日出願公開、特開2000-334130〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年5月26日に出願されたものであって、平成15年9月29日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年12月4日に意見書及び手続補正書が提出され、平成16年2月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月11日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年4月9日付けで手続補正がなされた。 さらに、当審において平成19年7月12日付けで、平成16年4月9日付け手続補正が却下されるとともに、最後の拒絶理由が通知され、これに対して、平成19年9月13日に手続補正書が提出されたものである。 2.平成19年9月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年9月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 上記補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「その内部に普通入賞領域(23)(24)及び特定入賞領域(22)を有する大入賞手段(13)と、遊技球を検出する始動手段(12)と、該始動手段(12)が遊技球を検出することを条件に1個又は複数個の図柄が所定時間変動して停止する図柄表示手段(18)と、該図柄表示手段(18)の変動後の停止図柄が大当たり図柄となったときに、前記大入賞手段(13)を遊技者に不利な状態から有利な状態に変換駆動する利益状態を発生させる利益状態発生手段(41)と、前記大入賞手段(13)に遊技球が入賞したときに所定数の賞品球を払い出す払い出し手段(42)と、前記特定入賞領域(22)に遊技球が入賞したときに遊技者に有利な価値を付与する価値付与機能とを備え、前記普通入賞領域(23)(24)への遊技球の1入賞に対して前記払い出し手段(42)が払い出すべき賞品球の賞品球数を固定とし、前記特定入賞領域(22)に対応して前記価値付与機能とは別に設けられ、且つ該特定入賞領域(22)への遊技球の1入賞に対して前記払い出し手段(42)が払い出すべき賞品球の賞品球数を、前記図柄表示手段(18)の大当たり図柄の種類によって変化させる賞品球数制御手段(44)を備え、前記大入賞手段(13)は賞品球数を表示する表示手段(34)をその前面に備えたことを特徴とする弾球遊技機。」 と補正された。 (2)補正の内容 上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「入賞領域(22)?(24)」について「特定入賞領域(22)、普通入賞領域(23)(24)」との限定を付加し、同じく「大入賞手段(13)」について「その内部に普通入賞領域(23)(24)及び特定入賞領域(22)を有する」との限定を付加し、同じく「払い出し手段(42)」について「大入賞手段(13)に遊技球が入賞したときに所定数の賞品球を払い出す」との限定を付加し、同じく入賞領域への「遊技球の1入賞に対して前記払い出し手段(42)が払い出すべき賞品球の賞品球数」について「普通入賞領域(23)(24)」は「固定とし」、また、「特定入賞領域(22)」は「図柄表示手段(18)の大当たり図柄の種類によって変化させる」との限定を付加し、さらに該「特定入賞領域(22)」について、「特定入賞領域(22)に遊技球が入賞したときに遊技者に有利な価値を付与する価値付与機能」との限定を付加し、また、同じく「賞品球数制御手段(44)」について「特定入賞領域(22)に対応して価値付与機能とは別に設けられ」との限定を付加するとともに、「大入賞手段(13)」について「賞品球数を表示する表示手段(34)をその前面に備えた」点を追加したものである。 (3)判断 しかし、補正前の請求項1に係る発明において、「大入賞手段(13)」は、「複数個の入賞領域(22)?(24)を有する」とともに、「図柄表示手段(18)の変動後の停止図柄が大当たり図柄となったときに、遊技者に不利な状態から有利な状態に変換駆動する」ものとなっており、変化する賞品球数を表示する機能は有しておらず、また、請求項2も含めて、補正前の特許請求の範囲には、賞品球数を表示する手段は記載されていない。 よって、上記補正により追加された「賞品球数を表示する表示手段(34)をその前面に備えた」ことによって解決される課題は、補正前の請求項1及び2に係る発明が解決しようとする課題とは異なるものを含んでいると言わざるを得ない。 すなわち、上記補正は、解決しようとする課題が同一である発明の構成に欠くことのできない事項の範囲内において、その補正前発明の構成に欠くことのできない事項の全部又は一部を限定するものとは言えないから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号における特許請求の範囲の減縮には当たらない。 さらに、上記補正が請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明でないことは明らかである。 (4)むすび したがって、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 なお、本願の願書に添付した明細書の請求項7に係る発明における「前記入賞領域(22)?(24)の近傍に、前記賞品球数を表示する賞品球数表示手段(34)を設けた」という構成は、平成15年9月29日付け拒絶理由通知を受けて、削除されている。 3.本願発明について (1)本願発明 平成19年9月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年12月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「複数個の入賞領域(22)?(24)を有する大入賞手段(13)と、遊技球を検出する始動手段(12)と、該始動手段(12)が遊技球を検出することを条件に1個又は複数個の図柄が所定時間変動して停止する図柄表示手段(18)と、該図柄表示手段(18)の変動後の停止図柄が大当たり図柄となったときに、前記大入賞手段(13)を遊技者に不利な状態から有利な状態に変換駆動する利益状態を発生させる利益状態発生手段(41)と、賞品球を払い出す払い出し手段(42)とを備え、複数の前記入賞領域(22)?(24)の一部又は全部に対応して設けられ、且つ前記入賞領域(22)?(24)への遊技球の1入賞に対して前記払い出し手段(42)が払い出すべき賞品球の賞品球数を、前記図柄表示手段(18)の大当たり図柄の種類によって変化させる賞品球数制御手段(44)を備えたことを特徴とする弾球遊技機。」 (2)引用文献 当審で通知した拒絶理由に引用した、本願出願前に国内において頒布された刊行物である特開平7-328210号公報(以下「引用文献1」という。)には、 【請求項1】 遊技盤面に設けられた入賞装置に遊技球が入賞した場合に、所定数の賞品球を払い出す弾球遊技機において、 遊技球の入賞を検出する検出手段を備えた複数種類の入賞装置と、 前記検出手段ごとに出力されたそれぞれの検出信号を受けて、前記検出信号ごとに対応する個数の賞品球を払い出す払出手段と、 を有することを特徴とする弾球遊技機。 【0018】第三種始動口116は始動入賞装置の一つであって、大入賞口118の蓋120を所定の期間(例えば、10秒間)だけ開ける。この第三種始動口116に遊技球Bが入賞すると、「第2の当たり」(以下、本実施例において単に「大当たり」と呼ぶ。)になる。大入賞口118は可変入賞装置一つであって、遊技盤表面102の中央下部に設けられた横長の入賞口である。この大入賞口118は、「大当たり」の際に開く蓋120を備えている。 【0019】・・・ゲート140は、遊技球Bの通過を検出する。アウト口144は遊技盤表面102の下部であって、レール114を挟んで設けられている。 【0021】検出スイッチ164等はいずれも遊技球Bの通過を検出するスイッチであって、磁性の変化によって上記通過を判定する近接スイッチが一般に用いられる。・・・検出スイッチ180は、大入賞口118に入賞した遊技球Bを検出する。なお、検出スイッチ164等によって検出された検出信号は、いずれも図7に示す制御部320に送られて所定数の賞品球を払い出す他に、普通電動役物130や大入賞口118等の動作を制御するための検出装置としても用いられる。 【0022】普通電動役物ソレノイド162は、普通電動役物130に設けられたチューリップ132を「当たり」の際に開閉させるためのソレノイドである。また、大入賞口ソレノイド186は、大入賞口118に設けられた蓋120を「大当たり」の際に開閉させるためのソレノイドである。 【0061】さらに、ゲート140を遊技球Bが通過した場合には、普通電動役物130を所定の期間だけ開けるように構成したが、特別図柄を変動させ、その変動後に停止した状態で表示された特別図柄が所定の図柄と一致した場合を「大当たり」とする特別図柄表示装置を動作させるように構成してもよい。この特別図柄表示装置により、普通電動役物130に入賞するか否かように遊技球Bの転動によって決まる態様だけでなく、電気的な「くじ」による当たりか否かを期待する期待感が得られる。・・・ 【0062】同様に、上記の特別図柄表示装置の特別図柄を変動させ、その変動後に停止した状態で表示された特別図柄が所定の図柄と一致した場合に、その一致した図柄ごとに払い出す賞品球の個数を変える構成としてもよい。例えば、特別図柄表示装置に停止して表示された特別図柄が「777」の場合には13個払い出し、特別図柄が「☆☆☆」の場合には10個払い出し、その他の場合には7個払い出す態様がある。なお、入賞したときの払い出しの対象となる入賞装置は、三種類の入賞装置(入賞口138、普通電動役物130等、大入賞口118)や、その他の入賞装置のいずれであってもよい。この構成では、電気的な「くじ」によって払い出される賞品球の個数が決まるので、遊技者は「くじ」の結果が出るまでの間に期待感を持つことができる。 【0063】そして、入賞装置ごと、あるいは遊技状態ごとに払い出す賞品球の個数を変えるように構成したが、一部の入賞装置については入賞の際に払い出す個数を固定し、他の入賞装置については現在の遊技状態に応じて入賞の際に払い出す個数を可変にする構成としてもよい。この構成では、弾球遊技機100の遊技盤表面102上に配置される入賞装置に応じて、遊技者に適切な入賞態様を提供することができる。したがって、遊技者は特定の入賞装置を狙って遊技し、より多くの賞品球を獲得する機会が得られる。 との記載が認められる。 摘記した上記の記載から、引用文献1には、 「大入賞口118と、 遊技球Bの通過を検出するゲート140と、 該ゲート140を遊技球Bが通過した場合には、特別図柄を変動させ、その変動後に停止した状態で表示させる特別図柄表示装置122と、 該特別図柄表示装置122の変動後に停止した状態で表示された特別図柄が所定の図柄と一致した場合に、大入賞口118に設けられた蓋120を開閉させるための大入賞口ソレノイド186と、 賞品球を払い出す払出手段とを備え、 一部の入賞装置以外の他の入賞装置については特別図柄表示装置に停止して表示された特別図柄が「777」の場合、特別図柄が「☆☆☆」の場合、その他の場合で、入賞の際に払い出す賞品球の個数を可変にする弾球遊技機。」 の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。 また、原査定の拒絶の理由及び当審で通知した拒絶理由に引用された、特開平6-285232号公報(以下、「引用文献2」という。)には、パチンコ機の入賞装置について、 【0014】一方、前記入賞ケース11の背部には装着ケース20が固定されている。そして、作動孔13は装着ケース20内により内奥深く形成される。また作動孔13内には前方へ緩傾斜した傾斜受棚22が配設され、さらに、該傾斜受棚22の前縁に端縁を連接させて、裾板23が垂直状に配設され、前記裾板23の前部を傾斜受棚22の端縁から下方へ直下状に連続する流下路24としている。この流下路24の下底には、後述するように玉を後方へ排出する左右の普通入賞口26,26と、その中央部の特定入賞口27とが設けられている。前記普通入賞口26,26,特定入賞口27には、カウントセンサ(図8参照)が設けられ、さらには特定入賞口27には特別駆動状態を発生させるVセンサ(同じく図8参照)が配設されている。 【0021】次に、前記玉受皿2は、図7で示すようにその背部で、玉を7個ずつ供給する賞球樋50aと、玉を15個ずつ供給する賞球樋50bとに夫々連通している。前記賞球樋50a,50bは、ソレノイド51a,51b等により開閉制御され、かつ7個又は15個の個数の供給を確保する計数供給装置(図示せず)と連通して、当該個数の玉のみが待機するにようにされ、普通入賞口26,26,特定入賞口27に流入した玉が、カウントセンサ又はVセンサに検知されるたびに、ソレノイド51a,51bのいずれかが開放作動して、所定数の玉を排出するものである。この賞球樋50a,50bの選択的開放は、中央制御装置CPUにより制御される。 【0022】すなわち、普通入賞口26,26に玉が通過すると、賞球樋50aが有効となって、玉が7個づつ排出され、特定入賞口27に玉が通過すると、Vセンサがこれを検知して後述するように、所定条件が満了するまで、入賞ごとに玉が15個づつ排出される。 【0029】そしてこの作動と共に、前記賞球樋50bが有効となって、以後例えば所定の入賞個数が消化するまで、または、この特別駆動状態が終了するまで、普通入賞口26,26,特定入賞口27への玉通過に伴って、賞品玉が15個づつ排出される。 との記載が認められ、これらの記載から、引用文献2には、 パチンコ機において、1つの入賞装置内に複数の入賞口(普通入賞口26及び特定入賞口27)を設けるとともに、ある条件下(特定入賞口27に玉が通過してから所定条件が満了するまで)においては、前記複数の入賞口全部について賞球樋50bを有効とし、それ以外の時は、一部の入賞口(特定入賞口27)について賞球樋50bを有効とする技術が開示されていると言える。 (3)対比 そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「大入賞口118」は、本願発明の「大入賞手段(13)」に相当し、以下同様に、 「遊技球Bの通過を検出する」は「遊技球を検出する」に、 「ゲート140」は「始動手段(12)」に、 「ゲート140を遊技球Bが通過した場合には」は「始動手段(12)が遊技球を検出することを条件に」に、 「特別図柄を変動させ、その変動後に停止した状態で表示させる」は「1個又は複数個の図柄が所定時間変動して停止する」に、 「特別図柄表示装置122」は「図柄表示手段(18)」に、 「変動後に停止した状態で表示された特別図柄が所定の図柄と一致した場合」は「変動後の停止図柄が大当たり図柄となったとき」に、 「払出手段」は「払い出し手段(42)」に、 「入賞の際に払い出す賞品球の個数を可変にする」は「遊技球の1入賞に対して前記払い出し手段(42)が払い出すべき賞品球の賞品球数を変化させる」に、それぞれ相当する。 また、引用文献1全体の記載等からみて、以下のことが言える。 a.段落0022には、「大入賞口ソレノイド186は、大入賞口118に設けられた蓋120を「大当たり」の際に開閉させるためのソレノイドである。」と記載されているが、段落0018には、「この大入賞口118は、「大当たり」の際に開く蓋120を備えている。」と記載されているから、大入賞口ソレノイド186は、大入賞口118に設けられた蓋120を「大当たり」の際に開かせるためのものであると認められ、引用発明における「大入賞口118に設けられた蓋120を開閉させるための大入賞口ソレノイド186」は、本願発明の「大入賞手段(13)を遊技者に不利な状態から有利な状態に変換駆動する利益状態を発生させる利益状態発生手段(41)」に実質的に相当する。 b.引用発明の「一部の入賞装置以外の他の入賞装置」と本願発明の「複数の入賞領域(22)?(24)の一部又は全部」は、いずれも「賞品球数が変化する入賞領域」である点で共通している。 c.引用発明において、特別図柄が「777」の場合、特別図柄が「☆☆☆」の場合は、段落0061の記載や弾球遊技機における技術常識に照らして、「大当たり」としているものと認められ、それら大当たり図柄の種類によって入賞の際に払い出す賞品球の個数を可変にしているのであるから、引用発明も本願発明における「図柄表示手段(18)の大当たり図柄の種類によって変化させる賞品球数制御手段(44)」の構成を実質的に備えている。 よって、引用発明と本願発明は、 「大入賞手段と、遊技球を検出する始動手段と、該始動手段が遊技球を検出することを条件に1個又は複数個の図柄が所定時間変動して停止する図柄表示手段と、該図柄表示手段の変動後の停止図柄が大当たり図柄となったときに、前記大入賞手段を遊技者に不利な状態から有利な状態に変換駆動する利益状態を発生させる利益状態発生手段と、賞品球を払い出す払い出し手段とを備え、前記賞品球数が変化する入賞領域への遊技球の1入賞に対して前記払い出し手段が払い出すべき賞品球の賞品球数を、前記図柄表示手段の大当たり図柄の種類によって変化させる賞品球数制御手段を備えた弾球遊技機。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]本願発明の「大入賞手段(13)」は複数個の入賞領域(22)?(24)を有しているのに対し、引用発明の「大入賞口118」は複数個の入賞領域を有していない点。 [相違点2]本願発明は、前記払い出し手段(42)が払い出すべき賞品球の賞品球数を、図柄表示手段(18)の大当たり図柄の種類によって変化させる入賞領域を「複数の入賞領域(22)?(24)の一部又は全部」としているのに対し、引用発明は、払い出す賞品球の個数が可変な入賞装置を格別限定していない点。 [相違点3]本願発明は、賞品球数制御手段(44)が複数の前記入賞領域(22)?(24)の一部又は全部に対応して設けられているのに対し、引用発明は、入賞の際に払い出す賞品球の個数を可変にする手段がどの入賞装置に対応して設けられているのか格別限定していない点。 (4)判断 [相違点1について]図柄表示手段の変動後の停止図柄が大当たり図柄となったときに、大入賞手段を遊技者に不利な状態から有利な状態に変換駆動する弾球遊技機において、前記大入賞手段がその内部に複数の入賞領域を有することは、例えば、当審で通知した拒絶理由に引用した、文献3:特開平7-39630号公報(特に、段落0061?0064)及び文献4:特開平9-201460号公報(特に、段落0014?0016)に記載されているように、従来周知の事項にすぎないから、引用発明において、大入賞口118の内部に複数の入賞領域を設けることは、当業者が適宜実施する設計的事項である。 [相違点2、3について] 引用発明においては、払い出す賞品球の個数が可変な入賞装置を格別限定していないが、他の入賞装置として大入賞口118を選択することは、当業者が適宜選択し得る事項であり、[相違点1について]の項で述べたように、大入賞口118の内部に複数の入賞領域を設けることは、当業者が適宜実施する設計的事項である。 そして、その際に入賞の際に払い出す賞品球の個数を可変にする手段を、複数の入賞領域の全部に対応して設けることも、当業者によって当然行われる事項である。 また、上記3.(2)に記載したように、引用文献2(特開平6-285232号公報)には、「パチンコ機において、1つの入賞装置内に複数の入賞口を設けるとともに、ある条件下においては、前記複数の入賞口全部について賞球樋50bを有効とし、それ以外の時は、一部の入賞口(特定入賞口27)について賞球樋50bを有効とする技術」、すなわち、1つの入賞装置内に設けた複数の入賞口の一部又は全部について賞球樋50bを有効とする技術が開示されているので、この技術を引用発明に適用し、入賞の際に払い出す賞品球の個数を可変にする手段を、大入賞口118の内部に設けた複数の入賞領域の一部又は全部に対応して設けることは、当業者が容易に想到し得る事項である。 さらに、本願発明の作用効果も、引用文献1、2の記載及び従来周知の事項から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願請求項2については検討するまでもなく、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-10-29 |
結審通知日 | 2007-10-30 |
審決日 | 2007-11-15 |
出願番号 | 特願平11-145926 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
P 1 8・ 572- WZ (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 池谷 香次郎 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
土屋 保光 林 晴男 |
発明の名称 | 弾球遊技機 |
代理人 | 谷藤 孝司 |