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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1170099
審判番号 不服2004-13013  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-24 
確定日 2008-01-04 
事件の表示 平成 9年特許願第204216号「景品交換システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月23日出願公開、特開平11- 47406〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成9年7月30日の出願であって、平成16年5月21日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月24日に拒絶査定に対する審判が請求され、平成19年7月18日付で通知された当審の拒絶理由に対して、同年9月18日付で手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1乃至3に係る発明は、平成19年9月18日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。

「複数の景品計数機と、複数の景品POSと、管理サーバとを具備する景品交換システムにおいて、
管理サーバは、各景品計数機に、パチンコ玉と特殊景品の交換レートを示す各景品計数機に対応したレート指定情報をダウンロードすると共に、各景品POSに該レート指定情報と、1個の特殊景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示す交換率データの組の複数個をダウンロードし、
景品計数機は、投入されたパチンコ玉の数を計数し、計数されたパチンコ玉数とダウンロードされたレート指定情報が印刷された発券レシートを発行し、
景品POSは、発券レシート上のレート指定情報を調べ、レートに対応する上記交換率データに基づいて、発券レシート上に記載されたパチンコ玉数に対応した景品個数を求める
ことを特徴とする景品交換システム。」

3 引用例
当審で通知した拒絶の理由に引用した、特開平9-56912号公報(以下、「引用例1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、管理サーバと景品交換装置(景品POSとも呼ばれる)とを具備する景品管理システムにおいて、営業中であっても、交換単価などの営業に必要な定数を変更できるようにしたものである。交換単価とは、例えばタバコは50個のパチンコ玉で交換できると言うようなものである。」
イ.「【0014】【発明の実施の形態】図1は本発明の景品管理システムの概要を示す図である。同図において、1は景品計数機、2は管理サーバ、3は景品交換装置をそれぞれ示している。景品計数機1のホッパにパチンコ玉を入れ、発券ボタンを押下すると、入れられたパチンコ玉の数,計数機ナンバー,発券ナンバー等が管理サーバ2に送られると共に、計数機ナンバーや発券ナンバー,パチンコ玉数,バーコードなどが印刷された発券レシートを発行する。バーコードは、計数機ナンバー,発券ナンバー,パチンコ玉数を示す情報を含む。管理サーバ2は、送られてきたパチンコ玉数,計数機ナンバー,発券ナンバー等を記憶する。
【0015】御客が発券レシートを景品交換装置に持参すると、オペレータは発券レシートのバーコードをバーコード・リーダに読み取らせる。景品交換装置3は、読み取ったバーコードで示されているパチンコ玉数,計数機ナンバー,発券ナンバー等が管理サーバ2に登録されているか否かを調べ、登録されている場合には交換情報を画面に表示する。交換情報とは、発券レシートに記載されているパチンコ玉数で何個の特殊景品を得ることが出来るかを示すものである。」
ウ.「【0020】・・・なお、景品交換装置と景品POSは同一物である。」
エ.「【0026】図6を参照して定数変更後のダウンロード処理を説明する。運用中に景品POSの運用定数を変更したい場合、景品POSのオペレータは、定数登録画面を景品POSの表示部に表示させ、定数登録画面において登録定数を変更する。
【0027】登録画面における登録定数の変更が終了すると、景品POSのオペレータは、終了キーと取消キーの内の何れかを操作する。取消キーが操作された場合には、定数登録画面は終了する。終了キーが操作された場合には、景品POSから管理サーバに定数登録電文が送信される。
【0028】定数登録電文を受信すると、管理サーバは登録定数を変更する。なお、管理サーバの運用定数は変更されない。管理サーバは、定数登録が終了すると、定数登録完了を景品POSに通知する。この定数登録完了を受け取ると、景品POSは登録定数ファイルの定数を,登録画面上の変更処理された定数に変更する。この処理が終了すると、定数登録画面が終了する。
【0029】定数登録画面が終了した後、変更処理前の登録定数と変更処理後の登録定数を比べ、変更処理後の登録定数に変更ありか否かを調べる。変更ありの場合は確認画面が景品POSの表示部に表示され、変更なしの場合は何も行われない。
【0030】図8は確認画面の例を示す。確認画面には「ダウンロードしますか?」,「はい」,「いいえ」と言う文字列が表示される。景品POSのオペレータは、定数のダウンロードを行う場合には「はい」にカーソルを位置付け実行キーを押下し、定数のダウンロードをしない場合は「いいえ」にカーソルを位置付け実行キーを押下する。
【0031】景品POSは、「はい」ボタンが選択された場合には管理サーバに定数のダウンロード要求電文を送り、「いいえ」ボタンが選択された場合には何もしない。管理サーバは、定数のダウンロード要求電文を受け取ると、登録定数を景品POSにダウンロードする。景品POSは、ダウンロードされた登録定数を受信し、自己の運用定数ファイル及び登録定数ファイルにコピーする。」

上記ア?エの記載事項によれば、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1」という)が記載されているものと認められる。

「景品計数機1のホッパにパチンコ玉を入れ、発券ボタンを押下すると、入れられたパチンコ玉の数,計数機ナンバー,発券ナンバー等が管理サーバ2に送られると共に、計数機ナンバーや発券ナンバー,パチンコ玉数,バーコードなどが印刷された発券レシートを発行し、
発券レシートを景品交換装置3に持参すると、発券レシートのバーコードをバーコード・リーダに読み取らせ、景品交換装置3は、読み取ったバーコードで示されているパチンコ玉数,計数機ナンバー,発券ナンバー等が管理サーバ2に登録されているか否かを調べ、登録されている場合には発券レシートに記載されているパチンコ玉数で何個の特殊景品を得ることが出来るかを示す交換情報を画面に表示し、
景品POSの運用定数を変更したい場合、管理サーバは、変更処理後の登録定数を景品POSにダウンロードし、景品POSは、ダウンロードされた登録定数を自己の運用定数ファイル及び登録定数ファイルにコピーして、営業中であっても、交換単価などの営業に必要な定数を変更できるようにした景品管理システム。」

また、当審で通知した拒絶の理由に引用した、特開平9-192324号公報(以下、「引用例2」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

a.「【特許請求の範囲】【請求項1】 遊技場を複数のエリアに分割し、エリア毎に遊技媒体計数機を設け、前記エリア間の遊技媒体の移動を防止する媒体移動防止手段を設け、前記遊技媒体計数機で計数された遊技媒体数を指数に換算して記録媒体に書き込む記録装置を設け、前記指数への換算率を前記エリア毎に異なる数値としたことを特徴とする遊技場システム。」
b.「【0028】・・・さらに、前記島ユニット13には、対応する島(エリア)に設置された遊技台にて獲得した遊技球を計数するための計数機(遊技媒体計数機)20が接続されている。なお、この計数機20には、他のエリアにて獲得した遊技球の計数を許可しない媒体移動防止手段21が設けられるとともに、計数した遊技媒体数を指数に換算して記録媒体に書き込む記録装置22が設けられている。」

上記a?bの記載事項によれば、引用例2には次の発明(以下、「引用発明2」という)が記載されているものと認められる。

「遊技台にて獲得した遊技球を計数するための計数機20に、計数された遊技球を指数に換算して記録媒体に書き込む記録装置22を設け、前記指数への換算率をエリア毎に異なる数値とした遊技場システム。」

4 対比
本願発明と引用発明1を比較する。
引用発明1の「景品計数機1」は本願発明の「景品計数機」に相当し、以下同様に、「管理サーバ2」は「管理サーバ」に、「景品交換装置3」は「景品POS」に、「景品管理システム」は「景品交換システム」にそれぞれ相当し、さらに以下のことが言える。
引用例1の図1を参照すると、引用発明1の「景品管理システム」(景品交換システム)が複数の「景品計数機1」と複数の「景品交換装置3」(景品POS)と「管理サーバ2」とを具備していることは明らかである。
引用発明1の「景品POSの運用定数を変更したい場合、管理サーバは、変更処理後の登録定数を景品POSにダウンロードし、景品POSは、ダウンロードされた登録定数を自己の運用定数ファイル及び登録定数ファイルにコピーして、営業中であっても、交換単価などの営業に必要な定数を変更できるようにした」事項について、「交換単価」は、上記3に摘示した引用例1の記載事項アに「例えばタバコは50個のパチンコ玉で交換できると言うようなものである。」とあるように、1個の景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示すものであり、引用発明1においても「発券レシートに記載されているパチンコ玉数で何個の特殊景品を得ることが出来るか」を求めるのであるから、本願発明の「1個の特殊景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示す交換率データ」を実質的に含むものである。また、引用発明1の「交換単位」を含む「営業に必要な定数」は、運用定数を変更したい場合に変更処理後の登録定数として管理サーバから景品POSへダウンロードされるのであるから、引用発明1の上記事項は、本願発明の「管理サーバは、・・・各景品POSに・・・1個の特殊景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示す交換率データ・・・をダウンロード」する事項に対応する。
引用発明1の「景品計数機1のホッパにパチンコ玉を入れ、発券ボタンを押下すると、入れられたパチンコ玉の数,計数機ナンバー,発券ナンバー等が管理サーバ2に送られると共に、計数機ナンバーや発券ナンバー,パチンコ玉数,バーコードなどが印刷された発券レシートを発行」する事項について、「ホッパに・・・入れられたパチンコ玉の数」は本願発明の「投入されたパチンコ玉の数」に相当するから、引用発明1の上記事項は、本願発明の「景品計数機は、投入されたパチンコ玉の数を計数し、計数されたパチンコ玉数・・・が印刷された発券レシートを発行」する事項に対応する。
引用発明1の「発券レシートを景品交換装置3に持参すると、発券レシートのバーコードをバーコード・リーダに読み取らせ、景品交換装置3は、読み取ったバーコードで示されているパチンコ玉数,計数機ナンバー,発券ナンバー等が管理サーバ2に登録されているか否かを調べ、登録されている場合には発券レシートに記載されているパチンコ玉数で何個の特殊景品を得ることが出来るかを示す交換情報を画面に表示」する事項について、「発券レシートに記載されているパチンコ玉数で何個の特殊景品を得ることが出来るか」を求めることは、本願発明の「発券レシート上に記載されたパチンコ玉数に対応した景品個数を求める」ことに相当し、その際「交換率データに基づいて」求められることは自明である。

したがって、両者は、
「複数の景品計数機と、複数の景品POSと、管理サーバとを具備する景品交換システムにおいて、
管理サーバは、各景品POSに1個の特殊景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示す交換率データをダウンロードし、
景品計数機は、投入されたパチンコ玉の数を計数し、計数されたパチンコ玉数が印刷された発券レシートを発行し、
景品POSは、上記交換率データに基づいて、発券レシート上に記載されたパチンコ玉数に対応した景品個数を求める景品交換システム。」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
管理サーバによるダウンロードについて、本願発明では、各景品計数機に、パチンコ玉と特殊景品の交換レートを示す各景品計数機に対応したレート指定情報をダウンロードすると共に、各景品POSに該レート指定情報と、1個の特殊景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示す交換率データの組の複数個をダウンロードするのに対して、引用発明1では、レート指定情報は扱っておらず、各景品POSに1個の特殊景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示す共通の交換率データをダウンロードしている点。

(相違点2)
景品計数機の発行する発券レシートについて、本願発明では、計数されたパチンコ玉数とダウンロードされたレート指定情報が印刷されるのに対して、引用発明1では、計数されたパチンコ玉数は印刷されるが、レート指定情報は扱っていない点。

(相違点3)
景品POSが発券レシート上に記載されたパチンコ玉数に対応した景品個数を求めるにあたり、本願発明では、発券レシート上のレート指定情報を調べ、レートに対応する交換率データに基づいて求めるのに対して、引用発明1では、共通の交換率データに基づいて求める点。

5 当審の判断
上記相違点1乃至3は、相互に関連したものであることから、まとめて検討する。
上記引用発明2において、「遊技球」は本願発明の「パチンコ玉」に相当し、以下同様に、「計数機20」は「景品計数機」に、「遊技場システム」は「景品交換システム」にそれぞれ相当する。さらに、引用発明2の「指数」について検討すると、一般的に指数とは、一定の基準に対する割合にあたるものであるから、一定の基準を「1個の特殊景品」とすれば(景品交換システムの発明において、そのように対応させることは自然である)、引用発明2の「指数」は「景品個数」にあたり、その場合、引用発明2の「換算率」は、本願発明における、1個の特殊景品が何個のパチンコ玉に相当するかを示す「交換率データ」に対応する。よって、引用発明2は、「各景品計数機が、各景品計数機に対応した交換率データを備え、該交換率データに基づいてパチンコ玉数に対応した景品個数を求める景品交換システム」の発明であると換言することができる。
そして、引用発明1及び引用発明2は同一の技術分野に属するものであり、さらに、パチンコ玉数と交換率データを用いた景品交換のための処理は、景品計数機ではなく景品POSが行うのが一般的あって、引用発明1においても景品POSが行っていること、及び、本願発明の「レート指定情報」とは、交換率データと常に一対一に対応するものであり、交換率データと複数個の組にして取り扱うことはデータ管理上の設計事項にすぎないことを考え合わせると、引用発明1に引用発明2を適用し、その際に、各景品計数機にレート指定情報をダウンロードすると共に、各景品POSにレート指定情報と交換率データの組の複数個をダウンロードし、景品計数機の発行する発券レシートにレート指定情報を印刷し、景品POSが発券レシート上のレート指定情報を調べ、レートに対応する交換率データに基づいて景品個数を求めるように設計することは、当業者であれば容易になしえるものである。

また、本願発明の作用効果も引用発明1及び引用発明2から当業者が予測できる範囲のものである。

6 むすび
したがって、本願発明は引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-23 
結審通知日 2007-11-06 
審決日 2007-11-20 
出願番号 特願平9-204216
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 中槙 利明
林 晴男
発明の名称 景品交換システム  
代理人 長澤 俊一郎  
代理人 長澤 俊一郎  

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