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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1170104
審判番号 不服2004-16154  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-05 
確定日 2008-01-04 
事件の表示 特願2000-176605「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月25日出願公開、特開2001-353254〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成12年6月13日の出願であって、平成15年12月25日付の拒絶理由通知が通知され、平成16年4月22日付で意見および手続補正がなされ、平成16年6月25日付の拒絶査定がなされ、平成16年8月5日付で審判請求がなされ、平成16年9月3日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年9月3日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年9月3日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
平成16年9月3日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1において特定される下記のとおりのものである。

「複数種類の絵柄が描かれ、機械的に回転する複数の回転リールと、前記各回転リールの回転位置を検出する位置検出部を備えると共に、第1CPUによるマイコン制御によって、スロットマシンとしての主たる動作を実現するメイン回路と、前記回転リールと同一絵柄の擬似回転リールを含んだ描画動作が実行される表示装置と、第2CPUによるマイコン制御によって動作して、前記メイン回路から受けた制御データに基づいて、前記表示装置の描画動作を実現する液晶表示用回路とを備え、
前記メイン回路は、前記位置検出部によって前記各回転リールの現在の回転位置を認識し、これを位置情報の制御コマンドとして出力しており、
前記表示用回路は、前記メイン回路から前記位置情報の制御データを受け、前記擬似回転リールを回転動作させるだけでなく、その他の制御データに基づいて、(a)メダル投入動作、(b)スタートレバー操作に対応する回転リールの回転動作、(c)ストップボタン操作に対応する回転リールの停止動作、(d)ボーナスゲームやレギュラーボーナスに関する動作など、スロットマシンの現状を認識し、それに対応する表示動作を行っていることを特徴とするスロットマシン。」(以下、「本願補正発明」という。)

平成16年9月3日付の手続補正は、平成16年4月22日付の手続補正により補正された請求項1?8に記載された発明を特定するための事項の限定に相当するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合している。
そこで、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例について
1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-39618号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「【特許請求の範囲】【請求項1】 外周面に各種のシンボルが描かれた複数の回転ドラムを横方向に並設してなる小型の可変表示器と、該可変表示器の複数の回転ドラムと同じ画像が表示される大型の画像表示装置とを前面に備え、
スタートレバーの操作により可変表示器の複数の回転ドラムを回転させると共に、画像表示装置の画像を移動させ、その停止時における可変表示器の各回転ドラムのシンボルと画像表示装置の画像とを常に一致させるようにしたことを特徴とするスロット式ゲーム機。」

・記載事項2
「【発明の詳細な説明】
【0001】【産業上の利用分野】本発明は、スロット式ゲーム機に関し、特に複数の回転ドラムを有する小型の可変表示器と、該可変表示器と同じ画像を表示する大型の画像表示装置とを備えたスロット式ゲーム機に関するものである。」

・記載事項3
「【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、上述したような従来技術のもつ欠点を解決するためになされたもので、外周面に各種のシンボルが描かれた複数の回転ドラムを横方向に並設してなる小型の可変表示器と、該可変表示器の複数の回転ドラムと同じ画像が表示される大型の画像表示装置とを前面に備え、スタートレバーの操作により可変表示器の複数の回転ドラムを回転させると共に、画像表示装置の画像を移動させ、その停止時における可変表示器の各回転ドラムのシンボルと画像表示装置の画像とを常に一致させるようにしたものである。」

・記載事項4
「【0007】【実施例】以下、図面に従って本発明の一実施例について説明する。図1は本発明の一実施例のスロット式ゲーム機の斜視図、図2はその裏面図である。なお、本実施例の場合、コインとパチンコ球の両方を使用可能なスロット式ゲーム機について説明する。ただし、これは単に例示しただけであるのはもちろんであり、本発明はコイン又はパチンコ球のいずれかのみを使用するスロット式ゲーム機にも同様に利用できる。
【0008】図において、1はスロット式ゲーム機を示し、機枠2とこの機枠2に対して一側で開閉可能に支持された前面パネル3を備える。この前面パネル3には、そのほぼ中央に大型の表示窓4を有し、この表示窓4には前面パネル3の裏面に取付けた画像表示装置5の表示部(ブラウン管)6が臨み、該表示窓4の表面にはガラス等の透明板7がはめ込まれている。」

・記載事項5
「【0015】前記画像表示装置5の表示部6には、可変表示器9の各回転ドラム10と同じ画像が表示される。すなわち、表示部6にはドラム外周を表示する3個の縦長の方形図形29が並設されており、該方形図形29には可変表示器9の各回転ドラム10の外周面に描かれたシンボルと同じものが表示さされるように電気的に制御される。」

・記載事項6
「【0019】そして、遊技者がベット選択ボタン19を押して賭率を指定した後、スタートレバー17を押下げると、可変表示器9の各回転ドラム10が一斉に回転し同時に画像表示装置5のドラム外周面を表示する3個の縦長の方形図形29が上から下へ向って移動し、あたかもドラムが回転しているかのように表示される。
【0020】次に、遊技者はタイミングを図ってストップボタン15を任意の順序で押して可変表示器9の各回転ドラム10をそれぞれ停止させる。同時に画像表示装置5の表示部6に表示される各方形図形29もその画像の流れる速度を次第に減速させつつ停止する。なお、上述のような画像表示装置5の画像表示動作は電子的制御装置のプログラムによってすべて可変表示器9の各回転ドラム10と同期して行われる。従って、可変表示器9の各回転ドラム10がすべて停止したとき、画像表示装置5の表示部6には各回転ドラム10のシンボルと同じ画像が表示される。
【0021】このようにして、すべての回転ドラム10および画像表示装置5のドラム図形29が停止すると、ベット選択ボタン19で選択された賭けライン13上に並んだシンボルの組み合わせにより賞態様の有無が検出され、成立しておれば賞態様に応じた数のコインがクレジットされて残高表示部20に表示され、又はその都度コイン払出装置33により受皿26に払い出される。」

・記載事項7
「【0024】そして、ベット選択ボタン27a?27cで選択された賭けライン13上に並んだシンボルの組み合せにより賞態様の有無が検出され、成立しておれば賞態様に応じた数のパチンコ球が払出装置36から排出通路37を介して投入皿25に排出される。なお、クレジットを選択した場合には残高表示部20にパチンコ球5個単位で表示される。
【0025】なお、本実施例の画像表示装置5はブラウン管方式のディスプレーとして説明したが、これに限られることなく、例えば液晶ディスプレー、エレクトリック・ルミネッセンス等を用いたものであってもよい。」

・記載事項8
「【0026】【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、外周面に各種のシンボルが描かれた複数の回転ドラムを横方向に並設してなる小型の可変表示器と、該可変表示器の複数の回転ドラムと同じ画像が表示される大型の画像表示装置とを前面に備え、スタートレバーの操作により可変表示器の複数の回転ドラムを回転させると共に、画像表示装置の画像を移動させ、その停止時における可変表示器の各回転ドラムのシンボルと画像表示装置の画像とを常に一致させるようにしたものであるから、回転ドラムを使用したスロットゲーム機と画像表示装置を使用したTV感覚のスロットゲーム機の両方を楽しむことができる。
【0027】そして、画像表示装置の表示部を大きくすることにより、ゲーム結果を見易くすることができ、従来に比べて一段とゲームの面白さを増大することができる。
【0028】また、大型の回転ドラムを使用した従来のスロットゲーム機に比べて全体に薄形に形成することができ、パチンコ機とほぼ同じスペースに設置が可能となって容易に交換することができる。」

以上の記載事項1?記載事項8及び図1?図4によれば、
「外周面に各種のシンボルが描かれた複数の回転ドラム10を横方向に併設してなる小型の可変表示器9と、可変表示器9の複数の回転ドラム10と同じ画像が表示される大型の画像表示装置5を備え、メダルを投入した後、スタートレバー17を操作することにより、可変表示器9の複数の回転ドラム10を回転させると共に、画像表示装置5を移動させ、ストップボタン15を任意の順序で押して、可変表示器9の回転ドラム10をそれぞれ停止させ、同時に画像表示装置5の表示部6に表示される各方形図形29も停止させ、並んだシンボルの組合せにより賞態様の成立の有無が検出されると、賞態様が成立した場合、その賞態様に基づいてメダルの払い出されるスロット式ゲーム機。」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)
2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-47351号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項ア
「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、種々の図柄を移動表示する可変表示部と、この可変表示部の移動表示を制御する制御手段とを備えて構成される遊技機において、可変表示部の移動表示を表示する副表示手段を備え、制御手段はこの副表示手段の表示を制御することを特徴とするものである。
【0006】本構成によれば、リールの回転表示等、可変表示部の移動表示に付随する内容が副表示手段に表示されるため、遊技者は可変表示部自体または副表示手段のいずれか見やすい一方の表示により、可変表示部の図柄を視認することが出来る。ここで、可変表示部の移動表示に付随する内容とは、可変表示部の移動表示をそっくりそのまま模擬したもの、表示の体裁を変えたもの、移動表示と密接に関連させて多少の変更を加えたもの等がある。
【0007】また、本発明は、副表示手段がディスプレイ装置からなり、制御手段が、副表示手段による表示において図柄の中の所定の入賞図柄を強調して表示することを特徴とするものである。このディスプレイ装置には、液晶画面表示装置,プラズマディスプレイ装置,CRT,ドット式表示装置,7セグメントLED,エレクトロルミネセンス表示装置等が含まれる。」

・記載事項イ
「【0017】スロットマシン1の前面パネル23の背後には可変表示部を構成する3個のリール2,3,4が回転自在に設けられている。各リール2,3,4の外周面には複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれている。これらシンボルはスロットマシン1の正面の表示窓5,6,7を通してそれぞれ3個ずつ観察できる。また、この表示窓5,6,7の下方右側には、遊技者がメダルを入れるための投入口8が設けられている。」

・記載事項ウ
「【0022】また、各リール2,3,4の右方の前面パネル23には液晶表示部24が設けられている。この液晶表示部24は各リール2,3,4の移動表示すなわち回転表示を模擬的に表示するディスプレイ装置であって副表示手段を構成している。」

・記載事項エ
「【0024】図3は、本実施形態のスロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示している。
【0025】制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32およびRAM33を含んで構成されている。CPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34および分周器35と、一定範囲の乱数を発生する乱数発生器36および発生した乱数の1つを特定する乱数サンプリング回路37が接続されている。
【0026】マイコン30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、リール2,3,4を回転駆動するステッピングモータ2M,3M,4M、メダルを収納するホッパ38、液晶表示部24およびスピーカ39がある。これらはそれぞれモータ駆動回路40、ホッパ駆動回路41、表示駆動回路42およびスピーカ駆動回路43によって駆動される。これら駆動回路40?43は、マイコン30のI/Oポートを介してCPU31に接続されている。各ステッピングモータ2M?4Mはモータ駆動回路40によって1-2相励磁されており、400パルスの駆動信号が供給されるとそれぞれ1回転する。
【0027】また、マイコン30が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートレバー15の操作を検出するスタートスイッチ15Sと、メダル投入口8から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ8Sと、前述したC/Pスイッチ14とがある。また、図示しないリール回転センサからの出力パルス信号を受けて各リール2,3,4の回転位置を検出するリール位置検出回路44もある。リール回転センサおよびリール位置検出回路44は同図では各リール2,3,4の駆動機構に含まれている。
【0028】リール回転センサは各リール2,3,4が一回転する毎にリセットパルスを発生する。このリセットパルスは、モータインデックスパルス信号のオンエッジ、つまり同パルス信号のローレベルからハイレベルへの立ち上がり変化時に出力される。リール回転センサから出力されるリセットパルスはリール位置検出回路44を介してCPU31に与えられる。
【0029】RAM33内には、各リール2?4について、一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が後述するように格納されており、CPU31はリセットパルスを受け取ると、RAM33内に形成されたこの計数値を“0”にクリアする。このクリア処理により、各シンボルの移動表示と各ステッピングモータ2M?4Mの回転との間に生じるずれが、一回転毎に解消されている。
【0030】さらに、上記の入力信号発生手段として、リール停止信号回路45と、払出し完了信号発生回路46とがある。リール停止信号回路45は、停止ボタン16,17,18が押された時に、対応するリール2,3,4を停止させる信号を発生する。また、メダル検出部47はホッパ38から払い出されるメダル数を計数し、払出し完了信号発生回路46は、このメダル検出部47から入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が所定の配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を知らせる信号をCPU31へ出力する。
【0031】ROM32には、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞判定テーブル,シンボルテーブルおよび入賞シンボル組合せテーブルがそれぞれ区分されて格納されている。
【0032】入賞判定テーブルは、乱数発生器36で発生する一定範囲の乱数を各入賞態様に区画するデータを記憶している。サンプリング回路37で特定された1つの乱数値はこの区画のどのグループに属するかが判定され、入賞態様が決定される。」

・記載事項オ
「【0075】図11(d)はこのような定速回転処理によって各リール2?4および液晶表示部24に移動表示されるシンボルの一例を示している。
【0076】この例では、停止ボタン16が操作され、第1リール2が観察される窓5の最下段にシンボル「7」が停止表示されている。また、停止ボタン17が操作され、第2リール3が観察される窓6の中段にシンボル「7」が停止表示されている。従って、液晶表示部24には、第1リール2および第2リール3に対応する領域に、各リール2,3と同じシンボルが停止表示されている。
【0077】第3リール3は上述した定速回転処理によって制御されている最中であり、第3リール4が観察される窓7の最上段には「プラム」が表示されている。この「プラム」はシンボルテーブル(図4参照)のコードナンバー「4」に位置している。図2のシンボル列から理解されるように、この「プラム」は、第3リール4のコードナンバー「8」に位置するシンボル「7」の4コマ前に位置している。
【0078】上述した定速回転処理ではこのシンボル「7」を所定の図柄としている。従って、上述の定速回転処理において、第3リール4が観察される窓7の最上段に図11(d)に示すように「プラム」が表示され、ST41の処理で図柄カウンタのカウント値が4カウントアップされると、図柄カウンタのカウント値は「8」となり、図柄カウントは所定の図柄であるシンボル「7」を指し示すことになる。従って、ST44の処理によって表示カウンタのカウント値が4にセットされ、ST49の処理により、液晶表示部24の第3リール相当領域に図11(d)に示すようにシンボル「7」が表示される。
【0079】このシンボル「7」の表示は、ST50の処理によって表示カウントがカウントダウンされて4カウントされるまで行われる。4カウントされると表示カウントが0になるため、ST47の処理で表示カウントがリセットされたものと判断され、このシンボル「7」の表示が終了する。従って、液晶表示部24の第3リール相当領域の最上段には4コマの表示時間中シンボル「7」が停止表示される。
【0080】前述した乱数抽選によってビッグボーナスゲームといった特定入賞が生じ、この入賞フラグがセットされると、CPU31はリール停止制御処理において4コマ分の引き込み制御処理をする。すなわち、停止ボタンを操作するタイミングが4コマ分ずれても、特定図柄が停止表示されるようにリールを停止制御する。」

以上の記載事項ア?記載事項オおよび図1?図11を踏まえれば、引用例2には次の技術が記載されていると認められる。
「回転リール2、3、4を移動表示する可変表示部と、回転リールの移動表示をそっくりそのまま模擬した回転リールを移動表示する液晶表示部24と、回転リール2、3、4のリール位置を検出するリール位置検出回路44と、CPUを伴うマイコン30を備え、マイコン30は、リール位置を検出するリール位置検出回路44等から出力されるデータに基づいて、可変表示部と液晶表示部24を同期するように制御するスロットマシン」(以下、「引用例2の記載技術」という。)

(3)対比
引用例1に記載された発明と本願補正発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「外周面に各種のシンボルが描かれた複数の回転ドラム10を横方向に併設してなる小型の可変表示器9」は本願補正発明の「複数種類の絵柄が描かれ機械的に回転する複数の回転リール」に相当し、以下同様に、「可変表示器9の複数の回転ドラム10と同じ画像が表示される大型の画像表示装置5」は「回転リールと同一絵柄の擬似回転リールを含んだ描画が実行される表示装置表示装置」に、「スロット式ゲーム機」は「スロットマシン」にそれぞれ相当している。
また、引用例1に記載された発明は、以下の点を実質的に備えているということができる。

1)実質的具備事項1
引用例1に記載された発明においては、大型の画像表示装置5には、外周面に各種のシンボルが描かれた複数の回転ドラム10を横方向に併設してなる小型の可変表示器9と同じ画像が表示されるのであるから、引用例1の明細書および図面に明確な記載はないものの、引用例1に記載された発明は、両可変表示器が同期するように制御を行う制御回路を備えていると解することが合理的である。
したがって、引用例1に記載された発明は、画像表示装置5と可変表示器9に同じ画像が表示されるような同期制御を行う制御回路を実質的に備えているということができる。

2)実質的具備事項2
スロットマシンは、メダル又はパチンコ球の投入、スタートボタンやスタートレバーの操作、そのスタートボタンの操作により、内部抽選がなされて、ストップボタンの操作により、内部抽選した賞態様になるような目押しが行われると、その賞態様に基づいて、メダル又はパチンコ球が支払われることが1回遊技の基本であることを踏まえれば、上記実質的具備事項1において示したような制御回路は、メダルの投入操作、スタートレバーの操作の有無とそれに伴う内部抽選、ストップボタンの操作、その操作による内部抽選に応じた入賞態様への引き込みによる入賞の確定、入賞確定に伴うメダル払出し等のデータに基づいて制御されることは例示するまでもなくスロットマシンにおける常識技術に過ぎない。
したがって、引用例1に記載された発明は、メダルの投入、スタートボタンやスタートレバーの操作、そのスタートボタンの操作により、内部抽選がなされて、ストップボタンの操作により、内部抽選した賞態様になるような目押しが行われると、その賞態様に基づいて、メダルが支払われるような制御を行う制御回路を実質的に備えており、各種操作データや制御データに基づいて、メダル投入動作、スタートレバー操作に対応する回転リールの回転動作、ストップボタン操作に対応する回転リールの停止動作、ボーナスゲームやレギュラーボーナスに関する動作など、スロットマシンの現状を認識し、それに対応する表示動作を行っている制御回路を実質的に具備していると解される。

上記の実質的具備事項1?2を考慮すると、本願補正発明と引用例1に記載された発明は、

「複数種類の絵柄が描かれ、機械的に回転する複数の回転リールと、回転リールと同一絵柄の擬似回転リールを含んだ描画動作が実行される表示装置と、回転リールと表示装置を同期するように制御する制御回路とを備え、その制御回路は、操作データや制御データに基づいて、メダル投入動作、スタートレバー操作に対応する回転リールの回転動作、ストップボタン操作に対応する回転リールの停止動作、ボーナスゲームやレギュラーボーナスに関する動作など、スロットマシンの現状を認識し、それに対応する表示動作を行うスロットマシン」の点で一致し、以下の点で相違していると認められる。

<相違点1>
本願補正発明は、各回転リールの回転位置を検出する位置検出部を備えるのに対して、引用例1に記載された発明が、各回転リールの回転位置を検出する位置検出部を有しているか否か明示していない点。

<相違点2>
操作データや制御データに基づいて、メダル投入動作、スタートレバー操作に対応する回転リールの回転動作、ストップボタン操作に対応する回転リールの停止動作、ボーナスゲームやレギュラーボーナスに関する動作など、スロットマシンの現状を認識し、それに対応する表示動作を行う制御回路は、本願補正発明においては、メイン回路と液晶表示用回路の2つから構成され、メイン回路は第1CPUによるマイコン制御によって、スロットマシンとしての主たる動作を実現するとともに、位置検出部によって各回転リールの現在の回転位置を認識し、これを位置情報の制御コマンドとして出力しており、液晶表示用回路は第2CPUによるマイコン制御によって動作して、メイン回路から受けた制御データに基づいて、表示装置の描画動作を実現し、メイン回路から位置情報の制御データを受け、擬似回転リールを回転動作させるものであるのに対して、引用例1に記載された発明においては、その具体的構成が不明である点。

(4)判断
上記相違点について、検討する。
<相違点1について>
引用例2の記載事項エ「【0024】図3は、本実施形態のスロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示している。【0025】制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。・・・【0027】・・・また、図示しないリール回転センサからの出力パルス信号を受けて各リール2,3,4の回転位置を検出するリール位置検出回路44もある。リール回転センサおよびリール位置検出回路44は同図では各リール2,3,4の駆動機構に含まれている。【0028】リール回転センサは各リール2,3,4が一回転する毎にリセットパルスを発生する。このリセットパルスは、モータインデックスパルス信号のオンエッジ、つまり同パルス信号のローレベルからハイレベルへの立ち上がり変化時に出力される。リール回転センサから出力されるリセットパルスはリール位置検出回路44を介してCPU31に与えられる。・・・」なる記載および図3およびスロットマシンの機能に基づけば、引用例2の記載技術の「リール回転センサ」は「リール位置検出部」に、「回転リール2、3、4のリール位置を検出するリール位置検出回路44」は「各回転リールの回転位置を検出する位置検出部」に、「マイコン30」は「制御回路」と言い換えできることは明らかであり、同様に、同記載事項イ、記載事項ウおよび図1に基づけば、「回転リール2、3、4を移動表示する可変表示部」は「複数種類の絵柄が描かれ、機械的に回転する複数回転リール」に、「回転リール2、3、4を移動表示する可変表示部」は「複数種類の絵柄が描かれ、機械的に回転する複数回転リール」に、「回転リールの移動表示をそっくりそのまま模擬した回転リールを移動表示する液晶表示部24」は「回転リールと同一絵柄の擬似回転リールを表示する表示装置」に相当していることも明らかである。
以上を踏まえると、引用例2の記載技術の「CPUを伴うマイコン30を備え、マイコン30は、リール位置を検出するリール位置検出回路44等から出力されるデータに基づいて、可変表示部と液晶表示部24を同期するように制御する」は、「制御回路は、回転リールと表示装置を制御し、制御データに基づくマイコン制御によって、スロットマシンとしての動作を実現するとともに、表示装置の描画動作を実現し、位置検出部によって各回転リールの現在の回転位置を認識し、これを位置情報の制御コマンドとして出力しており、位置情報の制御データを受け、回転リールを回転動作させる」と言い換えることができる。
そうすると、引用例2の記載技術は、「複数種類の絵柄が描かれ、機械的に回転する複数回転リールと、回転リールと同一絵柄の擬似回転リールを表示する表示装置と、各回転リールの回転位置を検出する位置検出部とを備え、制御回路は、回転リールと表示装置を制御し、制御データに基づくマイコン制御によって、スロットマシンとしての動作を実現するとともに、表示装置の描画動作を実現し、位置検出部によって各回転リールの現在の回転位置を認識し、これを位置情報の制御コマンドとして出力しており、位置情報の制御データを受け、回転リールを回転動作させているスロットマシン」なる発明が記載されていると言い換えることができる(以下、「引用例2に記載された発明」という。)。
そして、引用例1に記載された発明と引用例2に記載された発明は、スロットマシンの各回転リールの移動表示とその移動表示を別の表示装置において同期もしくは模擬的に表示して、遊技者の興趣を高める点において共通するのであるから、相互に利用し合うことに格別の困難性はない。
そうすると、引用例1に記載された発明の複数の回転リールに、引用例2に記載された発明の各回転リールの回転位置を検出する位置検出部を設けること、すなわち上記本願補正発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得る程度のことということができる。

<相違点2について>
上記相違点1において示したように、引用例2に記載された発明は、「複数種類の絵柄が描かれ、機械的に回転する複数回転リールと、回転リールと同一絵柄の擬似回転リールを表示する表示装置と、各回転リールの回転位置を検出する位置検出部とを備え、制御回路は、回転リールと表示装置を制御し、制御データに基づくマイコン制御によって、スロットマシンとしての動作を実現するとともに、表示装置の描画動作を実現し、位置検出部によって各回転リールの現在の回転位置を認識し、これを位置情報の制御コマンドとして出力しており、位置情報の制御データを受け、回転リールを回転動作させるスロットマシン」である。
そして、スロットマシンやパチンコ遊技機において、図柄や数字記号の組合せを表示する表示装置と遊技状況に関連する画像を表示し得る映像や画像を表示する画像等表示装置を設ける際に、画像等表示用回路とそれ以外の回路にそれぞれ区分して制御することは、周知技術にすぎない(以下、「周知技術」という。必要であれば、特開平11-114134号公報(スロットマシンの例)、特開平11-90006号公報(パチンコ遊技機の例、スロットマシンに適用できる旨の記載有り)、特開平9-234276号公報(パチンコ遊技機の例)等参照されたい)。
また、上記相違点1において示したように、引用例1に記載された発明と引用例2に記載された発明は、相互に利用し合うことに格別の困難性はない。
そうすると、引用例1に記載された発明に、引用例2に記載された発明のスロットマシンの表示装置用制御回路を適用する際に、周知技術を参酌して、制御回路をメイン回路と液晶表示用回路から構成するとともに、メイン回路は、第1CPUによるマイコン制御によって、スロットマシンとしての主たる動作を実現するとともに、位置検出部によって各回転リールの現在の回転位置を認識し、これを位置情報の制御コマンドとして出力し、液晶表示用回路は第2CPUによるマイコン制御によって動作して、メイン回路から受けた制御データに基づいて、表示装置の描画動作を実現し、メイン回路から位置情報の制御データを受け、擬似回転リールを回転動作させるだけでなく、その他の制御データに基づいて、メダル投入動作、スタートレバー操作に対応する回転リールの回転動作、ストップボタン操作に対応する回転リールの停止動作、ボーナスゲームやレギュラーボーナスに関する動作など、スロットマシンの現状を認識し、それに対応する表示動作を行うようにすること、すなわち本願補正発明の上記相違点2に係る構成となすことは、当業者が容易になし得る程度のことということができる。

(5)作用効果およびむすび
よって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および常識技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、本願補正発明によって奏する効果も、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および常識技術並びに周知技術に基づいて、普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあるとは認められないから、特許法第29条第2項により特許を受けることができない。

(6)補正却下の判断
上記のとおり、本願補正発明は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるので、平成16年9月3日付の手続補正は、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年9月3日付の手続補正は上記のとおり却下されているので、平成16年4月22日付の手続補正書における特許請求の範囲の請求項1?8に係る発明は、その請求項1?8に記載されたとおりと認められ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりに特定されるものである。

「複数種類の絵柄が描かれ、機械的に回転する複数の回転リールと、前記各回転リールの回転位置を検出する位置検出部を備えるメイン回路と、擬似回転リールが描画され、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等からなる表示装置と、前記表示装置の擬似回転リールの動きを実現する表示用回路と、を備え、 前記メイン回路は、前記位置検出部によって前記各回転リールの現在の回転位置を認識し、位置情報として前記表示用回路に出力し、 前記表示用回路は、前記位置情報によって前記表示装置の擬似回転リールを回転動作させる、ことを特徴とするスロットマシン。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例について
引用例1、引用例2およびそれらの記載事項は、上記2.(2)引用例についてに記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記2.(1)補正後の本願発明?(4)判断で検討した本願補正発明において、メイン回路の「と共に、第1CPUによるマイコン制御によって、スロットマシンとしての主たる動作を実現する」を削除し、表示装置の「前記回転リールと同一絵柄の」を削除したものであり、「第2CPUによるマイコン制御によって動作して、前記メイン回路から受けた制御データに基づいて、前記表示装置の描画動作を実現する液晶表示用回路と」なる構成を削除して「擬似回転リールが描画され、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等からなる表示装置と」したものであり、「前記メイン回路から前記位置情報の制御データを受け、前記擬似回転リールを回転動作させるだけでなく、その他の制御データに基づいて、(a)メダル投入動作、(b)スタートレバー操作に対応する回転リールの回転動作、(c)ストップボタン操作に対応する回転リールの停止動作、(d)ボーナスゲームやレギュラーボーナスに関する動作など、スロットマシンの現状を認識し、それに対応する表示動作を行っている」を削除して「前記位置情報によって前記表示装置の擬似回転リールを回転動作させる」なる構成としたものであり、かつ、「これを位置情報の制御コマンドとして出力しており」から「これを」と「の制御コマンド」を削除して、「位置情報として前記表示用回路に出力し」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要素を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)判断?(5)作用効果およびむすびに記載したとおり、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および常識技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および常識技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明および常識技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-30 
結審通知日 2007-11-06 
審決日 2007-11-20 
出願番号 特願2000-176605(P2000-176605)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 太田 恒明
林 晴男
発明の名称 スロットマシン  
代理人 野中 誠一  
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