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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B42D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1170108
審判番号 不服2004-23015  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-29 
確定日 2008-01-04 
事件の表示 平成10年特許願第115861号「週表、週めくり」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月 5日出願公開、特開平11-268447〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は平成10年3月23日の出願であって、平成16年8月30日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年9月29日付けで本件審判請求がされたものである。
本願の特許請求の範囲【請求項1】は、出願当初から補正されておらず次のとおりに記載されている。
「カレンダーにおいて、日表、月表、年表はあるものの週表は今日に至るもない。週給制の時代も考慮され、必要分野。」

2.原拒絶査定の理由
一方、原拒絶査定に係る拒絶理由は、平成16年4月9日付け拒絶理由通知書に記載された理由1及び2であって、次のとおりである。
「理由1
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


理由1
請求項1の記載では、特許を受けようとする発明が不明確である。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
(請求項1の記載では、何を対象とした発明であるのか、その発明が
どのような特徴を有するのかが不明りょうです。)

理由2
・請求項1
・引用文献 実願昭49-88005号(実開昭51-18544号)のマイクロフィルム
・備考
引用文献には、多数の用紙を上端で綴じたカレンダーにおいて、各用紙には一週間分の日付と曜日が記載されているもの、が記載されている。」

また、原拒絶査定の備考には、以下のように記載されている。
「備考
・理由1について
出願人は、意見書で次の意見を述べている。
「特許願請求項1の記載では、何を対象とした発明か、どのような特徴を有するのか不明瞭な点があったとのこと。文面で補足します。
今日使用又は販売されているカレンダーは、日表(日めくり)月表、年表であって、何十年何百年も以前から使用されているもので、カレンダーを販売する当方にとって、法人(会社)商店では、今までのカレンダーでは、同じものが多く使用され広告価値が少なく減少気味です。
したがって、今までと違ったカレンダーを希望する法人(会社)が増える一方、個人でも毎日めくるのが面倒とのこと。そこで週表(週めくり)はあっていいはずです。法人(会社)では同じカレンダーが、いくつも出廻っては広告価値がないと言い使用を望んでいる。
特徴としては、広告価値が多く、単価が安く、週単位で見やすく、機能性を追及したコンパクトサイズの週表です。書き込みがたっぷり出来るメモ欄、読み易い文字、暦の情報も満載です。前月、次月と幅広い予定表付き、広いメモスペースも機能的です。使い易いことがカレンダーの基本、実用性に富んだカレンダーです。カレンダーメーカーに提案しやすいことがあげられる。」

請求項1は、次のとおりのものである。
「カレンダーにおいて、日表、月表、年表はあるものの週表は今日に至るもない。週給制の時代も考慮され、必要分野。」

意見書での前記意見を踏まえ、拒絶理由を補足する。
特許法第36条第6項第2号の規定によれば、特許請求の範囲の記載は、「特許を受けようとする発明が明確である」という要件を満たしていなければならない。
そこで、本願特許請求の範囲をみると、特許請求の範囲の請求項1は、週表の形式のカレンダーが必要であること、を記載しているとは認められる。しかし、請求項1の記載によって、出願人がどのような発明について特許を受けようとしているのかが不明りょうである。
(請求項1の記載では、週表の形式のカレンダーに関する発明であるかどうかもはっきりしない。)
よって、本願特許請求の範囲の請求項1の記載は、「特許を受けようとする発明が明確である」という要件を満たしている、とはいえない。
意見書において特許請求の範囲を補足しているとしても、それによって、本願特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすことになるとはいえない。
したがって、拒絶理由通知書に記載した理由1、すなわち、「請求項1の記載では、特許を受けようとする発明が不明確である。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。」
という拒絶理由は、依然として解消していない。

・理由2について
出願人は、意見書で次の意見を述べている。
「特徴としては、広告価値が多く、単価が安く、週単位で見やすく、機能性を追及したコンパクトサイズの週表です。書き込みがたっぷり出来るメモ欄、読み易い文字、暦の情報も満載です。前月、次月と幅広い予定表付き、広いメモスペースも機能的です。使い易いことがカレンダーの基本、実用性に富んだカレンダーです。カレンダーメーカーに提案しやすいことがあげられる。」
しかし、本願請求項1は、「カレンダーにおいて、日表、月表、年表はあるものの週表は今日に至るもない。週給制の時代も考慮され、必要分野。」であるから、意見書に記載された前記特徴点は、カレンダーが週表の形式であることを除いては、本願請求項1に係る発明が備えている特徴点であるとは認められない。
よって、意見書での前記意見は採用できず、依然として、拒絶理由通知書に記載した理由2は解消していない。」

3.当審の判断
イ.拒絶の理由1について
審査官は、拒絶の理由として、請求項1の記載では、特許を受けようとする発明が不明確であること、すなわち、何を対象とした発明であるのか、その発明がどのような特徴を有するのかが不明りょうであることを指摘している。
そして、現時点まで補正されていない本願請求項1に係る記載は、
「カレンダーにおいて、日表、月表、年表はあるものの週表は今日に至るもない。週給制の時代も考慮され、必要分野。」
なるものであって、本願請求項1に係る発明がカレンダーに係るものであることが記載されていることは推察されるものの、その余としては、週表は今日に至るまで存在しないとすること、及び必要分野であるとすることが記載されるのみであって、本願請求項1に係る発明がカレンダーとして、どのような構成を備えるものかを把握することはできない。
というのも、前記「週表は今日に至るまで存在しない」は、単に出願人の認識をいうに過ぎず、当審においても、当該請求項記載からは、本願請求項1に係る発明が、この週表であるか否かも把握することはできないという判断を行わざるを得ない。
また、審査官は、原拒絶査定の備考において、平成16年6月1日付けの意見書において、請求人(出願人)が本願請求項1の記載を補足するとする以下の主張、
「特徴としては、広告価値が多く、単価が安く、週単位で見やすく、機能性を追及したコンパクトサイズの週表です。書き込みがたっぷり出来るメモ欄、読み易い文字、暦の情報も満載です。前月、次月と幅広い予定表付き、広いメモスペースも機能的です。使い易いことがカレンダーの基本、実用性に富んだカレンダーです。カレンダーメーカーに提案しやすいことがあげられる。」
を前提としても、週表の型式のカレンダーに関する発明であるか否かが不明であると指摘している。
この点、当審では、当該主張をみれば、少なくとも「日表、月表、年表」ではなく、「週表型式のカレンダー」を請求人(出願人)が意識して出願していることまでは理解できる。
しかしながら、当該「週表型式のカレンダー」が、「メモ欄、読み易い文字、暦の情報」を備え、「前月、次月と幅広い予定表」、「広いメモスペース」も備えるとの説明から、どのような構成をなしたものであるかが定かに把握できるものとまではいえない。
審査官が指摘しているように、出願するにあたり、特許請求の範囲の記載は、「特許を受けようとする発明が明確である」という特許法第36条第6項第2号に規定される要件が満たされていなければ、特許として登録された際に、はたして、いかなる発明が登録されたのかが第三者から把握できないものとなるおそれがある。
本願の請求項1の記載から、いかなる構成の「週表形式のカレンダー」であるかが把握できなければ、善意の第三者であっても、登録された本願に係る特許発明を尊重して模倣を避けることは不可能となる。
よって、当審も、審査官の判断が妥当なものであって、本願の請求項1に係る記載は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たすものと認めることはできない。

ロ.拒絶の理由2について
審査官は、拒絶の理由に、引用文献:実願昭49-88005号(実開昭51-18544号)のマイクロフィルムを引用して、「引用文献には、多数の用紙を上端で綴じたカレンダーにおいて、各用紙には一週間分の日付と曜日が記載されているもの、が記載されている。」と指摘し、当該引用文献に記載された発明に基づいて、本願請求項1に係る発明を当業者が容易に発明をすることができたものであると判断している。
そして、審査官は、原拒絶査定の備考において、前記平成16年6月1日付けの意見書における請求人(出願人)の本願請求項1の記載を補足の主張を踏まえた上で、最大限に当該補足の主張を善解したとしても、カレンダーが週表の形式であることを除いては、本願請求項1に係る発明が備えている特徴を把握できないことを明確に指摘した上で、通知した拒絶の理由が解消していないことを説明している。
既に、前記で述べてきたように、本願請求項1の記載からは、いかなる構成の「週表型式のカレンダー」であるかが把握できないことは、当審も賛同するところで、その場合には、「週表形式のカレンダー」と称し得るものすべてが、いかなる形態のものであるかを問わず、本願請求項1に係る発明と同一であることとなる。
ちなみに、引用された実願昭49-88005号(実開昭51-18544号)のマイクロフィルムを参照するに、その第1?3頁の「3.考案の詳細な説明」には、添付された図面である第1図、第2図を参照する
「本考案は従来見られなかった新しい様式のカレンダーに関し、特に日本古来の日めくりカレンダーの特質や味を持たすものである乍ら、日めくりカレンダーに比べ著しく安価に提供する事の出来る新規なカレンダーに関する。
以下本考案の詳細を図に示した一実施例に基き記述する。
図において附号(1)は本考案に係るカレンダーであって、上端で綴じられた多数の用紙(2)・・から成り、此れ等用紙には一年分の日付が一週間ごとに表示されている。
此の用紙(2)は一週間分の日付を区分けして付した日付欄(3)、一週間分の曜日を付した曜日欄(4)、大安吉日や仏滅等の陰陽道に基く日柄を付した日柄表示欄(5)、空白のメモ欄(6)が左端から右端にかけて順に設けられており、下方部には日付と曜日を組合せた一ケ月の小カレンダーが横に一列に表示されており、更に最下端部には広告欄(7)が形成されている。尚、此の広告欄は最上部に設けても良い。
尚、図中(8)は切取線を示す。
本考案は上記の如く構成して一週間ごと引き破って使用する様にしたものであるから、一週間ごとの予定をメモ欄にかいておく事により週間予定表として使用出来、且つ一週間がすぎればその週の反省材料として使用出来、特に一週間ごとに引きちぎって使用するものであるから日めくりカレンダーに比べ一年分の枚数が7分の1になって経済的であると共に、日本古来の日めくりカレンダーの特質や味を残す事が出来る等種々効果を有するものである。
尚、上記実施例では各文字を横書きにして表示したが縦書きとしても良き事は勿論である。」
なる記載がされており、まさに請求人が主張しているように、日めくりカレンダーの特質や味を生かした「週表形式のカレンダー」を提供することが記載されており、「暦の情報」といい得る「大安吉日や仏滅等の陰陽道に基く日柄を付した日柄表示欄(5)」が存在し、各日付に関連付けた「空白のメモ欄(6)」も存在しており、概ね請求人が補足するとした本来は本願請求項1に係る発明として記載すべきであった形態のものが開示されている。
また、翻って、審査官の拒絶の理由通知では、先行技術調査の結果発見したとする先行技術文献が3つ提示されているので、その記載内容を検討する。
その第1のものである「実願昭63-7298号(実開平1-112974号)のマイクロフィルム」には、その実用新案登録請求の範囲に「カレンダーを週単位とし、記録欄と、とじ込み用のホルダー穴を形成する事を特徴としたカレンダー。」と記載されていると共に、「(D)問題点を解決する手段」においては、「カレンダーを1週間単位とし、記録欄を拡大、更にホルダー穴を形成したものである。」との記載がされている。
第2のものである「実願平5-48534号(実開平7-7958号)のCD-ROM」では、その実用新案登録請求の範囲に「週めくり方式で各紙面に1週間分の曜日表示,日付表示及びメモ欄を有する1年間分の週間カレンダーと、月めくり方式で各紙面に曜日表示と1カ月分の日付表示及びメモ欄を有する1年間分の月間カレンダーと、各月ごとに曜日表示と1カ月分の日付表示を有する1年間分の年間カレンダーと、を1校の台紙に備え、前記各カレンダーが4月の初日から始まって翌年3月の最終日で終わるように配列されていることを特徴とする学生用カレンダー。」と記載されている。
さらに、第3のものである「実願昭51-108073号(実開昭53-29447号)のマイクロフィルム」では、その実用新案登録請求の範囲に「1週間毎の暦を1枚毎のシートに記して綴じたあるいはセットにした週間カレンダー」と記載されている。
以上の先行文献の記載を参照するに、少なくとも、本願の出願日前に、いわゆる「週表形式のカレンダー」は、よく知られたものであって、請求人が主張するごとくに存在しないものではない。
してみるに、審査官は、本願請求項1に係る発明の具体的詳細が把握できないものの、「週表形式のカレンダー」として既に多数の出願が存在していたことを、請求人に伝えようとして、これら先行技術文献を提示していたと解される。

ハ.まとめ
以上のとおりであって、審査官のなした原拒絶査定は妥当なものであって、当審も同じ判断を行わざるを得ない。

4.むすび
本願明細書には特許法36条6項2号に規定する要件を満たさない不備があり、さらに本願発明が特許法29条2項の規定により特許を受けることができない以上、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-25 
結審通知日 2007-10-30 
審決日 2007-11-19 
出願番号 特願平10-115861
審決分類 P 1 8・ 537- Z (B42D)
P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 菅藤 政明
坂田 誠
発明の名称 週表、週めくり  

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