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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 E04B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E04B |
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管理番号 | 1170382 |
審判番号 | 不服2006-5977 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-03-30 |
確定日 | 2008-01-29 |
事件の表示 | 平成8年特許願第234065号「高気密高断熱建物」拒絶査定不服審判事件〔平成10年3月24日出願公開、特開平10-77693、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成8年9月4日の出願であって、平成18年2月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年3月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成18年5月1日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成18年5月1日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成18年5月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 (1)本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正しようとする補正事項を含んでいる。 「【請求項1】それぞれ吹き抜けからなる第1の連通路及び階段室からなる第2の連通路を有し、各階に居室を備えた複数階の高気密高断熱建物であって、 前記第1の連通路を太陽光が窓を通して入射可能な南側の外壁部に接する位置に配置し、前記第2の連通路を居室を挟んで前記第1の連通路とは反対側の北側の外壁部に接する位置に配置し、 前記第1の連通路と前記第2の連通路とを建物の下部空間の地下室で互いに連通し、 各階の居室を前記第1の連通路及び第2の連通路にそれぞれ開放可能とし、 前記地下室の床に暖房装置を配置し、前記居室のうち上階の居室に冷気を供給する冷暖房装置を当該上階の天井裏に配置した ことを特徴とする高気密高断熱建物。」 (2)本件補正に対する審判請求人の主張 上記補正事項について、審判請求人は、審判請求書の請求の理由において 「(2)補正の根拠 平成17年12月8日付けの補正書にて限定された構成要件(a)は、出願当初の明細書の請求項2および段落番号「0014」の記載に基づくものであり、構成要件(b)は、出願当初の明細書の段落番号「0014」「0017」および図1ないし図11に基づくものであり、構成要件(d)は、出願当初の明細書の請求項3および段落番号「0016」の記載に基づくものです。そして、今回の補正にて限定された構成要件(f)は出願当初の請求項4,5、明細書の段落番号「0017」および図面の図1,図5,図9の記載に基づくものです。 そして、今回の明細書の補正により限定した構成要件(f)のうち「暖房装置および冷房装置」は、出願時の請求項4,5(拒絶査定時の請求項2,3)に記載された事項であり、さらに暖房装置および冷房装置の設置位置の限定は「請求項に記載された発明を特定するために必要な事項を限定したもの」に相当するので、明細書の補正の要件を満たすものです。」と主張している。 (3)新規事項の追加の検討 上記補正事項のうち「地下室の床に暖房装置を配置し、前記居室のうち上階の居室に冷気を供給する冷暖房装置を当該上階の天井裏に配置」するとの事項について、審判請求人が補正の根拠とするのは、本願の願書に最初に添付した明細書および図面の記載事項のうち、以下(ア)ないし(ウ)に示すとおりである。 (ア)「【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載の高気密高断熱建物において、暖房装置を備えたことを特徴とする高気密高断熱建物。 【請求項5】請求項1から4のいずれかに記載の高気密高断熱建物において、冷房装置を備えたことを特徴とする高気密高断熱建物。」 (イ)「【0017】 吹き抜け4と建物外部とを仕切る外壁にはガラス窓9が設けられ、この窓9を通して吹き抜け4に太陽光が入射可能とされている。 吹き抜け4の下部には暖房装置10が配置されている。この暖房装置10は、ストーブ、空調装置等から構成される。 2階の居室2の天井裏には2階の居室2に冷気を供給する冷房装置11が配置されている。この冷房装置11は、クーラ、空調装置等から構成される。 階段室5は、居室1,2及び地下室3を挟んで吹き抜け4とは反対側に配置されている。」 (ウ)図1、図5および図9 しかしながら、上記補正事項における「冷暖房装置」については、審判請求人が本件補正の根拠とした上記(ア)ないし(ウ)には明示的な記載はない。 そして、本願の願書に最初に添付した明細書および図面の記載全体を参照しても、「暖房装置」または「冷房装置」については記載があるものの、「冷暖房装置」に関しては記載がなく、「高気密高断熱建物」に「冷暖房装置」を配置することが本願の願書に最初に添付した明細書及び図面の記載全体から当業者にとって自明な事項であるともいえない。 したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 (4)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさないものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 3.本願発明 平成18年5月1日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成17年12月8日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2008-01-16 |
出願番号 | 特願平8-234065 |
審決分類 |
P
1
8・
561-
WY
(E04B)
P 1 8・ 121- WY (E04B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 五十幡 直子 |
特許庁審判長 |
山口 由木 |
特許庁審判官 |
家田 政明 砂川 充 |
発明の名称 | 高気密高断熱建物 |
代理人 | 特許業務法人樹之下知的財産事務所 |
代理人 | 中山 寛二 |
代理人 | 木下 實三 |