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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1170494
審判番号 不服2003-11895  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-26 
確定日 2008-01-10 
事件の表示 特願2001-337559「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月13日出願公開、特開2003-135766〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年11月2日の出願であって、平成15年5月15日付けで拒絶の査定がされ、これに対し、同年6月26日付けで拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年7月25日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

第2 平成15年7月25日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成15年7月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は特許請求の範囲の補正を伴うものであり、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、次のとおりである。

「遊技盤面上に発射した遊技球を入球口に入球させることにより遊技を行う弾球遊技機であって、
遊技盤面上で手前に向けて表示面が設けられた表示器と、
該表示器を制御し、表示面に所定の画像を表示せしめる画像制御装置と、
遊技機各部の状態を監視するとともに上記画像制御装置を含む遊技機各部に指令コマンドを送信する主制御装置と、
該主制御装置で、所定の入球口に遊技球が入球することにより大当たりか否かを判定する大当たり判定処理が実行され、上記画像制御装置により上記表示面に大当たりか否かを表示する弾球遊技機において、
上記表示面における表示画像の少なくとも一部を遮蔽可能で、遮蔽状態と開放状態とがアクチュエータにより切り替え自在に構成された遮蔽手段を具備せしめ、
かつ、上記主制御装置を、上記大当たり判定処理を実行するごとに、主制御装置からのみ送信する一方向通信にて、上記表示面における図柄抽選の時間を規定する変動パターンと確定図柄を指示する指令コマンドを上記画像制御装置に送信するように設定し、
上記画像制御装置を、上記表示器とともに上記遮蔽手段のアクチュエータを制御する制御装置とし、上記主制御装置から送信された上記変動パターンにしたがって図柄抽選の態様を選択して、該図柄抽選の態様にて変動表示を行った後、送信された上記確定図柄を表示するように、かつ、上記図柄抽選が開始されてから図柄が確定するまでの期間に、図柄抽選の進行内容に応じて上記遮蔽手段の遮蔽状態と開放状態とを切り替えるように設定したことを特徴とする弾球遊技機。」

請求項1の「……弾球遊技機であって、……表示器と、……画像制御装置と、……主制御装置と、……弾球遊技機において、……」との記載では、表示器、画像制御装置及び主制御装置と弾球遊技機との関係が不明確であるが、上記記載は、明らかに「……弾球遊技機であって、……表示器と、……画像制御装置と、……主制御装置とを備え、……弾球遊技機において、……」の誤記であると認める。

2.独立特許要件の判断
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定する事項である「遮蔽手段」について、「遮蔽状態と開放状態とが切り替え自在に構成され」るための手段として「アクチュエータにより」との限定を付加し、また、請求項1に記載した発明を特定する事項である「主制御装置を、上記大当たり判定処理を実行するごとに、上記表示面における図柄抽選の時間を規定する変動パターンと確定図柄を指示する指令コマンドを上記画像制御装置に送信するように設定し」について、「主制御装置からのみ送信する一方向通信にて」との限定を付加し、さらに、請求項1に記載した発明を特定する事項である「画像制御装置を、上記表示器とともに上記遮蔽手段を制御する制御装置とし」について、「上記遮蔽手段のアクチュエータを制御する制御装置とし」との限定を付加するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)についての検討を以下において行う。

(1)引用刊行物の記載事項
(1-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2001-178904号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【請求項1】遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する主制御装置と、
該主制御装置により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に、画面上の画像を変動表示し、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す画像で停止表示するよう制御する画像制御装置と、
を含む遊技機であって、
前記主制御装置に前記画像制御装置へ一方向で情報を送信する情報送信手段を備え、
前記画像制御装置に前記情報送信手段により送信される情報に従い選択又は作成される情報を用いて、所定の確率で遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を示す保留予告手段を備えたことを特徴とする遊技機。」

「【0008】遊技球が特定の入球口に入球又は通過口を通過するとは、遊技球が遊技盤面上に設けられた入球口に入球、入賞口に入賞及び通過口を通過することを含み、入球、入賞及び通過に対する賞球の払い出しの有無は問わない。情報送信手段とは、遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過したとき、少なくとも保留された画像の変動表示の存在を示すための情報を送信する手段であり、入賞又は通過に基づき抽出される乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数及び変動パターン決定用乱数等)又は該乱数値に従って選択又は作成する情報(変動パターン及び各停止図柄等)を同時に送信しても何等差し支えない。」

「【0017】……図3に示すように遊技盤22には、中央に特別図柄表示装置32を構成するLCDパネルユニット32a、……等が備えられている。……」

「【0018】……パチンコ機10の電気回路は、図示するように、前述した主制御装置30、賞球制御装置31、特別図柄表示装置32、発射制御装置33、ランプ制御装置34及び音制御装置35等から構成されている。……主制御装置30は、遊技制御プログラムを記憶したROM及び演算等の作業領域として働くRAMを内蔵したマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他各装置又は各種スイッチ類及び各種アクチェータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている。……」

「【0020】特別図柄表示装置32は、前述したLCDパネルユニット32aと、このLCDパネルユニット32aを駆動制御する画像制御装置32b及びバックライト及びインバータ装置等の付属ユニット32cから構成されている。……」

「【0044】ここで各保留情報記憶ブロックに記憶される情報を説明する。……変動パターン62は、画像が変動表示するときの変動時間、リーチ動作及びトリック動作等を含むパターンである。左停止図柄63、中停止図柄64及び右停止図柄65は、変動表示が静止する際に表示される画像を構成するものである。……」

「【0045】画像の変動表示をする際に主制御装置30より送信される情報を遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過に基づき抽出される乱数値(大当り判定用乱数67、大当り図柄決定用乱数68、リーチ判定用乱数69及び変動パターン決定用乱数70等)に従って選択又は作成する情報(変動パターン62及び各停止図柄等)として説明しているが、……」

前記摘示の記載及び図面によれば、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「遊技盤22中央に備えられたLCDパネルユニット32aと、
遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定し、遊技制御プログラムを記憶したROM及び演算等の作業領域として働くRAMを内蔵したマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他各装置又は各種スイッチ類及び各種アクチェータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている主制御装置30と、
該主制御装置により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に、画面上の画像を変動表示し、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す画像で停止表示するよう制御する画像制御装置32bとを含むパチンコ機10であって、
前記主制御装置30に前記画像制御装置32bへ一方向で情報を送信する情報送信手段を備え、画像の変動表示をする際に、画像が変動表示するときの変動時間、リーチ動作及びトリック動作を規定する変動パターンと左停止図柄、中停止図柄及び右停止図柄とを指示する情報を画像制御装置32bに送信するパチンコ機10。」

(1-2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2001-38005号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機に装着される遊技機用表示装置に関するものである。」

「【0014】しかして、前記表示装置9は図2ないし図5に示すように可動体26を備えてなり、表示装置9全体をマジシャンをイメージしたキャラクター表示体として、可変表示部20の上部にシルクハットを模した可動体26aと可変表示部20の左右両側に手袋をした手を模した可動体26b,26cを配設している。そして、シルクハットを模した可動体26aを傾動させたり、手袋をした手を模した可動体26b,26cを動かしたりして、前記可変表示部20の表示態様と対応させて、該表示態様に関連づけて相応しい動作を行うようにしている。なお、これら可動体26a,26b,26cの動作は、図示しない電子制御回路によって制御される。」

「【0016】また、手袋をした手を模した可動体26b,26cは、図3および図5に示すように後端に軸筒部37が形成され、該軸筒部37に支軸38を挿通すると共に支持枠18の開口39から後方に臨ませ、支持枠18裏面に形成した支持片40,40に揺動自在に支持される。そして、支軸38の上端に係合ピン41を有するカム部材42が取着されている。一方、支持枠18裏面に該可動体26b,26cを作動させる電気的駆動源としてのソレノイド43,43が配設され、該ソレノイド43のプランジャ44にはレバー片45が連結されている。該レバー片45は係合孔46を有し、該係合孔46に前記係合ピン41が挿入される。前記ソレノイド43は、消磁した状態のとき図5に示すようにプランジャ44に巻装した復帰ばね47により突出付勢されており、これによって手袋をした手を模した可動体26b,26cは、支持枠18の側壁に沿った状態で停止保持されている。また、ソレノイド43が励磁されると図5鎖線に示すようにプランジャ44が復帰ばね47の付勢に抗して吸引され、これによってレバー片45の係合孔46に係合する係合ピン41を介して手袋をした手を模した可動体26b,26cは、図2鎖線に示すように可変表示部20に臨むように回動保持される。」

「【0019】……また図7に示すように可動体26bで左図柄表示を隠して、中右図柄表示が揃ってから可動体26bを作動させて、当りか外れかが判定できるようにすることで、今までにないスリルを遊技者に味合せることができる。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「LCDパネルユニット32a」は本願補正発明の「表示器」に相当する。以下同様に、「パチンコ機10」は「弾球遊技機」に、「画像が変動するときの変動時間、リーチ動作及びトリック動作を規定する変動パターンと左停止図柄、中停止図柄及び右停止図柄とを指示する情報」は「表示面における図柄抽選の時間を規定する変動パターンと確定図柄を指示する指令コマンド」に、それぞれ相当する。

そして、引用発明1は、「遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する主制御装置30と、該主制御装置により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に、画面上の画像を変動表示し、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す画像で停止表示するよう制御する画像制御装置32bとを含むパチンコ機10」であるから、「遊技盤面上に発射した遊技球を入球口に入球させることにより遊技を行う弾球遊技機」であり、また、「該主制御装置で、所定の入球口に遊技球が入球することにより大当たりか否かを判定する大当たり判定処理が実行され、上記画像制御装置により上記表示面に大当たりか否かを表示する弾球遊技機」であると言える。

また、引用発明1の「LCDパネルユニット32a」は、「遊技盤22中央に備えられた」ものであり、その表示面は、手前に向けて設けられることが当然であるから、「遊技盤面上で手前に向けて表示面が設けられた表示器」と言える。

さらに、引用発明1の「主制御装置30」は、「遊技制御プログラムを記憶したROM及び演算等の作業領域として働くRAMを内蔵したマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他各装置又は各種スイッチ類及び各種アクチェータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている」ものであるから、「遊技機各部の状態を監視する」ものであると言える。さらに、「主制御装置30」は「前記主制御装置30に前記画像制御装置32bへ一方向で情報を送信する情報送信手段を備え、画像の変動表示をする際に、画像が変動表示するときの変動時間、リーチ動作及びトリック動作を規定する変動パターンと左停止図柄、中停止図柄及び右停止図柄とを指示する情報を画像制御装置32bに送信する」ものであるから、「上記画像制御装置を含む遊技機各部に指令コマンドを送信する」ものであり、かつ、「上記大当たり判定処理を実行するごとに、主制御装置からのみ送信する一方向通信にて、上記表示面における図柄抽選の時間を規定する変動パターンと確定図柄を指示する指令コマンドを上記画像制御装置に送信するように設定」したものであると言える。一方、上記の記載から、「画像制御装置32b」は、「上記主制御装置から送信された上記変動パターンにしたがって図柄抽選の態様を選択して、該図柄抽選の態様にて変動表示を行った後、送信された上記確定図柄を表示するように設定した」ものであると言える。

そうすると、本願補正発明と引用発明1の両者は、以下の点で、一致並びに相違するものと認められる。

<一致点>

「遊技盤面上に発射した遊技球を入球口に入球させることにより遊技を行う弾球遊技機であって、
遊技盤面上で手前に向けて表示面が設けられた表示器と、
該表示器を制御し、表示面に所定の画像を表示せしめる画像制御装置と、
遊技機各部の状態を監視するとともに上記画像制御装置を含む遊技機各部に指令コマンドを送信する主制御装置とを備え、
該主制御装置で、所定の入球口に遊技球が入球することにより大当たりか否かを判定する大当たり判定処理が実行され、上記画像制御装置により上記表示面に大当たりか否かを表示する弾球遊技機において、
かつ、上記主制御装置を、上記大当たり判定処理を実行するごとに、主制御装置からのみ送信する一方向通信にて、上記表示面における図柄抽選の時間を規定する変動パターンと確定図柄を指示する指令コマンドを上記画像制御装置に送信するように設定し、
上記画像制御装置を、上記主制御装置から送信された上記変動パターンにしたがって図柄抽選の態様を選択して、該図柄抽選の態様にて変動表示を行った後、送信された上記確定図柄を表示するように設定した弾球遊技機。」
である点。

<相違点1>
本願補正発明では、「上記表示面における表示画像の少なくとも一部を遮蔽可能で、遮蔽状態と開放状態とがアクチュエータにより切り替え自在に構成された遮蔽手段を具備せしめ」たのに対し、引用発明1では、そのように構成されていない点。

<相違点2>
本願補正発明では、「上記画像制御装置を、上記表示器とともに上記遮蔽手段を制御する制御装置とし」たのに対し、引用発明1では、そのように構成されていない点。

<相違点3>
本願補正発明では、「上記画像制御装置を、……上記図柄抽選が開始されてから図柄が確定するまでの期間に、図柄抽選の進行内容に応じて上記遮蔽手段の遮蔽状態と開放状態とを切り替えるように設定した」のに対し、引用発明1では、そのように構成されていない点。

(3)判断
(3-1)相違点1について
引用例2には、スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機に装着される遊技機用表示装置において、表示装置9に可動体26bを備えること、可動体26bで左図柄表示を隠して、中右図柄が揃ってから可動体26bを作動させて、当りか外れかが判定できるようにすること、及び、電気的駆動源としてのソレノイド43,43により可動体26b,26cを作動させることが記載されている。ここで、可動体26bは左図柄表示を隠すものであるから、表示面における表示画像の少なくとも一部を遮蔽可能であると言える。また、段落0019の記載に基づけば、可動体26bを作動させて、当りか外れかが判定できるようにしているから、遮蔽状態と開放状態とが切り替え自在に構成されたものであると言える。そして、段落0016の記載に基づけば、電気的駆動源としてのソレノイド43,43により可動体26b,26cを作動させており、ソレノイドも一種のアクチュエータに他ならないから、アクチュエータにより切り替え自在に構成されたものであると言える。したがって、これらの引用例2に記載された技術に基づき、引用発明1において「上記表示面における表示画像の少なくとも一部を遮蔽可能で、遮蔽状態と開放状態とがアクチュエータにより切り替え自在に構成された遮蔽手段を具備せしめ」た点は、当業者にとって容易に想到できたことと認められる。

(3-2)相違点2について
引用例2には、電子制御回路によって、可変表示部20の表示態様と対応させて、可動体26bを作動させることが記載されている。ここで、システムや回路を設計する際に、システムを構成する要素の制御負担、費用対効果、スペース等の有効利用、等を考慮して、分散型や集中型を選択することは普通のことであるから、可動体の動作を制御する電子制御回路として、主制御装置を選択するか、他の制御装置を選択するかは、当業者が適宜選択しうる設計上の事項である。また、分散型を選択する際に、関連する制御を同一の制御装置で実行することも周知技術である(例えば、画像制御装置を、表示器と連動する演出手段を制御するための制御装置となす例として、特開平6-246050号公報[段落0061乃至0064]、特開平7-185084号公報[段落0047]、特開2001-300088号公報[段落0168乃至0174]がある)。してみると、相違点1で検討したように引用発明1に引用例2に記載された可動体26bを具備せしめる際に、上記設計上の事項、周知技術を考慮して、可動体26bを制御する手段として画像制御装置32bを選択すること、すなわち、相違点2の「上記画像制御装置を、上記表示器とともに上記遮蔽手段を制御する制御装置とし」た点は、当業者にとって容易に想到できたことである。

(3-3)相違点3について
ところで、相違点3に係る本願請求項1の記載、すなわち「上記画像制御装置を、……図柄抽選の進行内容に応じて上記遮蔽手段の遮蔽状態と開放状態とを切り替えるように設定した」との記載は、特に「進行内容」との用語、並びに「上記遮蔽手段の遮蔽状態と開放状態とを切り替える」との部分の意味が不明であること、及び、意見書、並びに審判請求書においてその釈明がないことから、記載全体の意味するところが明確ではない。そこで、明細書の記載を参酌すると、以下の<解釈1>又は<解釈2>のように解釈することができる。

<解釈1>
段落0084の「すべての図柄が変動している状態(進行段階(a))のときには可動片81が開状態だったものが、1つの図柄の変動が停止すると(進行段階(b))、閉状態に切り換わったり(「02H」)、逆に、進行段階(a)のときには閉状態だったものが進行段階(b)に進むと開状態に切り換わったり(「03H」)する。」との記載を参酌し、
「上記画像制御装置を、図柄抽選の進行段階に応じて、上記遮蔽手段を遮蔽状態から開放状態に、又は開放状態から遮蔽状態に、切り替えるように設定した」と解釈する。

<解釈2>
段落0080乃至0082の「 【0080】
ここで、図10より知られるように、選択されたテーブルによって、上記のごとく各段階で可動片81が開状態となるとは限らない。変動パターンが所定パターンであればテーブルは「00H」?「0EH」が選択され得るのに対し、所定パターン以外であればテーブルは「0FH」しか選択されない。このように、図柄抽選の進行内容を規定する変動パターンに関連付けて可動片81の作動態様が決定されるから、図柄抽選の進行内容に応じて、可動片81が異なる動きをする。これにより、図柄抽選の進行が表情豊かなものになる。
【0081】
また、確定図柄が大当たり図柄か否か、確変図柄か通常図柄かにより3つのテーブル群に分かれる。このように、図柄抽選の進行内容を規定する確定図柄に関連付けて可動片81の作動態様が決定されるから、図柄抽選の進行内容に応じて、可動片81が異なる動きをする。これにより、図柄抽選の進行が表情豊かなものになる。また、遊技者には、図柄抽選を何度も経験するに応じて、可動片81の作動態様と出目等の図柄抽選の進行状況との間の相関について経験則が形成されていく。かかる経験則を念頭に遊技者は図柄抽選の推移を見守ることになる。
【0082】
このように、可動片81の作動態様を変動パターンや確定図柄に関連させて決定することで、遊技者を飽きさせず、遊技へ引きつけることができる。」との記載を参酌し、
「上記画像制御装置を、図柄抽選の進行内容を規定する変動パターン又は確定図柄に応じて、上記遮蔽手段の作動態様を切り替えるように設定した」と解釈する。

(3-3-1)解釈1に対して
引用例2には、可動体26bで左図柄表示を隠して、中右図柄が揃ってから可動体26bを作動させて、当りか外れかが判定できるようにすることが記載されている。すなわち、図柄の変動が中右図柄が揃う前の段階であるときには可動体26bを遮蔽状態とし、図柄の変動が中右図柄が揃った段階となると可動体26bを遮蔽状態から開放状態に切り替えることが記載されている。これは、図柄抽選の進行段階に応じて、遮蔽手段を遮蔽状態から開放状態に切り替えていると、言うことができる。これらを考慮すると、相違点1で検討したように引用発明1に引用例2に記載された可動体26bを具備せしめる際に、可動体26bの動作を「図柄抽選の進行段階に応じて、上記遮蔽手段を遮蔽状態から開放状態に、又は開放状態から遮蔽状態に、切り替える」ようにすることは、当業者が容易に想起しうるものである。そして、相違点2で検討したように可動体26bを制御する制御装置として画像制御装置を採用する際には、そのような切り換えを行うように画像制御装置を設定することは当然である。したがって、引用発明1に解釈1に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できたものである。

(3-3-2)解釈2に対して
引用例2には、可動体26bで左図柄表示を隠して、中右図柄が揃ってから可動体26bを作動させて、当りか外れかが判定できるようにすることが記載されているが、表示画像の少なくとも一部を遮蔽する、すなわち遊技者が視認できなくするという目的においては、可動体26bの作動態様は一通りしか開示されていない。しかしながら、演出を行う際に、演出のバリエーションを増やすために、その演出の態様を複数備え、停止図柄の組合せや乱数値と演出の態様との対応とを定めたテーブルを用いていずれかの態様に切り替えることは、周知技術である(例として、特開2001-129185号公報[段落0065]、特開2000-61078号公報[段落0060乃至0063]がある)。これらを考慮すると、相違点1で検討したように引用発明1に引用例2に記載された可動体26bを具備せしめる際に、「図柄抽選の進行内容を規定する変動パターン又は確定図柄に応じて、上記遮蔽手段の作動態様を切り替える」ようにすることは、当業者が容易に想起しうるものである。そして、相違点2で検討したように可動体26bを制御する制御装置として画像制御装置を採用する際には、そのような切り換えを行うように画像制御装置を設定することは当然である。したがって、引用発明1に解釈2に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できたものである。

(3-3-3)相違点3についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願請求項1の「上記画像制御装置を、……図柄抽選の進行内容に応じて上記遮蔽手段の遮蔽状態と開放状態とを切り替えるように設定した」という記載の意味が解釈1又は解釈2のいずれの意味であろうとも、引用発明1に相違点3に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到できたものである。

(3-4)作用効果について
本願補正発明の作用効果は、いずれも、引用発明1、引用例2に記載された技術及び周知技術から、当業者が予測できる範囲のものである。

(3-5)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成15年7月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年4月17日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認める。

「遊技盤面上に発射した遊技球を入球口に入球させることにより遊技を行う弾球遊技機であって、
遊技盤面上で手前に向けて表示面が設けられた表示器と、
該表示器を制御し、表示面に所定の画像を表示せしめる画像制御装置と、
遊技機各部の状態を監視するとともに上記画像制御装置を含む遊技機各部に指令コマンドを送信する主制御装置と、
該主制御装置で、所定の入球口に遊技球が入球することにより大当たりか否かを判定する大当たり判定処理が実行され、上記画像制御装置により上記表示面に大当たりか否かを表示する弾球遊技機において、
上記表示面における表示画像の少なくとも一部を遮蔽可能で、遮蔽状態と開放状態とが切り替え自在に構成された遮蔽手段を具備せしめ、
かつ、上記主制御装置を、上記大当たり判定処理を実行するごとに、上記表示面における図柄抽選の時間を規定する変動パターンと確定図柄を指示する指令コマンドを上記画像制御装置に送信するように設定し、
上記画像制御装置を、上記表示器とともに上記遮蔽手段を制御する制御装置とし、上記主制御装置から送信された上記変動パターンにしたがって図柄抽選の態様を選択して、該図柄抽選の態様にて変動表示を行った後、送信された上記確定図柄を表示するように、かつ、上記図柄抽選が開始されてから図柄が確定するまでの期間に、図柄抽選の進行内容に応じて上記遮蔽手段の遮蔽状態と開放状態とを切り替えるように設定したことを特徴とする弾球遊技機。」

なお、請求項1の記載に誤記があるのは、前記第2[理由]1.で指摘したとおりである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由において引用された引用例、及びその記載事項は、前記第2[理由]2.(1)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2.で検討した本願補正発明から、「上記表示面における表示画像の少なくとも一部を遮蔽可能で、遮蔽状態と開放状態とがアクチュエータにより切り替え自在に構成された遮蔽手段を具備せしめ、」の限定事項である「アクチュエータにより」との構成、「上記主制御装置を、上記大当たり判定処理を実行するごとに、主制御装置からのみ送信する一方向通信にて、上記表示面における図柄抽選の時間を規定する変動パターンと確定図柄を指示する指令コマンドを上記画像制御装置に送信するように設定し、」の限定事項である「主制御装置からのみ送信する一方向通信にて、」との構成、「上記画像制御装置を、上記表示器とともに上記遮蔽手段のアクチュエータを制御する制御装置とし、」の限定事項である「(上記遮蔽手段)のアクチュエータ」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2[理由]2.(3)に記載したとおり、引用発明1、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、引用発明1、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-09 
結審通知日 2007-11-13 
審決日 2007-11-27 
出願番号 特願2001-337559(P2001-337559)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗一宮 誠  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 太田 恒明
川島 陵司
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 伊藤 求馬  
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