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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C02F
管理番号 1170509
審判番号 不服2004-25115  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-09 
確定日 2008-01-10 
事件の表示 平成 6年特許願第121556号「浄水器」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年12月19日出願公開、特開平 7-328609〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年6月2日の出願であって、平成16年2月10日付けの最後の拒絶理由通知に対して同年5月10日付けで手続補正がなされ、同年10月18日付けで補正の却下の決定及び拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.原審の補正の却下の決定について
平成16年5月10日付けの手続補正書でした明細書についての補正を却下するとした平成16年10月18日付け補正の却下の決定について以下に検討する。
(1)本願補正発明
平成16年5月10日付けの手続補正書により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。
「【請求項1】水の浄水濾過を行うカートリッジの寿命を検出する手段を有し、カートリッジ及び電池の交換時期を表示する機能を有する浄水器において、カートリッジの寿命の到達状況及び、電池の寿命を、多段階で表示する浄水器であって、
前記カートリッジの寿命を検出する手段は、カートリッジへの通水流量を積算するカウンタと、予め設定された設定値とカウンタ値を比較するマグニチュードコンパレータC及びマグニチュードコンパレータDと、カートリッジ装着後の時間を積算するタイマと、予め設定された設定値とタイマ値を比較するマグニチュードコンパレータA及びマグニチュードコンパレータBと、前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号をデコードするデコーダを有し、
該マグニチュードコンパレータDは、予めカートリッジ寿命に達する積算流量値が設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータCは、該マグニチュードコンパレータDに設定された積算流量値より低い積算流量値が予め設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータBは、予めカートリッジ寿命に達する積算時間値が設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータAは、該マグニチュードコンパレータBに設定された積算時間値より低い積算時間値が予め設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、
該デコーダが前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号から、点滅・点灯の表示パターンを作り出すことにより、1つの表示素子で多段階に表示することを特徴とする浄水器。」
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「カートリッジの寿命を検出する手段」について、「カートリッジへの通水流量を積算するカウンタと、予め設定された設定値とカウンタ値を比較するマグニチュードコンパレータC及びマグニチュードコンパレータDと、カートリッジ装着後の時間を積算するタイマと、予め設定された設定値とタイマ値を比較するマグニチュードコンパレータA及びマグニチュードコンパレータBと、前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号をデコードするデコーダを有し、
該マグニチュードコンパレータDは、予めカートリッジ寿命に達する積算流量値が設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータCは、該マグニチュードコンパレータDに設定された積算流量値より低い積算流量値が予め設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータBは、予めカートリッジ寿命に達する積算時間値が設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータAは、該マグニチュードコンパレータBに設定された積算時間値より低い積算時間値が予め設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、
該デコーダが前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号から、点滅・点灯の表示パターンを作り出すことにより、1つの表示素子で多段階に表示する」ものに限定することを含む補正であるから、この補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後における請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下に検討する。

(2)刊行物の記載事項
原査定の理由に引用文献1及び2として引用された特開平3-293085号公報(以下、「刊行物1」という。)及び実願平2-80390号(実開平4-37589号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)、ならびに原審の補正の却下の決定で提示された特開平5-293464号公報(以下、「刊行物3」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。
(a)刊行物1(特開平3-293085号公報)
(ア)「浄水器を含む水処理装置において、浄水器への通水を定流量に制御する手段と、定流量で通水された浄水器の通水時間の総和を浄水器の通過総水量とし、それが設定値に達したときに告知表示する手段とを備えていることを特徴とする水処理装置。」(特許請求の範囲)
(イ)「給水、中断が繰り返され、浄水器に対する通水時間に伴うカウント量が設定された予告量(浄水器の通過総水量)に達したとき、マイクロコンピュータ57が浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)を点滅させて浄水器カートリッジケースの交換時期を予告する。さらに使用を続けてカウント量が設定された寿命量に達したとき、前記ダイオードL_(4)を点灯させて浄水器の交換を告知する。」(第5頁右下欄第2?10行)

(b)刊行物2(実願平2-80390号(実開平4-37589号)のマイクロフィルム)
(ア)「1)アンダーシンク型の浄水器5と、該浄水器5の出口側に結合された吐水部12と、該吐水部12に設けられた操作感応センサー13と、該センサー13の信号に応動して吐水または止水を行う電磁弁9とを具備する浄水装置において、前記電磁弁9を自己保持型とすると共に、装置電源として電池16を使用し、さらに前記電磁弁9の開時間の累積値が予め設定された値に達したことを表示する表示手段30を設けたことを特徴とする浄水装置。
2)電池16の消費電力量が予め設定された値に達したことを表示する表示手段40を設けた請求項1の浄水装置。」(実用新案登録請求の範囲)
(イ)「使用者は表示灯51の点灯によって電池交換時期を知ることができる。」(明細書第13頁第11?13行)

(c)刊行物3(特開平5-293464号公報)
(ア)「【請求項1】給水部と、前記給水部から導入された水を浄化するための浄化機能材料を有する浄水部と、前記浄水部を通過する流量を検出する流量検出部と、前記流量検出部からの信号により前記浄水部を通過する通水量を積算する浄水量積算部と、前記浄水量積算部からの信号を設定値と比較し前記設定値以上となった時点で信号を出力する浄水量積算警報部とから構成された浄水装置。
・・・
【請求項6】所定期間を計時すると信号を出力する計時部と、前記計時部からの信号、および浄水量積算警報部からの信号で作動する警報信号表示部を備えた請求項1記載の浄水装置。」(【特許請求の範囲】)
(イ)「本発明は、・・・単に使用期間の時間要素だけでなく、浄水装置使用状態に依存して浄化機能材料の交換時期を知らしめることの出来る浄水装置を提供することを目的とするものである。」(段落【0008】)
(ウ)「浄水装置21は、所定期間を計時すると信号を出力する計時部19と、前記計時部19からの信号、あるいは浄水量積算警報部5からの信号で作動する警報信号表示部20あるいは情報伝送部からなる。この計時部19に浄化機能材料の性能保証期間を計時させることで、設定された値以下の水量しか浄水部2が作用しなかった場合でも、警報を出力することができる。ここで示した性能保証期間は、従来の浄水装置に示されていた所定の水量を浄化させると仮定して決定されていたものとは異なり、単に放置されていても劣化などにより性能保証ができなくなるリスクを見込んだ期間である。」(段落【0019】)
(エ)「(6)計時部に浄化機能材料の性能保証期間を計時させることで、設定された値以下の水量しか浄水部が作用しなかった場合でも、警報を出力することができるうえ、もちろん積算浄化水量が所定値に達して警報を発することが可能である。」(段落【0020】)

(3)対比・判断
(a)刊行物1発明
刊行物1には、記載事項(ア)に「定流量で通水された浄水器の通水時間の総和を浄水器の通過総水量とし、それが設定値に達したときに告知表示する手段を備えている水処理装置」が記載され、この記載中の「告知表示する手段」について、記載事項(イ)に「浄水器に対する通水時間に伴うカウント量が設定された予告量(浄水器の通過総水量)に達したとき、マイクロコンピュータ57が浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)を点滅させて浄水器カートリッジケースの交換時期を予告する」こと、及び「さらに使用を続けてカウント量が設定された寿命量に達したとき、前記ダイオードL_(4)を点灯させて浄水器の交換を告知する」ことが記載されている。これら刊行物1の記載事項を本願補正発明の記載振りに則して整理すると、刊行物1には「定流量で通水された浄水器の通水時間に伴うカウント量を浄水器の通過総水量として、カウント量が設定値に達したときに浄水器カートリッジケースの交換を告知表示する手段を有する浄水器において、カウント量が設定された予告量に達したとき、マイクロコンピュータが浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)を点滅させて浄水器カートリッジケースの交換時期を予告し、さらに使用を続けてカウント量が設定された寿命量に達したとき、浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)を点灯させて浄水器カートリッジケースの交換を告知する浄水器」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているといえる。

(b)本願補正発明と刊行物1発明との対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「浄水器カートリッジケース」及び「浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)」は、それぞれ本願補正発明の「水の浄水濾過を行うカートリッジ」及び「表示素子」に相当する。
そして、刊行物1発明の「定流量で通水された浄水器の通水時間に伴うカウント量」は、「浄水器の通過総水量として」いるものであり、本願補正発明の「カートリッジへの通水流量を積算するカウンタ」による「カウンタ値」と共通するものであることから、刊行物1発明の「定流量で通水された浄水器の通水時間に伴うカウント量を浄水器の通過総水量として」いることは、本願補正発明の「カートリッジへの通水流量を積算するカウンタ」に相当するものといえる。
また、刊行物1発明の「浄水器カートリッジケースの交換を告知表示する手段」は、本願補正発明の「カートリッジの交換時期を表示する機能を有する」ものに相当するといえ、「カウント量が設定された予告量に達したとき」及び「さらに使用を続けてカウント量が設定された寿命量に達したとき」を判別するものであるから、設定値である「予告量」及び「寿命量」と「カウント量」を比較するものであること、「予告量」が「寿命量」より少ないものであることは明らかである。これらのことからすると、刊行物1発明の「浄水器カートリッジケースの交換を告知表示する手段」は、本願補正発明の「水の浄水濾過を行うカートリッジの寿命を検出する手段」と、「予め設定された設定値」である「カートリッジ寿命に達する積算流量値」及びこの「積算流量値より低い積算流量値」と「カウンタ値を比較する」点で共通するといえる。
さらに、刊行物1発明は、「カウント量が設定された予告量に達したとき、マイクロコンピュータが浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)を点滅させて浄水器カートリッジケースの交換時期を予告」するとともに、「カウント量が設定された寿命量に達したとき、浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)を点灯させて浄水器カートリッジケースの交換を告知する」ものであるから、本願補正発明の「カートリッジの寿命の到達状況を、多段階で表示する」もの、及び「点滅・点灯の表示パターンを作り出すことにより、1つの表示素子で多段階に表示する」ものに相当するといえる。
そうすると、本願補正発明と刊行物1発明とは「水の浄水濾過を行うカートリッジの寿命を検出する手段を有し、カートリッジの交換時期を表示する機能を有する浄水器において、カートリッジの寿命の到達状況を、多段階で表示する浄水器であって、前記カートリッジの寿命を検出する手段は、カートリッジへの通水流量を積算するカウンタを有し、予め設定された設定値であるカートリッジ寿命に達する積算流量値及びこの積算流量値より低い積算流量値とカウンタ値を比較して、点滅・点灯の表示パターンを作り出すことにより、1つの表示素子で多段階に表示する浄水器」の発明である点で一致するが、以下の点で相違する。

相違点A:本願補正発明は、「電池の交換時期を表示する機能」を有するとともに、「電池の寿命を、多段階で表示」する構成を有するのに対して、刊行物1発明は係る構成を有していない点。
相違点B:本願補正発明は、カートリッジの寿命を検出する手段が「予め設定された設定値とカウンタ値を比較するマグニチュードコンパレータC及びマグニチュードコンパレータDと、カートリッジ装着後の時間を積算するタイマと、予め設定された設定値とタイマ値を比較するマグニチュードコンパレータA及びマグニチュードコンパレータBと、前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号をデコードするデコーダを有し、該マグニチュードコンパレータDは、予めカートリッジ寿命に達する積算流量値が設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータCは、該マグニチュードコンパレータDに設定された積算流量値より低い積算流量値が予め設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータBは、予めカートリッジ寿命に達する積算時間値が設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータAは、該マグニチュードコンパレータBに設定された積算時間値より低い積算時間値が予め設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該デコーダが前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号から」、点滅・点灯の表示パターンを作り出す構成を有するのに対して、刊行物1発明は、浄水器の通過総水量としたカウント量が設定された予告量または寿命量に達したとき、マイクロコンピュータが浄水器寿命表示用発光ダイオードL_(4)を点滅または点灯させる構成である点。

(c)相違点の検討
相違点Aについて
刊行物2には、記載事項(ア)に「装置電源として電池16を使用し、電池16の消費電力量が予め設定された値に達したことを表示する表示手段40を設けた浄水装置」が記載され、この記載中の「表示手段40」は、記載事項(イ)によれば「電池交換時期」を表示するものであることが記載されているといえる。これらの記載によれば、刊行物2には、「浄水装置に装置電源として電池を使用し、電池交換時期を表示する機能」を設ける技術が開示されているといえる。また、「装置電源としての電池の寿命を多段階で表示する」ことは、例えば特開昭62-122470号公報にも記載されているように周知技術である。
そうすると、刊行物1発明は「浄水器」に係るものであり、刊行物2に記載の上記技術は「浄水装置」に係るものであって、両者は浄水の用途に用いるものである点で共通していることから、刊行物1発明に刊行物2に記載の上記技術を適用して、電源として電池を使用し、「電池の交換時期を表示する機能」を設けるとともに、上記周知技術に基づいて「電池の寿命を、多段階で表示する」ものとして、刊行物1発明を上記相違点Aに係る本願補正発明の構成を有するものとすることは、当業者が容易に為し得たことといえる。
また、この相違点Aに係る本願補正発明の構成を採用することにより奏される本願明細書に記載の効果も、刊行物1及び2に記載された技術的事項及び周知の事項から、当業者であれば予測し得る範囲内のものである。

相違点Bについて
刊行物3には、記載事項(ア)によれば、「浄水部を通過する通水量を積算する浄水量積算部と、前記浄水量積算部からの信号を設定値と比較し前記設定値以上となった時点で信号を出力する浄水量積算警報部とから構成された浄水装置」に「所定期間を計時すると信号を出力する計時部と、前記計時部からの信号、および浄水量積算警報部からの信号で作動する警報信号表示部を備え」ることが記載されているといえる。そして、この記載中の「警報信号表示部」は、記載事項(イ)によれば「浄化機能材料の交換時期を知らしめる」ものであって、記載事項(エ)によれば「性能保証期間を計時するか、積算浄化水量が所定値に達することにより警報を発するもの」であるといえる。また、上記「計時部」は、記載事項(ウ)によれば「浄化機能材料の性能保証期間を計時」するものであるといえる。ここで、上記「浄化機能材料の性能保証期間」は、記載事項(ウ)の「性能保証期間は・・・単に放置されていても劣化などにより性能保証ができなくなるリスクを見込んだ期間である」との記載によれば、浄化機能材料の寿命として設定された期間であるといえ、その「計時」は浄水装置において行われるものであるから、浄水装置に浄化機能材料が装着されてからの時間をタイマで積算して行われることは明らかである。これらのことからすると、刊行物3には、「浄水装置において、浄化機能材料の積算した通水量またはタイマで積算した装着後の時間のいずれかが設定値以上となった時点で交換時期を知らしめる」発明が開示されているといえる。
そうすると、刊行物1発明は「浄水器カートリッジケースの交換を告知」するものであり、刊行物3に記載の発明は「浄化機能材料の交換時期を知らしめる」ものであって、両者は浄水のための部材の交換を知らせるものである点で共通していることから、刊行物1発明において、刊行物3に記載の発明を組み合わせることにより、浄水器カートリッジケースの交換時期を、通過総水量によって予告及び告知することに加えて、タイマで積算した装着後の時間によっても予告及び告知するものとすることに格別の工夫を要するものとはいえない。
また、交換を要する部材の交換時期を1つの表示素子で多段階に表示する構成として、予め設定された設定値と該部材についての測定値を比較する複数のコンパレータと、各コンパレータから発信された信号をデコードするデコーダを有し、各コンパレータは、測定値がその設定値以上になったところでデコーダに信号を発信し、デコーダが各コンパレータから発信された信号から表示素子の表示パターンを作り出す構成は、例えば特開昭62-122470号公報にも記載されているように周知の構成であり、前記「コンパレータ」は、測定値と設定値の大小を比較するものであるから「マグニチュードコンパレータ」であるといえる。
そこで、浄水器カートリッジケースの交換時期を、通過総水量とタイマで積算した装着後の時間とによって予告及び告知する構成を具体化するにあたって、上記周知の構成を採用することにより、予め設定された設定値とカウンタ量を比較する複数のマグニチュードコンパレータと、浄水器カートリッジケース装着後の時間を積算するタイマと、予め設定された設定値とタイマ値を比較する複数のマグニチュードコンパレータと、前記各マグニチュードコンパレータから発信された信号をデコードするデコーダを有し、前記各マグニチュードコンパレータはそれぞれ、予め浄水器カートリッジケースの寿命量に達する通過総水量が設定され、カウント量がその設定値以上になったところでデコーダに信号を発信し、通過総水量の前記寿命量より低い予告量が予め設定され、カウント量がその設定値以上になったところでデコーダに信号を発信し、予め浄水器カートリッジケース装着後の時間の寿命量に達する積算時間値が設定され、タイマ値がその設定値以上になったところでデコーダに信号を発信し、装着後の時間の前記寿命量より低い予告量が予め設定され、タイマ値がその設定値以上になったところでデコーダに信号を発信し、デコーダが前記各マグニチュードコンパレータから発信された信号から、点滅・点灯の表示パターンを作り出す構成として、刊行物1発明を上記相違点Bに係る本願補正発明の構成を有するものとすることは、当業者が容易に為し得たことといえる。
また、この相違点Bに係る本願補正発明の構成を採用することにより奏される本願明細書に記載の効果も、刊行物1及び3に記載された技術的事項及び周知の事項から、当業者であれば予測し得る範囲内のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、その出願前に頒布された刊行物である刊行物1?3に記載された発明及び周知の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、平成16年5月10日付けの手続補正書によりなされた補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第53条第1項の規定により却下するとした、原審の補正の却下の決定は妥当なものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年5月10日付けの手続補正は上記のとおり原審において却下されたので、本願の請求項1,2に係る発明は、平成16年1月5日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】水の浄水濾過を行うカートリッジの寿命を検出する手段を有し、カートリッジ及び電池の交換時期を表示する機能を有する浄水器において、カートリッジの寿命の到達状況及び、電池の寿命を、多段階で表示することを特徴とする浄水器。」

(2)刊行物の記載事項
原査定の理由に引用文献1,2として引用された刊行物1及び刊行物2、ならびに原審の補正の却下の決定に提示された刊行物3の記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記「2.」で検討した本願補正発明の「前記カートリッジの寿命を検出する手段は、カートリッジへの通水流量を積算するカウンタと、予め設定された設定値とカウンタ値を比較するマグニチュードコンパレータC及びマグニチュードコンパレータDと、カートリッジ装着後の時間を積算するタイマと、予め設定された設定値とタイマ値を比較するマグニチュードコンパレータA及びマグニチュードコンパレータBと、前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号をデコードするデコーダを有し、
該マグニチュードコンパレータDは、予めカートリッジ寿命に達する積算流量値が設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータCは、該マグニチュードコンパレータDに設定された積算流量値より低い積算流量値が予め設定され、カウンタ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータBは、予めカートリッジ寿命に達する積算時間値が設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、該マグニチュードコンパレータAは、該マグニチュードコンパレータBに設定された積算時間値より低い積算時間値が予め設定され、タイマ値がその設定値以上になったところで該デコーダに信号を発信し、
該デコーダが前記マグニチュードコンパレータA、B、C及びDから発信された信号から、点滅・点灯の表示パターンを作り出すことにより、1つの表示素子で多段階に表示する」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)」に記載した理由により、刊行物1?3に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、刊行物1?3に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に頒布された刊行物である刊行物1?3に記載された発明及び周知の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項にかかる発明について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-08 
結審通知日 2007-11-13 
審決日 2007-11-27 
出願番号 特願平6-121556
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 敬子齊藤 光子  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 斉藤 信人
森 健一
発明の名称 浄水器  
代理人 野口 武男  
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