• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M
管理番号 1170609
審判番号 不服2005-14351  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-27 
確定日 2008-01-07 
事件の表示 特願2001-205598号「ステント」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月21日出願公開、特開2003- 19208号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年7月6日の出願であって、平成17年6月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年7月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年8月25日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成17年8月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年8月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

[理由]
(2-1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント(1、1A、1B)であって、複数のセル(6、6A、6B)を上下に連結し、当該複数のセル(6、6A、6B)をステント(1、1A、1B)の中心軸(C1)を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット(4、4A、4B)を構成し、複数の前記環状ユニット(4、4A、4B)がステント(1、1A、1B)の軸方向に配置され、前記隣り合う環状ユニット(4、4A、4B)同士は少なくとも一箇所が連結部(5、5A、5B)により連結されるものにおいて、
〔1〕前記セル(6、6A、6B)は、二つのストラットを有し、当該ストラットを、拡張しうる屈曲部(12,12A、12B)により接続することにより構成され、〔2〕前記連結部(5、5A、5B)は、中央の略直線部(7、7A、7B)の両側にそれぞれ屈曲部(8、8A、8B)を接続して構成され、当該屈曲部(8、8A、8B)はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下であり、〔3〕当該連結部(5、5A、5B)は、拡張後も当該中央の略直線部(7、7A、7B)の両側にそれぞれ屈曲部(8、8A、8B)を接続した形態を実質的に保持しており、〔4〕前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)に対すると前記連結部(5、5A、5B)の総全体長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部(5、5A、5B)の総全体長さ(5L’、5AL’、5BL’)を80から150になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与し、〔5〕上記セル(6、6A、6B)と上記連結部(5、5A、5B)の配置において、(i)当該セルの拡張しうる屈曲部(12、12A、12B)により接続されている二つのストラット間、(ii)当該ストラットと当該連結部の屈曲部(8、8A、8B)間及び(iii)当該連結部の屈曲部(8、8A、8B)同士間にはそれぞれ半径方向に充分な空間部Sを形成するように配置されており、ステント(1、1A、1B)の径φを縮小させた時に、セル(6、6A、6B)と連結部(5、5A、5B)がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の当該空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されていることを特徴とするステント(1、1A、1B)」(下線は補正箇所を示す。)

(2-2)補正の目的及び新規事項の追加の有無
本件補正において、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「該」(補正前)を「当該」(補正後)に補正しており、これは、誤記を訂正するものである。
また、同じく「連結され、
前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)と前記連結部(5、5A、5B)の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部(5、5A、5B)の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)を50から150に形成した、ことを特徴とするステント(1、1A、1B)」(補正前)を
「連結されるものにおいて、
〔1〕前記セル(6、6A、6B)は、二つのストラットを有し、当該ストラットを、拡張しうる屈曲部(12,12A、12B)により接続することにより構成され、
〔2〕前記連結部(5、5A、5B)は、中央の略直線部(7、7A、7B)の両側にそれぞれ屈曲部(8、8A、8B)を接続して構成され、当該屈曲部(8、8A、8B)はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下であり、
〔3〕当該連結部(5、5A、5B)は、拡張後も当該中央の略直線部(7、7A、7B)の両側にそれぞれ屈曲部(8、8A、8B)を接続した形態を実質的に保持しており、
〔4〕前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)に対すると前記連結部(5、5A、5B)の総全体長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部(5、5A、5B)の総全体長さ(5L’、5AL’、5BL’)を80から150になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与し、
〔5〕上記セル(6、6A、6B)と上記連結部(5、5A、5B)の配置において、(i)当該セルの拡張しうる屈曲部(12、12A、12B)により接続されている二つのストラット間、(ii)当該ストラットと当該連結部の屈曲部(8、8A、8B)間及び(iii)当該連結部の屈曲部(8、8A、8B)同士間にはそれぞれ半径方向に充分な空間部Sを形成するように配置されており、
ステント(1、1A、1B)の径φを縮小させた時に、セル(6、6A、6B)と連結部(5、5A、5B)がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の当該空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されていることを特徴とするステント(1、1A、1B)」(補正後)に補正しており、これは、ステントに関する事項をより具体的に限定するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的にするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3-1).引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された欧州特許出願公開第876806号明細書(以下、「引用例」という)には、次の事項が記載されている。

(a)公報第2頁第1欄第3から15行
「本発明は、通常は「ステント」と言われる、脈管と冠状動脈の伸筋の領域に関するものである。
本装置の全体の形状は、たとえば、欧州特許EP556850の技術状態から分かる。本発明は、曲がりくねった、またはジグザグ状の形状をし、一連の巻きと、隣接する頂点を隣接する螺旋構造の巻きと結合する一連の輪を作る要素を形成する、弾力性のある金属線からなる一定の長さのイントラルミナール・ステントを記述している。本ステントは圧縮することができ、圧縮前の形状まで自動的に大きく拡張することができる。」(当審による訳)

(b)公報第2頁第2欄第45行から同第3頁第3欄第15行
「図1は、膨張前のステントの透視図を示し、それは外側が輪を交互に作る形状の要素(1、3、5)と柔軟性の大きな要素(2、4)から形成されている。
輪を作る要素(1、3、5)は、冠の形にそれ自体が閉じた、曲がりくねった形状から形成されている。この曲がりくねった形状は、コーティングや表面仕上げのないタイプ316Lの鉄から製作する。それは、180度の角度をなす曲線部分(9、13、10)によって結合された連続区画(6、7、8)を示す。これらの輪を作る要素は、比較的大きな横方向の剛性を示す。それらは、最初の直径3mmから膨張後の6mmの直径を通すため、逆に約100%の膨張を可能にしている。
連続した輪を作る2つの要素(1、3)は、「S字」形の一連のアーム(12)から形成される柔軟性の大きな要素で結合されており、一方の端が最初の要素(1)の一方の輪(13)に続き、またもう一方の端は連続する要素(3)の輪(14)に続き、ほぼ最初の輪(13)を向いている。最初の位置で、アーム(12)の中央軸(15)は、ステントの縦の中央軸と約45度の角度を形成する。
膨張後は、図2に示された通り、輪を作る要素(1,3,5)が膨張し、これがアーム(12)の支点となり、中央軸がステントの縦軸とほぼ平行となる。」(当審による訳)

(c)特許請求の範囲の請求項1
「1.「ステント」型の末梢冠状動脈または脈管の拡大装置は、円筒状に拡大でき、伸びる円筒状の要素からなる全体形状を示し、輪を作る全体形状の複数の要素(1,3,5)と、隣接する輪を作る要素(1、3、5)を相互に結合する複数(2,4)の連結アーム(12)からなり、交互に横方向に少々曲がりやすい、拡張できる区画(1,3,5)と、横方向にいっそう大きく曲がりやすい区画(2,4)を示すことを特徴とする。」(当審による訳)

(d)FIG.1およびFIG.3には、「円筒状体に形成されたステントであって、複数の『二つの連続区画(6、7)とこれを接続する曲線部分(13)からなるもの』(以下、便宜上「単位区画」という。)を上下に連結し、当該複数の単位区画をステントの中心軸を取り囲むように複数配列することにより『輪を作る要素(1、3、5)』を構成し、複数の『輪を作る要素(1、3、5)』がステントの軸方向に配置され、隣り合う『輪を作る要素(1、3、5)』同士は複数箇所がアーム(12)により連結されるものにおいて、
単位区画は、二つの略直線部(連続区画)を有し、当該略直線部を、曲線部分(13)により接続することにより構成され、
アーム(12)は、中央の両側にそれぞれ丸い箇所を接続したS字形に構成され、
単位区画とアーム(12)の配置において、(i)当該単位区画の曲線部分(13)により接続されている二つの略直線部間、(ii)当該略直線部と当該アーム(12)の丸い箇所間及び(iii)当該アーム(12)の丸い箇所同士間にはそれぞれ輪方向に充分な空間部を形成するように配置されている」ことが図示されている。

(e)FIG.2には、「円筒状体が半径方向に伸長し、曲線部分(13)が拡張し、アーム(12)は、伸長後も中央の両側にそれぞれ丸い箇所を接続した形態を実質的に保持している」ことが図示されている。

上記(a)ないし(e)の記載事項および図示内容より、引用例には、
「円筒状体に形成されかつ円筒状体の半径方向に伸長可能なステントであって、複数の単位区画を上下に連結し、当該複数の単位区画をステントの中心軸を取り囲むように複数配列することにより『輪を作る要素(1、3、5)』を構成し、複数の『輪を作る要素(1、3、5)』がステントの軸方向に配置され、隣り合う『輪を作る要素(1、3、5)』同士は複数箇所がアーム(12)により連結されるものにおいて、
〔1'〕単位区画は、二つの略直線部を有し、当該略直線部を、拡張しうる曲線部分(13)により接続することにより構成され、
〔2'〕アーム(12)は、中央の両側にそれぞれ丸い箇所を接続したS字形に構成され、
〔3'〕アーム(12)は、伸長(拡張)後も中央の両側にそれぞれ丸い箇所を接続した形態を実質的に保持しており、
〔5'〕単位区画とアーム(12)の配置において、(i)当該単位区画の拡張しうる曲線部分(13)により接続されている二つの略直線部間、(ii)当該略直線部と当該アーム(12)の丸い箇所間及び(iii)当該アーム(12)の丸い箇所同士間にはそれぞれ輪方向に充分な空間部を形成するように配置されており、圧縮することができるステント。」の発明が開示されている。

(3-2).対比・判断
本願補正発明と引用例記載の発明とを対比する。
○後者の「円筒状体に形成されかつ円筒状体の半径方向に伸長可能」、「単位区画」、「『輪を作る要素(1、3、5)』」、「複数箇所」、「アーム(12)」、「略直線部」、「曲線部分(13)」、「丸い箇所」、「空間部」は、
前者の「略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸長可能」、「セル」、「環状ユニット」、「少なくとも1箇所」、「連結部」、「ストラット」、「屈曲部(12、12A、12B)」、「屈曲部(8、8A、8B)」、「空間部S」それぞれに相当している。

○後者の「中央の両側にそれぞれ丸い箇所(屈曲部)を接続したS字形に構成され」と、前者の「中央の略直線部の両側にそれぞれ屈曲部(8、8A、8B)を接続して構成され」とは、「中央の両側にそれぞれ屈曲部を接続したS字形に構成され」という点で軌を一にしている。

○前者の「半径方向に充分な空間部Sを形成する」は、明細書の記載および図面からして、明らかに図面上の上下方向(周方向)に上記「空間部S」が形成されていることから、後者の「輪方向(周方向)に充分な空間部(空間部S)を形成する」は、前者の「半径方向(周方向)に充分な空間部Sを形成する」に相当している。

○後者の「圧縮することができる」は、圧縮(縮径)時、単位区画(セル)とアーム(連結部)が空間部(空間部S)内に納まることで、それぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、セル縮径時の干渉が防止されて、圧縮(縮径)が可能にされているといえることから、前者の「ステントの径φを縮小させた時に、セルと連結部がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されている」に相当している。

上記より、両者は、
「略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステントであって、複数のセルを上下に連結し、当該複数のセルをステントの中心軸を取り囲むように複数配列することにより環状ユニットを構成し、複数の環状ユニットがステントの軸方向に配置され、隣り合う環状ユニット同士は少なくとも一箇所が連結部により連結されるものにおいて、
〔1〕セルは、二つのストラットを有し、当該ストラットを、拡張しうる屈曲部(12,12A、12B)により接続することにより構成され、
〔2〕連結部は、中央の両側にそれぞれ屈曲部を接続したS字形に構成され、
〔3〕当該連結部は、拡張後も当該中央の両側にそれぞれ屈曲部を接続した形態を実質的に保持しており、
〔5〕セルと連結部の配置において、(i)当該セルの拡張しうる屈曲部(12、12A、12B)により接続されている二つのストラット間、(ii)当該ストラットと当該連結部の屈曲部間及び(iii)当該連結部の屈曲部同士間にはそれぞれ半径方向に充分な空間部Sを形成するように配置されており、
ステントの径φを縮小させた時に、セルと連結部がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の当該空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されているステント」という点で一致し、以下の点で相違している。

◇相違点1
前者では、中央の両側にそれぞれ屈曲部を接続したS字形の連結部について、中央が「略直線部」であるのに対して、後者では、これが明らかでない点。

◇相違点2
前者では、中央の両側にそれぞれ屈曲部を接続したS字形の連結部について、「屈曲部はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下である」のに対して、後者では、これが明らかでない。

◇相違点3
前者では、「セルのステント軸方向の長さに対すると連結部の総全体長さの比率を、セルのステント軸方向の長さを100とすると連結部の総全体長さを80から150になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与している」のに対して、後者では、これが明らかでない。

上記各相違点について検討する。
◆相違点1について
引用例記載の発明において、中央の両側にそれぞれ屈曲部を接続したS字形の連結部について、中央の真ん中は変曲点になっていて屈曲していないことから、この変曲点を含む中央を、変曲点と同じように屈曲しないよう(略直線部)にするかどうかは、当業者が適宜決定する事項にすぎないので、中央を略直線部にすることに格別の困難性があるとはいえない。
したがって、該相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得る程度のことである。

◆相違点2について
引用例記載の発明において、中央の両側にそれぞれ屈曲部を接続したS字形の連結部について、屈曲部の形状、スケール等をどのようにするかは、ステントの機能向上等を考慮して、当業者が適宜決定する事項にすぎないので、例えば、屈曲部はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下とすることに格別の困難性があるとはいえない。
したがって、該相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得る程度のことである。

◆相違点3について
引用例記載の発明において、セルのステント軸方向の長さと、連結部の総全体長さの関係をどのようにするかは、ステントの機能として普通に要求される「ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与する」等を考慮して、当業者が適宜決定する事項にすぎないので、例えば、セルのステント軸方向の長さに対する連結部の総全体長さの比率を、セルのステント軸方向の長さを100とすると連結部の総全体長さを80から150になるように充分大きく形成することに格別の困難性があるとはいえない。
したがって、該相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得る程度のことである。

よって、本願補正発明は、引用例記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3-3).むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記結論のとおり決定する。

4.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という)は、平成14年5月22日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント(1、1A、1B)であって、
複数のセル(6、6A、6B)を上下に連結し、該複数のセル(6、6A、6B)をステント(1、1A、1B)の中心軸(C1)を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット(4、4A、4B)を構成し、
複数の前記環状ユニット(4、4A、4B)がステント(1、1A、1B)の軸方向に配置され、前記隣り合う環状ユニット(4、4A、4B)同士は少なくとも一箇所が連結部(5、5A、5B)により連結され、
前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)と前記連結部(5、5A、5B)の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部(5、5A、5B)の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)を50から150に形成した、ことを特徴とするステント(1、1A、1B)。」

5.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記3.(3-1)に記載したとおりである。

6.対比・判断
本願発明は、本願補正発明から2.(2-2)で示した限定事項を省いたものであって、本願補正発明を包含するものである。
そうすると、本願補正発明が、上記3.(3-2)に記載したとおり、引用例記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、この本願補正発明を包含する本願発明も、同様に、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-09 
結審通知日 2007-11-13 
審決日 2007-11-27 
出願番号 特願2001-205598(P2001-205598)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61M)
P 1 8・ 575- Z (A61M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門前 浩一  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 中田 誠二郎
豊永 茂弘
発明の名称 ステント  
代理人 小池 信夫  
代理人 小池 信夫  
代理人 小池 信夫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ