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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない B23Q
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない B23Q
管理番号 1171639
審判番号 訂正2006-39064  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2006-04-28 
確定日 2008-01-22 
事件の表示 特許第3338669号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
1.本件特許第3338669号の請求項1?3に係る発明についての出願は、平成11年8月3日に特許出願され、平成14年8月9日にそれらの発明について特許権の設定登録がされた。
2.これに対して、平成17年9月1日にパスカルエンジニアリング株式会社より、本件発明1?3についての特許を無効とするとの審決を求める無効審判請求(無効2005-80265)がなされた。
3.平成18年1月17日付けで、本件の請求項1?3に係る発明についての特許を無効とするとの審決がなされ、平成18年2月9日に当該審決の取消しを求める訴(平成18年(行ケ)第10056号)が知的財産高等裁判所に提起された。
4.平成18年4月28日に、本件訂正審判が請求され、平成18年6月7日付けで訂正拒絶理由が通知された。
5.請求人より、平成18年7月6日付けで意見書が提出された。

第2 訂正の内容
本件審判請求の要旨は、特許第3338669号の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)を、審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は当審で付したものである。

1.訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を、
「【請求項1】 基準部材(R)に可動部材(M)を心合わせして上記の基準部材(R)の支持面(S)に上記の可動部材(M)の被支持面(T)を固定するようにしたデータム機能付きクランプ装置であって、
上記の可動部材(M)の上記の被支持面(T)にソケット穴(11)を開口させて、そのソケット穴(11)に位置決め孔(12)と係止孔(13)とを開口端から順に形成し、
上記ソケット穴(11)へ挿入される環状のプラグ部分(21)を上記の基準部材(R)から突設させ、
上記プラグ部分(21)と上記の位置決め孔(12)との間に、直径方向へ拡大および縮小されるシャトル部材(23)を配置し、そのシャトル部材(23)を、上記プラグ部分(21)と上記の位置決め孔(12)との両者のうちの一方(21,12)に軸心方向へ所定範囲内で移動自在に支持するとともに他方(12,21)にテーパ係合可能に構成し、そのシャトル部材(23)のテーパ面(28)を上記の係止孔(13)へ向けてすぼまるように形成し、上記シャトル部材(23)を弾性部材(24)によって上記のテーパ係合を緊密にする方向へ付勢し、
上記のプラグ部分(21)の筒孔(21a)にプルロッド(31)を軸心方向へ移動自在に挿入して、そのプルロッド(31)の外周空間に、半径方向の外方の係合位置(X)と半径方向の内方の係合解除位置(Y)とに移動される係合具(34)を配置し、
上記の基準部材(R)に設けた駆動手段(D)によって上記プルロッド(31)を基端方向へクランプ駆動することにより、そのプルロッド(31)の出力部(36)が上記の係合具(34)を上記の係合位置(X)へ切り換えて前記の係止孔(13)へ係合させて、前記の可動部材(M)を前記の基準部材(R)へ向けて移動させ、
同上の駆動手段(D)によって上記プルロッド(31)を先端方向へアンクランプ駆動することにより、同上の係合具(34)が係合解除位置(Y)へ切り換わるのを許容し、上記のアンクランプ駆動時には、上記プルロッド(31)の先端が前記ソケット穴(11)の頂壁(11a)を押圧し、これにより、前記シャトル部材(23)のテーパ面(28)上に係合隙間(α)を形成すると共に、前記の支持面(S)と前記の被支持面(T)との間に接当隙間(β)を形成した、ことを特徴とするデータム機能付きクランプ装置。」から、
「【請求項1】 機械のテーブル又はクランプパレットからなる基準部材(R)にワークパレット(3)を固定する複数のクランプ装置のうちの少なくとも一つとして用いられて、上記の基準部材(R)に上記ワークパレット(3)を心合わせして上記の基準部材(R)の支持面(S)に上記ワークパレット(3)の被支持面(T)を固定するようにしたデータム機能付きクランプ装置であって、
上記ワークパレット(3)の上記の被支持面(T)に開口させたソケット穴(11)に、そのソケット穴(11)に形成されたストレート位置決め孔(12)の軸心方向へ移動自在に支持される環状のシャトル部材(23)を、半径方向の外方の係合位置(X)に切り換えられた係合具(34)が係合する係止孔(13)よりも開口端側に設け、
上記ワークパレット(3)の上記ソケット穴(11)へ挿入される環状のプラグ部分(21)であって、上記の環状のシャトル部材(23)の内周面がテーパ係合するプラグ部分(21)を、上記の基準部材(R)から突設させ、
上記の基準部材(R)に設けた上記プラグ部分(21)と上記ワークパレット(3)に形成した上記ストレート位置決め孔(12)との間に、直径方向へ拡大および縮小される前記シャトル部材(23)を配置し、そのシャトル部材(23)の外周のストレート面(27)を上記ストレート位置決め孔(12)に軸心方向へ所定範囲内で移動自在に支持するとともに、同上シャトル部材(23)の内周のテーパ面(28)を上記の基準部材(R)の前記プラグ部分(21)にテーパ係合可能に構成し、そのシャトル部材(23)の上記テーパ面(28)を上記ワークパレット(3)の上記の係止孔(13)へ向けてすぼまるように形成し、上記シャトル部材(23)を弾性部材(24)によって上記のテーパ係合を緊密にする方向へ付勢し、
上記のプラグ部分(21)の筒孔(21a)にプルロッド(31)を軸心方向へ移動自在に挿入して、そのプルロッド(31)の外周空間で上記プラグ部分(21)に、半径方向の外方の係合位置(X)と半径方向の内方の係合解除位置(Y)とに移動される前記の係合具(34)を配置し、
上記の基準部材(R)に設けた駆動手段(D)によって上記プルロッド(31)を基端方向へクランプ駆動することにより、そのプルロッド(31)の出力部(36)が上記の係合具(34)を上記の係合位置(X)へ切り換えて前記の係止孔(13)へ係合させて、前記ワークパレット(3)を前記の基準部材(R)へ向けて移動させ、
同上の駆動手段(D)によって上記プルロッド(31)を先端方向へアンクランプ駆動することにより、同上の係合具(34)が係合解除位置(Y)へ切り換わるのを許容し、上記のアンクランプ駆動時には、上記プルロッド(31)の先端が前記ソケット穴(11)の頂壁(11a)を押圧し、これにより、前記シャトル部材(23)のテーパ面(28)上に係合隙間(α)を形成すると共に、前記の支持面(S)と前記の被支持面(T)との間に接当隙間(β)を形成した、ことを特徴とするデータム機能付きクランプ装置。」と訂正する。

2.訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2を削除する。

3.訂正事項c
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3の先頭の「請求項1又は2に」を「請求項1に」と訂正し、請求項3を請求項2に繰り上げる。

4.訂正事項d
特許明細書の段落【0001】における、「この発明は、データム機能付きクランプ装置に関し、より詳しくいえば、マシニングセンタのテーブル等の基準部材にワークパレット等の可動部材を精密に心合わせした状態で固定する装置に関する。」を、
「この発明は、機械のテーブル又はクランプパレットからなる基準部材(R)にワークパレット(3)を固定する複数のクランプ装置のうちの少なくとも一つとして用いられるデータム機能付きクランプ装置に関し、より詳しくいえば、マシニングセンタのテーブル等の基準部材に可動部材としてのワークパレットを精密に心合わせした状態で固定する装置に関する。」と訂正する。

5.訂正事項e
特許明細書の段落【0003】における「可動部材」を、「可動部材としてのワークパレット」と訂正する。

6.訂正事項f
特許明細書の段落【0004】における「例えば、図1から図4、又は図5に」を「例えば、図1から図4、及び図5に」と訂正するとともに、【0004】の記載を、訂正事項aによる請求項1の訂正に対応したものに訂正する。

7.訂正事項g
特許明細書の段落【0005】及び【0006】における「可動部材」を、すべて「ワークパレット」と訂正する。

8.訂正事項h
特許明細書の段落【0007】の内容を削除する。

9.訂正事項i
特許明細書の段落【0008】の先頭の「請求項3の発明に示すように、上記の請求項1又は2」を、「請求項2の発明に示すように、上記の請求項1」と訂正する。

10.訂正事項j
特許明細書の段落【0009】における「請求項3」を「請求項2」と、「可動部材」を「ワークパレット」と訂正する。

11.訂正事項k
特許明細書の段落【0010】における「本発明の第1実施形態」を「本発明者が本発明に先立って提案した形態(以下、先提案形態という)」と、「図1Aから図1Dと図2によって、本発明の」を「図1Aから図1Dと図2によって、先提案形態の」と訂正する。

12.訂正事項l
特許明細書の段落【0029】及び【0031】における「第1実施形態」を、すべて「先提案形態」と訂正する。

13.訂正事項m
特許明細書の段落【0031】における「第2実施形態」を、すべて「実施形態」と訂正する。

14.訂正事項n
特許明細書の段落【0033】における「上記の各実施形態」を「上記の先提案形態や実施形態」と訂正し、「前記の可動部材Mは、例示したワークパレット3に代えてワークピースであってもよい。」の記載を削除する。

15.訂正事項o
特許明細書の段落【0034】における「本発明のデータム機能付きクランプ装置は、ワークパレットやワークピースのクランピングの用途に限定されるものではなく、金型やアタッチメント等のクランピングにも利用できることは勿論である。」の記載を削除する。

16.訂正事項p
図面の簡単な説明において、図1の説明における「本発明」を「本発明の先提案形態」と、図2の説明における「第1実施形態」を「先提案形態」と、図5の説明における「第2実施形態」を「実施形態」と訂正する。

第3 訂正の適否について
1.訂正の目的の適否
(1)訂正事項aについて
訂正事項aは、データム機能付きクランプ装置が、「機械のテーブル又はクランプパレットからなる基準部材(R)にワークパレット(3)を固定する複数のクランプ装置のうちの少なくとも1つとして用いられ」ることを限定し、可動部材(M)を「ワークパレット(3)」と限定するとともに、位置決め孔(12)が、「ソケット穴(11)に形成されたストレート位置決め孔(12)」及び「上記ワークパレット(3)に形成した上記ストレート位置決め孔(12)」であることを限定し、シャトル部材(23)が「ストレート位置決め孔(12)の軸心方向へ移動自在に支持される環状のシャトル部材(23)」であること、「係止孔(13)よりも開口端側に設け」ること、及び「そのシャトル部材(23)の外周のストレート面(27)を上記ストレート位置決め孔(12)に」軸心方向に所定範囲内で移動自在に支持することを限定し、係止孔(13)が、「半径方向の外方の係合位置(X)に切り換えられた係合具(34)が係合する」ことを限定し、また、プラグ部分(21)が、「ワークパレット(3)の」ソケット穴(11)へ挿入されるものであって、「環状のシャトル部材(23)の内周面がテーパ係合する」ものであると限定し、係合具(34)が「上記プラグ部分(21)」に配置されると限定するほか、係止孔(13)が「上記ワークパレット(3)の」であること、プラグ部分(21)が「基準部材(R)に設けた」ものであること、ソケット穴(11)が「ワークパレット(3)の上記の被支持面(T)に開口させた」及び「ワークパレット(3)の」であること、並びにテーパ面(28)が「シャトル部材(23)の内周の」であることをそれぞれ明りょうにするものであり、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(2)訂正事項bについて
訂正事項bは、請求項を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(3)訂正事項c?pについて
訂正事項c?pは、訂正事項a及びbによる特許請求の範囲の記載の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載及び発明の詳細な説明の記載の整合を図るためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

2.新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の適否
訂正事項a?pは、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であり、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.独立特許要件
本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項を含むものであるので、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。

(1)訂正発明
訂正明細書の請求項1乃至2に係る発明(以下、「訂正発明1」乃至「訂正発明2」という。また、これらを総称して「訂正発明」という。)は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 機械のテーブル又はクランプパレットからなる基準部材(R)にワークパレット(3)を固定する複数のクランプ装置のうちの少なくとも一つとして用いられて、上記の基準部材(R)に上記ワークパレット(3)を心合わせして上記の基準部材(R)の支持面(S)に上記ワークパレット(3)の被支持面(T)を固定するようにしたデータム機能付きクランプ装置であって、
上記ワークパレット(3)の上記の被支持面(T)に開口させたソケット穴(11)に、そのソケット穴(11)に形成されたストレート位置決め孔(12)の軸心方向へ移動自在に支持される環状のシャトル部材(23)を、半径方向の外方の係合位置(X)に切り換えられた係合具(34)が係合する係止孔(13)よりも開口端側に設け、
上記ワークパレット(3)の上記ソケット穴(11)へ挿入される環状のプラグ部分(21)であって、上記の環状のシャトル部材(23)の内周面がテーパ係合するプラグ部分(21)を、上記の基準部材(R)から突設させ、
上記の基準部材(R)に設けた上記プラグ部分(21)と上記ワークパレット(3)に形成した上記ストレート位置決め孔(12)との間に、直径方向へ拡大および縮小される前記シャトル部材(23)を配置し、そのシャトル部材(23)の外周のストレート面(27)を上記ストレート位置決め孔(12)に軸心方向へ所定範囲内で移動自在に支持するとともに、同上シャトル部材(23)の内周のテーパ面(28)を上記の基準部材(R)の前記プラグ部分(21)にテーパ係合可能に構成し、そのシャトル部材(23)の上記テーパ面(28)を上記ワークパレット(3)の上記の係止孔(13)へ向けてすぼまるように形成し、上記シャトル部材(23)を弾性部材(24)によって上記のテーパ係合を緊密にする方向へ付勢し、
上記のプラグ部分(21)の筒孔(21a)にプルロッド(31)を軸心方向へ移動自在に挿入して、そのプルロッド(31)の外周空間で上記プラグ部分(21)に、半径方向の外方の係合位置(X)と半径方向の内方の係合解除位置(Y)とに移動される前記の係合具(34)を配置し、
上記の基準部材(R)に設けた駆動手段(D)によって上記プルロッド(31)を基端方向へクランプ駆動することにより、そのプルロッド(31)の出力部(36)が上記の係合具(34)を上記の係合位置(X)へ切り換えて前記の係止孔(13)へ係合させて、前記ワークパレット(3)を前記の基準部材(R)へ向けて移動させ、
同上の駆動手段(D)によって上記プルロッド(31)を先端方向へアンクランプ駆動することにより、同上の係合具(34)が係合解除位置(Y)へ切り換わるのを許容し、上記のアンクランプ駆動時には、上記プルロッド(31)の先端が前記ソケット穴(11)の頂壁(11a)を押圧し、これにより、前記シャトル部材(23)のテーパ面(28)上に係合隙間(α)を形成すると共に、前記の支持面(S)と前記の被支持面(T)との間に接当隙間(β)を形成した、ことを特徴とするデータム機能付きクランプ装置。
【請求項2】 請求項1に記載したデータム機能付きクランプ装置において、
前記の基準部材(R)にクリーニング流体の供給口(41)を設けると共に前記プルロッド(31)の先端部分にクリーニング流体の噴出口(42)を設け、上記の供給口(41)と上記の噴出口(42)とを上記プルロッド(31)内の流路(44)によって連通させた、ことを特徴とするデータム機能付きクランプ装置。」

(2)引用刊行物
これに対して、平成18年6月7日付けで通知した訂正拒絶理由には、次の刊行物1?4が引用されている。
[引用刊行物]
刊行物1:特開平7-314270号公報
刊行物2:特開昭64-11743号公報
刊行物3:特許第2784150号公報
刊行物4:米国特許第4747735号公報

上記各刊行物の記載内容は、以下のとおりである。
ア.刊行物1
刊行物1(発明の名称「パレットのクランプ装置」、平成7年12月5日公開)には、以下の事項が記載されている。
(1-イ)段落【0019】?【0020】
「【0019】マシニングセンタ等では、1台のテーブル1に対して通常複数個(例えば12個)のパレット20が使用されており、テーブル1に対してパレット20をAPCにより順次交換して、パレット20上に載置されたワーク21を加工するようになっている。
したがって、各パレット20相互の互換性、即ち全てのパレット20が常にテーブル1に対して例えば水平,垂直両方向に関して高精度にクランプされることが要求されている。
パレット20は、パレットのクランプ装置22によりテーブル1に着脱可能にクランプされており、上述のようにテーブル1を割出すことによりワーク21は所定の位置及び方向に位置決めされる。
【0020】図1及び図2に示すように、クランプ装置22は、少なくとも4組のクランプ機構30,31を備えている。クランプ機構30,31は、パレット20の裏面23側に設けられたパレット側装着部24のメス側テーパ穴25及び端面26に、テーブル1に設けられたオス側テーパ面27及び端面28をそれぞれ密着させて、パレット20をテーブル1に着脱可能に装着している。これにより、パレット側装着部24はテーブル1に対してテーパ面部と端面部との二面拘束によりクランプされる。」

(1-ロ)段落【0024】?【0026】
「【0024】凹部32は、パレット裏面23に設けられた突出部36に形成されており、凹部32内に装着されたメス側テーパブッシュ34は、複数の締付けボルト37により突出部36に締結固定されている。
テーパブッシュ34のフランジ部38と突出部36との間には厚みの微調節が可能なスペーサ39が介装されており、これにより、テーパブッシュ34をパレット20に対して縦方向(例えば、上下垂直方向即ちY軸方向)に関して精密に位置決め固定している。
【0025】オス側テーパ面27及び端面28を有するオス側テーパピン40が、複数の締付けボルト41によりテーブル1に位置決め固定されている。テーパピン40の下方には円筒状突出部42が一体的に形成されており、この突出部42が、テーブル1に形成された大径シリンダ43に嵌合することにより、テーパピン40は水平方向について精密に位置決めされている。
また、テーパピン40のフランジ部44とテーブル1の上面46との間に、厚みの微調節が可能なスペーサ45を介装することにより垂直方向についても精密に位置決めしている。
【0026】テーパブッシュ34及びテーパピン40は、テーパ穴25にテーパ面27が密着し、且つ平面状のメス側端面26に平面状のオス側端面28が密着して二面拘束状態になるように高精度に形成されている。」

(1-ハ)段落【0029】?【0030】
「【0029】テーブル1には、大径シリンダ43に連通し且つこれと同心の小径シリンダ50が形成されている。Y軸方向に往復動するピストン51が小径シリンダ50及びテーパピン40の内周面40aに摺動自在に嵌合している。ピストン51の下側のシリンダ室52及び上側のシリンダ室53には、それぞれ圧力油を供給してピストン51を押し上げるための流路54及びピストン51を押し下げるための流路55がそれぞれ連通している(図1参照)。
小径シリンダ50の下方には、これに連通し且つ同心で小径の有底凹部56が形成されている。有底凹部56とピストン51の凹部51aとの間にはばね(例えばコイルばね)57が介装されてピストン51を常にクランプ動作側すなわち上方に付勢している。
【0030】テーパピン40に放射状に形成された複数(例えば3個)の貫通孔65内にはそれぞれボール58が遊嵌されている。各ボール58は、テーパピン40の半径方向に移動可能になっており、またテーパブッシュ34に形成された環状溝59内に移動できるようになっている。ピストン51の上部には、ボール58に接触してこれを半径方向に進退移動させるためのテーパ面61が形成されている。
テーパピン40の上端開口部は、ごみ等の侵入防止のためのキャップ47により密閉されており、キャップ47にはエアーブロー用の小孔48が穿設されている。」

(1-ニ)段落【0032】?【0033】
「【0032】なお、両端面26,28の密着の有無の確認のために、テーパピン40には、端面28に開放する空気流路63が形成されている。また、圧縮空気により矢印Dに示すようにエアーブローをしてテーパピン40とテーパブッシュ34との間の密着部のごみ等を除去するための空気流路64が、テーパピン40及びテーブル1に形成されている。これにより、クランプ装置22の密着部が常に清浄な状態に保たれ、高精度でクランプされる。
【0033】また、本実施例ではクランプ動作中にボール58がテーパブッシュ34のテーパ状底面60を押圧する押圧点Sが、互いに密着する両端面26,28の近傍に位置するようになっている。また、各押圧点Sはクランプ機構30,31の中心位置から半径方向外方にかなり離れた位置にある。従って、テーパピン40に対してテーパブッシュ34が傾くことなく安定した姿勢で装着されることとなり、位置決め精度が向上する。」

(1-ホ)段落【0034】?【0038】
「【0034】次に、クランプ装置22の動作について説明する。上述のようにパレット中心Cを基準にして各クランプ機構30,31が予め正確に位置決めされたパレット20が図示しないAPCによりテーブル1に運ばれ、パレット側装着部24をテーブル1のテーパピン40に嵌合させる。
【0035】次いで、油圧装置を動作させて流路54を介して圧油を下側シリンダ室52に供給すると、ピストン51は油圧とばね57のばね力により押し上げられる。すると、ピストン上部のテーパ面61に押圧されたボール58が、テーパピン40の半径方向外方に押されて、環状溝59側に移動する。ボール58は、テーパピン40の貫通孔65内に遊嵌されているので、貫通孔65の上部内周面66に当接した状態でテーパブッシュ34のテーパ状底面60を矢印Pに示すように略下方に押圧する。これにより、テーパブッシュ34はテーパピン40側に強く引っ張られる。
こうしてピストン51が十分に上昇すると、ボール58の押圧力を介してテーパブッシュ34とテーパピン40とはテーパ面部と端面部とが二面拘束状態で強い圧力で密着してクランプ状態となる。その後、ワーク21を加工する作業工程に移行する。
【0036】次に、アンクランプ動作の際には、流路54を開放し流路55から圧油を上側シリンダ53に供給する。すると、ピストン51はばね57のばね力に抗して下方に押し下げられるので、ボール58は開放されてピストン51側に移動し、これによりクランプ装置22はアンクランプ状態になり、パレット20はAPCによりテーブル1から離脱する。
【0037】従って、本実施例によれば、テーパ面部と端面部との二面拘束によりパレット20をテーブル1に装着しているので、横方向(水平方向)と縦方向(上下方向)双方の繰り返し位置決め精度が高精度になる。また、テーパ面部に加えて端面部も密着するので、パレット20をテーブル1に強いクランプ力でクランプすることができる。
【0038】このように、クランプ装置22は、テーブル1に対して各パレット20を常に正確な位置に繰り返し位置決めする機能と、ワーク21の加工作業中にパレット20に加わる反力に対してパレット20を強固にクランプする機能とを具備することとなる。よって、ワーク21を常に高精度で加工することができる。」

(1-ヘ)図3の記載によれば、テーブル1にごみ等を除去するための圧縮空気の供給口が設けられ、テーパピン40の先端部分に前記圧縮空気の噴出口が設けられることが看取できる。

これらの記載事項及び図3の記載からみて、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明1」乃至「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明1]
『マシニングセンタ等のテーブル1にメス側テーパブッシュ34を一体化したパレット20を固定する複数のクランプ機構30,30,31,31のうちの2つとして用いられ、上記テーブル1に上記パレット20を心合わせして上記のテーブル1の端面28に上記のパレット20の端面26を固定するようにしたクランプ機構30,30であって、
上記パレット20の上記の端面28に開口させた凹部に、メス側テーパ穴25の下部部分と半径方向の外方の係合位置に切り換えられたボール58が係合する環状溝59とメス側テーパ穴25の上部部分とを開口端から順に形成し、
上記パレット20の上記凹部へ挿入される環状のオス側テーパピン40であって、半径方向の内方の係合解除位置に切り換えられたボール58を支持したオス側テーパピン40を上記のテーブル1から突設させ、
上記オス側テーパピン40の筒孔にピストン51を軸心方向へ移動自在に挿入して、そのピストン51の外周空間で上記オス側テーパピン40に、半径方向の外方の係合位置と半径方向の内方の係合解除位置とに移動される前記のボール58を配置し、
上記のテーブル1に設けた圧力油流路54、55の圧力油及びコイルばね57によって上記ピストン51を先端方向へクランプ駆動することにより、そのピストン51のテーパ面61が上記のボール58を上記の係合位置へ切り換えて前記の環状溝59へ係合させて、前記パレット20を前記のテーブル1へ向けて移動させ、
同上の圧力油流路54、55の圧力油及びコイルばね57によって上記ピストン51を基端方向へアンクランプ駆動することにより、同上のボール58が係合解除位置へ切り換わるのを許容するように構成した、クランプ機構30,30。』
[引用発明2]
『引用発明1において、テーブル1にごみ等を除去するための圧縮空気の供給口を設けるとともに前記テーパピン40の先端部分に圧縮空気の噴出口を設け、上記の供給口と上記の噴出口とを、テーパピン40とテーパブッシュ34との間の流路によって連通させた、クランプ機構30,30。』

イ.刊行物2
刊行物2(発明の名称「2つの物体を相互に取外し可能にかつ繰返し可能にクランプするための装置」、昭和64年1月17日公開)には、以下のとおり記載されている。
(2-イ)第2頁右下欄14行?第3頁右上欄15行
「[実施例]
・・・図面において、1は装置テーブルを示し、2は工作テーブルまたは固定台を示す。工作テーブル1(当審注:「装置テーブル1」の誤記と認められる。)には・・・円筒形ハウジング3が固定される。・・・
ハウジング3にはさらに上部外周部に切頭円錐面15・・・が設けられる。
工作テーブル(固定台)2は・・・凹所18を有しその縁部には環状の肩材19が設けられる。この肩材19の上面には凹所18内の方向に面するクランプ面20が形成され下面にはストッパ面21が形成される。この環状肩材19のフランジ部19’にはリング22が固定される。この環状肩材19,19’は・・・工作テーブル2に固定される。リング22の内面にはハウジング3の円錐面15と協働するための円錐面25が形成される。リング22はその外周部に2つの半径方向のスプリング26を有し、これらのスプリングによりリング22が肩材19,19’内に固定支持される。これらのスプリング26の配置により、リング22従ってその円錐面25がZ方向すなわち前述の軸16と平行な方向に弾発動作可能となる。」

上記の摘記事項及び図面の記載からみて、刊行物2には、次の事項(以下、「刊行物2記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
『装置テーブル1に工作テーブル2を心合わせして上記の装置テーブル1に上記工作テーブル2を固定するようにした心合わせ機能付きクランプ装置において、
工作テーブル2に開口させた凹所18の縁部に、クランプ面20が形成された環状肩材19を設けるとともに、該環状肩材19内に軸16と平行な方向に弾発動作可能なリング22を設け、リング22の内面には円筒形ハウジング3の円錐面15と協同するための円錐面25を形成し、
装置テーブル1に固定した円筒形ハウジング3の上部外周部に設けた切頭円錐面15と工作テーブル2に固定した環状肩材19に固定支持されるリング22内面の円錐面25とが協働して心合わせを行うこと。』

ウ.刊行物3
刊行物3(発明の名称「工具ホルダー」、平成10年8月6日発行)には、以下の事項が記載されている。
(3-イ)段落【0017】?【0021】
「【0017】【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1において、本発明の工具ホルダーは、工作機械の主軸1 のテーパ孔2 に嵌合するスリーブ3 と、該スリーブ3 に軸方向相対移動を許容されて挿通されたシャンク部4 と、該シャンク部4 と一体的に設けられて前記主軸の端面に当接するフランジ部5 と、該フランジ部5 と前記スリーブ3 との間に設けられた弾性部材6 とを有する。
・・・
【0019】前記スリーブ3 は、内外周面を有するリング状体で、その外周面がテーパ面に形成され、その内周面はストレート面に形成されている。このテーパ面のテーパ角度は、前記主軸1 のテーパ孔2 のテーパ角度と同じとされている。このテーパは、一般的な傾きとして採用される7/24(約16°)、好ましくは12°より緩傾斜で行われるようにしてある。本実施例では1/10の傾き(約6°)を採用した。
・・・
【0021】前記フランジ部5 のシャンク部側の端面は、前記工作機械の主軸1 の端面に面接当する平坦面に形成されている。そして、このフランジ部5 の平坦面の内周部側に、弾性部材取付座11が形成されている。この取付座11は、前記平坦面に凹設された環状凹部からなる。
図2に示すように、前記弾性部材6 は、環状に形成され、前記取付座11の凹部に収納され、そして、前記スリーブ3 の端面に当接している。そして、環状弾性部材6 の内周面は、前記シャンク部外周面に密着状に接触し、その外周面は、取付座11の凹部内周面と所定の間隙を有している。」

(3-ロ)段落【0031】
「【0031】このとき、スリーブ3 は弾性部材6 の圧縮による反発力により軸方向に押圧され、該押圧力により、スリーブ3 のテーパ面と主軸1 のテーパ孔2 とのテーパ接触結合が得られる。そして、このテーパ接触による締め付けによりスリーブ3 の内径は縮径し、シャンク部4 を強固に把持する。・・・」

これらの摘記事項及び図1の記載からみて、刊行物3には、次の事項(以下、「刊行物3記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
『主軸1に工具ホルダー本体8を心合わせして上記の主軸1に上記工具ホルダー本体8を固定するようにした心合わせ機能付きクランプ装置において、
工具ホルダー本体8と主軸1のテーパ孔2との間に、直径方向に拡大及び縮小されるスリーブ3を配置し、そのスリーブ3の内周面をストレート面によって構成すると共に同上スリーブ3の外周面をテーパ面によって構成し、上記ストレート面を工具ホルダー本体8のシャンク部4に軸心方向へ移動自在に支持し、上記テーパ面をその先端へ向けてすぼまるように形成すると共に前記のテーパ孔2にテーパ係合させ、上記スリーブ3を弾性部材6によって上記テーパ係合を緊密にする方向へ付勢すること。』

エ.刊行物4
刊行物4(発明の名称「ツールホルダ及び解除可能な搭載方法」、1988年3月31日発行)の第3欄55行?第5欄20行には、以下の事項が記載されている。
「図2を参照すると、ツールホルダ10は、ツール支持部材34にロック部材36を介して弾性的に搭載(すなわちロックアップ)されている。・・・上記のロック部材36とロックロッド38と本体42との組み合わせによりロック機構が構成されている。
・・・ロックロッド38の前端には2つの円筒凹部状の当接傾斜路44が形成され、ロックロッド38が引っ張られて図2に示す後退位置に保持される時、上記の当接傾斜路44が、本体42の開口部24を通して球体36を外側へ移動させる。ツールホルダを取り外す為にロックロッド38が前側へ押動されたとき、球体36は凹部46に受容され、ツールホルダを取り外し可能になる。
ロック状態では、ロックボール(36)は傾斜路44により外側へ移動しているため、ロックボールは、開口部24における前向き凹状当接面26と、本体42の開口部48における後向き凹面50に当接する状態に駆動される。こうして、ツール支持部材34の穴51に挿入されているツールホルダ10のシャンク14に対して、後向き成分と径方向外向き成分のある力が作用する。
この力の後向き成分が、X-X軸回りの、第1回転面20を穴の前向き回転面52に嵌合させる。この前向き回転面52は、半径方向内側に面しており、後方側に向かって小径化するようにテーパになっており、図示のように好ましくは円錐状であり、シャンク14の第1回転面20と同じ角度でテーパ化している。シャンク14の第1回転面20と穴の前向き回転面52は、弾性的に密着し、ツールホルダ6の後向き面16がツール支持部材34の前向き面54に当接する。シャンク14に作用する前記の力の径方向外向き成分は、第2回転面22の少なくとも一部・・・を弾性的に拡大させて、X-X軸回りの後向き回転面56に密着させる。穴の内周面56は、シャンク14の円周面22に完全に密着させるために、好ましくは凹状円周面に形成される。
・・・図2に示すように、本体42はツール支持部材34の穴に係合され、それをツール支持部材34に連結する4つのボルト58により固定されている。ロックロッド38とロック部材36は、ロック状態では自己調心するように、本体の通路40と半径方向開口48に夫々緩く係合している。
ツールホルダのシャンクがない状態では、ロック部材はロックロッド38と穴51により、夫々の開口に緩く保持されている。開口48がある所の本体42の外径に関して、それと本体42の穴直径との間の間隔は、開口48から突き出したロック部材36が、シャンク48の端部が挿入された際に開口側へ押し戻されるように、十分小さくなるように設定されている。ロックロッド38は、ロックロッドに固定した長円形ラグ60を本体42に形成した長円形リセス62に収容してなるキーとキー溝との係合により回転しないように通路40に保持されている。
ロックロッド38の後端には、ロックロッド38を一般的な手段により往復運動させる為のネジ部材64が設けられ、ロックロッド38をツール支持部材34に対して後退位置に保持してシャンクをロックし、また、ロックロッドを前進位置に移動させてシャンクをアンロックしてから、ロックロッドの前端の当接面66を、シャンク14の円筒部の内側のシャンク押出し面68に当接させることにより、シャンクをツール支持部材34から前方へ離脱させる。
図2に示す一般的な往復運動手段は、ロックロッド38のネジ部材64に螺合されたトルクナット69であって、本体42の後端部分の内部に回転自在に収容されてスラストニードルローラベアリング71付きの上下のスラストワッシャ70間に支持されたトルクナット69からなるトルクナットユニットである。このトルクナットユニットの全体は、環状肩部72と係止リング74との間に軸方向には移動しないように保持されている。トルクナット69の後端部75は、回転駆動される一般的な回転部材(図示略)に連動連結されてトルクナット69を回転させ、これによりロックロット38を前進させたり後退させたりする。」

上記の摘記事項及び図2の記載からみて、刊行物4には、次の事項(以下、「刊行物4記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
『ツール支持部材34にツールホルダ10のシャンク14を固定するようにしたクランプ装置において、
ロックロッド38を基端方向へクランプ駆動することによってシャンク14をツール支持部材へ向けて移動させるものであり、また、ロックロッド38を先端方向へアンクランプ駆動するものであって、そのアンクランプ駆動により、ロックロッド38がシャンク14の円筒部の内側のシャンク押出し面68を押し上げ、そのアンクランプ状態では、前記のシャンク14を上記ロックロッド38を介してツール支持部材34に受け止めること。』

(3)対比・判断
ア.訂正発明1について
(ア)対比
訂正発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「マシニングセンタ等のテーブル1」は訂正発明1における「機械のテーブル又はクランプパレットからなる基準部材」に相当し、以下同様に、「メス側テーパブッシュ34を一体化したパレット20」は「ワークパレット」に、「テーブル1の端面28」は「基準部材の支持面」に、「パレット20の端面26」は「ワークパレットの被支持面」に、「凹部」は「ソケット穴」に、「環状溝59」は「係止孔」に、「環状のオス側テーパピン40」は「環状のプラグ部分」に、「ピストン51」は「プルロッド」に、「ボール58」は「係合具」に、「ピストン51の下部、シリンダ室52,53及びコイルばね57」は「駆動手段」に、「ピストン51のテーパ面61」は「プルロッドの出力部」に、それぞれ相当することが各部材の構造及び機能から明らかである。
そして、引用発明1における「メス側テーパ穴25の下部部分」は、「メス側テーパ穴25の上部部分」とともに、位置決め孔という限りで、訂正発明1における「ストレート位置決め孔」と共通している。
また、引用発明1における「複数のクランプ機構30,30,31,31のうちの2つとして用いられ」は、複数のクランプ装置のうちの少なくとも一つとして用いられるということができ、引用発明1における「クランプ機構30,30」は、パレット20を心合わせしてテーブル1に固定するものであるから「データム機能付きクランプ装置]と表現することができるものである。
そうすると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「機械のテーブル又はクランプパレットからなる基準部材にワークパレットを固定する複数のクランプ装置のうちの少なくとも一つとして用いられて、上記の基準部材(R)に上記ワークパレットを心合わせして上記の基準部材の支持面に上記ワークパレットの被支持面を固定するようにしたデータム機能付きクランプ装置であって、
上記ワークパレットの上記の被支持面に開口させたソケット穴に、位置決め孔と、半径方向の外方の係合位置に切り換えられた係合具が係合する係止孔とを設け、
上記ワークパレットの上記ソケット穴へ挿入される環状のプラグ部分を、上記の基準部材から突設させ、
上記のプラグ部分の筒孔にプルロッドを軸心方向へ移動自在に挿入して、そのプルロッドの外周空間で上記プラグ部分に、半径方向の外方の係合位置と半径方向の内方の係合解除位置とに移動される前記の係合具を配置し、
上記の基準部材に設けた駆動手段によって上記プルロッドをクランプ駆動することにより、そのプルロッドの出力部が上記の係合具を上記の係合位置へ切り換えて前記の係止孔へ係合させて、前記ワークパレットを前記の基準部材へ向けて移動させ、
同上の駆動手段によって上記プルロッドをアンクランプ駆動することにより、同上の係合具が係合解除位置へ切り換わるのを許容する、
データム機能付きクランプ装置。」である点。
[相違点1]
訂正発明1では、プルロッド(31)を基端方向へクランプ駆動することにより、前記ワークパレット(3)を前記の基準部材(R)へ向けて移動させ、上記プルロッド(31)を先端方向へアンクランプ駆動するアンクランプ駆動時には、上記プルロッド(31)の先端が前記ソケット穴(11)の頂壁(11a)を押圧し、これにより、前記シャトル部材(23)のテーパ面(28)上に係合隙間(α)を形成すると共に、前記の支持面(S)と前記の被支持面(T)との間に接当隙間(β)を形成するようにしたのに対して、引用発明1では、プルロッドを先端方向へクランプ駆動することによってワークパレットを基準部材へ向けて移動させるものであり、また、プルロッドを基端方向へアンクランプ駆動するものであって、そのアンクランプ駆動されたプルロッドがソケット穴の頂壁を押し上げるものではない点。
[相違点2]
訂正発明1では、ワークパレット(3)の上記の被支持面(T)に開口させたソケット穴(11)に、そのソケット穴(11)に形成されたストレート位置決め孔(12)の軸心方向へ移動自在に支持される環状のシャトル部材(23)を、半径方向の外方の係合位置(X)に切り換えられた係合具(34)が係合する係止孔(13)よりも開口端側に設け、
上記ワークパレット(3)の上記ソケット穴(11)へ挿入される環状のプラグ部分(21)であって、上記の環状のシャトル部材(23)の内周面がテーパ係合するプラグ部分(21)を、上記の基準部材(R)から突設させ、
上記の基準部材(R)に設けた上記のプラグ部分(21)と上記ワークパレット(3)に形成した上記ストレート位置決め孔(12)との間に、直径方向へ拡大および縮小される前記シャトル部材(23)を配置し、そのシャトル部材(23)の外周のストレート面(27)を上記ストレート位置決め孔(12)に軸心方向へ所定範囲内で移動自在に支持するとともに、同上シャトル部材(23)の内周のテーパ面(28)を上記の基準部材(R)の前記プラグ部分(21)にテーパ係合可能に構成し、そのシャトル部材(23)の上記テーパ面(28)を上記ワークパレット(3)の上記の係止孔(13)へ向けてすぼまるように形成し、上記シャトル部材(23)を弾性部材(24)によって上記のテーパ係合を緊密にする方向へ付勢しているのに対し、
引用発明1では、位置決め孔はメス側テーパ穴25の下部部分と環状溝59とメス側テーパ穴25の上部部分とを開口端から順に形成したものであり、シャトル部材を備えておらず、そのシャトル部材とプラグ部分とのテーパ係合を緊密にする方向へ付勢する弾性部材も備えてない点。

(イ)相違点についての検討
[相違点1について]
刊行物4には、上記(2)エに示したとおりの事項が記載されている。
刊行物4記載の「ツール支持部材34」及び「ロックロッド38」は、その構造及び機能からみて、それぞれ訂正発明1における「基準部材」及び「プルロッド」というべきものである。そして、刊行物4記載の「ツールホルダ10」は、被固定部材という限りで訂正発明1における「ワークパレット」と共通する。また、刊行物4記載の「シャンク14の円筒部の内側のシャンク押出し面68」は、被固定部材に設けた穴の頂壁ということができるものである。
そうすると、刊行物4には、基準部材に被固定部材を固定するクランプ装置において、プルロッドを基端方向へクランプ駆動することにより、被固定部材を前記の基準部材へ向けて移動させ、上記プルロッドを先端方向へアンクランプ駆動することにより、上記プルロッドが前記被固定部材に設けた穴の頂壁を押し上げ、そのアンクランプ状態では、前記被固定部材を上記プルロッドを介して前記の基準部材に受け止めるようにするという事項が示されていると認められる。
刊行物4に記載のクランプ装置も、工作機械の主軸に工具ホルダーを固定するものではあるが、刊行物4の第4欄18行乃至29行及び図2の記載からみて、第1回転面20(テーパ)と前向き回転面52(テーパ)とのテーパ係合、及び、後向き面16と前向き面54との端面密着の二面拘束を行うものであることが明らかであり、しかも、引用発明1と刊行物4記載の事項とは、基準部材に被固定部材を固定するクランプ装置という同一の技術分野に属するものである。
してみると、引用発明1におけるクランプ機構を刊行物4記載の事項のように変更して、プルロッドを基端方向へクランプ駆動することによって可動部材を基準部材へ向けて移動させ、プルロッドを先端方向へアンクランプ駆動させ、上記のアンクランプ駆動時には、上記プルロッドの先端がソケット穴の頂壁を押圧するように構成することには、困難性は見当たらない。
そして、アンクランプ時にプルロッドの先端がソケット穴の頂壁を押圧する際に、シャトル部材のテーパ面上に係合隙間を形成すると共に、支持面と被支持面との間に接当隙間を形成することは、アンクランプによってテーパ係合及び端面係合を解除することから、アンクランプによる当然の結果である。
したがって、引用発明1において刊行物4記載の事項を採用して上記相違点1に係る訂正発明1の特定事項とすることは当業者が容易になし得たことである。

[相違点2について]
相違点2については、(i)係止孔と位置決め孔及びシャトル部材の位置関係、(ii)シャトル部材と弾性部材について、及び(iii)位置決め孔とプラグ部分について、それぞれ分けて検討する。
(i)係止孔と位置決め孔及びシャトル部材の位置関係について
引用発明1は、係止孔より開口端の側に加えて、係止孔より頂壁側にもテーパ位置決め孔が形成されているが、係止孔及びテーパ位置決め孔の形成箇所が訂正発明1と異なるとはいえ、上記係止孔及びテーパ位置決め孔により基準部材にワークパレットを心合わせしてクランプすることができるものである。
ところで、刊行物2には、上述のとおり、工作テーブル2に開口させた凹所18の縁部に、クランプ面20が形成された環状肩材19を設けるとともに、該環状肩材19内に軸16と平行な方向に弾発動作可能なリング22を設け、リング22の内面には円筒形ハウジング3の円錐面15と協同するための円錐面25を形成することが記載されている。そして、鼻部12がクランプ面20を押付けてクランプするから、クランプ面20が設けられる凹所18の縁部は係止孔ということができ、前記リング22内面に形成される円錐面25は、位置決め孔ということができる。また、前記リング22は、軸16と平行な方向に弾発動作可能すなわち移動できるものであって、円筒形ハウジング3(プラグ部分)の円錐面15とテーパ係合するものであるから、プラグ部分の軸線方向に相対移動自在であるテーパ面が形成された部材という限りで、訂正発明2と同様、「シャトル部材」ということができるものである。そうすると、刊行物2には、シャトル部材(位置決め孔)を、工作テーブルに開口させた凹所に形成した係止孔よりも装置テーブル(基準部材)側に設けることが記載されているとすることができる。
そして、引用発明及び刊行物2記載の事項とは基準部材に被固定部材を固定するクランプ装置という同一の技術分野に属するものであるから、引用発明におけるソケット穴に形成された係止孔と位置決め孔との位置関係を刊行物2記載の係止孔とシャトル部材(位置決め孔)との位置関係のように変更してシャトル部材を係止孔よりも開口端側に設けることには困難性は見出せない。

なお、この点に関して、請求人は意見書第7頁第20行?第11頁第9行において、概略、刊行物2においてはストッパ面21が被支持面であって、「位置決め孔」は訂正発明のソケット穴に相当する凹所ではなく凹所の外部(開口端よりも下側)に形成されており、引用発明と刊行物2との間では被支持面と位置決め孔の位置同士が逆になっているから、引用発明に刊行物2の構成を組み合わせても「ソケット穴にシャトル部材を係止孔よりも開口端側に設ける」構成にはなり得ない旨を主張している。
しかしながら、刊行物2には、少なくとも係止孔とシャトル部材(位置決め孔)との位置関係について、上述のとおり、シャトル部材を工作テーブルに開口させた凹所に形成した係止孔よりも装置テーブル(基準部材)側に設けることが記載されているとすることができるから、引用発明におけるソケット穴に形成された係止孔と位置決め孔との位置関係を刊行物2記載の事項のように変更してシャトル部材を係止孔よりも開口端側に設けることは当業者が容易になし得た事項というべきである。

(ii)シャトル部材と弾性部材について
上記のように、刊行物2におけるリング22は、軸16と平行な方向に弾発動作可能すなわち移動できるものであって、円筒形ハウジング3(プラグ部分)の円錐面15とテーパ係合するものであるから、プラグ部分の軸線方向に相対移動自在であるテーパ面が形成された部材という限りで、訂正発明2と同様、「シャトル部材」ということができるものである。そうすると、刊行物2には、基準部材に設けたプラグ部分と被固定部材とをシャトル部材を用いてテーパ係合させることが記載されているとすることができる。
一方、刊行物3記載の「主軸1」、「スリーブ3」及び「シャンク部4」は、その構造及び機能からみて、それぞれ訂正発明1における「基準部材」、「シャトル部材」及び「プラグ部分」に対応している。また、刊行物3記載の「工具ホルダー8」及び「テーパ孔2」は、それぞれ被固定部材及び位置決め孔という限りで、訂正発明2における「ワークパレット」及び「ストレート位置決め孔」と共通する。したがって、刊行物3には、基準部材に被固定部材を固定するクランプ装置において、プラグ部分と位置決め孔との間に、直径方向へ拡大および縮小されるシャトル部材を配置し、そのシャトル部材の内周面をストレート面によって構成すると共に同上シャトル部材の外周面をテーパ面によって構成し、上記ストレート面を前記プラグ部分に軸心方向へ移動自在に支持し、上記テーパ面を、その先端へ向けてすぼまるように形成すると共に前記位置決め孔にテーパ係合させ、上記シャトル部材を弾性部材によって上記テーパ係合を緊密にする方向へ付勢するという事項が示されていると認められる。
刊行物3記載の事項では、シャトル部材とプラグ部分及び位置決め孔のそれぞれの対向面であるストレート面とテーパ面が設けられる部位が訂正発明1とは逆となっているが、プラグ部分と位置決め孔の間にテーパ係合を利用して係合させるためのシャトル部材を配置するに当たり、いずれの対向面にテーパ面及びストレート面を採用するかは設計的事項にすぎないものであり、しかも、刊行物2には、内周にテーパ面を有しプラグの軸線方向へ移動自在のリングによりプラグ部分の円錐面とテーパ係合させることが記載されている。
そして、引用発明1と当該刊行物2及び3記載の事項とは基準部材に被固定部材を固定するクランプ装置という同一の技術分野に属するものであるから、引用発明1に上記刊行物2記載のシャトル部材の配置態様を採用して引用発明1における基準部材に設けたプラグ部分とワークパレットとをシャトル部材を用いてテーパ係合させるようにするとともに、該シャトル部材について刊行物3に記載のシャトル部材の係合構造を採用することにより相違点2に係る訂正発明1のようなシャトル部材とすることは当業者が容易になし得ることである。

なお、請求人は意見書第6頁第5行?第7頁第16行において、概略、刊行物2においては、テーパ位置決め孔としての円錐面25と円筒形ハウジング3の円錐面15との間にはシャトル部材に相当する部材が介在されてなく、前記リング22は直径方向へ拡大及び縮小可能でないうえ軸心方向へ移動自在なものでもなく、訂正発明のシャトル部材とは構造及び機能が本質的に異なる、また、前記リング22は、リング22の外周面を支点に円弧状に移動することとなり、その円錐面25のテーパ角度が変化してテーパ係合の精度が低下するとして、刊行物2にはシャトル部材に相当する構成が存在しない旨主張している。
しかしながら、刊行物2における前記リング22は、特にFIG1及び2の記載からみて上下2つのスプリング26により固定支持されており、いわゆる平行ばねとして弾発動作するものであるから、軸心方向へ移動自在でないとすることはできず、また、移動時に円錐面25のテーパ角度が変化するとも認めることはできない。そうすると、前記リング22は、軸16と平行な方向に弾発動作可能すなわち移動できるものであって、円筒形ハウジング3(プラグ部分)の円錐面15とテーパ係合するものであるから、上記のとおり、プラグ部分の軸線方向に相対移動自在であるテーパ面が形成された部材という限りで、訂正発明と同様、「シャトル部材」ということができるものである。そして、直径方向へ拡大及び縮小可能で軸心方向へ移動自在であるシャトル部材は、刊行物3に記載されている。

(iii)位置決め孔とプラグ部分について
引用発明1に上記刊行物2及び3記載の事項を採用することにより、位置決め孔が「シャトル部材(23)の外周のストレート面(27)を上記ストレート位置決め孔(12)に軸心方向へ所定範囲内で移動自在に支持する」ものとなること、及び、プラグ部分が「環状のシャトル部材の内周面がテーパ係合するプラグ部分」となることは自明の事項である。

以上のとおりであるから、引用発明1に刊行物2及び3記載の事項を採用して上記相違点2に係る訂正発明1の特定事項とすることは当業者が容易になし得たことである。

[作用効果について]
訂正発明1の作用効果についてみても、引用発明1、刊行物2?4に記載の事項から当業者が予測可能な範囲内のものであって、格別顕著なものとはいえない。
なお、請求人は意見書第11頁第10行?第13頁第21行において、訂正発明における「複数のクランプ装置のうち少なくとも1つとして用いられる」点と、「軸心方向へ移動自在に支持される環状のシャトル部材」とが有機的に結びついて以下の顕著な効果を奏する旨を主張している。すなわち、テーパ穴のピッチP1とテーパピンのピッチP2とが異なっている場合、引用発明では、一方のクランプ装置で片当りが生じ、ピッチ差が大きい場合は片当りによる抵抗力が大きくクランプ力が不足して端面間に隙間が形成され二面拘束が実現できなくなってしまうが、訂正発明では、ピッチ差が大きい場合でもシャトル部材の軸心方向の移動によって二面拘束を確実に実現できるという顕著な効果を有すると主張している。
しかしながら、請求人の主張する上記効果は、刊行物3に記載されたプラグ部分とテーパ位置決め孔との間に配置され、プラグ部分に軸心方向へ移動自在に支持され直径方向へ拡大および縮小されるシャトル部材の構成を引用発明における複数のクランプ装置の少なくとも一つとして採用したことにより当然生じる効果にすぎないものである。

したがって、訂正発明1は、引用発明1、刊行物2?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1において「前記の基準部材(R)にクリーニング流体の供給口(41)を設けると共に前記プルロッド(31)の先端部分にクリーニング流体の噴出口(42)を設け、上記の供給口(41)と上記の噴出口(42)とを上記プルロッド(31)内の流路(44)によって連通させた」ことを特定したものである。
そこで、訂正発明2と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「ごみ等を除去するための圧縮空気」は「クリーニング流体」ということができるから、両者は相違点1及び3に加えて次の点で相違し、その余の点では一致する。
[相違点3]
訂正発明2では、クリーニング流体の噴出口(42)をプルロッド(31)の先端部分に設け、クリーニング流体の流路(44)をプルロッド(31)内に設けているのに対して、引用発明2は、クリーニング流体の噴出口をプルロッドの先端部分ではないテーパピン40の先端部分に設け、クリーニング流体の流路を、プルロッド内ではなく、テーパピン40とテーパブッシュ34との間に設けている点。

上記相違点3について検討する。
訂正発明2におけるクリーニング流体の流路を設けることの技術的意義について、訂正明細書には、以下のとおり記載されている。
(イ)段落【0009】
「上記の請求項2の発明は、基準部材とワークパレットとの間の係合隙間や接当隙間を上記の噴出口から吐出されるクリーニング流体によって清掃できるので、上記の両部材の係合ミスを防止できるという効果を奏する。」
(ロ)段落【0027】
「上記の図4で示すクランプ完了後には、前記の図3中の接当隙間βが無くなって上記の支持面Sと被支持面Tとの間が気密状に封止されるので、前記のクリーニング用の圧縮空気の逃げ道がなくなり、前記の供給口41の圧力が上昇する。その圧力上昇を圧力スイッチ(図示せず)によって検出することにより、上記のクランプ完了を自動的に確認できる。なお、上記のクランプ完了を確認するときには、圧縮空気の圧力を前記のクリーニング用の圧力よりも低い圧力へ低下させて、その低圧の圧縮空気の上昇圧力を検出することが好ましい。」
一方、刊行物1の段落【0032】には、「なお、両端面26,28の密着の有無の確認のために、テーパピン40には、端面28に開放する空気流路63が形成されている。また、圧縮空気により矢印Dに示すようにエアーブローをしてテーパピン40とテーパブッシュ34との間の密着部のごみ等を除去するための空気流路64が、テーパピン40及びテーブル1に形成されている。これにより、クランプ装置22の密着部が常に清浄な状態に保たれ、高精度でクランプされる。」と記載されている(下線部は当審が付与)。
そうすると、訂正発明2と引用発明2とにおいて、クリーニング流体の流路を設けることの技術的意義に実質上の差異はない。
そして、クリーニング流体の流路は、基準部材の供給口から導入したクリーニング流体をクランプ装置内に導くものであれば、上記技術的意義を発揮することが明らかであるから、クリーニング流体の噴出口をプルロッドの先端部分に設け、クリーニング流体の流路をプルロッド内に設けることは、当業者が容易になし得る程度の設計事項である。
したがって、引用発明2において、相違点3に係る特定事項を訂正発明2のようにすることは当業者が容易になし得ることである。
よって、訂正発明2は引用発明2及び刊行物2?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、訂正発明1乃至2は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第5項の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-01 
結審通知日 2006-08-03 
審決日 2006-08-18 
出願番号 特願平11-219504
審決分類 P 1 41・ 856- Z (B23Q)
P 1 41・ 121- Z (B23Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡野 卓也  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 中島 昭浩
菅澤 洋二
佐々木 正章
梅田 幸秀
登録日 2002-08-09 
登録番号 特許第3338669号(P3338669)
発明の名称 データム機能付きクランプ装置  
代理人 井上 裕史  
代理人 梶 良之  
代理人 村林 隆一  
代理人 桂川 直己  

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