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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1171707
審判番号 不服2004-4190  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-03 
確定日 2008-01-24 
事件の表示 特願2000-308803「カタログ及び商品販売システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月19日出願公開、特開2002-117330〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
この出願は、平成12年10月10日の出願であって、平成16年1月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月26日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年3月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年3月26日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を次のように補正することを含むものである。
(補正前の請求項1)
「商品の概要が印刷されるカタログにおいて、前記商品の詳細情報が規格化されたコードで印刷され音声情報、音楽情報、画像情報に相当する情報を表わすコード部と、前記商品の簡単な紹介情報が印刷されるインデックス部とを備えることを特徴とするカタログ。」
(補正後の請求項1)
「商品の概要が印刷されるカタログにおいて、前記商品の詳細情報が規格化されたコードで印刷され画像、映像ソフトの音声情報、音楽情報、画像情報の場面情報を表すコード部と、前記商品の簡単な紹介情報が印刷されるインデックス部とを備えることを特徴とするカタログ。」

補正後の請求項1における「場面情報」については、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明には用語の定義はないが、請求人が審判請求書において補正の根拠としても挙げている発明の詳細な説明中の「ビデオソフトのカタログであれば、コード部Cnに格納する情報は、そのビデオ/ソフト内の1場面また数場面の動画、静止画にしてもよい。」(段落【0018】)との記載を参酌すると、ソフト内の1場面または数場面の情報を指すものと認められる。
そうすると、上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「音声情報、音楽情報、画像情報」に関して、「画像、映像ソフトの」との限定を付加するとともに、「音声情報、音楽情報、画像情報」が画像、映像ソフト内の1場面または数場面の情報である「場面情報」であることを限定するものである。また、補正前の「に相当する情報を表す」と補正後の「を表す」とはいずれも、コードで印刷された「コード部」が「音声情報、音楽情報、画像情報」ないしは「音声情報、音楽情報、画像情報の場面情報」に対応することを示すものであり、請求項1に記載した発明の技術内容を実質的に変更するものではない。
そうすると、上記補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-228508号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。
(a)「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に適用されるカタログ販売等に用いられる商品発注用シート1を示し、一定寸法に区画された四角形の複数の枠内は、商品表示用のエリア2と、商品名や価格及び商品の販売期限日時等を表示するエリア3と、情報記録シンボル(以下データシンボルと略称する)4表示用のエリア5とに仕切られている。
【0010】データシンボル4は、例えば正方形をなし、その領域内には棒状記号を縦横に多数配列することにより、商品コード、商品名、内容量、個数、価格等のあらゆる商品情報が予め変換、記録されている。
【0011】図2は、本発明のシステムの一部を示すブロック図であり、上記シート1のデータシンボル4を画像データとして入力する注文電卓としての読取り装置6と、入力された商品情報を出力する通信装置20を主要部としている。
【0012】読取り装置6は、データシンボル4を画像データとして光学的に読取って電気信号に変換する撮像手段8と、この信号を商品データに変換して記憶するとともに、データ処理を行うCPU11(制御手段)と、種々のデータの記憶が可能なメモリ21(メモリ手段)と、前記通信装置20を介して転送される注文締切期限データと、リアルタイムを刻むタイマー手段としてのタイマー13の表示する日時とを比較する判別装置12(期限判別手段)と、情報を選択し、選択後の情報を操作者が判読可能な状態の商品データとして表示器9に出力するテンキー10及びファンクションキー22と、CPU11からの情報を表示する表示器9(表示手段)とからなっている。
【0013】ここで示されている通信装置20はモデムであり、一般電話回線を介して適宜商品販売業者のコンピュータと繋がっている。なお、通信装置20は高効率符号化されたデータを無線に乗せて例えば基地局に無線通信できる通信システムでもよい。
【0014】図3は、読取り装置6(以下、読取り装置6をハンディターミナルという)の具体例を示すもので、このハンディターミナル6は、上面に個数等の商品情報を選択する選択手段、すなわちテンキー10及びファンクションキー22を有する把手部15と、その先端の読取りヘッド16とからなり、読取りヘッド16の上面には、横長長方形の液晶の表示器9が形成されている。
【0015】読取りヘッド16におけるケーシングの先端中央部には透明板17が形成され、その下方におけるケーシングには、上記データシンボル4の面積よりも若干大きい正方形の透明なデータ取込口、即ち透過窓19が形成されている。
【0016】そしてハンディターミナル6内には、図示しないレンズと、このレンズの焦点位置には前記撮像手段としてのCCDが設けられ、透過窓19を介して取り込まれた画像光は、CCDの素子上に結像される。
【0017】CCDにより画像信号に変換された情報は、把手部15内に設けたCPU11に入力されて記憶された後に、上記液晶の表示器9に表示可能になっている。
【0018】次に、商品発注の要領を図4、図5に示すフローチャート及び図1に基づき説明する。まず、各々の顧客には、前回の商品配送時に商品発注用シート1が配布されるとともに、ハンディターミナル6に通信装置20を介して注文締切期限データがメインコンピュータより転送される(図4)。
【0019】注文データ入力前に、購買者はハンディターミナル6のテンキーを用いて個人番号(IDナンバー)、必要ならば班番号を入力する。あるいは予めハンディターミナル6のメモリーに書込まれた個人番号を読み出したり、個人番号、必要ならば班番号をデータ化したデータシンボルを、後述するデータシンボル4の読取り手順と同様に読取ってもよい。
【0020】続いて所望の商品の注文データ入力処理を行なう。図1の想像線で示すように、ハンディターミナル6を、シート1における商品等の情報が表示された枠の中央部に位置させて、ヘッド16の下面に形成された透過窓19と所望の商品に対応するデータシンボル4とを整合させる。ハンデターミナルが両者の整合を確認すると、ハンディターミナル6に設けたブザー又はランプ(いずれも図示略)がONして、光学読取り手段はデータシンボル4の画像データを読込む。
【0021】データシンボル4は、前記したようにその領域内に棒状記号が縦横に多数配列され、商品コード、商品名、内容量、個数、価格等の多量のデータを有しており、読取られたこのデータシンボル4の画像データは、次にCPU11によって商品情報に変換される。」
(b)「【0034】ここで、図6に示されるように、前記表示器9の代替としてパソコン等の表示機能を利用することも可能である。このようにすれば、ハンディターミナル6により読込まれた商品情報を、パソコン7に直接入力し、スピーカ(図示略)又はディスプレイ14等を用いて、音声及び拡大文字情報として出力することができるとともに、一時的にCPU11に複数の商品情報を読込ませ、この記憶データをテンキー10の操作で、パソコン7内のCPUに読み込ませ、音声、拡大文字として順次表示させ、商品を選別処理することもできる。
【0035】従って、選択した商品情報の確認がハンディターミナル6の表示器を利用するより容易で、かつ購買者等に明確に伝達されるので、弱視等の視覚障害者などでも、希望する商品を誤りなく発注することができる。」
これらの記載及び図面の内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

「商品発注用シートにおいて、商品コード、商品名、内容量、個数、価格等のあらゆる商品情報が棒状記号で記録された情報記録シンボルと、商品名や価格及び商品の販売期限日時等が表示されるエリアとを備えることを特徴とする商品発注用シート。」

また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-111638号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。
(c)「【請求項1】文字、絵柄の少なくとも一つを含む目視可能な文字絵柄印刷部分を表面である文字絵柄面に有し、少なくとも音声情報を含む光学的に読み取り可能なデータコード印刷部分を裏面であるデータコード面に有する、ことを特徴とするデータコード付印刷物。」
(d)「【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明について実施の形態により説明する。図1は本発明のデータコード付印刷物とデータコードリーダの一例を示す図である。図1において、1a,1bはデータコード付印刷物、2はそのデータコード付印刷物1aの文字絵柄面、3は文字絵柄面の裏面のデータコード面である。データコード付印刷物1aの表面である文字絵柄面2には、文字、絵柄の少なくとも一つを含む目視可能な文字絵柄印刷部分を有する。また、データコード付印刷物1aの裏面であるデータコード面3には、少なくとも音楽情報を含む光学的に読み取り可能なデータコード印刷部分を有する。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「商品コード、商品名、内容量、個数、価格等のあらゆる商品情報」は本願補正発明における「商品の詳細情報」に相当し、同様に、「情報記録シンボル」は「コード部」に、「商品名や価格及び商品の販売期限日時等」は「商品の簡単な紹介情報」に、「エリア」は「インデックス部」にそれぞれ相当する。
上記摘記事項(a)によれば、引用発明における「棒状記号」は、縦横に多数配列することにより商品情報を記録するのだから、何らかの規格によって情報を記録することは明らかであるので、本願補正発明における「規格化されたコード」に相当する。
また、引用発明においては、「商品コード、商品名、内容量、個数、価格等のあらゆる商品情報」が「記録され」、「商品名や価格及び商品の販売期限日時等」が「表示される」のに対して、本願補正発明においては、「商品の詳細情報」が「印刷され」、「商品の簡単な紹介情報」が「印刷される」が、情報が「表示」されるためにはその情報が「記録」されていることは明らかであり、また、「印刷」は「記録」の方法のひとつであるから、上記の検討も踏まえると、両者は、下記の相違点があるものの、「商品の詳細情報が記録され」、「商品の簡単な紹介情報が記録される」点で共通する。
上記摘記事項(a)及び図1によれば、引用発明の「商品発注用シート」には、複数の商品のそれぞれについて、商品が「エリア2」に、商品名や価格及び商品の販売期限日時等が「エリア3」に商品コード、商品名、内容量、個数、価格等の商品情報を記録したデータシンボルが「エリア5」にそれぞれ表示されているから、商品の概要が記録されていることは明らかであり、また、上記摘記事項(b)も参酌すると、顧客が各商品の「エリア2」や「エリア3」の内容及び「エリア5」にデータシンボルとして記録された内容の出力を見て発注する商品を選択していることも明らかであって、引用発明の「商品発注用シート」はカタログとしても用いられていると認められるので、引用発明における「商品発注用シート」は本願補正発明における「カタログ」に相当し、両者は、下記の相違点があるものの、「商品の概要が記録される」点で共通する。
そうすると、本願補正発明と引用発明とは、「商品の概要が記録されるカタログにおいて、前記商品の詳細情報が規格化されたコードで記録されるコード部と、前記商品の簡単な紹介情報が記録されるインデックス部とを備えることを特徴とするカタログ。」である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明では、商品の詳細情報がコードで印刷され、商品の簡単な紹介情報が印刷されるのに対して、引用発明では、商品の詳細情報及び商品の簡単な紹介情報がどのようにして記録されるのか明らかでない点。

[相違点2]
本願補正発明のコード部は、画像、映像ソフトの音声情報、音楽情報、画像情報の場面情報を表しているのに対して、引用発明のコード部は、そのような情報を表していない点。

(4)検討
上記の相違点について検討する。

[相違点1について]
上記摘記事項(a)によれば、引用発明においては、商品の詳細情報が画像データとして光学的に読取り可能に記録されているとともに、引用文献1の図1によれば、商品の簡単な紹介情報に相当する「商品名や価格及び商品の販売期限日時等」が商品発注用シートに文字情報として記録されていることは明らかである。また、商品発注用シートはその字義から見てシートである。
そうすると、シートに情報を画像データとして光学的に読取り可能に記録したり、文字情報を記録したりする方法として、印刷は従来周知の技術であるから、引用発明において、商品の詳細情報や商品の簡単な紹介情報を記録する方法として印刷を採用することに困難性はない。

[相違点2について]
本願補正発明の「場面情報」は、上記2.(1)において検討したとおり、「ソフト内の1場面また数場面の情報」を指すものと認められる。また、本願補正発明のコード部は、「商品」の詳細情報が規格化されたコードで印刷されるものであって、かつ、「画像、映像ソフト」の音声情報、音楽情報、画像情報の場面情報を表しているのだから、本願補正発明における「商品」は、実質的には「画像、映像ソフト」であると認められる。
そうすると、引用文献2には、音声情報、音楽情報を含む光学的に読み取り可能なデータコード印刷部分を有する印刷物が示されており、商品に関連した音声情報、音楽情報、画像情報をカタログに記録することが周知の事項である(例えば、特開平7-230502号公報(特に段落【0026】)参照。)ことも考慮すると、引用発明のコード部に引用文献2記載の上記の事項を適用して、コード部にコードで印刷される情報を音声情報、音楽情報とすることは当業者が容易になし得たものである。
そして、ソフトの一部の音声情報、音楽情報、画像情報を記録したメディアを利用者に提供することは周知の事項であるから(例えば、特開平7-272448号公報号公報(特に段落【0017】)、及び、特開平6-349257号公報(特に段落【0017】)参照。)、画像や映像のソフトを商品としてカタログに掲載することが一般に行われていることを考慮すると、引用発明に引用文献2の記載事項を適用してカタログのコード部に商品に関連した音声情報、音楽情報を印刷する際に、その情報を画像、映像ソフトの音声情報、音楽情報、画像情報の場面情報とすることは、当業者が格別の推考力を要することなくなし得たものである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献2の記載事項及び周知事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は引用発明、引用文献2の記載事項及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明は特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明
平成16年3月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、当審が審理すべき本願発明は、平成15年7月11日付の手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本願発明」という。)である。
「商品の概要が印刷されるカタログにおいて、前記商品の詳細情報が規格化されたコードで印刷され音声情報、音楽情報、画像情報に相当する情報を表わすコード部と、前記商品の簡単な紹介情報が印刷されるインデックス部とを備えることを特徴とするカタログ。」

(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平10-228508号公報)には図面と共に、2.(2)の(a)及び(b)に摘記した記載があり、引用文献2(特開平10-111638号公報)には、図面と共に、2.(2)の(c)及び(d)に摘記した記載がある。
そして、引用文献1には、2.(2)に示したとおりの引用発明が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「商品コード、商品名、内容量、個数、価格等のあらゆる商品情報」は本願発明における「商品の詳細情報」に相当し、同様に、「情報記録シンボル」は「コード部」に、「商品名や価格及び商品の販売期限日時等」は「商品の簡単な紹介情報」に、「エリア」は「インデックス部」にそれぞれ相当する。
上記摘記事項(a)によれば、引用発明における「棒状記号」は、縦横に多数配列することにより商品情報を記録するのだから、何らかの規格によって情報を記録することは明らかであるので、本願発明における「規格化されたコード」に相当する。
また、引用発明においては、「商品コード、商品名、内容量、個数、価格等のあらゆる商品情報」が「記録され」、「商品名や価格及び商品の販売期限日時等」が「表示される」のに対して、本願発明においては、「商品の詳細情報」が「印刷され」、「商品の簡単な紹介情報」が「印刷される」が、情報が「表示」されるためにはその情報が「記録」されていることは明らかであり、また、「印刷」は「記録」の方法のひとつであるから、上記の検討も踏まえると、両者は、下記の相違点があるものの、「商品の詳細情報が記録され」、「商品の簡単な紹介情報が記録される」点で共通する。
上記摘記事項(a)及び図1によれば、引用発明の「商品発注用シート」には、複数の商品のそれぞれについて、商品が「エリア2」に、商品名や価格及び商品の販売期限日時等が「エリア3」に商品コード、商品名、内容量、個数、価格等の商品情報を記録したデータシンボルが「エリア5」にそれぞれ表示されているから、商品の概要が記録されていることは明らかであり、また、上記摘記事項(b)も参酌すると、顧客が各商品の「エリア2」や「エリア3」の内容及び「エリア5」にデータシンボルとして記録された内容の出力を見て発注する商品を選択していることも明らかであって、引用発明の「商品発注用シート」はカタログとしても用いられていると認められるので、引用発明における「商品発注用シート」は本願発明における「カタログ」に相当し、両者は、下記の相違点があるものの、「商品の概要が記録される」点で共通する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「商品の概要が記録されるカタログにおいて、前記商品の詳細情報が規格化されたコードで記録されるコード部と、前記商品の簡単な紹介情報が記録されるインデックス部とを備えることを特徴とするカタログ。」である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点3]
本願発明では、商品の詳細情報がコードで印刷され、商品の簡単な紹介情報が印刷されるのに対して、引用発明では、商品の詳細情報及び商品の簡単な紹介情報がどのようにして記録されるのか明らかでない点。

[相違点4]
本願発明のコード部は、音声情報、音楽情報、画像情報に相当する情報を表しているのに対して、引用発明のコード部は、そのような情報を表していない点。

(4)検討
上記の相違点について検討する。

[相違点3について]
上記摘記事項(a)によれば、引用発明においては、商品の詳細情報が画像データとして光学的に読取り可能に記録されているとともに、引用文献1の図1によれば、商品の簡単な紹介情報に相当する「商品名や価格及び商品の販売期限日時等」が商品発注用シートに文字情報として記録されていることは明らかである。また、商品発注用シートはその字義から見てシートである。
そうすると、シートに情報を画像データとして光学的に読取り可能に記録したり、文字情報を記録したりする方法として、印刷は従来周知の技術であるから、引用発明において、商品の詳細情報や商品の簡単な紹介情報を記録する方法として印刷を採用することに困難性はない。

[相違点4について]
引用文献2には、音声情報、音楽情報に相当する情報を含む光学的に読み取り可能なデータコード印刷部分を有する印刷物が示されており、商品に関連した音声情報、音楽情報、画像情報をカタログに記録することが周知の事項である(例えば、特開平7-230502号公報(特に段落【0026】)参照。)ことも考慮すると、引用発明のコード部に引用文献2記載の上記の事項を適用して、コード部にコードで印刷される情報を音声情報、音楽情報に相当する情報とすることは当業者が容易になし得たものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2の記載事項及び周知事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は引用発明、引用文献2の記載事項及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-26 
結審通知日 2007-11-27 
審決日 2007-12-12 
出願番号 特願2000-308803(P2000-308803)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 山本 穂積
森次 顕
発明の名称 カタログ及び商品販売システム  

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