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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1171795
審判番号 不服2004-19727  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-24 
確定日 2008-01-21 
事件の表示 特願2001-130676「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月25日出願公開、特開2001-353318〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成6年4月28日に出願した特願平6-111836号の一部を平成13年4月27日に新たな特許出願としたものであって、平成16年8月17日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月25日付で手続補正がなされたものである。

2 平成16年10月25日付の手続補正について

[補正却下の決定の結論]
平成16年10月25日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の目的について
平成16年10月25日付でなされた補正(以下、「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「上横枠部分と左右の縦枠部分と下板部によって前枠の主体となる額縁型の前枠基板を形成し、該前枠基板に形成される窓部にその上方部分を被うガラス枠ユニットと下方部分を被う上受皿ユニットをそれぞれ一側縁を前記前枠基板の一側縁に蝶着して開閉自由に備え、また前記下板部の前面には下受皿ユニットを一体に止着して前記前枠基板の前面全体を前記ガラス枠ユニット、上受皿ユニット及び下受皿ユニットによって被い隠す一方、前記ガラス枠ユニットは合成樹脂製の額縁型をなすガラス枠ベース本体を主体にしてその前面の上部に天ランプカバーを、また左右に左ランプカバーと右ランプカバーを各止着して門形に配置し、また前記上受皿ユニットは合成樹脂製のベース基板とその前面を被う前面カバーから構成して該前面カバーの前面に前記左ランプカバーの下端に連続する上皿ランプカバーを、また前記右ランプカバーの下端に連続する上皿飾りカバーを各止着し、更に前記下受皿ユニットは合成樹脂製のベース部に下皿を一体に備えると共に該ベース部の前面から前記下皿の前面に亘って前記上皿飾りカバーの下端に連続する下皿飾りカバーを止着し、前記前枠基板の前面を一つに連続して配置される前記各ランプカバーと飾りカバーによって被い飾り、前記前枠の前面に装着される前記ガラス枠ユニットと、上受皿ユニット及び下受皿ユニットの三者を一体化し、前枠を構成してなることを特徴としたパチンコ機。」

上記補正は、平成16年4月26日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「ガラスレール枠」に関する構成を削除するものである。
ところで、拒絶査定不服審判を請求する場合にする補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定により、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならないだけでなく、同法第17条の2第3項各号に掲げる事項を目的とするものに限られている。
そして、補正前の請求項1に係る発明の構成の一部を削除する本件補正は、同法第17条の2第3項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当しないばかりでなく、同法第17条の2第3項のその他各号に規定する、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明を目的とする補正でないことも明らかであるから、本件補正は、同法第17条の2第3項各号のいずれにも適合しない。

(2)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3 本願発明について
平成16年10月25日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年4月26日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのもの(以下、「本願発明」という)と認める。

「それぞれ板状をなす上横枠部分と左右の縦枠部分と下板部とによって窓部を有する額縁型をなす前枠の主体を構成する前枠基板を形成し、該前枠基板に対し前記窓部の上方部分を被うガラス枠ユニットと下方部分を被う上受皿ユニットとをそれぞれ一側縁を蝶着し開閉自由に備え、また前記下板部の前面に下受皿ユニットを一体に止着することにより前記前枠基板の前面の全体をこれらガラス枠ユニット、上受皿ユニット及び下受皿ユニットにより被い隠す一方、前記ガラス枠ユニットは合成樹脂製の額縁型のガラス枠ベース本体を主体にしてその背面にガラスを装着する矩形のガラスレール枠を添わせると共に、前記ガラス枠ユニットの前面にはランプカバーを止着し、また前記上受皿ユニットは合成樹脂製のベース基板とその前面の前面カバーから構成して該前面カバーの前面に上皿ランプカバーと上皿飾りカバーを備え、更に前記下皿ユニットは合成樹脂製のベース部に下皿を一体に備え、該ベース部の前面に下皿飾りカバーを備えてこれらランプカバー及び飾りカバーによって前記前枠の前面を飾ると同時に、前記ガラス枠ユニットと上受皿ユニットに備える各ランプカバーはそれぞれ相互の端部を衝き合せ状に連続させ、また前記上受皿ユニットの飾りカバーと前記下受皿ユニットの前面に備える下皿飾りカバーとを同じく衝き合せ状に連続させて前記前枠前面に配設されるランプカバーと上受皿及び下受皿ユニットの各飾りカバーの連続によって前枠の前面を被う前記ガラス枠ユニット、上受皿ユニット、下受皿ユニットの三者の装飾を揃え、前枠の全面を統一した意匠で飾ることを特徴としたパチンコ機。」

4 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平5-68737号公報(以下、「引用例1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア.「【0006】【実施例】以下、本発明を図示の実施例について説明すると、図1は本発明に係るパチンコ機1の概略斜視図であって、このパチンコ機1は外観上、外枠2とこの外枠2に開閉自在に蝶着される前面枠3と、上皿等を設けた上皿セット4と、下皿及び操作ハンドル等を設けた下皿セット5とに大別できる。・・・」
イ.「【0012】上記のような外枠2に蝶着する前面枠3は、金属製のフレーム31と合成樹脂製の飾り部材32とからなる。上記フレーム31は、概説すると左右の縦フレーム材311,312と、上下の横フレーム材313,314と、中段より下横フレーム材314に寄った横位置に設ける中フレーム材315とを矩形に組み付けてなる。尚、図示の実施例ではL字状のフレーム材を示しているが、コ字状のフレーム材で構成してもよい。」
ウ.「【0018】中フレーム材315を左縦フレーム材311に取り付ける中結合部材38は、側面形状がほゞL字状の部材であって、左縦フレーム材311に止着する止着部381の下縁から前向きに上皿セット4を下側から支える受板部382が延出し、止着部381の側方には中フレーム材315に止着する取付片383が延出している。尚、上記受板部382には軸孔384を開設し、中結合部材38の適宜位置には取付孔及び位置決め手段を設ける。
【0019】更に、左縦フレーム材311の中程には、上記中結合部材38に対向するように、上皿ヒンジ兼ガラス枠ヒンジ材39を設ける。このヒンジ材39は左縦フレーム材311に止着する止着部391と、この止着部391の上縁から前方へ延出するヒンジ片392とを有し、該ヒンジ片392にはブッシュ393を介在させて軸受部394を形成する。」
エ.「【0022】上記のようにして組み立てたフレーム31には、飾り部材32及び外部表示灯ユニット7を取り付けて前面枠3を構成する。即ち、左縦フレーム材311の起立リブ311aには側面を覆う飾り部材32として左飾枠321を設け、右縦フレーム材312には側面及び前面を覆う右飾枠322を設け、上横フレーム材313の前面にはランプカバー71内にランプ72を収設した外部表示灯ユニット7を設ける。
【0023】上記外部表示灯ユニット7は、ランプ72を並設したランプ基板73と、上横フレーム材313の前面に設けて上記ランプ基板73の台座となるユニット基板74と、ランプ基板73を覆うようにユニット基板74に取り付けるランプカバー71とからなる。・・・」
オ.「【0028】上皿セット4は、ガラス枠兼上皿ヒンジ39と中結合部材38の受板部382との間に開閉可能に軸着される賞球を貯留する上皿部41を有したユニットであって、概略すると金属板からなる上皿セット取付板42と、この上皿セット取付板42の前面に設ける合成樹脂を一体成型して構成した上皿本体43と、この上皿本体43の前端面に設ける合成樹脂製の前カバー44とからなる(図21ないし図24)。」
カ.「【0034】下皿セット5は、中フレーム材315の下方に配置するユニットであって、概略すると、余剰球を貯留する凹陥状の下皿部51を有し、中フレーム材315及び下横フレーム材314に止着する下皿ベース52と、この下皿ベース52に止着する下皿本体53と、この下皿本体53に止着する下皿カバー54とからなる。・・・」
キ.「【0039】ガラス枠8は、外枠体81に装飾体82を止着して構成した外ガラス枠83と、上記外ガラス枠83に重合状に止着する内ガラス枠84とからなり、両ガラス枠83,84には各々ガラス板85a,85bを装着して二重構造としてある。そして、このガラス枠8はヒンジ手段86、87により外部表示灯ユニット7と上皿セット4との間に開閉自在に蝶着する。
【0040】外枠体81は、合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材であって、左右の縦枠部811,812と上下の横枠部813,814とを有している。・・・」
ク.「【0049】内ガラス枠84を構成する内枠体は、合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材であって、左右の縦枠部841,842と上下の横枠部843,844とを有している。・・・」
ケ.「【0053】前記したような外ガラス枠83を、前面枠3、具体的にはフレーム材の上蝶番35と、中フレーム材315のガラス枠兼上皿ヒンジ39に開閉自在に軸着する・・・」

上記ア?ケの記載事項によれば、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1」という)が記載されているものと認められる。

「左右の縦フレーム材311,312と、上下の横フレーム材313,314と、中段より下横フレーム材314に寄った横位置に設ける中フレーム材315とを矩形に組み付けてなる金属製のフレーム31をL字状のフレーム材で構成し、
フレーム31に取り付けた外部表示灯ユニット7は、ランプ72を並設したランプ基板73と、上記ランプ基板73の台座となるユニット基板74と、ランプ基板73を覆うようにユニット基板74に取り付けるランプカバー71とからなり、
ガラス枠8をフレーム材の上蝶番35とガラス枠兼上皿ヒンジ39に、ヒンジ手段86、87により外部表示灯ユニット7と上皿セット4との間に開閉自在に蝶着し、
上皿セット4を左縦フレーム材311に設けたガラス枠兼上皿ヒンジ39と中結合部材38の受板部382との間に開閉可能に軸着し、
下皿セット5を中フレーム材315の下方に配置し、
ガラス枠8は、外枠体81に装飾体82を止着して構成した外ガラス枠83と、外ガラス枠83に重合状に止着する内ガラス枠84とからなり、両ガラス枠83,84には各々ガラス板85a,85bを装着して二重構造としてあり、外枠体81は、合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材であって、内ガラス枠84を構成する内枠体は、合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材であり、
上皿セット4は、金属板からなる上皿セット取付板42と、この上皿セット取付板42の前面に設ける合成樹脂を一体成型して構成した上皿本体43と、この上皿本体43の前端面に設ける合成樹脂製の前カバー44とからなり、
下皿セット5は、下皿部51を有し、下皿ベース52と、この下皿ベース52に止着する下皿本体53と、この下皿本体53に止着する下皿カバー54とからなるパチンコ機1。」

また、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平4-371183号公報(以下、「引用例2」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

a.「【0012】更に、上皿部6の下方には、上皿飾り板部11が延設されている。この上皿飾り板部11は、上皿部6のほぼ全長に亘って下方に延設され、特に前面扉板5の軸支側に近い上皿飾り板部11は、前方に突出する上皿隔壁部12となっており、また、前面扉板5の開放側に近い上皿飾り板部11は、更に下方に延設される表示レンズ部13となっている。この表示レンズ部13は、図3に示すように、扉保持枠3の下辺の一部を切り欠いて形成される切欠部25に臨む照明ランプ26によってその裏面から照射されて所定の情報を表示すると共に、前記扉保持枠3の下辺の一部(右側約1/3)の前方を被覆するようになっている。なお、表示レンズ部13を除く上皿飾り板部11は、前面扉板5の下辺部まで延設されており、前面扉板5が閉じられたときに後述する下皿飾り板部23の上端縁と対面して上皿部6と下皿部14とが一体化されて形成されているような印象を遊技者に与えている。・・・」

5 対比
本願発明と引用発明1を比較する。
引用発明1の「左右の縦フレーム材311,312」は本願発明の「左右の縦枠部分」に相当し、以下同様に、「横フレーム材313」は「上横枠部分」に、「フレーム31」は「前枠の主体を構成する前枠基板」に、「ガラス枠8」は「ガラス枠ユニット」に、「上皿セット4」は「上受皿ユニット」に、「軸着」は「蝶着」に、「下皿セット5」は「下受皿ユニット」に、「外ガラス枠83」は「ガラス枠ベース本体」に、「内ガラス枠84」は「ガラスレール枠」に、「上皿セット取付板42」は「ベース基板」に、「前カバー44」は「前面カバー」に、「下皿ベース52」は「ベース部」に、「下皿本体53」は「下皿」に、「パチンコ機1」は「パチンコ機」にそれぞれ相当し、さらに以下のことが言える。
引用発明1の「フレーム31」の各フレーム材は「L字状」に構成されており、L字状とは2つの「板状」部分から形成されるものであるから、各フレーム材は、それぞれ「板状」をなしていると言うことができる。また、引用発明1の「フレーム31」は各フレーム材を「矩形」に組み付けており、「窓部を有する額縁型」をなしていると表現することができる。さらに、引用発明1の「下横フレーム材314」と「中フレーム材315」とを併せてフレーム31の「下部構成部」と言うことができ、本願発明の「下板部」と上位概念で共通している。よって、引用発明1は「それぞれ板状をなす上横枠部分と左右の縦枠部分と下部構成部とによって窓部を有する額縁型をなす前枠の主体を構成する前枠基板を形成し」た構成を実質的に備えており、この点で本願発明と共通している。
引用発明1の「下皿セット5を中フレーム材315の下方に配置し」た構成は、本願発明の「下板部(上述のとおり「下部構成部」と換言される)の前面に下受皿ユニットを一体に止着する」構成に対応する。また、引用発明1の「フレーム31」が「ガラス枠8」「上皿セット4」及び「下皿セット5」により被い隠されることは、引用例1の図1及び図4等から明らかであるから、引用発明1は、本願発明の「前枠基板の前面の全体をこれらガラス枠ユニット、上受皿ユニット及び下受皿ユニットにより被い隠す」に対応する構成を実質的に備えている。
引用発明1の「ガラス枠8」は「外ガラス枠83と、外ガラス枠83に重合状に止着する内ガラス枠84」とからなるものであり、「外ガラス枠83」を構成する「外枠体81」は「合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材」である。また、「内ガラス枠84を構成する内枠体は、合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材」であり、「内ガラス枠84」には「ガラス板85b」が装着される。そして、「額縁状」は「額縁型」又は「矩形」と表現することができるから、引用発明1は、本願発明の「ガラス枠ユニットは合成樹脂製の額縁型のガラス枠ベース本体を主体にしてその背面にガラスを装着する矩形のガラスレール枠を添わせる」に対応する構成を実質的に備えている。

したがって、両者は、
「それぞれ板状をなす上横枠部分と左右の縦枠部分と下部構成部とによって窓部を有する額縁型をなす前枠の主体を構成する前枠基板を形成し、該前枠基板に対し前記窓部の上方部分を被うガラス枠ユニットと下方部分を被う上受皿ユニットとをそれぞれ一側縁を蝶着し開閉自由に備え、また前記下部構成部の前面に下受皿ユニットを一体に止着することにより前記前枠基板の前面の全体をこれらガラス枠ユニット、上受皿ユニット及び下受皿ユニットにより被い隠す一方、前記ガラス枠ユニットは合成樹脂製の額縁型のガラス枠ベース本体を主体にしてその背面にガラスを装着する矩形のガラスレール枠を添わせ、また前記上受皿ユニットはベース基板とその前面の前面カバーから構成し、更に前記下皿ユニットはベース部に下皿を一体に備えたパチンコ機。」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
前枠基板を形成する下部構成部が、本願発明では、「下板部」であるのに対して、引用発明1では、「下横フレーム材314」と「中フレーム材315」とで構成されている点。

(相違点2)
上受皿ユニットのベース基板及び下皿ユニットのベース部について、本願発明では、どちらも合成樹脂製であるのに対して、引用発明1では、上受皿ユニットのベース基板は金属板であり、下皿ユニットのベース部はその素材が明らかでない点。

(相違点3)
本願発明では、ガラス枠ユニットの前面にはランプカバーを止着し、上受皿ユニットの前面カバーの前面に上皿ランプカバーと上皿飾りカバーを備え、下皿ユニットのベース部の前面に下皿飾りカバーを備えており、これらランプカバー及び飾りカバーによって前枠の前面を飾ると同時に、ガラス枠ユニットと上受皿ユニットに備える各ランプカバーはそれぞれ相互の端部を衝き合せ状に連続させ、また上受皿ユニットの飾りカバーと下受皿ユニットの前面に備える下皿飾りカバーとを同じく衝き合せ状に連続させて前枠前面に配設されるランプカバーと上受皿及び下受皿ユニットの各飾りカバーの連続によって前枠の前面を被うガラス枠ユニット、上受皿ユニット、下受皿ユニットの三者の装飾を揃え、前枠の全面を統一した意匠で飾るのに対して、引用発明1では、フレーム31に取り付けた外部表示灯ユニット7にランプカバー71を有しているのみである点。

6 当審の判断
上記相違点1について検討する。
引用発明1の「下横フレーム材314」及び「中フレーム材315」は、その前面に「下皿セット5」(本願発明の「下受皿ユニット」に相当する)を一体に止着するものであり、その点で本願発明の「下板部」と共通している。そして、下受皿ユニットを一体に止着するために、前枠基板の下部構成部を引用発明1のように二つのフレーム材からなる構成とするか、本願発明の下板部のように幅広な板状とするかは、単なる設計的事項にすぎない。よって、上記相違点1にかかる本願発明の構成は、当業者であれば容易に想到しえたものである。

次に上記相違点2について検討する。
上受皿ユニットのベース基板及び下皿ユニットのベース部を含むパチンコ機の構成部材は、必要とされる強度や経済性等を考慮しつつ当業者によって適宜その素材が選択されるのであり、上受皿ユニットのベース基板及び下皿ユニットのベース部を周知慣用の素材である合成樹脂製とした点に格別のものは見出せない。よって、上記相違点2にかかる本願発明の構成は、当業者であれば容易に想到しえたものである。

最後に上記相違点3について検討する。
パチンコ機の前枠の前面をランプカバー及び/又は飾りカバーによって飾ることは、例えば、特開平6-47164号公報(盤面露出部20及び上球皿30を囲むループ状に形成された内部に照明部材を内装した飾り材40。段落0015等及び図1?4参照)及び特開平6-63233号公報(ガラス保持枠13の中央の開口部を囲うように取付けられた蛍光管15a?15d及び装飾カバー部材としての機能を果たす蛍光管収納枠14。段落0011等及び図1,2等参照)に示されるとおり、従来周知の技術である。
また、引用例2の上記摘示事項aには、「上皿部6の上皿飾り板部11を延設して、下皿部14の下皿飾り板部23の上端縁と対面して上皿部6と下皿部14とが一体化されて形成されているような印象を遊技者に与える」という技術事項が開示されている。そして、該技術事項における「上皿部6」「上皿飾り板部11」「下皿部14」及び「下皿飾り板部23」はそれぞれ本願発明の「上受皿ユニット」「上皿飾りカバー」「下受皿ユニット」及び「下皿飾りカバー」に対応するものである。また、「上皿飾り板部11を延設して・・・下皿飾り板部23の上端縁と対面」することは、両者を「衝き合せ状に連続させ」ることに他ならず、「一体化されて形成されているような印象を遊技者に与える」ことは、「装飾を揃え」「統一した意匠で飾る」ことと実質的に異ならない。よって、引用例2には、「上受皿ユニットの飾りカバーと下受皿ユニットの前面に備える下皿飾りカバーとを衝き合せ状に連続させて上受皿ユニット、下受皿ユニットの装飾を揃え、前枠を統一した意匠で飾る」という技術事項が開示されている。
そして、引用発明1における「外部表示灯ユニット7」に「ランプカバー71」を取り付けた構成に換えて、上記周知技術のように「パチンコ機の前枠の前面をランプカバー及び/又は飾りカバーによって飾る」構成を適用して、ガラス枠ユニット、上受皿ユニット及び下受皿ユニットのそれぞれをランプカバー及び/又は飾りカバーによって飾るようにし、その適用の際に、引用例2に記載の上記技術事項を参酌しつつ、各ランプカバー及び/又は各飾りカバーを衝き合せ状に連続させて、ガラス枠ユニット、上受皿ユニット、下受皿ユニットの三者の装飾を揃え、前枠の全面を統一した意匠で飾るようにすることは、当業者であれば容易になしえるものである。よって、上記相違点3にかかる本願発明の構成は、当業者であれば容易に想到しえたものである。

また、本願発明の作用効果も引用発明1、引用例2に記載された上記技術事項及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

6 むすび
したがって、本願発明は引用発明1、引用例2に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-09 
結審通知日 2007-11-20 
審決日 2007-12-03 
出願番号 特願2001-130676(P2001-130676)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 中槙 利明
▲吉▼川 康史
発明の名称 パチンコ機  
代理人 中山 伸治  

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