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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1171800
審判番号 不服2005-10263  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-01 
確定日 2008-01-21 
事件の表示 特願2002-334424「自動車ハンドルのステアリング角決定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月30日出願公開、特開2003-214845〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯 ・本願発明
本願は、平成14年11月18日(パリ条約による優先権主張2001年11月20日、ドイツ国)の出願であって、平成17年3月1日付け(発送日同月4日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成17年1月20日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願第1発明」という。)は、次のとおりのものである。
「コードキャリヤと、当該コードキャリヤに配されたコード検知装置を有し、
前記コードキャリヤと前記コード検知装置とは、ステアリング角が変化する際に互いに回転するとともに、
前記コード検知装置は、ステアリング角が決定可能な出力信号を生成する自動車ハンドルのステアリング角決定装置であって、
前記コードキャリアは、二つのギア機構部材(1,2)の一方によって構成され、前記コード検知装置は、前記二つのギア機構部材の他方を有し、当該二つのギア機構部材のそれぞれの周縁部に形成された歯部の歯数は互いに異なるように構成されており、
当該ギア機構部材(1,2)は、共通軸(L)に前後状に設けられ、前記ハンドルの回転操作によって前記各ギア機構部材の歯に噛み合いながら当該各ギア機構部材の周面上を転動動作する遊星ギアによって構成される駆動部材(3)に操作可能に接続され、さらにステアリング角が変化すると、前記遊星ギアの転動動作により各歯の歯数の差に応じて相互に回転するよう構成されることを特徴とする。」

3 引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である昭和63年10月6日に頒布された実願昭62-45001号(実開昭63-152504号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

a 「【実用新案登録請求の範囲】
1 ステアリングホイールと一体回転する符号化部材と、この符号化部材と共にインクリメント形エンコーダを構成するように設けられ上記符号化部材の回転に応じて前記ステアリングホイールの回転量に応じた数の信号パルスを発生する第1の信号発生手段と、前記ステアリングホイールの回転を減速して減速回転体に伝えるギア機構と、前記減速回転体と共にアブソリュート形エンコーダを構成するように設けられ上記減速回転体の回転に応じて前記ステアリングホイールのニュートラル位置からの回転量を示すアナログ信号を発生する第2の信号発生手段とを備えたことを特徴とする自動車用ステアリングホイールの回転検出装置。
2 符号化部材及び第1の信号発生手段により構成されたインクリメント形エンコーダは、上記符号化部材の回転に応じて位相が異なる2種類の信号パルスを発生するように構成されていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項に記載の自動車用ステアリングホイールの回転検出装置。
3 符号化部材は環状配列された複数個の透孔を有した符号化板により構成され、第1の信号発生手段はホトインタラプタにより構成されていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項に記載の自動車用ステアリングホイールの回転検出装置。
4 符号化部材は複数個の磁極を有した永久磁石により構成され、第1の信号発生手段は磁気センサにより構成されていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項に記載の自動車用ステアリングホイールの回転検出装置。
5 ギア機構は、ステアリングホイールと一体回転する太陽歯車と、この太陽歯車の周囲にこれと同心状に配置され且つ上記配置状態で適宜静止部位に固定された環状内歯車と、上記太陽歯車及び内歯車間にこれらと噛み合うように設けられた遊星歯車とを備え、上記遊星歯車の公転力を減速回転体に伝えるように構成されていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項に記載の自動車用ステアリングホイールの回転検出装置。」(実用新案登録請求の範囲)

b 「さて、上記のようなインクメント形エンコーダ15に対して、ベース2の下面側には、ステアリングホイールのニュートラル位置からの絶対的な回転量を示すアナログ信号を発生するためのアブソリュート形エンコーダ18が設けられており、以下これについて説明する。即ち、19はギア機構で、これは、ベース2における外周側壁2aの内周に形成された内歯車20と、連結体3の下部外周にこれと一体回転するように連結された太陽歯車21と、この太陽歯車21及び内歯車20間に介在された遊星歯車22とより成る。23は環状板より成る減速回転体で、これはベース2の外周側壁2a内に太陽歯車21の回りで回転するように配置されており、これに一体に立設された支軸23aに対して前記遊星歯車22が回転可能に支持されている。ここで、遊星歯車22の上段に位置した小径のピニオンは、内歯車20に噛合され、また下段に位置した大径のピニオンは太陽歯車21に噛合されており、このように構成されたギア機構19にあっては、ステアリングホイールの回転を遊星歯車2の公転力に変換し、その公転力を減速回転体23に伝えるようになる。そして、このときの減速比は、1/4程度に設定されている。この場合、一般的な自動車においては、ステアリングホイールの可動範囲(所謂ロック・ツー・ロック範囲)が3.5回転分程度に設定されており、従って、減速回転体23の回転範囲は1回転分未満に抑制されることになる。
また、24はベース2の下面に固定されたコンポジット基板で、これの下面には、第6図に示すように、無端環状の電極パターン25及びこれの内側に位置された有端環状の抵抗パターン26が夫々形成されており、また、電極パターン25に接続されたターミナル25a及び抵抗パターン26の両端に接続されたターミナル26a,26bが夫々設けられている。一方、減速回転体23の上面には、上記電極パターン25及び抵抗パターン26間を橋絡するブラシ27が設けられており、このブラシ27及びコンポジット基板24によって本考案でいう第2の信号発生手段が構成される。このとき、上記ブラシ27は、減速回転体23の周方向へ移動調整可能に設けられており、ステアリングホイールがニュートラル位置にある状態で、抵抗パターン26の中間点(第6図中C点)と電極パターン25との間を橋絡するように調整される。従って、ステアリングホイールがニュートラル位置にある状態では、ターミナル25a,26a間の抵抗値R_(1)及びターミナル25a,26b間の抵抗値R_(2)が等しくなるが、ステアリングホイールが右或は左回転されるのに応じて上記抵抗値R_(1),R_(2)が第7図に示す如く変化するものであり、斯様な抵抗値変化が、ステアリングホイールのニュートラル位置からの絶対的な回転量を示すアナログ信号として出力される。尚、実際の信号処理には、上記抵抗値変化を電圧信号に変換して利用することになる。」(第12頁第10行?第15頁第5行)

上記摘記事項bの「24はベース2の下面に固定されたコンポジット基板で、これの下面には、第6図に示すように、無端環状の電極パターン25及びこれの内側に位置された有端環状の抵抗パターン26が夫々形成されており」及び「上記ブラシ27は、減速回転体23の周方向への移動調整可能に設けられており、ステアリングホイールのニュートラル位置にある状態で、抵抗パターン26の中間点(第6図中C点)と電極パターン25との間を橋絡するように調整される。」並びに第1図からみて、コンポジット基板24は、ブラシ27と対向する位置に配置され、かつ、ブラシ27とコンポジット基板24とは、ステアリング角が変化する際に互いに回転するものであることが読み取れる。

したがって、上記摘記事項a及びbの記載事項によると、引用例1には、次の発明(以下、「引用例発明1」という。)が記載されているものと認める。
「ブラシ27と、前記ブラシ27と対向する位置に配置されたコンポジット基板24を有し、
前記ブラシ27と前記コンポジット基板24とは、ステアリング角が変化する際に互いに回転するとともに、
前記コンポジット基板24は、ステアリングホイールのニュートラル位置からの絶対的な回転量を示すアナログ信号を出力する自動車用ステアリングホイールの回転検出装置であって、
内歯車20と太陽歯車21とを有し、
前記コンポジット基板24は、前記内歯車20を有するベース2の下面に固定され、前記ブラシ27は、遊星歯車22を有する減速回転体23の上面に設けられ、
ステアリングホイールと一体回転する太陽歯車21と、この太陽歯車の周囲にこれと同心状に配置された環状内歯車20と、前記太陽歯車21及び内歯車20間にこれらと噛み合うように設けられた前記遊星歯車22とを備え、ステアリングホイールの回転を減速し、前記遊星歯車22の公転力を前記減速回転体23に伝えるように構成されることを特徴とする。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成元年1月9日に頒布された特開昭64-3354号(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
a 「第1図と第2図は、内歯歯車を一切使用しない外歯型遊星歯車式の減速装置を示している。
図示を省略したモーター等の回転が与えられる入力軸1の軸端に円板形状の腕2を一体的に設け、該腕2の半径方向先端寄り位置に、前記入力軸1と平行な配置で回転軸3が回転自在に設置されている。図中10は回転軸3の軸受メタルである。
前記腕2を間において入力軸1とは反対側に対峙する配置で、入力軸1と中心軸を共有する出力軸4が回転自在に配置されている。
また、入力軸1の外周に、入力軸1と同心円状に配置した太陽歯車(固定歯車)5が装置フレームの如き固定系9へ回転しないように固定して不動に設置されている。そして、回転軸3の一端部に設けたピニオン6が前記太陽歯車5と噛み合わされている。
回転軸3の他端部に設けた小歯車7は、出力軸4の軸端に一体的に設けた従歯車8と噛み合わされている。
したがって、入力軸1の回転は、第1に腕2によって回転軸3の周回運動となり、同回転軸3の小歯車7及びこれと噛み合わされた従歯車8とが一体的にのり付けされた関係のものとして、出力軸4に入力軸1と同一方向に同一速度の回転が伝えられる。
と同時に、非回転の太陽歯車5と噛み合わされたピニオン6が回転軸3の前記周回に伴なって太陽歯車5と噛み合い運動しながら公転するため、該ピニオン6は、同一方向の自転(回転)を生ずる。その自転速度は太陽歯車5とピニオン6との歯数比に逆比例する。そして、この自転は回転軸3の他端の小歯車7の回転として伝わるので、ひいては同小歯車7と噛み合った出力軸4の従歯車8に逆向きの回転として伝えられ、それが出力軸4の回転とされる。
かくして、出力軸4には、前記2種類の回転運動に合成された回転が伝えられるのである。
ちなみに出力軸1と出力軸4の減速比を数値的に示すと次のようになる。
入力軸1の回転数をn_(1)、出力軸4の回転数をn_(4)とし、太陽歯車の歯数Z_(5)を51とし、ピニオン6及び小歯車7の歯数Z_(6)、Z_(7)をそれぞれ10とし、出力軸4の従歯車8の歯数Z_(8)を50としたとき(転位歯車を使用)、
n_(2)=n_(1)(1 - Z_(5)Z_(7)/Z_(6)Z_(8))
n_(2)/n_(1)=(1-Z_(5)Z_(7)/Z_(6)Z_(8))
の式が得られる。この式に上記の各条件値を代入すると、
n_(2)/n_(1)=1-51×10/10×50
=-1/50
つまり、出力軸4は、入力軸1とは反対方向に減速比1/50の速度で回転するのである。逆に、出力軸4には、前記減速比に逆比例する大トルクが伝達されるので、ロボットアームの関節に必要とされるような小角度、大トルク制御に好適な減速装置たり得るのである。」(第2頁右下欄第5行?第3頁左下欄第1行)

上記摘記事項aの記載事項「前記腕2を間において入力軸1とは反対側に対峙する配置で、入力軸1と中心軸を共有する出力4が回転自在に配置されている。」及び「したがって、入力軸1の回転は、第1に腕2によって回転軸3の周回運動となり、同回転軸3の小歯車7及びこれと噛み合わされた従歯車8とが一体的にのり付けされた関係のものとして、出力軸4に入力軸1と同一方向に同一速度の回転が伝えられる。」並びに第1図からみて、太陽歯車5と従歯車8は、中心軸に前後状に設けられていることが読み取れる。
また、上記摘記事項aの記載事項「入力軸1の回転は、第1に腕2によって回転軸3の周回運動となり、同回転軸3の小歯車7及びこれと噛み合わされた従歯車8とが一体的にのり付けされた関係のものとして、出力軸4に入力軸1と同一方向に同一速度の回転が伝えられる。
と同時に、非回転の太陽歯車5と噛み合わされたピニオン6が回転軸3の前記周回に伴なって太陽歯車5と噛み合い運動しながら公転するため、該ピニオン6は、同一方向の自転(回転)を生ずる。その自転速度は太陽歯車5とピニオン6との歯数比に逆比例する。そして、この自転は回転軸3の他端の小歯車7の回転として伝わるので、ひいては同小歯車7と噛み合った出力軸4の従歯車8に逆向きの回転として伝えられ、それが出力軸4の回転とされる。
かくして、出力軸4には、前記2種類の回転運動に合成された回転が伝えられるのである。」及び第1図からみて、入力軸1の回転は、太陽歯車5及び従歯車8に噛み合いながら当該各歯車の周面上を転道動作するピニオン6と小歯車7と回転軸3からなる遊星歯車を有する腕2に操作可能に接続され、入力軸が回転すると、前記遊星歯車の動作により太陽歯車5と従歯車8の歯数の差に応じて相互に回転することが読み取れる。

したがって、上記摘記事項aの記載事項によると、引用例2には、次の発明(以下、「引用例発明2」という。)が記載されているものと認める。
「太陽歯車5と従歯車8のそれぞれの周縁部に形成された歯部の歯数は互いに異なるように構成されており、
入力軸1の回転は、太陽歯車5及び従歯車8に噛み合いながら当該各歯車の周面上を転道動作するピニオン6と小歯車7と回転軸3からなる遊星歯車を有する腕2に操作可能に接続され、入力軸が回転すると、前記遊星歯車の動作により太陽歯車5と従歯車8の歯数の差に応じて相互に回転することにより減速比1/50を得る外歯型遊星歯車式の減速装置」

4 対比
本願第1発明と引用例1発明とを対比する。
a 引用例1発明の「ブラシ27」、「コンポジット基板24」、「自動車用ステアリングホイールの回転検出装置」は、それぞれ本願第1発明の「コードキャリア」、「コード検知装置」、「自動車ハンドルのステアリング角決定装置」に相当する。
b 引用例1発明の「前記ブラシ27と対向する位置に配置されたコンポジット基板24」は、位置関係から、本願第1発明の「当該コードキャリアに配されたコード検知装置」に相当する。
c 引用例1発明の「内歯車20、太陽歯車21」、「遊星歯車22」、「減速回転体23」は、機能からみて、それぞれ本願第1発明の「二つのギア機構部材」、「遊星ギア」、「駆動部材」に相当する。
d 引用例1発明の「前記コンポジット基板24は、ステアリングホイールのニュートラル位置からの絶対的な回転量を示すアナログ信号を出力する」は、機能から、本願第1発明の「前記コード検知装置は、ステアリング角が決定可能な出力信号を生成する」に相当する。
e 引用例1発明の「前記コンポジット基板24は、前記内歯車20を有するベース2の下面に固定され」は、本願第1発明の「コード検知装置は、前記二つのギア機構部材の他方を有し」に相当する。

f 引用例1発明の「前記コンポジット基板24は、前記内歯車20を有するベース2の下面に固定され、前記ブラシ27は、遊星歯車22を有する減速回転体23の上面に設けられ、
ステアリングホイールと一体回転する太陽歯車21と、この太陽歯車の周囲にこれと同心状に配置された環状内歯車20と、前記太陽歯車21及び内歯車20間にこれらと噛み合うように設けられた前記遊星歯車22とを備え、ステアリングホイールの回転を減速し、前記遊星歯車22の公転力を前記減速回転体23に伝えるように構成される」と、本願第1発明の「前記コードキャリアは、二つのギア機構部材(1,2)の一方によって構成され、前記コード検知装置は、前記二つのギア機構部材の他方を有し、当該二つのギア機構部材のそれぞれの周縁部に形成された歯部の歯数は互いに異なるように構成されており、
当該ギア機構部材(1,2)は、共通軸(L)に前後状に設けられ、前記ハンドルの回転操作によって前記各ギア機構部材の歯に噛み合いながら当該各ギア機構部材の周面上を転動動作する遊星ギアによって構成される駆動部材(3)に操作可能に接続され、さらにステアリング角が変化すると、前記遊星ギアの転動動作により各歯の歯数の差に応じて相互に回転するよう構成される」とは、互いの歯車構造からみて、ハンドルの回転力を歯車を用いて減速することを目的としたものであり、自動車ハンドルの回転を各歯車を通じてコード検知装置へと伝達する経路を対比すると、両者は、「二つのギア機構部材と遊星ギアを有する駆動部材を有し、ハンドルの回転操作による回転力を二つのギア機構部材と駆動部材からなる減速機構に入力し、ステアリング角が変化すると、コードキャリアとコード検知装置が形成された減速機構の部材が、各部材の歯数の差に応じて相互に回転する」という点で共通する。

したがって、両者は、
【一致点】
「コードキャリヤと、当該コードキャリヤに配されたコード検知装置を有し、
前記コードキャリヤと前記コード検知装置とは、ステアリング角が変化する際に互いに回転するとともに、
前記コード検知装置は、ステアリング角が決定可能な出力信号を生成する自動車ハンドルのステアリング角決定装置であって、
二つのギア機構部材と遊星ギアを有する駆動部材を有し、ハンドルの回転操作による回転力を二つのギア機構部材と駆動部材からなる減速機構に入力し、ステアリング角が変化すると、コードキャリアとコード検知装置が形成された減速機構の部材が、各部材の歯数の差に応じて相互に回転することを特徴とする。」
である点で一致し、次の点で相違する。

【相違点】
二つのギア機構部材と遊星ギアを有する駆動部材を有し、ハンドルの回転操作による回転力を二つのギア機構部材と駆動部材からなる減速機構に入力し、ステアリング角が変化すると、コードキャリアとコード検知装置が形成された減速機構の部材が、各部材の歯数の差に応じて相互に回転する構造が、本願第1発明では、「前記コードキャリアは、二つのギア機構部材(1,2)の一方によって構成され、前記コード検知装置は、前記二つのギア機構部材の他方を有し、当該二つのギア機構部材のそれぞれの周縁部に形成された歯部の歯数は互いに異なるように構成されており、
当該ギア機構部材(1,2)は、共通軸(L)に前後状に設けられ、前記ハンドルの回転操作によって前記各ギア機構部材の歯に噛み合いながら当該各ギア機構部材の周面上を転動動作する遊星ギアによって構成される駆動部材(3)に操作可能に接続され、さらにステアリング角が変化すると、前記遊星ギアの転動動作により各歯の歯数の差に応じて相互に回転するよう構成される」であるのに対し、引用例1発明では、「前記コンポジット基板24は、前記内歯車20を有するベース2の下面に固定され、前記ブラシ27は、遊星歯車22を有する減速回転体23の上面に設けられ、
ステアリングホイールと一体回転する太陽歯車21と、この太陽歯車の周囲にこれと同心状に配置された環状内歯車20と、前記太陽歯車21及び内歯車20間にこれらと噛み合うように設けられた前記遊星歯車22とを備え、ステアリングホイールの回転を減速し、前記遊星歯車22の公転力を前記減速回転体23に伝えるように構成される」である点。すなわち、歯車に入出力関係に合わせて整理すると、本願第1発明では、ハンドルの回転操作によって駆動部材を回転し、減速された二つギア機構部材の回転差を各ギア機構部材に配置されたコードキャリアとコード検知装置で検出するのに対し、引用例1発明では、ハンドルの回転操作によって太陽歯車21を回転し、減速された減速回転体23と内歯車20との回転差を減速回転体23の上面のブラシ27と内歯車20を有するベース2の下面に固定されたコンポジット基板24によって検出する点。

5 当審の判断
上記相違点について検討する。
引用例2発明は、遊星歯車式減速構造という本願第1発明のギヤ機構部材等による減速構造と同一技術分野に属しており、歯車構造において、本願第1発明の減速構造と同等のものである。
そして、引用例1発明に係る上記摘記事項3(1)bの記載からステアリングホイールの回転をギア機構により減速した角度を検出することを考慮すれば、引用例2発明の減速構造において、減速された回転力は、本願第1発明の二つのギア構造に相当する太陽歯車5と従歯車8との回転差に相当することから、角度検出を行うための自然な配置として、角度検出に係る部材を太陽歯車5と従歯車8に関連する位置に配置することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

したがって、引用例1発明において、太陽歯車21と減速回転体23と内歯車20とによる遊星歯車式減速構造に代えて、引用例2発明の外歯型遊星歯車式の減速装置と、それに対応したコードキャリア及びコード検知装置の配置を採用し、上記相違点の本願第1発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。

そして、本願第1発明の奏する作用効果も、引用例1及び2の記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。

5 むすび
以上のとおり、本願第1発明は、引用例1発明及び引用例2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願第1発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2?24に係る発明について検討するまでなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-27 
結審通知日 2007-08-29 
審決日 2007-09-11 
出願番号 特願2002-334424(P2002-334424)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 居島 一仁
上原 徹
発明の名称 自動車ハンドルのステアリング角決定装置  
代理人 池田 敏行  
代理人 岩田 哲幸  
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