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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1172023
審判番号 不服2005-16725  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-01 
確定日 2008-02-20 
事件の表示 平成11年特許願第211787号「遠隔作業支援コミュニケーション装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月16日出願公開、特開2001- 45451、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.経緯
(1)手続
本件出願は、平成11年7月27日の出願であって、平成17年4月19日付けで手続補正がなされたが、平成17年7月6日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件は、本件出願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成17年9月1付けで請求された拒絶査定不服審判であって、平成17年9月30日付けで手続補正(明細書又は図面について請求の日から30日以内にする補正)がなされたものである。

(2)査定
原査定の理由は、概略、以下のとおりである。
[査定の理由]
本件出願の請求項1に係る発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

刊行物1:特開平5-204534号公報
刊行物2:特開平7-234719号公報
刊行物3:特開平7-162843号公報

2.補正却下の決定
平成17年9月30日付けの手続補正(以下、本件補正という)について次のとおり決定する。

〈補正却下の決定の結論〉
平成17年9月30日付けの手続補正を却下する。

〈補正却下の決定の理由〉
(1)補正の内容
本件補正は、下記の請求項1についてする下記の補正事項を含むものである。

記(補正事項)
請求項1において、
「前記独立モードにおいて、前記操作装置を用いてレーザポインタを動作させる際、カメラのズーム機能の焦点距離の変化に応じて、操作装置の変化量とレーザポインタの変化量との比を調整する機能を有するレーザポインタ調整器」(補正前)とあるのを、
「前記独立モードにおいて、前記操作装置を用いてレーザポインタを動作させる際、カメラのズーム機能の焦点距離の変化に応じて、カメラの焦点から作業対象のレーザスポットまでの距離を計算し、操作装置の変化量とレーザポインタの変化量との比を調整する機能を有するレーザポインタ調整器」(補正後)と補正するものであり、
補正前の「レーザポインタ調整器」に「カメラの焦点から作業対象のレーザスポットまでの距離を計算し」を追加する補正である。

(2)補正の適合性
本件出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、当初明細書等という)には、以下の事項が記載されている。

(当初明細書等の記載)
「【0040】同期モードでは、同期/独立切換器4によりレーザポインタ制御器5が機能するようになる。レーザポインタ制御器5は、上下用サーボモータ2bの角度αとカメラ2aの焦点から作業対象のレーザスポットまでの距離dを入力として、
γ=tan^(-1)2{(h+dsinα)/dcosα} ……(1)
で算出されるレーザポインタ3aの上下角γを出力し、上下用サーボモータ3bへの指令値とすることにより、レーザスポットが常にカメラ2aの光軸と作業対象の交点、つまり撮像面の中央を指し示すことが可能となる。」

「【0041】独立モードでは、同期/独立切換器4によりレーザポインタ調整器6が機能するようになる。操作装置10gから出力される、レーザポインタを上下方向に回転させるための上下用サーボモータ3bへの指令値の変化量(操作量)をΔγ’、ズームの焦点距離fの変化の範囲をfmin≦f≦fmaxとする。レーザポインタ調整器6は、ズームの焦点距離f、操作装置10gからの指令値の変化量Δγ’を入力として、
Δγ’=Δγfmin/f ……(2)
より算出されるレーザポインタ3aの上下角の変化量Δγを算出し、その変化量Δγを上下用サーボモータ3bの角度に加えたものを上下用サーボモータ3bの指令値γとして出力することにより、ズームにより焦点距離fが変更されても、操作装置10gの操作量と撮像面上のレーザスポットの移動量との関係が常に一定となる。」

図2には、レーザポインタ制御器5には距離d、角度αが、レーザポインタ調整器6には焦点距離f、角度Δγが与えられるように図示されている。
(以上、当初明細書等の記載)

上記記載によれば、上記請求項1において、「レーザポインタ調整器」に追加した「カメラの焦点から作業対象のレーザスポットまでの距離」については、専ら「同期モード」において、「レーザポインタ制御器」が、レーザポインタ3aの上下角γを算出するために利用することが記載されているのみである。そして、「独立モード」では、「レーザポインタ調整器」が、ズームの焦点距離fを利用してレーザポインタ3aの上下角の変化量Δγを算出することは記載されているものの、その「独立モード」において、「レーザポインタ調整器」が、「カメラ2aの焦点から作業対象のレーザスポットまでの距離dを計算し」、その距離dを利用してはいない。
当初明細書等には上記記載以外にも「独立モード」において距離dを利用することについて記載がなく、また、示唆もされていない。
また、「同期モード」において、「レーザポインタ制御器」が、レーザポインタ3aの上下角γを算出するために利用する「カメラ2aの焦点から作業対象のレーザスポットまでの距離d」を、「独立モード」において、「レーザポインタ調整器」が利用することは自明とはいえない。

すなわち、当初明細書等には、「レーザポインタ調整器」が、操作装置を用いてレーザポインタを動作させる際、カメラのズーム機能の焦点距離の変化に応じて、「カメラの焦点から作業対象のレーザスポットまでの距離を計算し」、操作装置の変化量とレーザポインタの変化量との比を調整することについては記載がなく、示唆もなく、また、自明のことともいえない。
よって、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項であるとはいえない。
したがって、上記補正事項を含む本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

(3)補正却下の決定の理由まとめ
以上のように、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、〈補正却下の決定の結論〉のとおり決定する。

3.本願発明
平成17年9月30日付けの手続補正は上記のとおり却下したので、本件出願の請求項1に係る発明は、本件出願明細書(平成17年4月19付けの手続補正により補正された明細書)及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、下記のとおりである。
記(本願発明)
指令センタにいる熟練者が遠隔地にいる非熟練者に作業を行わせる際に使用するコミュニケーション端末であって、遠隔作業地に設置され、該遠隔作業地を撮影するカメラ及び遠隔作業地の作業対象における操作位置等を指示するレーザポインタを具備し、該カメラ及びレーザポインタは指令センタの操作装置により遠隔操作され、該カメラはズーム機能及びオートフォーカス機能を具備したコミュニケーション端末を用い、
カメラの動きに合わせてレーザポインタの動きを自動的に制御する同期モードと、カメラ及びレーザポインタをそれぞれ独立して動作させる独立モードとを前記指令センタからの遠隔操作により切り替える同期/独立切換器を具備し、
前記独立モードにおいて、前記操作装置を用いてレーザポインタを動作させる際、カメラのズーム機能の焦点距離の変化に応じて、操作装置の変化量とレーザポインタの変化量との比を調整する機能を有するレーザポインタ調整器を具備したことを特徴とする遠隔作業支援コミュニケーション装置。

4.査定の検討
(1)本願発明について
本願発明は、次の構成を有している。

「カメラの動きに合わせてレーザポインタの動きを自動的に制御する同期モードと、カメラ及びレーザポインタをそれぞれ独立して動作させる独立モードとを前記指令センタからの遠隔操作により切り替える同期/独立切換器」

このうち「カメラの動きに合わせてレーザポインタの動きを自動的に制御する同期モード」は、レーザスポットが「撮像面の中央を指し示す」(【0040】)ものである。また、「カメラ及びレーザポインタをそれぞれ独立して動作させる独立モード」は、「操作装置10gの操作量と撮像面上のレーザスポットの移動量との関係が常に一定となる。」(【0041】)ものであって、レーザスポットが操作装置の操作で撮像面上で移動するものである。そして、この「同期モード」と「独立モード」とは「同期/独立切換器」によって「遠隔操作により切り替える」ことができるものである。

(2)引用刊行物
(a)刊行物1(特開平5-204534号公報)
刊行物1には、「遠隔ポインティング装置」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0031】ワークステーション17は遠隔操縦用ネットワーク15を介して監視カメラ13の現在のズーム率Zを問い合わせる。そして、タッチパネル12より知らされた監視者19が指し示した画面上の位置(x,y)から赤色ポインティング装置22を動かす角度を上記数1を用いて計算する。
【0032】次に、監視カメラ遠隔操縦装置14に対して現在の角度(Bx、By)を問い合わせる。これを用いて、角度(Rx-Bx,Ry-By)分だけ赤色ポインティングライト22を動かす。すなわち、X方向に-Rx+Bx度、Y方向に-Ry+By度だけ動かすように、指令を遠隔操縦用ネットワーク15を通じてポインティング遠隔操縦装置23に送る。ポインティングライト遠隔操縦装置23は、この値に従い赤色ポインティングライト装置22を動かす。その結果、プラント装置18にライトが当たる。これにより、保守員20は監視者19が指し示しているプラント装置18が具体的に理解できる。
【0033】さらに、監視カメラ13と赤色ポインティングライト装置22とを独立に(連動させずに)動かす場合も考えられる。この方法を使うと、通常は監視ディスプレイ11で指された物を中心になるようにカメラを動かし同時に赤色ポインティング装置22でその指されたものにライトを当てるようにし、監視カメラ遠隔操縦装置14の制限により向けられない物体が監視員19によって指されたときには、赤色ポインティング装置22のみ動かしライトが当たるようにすることができる。」

上記記載によれば、刊行物1には、監視カメラ13の現在のズーム率Zを問い合わせ、タッチパネル12より監視者19が指し示した画面上の位置(x,y)から赤色ポインティングライト装置22を動かす角度を計算すること、また、監視カメラ13と赤色ポインティングライト装置22とを独立に(連動させずに)動かすことも、それぞれ記載されている。
しかしながら、刊行物1の遠隔操作は、通常は監視ディスプレイ11で指された物を中心になるようにカメラを動かし同時に赤色ポインティングライト装置22でその指されたものにライトを当てるように動かすことを前提として、監視カメラ遠隔操縦装置14の制限により(カメラの中心を)向けられない物体が監視員19によって指されたときには、赤色ポインティング装置22のみ動かしライトが当たるようにするものであり、監視カメラ13と赤色ポインティングライト装置22とを独立に動かすとの記載があるとしても、それは、上記前提の下でなされる一連の動作と考えるべきものである。監視カメラ遠隔操縦装置14の制限が無い場合は、常にカメラもポインティング装置も監視ディスプレイ11で指された物を中心になるように動くものであり、そのような場合には監視カメラ13と赤色ポインティングライト装置22とを独立に動かすこと(赤色ポインティングライト装置22がカメラの中心以外にライトを当てること)はないものである。
そうすると、刊行物1記載の、監視カメラ13と赤色ポインティングライト装置22とを独立に動かすことは、「同期/独立切換器」によって「遠隔操作により切り替える」ことができる本願発明の「独立モード」に相当するとはできない。また、監視カメラ13と赤色ポインティングライト装置22とを独立に動かすことを、「監視カメラ遠隔操縦装置14の制限により向けられない物体が監視員19によって指されたとき」だけでなく常にそのようになし、かつ、モードとして切り換えられるようにすることを示唆する記載もない。

(b)刊行物2(特開平7-234719号公報)
刊行物2には、「プラントの保守支援装置」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0029】照明マトリックス制御器7は、スポット照明器9A-1、スポット照明器9B-P1や電動雲台制御部8を介して電動雲台11を制御する。前記電動雲台11は、スポット照明器9B-P1と、ズーム機能を有する撮像カメラ10との載置台となっており、全体がユニット化されている。」
「【0032】上記のように、固定式スポット照明器9A-1と電動雲台上のスポット照明器9B-P1とに別けたのは、広いヤードの複数個所の機器類に対し、略々同一領域に配設され頻繁に点検・操作される機器類には固定式スポット照明器9A-1を用い、時々に点検・操作される機器類には電動雲台11上のスポット照明器9B-P1を用い、スポット照明器9を経済的に最適配置するためである。」

上記記載によれば、刊行物2には、固定式スポット照明器9A-1と電動雲台上のスポット照明器9B-P1とを設けること、また、電動雲台11は、スポット照明器9B-P1と、ズーム機能を有する撮像カメラ10との載置台となっており、全体がユニット化されていることが記載されているに止まる。本願発明の上記「同期/独立切換器」に関する構成の記載、及び、それを示唆する記載はない。

(c)刊行物3(特開平7-162843号公報)
刊行物3には、「遠隔制御装置及び画像入力装置」に関し、以下の事項が記載されている。
「発光素子26は駆動回路24により駆動されて赤外線無線制御信号を出力する。」(段落【0018】)
「【0020】28は、通信回線を介して受信したカメラ制御信号に従いビデオ・カメラ12の向き、フォーカス及びズームなどを制御するカメラ駆動制御回路である。そのカメラ制御信号は、制御信号受信部18bが受信信号から分離してカメラ駆動制御回路28に供給する。
【0021】図2は、遠隔制御装置10の外観、特に、ビデオ・カメラ12と発光素子26を一体化した部分の斜視図を示す。」

上記記載によれば、刊行物3には、通信回線を介して受信したカメラ制御信号に従いビデオ・カメラ12の向き、フォーカス及びズームなどを制御すること、また、ビデオ・カメラ12と発光素子26を一体化することは、それぞれ記載されているものの、上記発光素子26は赤外線無線制御信号を出力するものであり、本願発明のような作業を指示する「レーザポインタ」とは異質なものである。本願発明の上記「同期/独立切換器」に関する構成の記載、及び、それを示唆する記載はない。

(3)検討
以上によれば、本願発明の上記「同期/独立切換器」に関する構成は、上記各刊行物に記載も示唆もなく、各刊行物記載の発明を組み合わせても導くことができない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、上記各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、という原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2008-01-29 
出願番号 特願平11-211787
審決分類 P 1 8・ 561- WY (H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩井 健二  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 益戸 宏
五貫 昭一
発明の名称 遠隔作業支援コミュニケーション装置  
代理人 根岸 裕一  
代理人 本山 泰  
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