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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65B
管理番号 1172034
審判番号 不服2004-22328  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-30 
確定日 2008-02-07 
事件の表示 平成10年特許願第208699号「薬袋作成システム」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 1月25日出願公開、特開2000- 25719〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年7月8日に特許出願にしたものであって、その請求項1、2に係る発明は、平成19年2月1日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1、2に記載により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「電子化された薬剤などの情報を記憶した記憶装置を有する汎用電算機と、前記汎用電算機に接続された薬袋用印刷機および前記薬袋用印刷機とは別で且つ同時に作動する薬剤指導書用印刷機と、前記汎用電算機の記憶装置に記憶させてある薬剤などの情報の内で処方箋に基づいて入用なものを選択するための前記汎用電算機に接続された薬価算定用電算機からなる入力装置とを有し、前記汎用電算機は前記入力装置により選択された薬剤などの情報を薬品区分、投薬日数、服用方法、薬剤名などの処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けする区分けプログラムと、前記区分けプログラムにより区分けされた薬剤などの情報を各薬袋ごとに表示するための情報を前記薬袋用印刷機に出力するための出力回路と、前記選択された薬剤などの情報の一部を前記区分けプログラムにより区分することなく、そのまま薬剤指導書に表示するための情報を薬剤指導書用印刷機に出力するための出力回路とを有しており、前記入力装置からの処方箋に記載された薬剤などに関する情報の入力によりそれぞれ必要な情報が印刷された薬品区分により区分けされた薬袋と薬剤指導書とが同時に作成可能であることを特徴とする薬袋作成システム。」

2.引用例の記載事項
(2-1)当審の拒絶理由において引用された本願出願前に頒布された特開平9-307722号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。

(2-1-1)「【0013】
このように構成された薬剤情報提供システムを活用するには、まず薬剤の外形カラー写真を含む薬の名称、薬の作用、用法、注意事項などを電子化された薬剤情報を記憶装置(固定磁気ディスク)11に記憶させる。このときキーボード15、ディスク装置16および映像取込装置17を用いて情報を入力してもよいが、記憶装置(固定磁気ディスク)11に予め記憶させたデータベース用のソフトウェアを用いるとよく、記憶させる情報は多種に亙り容量が多いとともに数多くの病院や薬局において使用されることを勘案すると、予め情報を記憶させたフロツピーディスクやCD-ROMなどのディスクをディスク装置16を介して記憶装置(固定磁気ディスク)11に記憶させる手段を採ることが好ましく、簡単且つ迅速に作業を行うことができる。」
(2-1-2)「【0014】
そして、例えば薬局において患者の処方箋の内容を薬価算定用電算機からなる入力装置2に入力すると、その出力回路(図示せず)から例えば患者の氏名、処方される薬剤名などの記憶装置(固定磁気ディスク)11に記憶させてある薬剤情報の内で出力を要するものを選択するための入力記憶装置2に記憶させてある薬剤情報の内で出力を要するものを選択するための入力信号が入力回路14に入力される。」
(2-1-3)「【0015】
入力回路13に前記選択信号が入力されると、中央処理装置12により前記記憶装置(固定磁気ディスク)11に記憶させてある薬剤情報の内で出力を要するものを選択して出力信号を出力回路18に送信し、出力回路18に接続されたカラー印刷機3により薬剤情報が印刷される。」
(2-1-4)「【0016】
図2はカラー印刷機3により紙片に印刷された薬剤情報4の一例を示すものであり、薬の名前、薬の写真、薬の働き、用法、注意書きなどの各項目に亘って情報が記録されている。」
(2-1-5)「【0017】
従って、患者は前述のようにして出力された薬剤情報4を確認することによって提供される薬剤を適格且つ充分に認識した上で服用することができることから充分な治療が行えるばかりか、充分な服薬指導をきわめて容易にすることができるものである。」
(2-1-6)「【0020】
更に、本実施の形態では薬剤情報4として紙片に印刷した場合を示したが、例えば薬袋の表面に貼着可能なようにシール紙などに印刷してもよい。」

上記(2-1-1)乃至(2-1-5)、【図1】および【図2】より、引用例1には、
「電子化された薬剤などの情報を記憶した記憶装置を有する汎用電算機と、前記汎用電算機に接続された『薬剤情報を紙片に印刷するカラー印刷機』と、前記汎用電算機の記憶装置に記憶させてある薬剤などの情報の内で処方箋に基づいて入用なものを選択するための前記汎用電算機に接続された薬価算定用電算機からなる入力装置とを有し、前記選択された薬剤などの情報の内で出力を要するものを『薬剤情報が印刷される紙片』に表示するための情報を『薬剤情報を紙片に印刷するカラー印刷機』に出力するための出力回路とを有しており、『薬剤情報が印刷された紙片』を作成することを特徴とする薬剤情報提供システム。」が開示されているものと認める。

(2-2)当審の拒絶理由において引用された本願出願前に頒布された特開平8-711号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。

(2-2-1)「【0002】【従来の技術】
従来の薬袋発行システムは、スタンドアロン方式で運用されるもので、図4のブロック図に示す構成を取る。」
(2-2-2)「【0003】
薬局窓口に設けられた入出力部21は、薬袋発行システム22に接続し、薬局の薬剤師が受付けた処方せんに従って、処方に基づき薬袋に印字するデータと薬袋の印字形式情報とを入力する。」
(2-2-3)「【0004】
ここで述べている薬袋に印字するデータと薬袋の印字形式情報とは、患者氏名,引換番号,大袋か子袋かあるいはラベルかの薬袋の形状,同時に複数の薬を出す場合に内用薬か外用薬か頓服薬か等の使用方法による袋分けの指示、各薬袋ごとの薬の用法および数量と注意事項の指定等である。」
(2-2-4)「【0005】
次に、薬袋発行システム22は、受信した薬袋に印字するデータと薬袋の印字形式情報とに従い、薬袋情報ファイル23に登録されている印字形式を読出し、処方せんに適合する形式で印字した薬袋24を発行する。」

上記(2-2-1)乃至(2-2-4)および【図4】からすると、引用例2には、
「薬袋発行システムと、薬袋発行システムに接続された『薬袋発行システムからのデータを印字するもの』と、薬剤などのデータの内で処方せんに基づいて入用なものを入力するための前記薬袋発行システムに接続された入出力部とを有し、前記薬袋発行システムは前記入出力部により入力された薬剤などのデータを『内用薬か外用薬か頓服薬か』等の処方された薬剤に関する使用方法に基づいて1つの薬袋ごとに区分けするものと、前記使用方法により区分けされた薬剤などのデータを各薬袋ごとに印字するためのデータを前記『薬袋発行システムからのデータを印字するもの』に出力するためのものと、前記入出力部からの処方せんに記載された薬剤などに関するデータの入力によりそれぞれ必要なデータが印刷された『内用薬か外用薬か頓服薬か』により区分けされた薬袋を作成可能であることを特徴とする薬袋を作成するシステム。」が開示されている。

(2-3)当審の拒絶理由において引用された本願出願前に頒布された特開平3-221482号公報(以下、「引用例3」という。)には、以下の記載がある。

(2-3-1)公報第2頁右上欄第7から19行
「(ニ) 課題を解決するための手段
本発明では、複数の診療科に配設されたターミナルコンピュータに入力側で接続したホストコンピュータの出力側と、各給紙部にそれぞれ異なるサイズの薬袋を供給した複数個のプリンタとを、ホストコンピュータから入力した処方箋のデータに基づき、一患者ごとに適切な薬袋のサイズ及び必要枚数を判断する機能と、複数個のプリンタの内から、上記サイズの薬袋を給紙部に供給されたプリンタを選んでそのプリンタに患者名、用法等のプリントデータを出力する機能とを有するコントローラを介して接続したことを特徴とする薬袋印字装置と」
(2-3-2)公報第5頁左下欄第10から11行
「また、上記プリンタ(Pi)?(Pn)のうちの-台に、患者の処方箋をプリントさせることができ」
(2-3-3)公報第4頁左下欄第15行から同右下欄第8行
「本発明の実施例は上記のように構成されており、患者を診察した診療科において、ターミナルコンピュータ(T1)?(Tn)に入力された処方箋のデータは、電算室のホストコンピュータ(Ch)を介して、コントローラ(C)に入力される。
処方箋のデータを受けたコントローラ(C)では、前記(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)の機能により、一患者に必要な薬袋のサイズ及び枚数を判断し、薬局に配設されたプリンタ(Pl)?(Pn)の内から、上記サイズの薬袋を給紙部に供給されたプリンタを選んで、そのプリンタに患者名、用法等のプリントデータを出力して、各プリンタ(P1)?(Pn)のバッファに記憶させ、この患者に支給する薬袋を一斉にプリントさせる。」

上記(2-3-1)乃至(2-3-3)より、引用例3には、
「コントローラと、コントローラに接続された処方箋用プリンタおよび処方箋用プリンタとは別の薬袋用プリンタとを有しており、処方箋と薬袋とを作成するシステム。」が開示されている。

3.対比・判断
本願発明と引用例1記載の発明とを対比する。
○後者の「薬剤情報を紙片に印刷するカラー印刷機」、「選択された薬剤などの情報の内で出力を要するもの」、「薬剤情報が印刷される(された)紙片」、「薬剤情報提供システム」は、
前者の「薬剤指導書用印刷機」、「選択された薬剤などの情報の一部」、「薬剤指導書」、「薬袋作成システム」に相当している。

上記より、両者は、「電子化された薬剤などの情報を記憶した記憶装置を有する汎用電算機と、前記汎用電算機に接続された薬剤指導書用印刷機と、前記汎用電算機の記憶装置に記憶させてある薬剤などの情報の内で処方箋に基づいて入用なものを選択するための前記汎用電算機に接続された薬価算定用電算機からなる入力装置とを有し、前記選択された薬剤などの情報の一部をそのまま薬剤指導書に表示するための情報を薬剤指導書用印刷機に出力するための出力回路とを有しており、薬剤指導書を作成する薬袋作成システム。」という点で一致し、以下の点で相違しているものと認める。

◇前者では、薬袋作成システムにおいて、汎用電算機に薬剤指導書用印刷機を接続すると共にこれとは別の薬袋用印刷機を接続しているのに対して、
後者には、薬袋作成システムにおいて、汎用電算機に薬剤指導書用印刷機を接続することの記載はあるものの、薬袋用印刷機を接続することの記載がない点。(以下、「相違点1」という。)

◇前者では、薬袋作成システムにおいて、汎用電算機は入力装置により選択された薬剤などの情報を薬品区分、投薬日数、服用方法、薬剤名などの処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けする区分けプログラムと、区分けプログラムにより区分けされた薬剤などの情報を各薬袋ごとに表示するための情報を薬袋用印刷機に出力するための出力回路とを有しているのに対して、
後者には、上記事項の記載がない点。(以下、「相違点2」という。)

◇前者では、薬袋用印刷機と薬剤指導書用印刷機とを同時に作動させ、薬袋と薬剤指導書とを同時に作成しているのに対して、
後者には、上記事項の記載がない点。(以下、「相違点3」という。)

◇前者では、「選択された薬剤などの情報の一部を区分けプログラムにより区分することなく、そのまま薬剤指導書に表示する」のに対して、
後者では、「選択された薬剤などの情報の内で出力を要するもの(一部)をそのまま薬剤指導書に表示する」点。(以下、「相違点4」という。)

以下、各相違点について検討する。
まず、引用例2、3記載の発明の事項について整理する。

上記(2-2)で示したように、引用例2には、
「薬袋発行システムと、薬袋発行システムに接続された『薬袋発行システムからのデータを印字するもの』と、薬剤などのデータの内で処方せんに基づいて入用なものを入力するための前記薬袋発行システムに接続された入出力部とを有し、前記薬袋発行システムは前記入出力部により入力された薬剤などのデータを『内用薬か外用薬か頓服薬か』等の処方された薬剤に関する使用方法に基づいて1つの薬袋ごとに区分けするものと、前記使用方法により区分けされた薬剤などのデータを各薬袋ごとに印字するためのデータを前記『薬袋発行システムからのデータを印字するもの』に出力するためのものと、前記入出力部からの処方せんに記載された薬剤などに関するデータの入力によりそれぞれ必要なデータが印刷された『内用薬か外用薬か頓服薬か』により区分けされた薬袋を作成可能であることを特徴とする薬袋を作成するシステム。」が開示されている

○引用例2記載の発明の「薬袋発行システムからのデータを印字するもの」、「入力」、「データ」、「入出力部」、「内用薬か外用薬か頓服薬か」、「使用方法」、「印字」、「薬袋を作成するシステム」は、
本願発明の「薬袋用印刷機」、「選択」、「情報」、「入力装置」、「薬品区分」、「区分因子」、「表示」、「薬袋作成システム」のそれぞれに相当している。

○引用例2記載の発明の「薬袋発行システム」は、「薬袋発行システムからのデータを印字(表示)するもの(薬袋用印刷機)」にデータ(電子データ)を送るものであることから、「電算機」であり、そして、一般に用いられる「電算機」の大抵は「汎用」であることから、「汎用電算機」であると見るのが妥当である。
上記より、引用例2記載の発明の「薬袋発行システム」は、「汎用電算機」であって、本願発明の「汎用電算機」に相当している。

○引用例2記載の発明の「薬剤などのデータ(情報)を『内用薬か外用薬か頓服薬か(薬品区分)』等の処方された薬剤に関する使用方法(区分因子)に基づいて1つの薬袋ごとに区分けするもの」は、区分因子が薬品区分等であることからして、薬品区分以外の区分因子も有って、入力された薬剤などの情報が、適宜、薬品区分(区分因子)により区分けされたり、これ以外の区分因子により区分けされていて、どの区分因子で区分けするかの指示は操作者が行い、実際の区分けは、薬袋発行システム(汎用電算機)自体、更に云うと、この汎用電算機内のプログラムが行っていると見るのが妥当である。
上記より、引用例2記載の発明の「薬剤などの情報を薬品区分等の処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けするもの」は、「薬剤などの情報を薬品区分等の処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けするプログラム」であって、本願発明の「薬剤などの情報を薬品区分、投薬日数、服用方法、薬剤名などの処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けする区分けプログラム」に相当している。

○引用例2記載の発明の「印字(表示)するためのデータ(情報)を『薬袋発行システムからのデータを印字(表示)するもの(薬袋用印刷機)』に出力するためのもの」は、データ(電子データ)を出力するものであることから、「出力回路」であると見るのが妥当である。
上記より、引用例2記載の発明の「表示するための情報を薬袋用印刷機に出力するためのもの」は、「表示するための情報を薬袋用印刷機に出力するための出力回路」であって、本願発明の「表示するための情報を薬袋用印刷機に出力するための出力回路」に相当している。

上記より、引用例2には、「汎用電算機と、前記汎用電算機に接続された薬袋用印刷機と、薬剤などの情報の内で処方箋に基づいて入用なものを選択するための前記汎用電算機に接続された入力装置とを有し、前記汎用電算機は前記入力装置により選択された薬剤などの情報を薬品区分、投薬日数、服用方法、薬剤名などの処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けする区分けプログラムと、前記区分けプログラムにより区分けされた薬剤などの情報を各薬袋ごとに表示するための情報を前記薬袋用印刷機に出力するための出力回路と、前記入力装置からの処方箋に記載された薬剤などに関する情報の入力によりそれぞれ必要な情報が印刷された薬品区分により区分けされた薬袋が作成可能であることを特徴とする薬袋作成システム。」が開示されており、
これは、薬袋作成システムにおいて、
・汎用電算機に薬袋用印刷機を接続する、
・汎用電算機は入力装置により選択された薬剤などの情報を薬品区分、投薬日数、服用方法、薬剤名などの処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けする区分けプログラムと、区分けプログラムにより区分けされた薬剤などの情報を各薬袋ごとに表示するための情報を薬袋用印刷機に出力するための出力回路とを有する、を示すものであると認める。

次に、上記(2-3)で示したように、引用例3には、
「コントローラと、コントローラに接続された処方箋用プリンタおよび処方箋用プリンタとは別の処方箋用プリンタとを有しており、処方箋と薬袋とを作成するシステム。」が開示されている。

○引用例3記載の発明の「コントローラ」、「薬袋用プリンタ」、「システム」は、本願発明の「電算機(汎用電算機)」、「薬袋用印刷機」、「薬袋作成システム」のそれぞれに相当している。

上記より、引用例3には、「汎用電算機と、汎用電算機に接続された処方箋用プリンタ(印刷機)および処方箋用プリンタ(印刷機)とは別の薬袋用印刷機とを有しており、処方箋と薬袋とを作成する薬袋作成システム。」が開示されており、
これは、薬袋作成システムにおいて、
汎用電算機に処方箋用印刷機を接続すると共にこれとは別の薬袋用印刷機を接続する、を示すものであると認める。

◆相違点1について
引用例1乃至3記載の発明のそれぞれは、「薬袋作成システム」という点で軌を一にしていることから、引用例1記載の発明の「汎用電算機に薬剤指導書用印刷機を接続する」において、これと軌を一にする引用例3記載の発明の「汎用電算機に処方箋用印刷機を接続すると共にこれとは別の薬袋用印刷機を接続する」および同引用例2記載の発明の「汎用電算機に薬袋用印刷機を接続する」を適用することで、「汎用電算機に薬剤指導書用印刷機または処方箋用印刷機を接続すると共にこれとは別の薬袋用印刷機を接続する」を構成とする、即ち、上記相違点1で示した本願発明の事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。

◆相違点2について
上記[相違点1について]で検討したように、引用例1記載の発明が、「汎用電算機に薬剤指導書用印刷機を接続すると共にこれとは別の薬袋用印刷機を接続する」を構成とするものであるとして、以下の検討を行う。
引用例1、2記載の発明のそれぞれは、「薬袋用印刷機が接続された汎用電算機」という点で軌を一にしていることから、引用例1記載の発明の「薬袋用印刷機が接続された汎用電算機」において、これと軌を一にする引用例2記載の発明の「汎用電算機は入力装置により選択された薬剤などの情報を薬品区分、投薬日数、服用方法、薬剤名などの処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けする区分けプログラムと、区分けプログラムにより区分けされた薬剤などの情報を各薬袋ごとに表示するための情報を薬袋用印刷機に出力するための出力回路とを有する」を適用することで、これを構成とする、即ち、上記相違点2で示した本願発明の事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。

◆相違点3について
上記[相違点2について]での検討と同じく、引用例1記載の発明が、「汎用電算機に薬剤指導書用印刷機を接続すると共にこれとは別の薬袋用印刷機を接続する」を構成とするものであるとして、以下の検討を行う
一般に、複数種の印刷機が接続された電算機において、必要に応じて、複数種の印刷機を同時に作動させ、複数種の印刷物を同時に作成すること自体、先行技術文献を示すまでもなく、本願出願前周知の事項であり、引用例1記載の発明と上記周知の事項とは、「複数種の印刷機が接続された電算機」という点で軌を一にしていることから、引用例1記載の発明の「薬剤指導書用印刷機と薬袋用印刷機とが接続された汎用電算機」において、これと軌を一にする上記周知の事項の「複数種の印刷機を同時に作動させ、複数種の印刷物を同時に作成する」を適用することで、「薬袋用印刷機と薬剤指導書用印刷機とを同時に作動させ、薬袋と薬剤指導書とを同時に作成する」を構成とする、即ち、上記相違点3で示した本願発明の事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。

◆相違点4について
上記[相違点2について]で検討したように、引用例1記載の発明が、「汎用電算機は入力装置により選択された薬剤などの情報を薬品区分、投薬日数、服用方法、薬剤名などの処方された薬剤に関する区分因子に基づいて1つの薬袋ごとに区分けする区分けプログラムと、区分けプログラムにより区分けされた薬剤などの情報を各薬袋ごとに表示するための情報を薬袋用印刷機に出力するための出力回路とを有する」を構成とするものであるとして、以下の検討を行う。
引用例1記載の発明の「選択された薬剤などの情報の一部をそのまま薬剤指導書に表示する」において、汎用電算機が区分けプログラムを有しているとしても、そもそも、区分けプログラムは薬袋に関係するものであって、薬剤指導書とは関係のないものであることから、上記「情報の一部(薬剤指導書に表示されるもの)」は、区分けプログラムにより区分されるものではない。
つまり、上記「選択された薬剤などの情報の一部をそのまま薬剤指導書に表示する」は、実質的に、「選択された薬剤などの情報の一部を区分けプログラムにより区分することなく、そのまま薬剤指導書に表示する」であって、該相違点4は、文言上の相違に過ぎない。

よって、本願発明は、引用例1乃至3記載の発明および本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである

4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1乃至3記載の発明および本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願は、特許請求の範囲の請求項2に係る発明について、検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-02 
結審通知日 2007-03-13 
審決日 2007-03-26 
出願番号 特願平10-208699
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 勝司  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 石田 宏之
豊永 茂弘
発明の名称 薬袋作成システム  
代理人 橋本 克彦  

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