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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60Q
管理番号 1172058
審判番号 不服2004-5885  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-24 
確定日 2008-02-06 
事件の表示 平成11年特許願第161944号「車両用室内灯」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月12日出願公開、特開2000-344010号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成11年6月9日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年1月29日付けの手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「筐体内に収容された一対のランプと、
前記筐体に取付けられ前記ランプの点滅を個別に制御するためのプッシュスイッチと、
前記筐体の開口部全面が覆われる大きさに形成されると共に前記筐体の開口部における中央部分において各々揺動自在に軸支され、かつ、軸支側とは反対側で前記プッシュスイッチの操作摘みに当接する一対のレンズ板と、
前記プッシュスイッチのバネ力に抗して前記レンズ板を前記筐体に係止するための係止部と、
から構成し、レンズ板を押下することによりプッシュスイッチのオン・オフが行われるようにしたことを特徴とする車両用室内灯。」

2.引用刊行物
当審における拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である実願昭57-53553号(実開昭58-157741号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「この考案はルームランプに係り、更に詳述すれば、ランプの切替えをプツシユスイツチで切替え得るようにしたルームランプに関するものである。」(明細書第2頁第1?4行)
(イ)「灯体ケース1はケース主体部11がプラスチツクで形成され、・・・(中略)・・・側板部17端には外側に張出するように断面U字状の鍔171と灯体ケースの開口端部には棚部172と、この棚部の灯体ケースの長手方向の両端には後述する灯蓋が係合する係合孔173a,173bが形成されている。」(明細書第3頁第17行?第4頁第14行)
(ウ)「押釦6はプラスチツクで作られ、一端中央にねじれ軸取付用のスリツト62と中心径が弾性部材5の直径に等しい環状溝63を他端を球面部64とした釦主体部61と、この釦主体部の一端より端部に段部66a,66bを形成し、該段部が第5図に示すように灯体ケースの側板部17に突出させた係止突起174a,174bと灯体ケース1内で係合する案内ベース65a,65bを形成せしめたものである。
灯蓋7はプラスチツクで作られ、灯体ケースの側板部17内に嵌入する大きさの縁部72を有する蓋体71の長手方向の端部の縁に鍔171に係止する鉤部73と突起74が設けられている。
これらは第2図乃至第5図に示すようにランプ保持片14a,14b間にランプ8を取付け、押釦6のスリツト62にねじれ軸4を、環状溝63に弾性部材(圧縮コイルバネ)5を取付ける。」(明細書第5頁第14行?第6頁第10行)
(エ)「第3図に示すように灯蓋7に外力が付勢されていない場合には弾性部材5の弾力で押釦6の案内ベース65a,65bの段部66a,66bが係止突起174a,174bに対接するまで上方に押上げられ、その球面部64が灯蓋7をその突起74が鍔171に当接する位置まで押上げた状態にある。
この状態より、灯蓋7の矢印A部を灯体ケース1側突起74が棚部172に当接するまで押すと、前記灯蓋は鉤部73と鍔171との係合部を支点とし時計方向に傾動し、弾性部材5の弾力に抗して押釦6を押し下げる。
押釦6が押し下げられると・・・(中略)・・・開成状態であつた固定接片13aと可動接片15が弾片18で押されて閉成し、逆に閉成状態であつた固定接片13bと可動接片15が閉成する。・・・(中略)・・・灯蓋7を押した手をはなすと、灯蓋7は弾性部材5の弾力で、第3図に示す押下げ前の状態に戻るが、・・・(中略)・・・可動および固定接片の関係は変らない。
灯蓋7を次に押すと・・・(中略)・・・固定接片13aと可動接片15が閉成し、固定接片13bと可動接片15が開成する。」(明細書第7頁第4行?第8頁第18行)
(オ)「以上述べたようにこの考案は底板部に軸と可動接片と、該可動接片の可動範囲に固定接片を設けると共に、前記可動接片と一方の保持片が接続されたランプ保持片を取付けた灯体ケースと、・・・(中略)・・・前記灯体ケースの開口部を覆う灯蓋とで構成されているので、灯蓋を押すことにより、すなわち押すと云う単一動作でランプの点滅が出来、操作性がよく、しかもスイツチノブの如きものが灯体から突出していないので体裁がよく、子供のいたずらによるスイツチ部分の故障も生じにくい等の効果を有する。」(明細書第9頁第3行?第10頁第4行)
(カ)第3図には、灯体ケース1内にランプ8が収容されることが図示されている。
(キ)上記記載事項(ア)、(エ)、(オ)から、押釦6、弾性部材5等からなるスイツチがプツシユスイツチであることが明らかであり、また、第3図には押釦6、弾性部材5等からなるスイツチが灯体ケース1に取付られていることが図示されている。
(ク)上記記載事項(エ)を参酌すると、第3図には、灯蓋と押釦6が灯蓋の傾動の支点となる係合部側とは反対側で当接していることが図示されているといえる。

上記記載事項、上記図示事項および上記記載事項から明らかな事項を総合すると、引用例1には、
「灯体ケース1内に収容されたランプ8と、前記灯体ケース1に取付けられ前記ランプ8の点滅を切替えるプツシユスイツチと、前記灯体ケース1の開口部を覆うと共に灯体ケース1の鍔と係合する鉤部を有し、該鍔と鉤部との係合部を支点として傾動し、かつ、係合部側とは反対側で前記プツシユスイツチの押釦6に当接する灯蓋と、
前記プツシユスイツチの弾性部材5の弾力で灯蓋を押し上げて灯体ケース1の鍔と当接する突起と、から構成し、灯蓋を押すことによりプツシユスイツチを切替えるルームランプ。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
後者の「灯体ケース1」が、その機能・構造等からみて前者の「筐体」に相当し、以下同様に、「切替える」が「制御する」に、「プツシユスイツチ」が「プッシュスイッチ」に、「灯体ケース1の開口部を覆う」が「筐体の開口部全面が覆われる大きさに形成される」に、「鍔と鉤部との係合部を支点として傾動し」が「揺動自在に軸支され」に、「係合部側」が「軸支側」に、「押釦6」が「操作摘み」に、「灯蓋」が「レンズ板」に、「弾性部材5の弾力で灯蓋を押し上げて灯体ケース1の鍔と当接する突起」が「バネ力に抗して前記レンズ板を前記筐体に係止するための係止部」に、「押す」が「押下する」に、「プツシユスイツチを切替える」が「プッシュスイッチのオン・オフが行われるようにした」に、「ルームランプ」が「車両用室内灯」に、それぞれ相当している。

したがって、両者は、
「筐体内に収容されたランプと、
前記筐体に取付けられ前記ランプの点滅を制御するためのプッシュスイッチと、
前記筐体の開口部全面が覆われる大きさに形成されると共に揺動自在に軸支され、かつ、軸支側とは反対側で前記プッシュスイッチの操作摘みに当接するレンズ板と、
前記プッシュスイッチのバネ力に抗して前記レンズ板を前記筐体に係止するための係止部と、
から構成し、レンズ板を押下することによりプッシュスイッチのオン・オフが行われるようにした車両用室内灯。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点:前者では、筐体内に収容されたランプは一対であり、プッシュスイッチによるランプの点滅の制御は個別に行うことができ、筐体の開口部を覆うレンズ板も一対のレンズ板からなり、一対のレンズ板は筐体の開口部における中央部分において各々揺動自在に軸支されているのに対して、後者では、筐体内に収容されたランプや筐体の開口部を覆うレンズ板が一つであり、レンズ板の軸支も筐体開口部における中央部分ではない点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
車両用室内灯において、筐体内に収容するランプを一対とし、ランプの点滅の制御をプッシュスイッチにより個別に行うことは、例えば特開平10-283803号公報、実願昭58-144335号(実開昭60-51148号)のマイクロフィルムにも記載されているように周知技術であり、引用発明の車両用室内灯に該周知技術を適用して筐体内に収容するランプを一対とし、ランプの点滅の制御をプッシュスイッチにより個別に行うようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。そして、ランプの点滅の制御を個別に行うのであるから、プッシュスイッチのオン・オフを行う揺動自在なレンズ板を一対とすることは当然のことである。また、筐体の開口部を覆うレンズ板を一対とした場合、軸支部は、筐体の開口部における中央部分か周縁部分の何れかとなることは明らかなことであり、軸支部の配置を決定する際にレンズ板の操作性等を考慮することは当然のことであるから、一対のレンズ板の軸支部を筐体の開口部における中央部分において各々揺動自在とした点は当業者であれば適宜なし得る設計的事項にすぎない。

また、本願発明の効果も、引用発明、周知技術に基づいて当業者が予測し得る範囲内のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-16 
結審通知日 2007-03-27 
審決日 2007-04-09 
出願番号 特願平11-161944
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B60Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 仁木 浩  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 増沢 誠一
一色 貞好
発明の名称 車両用室内灯  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 賢三  
代理人 加藤 恭介  

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