• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16J
管理番号 1172171
審判番号 不服2006-5621  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-27 
確定日 2008-02-06 
事件の表示 特願2001-581008「封止装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月 8日国際公開、WO01/84022、平成15年10月28日国内公表、特表2003-532042〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【一】手続の経緯
本願は、2001年4月20日(パリ条約による優先権主張2000年4月20日)を国際出願日とする出願であって、平成17年12月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成18年3月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月26日付けで平成15年法律第47号による改正前特許法第17条の2第1項第3号に該当する明細書についての手続補正がなされたものである。

【二】平成18年4月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年4月26日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「 【請求項1】 2つのコンポーネント(15,16;30,31)の間のハウジング間隙を封止する封止装置(14;32)であって、2つの連結された封止コンポーネント(2,3;22,23)から成るシール(1,21)を有し、第1の耐押出性の変形可能な封止コンポーネント(2;22)は、一方のコンポーネント(16;31)の第1の封止表面(17)に面する当接面(6;26)と、他方のコンポーネント(15;30)の第2の封止表面(18)に当接する接触面(7;29)と、該第1の封止表面(17)と協働可能な第1の脚(4)と、該第2の封止表面(18)と協働可能な第2の脚(5)とを有し、該第1の封止コンポーネント(2;22)が当接する、もっと大きく変形できる第2の封止コンポーネント(3;23)は該当接面(6;26)を超えて突出する縁部(8;24)を有し、該第1の封止コンポーネント(2;22)は、該当接面(6;26)が一方のコンポーネント(16;31)と非接触な状態から、ハウジング間隙を閉じるシステム圧力によって該コンポーネント(15,16;30,31)の封止表面(17,18)に押圧でき、該第2の封止コンポーネント(3;23)は該封止表面(17,18)に封止的に押圧でき、該第1の脚(4)及び該第2の脚(5)はある角度を張り、該脚(4,5)間の角度はシステム圧力に応答して減少することを特徴とする封止装置。」
と補正された。(なお、下線は請求人が附したものであり、補正箇所を示すものである。)

上記補正は、
(1)請求項1に係る発明を特定するための事項である「当接面(6;26)」が「コンポーネント(15,16;30,31)の封止表面(17,18)に押圧でき」ることについて、「該当接面(6;26)が一方のコンポーネント(16;31)と非接触な状態から、ハウジング間隙を閉じるシステム圧力によって該コンポーネント(15,16;30,31)の封止表面(17,18)に押圧でき」と限定し、
(2)請求項1に係る発明を特定するための事項である「第2の封止コンポーネント(3;23)」の「当接面(6;26)を超えて突出する」部分の用語を、「エッジ」から「縁部」と補正するものである。
そして、上記(2)の補正は、技術的に内容を変更するものとは認められないので、本件補正は、平成15年法律第47号による改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認める。

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年法律第47号による改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である「実願昭52-78942号(実開昭54-6740号)のマイクロフィルム」(以下「引用刊行物」という。)には、次の事項が記載されていると認める。

〔あ〕「(1)が無限軌道帯の板(図示せず)に固定されたリンクの一端部,(1a)が同一端部(1)に設けられた内孔,(2)が隣りの板に固定されたリンクの他端部,(3)がブツシユ,(4)がリンク連結用ピン,(4a)が同ピン(4)内に穿設した通路,(4b)が同ピン(4)に設け通路(4a)に連通した潤滑油を給油する給油口,(5)が前記通路(4a)を閉じる栓である。(6)は筒体であるシールピースであり,外周囲に断面三日月形状のゴム,樹脂などの弾性体からなるシール部材(7)を圧入,または溶着,貼り付けし,同シール部材(7)の表面には耐摩耗度,耐強度に優れた金属材質からなるスライドピース(8)を貼り付けまたは溶着する。なおシールピース(6)は耐摩耗性の高い金属樹脂材料で構成され,軸方向内面に刻設した2本の切欠溝(6a)を有する(第5図)。」(明細書4頁3?18行参照)
〔い〕「本考案の無限軌道帯用ダストシ-ル装置は前記のように構成されているので,ピン(4)にシ-ルピース(6)を嵌挿する。この組み立ては第6図(1)のように一体となつたシール機構のツールピース(6)の内周面をピン(4)の外周(D)にリンク(1)と共に端面(C)がブツシユ(3)に当たるまで圧入され固定される。その時にはシール部(7)は第6図(2),第4図に示すように変形し,ブツシユ端面およびリンク内周面(H)に弾性力により押し付けられ,それぞれシール面(s_(1)),(s_(2))を構成する。」(明細書4頁19行?5頁8行参照)
〔う〕「次いて潤滑油をピン(4)に設けた通路(4a)より注入して,給油口(4b),シールピース(6)に設けた切欠溝(6a)を介し,シール部材(7)の内側に充填する。また充填が終れば通路(4a)の端部を栓(5)により閉じる。こうしてシール装置の取付けを完了する。このように構成したシール装置により,シールピース(6)が端面(C)でスラスト力(矢印で示す)を受けシール部(7)は弾性力およびシールピース(6)に設けた溝(6a)により,ピン(4)の通路(4a)を通して給油された圧力の力で押されて,適切なシール面(s_(1)),(s_(2))を構成することによりシールを行なう。従来のように,シールとスラストを受けもつシール機構として欠点のあつたシール面に過大な力がかからず,シール面の耐摩耗性を増し,シール効果を向上せしめる。またシール機構はシールピース(6)がピン(4)に圧入され固定されるため不安定な働きが生じず,シ-ル効果を上げる。」(明細書5頁9行?6頁6行参照)

特に、上記〔い〕の、「組み立て」状態についての「その時にはシール部(7)は第6図(2),第4図に示すように変形し,ブツシユ端面およびリンク内周面(H)に弾性力により押し付けられ,それぞれシール面(s_(1)),(s_(2))を構成する。」との記載事項は、第4図及び第6図(2)を参照すると、「シール面(s_(1))」において「スライドピース(8)」が「ブツシユ(3)」の端面と接触し、「シール面(s_(2))」において「スライドピース(8)」及び「シール部(7)」の先端部分が「リンク内周面(H)」に接触していることを、示していると認められる。このように、前記スライドピース(8)は、リンクの一端部(1)のリンク内周面(H)及び該ブツシユ(3)の端面と協働可能であると認められる。また、第4図及び第6図(2)を参照すると、スライドピース(8)は、彎曲した断面形状をなし、少なくとも前記シール面(s_(1))とシール面(s_(2))との間の部分は、組み立て状態でブツシユ(3)の端面及びリンク内周面(H)と非接触状態にあり、なお、給油された状態では、上記〔う〕に、シール部(7)が給油された圧力の力で押されることが記載されていると認められる。
したがって、引用刊行物には、
“リンクの一端部(1)及びブツシユ(3)の間の間隙を封止する無限軌道帯用ダストシ-ル装置であって、ゴム、樹脂などの弾性体からなる断面三日月形状のシール部材(7)及び耐摩耗度、耐強度に優れた金属材質からなるスライドピース(8)から成るシールを有し、前記スライドピース(8)は、前記シール部材(7)の外周面に貼り付けまたは溶着されて彎曲した断面形状をなし、該リンクの一端部(1)のリンク内周面(H)及び該ブツシユ(3)の端面と協働可能な二つの部分を有して、前記ブツシユ(3)の端面に面する第一の部分がブツシユ(3)の端面に当接してシール面(s_(1))を構成し、前記リンク内周面(H)に面する第二の部分がリンク内周面(H)に当接してシール面(s_(2))を構成し、該スライドピース(8)は、前記シール面(s_(1))とシール面(s_(2))との間の部分がブツシユ(3)の端面及びリンク内周面(H)と非接触な組み立ての状態から、給油された圧力によってブツシユ(3)の端面及びリンク内周面(H)に押圧でき、該シール部材(7)は該リンクの一端部(1)のリンク内周面(H)に封止的に押圧でき、シール面(s_(1))とシール面(s_(2))との間の部分の彎曲した断面形状は、給油された圧力に応答して彎曲の曲率が増大する無限軌道帯用ダストシ-ル装置”
の発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
(1)上記引用刊行物に記載された発明の「無限軌道帯用ダストシ-ル装置」における「リンクの一端部(1)」及び「ブツシユ(3)」は、給油される油に対して「ハウジング」の機能をもつものと認められ、また、該「無限軌道帯用ダストシ-ル装置」は、「ハウジング」内への泥水等の異物の侵入を防止するものであるから、「封止装置」ということができる。
そこで、本願補正発明と上記引用刊行物に記載された発明とを対比すると、後者の「リンクの一端部(1)及びブツシユ(3)」が前者の「2つのコンポーネント(15,16;30,31)」に相当し、以下同様に、後者の「リンクの一端部(1)のリンク内周面(H)」が前者の「一方のコンポーネント(16;31)の第1の封止表面(17)」に、後者の「ブツシユ(3)の端面」が前者の「他方のコンポーネント(15;30)の第2の封止表面(18)」に、後者の「スライドピース(8)」が前者の「第1の封止コンポーネント(2;22)」に、後者の「シール部材(7)」が前者の「第2の封止コンポーネント(3;23)」に、それぞれ相当すると認められる。
また、後者の「スライドピース(8)」の「リンク内周面(H)に面する第二の部分」は、前者の「第1の封止表面(17)に面する当接面(6;26)」に対応し、後者の「スライドピース(8)」の「ブツシユ(3)の端面に面する第一の部分」は、前者の「他方のコンポーネント(15;30)の第2の封止表面(18)に当接する接触面(7;29)」に対応し、後者の「スライドピース(8)は、前記シール面(s_(1))とシール面(s_(2))との間の部分がリンク内周面(H)と非接触な組み立ての状態から、給油された圧力によってブツシユ(3)の端面及びリンク内周面(H)に押圧でき」るものであることは、前者の「当接面(6;26)が一方のコンポーネント(16;31)と非接触な状態から、ハウジング間隙を閉じるシステム圧力によって該コンポーネント(15,16;30,31)の封止表面(17,18)に押圧でき」ることに対応する。
更に、後者は、「スライドピース(8)」が、「耐摩耗度、耐強度に優れた金属材質から」なり、「ブツシユ(3)」と「リンク内周面(H)」との間隙から押し出されるとは認められないから、「第1の封止コンポーネント(スライドピース(8))」は「耐押出性」のものと認められる。
したがって、両者は、
「2つのコンポーネントの間のハウジング間隙を封止する封止装置であって、2つの連結された封止コンポーネントから成るシールを有し、第1の耐押出性の変形可能な封止コンポーネントは、一方のコンポーネントの第1の封止表面に面する当接面と、他方のコンポーネントの第2の封止表面に当接する接触面と、該第1の封止表面と協働可能な第1の部分と、該第2の封止表面と協働可能な第2の部分とを有し、該第1の封止コンポーネント(2;22)が第2の封止コンポーネント(3;23)に当接し、該第1の封止コンポーネントは、該当接面が一方のコンポーネントと非接触な状態から、ハウジング間隙を閉じるシステム圧力によって該コンポーネントの封止表面に押圧でき、該第2の封止コンポーネントは該封止表面に封止的に押圧できる、封止装置」
で一致し、次の点で相違すると認められる。
[相違点A]
本願補正発明は、「該第1の封止コンポーネント(2;22)が当接する、もっと大きく変形できる第2の封止コンポーネント(3;23)は該当接面(6;26)を超えて突出する縁部(8;24)を有し」ているのに対して、上記引用刊行物に記載された発明は、「第2の封止コンポーネント」がこのようなものか否か不明である点
[相違点B]
本願補正発明は、上記第1の封止表面と協働可能な「第1の部分」と第2の封止表面と協働可能な「第2の部分」とが、それぞれ、「第1の脚(4)」、「第2の脚(5)」であって、「該第1の脚(4)及び該第2の脚(5)はある角度を張り、該脚(4,5)間の角度はシステム圧力に応答して減少する」のに対して、上記引用刊行物に記載された発明における「第1の封止コンポーネント(スライドピース(8))」は、断面三日月形状のシール部材(7)外周面に貼り付けまたは溶着されて、彎曲した断面形状をなしていて、角度を張る「第1の脚(4)」及び「第2の脚(5)」に明確には区分できない点

(2)次に、上記相違点について検討する。
(2-1)相違点Aについて
上記引用刊行物に記載された発明では、「第1の封止コンポーネント(スライドピース(8))」が「耐摩耗度、耐強度に優れた金属材質から」なり、「第2の封止コンポーネント(シール部材(7))」が「ゴム、樹脂などの弾性体から」なっているから、「第2の封止コンポーネント」は、第1の封止コンポーネントより「もっと大きく変形できる」ものと認められる。
また、相違点Aのうち「該当接面(6;26)を超えて突出する縁部(8;24)」の突出方向は必ずしも明らかではないが、その文言及び図面の記載からみて、第1の封止コンポーネントの第1の脚の先端に向かう方向と理解される。
そして、上記引用刊行物に記載された発明では前述のとおり、「シール面(s_(2))」において「スライドピース(8)」及び「シール部(7)」の先端部分がリンク内周面(H)に接触していると認められるから、第2の封止コンポーネント(「シール部(7)」)の先端部分は、「第1の封止コンポーネント(スライドピース(8))」の先端を超えて突出していると認められる。したがって、上記引用刊行物に記載された発明も「第2の封止コンポーネント(3;23)は該当接面(6;26)を超えて突出する縁部(8;24)を有し」ているということができる。
そうすると、この相違点は、実質的には相違点と認められない。

(2-2)相違点Bについて
上記引用刊行物に記載された発明では、前述のとおり、「第1の封止コンポーネント(スライドピース(8))」は、「彎曲した断面形状」をなしているから角度を張る脚に明確には区分できないが、上記引用刊行物に記載された発明も、「スライドピース(8)」の「ブツシユ(3)の端面に面する第一の部分」及び「リンク内周面(H)に面する第二の部分」の二つの部分が、給油された圧力によってそれぞれブツシユ(3)の端面及びリンク内周面(H)に押圧され、シール面(s_(1))とシール面(s_(2))との間の彎曲した断面形状の部分の曲率が増大するものであるから、連続的に曲がる彎曲した形状を、1点で曲がり角度を張る二つの脚をもつ形状とすることは、当業者が適宜選択し得る単なる構成の変更に過ぎず、上記「第1の部分」と「第2の部分」を、それぞれ、「第1の脚(4)」、「第2の脚(5)」とし、「該第1の脚(4)及び該第2の脚(5)はある角度を張り、該脚(4,5)間の角度はシステム圧力に応答して減少する」ものとすることは、上記引用刊行物に記載された発明の構成に基づいて当業者が容易に想到し得るとするのが相当である。

(3)このように、本願補正発明を特定する事項は、上記引用刊行物に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。

(4)請求人の主張について
(4-1)請求人は、審判請求書の手続補正書において、引用刊行物に記載された発明について、
i)「スライドピース(8)は、鈍角をなすものから、シール面(s_(1))、(s_(2))のなす角度である直角に近づき、システム圧力に応答して2つの脚の間の角度が減少するに過ぎず、給油の圧力を受ける前から既にシール面(s_(2))に接触しており、シール面(s_(2))と非接触な状態から、給油の圧力を受けることによってシール面(s_(1))、(s_(2))を押圧するものではない。」
ii)「『一方のコンポーネント(16;31)を傷つけることなく、ハウジング間隙に沿って支持され、ハウジング間隙を閉じて封止コンポーネントがハウジング間隙に押し出されるのを防止することができる』という請求項1に係る発明の効果を奏することはできない。」
旨主張する。

(4-2)しかしながら、
i)本願補正発明における「当接面(6;26)が一方のコンポーネント(16;31)と非接触な状態」は、明細書の段落【0012】に「当接面6による当接は組立の際にコンポーネント3に加わる圧力に応答して発生し存在するシステム圧力によって増大する。」との記載があるのに対して、他に発明の詳細な説明に「非接触な状態」についての説明は存在しないことから、「当接面(6;26)」の端部が第1の封止表面(17)に当接する状態までも除外しているとは認めることはできないので、引用刊行物に記載された発明の「スライドピース(8)」の「シール面(s_(1))とシール面(s_(2))との間の部分がリンク内周面(H)と非接触な組み立ての状態」も「当接面(6;26)が一方のコンポーネント(16;31)と非接触な状態」と認められる。
ii)前述のとおり、本願補正発明の「当接面(6;26)が一方のコンポーネント(16;31)と非接触な状態」とは、「当接面(6;26)」の端部が第1の封止表面(17)に当接する状態までも除外しているとは認めることはできず、また、請求人が主張する「一方のコンポーネント(16;31)を傷つけることなく」との作用効果は、本願明細書に記載されていない。
このように、請求人が主張する「一方のコンポーネント(16;31)を傷つけることなく」との作用効果は、本願補正発明に特有の作用効果とは認めることはできない。
iii)したがって、請求人の上記主張は、「本願補正発明を特定する事項は、上記引用刊行物に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得る」とした先の判断を覆す根拠とはならない。

(5)したがって、本願補正発明は、上記引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成15年法律第47号による改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合しないものであり、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【三】本願発明について
1.本願発明
平成18年4月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成17年10月25日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 2つのコンポーネント(15,16;30,31)の間のハウジング間隙を封止する封止装置(14;32)であって、2つの連結された封止コンポーネント(2,3;22,23)から成るシール(1,21)を有し、第1の耐押出性の変形可能な封止コンポーネント(2;22)は、一方のコンポーネント(16;31)の第1の封止表面(17)に面する当接面(6;26)と、他方のコンポーネント(15;30)の第2の封止表面(18)に当接する接触面(7;29)と、該第1の封止表面(17)と協働可能な第1の脚(4)と、該第2の封止表面(18)と協働可能な第2の脚(5)とを有し、該第1の封止コンポーネント(2;22)が当接する、もっと大きく変形できる第2の封止コンポーネント(3;23)は該当接面(6;26)を超えて突出するエッジ(8;24)を有し、該第1の封止コンポーネント(2;22)はハウジング間隙を閉じるシステム圧力によって該コンポーネント(15,16;30,31)の封止表面(17,18)に押圧でき、該第2の封止コンポーネント(3;23)は該封止表面(17,18)に封止的に押圧でき、該第1の脚(4)及び該第2の脚(5)はある角度を張り、該脚(4,5)間の角度はシステム圧力に応答して減少することを特徴とする封止装置。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である「実願昭52-78942号(実開昭54-6740号)のマイクロフィルム」(以下同様に「引用刊行物」という。)には、前記「【二】平成18年4月26日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.引用例」に記載したとおりの事項が記載されているものと認める。

3.対比・判断
本願発明は、前記「【二】平成18年4月26日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.対比・判断」で検討した本願補正発明から、「当接面(6;26)」が「コンポーネント(15,16;30,31)の封止表面(17,18)に押圧でき」ることについての「該当接面(6;26)が一方のコンポーネント(16;31)と非接触な状態から」との事項を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明を特定する事項のすべてを含み、さらに他の発明を特定する事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「【二】平成18年4月26日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.対比・判断」に記載したとおり、上記引用刊行物に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記引用刊行物に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、上記引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-30 
結審通知日 2007-09-04 
審決日 2007-09-25 
出願番号 特願2001-581008(P2001-581008)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16J)
P 1 8・ 575- Z (F16J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 熊倉 強  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 水野 治彦
町田 隆志
発明の名称 封止装置  
代理人 後藤 夏紀  
代理人 別役 重尚  
代理人 池田 浩  
代理人 村松 聡  
代理人 二宮 浩康  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ