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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20051624 審決 特許
不服200414034 審決 特許
不服200421574 審決 特許
不服200624601 審決 特許
不服20051681 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1172197
審判番号 不服2005-3447  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-28 
確定日 2008-02-06 
事件の表示 特願2000-525110「オピオイド作動薬/拮抗薬の併用」拒絶査定不服審判事件〔平成11年7月1日国際公開、WO99/32119、平成13年12月18日国内公表、特表2001-526228〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成10年12月22日(パリ条約による優先権主張1997年12月22日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成16年3月9日付けで特許請求の範囲について補正され、同年11月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成17年2月28日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、同年3月30日付けで特許請求の範囲について補正がされたものである。

2.平成17年3月30日付け手続補正についての補正却下の決定

平成17年3月30日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

【理由】
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1、5は、以下のとおりに補正された。

【請求項1】(本件補正後)
経口的に鎮痛薬として有効な量のオピオイド作動薬と、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容しうる塩とを含有する経口投薬剤形であって、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容しうる塩対オピオイド作動薬の比が、この組合せを経口的に投与したときには鎮痛薬として有効であるが、オピオイド作動薬を鎮痛薬として有効な量と同量でまたはそれより多量に投与したときには身体依存性被験者に嫌われる組合せ製剤を提供することを特徴とする、上記の経口投薬剤形。

【請求項5】(本件補正後)
オピオイド作動薬がヒドロコドンであり、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比が0.03:1?0.27:1である、請求項1?4のいずれか1項記載の経口投薬剤形。

これに対して、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、5は次のとおりのものである。

【請求項1】(本件補正前)
経口的に鎮痛薬として有効な量のオピオイド作動薬と、オピオイド拮抗薬とを含有する経口投薬剤形であって、オピオイド拮抗薬対オピオイド作動薬の比が、この組合せを経口的に投与したときには鎮痛薬として有効であるが、オピオイド作動薬を鎮痛薬として有効な量と同量でまたはそれより多量に投与したときには身体依存性被験者に嫌われる組合せ製剤を提供することを特徴とする、上記の経口投薬剤形。

【請求項5】(本件補正前)
オピオイド作動薬がヒドロコドンで、オピオイド拮抗薬がナルトレキソンであり、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比が0.03:1?0.27:1である、請求項1?4のいずれか1項記載の経口投薬剤形。

本件補正は、少なくとも、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「オピオイド拮抗薬」を「ナルトレキソンまたはその薬学的に許容しうる塩」に限定し、これと整合させるために補正前の請求項5における「オピオイド拮抗薬がナルトレキソンであり」を削除することを含むものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1を引用する請求項5に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

なお、本願補正発明は、補正後の請求項5に記載される「ヒドロコドン」、「ナルトレキソン」が、同請求項1の「オピオイド作動薬」、「ナルトレキソンまたはその薬学的に許容しうる塩」にそれぞれ対応し、同請求項5の「オピオイド作動薬がヒドロコドンであり、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比が0.03:1?0.27:1」が、同請求項1の「経口的に投与したときには鎮痛薬として有効であるが、オピオイド作動薬を鎮痛薬として有効な量と同量でまたはそれより多量に投与したときには身体依存性被験者に嫌われる組合せ」の好ましい値であることから、以下の通りに読み替えることができる。

「経口的に鎮痛薬として有効な量のヒドロコドンと、ナルトレキソンとを含有する経口投薬剤形であって、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比が、0.03:1?0.27:1である組合せ製剤を提供することを特徴とする、上記の経口投薬剤形。」

(2)引用刊行物の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用され本願優先日前に頒布されたことが明らかな国際公開第97/33566号パンフレット(以下、「引用例A」という。)には、以下のとおりの記載がある。
なお、以下のア?オとして示す摘記事項は、引用例A(英文)の該当箇所の翻訳文である。

ア.「以下を含む投薬剤形:
(1)半透過性組成物を含む壁部、と壁部が囲む:
(2)以下を含む二層核:
(a)鎮痛オピオイドを含む第1層
(b)第1層と接触し、・・・ここで、第2層はナルトレキソン、ナロキソン・・・からなる群から選ばれる0.75?10重量%の拮抗剤を含むことを特徴とする第2層、
(3)投薬剤形から鎮痛オピオイドを放出するための出口」
(クレーム1)

イ.
「ナルトレキソン、ナルメフェン・・・の群から選ばれる剤によってナロキソンが置換され、組成物が圧縮され錠剤とされた・・・」(クレーム15)

ウ.
鎮痛オピオイドとしてヒドロコドン、拮抗剤としてナロキソンを用いた二層錠剤の投薬剤形が記載されている(例1)

エ.
「第1組成物或いはオピオイド組成物中のオピオイドの投薬量は75ng?750mgである。・・・第2組成物或いは拮抗組成物中に存在する拮抗剤は、第1組成物に存在するオピオイドの効果を小さくする及び/又は弱めるに十分な量である。拮抗剤は第1組成物或いはオピオイド組成物から分離した第2組成物或いは拮抗組成物中で10ng?250mg或いは0.75?10重量%で存在する」
(3頁12行?18行)

オ.
「この発明の投薬剤形は以下の有意性を持つ:(1)治療性の鎮痛オピオイドの効果が本質的に一定である;・・・(3)オピオイドを含む投与剤形の誤用或いは濫用の可能性を減少する;・・・(5)過剰摂取の危険や結果として生じる毒性反応を軽減する;・・・(9)オピオイド耽溺の治療を改良する。」(15頁7行?19行)

(3)対比・判断

引用例Aには、「鎮痛オピオイドを含む第1層、拮抗剤を含む第2層を含有する投薬剤形」(摘記ア)及び「鎮痛オピオイドとしてヒドロコドン、拮抗剤としてナロキソンを用いた二層錠剤」(摘記ウ)が記載されている。
以上の記載事項によると、引用例Aには、「鎮痛オピオイドとしてのヒドロコドンを含む第1層と拮抗剤としてのナロキソンを含む第2層とを含有する錠剤の投薬剤形」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
そこで、本願補正発明(前者)と引用発明(後者)を対比すると、後者の「錠剤の投薬剤形」は前者の「経口投薬剤形」に相当し、後者の「ナロキソン」と前者の「ナルトレキソン」は共に「オピオイド拮抗剤」であるから、両者は「経口的に鎮痛薬として有効な量のヒドロコドンと、オピオイド拮抗剤とを含有する経口投薬剤形」である点で一致し、前者がオピオイド拮抗剤として「ナルトレキソン」を用い、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比を「0.03:1?0.27:1」と規定しているのに対し、後者が「ナロキソン」を用い、ヒドロコドンとオピオイド拮抗剤との配合比を特段規定していない点で相違している。

この相違点について検討するに、引用例Aでは、ナルトレキソンがナロキソンと同列に位置づけられ置き換えが可能である旨記載されており(摘記イ)、オピオイド拮抗剤の投薬量として10ng?250mg、オピオイドの投薬量として75ng?750mgが例示されている(摘記エ)。
そして、引用発明の投薬剤形は、一定の鎮痛効果を与え、投与剤形の誤用、濫用を減少し、過剰摂取の危険を軽減できる等の効果を具備するものであるから(摘記オ)、引用発明においてナロキソンに代えてナルトレキソンを採用するとともに、引用例Aで示唆される配合比であるオピオイド拮抗剤:オピオイド=10ng:75ng(1:7.5=0.13:1)、250mg:750mg(1:3=0.33:1)等(摘記エ)を参考にしながら、ヒドロコドンとナルトレキソンの組合せにおいて上記効果が良好に奏される配合比を選択し、例えば「0.03:1?0.27:1」という配合比に至ることは当業者が容易になし得ることである。
また、ナルトレキソンを含めたオピオイド拮抗剤が、オピオイドの効果(毒性反応等)を弱める作用を持つこと(摘記オ)或いは身体依存性被験者に少量のオピオイド拮抗剤を与えた場合、禁断症状を惹起することは医薬品分野で広く知られることであるから(笹征史等著「MINOR TEXTBOOK 薬理学」、金芳堂、1992年、112頁?113頁、及び金戸洋等編「薬理学」、廣川書店、平成4年、70頁?71頁等を参照のこと。なお、本願明細書の段落【0010】にも同趣旨の記載がされている。)、ナルトレキソンが身体依存性被験者に投与された場合(ヒドロコドン30mgに対し、ナルトレキソンが1mg、2mg、4mg、8mgで投与された場合等)、オピオイド(ヒドロコドン)の効果を感じなくなったり、好ましくないと感じたり、禁断症状を経験すること等は、当業者が容易に予測し得るものと認められる。
よって、本願明細書で具体的に示される効果も格別と評価することはできない。

そうすると、本願補正発明は、引用例Aに記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび

以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について

平成17年3月30日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?21に係る発明は、平成16年3月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?21に記載された事項により特定される通りのものであるところ、その請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

【請求項5】
オピオイド作動薬がヒドロコドンで、オピオイド拮抗薬がナルトレキソンであり、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比が0.03:1?0.27:1である、請求項1?4のいずれか1項記載の経口投薬剤形。

なお、請求項5で引用する請求項1に記載の経口投薬剤形は、以下のものである。

【請求項1】
経口的に鎮痛薬として有効な量のオピオイド作動薬と、オピオイド拮抗薬とを含有する経口投薬剤形であって、オピオイド拮抗薬対オピオイド作動薬の比が、この組合せを経口的に投与したときには鎮痛薬として有効であるが、オピオイド作動薬を鎮痛薬として有効な量と同量でまたはそれより多量に投与したときには身体依存性被験者に嫌われる組合せ製剤を提供することを特徴とする、上記の経口投薬剤形。

なお、本願発明は、請求項5に記載される「ヒドロコドン」、「ナルトレキソン」が、請求項1の「オピオイド作動薬」、「オピオイド拮抗剤」に対応し、請求項5の「オピオイド作動薬がヒドロコドンであり、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比が0.03:1?0.27:1」が、請求項1の「経口的に投与したときには鎮痛薬として有効であるが、オピオイド作動薬を鎮痛薬として有効な量と同量でまたはそれより多量に投与したときには身体依存性被験者に嫌われる組合せ」の好ましい値であることから、以下の通りに読み替えることができる。

「経口的に鎮痛薬として有効な量のヒドロコドンと、ナルトレキソンとを含有する経口投薬剤形であって、ナルトレキソン対ヒドロコドンの比が、0.03:1?0.27:1である組合せ製剤を提供することを特徴とする、上記の経口投薬剤形。」

(1)引用刊行物の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、及びその記載事項は、2.(2)に記載したとおりである。

(2)対比・判断

本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明そのものであるから、前記2.(3)に記載した本願補正発明と同様の理由により、引用例Aに記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-06 
結審通知日 2007-09-11 
審決日 2007-09-25 
出願番号 特願2000-525110(P2000-525110)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小堀 麻子  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 弘實 謙二
福井 悟
発明の名称 オピオイド作動薬/拮抗薬の併用  
代理人 片山 英二  
代理人 小林 純子  
代理人 小林 浩  
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