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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) E01C
管理番号 1172383
判定請求番号 判定2007-600061  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2008-03-28 
種別 判定 
判定請求日 2007-08-23 
確定日 2008-01-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第2623491号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びイ号説明書に示す「切削オーバーレイ工法」は、特許第2623491号発明の技術的範囲に属さない。 
理由 第1 請求の趣旨
本件判定請求人である株式会社ハネックス・ロードは、判定請求書のイ号図面及びイ号説明書に示す「切削オーバーレイ工法」(以下「イ号工法」という)が、特許第2623491号の発明の技術的範囲に属するとの判定を求めるものである。

第2 本件特許発明
本件特許第2623491号の発明(以下、「本件特許発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、これを構成要件に分説すると次のとおりである。
A マンホール枠を含む舗装の切削オーバーレイ工法において、
B (a)マンホール枠周囲の舗装が筒状に切断されると共に切断舗装版及びマンホール枠が撤去される工程、
C (b)マンホール基壁上に支持蓋が仮設されると共に支持蓋の周囲の空胴部に舗装材が打設される工程、
D (c)舗装表面がマンホール基壁上の舗装材表面も含めて切削されると共に切削面にオーバーレイが施工される工程、
E (d)マンホール枠の設置予定域周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断されると共に切断舗装版及び支持蓋が撤去される工程、
F (e)マンホール基壁上にマンホール枠の据え付け基礎が構築されると共に据え付け基礎上にマンホール枠がその上面をオーバーレイ表面の高さに合わせて設置される工程、及び
G (f)マンホール枠周囲の空洞部に舗装材がオーバーレイ表面の高さまで打設される工程からなる
H 切削オーバーレイ工法。

第3 イ号工法
請求人が提出した判定請求書中の「イ号工法の技術的構成」、判定請求書に添付して提出したイ号図面及びイ号説明書(別添参照)によれば、イ号工法は、次のとおり特定される。
【イ号工法】
(A)マンホール蓋及び枠を含む道路の切削オーバーレイ工法であって、既存舗装路面の傷んだ表層部を切削した後の路面を補強補修する工法であり、
(B-1)マンホール蓋(1a)及び枠(1)の中心位置から測定した非施工個所の最寄の場所に、予め目印となる基準線及び基準点を設けて、オーバーレイ工事後、路面下に隠れたマンホール蓋及び枠の中心位置を該路面上に特定可能にマーキングしておく工程、
(B-2)マンホール蓋(1a)及び枠(1)の中心位置に球面椀型カッターの芯出しジグを設置し、この球面椀型カッターを用いて所定の切断円直径でマンホール枠周囲に360度回転させて舗装に表層部分から平面円形、断面円弧状となる球面状に切込み(CL1)を入れ、路盤(2)を御椀型類似形状に切断する工程、
(B-3)マンホール蓋(1a)を外し、マンホール枠(1)内側下部に吊り上げのための支持手段(5)をセットし、マンホール枠(1)と下桝躯体(3)とが締結されているか否かの確認後、両者を分離する工程、
(B-4)マンホール枠(1)と共に御椀型類似形状の切断路盤(4)を前記支持手段(5)を介して吊り上げ撤去する工程、
(C)前記工程の撤去により形成された御椀型類似形状の空洞部(S1)において、下桝躯体(3)の上方に離間して中心部に吊りボルト用雌ネジ部(6a)を有する中当て体を形成する養生板(6)を前記空洞部(S1)の内部に嵌設して下桝躯体(3)の上方を塞ぐように覆設し、その上に油紙等の剥離材(l4)を敷設して養生板(6)の上方空所に舗装材(7)を充填する工程、
(D-1)次いで、前記舗装材(7)も含めて所定工事範囲で路盤(2)の表層部分を切削する工程、
(D-2)切削した後の路面(8)を新舗装材(9)を用いてオーバーレイ補修施工を実施する工程、
(E)先に目印となる場所にマーキングしておいた基準線及び基準点からマンホール枠の中心位置をオーバーレイ工事後の路面上に割り出し、この割り出した位置を中心に前記工程(B-2)における切断円とほぼ同じ径で埋設状態の養生板(6)の深さ位置まで平面円形、断面円弧状となる球面状に切込み(CL2)を入れ、中心に吊りボルト挿入用の所定径の穴(Hc)を穿ち、吊りボルト(15)を穴の内部に挿入して養生板(6)の吊りボルト用雌ネジ部(6a)に係合螺着して吊り上げ、養生板(6)ごと切断路盤(10)を引き抜き撤去する工程、
(F)下桝躯体(3)の上縁部(3a)の所定位置に係合する高さ調整機能を有するアンカーボルト(11A)を打ち込むと共にマンホール枠(1)を設置し、該マンホール枠(1)をオーバーレイ工事後の路面に合せて高さ調整した後、
(G)マンホール枠(1)と下桝躯体(3)の上縁部(3a)との隙間を塞ぐための内型枠(16)を仮設し、内型枠(16)の外周隙間部分と周囲の空洞部(S2)に舗装材(12a)を打設し、表層部分をオーバーレイされた新舗装材(9)の表面高さまで表層材(12b)で舗装施工し、施工終了後、前記内型枠(16)を撤去して終了する工程から成る
(H)切削オーバーレイ工法。

第4 当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、判定請求書において、概略次の理由によりイ号工法は、本件特許発明の技術的範囲に属する旨主張している。
(1)イ号工法の構成(A)は、本件特許発明の構成要件Aを充足する。
(2)イ号工法は、構成(B-2)において、マンホール枠(1)の周囲の舗装に対して表層部分から平面円形、断面円弧状となる球面状に切込み(CL1)を入れ、路盤(2)を御椀型類似形状に切断し、技術的構成(B-4)において、マンホール枠(1)と共に切断路盤(4)を前記支持手段(5)を介して吊り上げ撤去するものであるから、本件特許発明の構成要件Bを充足することが明らかである。なお、本件特許の請求項1は、「筒状に切断」と記載しており、「円筒状」とは記載していないから、イ号工法のような「平面円形、断面円弧状となる球面状に切断」を除外すべき根拠はない。
また、イ号工法の構成(B-3)は撤去作業に伴って当然に想定される付随作業に過ぎない。
(3)イ号工法の構成(C)の養生板(6)は、「仮設」されたものであり、下桝躯体(3)(マンホール基壁)の上方を塞ぐものであるから「蓋」であり、この状態で、舗装材(7)が養生板(6)の上方から、「周囲の空洞部に打設」されるものであるから、本件特許発明の構成要件Cを充足する。
本件特許発明の構成要件Cの「マンホール基壁上に支持蓋が仮設される」は、基壁の上面に「直接に当接するように」仮設されるとは記載していないから、イ号工法のような、下桝躯体(3)の上方に離間させた養生板であっても、本件特許発明から除外されない。
(4)イ号工法の構成(D-1)は、本件特許発明の構成要件Dのうち「舗装表面がマンホール基壁上の舗装材表面も含めて切削される」に該当し、構成(D-2)は、本件特許発明の構成要件Dのうち「切削面にオーバーレイが施工される」に該当するから、イ号工法の構成(D-1)、(D-2)は、本件特許発明の構成要件Dを充足する。
(5)イ号工法の構成(E)は、本件特許発明の構成要件Eを充足する。
(6)イ号工法の構成(F)、(G)および(H)は、本件特許発明の構成要件F、GおよびHを充足する。
(7)したがって、イ号工法は本件特許発明の技術的範囲に属する。

2.被請求人の主張
被請求人は、判定事件答弁書において、イ号工法は、本件特許発明の技術的範囲に属さない旨主張し、その理由を次のように主張している。
(1)イ号工法の構成(B-1)は、イ号工法において必要不可欠であるのに対し、本件特許発明はかかる工程を不要としているから、イ号工法と本件特許発明はマンホール蓋枠及び中心位置の検出手段が異なる。
(2)イ号工法の構成(B-2)において、球面椀型カッターの回転中心をマンホール蓋及び枠の中心位置に芯出し、ジグを設置して360度回転させて、平面円形、断面円弧状の球面状に切込みを入れ、路壁を御椀型類似形状に切断する工程を有することは、本件特許発明には開示されていない。
(3)イ号工法の構成(C)における、仮止めの際の御椀型類似形状の空洞部において、マンホール基礎上に支持蓋を配置することなく、下桝躯体の上方に離開して中心部に吊りボルト用雌ネジ部を有する中当体を形成する養生板を配し、この養生板の表面に剥離材を充填する工程は、本件特許発明の構成要件Cにおける、マンホール基礎上に支持蓋を配置し、空洞部全域に舗装材を設ける工程とは異なる。
(4)イ号工法の構成(B-3)において、吊り上げのための支持手段のセットとマンホール枠と下桝躯体とが締結されているか否かの確認後、分離作業を行う工程及び構成(E)において、切断加工後、マンホール蓋の中心箇所に吊りボルト用雌ネジ部に係合螺着して吊り上げて、中当て体ごと切断路盤を引き抜き撤去する工程は、本件特許発明には見出されないイ号工法特有の工法である。
(5)本件特許発明の構成要件B、Eに関して、本件特許発明の「筒状」の概念にはイ号工法の「平面円形断面円弧状」の構成を包含させるべき根拠はない。

第5 対比・判断
請求人は、イ号工法を被請求人が現実に実施しているかどうか不知であるとしているところ、被請求人も、イ号工法を実施ないし実施を予定していることについて実証していないが、判定制度の趣旨に鑑み、イ号工法が実施された場合を仮定して、以下判断する。

本件特許発明とイ号工法とを対比する。
(1)イ号工法の構成(A)は、本件特許発明の構成要件Aを充足している。

(2)イ号工法の構成(B-1)ないし(B-4)と、本件特許発明の構成要件Bを対比する。
本件特許発明の構成要件Bは、「マンホール枠周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断される工程」と「切断舗装版及びマンホール枠が撤去される工程」からなる。
本件特許明細書には、構成要件Bの「筒状に切断」について次のように記載されている。
「前記工程(a)において、マンホール枠周囲の舗装を四角形に切断する旧来の舗装工法、或は特公昭61-25844号公報や特公昭61-33938号公報に開示されるように、マンホール枠周囲の舗装を円形状に切断する改良された舗装工法等における前段の工程に従って、マンホール枠周囲の舗装の筒状切断及び切断舗装版及びマンホール枠の撤去が行われる。」(段落【0005】)、
「マンホール枠周囲或はマンホール枠の設置予定域周囲の舗装の切断等に際して、切断手段に特別の制限はない。円筒状切断の場合に、例えば特公昭61-52283号公報に開示されるような円筒状ビットを備えた路面円形切断機を好適に利用でき、またオーバーレイ上から切断中心を特定するために金属探知機等の公知の探知手段を使用して内部の支持蓋の位置を確認してもよい。マンホール枠周囲の切断舗装版は、ブレーカーを使用する破砕により撤去されてもよいが、作業性の向上や騒音振動の防止等の観点から特公昭61-33938号公報に開示されるようにマンホール枠に付着したままで撤去されることが好ましい。切断舗装版及びマンホール枠を一体的に撤去するために、例えば実開昭59-156942号公報や実開昭59-193679号公報に開示されるように、マンホール枠とマンホール基壁との間にマンホール枠内部から放射状に拡縮するくさび体やアームを挿入するようにしたマンホール枠引き上げ機やマンホール枠剥離機等を必要に応じて利用できる。」(段落【0006】)。
これらの記載によれば、構成要件Bの「筒状に切断」することの技術的意義は、マンホール枠とその周囲の舗装版の撤去を容易にするためであり、舗装版の撤去手段については、ブレーカーを使用する破砕により撤去しても、切断舗装版及びマンホール枠を一体的に撤去してもよいとされており、特段限定されていないから、筒の側面形状が正確に垂直であることを要しないことは明らかである。
また、本件特許明細書には上記のとおり、切断手段に特段の制限はないことが記載されており、例示された特公昭61-25844号公報(被請求人の提出した乙第1号証)、特公昭61-33938号公報(同乙第2号証)には、円盤状切断機を傾斜させて切断する工法も開示されている(乙第1号証の特許請求の範囲第2項、2頁3欄39?42行参照。乙第2号証の3頁6欄14?21行参照)。
そうすると、構成要件Bの「筒状に切断」とは、マンホール枠周囲を、角形、円形等の任意の平面形状で、マンホール枠を撤去できる深さまで切断することを意味しており、側面を正確に垂直に切断するものに限らないといえる。
他方、イ号工法は、(B-2)中の「球面椀型カッターを用いて所定の切断円直径でマンホール枠周囲に360度回転させて舗装に表層部分から平面円形、断面円弧状となる球面状に切込み(CL1)を入れ、路盤(2)を御椀型類似形状に切断する」ことにより、路盤が切断されるものであり、構成(B-4)の「マンホール枠(1)と共に御椀型類似形状の切断路盤(4)を前記支持手段(5)を介して吊り上げ撤去する」により、切断後の路盤(4)はマンホール枠(1)と共に吊り上げ撤去されるから、カッターによる切込み(CL)がマンホール枠を撤去できる深さまで達していることは明らかである。
また、構成(B-3)の「マンホール枠(1)と下桝躯体(3)とが締結されているか否かの確認後、両者を分離する」により、マンホール枠(1)と下桝躯体(3)とを分離しているから、構成(B-2)における「切込み(CL)」はマンホール枠周囲の路盤のみであって、御椀の底にあたるマンホール枠(1)又は下桝躯体(6)までが球面状に切断されるものでないことは明らかであり、構成(B-2)の「御椀型類似形状に切断」とは、平面円形で、舗装表面からマンホール枠を撤去できる深さまでの断面円弧状の側面を有する筒状に切断するものといえる。
そうすると、イ号工法の構成(B-2)は、本件特許発明の構成要件Bの「マンホール枠周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断される工程」を充足している。
また、イ号工法の構成(B-3)及び(B-4)は、マンホール枠(1)と切断路盤(4)を吊り上げ撤去する工程であるから、本件特許発明の構成要件Cの「切断舗装版及びマンホール枠が撤去される」工程を充足している。
したがって、イ号工法の構成(B-2)ないし(B-4)は、本件特許発明の構成要件Bを充足している。

被請求人は、イ号工法の構成(B-1)の工程は本件特許発明の構成要件には存しない旨主張している。
イ号工法の構成(B-1)は、オーバーレイ工事後、路面下に隠れたマンホール蓋及び枠の中心位置を該路面上に特定する工程であり、(B-2)の工程とは直接関連しないものであるから、この工程が存するからといって、イ号工法が本件特許発明を充足していないとすることはできない。
なお、本件特許発明は、構成要件Eにおいて、「マンホール枠の設置予定域周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断される」ものであるから、オーバーレイ上から、オーバーレイ下に埋設されたマンホール枠の設置位置を特定する必要があり、本件特許明細書には、「オーバーレイ上から切断中心を特定するために、金属探知機等の公知の探知手段を使用して内部の支持蓋の位置を確認してもよい。」(段落【0006】)と記載されており、本件特許発明は、マンホール枠の中心を割り出すための手段を付加することを排除していない。

(3)イ号工法の構成(C)と、本件特許発明の構成要件Cを対比する。
本件特許明細書には、構成要件Cについて次のように記載されている。
「工程(b)において、切断舗装版及びマンホール枠の撤去により開口された空洞部が支持蓋を介して舗装材で埋め戻されると共に交通開放のために仮復旧され、支持蓋はマンホール基壁を閉塞すると共に前記仮復旧舗装材を支持する。」(段落【0005】)。
また、図1(b)には、マンホール基壁3上に円形鉄板とその下面に突設された筒体からなる支持蓋6が仮設され、支持蓋6はマンホール基壁3に接して載置され、筒体はマンホール基壁3の開口部に嵌入されることが図示されている。
これらの記載によれば、「支持蓋の周囲の空胴部に舗装材が打設される」とは、切断舗装版及びマンホール枠の撤去により開口されたマンホール基壁上の空洞部を舗装材で埋めることであり、「マンホール基壁上に支持蓋を仮設する」とは、舗装材を打設するためにマンホール基壁の開口部を閉塞するように、支持蓋をマンホール基壁上に載置することと解される。
他方、イ号工法の構成(C)では、「養生板」は、マンホール基壁上に載置されるものではなく、下桝躯体(3)(「マンホール基壁」に相当する。)の上方に嵌設されるものであり、舗装材は、養生板(6)の上方空所にのみ充填されるものであるから、イ号工法の構成(C)は、本件特許発明の構成要件Cを充足していない。

(4)イ号工法の構成(D-1)及び(D-2)と本件特許発明の構成要件Dを対比する。
イ号工法の構成(D-1)は、本件特許発明の構成要件Dの「舗装表面がマンホール基壁上の舗装材表面も含めて切削される」に相当し、イ号工法の構成(D-2)は、構成要件Dの「切削面にオーバーレイが施工される」に相当するから、イ号工法の構成(D-1)及び(D-2)は、本件特許発明の構成要件Dを充足している。

(5)イ号工法の構成(E)と、本件特許発明の構成要件Eを対比する。
本件特許発明の構成要件Eは、「マンホール枠の設置予定域周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断される」工程と「切断舗装版及び支持蓋が撤去される」工程からなる。ここで、「筒状の切断」後、切断舗装版及び支持蓋が撤去されるから、「筒状の切断」は支持蓋が撤去できる深さまで切断すること、すなわち、構成要件Cで、マンホール基壁上に仮設された支持蓋の周囲の空洞部に充填された舗装材をマンホール基壁近傍まで切断されるものであることは明らかであり、「切断舗装版及び支持蓋が撤去される」とは、マンホール基壁上に仮設された支持蓋とその周囲の空洞部に充填され、筒状に切断された舗装版及び支持蓋を撤去することといえる。
他方、イ号工法は、前記(3)で対比したとおり、マンホール基壁上に仮設された支持蓋を有しておらず、イ号工法の構成(E)では、下桝躯体(3)の上方に嵌設され養生板(6)の上方空所に充填された舗装材を切断し、この切断舗装材と養生板(6)を撤去するものであるから、本件特許発明の構成要件Eとは、切断する対象及び撤去する対象が相違しており、イ号工法の構成(E)は、本件特許発明の構成要件Eを充足していない。

(6)イ号工法の構成(F)、(G)及び(H)は、本件特許発明の構成要件F、G及びHを充足している。

(7)したがって、イ号工法は、本件特許発明の構成要件C、Eを充足していないから、本件特許発明の技術的範囲に属するとすることはできない。

第6 むすび
以上のとおり、イ号工法は、本件特許発明の技術的範囲に属さない。
 
別掲
イ号説明書<名称>
切削オーバーレイ工法(通称パラボラ工法)
<技術的構成の説明>
(A)マンホール蓋及び枠を含む道路の切削オーバーレイ工法であって、既存舗装路面の傷んだ表層部を切削した後の路面を補強補修する工法であり、
(B-1)マンホール蓋(1a)及び枠(1)の中心位置から測定した非施工個所の最寄の場所に、予め目印となる基準線及び基準点を設けて、オーバーレイ工事後、路面下に隠れたマンホール蓋及び枠の中心位置を該路面上に特定可能にマーキングしておく工程、
(B-2)マンホール蓋(1a)及び枠(1)の中心位置に球面椀型カッターの芯出しジグを設置し、この球面椀型カッターを用いて所定の切断円直径でマンホール枠周囲に360度回転させて舗装に表層部分から平面円形、断面円弧状となる球面状に切込み(CL1)を入れ、路盤(2)を御椀型類似形状に切断する工程、
(B-3)マンホール蓋(1a)を外し、マンホール枠(1)内側下部に吊り上げのための支持手段(5)をセットし、マンホール枠(1)と下桝躯体(3)とが締結されているか否かの確認後、両者を分離する工程、
(B-4)マンホール枠(1)と共に御椀型類似形状の切断路盤(4)を前記支持手段(5)を介して吊り上げ撤去する工程、
(C)前記工程の撤去により形成された御椀型類似形状の空洞部(S1)において、下桝躯体(3)の上方に離間して中心部に吊りボルト用雌ネジ部(6a)を有する中当て体を形成する養生板(6)を前記空洞部(S1)の内部に嵌設して下桝躯体(3)の上方を塞ぐように覆設し、その上に油紙等の剥離材(l4)を敷設して養生板(6)の上方空所に舗装材(7)を充填する工程、
(D-1)次いで、前記舗装材(7)も含めて所定工事範囲で路盤(2)の表層部分を切削する工程、
(D-2)切削した後の路面(8)を新舗装材(9)を用いてオーバーレイ補修施工を実施する工程、
(E)先に目印となる場所にマーキングしておいた基準線及び基準点からマンホール枠の中心位置をオーバーレイ工事後の路面上に割り出し、この割り出した位置を中心に前記工程(B-2)における切断円とほぼ同じ径で埋設状態の養生板(6)の深さ位置まで平面円形、断面円弧状となる球面状に切込み(CL2)を入れ、中心に吊りボルト挿入用の所定径の穴(Hc)を穿ち、吊りボルト(15)を穴の内部に挿入して養生板(6)の吊りボルト用雌ネジ部(6a)に係合螺着して吊り上げ、養生板(6)ごと切断路盤(10)を引き抜き撤去する工程、
(F)下桝躯体(3)の上縁部(3a)の所定位置に係合する高さ調整機能を有するアンカーボルト(11A)を打ち込むと共にマンホール枠(1)を設置し、該マンホール枠(1)をオーバーレイ工事後の路面に合せて高さ調整した後、
(G)マンホール枠(1)と下桝躯体(3)の上縁部(3a)との隙間を塞ぐための内型枠(16)を仮設し、内型枠(16)の外周隙間部分と周囲の空洞部(S2)に舗装材(12a)を打設し、表層部分をオーバーレイされた新舗装材(9)の表面高さまで表層材(12b)で舗装施工し、施工終了後、前記内型枠(16)を撤去して終了する工程から成る
(H)切削オーバーレイ工法。
<図面の説明>
【図1】は、切削オーバーレイ施工前のマンホールを含む既存道路を示す断面図である。
【図2】は、切削オーバーレイ施工に先立ちマンホールの中心位置を特定するためのマーキング工程を示す平面図である。
【図3】は、既存道路において、マンホール蓋及び枠周囲の路盤を球面椀型カッターを用いて平面円形、断面円弧状の御椀型類似形状に切断する工程を示す断面図である。
【図4】は、マンホール蓋を外し、マンホール枠撤去用の支持手段をセットし、切断路盤をマンホール枠と共に支持手段を介して吊り上げ撤去する工程を示す断面図である。
【図5】は、切断撤去後の空洞部内に養生板を嵌設することにより下桝躯体の上方を塞ぐと共に、養生板の表面に剥離材を敷設した後、養生板の上方に舗装材を充填する工程を示す断面図である。
【図6】は、充填した舗装材も含めて所定工事範囲で路盤の表層部分を切削する工程を示す断面図である。
【図7】は、切削後の路面を新舗装材を用いてオーバーレイ補修施工する工程を示す断面図である。
【図8】は、先の基準線よりマンホール中心位置をオーバーレイ工事後の路面上に割り出し、球面椀型カッターを用いて養生板の嵌設位置まで切込みを入れ、且つ中心部に所定径の穴を穿ち、吊りボルトを養生板の雌ネジ部に係合螺合し、養生板ごと切断路盤を引き抜き撤去する工程を示す断面図である。
【図9】は、下桝躯体の上縁部に高さ調整機能を有するアンカーボルトによりマンホール枠を設置すると共に内型枠を取付けた状態を示す断面図である。
【図10】は、内型枠の外周部の隙間及び空洞部に舗装材を充填し、表層部分に表層材を施工した状態を示す断面図である。
【図11】は、施工後の養生期間経過後に内型枠を取り外し、マンホール蓋を取付けることにより完工した状態を示す断面図である。
<符号の説明>
1a マンホール蓋
1 マンホール枠
2 既存路盤
3 下桝躯体
4 切断路盤
5 支持手段
6a 雌ネジ部
6 養生板
7 舗装材
8 切削した後の路面
9 新舗装材
10 切断路盤
11 締結部材
11A アンカーボルト
11a 調節駒
12b 表層材
13 落下防止具
14 剥離材
15 吊りボルト
16 内型枠
 
判定日 2008-01-18 
出願番号 特願平3-359362
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (E01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 砂川 充
峰 祐治
登録日 1997-04-11 
登録番号 特許第2623491号(P2623491)
発明の名称 切削オーバーレイ工法  
代理人 丹羽 宏之  
代理人 中野 収二  
代理人 野口 忠夫  
代理人 西尾 美良  
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